国土交通省中部地方整備局 静岡河川事務所 大井川の牛尾山開削工事現場を視察する議員団と、工事で出現した丸い“だるま石” = 島田市牛尾地先 木曽三川の治水と繋がりが深い静岡で視察研修 ~ 大垣輪中水防事務組合議会 ~ 岐阜県大垣市の市議会議員や連合自治会長らで構成する「大垣輪中水防事務組合議会」の静岡県内の視察研 はやししんたろう 修が2月9日から2日間の日程で実施された。組合議会の林新太郎議長をはじめ、27名の議員団が来県し、 焼津市長との意見交換を通して行政課題などを探ったほか、現地視察や防災対策の強化に取り組む先例地調査 を通して、防災事業の知識習得につとめた。 かなもりきちじろう 議員団一行は、私財を投じて天竜川の治水を手掛け、大垣輪中の治水功労者と云われる金森吉次郎(1865 きんぱらめいぜん -1930)と親交があった金原明善記念館を見学したほか、遠州灘沿岸で進められている防潮堤工事や大井川 の大規模な河川改修工事を視察。大井川に大きく突き出した牛尾山開削工事を視察した議員団からは「こんな 重要な治水工事が、なぜ400年以上も経ってから着手されたのか」など質問が相次ぎ、工事を担当する静岡 とみやすてるまさ 河川事務所の冨安輝正島田出張所長が、歴史的背景を踏まえ、これまでの河川改修事業の経緯などを解説した。 一連の視察を通しての印象について、林議長は大垣輪中 は古くから水害に悩まされてきた地域。金原明善や金森吉 次郎など、全財産を投げ打ち、治山治水に尽力してきた先 人たちの足跡は、決して忘れてはいけないし、この事は次 世代に語り継いでいく必要がある。この功績の重みを踏ま えながら、これからも地域の安全・安心のため、能う限り の力を尽くしていきたい」と感想を述べ、意義ある研修 だったと振り返った。 大井川河川改修事業の概要を説明する安田副所長 国土交通省中部地方整備局 静岡河川事務所 スマートフォンを活用した現場中継 焼津市の職員から防災対策について説明を受ける議員団の皆さん=焼津市役所 ドローンを活用した情報収集訓練 災害対策本部機能強化に向けた取り組み ・ 焼津市 近年多発する異常気象に伴う風水害や、地震・津波災害への備 えとして、『災害情報の見える化』を推進する焼津市危機対策課 やましたあきら の山下晃係長は、「スマートフォンのアプリケーションを活用し、 現場からリアルタイムの中継をしたり、無人航空機(ドローン) を導入し、高画質の動画撮影に取り組んでいる」と語り、視覚的 に災害情報をいち早く把握し、住民に提供することが、迅速な避 難行動に繋がるとの考えを示した。その他、情報収集力を高める ために機動指揮車2台を配備したり、防災航空隊『ブルーシーガ ルズ』の編制などが紹介され、議員団らは、防災先進市の取り組 中野弘道焼津市長と歓談する議員団の代表者ら みに真剣に聞き入っていた。 地名があらわす災害の歴史 防災の力に 静岡市を流れる安倍川と同様、地形的特徴から古くから水害に 見舞われ、「洪水常襲地帯」と言われた大垣輪中を題材として、大 ほそのたかし 垣市の水に関わる町名由来を解説した、静岡河川事務所の細野貴司 調査課長は、「地名には、その地に起きた災害の歴史や特徴を、現 在に伝えるメッセージが隠されている。歴史的な背景に触れ、地域 の地名を知ることは、その時代を彷彿させるロマンがあり、まちづ くりや防災対策を考えるうえで重要なヒントになる」と訴えた。
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