第 2回薬剤耐性ワンヘルス動向調査検討会

第 2回薬剤耐性 ワンヘルス動向調査検討会
平
成
29年
3月
1 0 : 0 0 厚 生 労 働 省
1 開会
2 議題
各調査の概要について
(
2)
その他
3 閉会
配 付 資料
資
(水
)
1 2 . 0 0
省 議 室 (9 階 )
議 事 次 第
(1)
8 日
料 各調査の概要
参 考 資 料 薬剤耐性 ワンヘルス動 向調査検討会 開催要綱
薬剤耐性 ワンヘルス動向調査検討会
氏
名
所
属
浅井 鉄夫 岐阜大学連合獣医学研究科動物感染症制御学
遠藤 裕子 農林水産省動物医薬品検査所 検査
釜遍
敏
(
公社)日本医
教授
第二部長
黒田 誠
国立感染症研究所
師会 常任理事
病原体ゲノム解
境 政人
(
公社)
析研究センター長
佐藤 真澄 国立研究開発法人農業,
食品産業技術総合研究機構 動物衛
日本獣医師会 専務理事
四宮 博人
生研究部門 病態研究領域長
柴山 恵吾
愛媛県立衛生環境研究所 所長
田 中宏 明
国立感染症研究所細菌第二部長
京都大学大学院工学研究科
田村 豊
附属流域圏総合環境質研究センタ一 教授
早川 佳代子 国立研究開発法人国立国際医療研
酪農学園大学獣医学群教授 獣医学研究科長
藤
究センター国際感染症センター 薬剤耐性情報室長
本 修平
松井
珠乃 国立感染症研究所感染症疫学センタ
東海大学医学部基礎医学系 生体防御学
ー 教授
御手洗 聡 結核予防会結核研究所抗酸菌
村木 優-
三重大学医学部附属病
第一室長
部 部長
矢野 小夜子 京都府丹後家畜保健衛生
院 薬剤部 副薬剤部長
渡逮 治雄
所 所長
第 2回薬剤耐性ワンヘルス動 向調査検討会 座席図
日時 平成29年 3月8日(
水)
1000-1200
生 労 働 省 省 議 室(
9 階)
会場 厚
′
フ
三
l
(
⊃
H
l
矢野 ‡
落成 貞 ○
村木 手
箆成員
○浅
○
井 構成員
御手洗 手
箆
○ 遠藤 構 成員
成員
松井 構成
員
○
釜遍
構成員
○黒
田 構
成員
藤本 構成員
○
○ 境 稗成員
早川 手
薫成 員
○
○ 佐藤
日
比
田中 手
茸成員
柴山 手
構 成員
○
〇 四宮 構成 員
谷
公
■
■ ○落成員
I
○ 生活衛 生 .
食品安全部
監視 安全課課長
園
側
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O
長局農
補 林
佐 畜水
水産
産省
安
全消
】
補佐
O
O
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結
核
結
核
結
核
感
感
感
染
症
染
症
症
染
課
長
長
課
長
課
各調査の概要
1.感染症発生動 向調査 (
NESI
D) - .・ - (
国立感染症研究所 感染症疫学センター 松井委
-
i-
-1
2
.
院内感染対策サーベイ ランス (
J
ANI
S) 員-提出資料)
- ・
(
国立感染症研究所 細菌第二部 柴山委
5
- - ・
3
.
感染対策地域連携支援 システム (
RI
C提出資料)
SS) - 員
(
東海大学医学部基礎医学系 生体防御学 藤本委
- - ・
7
4
.
抗菌薬使用動 向調査 システム (
J
ACS) - 員 提出資料)
(
三重大学医学部附属病院 薬剤部 村木委
- - ・
9
5.動物 由来薬剤耐性菌モニタ リング (
JVA
RM)
- 員
提出資料)
(
農林水産省 動物医薬品検査所 遠藤委
- ・1
2
員
提出資料)
6
.
