KTビル - 日本建設業連合会

No.05-041-2016作成
KTビル
KT Building
発注者
鹿島建設株式会社
設計・監理
KAJIMA DESIGN
施工
ワーカーの快適性を最大限向上させるワークプレイスの構築
新築
事務所
鹿島建設
ファシリティプログラミングにおける最適なスッキングによるフ
ロアの最適配置と、綿密な現状調査から共用スペースを算出して
カテゴリー
設計条件を導いた結果、基準階は1フロア100席のフレキシブルな
A. 環境配慮デザイン
B. 省エネ・省CO2技術
C. 各種制度活用
D. 評価技術/FB
E. リニューアル
F. 長寿命化
G. 建物基本性能確保
H. 生産・施工との連携
I. 周辺・地域への配慮
J. 生物多様性
K. その他
大部屋空間とした。アウトフレーム工法の採用により、外周の柱
型が内部に現れず窓際までスペースを無駄なく活用ができ、将来
の間仕切り対応にも対応可能な計画とした。コピーコ-ナーや収
納、打合せといったオフィスサポートゾーンをワーカーの動線に
都市型中規模オフィスのモデルケースの実現
集約配置することで、移動の際に生まれるコミュニケーションの
基準階オフィス
活性化を意図している。「明るさ感」を考慮したガラスブロック
支店ビルの建て替え計画である。赤坂地区の6つのビルに分散して
を使った開口部の設定や「輝度」を利用した新しい照明制御シス
いた機能を集約、青山通りに沿って赤坂Kタワー、鹿島本社ビルと
テムの開発、更にオフィスインテリアには明るい色の内装材や家
並ぶ中、自社アイデンティティの継承をめざし地域の連続性に配慮
具を選定することで「明るさ感」を補完し、視(光)環境の向上
オフィスサポートゾーン
した街区デザインを行った。都市型中規模オフィスのモデルケース
的な省エネ・ローコストとワーカーの「快適性」を両立するための
を図っている。
15.3m
の実現をめざし、施工フェーズ、運用フェーズを見据え、また徹底
ワークエリア
周辺環境へのインパクトを最小化
既存地下躯体の構造利用やユニット化による労務量削減と、廃棄物
様々な試みを行っている。
削減、日射をコントロールした外装デザインによる外皮性能の向上
ZEB Readyの実現
(BPI値 0.71) 等により、都市型ビルでは難しいとされていた
42m
ZEB実現に向け、設備や制御に頼るだけでなく、ワーカー参加型の省
基準階オフィスPLAN
エネ手法を取り込んだエコワークスタイルの実践を目指すと共に、
部署固有の働き方へのきめ細かな適応、変化に迅速に対応できるフ
レキシビリティが両立するワークプレイスを実現した。また空調や
照明を均一な環境に整えるのではなく、ワークシーンや場の機能に
ZEB Readyの実現
ガラスブロックによる明るさ感の提供
一日のオフィスシーンに合わせて最適な光環境を構築
多彩な省エネルギー技術の導入により、一般建
物と比較し計画段階のエネルギー消費量を50%
以上削減する「ZEB Ready」を達成している。
東面のガラスブロック開口は隣棟との視線制御と、間接光によ
る柔らかな光をオフィス内に導く。夜間はライトアップされ昼間と
同じ間接光の効果を執務スペースにもたらす。
輝度センサーを利用し、ペリメーター照明とインテリア照
明の最適な調光率を設定することで、明るさ感に配慮し
た照明制御を行っている。
計画段階のエネルギー消費量
応じて多様な環境を設定できるよう、ワーカーがスマート端末から
オフィス環境を操作可能とするなどの工夫をした。
CASBEEの第3者認証ではSランク(BEE=8.1)を達成。また日本では
第1号となるBELS認証の「ZEB Ready」を獲得した。
ZEB
Ready
標準ビル
明るさセンサ
(輝度センサの代用)
54%
空調
削減
換気
明るさ感制御サーバー(KTビル独自)
①input
補正値
明るさセンサ
(輝度用)
壁際の照明は高めの照度
窓面との輝度対比を緩和
CPU
②output
最適調光率
ビル標準
照明制御
システム
明るさセンサ
人感センサ 調光指令
ガラスブロック
照明器具
アンビエント照明
空調
照明
換気
照明
給湯
昇降機
給湯
昇降機
BEI
0.46
外部
ZEB Ready概念
BELS認証評価結果
昼間の自然光
による効果
内部
事務室
外部から
ガラスブロックを照射
夜間ガラスブロック
照明による効果
明るさ感に配慮したオフィス照明計画
窓周り断面図
視野
天井スリット照明による
壁面照射
明るさ感制御システム
