全編をダウンロードする(PDF:5332.922KB)

『自然・歴史・ひとが光り輝く
だれもが住みよい
県央の中核都市』
大田市総合計画後期計画〔改訂版〕
(案)
(平成 29 年度~平成 30 年度)
島根県大田市
目
Ⅰ
序
第1章
論
後期計画(改訂版)の策定にあたって
(1)後期計画(改訂 版)の策定の趣旨
(2)後期計画(改訂 版)の性格と構成
第2章
次
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
3
3
大田市の概況
(1)自然・地理的概況
・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ 4
(2)歴史的概況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・ 4
(3)社会的概況
・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ 4
(4)人口の推移と動向
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(5)産業の推移と動向
・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・ 7
(6)行財政の状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
Ⅱ
まちづくりの方向性
第1章
まちづくりの方向性
(1)まちづくりの方向性
・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 15
(2)後期計画(改訂版)における重点施策
・・・・・・・・ ・・・・・・ 16
(3)施策の体系
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 19
Ⅲ
後期基本計画
第1章
1-1
1-2
1-3
1-4
1-5
1-6
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり
「誇れる」大田ブランドづくりの推進 ・・・・・ ・・・・・・・・・・
地域一体での「もてなし」の充実による産業の振興 ・・・・・・・・・
核となる技術や資源を「活かした」新産業創出と産業集積 ・・・・・・
地域や環境にやさしく未来へ「つなげる」産業の推進 ・・・・・・・・
戦略的な企業誘致活動の推進と「攻める」体制の強化 ・・・・・・・・
次世代を「担う」人材育成の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
31
36
39
48
51
第2章
2-1
2-2
2-3
2-4
第3章
だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり
子どもを健やかに産み育てることができる環境づくり ・・・・・ ・・
生涯を通じた健康づくりの推進と地域医療の充実・確保 ・・・・・・
だれもが支え合い安心して暮らせる社会の実現 ・・・・・・・・ ・・
人権を尊重するまちづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり
3-1
3-2
3-3
3-4
3-5
3-6
総合的な土地利用の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
快適な都市環境の形成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
人・物の交流を支える道路ネットワークの形成 ・・・・・・・・ ・・
暮らしを支える生活交通の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・・ ・
生活の質を高める情報通信網の整備・活用 ・・・・・・・・・・・・
安全な生活の確保 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・
第4章
石見銀山をはじめとする歴史文化を 生かした創造的な人づくり
4-1
4-2
4-3
4-4
4-5
世界に誇る石見銀山遺跡の保全と貴重な歴史・地域文化の振興 ・・・
豊かな心を育む学校教育の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・ ・・
いつでも学べる生涯学習社会の実現 ・・・・・・ ・・・・・・・ ・・
生涯にわたるスポーツライフの実現 ・・・・・・・・・・・・・・ ・
地域特性を活かした地域間交流の推進 ・・・・・ ・・・・・・・ ・・
第5章
5-1
5-2
5-3
第6章
6-1
6-2
57
61
67
74
79
81
90
97
99
102
111
115
121
124
128
自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり
自然と共生したまちづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・
廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築 ・・・・・
飲料水の安定的な確保と供給 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
133
136
140
参画と協働によるまちづくり
協働によるまちづくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・
効率的な行財政運営と改革の推進 ・・・・・・・・・・・・・・ ・・
145
148
Ⅰ
序
論
第1章
後期計画(改訂版)の策定にあたって
(1)後期計画(改訂版)の策定の 趣旨
平成 17 年 10 月に、旧 1 市 2 町が合併し誕生した新生「大田市」は、合併協議にお
いて定められた、新市建設計画に基づき、平成 19 年度から平成 28 年度を計画期間と
する「大田市総合計画」を策定し、
「自然・歴史・ひとが光り輝く
だれもが住みよい
県央の中核都市」の実現に向けてまちづくりを進めてきた。
また、平成 23 年度には、
「大田市総合計画後期計画(平成 24~28 年度)」を策定し、
人口定住に結びつく産業振興や、安全・安心なまちづくりを、後期計画の重点施策と
して取り組んできた。
このような中、少子高齢化等を背景とした、人口減少の急速な進展、市民の価値観
やニーズの多様化、地方分権の推進等 、当市を取り巻く社会構造の 変化を踏まえ、今
後の進むべき方向 とその実現に向けた行政施策を明らかにするため、現行の「後期計
画」を 2 カ年延長して、新たな政策課題や 施策事業などを追加し、「大田市総合計画
後期計画」の改訂版として策定するものである。
(2)後期計画(改訂 版)の性格と構成
「 総合 計 画 」に お い て は 、大 田 市 の目 指 す べ き 将来 像 を
『自然・歴史・ひとが光り
輝く だれもが住みよい 県央の中核都市』 として掲げ、これを実現していくための基
本的な施策を定めており、新しい時代にふさわしいまちづくりを、総合的かつ計画的
に推進するための指針として明らかにし、「基本構想」、「基本計画 」及び「実施計画」
により構成している。
①基本構想
当市の将来像とその実現を図るために必要な基本方策 等を示し、これを実現する
た めの 主 要 施 策の 大 綱 を 掲げ 、 市 勢 振興 の 基 本 的方 向 を 明 らか に し た もの で あ り、
後期計画改訂版においても同様としている。
②基本計画(後期計画 改訂版)
「 基 本構 想 」 を 具 現化 す る ため に 必 要 な 各施 策 の 考え 方 を 体 系 的に 示 す もの で、
後期計画改訂版 (H29~H30)」2 カ年間の 各分野における現状と 課題、施策の展
開方法について定めており、後期「実施計画 」の基本方針となるものである。
③実施計画(後期計画 改訂版)
基本計画で示された施策を、現在の社会情勢 などを踏まえた上で、行財政の変化
に即応しながら、当市が実施する具体的な事業計画を定めたもので、事務事業につ
-3-
いて毎 年ロー リン グ 方 式によ り見直 しを 行い 、予算 編成 の 指 針 と す る も の で あ る 。
第2章
大田市の概況
(1) 自然・地理的概況
当市は、島根県のほぼ中央部に位置し、東は出雲市、西は江津市、南は飯南町・美
郷町・川本町に接し、北部は日本海に面している。
総面積は 435.71k㎡(県内 6 番目)で、北東から南西に伸びる海岸線は 46kmに
および、平坦部から山間部へと奥深い行政区域を有している。市の南東部には標高
1,126m の 大 山 隠岐 国 立 公園 に 属 す る 国 立 公 園 三瓶 山 ( 以 下「 三 瓶 山 」と い う 。)、南
西には標高 808mの大江高山があり、これらを主峰とする連山に囲まれた山間傾斜地
が多く複雑な地形を呈している。
河川は、三瓶川及び静間川のいずれも流路延長が長く 、山間地を縫うように流れて
おり、この流域に耕地が開け、市街地が形成されている。
気候は、日本海型気候に属し、比較的温暖ではあるが、山間地域と平坦地域で はか
なりの温度差がある。
また、地質的には白山火山帯に属することから、当市は 数多くの温泉に恵まれてい
る。
(2)歴史的概況
当市は、出 雲地域と石見地域の境界に位置しており、双方の文化の中継点として 石
見銀山を中心に発展し、戦国 時代から江戸時代はじめにかけては、日本経済のみなら
ず世界経済にも大きな影響をもたらした地域として栄えてきた。
(3)社会的概況
当市を地勢的に分類すると海岸部、市街地部、山間部に大別することができるが、
その大半は中山間地域である。市内にある大小 500 余りの集落は、市の中心市街地を
除き、大部分が中山間地域に散在しており、高齢化の進行が著しく集落機能の低下が
懸念される集落も多く見られる。
道路網については、国道 9 号が海岸沿いを東西にJR山陰本線と並進し、国道 375
号は南北に走っており、これら国道を結ぶ肋骨路線として、主要地方道・一般県道及