薬剤耐性 ゲノムデータベース (
Ge
n
Ep
i
d
J
)の概要
(
国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター 黒田委員-
-1
6
1
.感染症発生動向調査 (
NESI
D)
感染症発生動 向調査 (
NESI
D)
とは
感染症発生動 向調査ovESI
D,
Na
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とは、国内の感染症に関する情報 の収集および公表、発生状況および動 向の把
Di
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)
握を、医師 t
獣 医師の届出に基づいて行うものであり、1
9
99(
平成 1
1
)
年 4月に施行された
r
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(
以下 、感染症法)に基づ
いて実施されている。同調査の 目的は、感染症 の発生情報の正確な把握と分析 、その結
果の迅速な提供 ・
公開により、感染症 に対する対策を図り、発生及びまん延を防止するこ
とである。
現在 、感染症発生動 向調査 において報告対象となっている薬剤耐性菌感染症 は次の 7
疾患 (
括弧内は報告対象となった時期 )である。全ての医師が届 出を行う全数報告 の対象
1
99
9年 4月)、バンコマイシン耐
である疾患 は、バンコマイシン耐性腸球菌感染症 vRE(
20
03年 11月)、カルバペネム耐性腸 内細菌科細菌感染
性黄色ブドウ球 菌感染症 vRSA(
201
4年 9月)、薬剤耐性アシネトバクタ-感染症 MDRA(
201
1年 2月から定 点
症 cRE(
4年 9月から全数報告対象疾患-変更)の 4疾患であり五類感
報告対象疾患となり、201
染症 に位置 づけられている。また、基幹 定点医療機 関 (
全国約 5
00か所の病 床数 300以
1
999年 4
上の医療機 関)が届 出を行う疾患は、ペニシリン耐性肺 炎球菌感染症 pRSP(
月)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 MRSA(
1
9
99年 4月)薬剤耐性緑膿菌感 染症
MDRP (
1
9
99年 4月)の 3疾患である。
届 出基準
上記の報告 対象疾患を診断した医師 (
定点把握疾患 については指定届 出機 関の管理
者)は、所定の届 出様式を用いて保健 所に届 け出る。それぞれの報告対象疾患の届 出基
準 は、以下の表に示す検査所見を満たす菌を検 出し、この分離菌が感染症の起 因菌と判
定されるか、通常無菌的であるべき検体からの検 出である場合となっており、いわゆる保
菌 は届 出対象ではない。
VRSA
黄色ブドウ球菌が分離 同定され 、パンコマイシンの MI
C値が 1
6L
t
g/ml以
上
MDRA
アシネトバクター属菌が分離 同定され、以下の3つの条件を全て満たした
場合
ア イミペネムの MI
C値が 1
6L
t
g
/
i
m 以上又は、イミペネムの感受性ディス
ク(
KB)
の阻止 円の直径が 13m
m以下
イ アミカシンの MI
C値が 3
2L
L
g
/
i
m 以上又は、アミカシンの感受性ディスク
(
KB)
の阻止円の直径が14mm以下
ウ シプロプロキサシンの MI
C値が 4L
L
g
/
i 以上又は、シプロプロキサシン
m
の感受性ディスク(
KB)
の阻止円の直径が 1
5mm以下
肺炎球菌が分離同定され、ペニシリンの M
オキサシリンの感受性ディスク(
KB)
の指
l以上又は、
L
久下
黄色ブドウ球菌が分離同定され、オキサシリンの MI
C値が 4L
t
g
/
i
m 以上、
又はオキサシリンの感受性ディスク(
KB)
の阻止 円の直径が 1
0m 以下
緑膿菌が分離同定され、以下の3つの条i
ア イミペネムの MI
C値が 1
6L
L
g
/
ml以上
ク(
KB)
の阻止 円の直径が 1
3mm以下
イ アミカシンの MI
C値が 3
2pyml以上又は、
(
KB)
の阻止円の直径が 1
4mm以下
ウ シプロプロキサシンの MI
C値が 4pg
/
ml
感受性ディスク
ロフロキサシン
体制
保健所 は届出の内容を確認の上、Na
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NESI
D)
に入力登録し、引き続き、地方感染症情報センター、国立感染症研究所
感染症疫学センター (
中央感染症情報センター)
等で情報の確認 ・
追加情報収集 ・
解析が
行われ、感染症法に基づき収集した患者の発生状況 (
報告数、推移等)
を中心に、感染症
発生動 向調査週報 (
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DWR)
等を用いて、国民に還元さ
れている(
I
DWRでは週 1回の頻度)0
感染症発生動 向調査 (
NESI
D)による薬剤耐性菌感染症の結果
201
5年までの報告症例数は 201
6年 1
0月 23日現在報告数としてまとめられ 、公開さ
れているものである。201
6年の全数把握疾患については感染症発生動向週報 I
DWR第
51・
5
2合併号に掲載された暫定数であり1
、基幹定点把握疾患については 201
7年 1月 1
3
日現在に集計された 201
6年 1-1
2月の報告数合計 (
暫定数)
及び 1
2月の定点数より算
出した定点当たり報告数である。201
6年のこれらの数値については今後変動する可能性
がある。
1全数把握疾患 (
1
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基幹定点把握疾患 (
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6年 については、2
0
1
7年 1月 13日現在デー タを元 に暫定情報 として新たに集計)
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9日からの報告数
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7
0.
5
6
2.院内感染対策サーベイランス (
JANI
S)
院内感染対策サーベイランス JANI
Sとは
院内感染対策サ-ベイランス事業(
J
ANI
S,J
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)は国
内の医療機関における院内感染症の発生状況、薬剤耐性菌の分離状況及び薬剤耐性菌
による感染症の発生状況を調査し、日本の院内感染の概況を把握し医療現場への院内感
染対策に有用な情報の還元等を行うことを目的としている。全参加医療機関の集計結果
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aとしてウェブサイト(
仙p:
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www.
