「井上円了哲学塾最終レポート」 塾生登録番号 7700160013 東洋大学

「井上円了哲学塾最終レポート」
塾生登録番号 7700160013
東洋大学法学部法律学科
矢野 愛
私がこの井上円了哲学塾に入塾しようと思った経緯は、高校二年の夏に参加した「日本
の次世代リーダー養成塾」に参加したことが大きく関わる。全国や世界の高校生が二週間
にわたり衣食住を共にし、交流し学び、考えるサマースクールである。その当時、同じ高
校生ながら英語が流暢であったり、海外の高校に通う日本人、また、母国語だけではなく
何カ国語も話せる海外の高校生、今までにない出会いに、たくさんの驚きと刺激を受けた
のだ。その経験から、大学は上京をして、多岐にわたるボランティア活動や、企業が主催
する活動に参加をして、知識や経験を得て自分を成長させたいと考えるようになった。そ
こで、入試の際に本学のホームページを拝見していたときに「井上円了哲学塾」との出会
いがあり、本学に入学できたのならこの塾に入塾しようと思い、今に至るのだ。秋学期の
履修にあたり、半年間の大学生活で感じたのは、
「普段の授業の座学だけでは満足できない」、
「有意義な大学生活を送るためにも新たなきっかけがほしい」、「人脈を広げ、知識を広げ
たい」
、
「自分をさらに成長させたい」
、そんなことを強く思い描くようになったことも応募
のきっかけだ。
私は、小・中・高の過程の中で学級委員長や生徒会長、時には運動会で応援団長を務め
るなど、常に人の前に立ってリーダーとして活動するのが好きであった。人の前に立ち、
公衆の前で演説をしたり、発表をしたりすることはそれほど苦痛とは思わなっかったため、
自分の個性である明るさを生かし、活発的に行動したいと感じ、常に人前に立つ存在であ
った。クラス制であったからこそ、みんなの前に立ち、引っ張っていく人こそが「リーダ
ー」ではないかと考えていた。しかし、大学や社会に出たときに、果たして「リーダー」
とは何者か、疑問に思うようになったのだ。今までの自分の経験を大学では消し去ってし
まうのだろうかと考えたときに、そうではなく、その主体性を強くし、視野を広げること
で、新たな自分を確立できるきっかけが見つかるのではないかと、この哲学塾を通して学
んだのだ。
この哲学塾は、他学部の方や、一般の方、幅広い年齢層の中でディスッションが行える
ことが魅力的である。また、多岐にわたる分野の講師の方々から講義を受けることもでき、
広く新しい観点から知識を蓄えられたと私は感じている。同じ人間でも、すべての人が同
じ考えではないのである。十人十色であるからこそ、他者の意見を聞くことで、自分の考
えも豊かになる。刺激と学びが融合させた場所が「井上円了哲学塾」であったと私は言え
る。
もちろん、「哲学とは何か」、それは物事を考えようとすることにあり、物事の本質をつ
かむには哲学を確立する必要があるのだという、井上円了先生の教えは、私にとってはま
だ早かったのではないかと感じる部分は少なからずある。
「哲学」というこの漢字二文字だ
けだは考えることは難しいが、物事を考えようとすること、探求することであるのであれ
ば、入塾当初よりも一歩も二歩も前進することができたと考える。
私が今後、この哲学塾での経験を生かしたいことは「周りを巻き込むこと力」である。
これは悪い意味ではなく、
「なぜ大学に進学したのか」、
「何のために大学生活を送っている
のか」
、
「将来の夢が見つからない」
、そんな仲間をよく見かけることが多いと感じるからで
ある。そして、これから二年・三年・四年と進級する中で、より自分の人生を豊かにし、
有意義な大学生活を送るためにも、自分と共に周りをも巻き込んで社会に必要とされる人
材になりたいと考えるからである。これも、井上円了先生のお言葉である、他者貢献の輪
を広げることも哲学の可能性であると私は感じるのである。
また、より多くの人にも、ディスッションや他者との意見交流の場を多く体験してほし
いとも考える。なぜならば、私自身も、他者に巻き込まれ活動の楽しさや自分の意見を相
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手に伝える自己表現の大切さを学んだからである。それ以前までは、「人の前に立つものが
リーダーである」とばかり思い描いていた。しかし、「リーダー」とは一概にもそれだけで
はなく、各個人、一人ひとりがリーダーであり、社会に出たときに求められる「スキル」
ではないだろうかと私は考えるに至った。あるいは、みんなが平等に与えられている均等
な機会であるとも考えられる。さらに、固執した考えではなく、「広い視野をもつ」、そん
なことも教えられたと私は感じるのである。
私は、
『かねパッケージ社長の金坂さん』の講義を受けたことが、今までの考えに変化を
齎し、自分に何か勢いをつけてくれたそんな出会いであったと強く感銘を受けた。私の将
来の夢は「白バイ隊員になること」だ。この夢は幼いころからずっと思い描いている夢だ。
なぜこの夢かというと、
「人の役に立ちたい」、「人を助ける仕事につきたい」、そんな想い
をずっと描いてきたからだ。しかし、
「人の役に立ちたい」とは、警察官以外にもあてはま
るのではないかと、新たな視点に転機を与えてくださったかのような気づきを得ることが
できた。夢をあきらめるつもりはないが、ただその夢を追いかけるだけの普通の大学生活
から、ほかの事にも目を向けて、自ら行動してみようと心にエンジンをかけられたかのよ
うな勢いを私は感じているのだ。
『志を持って継続すると、仕事が「志事」になり、全うす
ると「天職」となり、それが自分の「人生」になる』
、この言葉がこれからの私の支えにな
るだろうと強く感じている。また、金坂社長の愛社精神や、人柄にもとても引き込まれる
魅力を感じたのだ。私も、そんな人間になりたいと感じたのである。
私はこの哲学塾を通して、以前よりも前向きになることができたと感じる。入学してか
ら新しいことに挑戦をしたいと考えてはいたものの、行動に移せず戸惑っていたことで自
ら一歩を踏めずにいたのだ。しかし、この哲学塾での出会いや、先輩からの紹介で新たな
一歩を踏み出せる勢いをつけることができたと、心から感じているのだ。ここではたくさ
んのことを学び、感じることができた。それを今後自分の人生につなげ、自分だけではな
く周りとも共有しあい、高め合い、本学の学生である以上、井上円了先生の教えをさらに
探求していかなければならないと考える。
また、私は今後留学も視野に勉学に励みたいと考えている。本学の教訓である『独立自
活』、「ひとりで立ち、自ら活動する」ためには、さらにたくさんの経験をつむことで、こ
の言葉に対する真の答えが見出せるのではないだろうかと考えるのである。たとえば、
「グ
ローバル化とは何か」という問いに関して、英語が話せるようになることだけがグローバ
ル化に必要な力ではないと考えられるのであれば、
「英語は手段でしかなく、ツールでしか
ない」となる。すると、果たして真のグローバル化とはな何かという新たな問いに直面す
る。わかっているようでわからない、疑問の核心的なものは見出せていないということに
なるのである。その真の答えを得るためにも、自ら活動してみようと奮い立つ気持ちにな
るのだ。
最後に、この哲学塾での学びを生かし、これからも井上円了先生のように学び続けるこ
とをやめず、社会に必要となる人材に成長したいと私は考えている。この経験が、そう私
の背中を押してくれたと感じている。
以上、
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