アカガシラカラスバトの現状について

資料8
アカガシラカラスバトの現状について
(平成 28 年度アカガシラカラスバト保護増殖検討会での議論の概要)
○推定個体数の評価
・アカガシラカラスバトの個体数は、目撃情報や標識調査などから推定すると、
ここ数年は以前の急激な増加傾向ではなく、安定した状態にあると考えられ
る。
・ただし、個体数が増加してきたとはいえ、総数がまだ数百程度だとすると、
長期的には安定した状態とはいえず、本種が絶滅危惧を脱する状況ではなく、
今後も保全対策が必要。
・近年のアカガシラカラスバトの個体数増加が止まった理由を考える必要があ
る。
・環境収容力がいっぱいになり食物の供給の面からこれ以上の増加が難しくな
ったのか、ネコの捕食圧が依然としてまだ強いのか、これまでネコの捕食圧
が強く表面化していなかったネズミの捕食圧等ほかの要因によるものか、い
くつか考えられる。
1
ネコ対策の現状トピック
(小笠原ネコに関する連絡会議での議論内容の概要)
○父島のネコ対策について
2013 年度に推定 10-20 頭程度の低密度状態まで低減することができた。しか
しながら、2014 年度以降リバウンド傾向が見られている(残存ノネコから子ネ
コが供給していることが主原因であると思われる)。根絶に向けて、難捕獲ネコ
の捕獲が課題である。
4.00
3.90
3.50
頭数/のべ罠日数×100)
CPUE(捕
1.50
効
効
(各月)
(最近3ヶ月の移動平均)
2.50
2.27
1.90
1.83
1.58
1.37
1.22
0.31
2016年9月
0.13
0.07 0.11
0.00 0.00
2016年7月
2016年5月
2016年3月
0.09 0.10
2016年1月
2015年9月
0.39
0.38
2015年11月
2015年5月
2015年3月
2015年1月
2014年9月
2014年7月
2014年11月
2014年5月
2014年3月
2014年1月
2013年9月
島におけるノネコ捕 効
率
獲
2013年11月
2013年7月
2013年5月
2013年3月
2013年1月
2012年9月
0.38
0.33
0.27 0.29
0.19
0.18
0.17
0.17
0.15 0.19
0.11 0.17
0.11 0.14 0.15 0.16 0.12
0.10
0.09
0.08
0.00
0.00
0.00 0.00
0.00 0.00 0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00 0.00
0.00 0.00
2012年11月
2012年7月
2012年5月
2011年9月
2011年7月
2011年5月
2011年3月
2011年1月
2010年9月
0.35
0.14
0.00
0.00
父
2010年11月
2010年7月
2010年5月
2010年1月
2010年3月
0.31
0.17
0.16
0.69
0.61
0.54
0.47
2012年3月
0.39
0.18 0.14
0.00
0.50
0.85
0.80
0.71
2015年7月
0.71
0.69
0.60
0.54
0.50
1.08
0.96
0.83
2012年1月
1.04
1.01
0.91
1.00
2011年11月
獲
捕 効
率
捕
率 率
2.00
獲
捕
獲 獲
3.31
3.00
3.00
○母島のネコ対策について
今年度は南部を中心に実施しており、南崎ではカツオドリの繁殖が見られる
など一定の成果があがっている。一方、全島的には 2010 年から実施されている
試験的な捕獲により、既に父島の累計捕獲頭数と同水準に達しているが、依然
として捕獲当初から低密度化している傾向が見られない。
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平成 28 年 5 月 母島南崎に再整備したノネコ侵入防止柵
○受入れ体制の強化
これまで捕獲したネコは、全て東京都獣医師会の協力により、内地搬送によ
り、引受け、馴化していただいている。昨年度、一時受け入れ体制に滞りが見
られたことから、ネコ連、東京都獣医師会で連携して、ネコ譲渡の促進や、対
策の理解促進を目的とした HP を作成した。
○今後のポイント
今後のネコ対策については、父島と母島の両島に同時に高い捕獲圧を掛ける
ことが難しい中で、未だに達成できていない父島の根絶、低密度化していない
母島での実績、ネコの受け入れ体制の課題等の実状を踏まえた対策方針の検討
が必要である。
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