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)
で公開している。参加医療機
は、Na
関ごとのデータについても解析して個別に報告書を返し、それぞれの医療機関での感染対
,
8
0
0の医療機関が参加している。
策の策定や評価に活用して頂いている。現在 、およそ 1
J
ANI
Sは、統計法に基づく調査であり、感染症法に基づく調査とは別の調査である。参加
ANI
Sは厚生労働省の事業であり、運営方針は感染症 、薬剤耐性などの
は任意であるoJ
専門家から構成される運営会議で決定される。データ解析などの実務は国立感染症研究
所細菌第二部が事務局として担当している。
JANI
Sの 5部門
J
ANI
Sは(
1
)
検査部門サーベイランス (
2)
全入院患者部門サーベイランス (
3)
手術部位感
SSI
)
部門サーベイランス (
4
)
集中治療室(
I
CU)
部門サーベイランス (
5
)
新生児集中治療
染(
CU)
部 門サーベイランスの5部門から構成されている。医療機関は、それぞれの 目的
室pI
や状況に応じて参加する部門を選択する。5部 門のうち、検査部門が薬剤耐性に関するサ
ーベイランスである。検査部門では各医療機関の検査室 に設置されている細菌検査装置 、
ANI
Sフォーマットに変換 したものを
システム等から分離菌に関する全データを取り出し、J
we
b送信により提出して頂いている。提 出されたデータを集計して、臨床的に重要な主要
t
i
ona
lda
t
aとして結果
な菌種について各種薬剤に対する耐性の割合を算 出し、日本の Na
を公開している。
2
013年 (
平成 2
5年)度の診療報酬
なお、医療機関の感染対策の推進に寄与するため 、
ANI
Sの検査部門への参加が必須
の改定により、感染防止対策加算 1を取得するには J
2
013年度から参加機関が急増 している。
要件の一つに位置づけられた。このため 、
JANI
S検査部門で公開している主要な菌種の薬剤耐性
ここでは近年の検査部門の公開情報から、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、肺炎球菌
の薬剤耐性の状況について紹介する。
2
0
1
5年
黄色ブドウ球菌全体に占める MRSA の割合は近年わずかに減少傾 向にあり、
8
%である。大腸菌ではレポプロキサシン耐性が顕著に増加しており、2
01
5年では
は4
3
8
%が耐性である。緑膿菌のイミペネム耐性は 2
0
%前後で推移 している。肺炎球菌のペニ
シリン耐性は、髄液検体由来株と髄液以外の検体の株で判定基準が異なるが、
、
髄液検体
0
%前後で推移している。いずれについてもアクションプランに掲げ
由来株では耐性率は 4
られた 目標と比較すると高い水準にある。
ANI
S参加医療機関は 2
0
0床以上の比較的大規模の病院が多く、また検査書肝弓
なお、J
のデータは入院検体のみであり、外来検体は含まれていない.またクリニックなどのデータ
は収集されておらず、市中の状況は反映されていない。このようなバイアスの解消は今後
ANI
Sの課題である。
のJ
国際協 力について
J
ANI
Sで開発した解析プログラムは、海外の医療機関でもデータを送信してもらえれば
t
i
ona
lda
t
aを集計することが可能である.現
同様 に解析を行い、その国の薬剤耐性の Na
在 、ベトナム、インドネシア、モンゴルの保健省と協議を行っている。同時に、J
ANI
S解析プ
ログラムを元に海外医療機関のデータ用に一部改修 したプログラムの開発とサーバーの
設置を進めている。
薬剤相 性の絹格とアクションプランの日標について
のM細
六及 Elレポブリキサシ細
合tt
Sl
一一
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… にたたされている、
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ペニシ側
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感染対策地域連携支援システム (
RI
CS
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)
感染対策地域連携支援システム (
RI
CSS)とは
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m)は、全国で行われている診療報酬加
RI
CSS(
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olSuppor
算 にもとづく感染対策の地域連携のためのデータ収集、集計 、還元作業を支援する全国シ
ステムとして研究開発を行っているコンピューターシステムであるが、同時に全国の医療機
関で行われている「
感染対策の実施状況とそのアウトカム」(
以下、「
感染対策関連データ」)
の動向を得るサーベイランスシステムとしても機能する。さらに、他地域を含む全国各地の
病院機能などを同じとする医療施設が 自発的に任意グループを作成する機能により、類
似した属性を持つ医療施設が地域の枠を超えて連携をすることを可能とするシステムであ
る。AMR対策アクションプランの「目標3適切な感染予防Ⅰ
管理の実践により、薬剤耐性
微生物の拡大を阻止する」に対応する内容であるが、AMRによる感染対策では、院内に
おける AMRの分離率を抑制する必要があるため、収集 ・
還元するデータには、「目標2薬
剤耐性及び抗微生物剤の使用量を継続的に監視し、薬剤耐性の変化や拡大の予兆を適
確に把握する」、「目標 4医療、畜水産等の分野における抗微生物剤の適正な使用を推追
する」を含んでいるOこのため、将来的には、これらのデータを、医療機関だけで無く国民に
対しても適切なインターフェイスで提供する、AMR対策データのダッシュボード
(
"
Co
