市本会議代表質問、市長の答弁から

2017年3月6日
大阪市将来ビジョン
市本会議代表質問、市長の答弁から
3月1・2日は市会代表質問があった。市長答弁から大阪市政の将来ビジョンが伺え
るので紹介したい。
まず、吉村市長は就任後の所信表明でも語ったように、子供の教育に力を入れたいと、
教育の無償化や子育て支援、貧困対策そして待機児童対策等に重点的に投資するとした。
その理由として、こどもへの投資は社会の成長に繋がると信じている、社会全体で取組む
ことが行政の責務、子供の貧困の実態調査をして、教育委員会とこども青少年局と連携し
て取組む、とこの市会でも語った。
今、統合型リゾートは国会で承認され、大阪は府市共同で成長戦略の要になると、万国
博覧会と共に夢洲地区を拠点として、誘致に名乗りを上げている。IR統合型リゾートは
カジノがあり、ギャンブル依存症が増加することの懸念からも市民には反対も多い。
市長は、IR誘致は雇用を生み出す、経済が活性化すると税収が増え、市民サービスに
繋がることからも経済の活性化は重要と考える、産業振興は経済界の支援を求めて取組ん
で行く。市民の理解を深める為にも、ギャンブル依存症対策は国に法制化を働き掛け、充
分に留意して事業を進めていく。シンガポールはカジノ誘致した時に国を上げて依存症対
策を進め、依存症率は 2.9%から 0.7%に減少した。又夢洲地区への地下鉄延伸事業はオリ
ンピック誘致の時にトンネルの整備をしており、今後の鉄道建設はIR事業者に負担を求
めるなどを述べた。
また阿倍野再開発事業の検証の必要性や、大規模事業の開発をして失敗を繰返すのか、
との質疑には、阿倍野再開発事業の検証で事業の目的は達成したと評価するが、約 2,000
億円の収支不足は問題として残ることから今後を考えて検証した。事業の失敗は意思形成
過程の明確化が出来ていないことや、行政職員にとって事業運営が難しいことから生じた。
今後は失敗をしないよう行政運営に生かしていく、と答弁した。
都市制度変更となる都構想の「特別区」と「総合区」についての質疑には、大阪市長の
権限は幅広いので、総合区制度 8 区の区割り案を出し法定協議会で議論してもらう、と答
弁。
自民党は都構想について、住民投票ですでに否決されている。独自に説明会を開催した
が、合区より、これまで通り 24 区制度を支持する声が多く、「特別区」より道州制を目指
すべき、と主張し、都構想「特別区」制度は府に権限を移譲することになり、財政状況が
非常に悪い府へ、市の資産が移されることになると反対した。
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市長は、維新の会支持者には圧倒的に「特別区」に賛成者が多い、これからの行政運営
には区長(公選にして:「特別区」)のマネジメント能力が最大限発揮できなければいけな
い。又道州制は国の自民党が考えていない、と指摘した。
地下鉄民営化の質疑には、民間事業者が参入困難な事業は行政が取組む都市インフラだ
が、地下鉄事業は今後経営の自由度を考えると民営化が良い。
所属長の公募制度についての質疑には、内外から広く人材を入れる事で役所内の活性化
を図る、(外部登用人材には)厳正な審査をし、内部職員の意識を変えていく。
等々を答弁した。
2 日間、市長が 5 人の代表者の質問に答えた内容は多岐に渡る。この他、ICТ戦略、訪
阪外国人対策、市中小企業支援、障害者施策、認知症対策、防災対策、住吉病院問題、港
湾の一元管理、淀川左岸線等々について、質疑応答があった。
ここでも、都構想案で自民党の反対意見を紹介したが、なんでも反対する、と見える点
では共産党と同類だ。自民党は大概が現状維持で変えることに反対する。又共産党に関し
ては、「今、大阪市の何が問題で、どう改善すべきか?」という、行政財運営についての肝
心かなめの問題に、市の将来像をまで含めて考察することなく、市長提案の目先の問題点
のみを指摘・拘泥して反対を繰返すように見える。
橋下前市長提案から吉村現市長に継承され、提起された施策運営上の要となる「将来世
代に渡って持続可能な行財政運営を目指す」の視点がどちらにも欠落している。
自民党・共産党は都構想について、支持者の支持を理由に歩み寄りを見せず、今公明党
提案の「総合区・8 区」と「特別区」が法定協議会で議論されようとしている。
人口 260 万人の大大阪市では地域によっては市民の必要な施策に違いが出る事が考えら
れる。高齢化社会を迎えて、災害の発生時のサポートや増え続ける認知症高齢者の見守り
など、市民生活に寄り添う行政運営が求められる時代に、限られた財源で地域の実情を捉
えた施策運営を実現するための都構想提案だ。
「特別区」は区長を公選にして地域の実情に
応じた対応が速やかにできる体制を整え、正に市民ファーストとして市民に身近な行政財
運営を行うことを最優先にしようとするものだ。
この「特別区」に反対であれば、政令指定市として、市民の要望に応える持続可能社会
がどう構築されるのかを説明するべきだ。何度も述べるが、都市形態の変更という市民生
活に係わる重要な問題に議論を尽くすことは議員としての責務である。其々に考えの違い
があっても、歩み寄ることで市民にとってより良い施策となるよう努力をするべきだ。
誰の為の何の為の施策か?市会議員は初心に帰って市民の為に充分な議論を尽くすこと
を望みたい。
以上
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