び広域農道が通じ、市道と結ばれている。
山陰道の整備については、平成 16 年度に事業着手 された「仁摩・ 温泉津道路」が
平成 27 年 3 月 14 日に開通したところである 。現在、未開通区間である 出雲ICから
浅利IC(仮称) まで 事業着手されており、全線開通に向け着実に事業が進められて
-4-
いる。
地域医療については、 開業医の高齢化、後継者不足により診療所数は、年々減少傾
向にある。特に中山間地域では、顕著な傾向にあり、これらの地域での医療提供体制
の確保は、喫緊の課題である。
大田市立病院は 、平成 32 年度グランドオープンに向け、新病院建設を進めている。
大田二次医療圏の中核病院として、 更に、政策医療を担う自治体病院として 、その役
割が十分に発揮できるように医師確保対策 等を進めている。
(4)人口の推移と動向
当市の人口は、昭和 35 年の国勢調査では 66,021 人であったが、その後、国の高度
経済成長に併せ、都市部への労働力供給をその原因として、若者を中心とした人口の
流出減少が続き、平成 27 年国勢調査において 35,166 人となるに至った。
特に、昭和 35 年から昭和 45 年にかけての人口減少は著しく、この 10 年間で 14,546
人(減少率 22.0%)も減少している。
しかし、昭和 50 年を境に若年層の市内定住とUターンの増加及び平均寿命の伸長
により、微減ないし横ばい傾向に転じたものの、昭和 60 年以降現在に至るまでは再
び減少となっている。
特に、ここ最近の人口の推移は、平成 17 年と平成 27 年を比較すると、この 10 年
間で 5,537 人(減少率 13.6%)の減少となっている。
また、人口全体に占める 65 歳以上の高齢者の割合は、平成 27 年国勢調査において
全国平均が 26.6%、島根県平均 32.5%であるのに対し、当市は 38.2%(年齢不詳を
除く)と高く、今後においても人口の減少・高齢化が続くものと予想される。
これまでにも、定住対策は市行政において全ての施策に反映させる最重点課題と位
置付け、総合的に取り組んできたところであるが、人口の減少は地域の自立と 活力を
阻害する最大の要因であることから、今後においても若者の働く場の確保対策や人口
減少の著しい地域の振興等、平成 27 年度策定した、「大田市まち・ひと・しごと創生
総合戦略」を着実に実施していく。
-5-
○ 人口及び世帯数の推移
昭和35年
区 分
実 数
昭和40年
実 数
昭和45年
増減率
実 数
昭和50年
増減率
実 数
昭和55年
増減率
実 数
昭和60年
増減率
実 数
増減率
総 数
66,021
人 58,564 人 △ 11.3 % 51,475 人 △ 12.1 % 49,433 人 △ 4.0 % 49,570 人
0歳~14歳
21,709
人 16,077 人 △ 25.9 % 12,077 人 △ 24.9 % 10,247 人 △ 15.2 % 9,694 人 △ 5.4 % 9,382 人 △ 3.2 %
15歳~64歳
37,898
人 35,672 人 △ 5.9 % 32,160 人 △ 9.8 % 31,177 人 △ 3.1 % 31,008 人 △ 0.5 % 30,310 人 △ 2.3 %
うち15歳~
29歳(a)
11,891
人 10,073 人 △ 15.3 % 8,259 人 △ 18.0 % 8,229 人 △ 0.4 % 7,523 人 △ 8.6 % 6,878 人 △ 8.6 %
65歳以上
(b)
6,414 人 6,815 人
年齢不詳
0 人
0 人
(a)/総数
若年者比率
18.0 % 17.2 %
(b)/総数
高齢者比率
9.7 % 11.6 %
世帯数
15,889
世帯
6.3 % 7,238 人
15,387
世帯
- %
-
総 数
実 数
47,291
増減率
人 △ 4.0 %
8,322 人 △ 11.3 %
15歳~64歳
28,120
65歳以上
(b)
年齢不詳
人 △ 7.2 %
6,101 人 △ 11.3 %
人
12.9 %
25 人
- %
10,824
(a)/総数
若年者比率
12.9 %
(b)/総数
高齢者比率
22.9 %
世帯数
15,224
世帯
世帯
-
実 数
44,953
人 △ 4.9 %
人 △ 9.0 %
5,637 人 △ 7.6 %
人
12.9 %
0 人
- %
12,220
12.5 %
-
27.2 %
△ 0.9 %
15,069
世帯
16.2 %
世帯
平成12年
7,138 人 △ 14.2 %
25,595
16.6 %
△ 3.2 % 14,923
増減率
-
実 数
42,573
増減率
人 △ 5.3 %
人 △ 8.2 %
5,413 人 △ 4.0 %
人
8.3 %
0 人
- %
13,238
-
12.7 %
-
-
31.1 %
△ 1.0 %
14,986
世帯
%
-
0 人 15.2 %
-
10.7 % 9,585 人
17.9 %
0.2 % 15,258
世帯
%
-
△ 0.6 %
実 数