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kt
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)に発展させることを計画している。
RI
CSSの開発経緯
RI
CSSは平成 29年度 AMEDの単年度のプロジェクトとして開発を行っている.平成 29
年 2月現在、研究協力施設による試行とその結果にもとづいた改良、改修を行っている。
RI
CSSは平成 2
5年度より、厚生労働省科学研究費補助金 (
八木班)において、診療報酬
加算 にもとづく感染対策の地域連携を支援するシステムとして基本設計を行ったO当初 、
2連携だけを対象とするシステムを考えていたが、加算 1
感染対策防止加算 (
以下加算)11連携、県レベルでの連携を考慮すると、さらに全国レベルまでをカバーする仕組みを同
様に構築可能であることが分かった。全国レベルのシステムは、1)国としての政策決定に
役立つ情報の収集 、2)地域間差の縮小に寄与 、3)システム開発、維持責を節約 、4)棉
属する施設数が限られる属性別グループの成立 (
例:
重症心身障害児施設間の連携)
杏
可能にするメリットがあるため全国レベルのシステムとし、4)を実現するためのグループ作
成管理法を考えた。
RI
CSSの収集するデータの種類、収集方法、体制
RI
CSSは、「
感染対策関連データ」として、1)
I
CTミーティングなどの I
CT活動の状況、2)
抗菌薬適正使用に対する取 り組みの状況 、3)耐性菌の検出状況 、4)血液培養の実施状
況と汚染検体の発生状況 、5)手指衛生の監視および実施状況 、6)院内感染症の発生状
抗菌薬使用状況などの情報を収集する。1)
2)
況(
ウイルス感染症、医療関連感染症)、7)
4)5)7)は主に感染対策の実施状況を、3)6)はそのアウトカムを主に反映するデータとし
bブラウザーを用いて行うが 、3)4)に
ている。データの収集はインターネットを介して、W e
ついては、J
ANI
S検査部門のデータを、7)については、J
ACS(
抗菌薬使用動 向調査シス
テム)のデータを利用して入力を省力化出来る。RI
CSSは、1台のサーバーで全国の医療
機関をカバーする。現在は、研究開発用のサーバーとしての運用であるが、平成 29年度
より、J
ACSのデータベースを統合して厚生労働省の委託事業として国立国際医療研究セ
ンターで運用される予定である0
7
RI
CSSの参加施設とグループ
参加施設 は最初に基本グル-プの構成員として登録を行うO基本グループは加算 1の
施設を責任者として、責任者が加算 1、あるいは加算 1、加算 2の施設を構成員として登録
を行う。登録は施設の 自発的意志によって行う。基本グループの登録承認は、システム管
理者が行う。登録が承認されると自動的に基本グループの責任者にメールによる連絡が
行われる。責任者が他の構成員に登録を連絡し、登録時の仮ログイン情報に基づいて構
CSSにログインを行うと、参加の意思が問われる.このとき、データが統計情報
成員が RI
として利用されること、基本グループの責任者にデータ閲覧を許可することが参加の条件
CSS に登録された施設は、自由に、
となる。一旦、基本グル-プの責任者、構成員として RI
任意グループを形成することが出来る。任意クループの構成員は、すでに基本グループの
責任者あるいは構成員として登録された施設である。任意グループを作る場合は、責任者
となる施設が、グループを作る日的、構成員等をシステム上で申し出る。この際、グループ
の責任者が構成員のデータを閲覧出来るようにするか否かについても申し出る。システム
管理者がグループの作成を承認すると、基本グループの時と同様に責任者にメールによ
る連絡が行われる。任意グループの構成員として登録されると、ログイン後のホームペー
ジに新規のグループが表示されるようになり、責任者がデータを閲覧できるかどうかも明
示される。参加する場合、その画面で参加の承認を行う。
RI
CSSの還元 (
集計)
データ
それぞれの施設に対して、自施設データ、基本または所属する任意グループの 1つの
全
全体平均値、当該グループの加算 1施設の平均値、同加算 2の平均値、全国平均値 (
を月次集計 したもの計 7系列を、時間を横軸にとって 1枚のグラフに
体、加算 1、加算 2)
表示する。1画面に 4つのグラフを表示できるが、それらは異なったグループに関するもの
であっても良く、また、異なった集計項 目であっても良い。1画面に表示するグラフの組み
合わせを保存することが出来る。画面表示の他に、CSV、PDFによるデータ還元も行う。
Rl
CSSの将来
RI
CSSは、1)これまで、医療機関内あるいは地域での連携の中に埋もれていた感染対
策の実施状況の動向を全国レベルで経時的に収集する、2)自発的な任意グループの形
成による類似特性の医療施設間でのデータ比較が可能 、3)リアルタイムでデータを選択し
て表示できる We
bシステムである特長を持つ。1
)
は、国内外に例を見ない機能であり、こ
こから得られるデータの動向は、感染対策の貴重なエビデンスとなるであろう。一方 、2)の
仕組みを利用して代表性のあるグループを形成することによって、即時性のある標準化さ
を利用して、J
ANI
Sな
れたデータを提供するツールとしての機能が期待できる。さらに、3)
ど大規模データをさらに高精度集計 したものを還元するツールとしての役割を担うことが可
能である。これらによって、感染対策、抗菌薬の適正使用、耐性菌の分離状況について、
一定の精度を持った即時データ、および、大規模データを高精度集計した結果を統合的に
『
AMR対策データ還元ダッシュボード
還元する AMR対策データ総合還元システム 、
(
"
comma
ndCe
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s
kt
op")
』としての将来を考えている。
4
.
