審査講評について ◆全体 今回のコンクールでは、応募作品数は若干減少したが、充実した内容の作品が多かった。 作品にはオリジナリティがあり、またモデルとしても面白い取り組みが多く、今後、グロ ーバル教育の可能性が広がっていく作品が数多く見られた。 本コンクールの意義は、 「今後の日本を背負っていく若者の育成にどれだけ寄与するか」 であり、今後の教育には今までの時代の「知る」だけではなく、「深い思考力」につながる ものが必要となってきている。その意味でも今回は、多様な視点から地球的課題を探求し、 また、IT を活用して、世界と繋がったり、子供達の学びを深めていく取り組みがいくつか あり、未来志向型の教育が増えてきていると感じた。 ◆写真部門 受賞作品の中には、観光で訪れただけではなかなか捉えることができない途上国を写し た写真の作品も多く、そういった写真は深みを感じることができる。途上国の課題を見て、 単純にかわいそう、と感じるのではなく、そこから生きる力や希望につながる内容となっ ている。途上国の子供たちの眼差しなど、ぜひ日本の若い世代に見てもらいたい。また、 今回は国内で実施した国際協力活動の様子を写した作品などもあり、日本と海外のつなが りにおいて、新しい視点のものもあった。 今回、理事長賞に輝いた川戸太陽さんの作品は、開発が進む部分と昔と変わることのな い地域での人々の生活を一枚で表現しており、途上国や開発の在り方を考えさせられる内 容として、教材としても使えるようなものであった。 また、地球ひろば所長賞の山岡智亙さんの作品は、現場に入り込んで、現地の生活者の 視点から写真を撮っている。写真の出来はもちろん、メッセージやストーリー性が伝わる 作品であった。 ◆取り組み部門 新しい取り組みが増え、応募作品にも新たな内容が取り上げられてきている。授業展開 や校内活動での実践など、内容がしっかりしているものが多く、子供たちの自発的な活動 に繋がっていることが興味深い。外国との交流においても、集団だけではなく、それが個 人と個人のつながりになっている事例もあった。また、しっかりと構造的な理論を踏まえ ながら、それを実践にて学びながら具現化することが行われている取り組みも多くみられ た。 今回、理事長賞に選ばれた堀尾美央さんの作品では、都市圏の学校でなくても、IT を活 用して世界と繋がれることを示しており、子供たちの可能性の広がりを実現した取り組み である。生徒同士が顔を見て交流ができることにより学習効果も高まり、今後のモデルと なり得るものである。 地球ひろば所長賞に選ばれた大阪府立岸和田支援学校・バリアフリー教育ネットワーク の作品は、子供たちが前向きに物事に取り組むことにより、それがとても大きな活動の広 がりを見せており、先駆的な取り組みであることが評価された。
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