システム天井照明の開発
新開発のビル用マルチシステムの省エネ制御
センシング情報を様々な環境制御に活用
600□グリッド天井対応の明るさ感演出型の照明
器具を開発。下方向への照度を損なうことなく、
傾斜させた天井材を照射することで天井面が明
るくなり、低照度でも空間の明るさを確保。
外気処理を優先的に運転し、負荷の少ない時は自動的に室内
機がストップする制御を組み込み、約2倍の機器効率を達成。
人感センサ、昼光利用センサ、室温センサにより、ゾーン毎にオフィス環境を形成。センサ情報
はネットワーク上で共有され、設備管理や空調、換気、照明、ブラインドの制御や操作に活用。
天井
負荷に応じて
オートストップ
Wi-Fiアンテナ
灯具
OA
照射されない
【新開発】
OFF
人感センサ
・外気冷房
・室内CO2濃度により
外気量を制御
OA
室内温度センサ
設備バルコニー
明るさ感
演出照明
昼光利用センサ
窓からの
自然光も
利用
OFF
タブレット端末による操作
不在
OA
SA
人感センサ
SA + OA
事務室
不在
外気処理を優先し
内 部負荷 処 理は
オ ート ストップ
タブレットによる操作
明るさ感指標 約1.2倍
OFF
RA
OFF
天井隠蔽型
室内機
光
エントランスアプローチ
冷媒温度(能力)
を
6∼15℃で自動に変更
直膨コイル付全熱交換器
【従来機器】
青山通りに面し、赤坂Kタワー、鹿島本社ビルと並ぶ中、3方に緑を配
し、周辺景観に配慮すると共に、本社ビルとの間には貫通通路を設け周
辺住民への利便性にも配慮している。
CASBEEの環境負荷L値を最小限に抑えることが可能となった。
ビル用マルチの省エネルギー制御
外気処理
室外機
内部負荷処理
室外機
共用部
在席
不在席
在席
人感センサ+調光制御+
スケジュール制御
初期照度補正
出力70%
人感センサ
出力0%
昼光利用
出力30%
センシング情報を活用したオフィスの空調・照明制御
スマート端末からオフィス環境を操作
既存地下躯体を構造的に再活用
建築・設備のユニット化による省力化と廃棄物削減
空調・照明・ブラインドの操作にスマート端末を利
用し、直感的な設定操作により、利便性と省エネ
意識向上に寄与している。
既存躯体活用による資源生産性の向上を図った。これにより杭
工事労務費40% 山留工事労務量を70%の削減が可能となった。
建建築外装材や設備機器を工場で組み立て、建設現場にはユニット化して搬入・施工すること
で、高所作業や専門職による作業の簡略化を進め、品質確保と省力化、廃棄物削減を図った。
貫通通路
躯体(H1700)
補強鉄筋
既存躯体
各種操作をアイコン化
エネルギーの見える化
新設杭
既存杭(鉛直力を利用)
地下部断面
ガラスブロックのユニット化
室外機ユニット
スプリンクラーユニット
設計担当者 統括:米田浩二/建築:相原幸一・松岡里衣子/ファシリティ・プログラミング:田中重良・大和田美以奈・宮本礼/構造:畠本斉・高橋聡史/設備:弘本真一・鈴木雄介・上村健・松永大輝
青山通り側のファサード 右手は鹿島本社ビル
省エネルギー性能
建物データ
所在地
竣工年
敷地面積
延床面積
構造
階数
周辺環境を取込み、緑を活かした配置計画
東京都港区
2016 年
1,666㎡
11,792㎡
S造(CFT造)一部RC造
地下1階、地下12階
BPI
BEI(BEST)
LCCO2削減
CASBEE評価
0.71
0.47
44 %
Sランク
BEE=8.1
2014年度版
第三者認証
3.0
100
S
8.1
81
1.5
A
+
BEE=1.0
B
-
B
Q 50
0.5
C
0
0
10
50
L
100
/インテリアコーディネート:イリア/外構:ランドスケ-プデザイン社
主要な採用技術(CASBEE準拠)
Q2. 3.
Q3. 2.
Q3. 3.
LR1.3.
LR1.4.
LR2.2.
対応性・更新性(建築・設備ユニット化)
まちなみ・景観への配慮(景観配慮、外観・緑地の整備)
地域性・アメニティへの配慮(貫通通路の整備、帰宅困難者の一時避難スペースの提供)
設備システムの高効率化 (BEI 0.47、照明の一作業単位での制御輝度、輝度を用いた照明制御)
効率的運用(エネルギーマネージメントの採用、事業者建物管理者を含んだ管理運用体制の構築)
非再生性資源の使用量削減(既存建築躯体等の継続使用、既存杭利用)
サステナブル建築事例集/一般社団法人日本建設業連合会
※本事例シートおよび記載内容の二次利用を禁止します