抗菌薬使用動向調査システム (
J
AGS)
JACSとは
抗微生物薬耐性菌の増加は、公衆衛生上の世界的な問題となっている。なかでも多剤
耐性菌による感染症 は、入院期間を延長させるだけでなく、死亡率も上昇させる。そのた
め、耐性菌の発生動向や耐牲率の変化ならびに抗微生物薬耐性へ影響を及ぼす抗微生
物薬の使用状況に対する継続 したサーベイランスの重要性が認識され、諸外国では国家
レベルで実施されている。我が国においても、厚生労働省院内感染対策サーベイランス事
業として耐性菌の感染発生動 向調査システムが構築され、経年的に実施されている。その
一方で、我が国には抗菌薬使用量の大規模なサーベイランスの仕組みが存在しなかった 。
そこで、我々は新興 ・
再興感染症に対する革新 的医薬品等開発推進研究事業において我
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が国における抗微生物薬の抗菌薬使用状況を把握する仕組み 、J
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ACS:叫p:
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a)を構築した.
JACSの体制
J
ACSの体制は、2つの要素 (
①耐性菌の分離頻度が増えない-感染対策、診療が適切
に行われている、②耐性化が進まない-選択圧がうまく制御されている)
を評価するため、
①各医療機関における耐性菌患者に対する実際の投与状況を把握することを目的とした
感染対策に関わる薬剤師によるオンラインデータ収集、②卸業者からの販売データ等に基
づくクリニックや外来診療を含めたデータ収集のアプローチから成 り立っている。
b上における統一フォーマ
即ち、①については各医療機関における注射用抗菌薬を we
ットにて力価あるいは使用 日数を入力し、WHOや CDCで推奨されている指標の AUD
(
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y)や DOT(
Da
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py)として自動計算 し、収集およびフィ
ードバックする。また、② については販売量データを I
MSジャパン株式会社より購入し、経
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e)と日本の人
年的な抗菌薬使用量を集計後 、wHOが定義する DDD(
D(
DDD/
1
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000i
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y)で算出するといった体制とした。
口で補正した DI
方法
① 各医療境関における注射用抗菌薬使用状況と施設背景の把握
bシステムを構築し(
役務先 :
株式会社 ドーモ)、201
5年 4月に公開した。
これまでに、We
201
5年 11月に 201
4年の使用量に対してパイロット的に調査依頬を行った。現在 、201
6
年度未に 201
0年から201
5年までの使用量について調査依頼を行っており、201
7年度に
集計結果をフィードバックする予定となっている。
② 販売データ等に基づく経 口薬 ・
注射薬の抗菌薬使用状況の把握
I
MSジャパン株式会社より2009、2011、201
3年の抗菌薬使用量を入手し、WHOが推
Dを算出した。各抗菌薬は ATC分類によりレベル 3、レベル 4で集計し、他国デ
奨する DI
3年のデータは、動物用医薬品、医薬部外品および医療機器製
ータと比較した。また、201
造販売高年報と合算 し、我が国における抗菌薬使用量を調査 した。
抗菌薬使用量
① 各医療機関における注射用抗菌薬使用状況と施設背景の把握
201
4年における 221施設の注射用抗菌薬の使用量の中央値は 1
7.
2DDDs
/
1
00bedda
ysであり、先の我々の研究2における 201
0年の 1
5.
5DDDs
/
1
00もedda
yよりもやや上
昇を認め、主に 1日量の適正化が推察された。また、2014年における施設背景を加算別
に比較したところ、加算 1よりは加算 2算定施設が、加算算定施設よりは未算定施設の方
が、感染対策や抗菌薬適正使用に関わる人的資源が不足していた。さらに、AUDおよび
DOTの入力があった 68施設を対象として AUD とDOTの比を比較したところ、未算定施
設では低値であり、1日使用量が少ない、あるいは長期間使用されている可能性が推察さ
れた。
② 販売データ等に基づく経 口薬 ・
注射薬の抗菌薬使用状況の把握
2009、201
1、201
3年の注射薬 .
内服薬を含めた使用量を集計 したところ、経年的に使用
量は増加し、抗菌薬の使用は内服薬が 90%以上 占めていることが明らかとなった3。2013
年の使用量データを EU諸国から報告されているデータ4
と比較 したところ、我が国ではマ
クロライド系薬、第三世代セファロスポリン系薬、キノロン系薬など広域な経 口抗菌薬の使
1年の動物用医薬品、医薬部外品及び医療機
用が多いことが明らかとなった。また、201
426.
7 トンであった。
器製造販売高年報と合算 したところ、日本における抗菌薬使用量は 、1,
2
l
5.動物 由来薬剤耐性菌モニタリング (
JVARM)
農林水産省動物 医薬 品検査所 遠藤裕子
JVARM)の概要 (
図 l)
動物 由来薬剤耐性菌モニタ)ング (
J
VARM (
J
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m)、は 、1
99
9年
より農林水産省が行っている動物分野での薬剤耐性菌の全国的なモニタリングであり、
WHOの薬剤耐性菌の報告書 (
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201
4)においてモ二9リング事例 の-つとして例示されており、世界 的にも重要な情報を
提供 している。
旦」
動 物 由来
薬剤
耐
性菌モニタリ
ング
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三 ・:
響
食用軌物における抗菌剤声
虎完全、指標面、食品媒介憶病原細菌及び軌物病原細菌
の重刑耐性派歪を い、鈍物用抗菌剤の有効性を確喜
召するとともに、人医療への影
行
を考慮した薬剤耐性に関するリスク評価・
リスク管理の基礎資料を提供する。
・
傑康零苗及び病苗由克細菌の各種薬馴 こ
対する耐性の程度と割合。
・
鈍物用抗箇剤の使用量(
室
反亮量から相計)
。
・
寄高地喜
畏
1
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S
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慮烹苗 のサンプリンクはと苗場等
に滞 苗のサンプリンクは農場(
真言保健寄生所)
・
鈍物用医薬品梨道具
辰売業者
都道府県の寄盲信儲衛生所・
と苗場
Ⅹ水産軌1
勿および伴侶助物の三
間盃を追加予定
け
の薬剤
J
VAR
耐性調査
M は 、(
1
、)
及び
抗菌剤販売量
(
3)病害にお
、(
2)
健康家畜 における指標 菌と食品媒介性病原細 菌
(
2)
健康家畜における指標菌と食品媒介性病原細菌の薬剤耐性調査 (
図2)
この調査では、農林水産省の事業を受託した検査機関が、と畜場と食鳥処理場におい
て収集したサンプル (
糞便等)
から、大腸菌、カンピロバクタ一、腸球菌、鶏 由来サルモネラ
菌を分離 ・
同定し、薬剤感受性試験 (
微量液体希釈法)
を行っている。分離した菌株とデー
タは動物医薬品検査所に送付される。動物医薬品検査所は、薬剤感受性試験の精度管
理、菌株の保存、分子疫学調査等を行い、結果を公表している。
匡]
J
VARMの健康家畜の薬剤耐性菌のモニタリング体制 (1
)
(
H28;
と畜 場 (
コ封ナるt=タリンク)
報 告禽
必劃 講 じ徹
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漉由来サルモネラ)
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強 く
故重液鵜 殿 )
(
3この調査では、
)病畜における動物病原細菌の薬剤耐性調査
都道府県
(
図3)
ル(
病変部位等)から、病原性大
の家畜保健衛生所の職員が、農場の病書から収集したサンプ
アクチノバシラス・
プルロニューモ腸菌 、黄色ブドウ球菌、牛 ・
豚 由来サルモネラ、豚丹毒菌、
っています0分離した菌株と
二工等を分離 .
同定し、薬剤感受性試験 (
ディスク法)
を行
は、毎年都道府県職員に対し
データは動物医薬品検査所に送付される。動物医薬品検査所
精度管理を行うとともに、自らも薬剤感受性試験
て研修会を実施することにより
薬剤耐性に関する情報共有と
(
微量液体希釈法)
を実施し、菌株の保存
J
VARMの病畜の薬剤耐性菌のモニタリング体制 2)
(H28
;
農 場 におけるモニタリング)
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声援:.発色フ下り親
肝丹車乱 アクチノバう
(1)∼ (
3)の調査結
収
牛・
酵
由来 サルモ菰
沃
・基剤藍支追試訣(
5Lr
ス 去
) ニューモ=工飽)
う才
フルロ
農林水産省における果は、動物医薬品検査所から農林水産省消費 ・
安全局に報告され、
スク評
リスク管理及び内閣府食品安全委員会における薬剤耐性菌に係るリ
さらに
価
(
食品健康影響評価)
のための基礎資料として用いられている。
、2
01
2年度よ
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人医療現場での薬剤耐性菌のモニタリ
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を進めており、ヒトと動物の薬剤耐性菌の動向を比較すること
e、院内感染対策サーベイランス)
が可能となっているとの連携
(
4)
図
我が国の家畜由来大腸菌の薬剤耐性菌の推移
4に示すように、我が国
(
図4)
。
の家畜 (
牛、豚、鶏)由来大腸菌の 2001年から201
けての推移をみると、家
4年にか
減少している。また、人 畜に多く使用されているテトラサイクリンの薬剤耐性率は緩やかに
の医療上極めて重要と
されている第 3世代セファロスポリン及びフ
ルオロキノロンの薬剤耐性率は、
低いまま維持さ
国とほぼ同水準である。
これらについては、我が国の薬剤耐性 (
AMR れており、これらの薬剤耐性率は欧米諸
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如 咽の潔露か短大亀
男狩の薬剤転
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図5に示すように、20
01年から
201
4年
菌性物質の販売量
(
純末換算)の推移 (
図5)
に減少している。飼料添加物はほぼ同じ数にかけて、純未換算で動物用医薬品は約 70
%
質の割合が増加している。これまで内閣 量だが、抗原虫薬であるポリエーテル系抗生物
なされたポリエーテル系抗生物質は、全て
府食品安全委員会において食品健康影響評価が
によって選択された薬剤耐性菌が、食品を介し
人の健康に影響
てヒトの健康に影響を与える可能性は無視
しない(
家畜等に使用すること
できる程度と考えられる)と評価されてい
6
.
薬剤耐性ゲノムデータベース (GenEpi
d∫,Genom
i cs+Epi
demi
ol
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n
Japan)の概要
薬剤耐性菌の蔓延 は世界 的に重要な問題となっており、耐性菌が分布する地域から人、
家畜 、食糧等の移動に伴い世界 中へ拡散 していることが懸念され 、ワンヘルス (
ヒト 動物 ・
環境 )対応による薬剤耐性菌制圧が至上命題になっている(
WHOGl
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照 )。ゲノム情報 は傭轍的かつ高精度な遺伝情報であり、米 国 FDAでは 7万株 以上の食
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中毒 菌 (
サルモネラ等)のゲノムデータベース (
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50.
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を構築し、世界 はゲノム情報の高度な"
配列指紋 "
を利用して有効な感染症
対策 の立案へ歩み始めている。細菌ゲノムは所謂 "
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ゲノム可塑性)
"
が
あり、プラスチックのように多彩な流動性 (
形質転換 、形質導入、相 同組換え、水平伝達 、
相変異 、縮退 )
をもって環境 に適応している。特 にプラスミド水平伝達 による薬剤耐性菌の
世界 的拡散が懸念され 、菌種を超えた薬剤耐性の水平伝達が頻繁 に生 じている事実が
様 々な実態疫学 ・
分子疫学による解析を難解 にしている。実際 、2011年 に我 々が本邦初
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eNDM1産生大腸菌株のゲノム解読を実施 した結果、その
保有プラスミド情報からNDM1は既 に多様なプラスミド骨格へ"カセット沖として獲得 してい
る事実を知った6。さらに悪い事 に、プラスミド水平伝達により大腸菌のみならず病原性細
菌種 (
sal
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o属等)
へ広範囲の耐性伝播が明らかとなった7
.201
2年 、
国内の 1病院 内においても I
MP1保有プラスミドが 1-2年の短期 間で多様な菌種 に水平
伝達 している事象を検査経験から、プラスミド配列を軸 にしたデータベース構築の重要性を
認識 し始めていた。
輸 入症例を専 らとした薬剤耐性菌汚染のモニタ)ングを実施するにあたり、NDM1を含
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CPE)の包括 的な感染制御 にはゲノム情
報 のみならず 、伝達プラスミドを個別 に丁寧 に配列決定することが菌種間のプラスミド水平
H26
28代
伝達 の追跡 に最適であると判断し、厚労 ・
農水関係各位が参集 した AMED班 (
表・
黒 田誠)として支援を受けながら薬剤耐性菌ゲノム情報 (
特 に薬剤耐性プラスミド)の収
n
Epi
dJの構築を急いでいる。現在 、20
00棟 以上の薬剤
集と統合ゲノムデータベース Ge
00
0プラスミドの ドラフト配列を取得 ・
格納済み (
未公
耐性菌株 から染色 休 DNA配列と>7
開)であり、国内全域 の外観を見渡す基盤を構築できたと考えている。この網羅 的なデータ
ベースが有効 に機能 した実例を挙 げると、多剤耐性緑膿 菌およびアシネトバクターの治療
薬コリスチンの耐性 因子 MCR1を有す薬剤耐性プラスミドが 201
5年 11月に中国発とし
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て報告され、即座に我 々の Ge
nEpi
dJデータベースで配列検索して家畜 由来の MCR1
陽性大腸菌 サ ルモネラを検出し迅速に農水 ・
厚労関係各位へ情報伝達できた8.
分離菌株のゲノム情報を基盤にしたトレースが比較的容易になりつつあるが、頻繁に相
同組換えで遺伝子単位をカセットのように入れ替え類縁菌に水平伝達するプラスミドは単
純な垂直伝播ではないため、実態に合わせた情報解析法を必要としている。我々は、
Ge
nEpi
dJシステム上で自由に解析を可能にしたプラスミド情報解析ツール GPAT(
未公
開)と相互ネットワーク解析ツール i
PAT(
未公開)
を開発した。GPAT はプラスミド配列の特
徴(
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等)のアノテーションツールであり、得られたプラスミド遺伝子情報を元に公開データベース
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)
との共有度合いを数値化してネットワ-ク化する情報解析ツールである。"
世界 中
の人間は誰でも 6人の人を隔てれば繋がってしまう"というエール大学心理学者 ・ミルグラ
ム教授の提唱通り、薬剤耐性因子も意外と思わぬソースから少数回の経路を介して病原
細菌へと辿り着いている可能性があり、僻轍的な図示化とともにプラスミド保有菌種の疫
草情報 (
菌種、分離年 ・
国・
地域 ・
宿主、各種タイピング結果等)
を網羅 したデータベース構
築でより具体的な伝播過程が見えてくるものと期待している9
4
。
世界 中で問題となっている薬剤耐性菌の分布は一様でないこともあり、ホットスポットが
存在することが示唆されている。これらの地域から人、家畜、食糧等の移動に伴い、耐性
菌が世界中に拡散している可能性に留意すべきだろう.Ge
nEpi
dJは"
NGS解読リードか
らシームレスにゲノム (
プラスミド)
解析"
まで提供する情報解析パイプラインとして今後も改
良とデータベース拡大を実施する予定である。
Ge
nEpi
dJには我々が独 自開発したメタゲノム病原体検索 (
Me
PI
C2)、ウイルスゲノム解
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TAP)
、結核菌ゲノム解析 (
TGSTB)、細菌ゲノム解析 (
AMi
GA)のツールも搭載
析c
し、感染症全般をゲノミクスで解決するための基盤構築を遂行中である。
Ge
nEpi
dJの情報公開サイト(
解読件数のみ、配列情報は未公開)
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薬剤耐性ワン-ルス動 向調査検討会
開催要綱
9年 1月 1
6日
平成 2
1.日的
近年の薬剤 耐性 (
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AMR)
対策を進める機運の高まりのなか
で、ヒト、動物、食 品、環境 といった垣根を超 えた「
ワン-ルス」としての薬剤耐性 に係
る統合的な動 向調査の重要性 が指摘されている。
平成 2
8
年4
月 5日に策定された「
薬剤耐性 (
AMR)
対策アクションプラン」においてもこ
のような「
薬剤 耐性ワン-ルス動 向調査」に係 る体制を確立することが求められてい
るD
こうした状況を踏まえ、「
薬剤耐性ワン-ルス動 向調査」に係る技術 的事項 について
検討することを目的として、厚生労働省健康局長の下、有識者の参集 を求め、薬剤耐
低ワン-ルス動 向調査検討会 (
以下 「
検討会」という。)を開催 し、所要の検討を行 う。
2.検討会構成
(
1)検討会の構成員 は、学識経験者及 びその他の関係者 とする。
(
2)座長 は、構成員 の互選 により選 出する。
(
3)検討会 は、座長 が統括する。
(
4)
健康局長 は、必要に応じ、構成員以外の有識者等 に出席を求めることができる。
3.構成員の任期等
(
1)
構成員 の任期 は概ね 2年とする。ただし、補欠の構成委員の任期 は、前任者 の残
任期 間とする。
(
2)構成員 は、再任 されることができる。
4.その他
(
1)
検討会は厚生 労働省健康局長が開催する。
(
2)
検討会 の庶務 は、農林水産省 消費安全局畜水産安全管理課 、環境省水 ・
大気環
境局総務課 の協力 を得て、厚生労働省健康局結核感染症課 において処理する。
(
3)検討会 は、原則 として公 開とする。
(
4)この要綱 に定めるもののほか、検討会の運営に関し必要な事項 は、検討会 におい
て定める。