40,703
増減率
人 △ 4.4 %
人 △ 4.9 %
5,058 人 △ 6.6 %
人
0.9 %
0 人
- %
13,357
-
12.4 %
14,804
世帯
- %
-
-
19.5 %
2.2 % 15,368
実 数
37,996
0.7 %
世帯
増減率
4,372 人 △ 12.7 %
20,456
人 △ 8.4 %
4,116 人 △ 18.6 %
13,162
人 △ 1.5 %
6 人
34.6 %
△ 1.2 %
平成27年
人 △ 6.7 %
10.8 %
-
32.8 %
25 人
平成22年
5,009 人 △ 14.3 %
22,337
8.1 %
14.0 %
-
平成17年
5,848 人 △ 18.1 %
23,487
10.7 % 8,868 人
0 人 -
-
14.1 %
△ 3.2 % 14,900
%
-
平成7年
0歳~14歳
うち15歳~
29歳(a)
0 人 16.0 %
-
平成2年
区 分
6.2 % 8,009 人
0.3 % 49,277 人 △ 0.6 %
14,312
世帯
- %
-
-
△ 3.3 %
実 数
35,166
増減率
人 △ 7.4 %
3,980 人 △ 9.0 %
17,653
人 △ 13.7 %
3,349 人 △ 18.6 %
人
1.4 %
188 人
- %
13,345
9.5
%
37.9 %
-
-
世帯 △ 4.9 %
資料:国勢調査
13,613
○ 人口の推移
区 分
総 数
平成17年3月31日
平成22年3月31日
平成27年3月31日
実 数 構 成 比 実 数 構 成 比 増 減 率 実 数 構 成 比 増 減 率
人
男
41,818
19,576
女
22,242
人
-
%
46.8
%
53.2
39,330
18,481
20,849
%
-
%
47.0
%
53.0
人
△ 5.95
△ 5.59
36,984
17,510
△ 6.26
19,474
%
-
%
47.3
%
52.7
△ 5.96
△ 5.25
△ 6.60
(資料:住民基本台帳)
-6-
○ 出生・死亡数の推移
区分
出生
死亡
増減
(各年12月31日現在、単位:人)
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
260
285
279
255
286
269
262
245
260
240
236
638
570
570
615
580
589
657
644
649
582
621
△ 378 △ 285 △ 291 △ 360 △ 294 △ 320 △ 395 △ 399 △ 389 △ 342 △ 385
資料:市民課
○ 人口動態の推移
区分
自然動態
社会動態
計
(各年12月31日現在、単位:人)
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
△ 378 △ 285 △ 291 △ 360 △ 294 △ 320 △ 395 △ 399 △ 389 △ 342 △ 385
△ 128 △ 197 △ 247 △ 237 △ 135 △ 194 △ 147
217 △ 249 △ 106 △ 204
△ 506 △ 482 △ 538 △ 597 △ 429 △ 514 △ 542 △ 182 △ 638 △ 448 △ 589
資料:市民課
(5)産業の推移と動向
当市の産業は、農林漁業を中心とする第 1 次産業と、製造業及び土木建設業等の第
2 次産業、並びに商業、サービス業等の第 3 次産業が相互に関連して成立している。
第 1 次産業のうち、農業については、水稲を中心に畜産、果樹、施設園芸等の複合
経営が主流であるが、市域の大半を中山間地域が占めているなど、必ずしも土地条件
に恵まれていないため、小規模・零細な経営が 続いている 。また、生産性及び所得の
不安定に加え、農業就業者の高齢化、後継者不足等により生産意欲が低下するなど、
当市の基幹的産業である農業を取り巻く環境は厳しさを増している。一方、畜産業に
おいては、中四国地方最大規模のメガファーム(酪農)もあり、県内一の産出額を誇
っている。水産業につ いては、沿岸漁業を中心に営まれており、近年、漁業資源の減
少や魚価の低迷等により漁業生産額・漁業就業者が減少しているが、全国でも珍しい
「一日漁 」により鮮度が維持され、ブランド力が高ま る中、平成 25 年 9 月に市内 4 カ
所の魚市場が統合されたことで高度な衛生管理が可能となり、 販路拡大の取り組みが
進められている。
第 2 次産業については、これまで地場産業を牽引してきた瓦産業が他の屋根材の普
及等により消費が伸びない状況にある中、高い技術力を有する電子部品等製造業や人
工皮革製造業、輸送用機械器具製造業等の誘致企業や、独自の技 術力を備えた市内企
業が当市の製造業を牽引している。景気低迷や生産拠点の海外進出等により厳しい状
況が続いていたが、近年の国内の緩やかな景気回復により、当市でも企業 の設備投資
の増加や雇用環境の改善など回復の兆しを見せている。また、当市の製造業は、窯業
や誘致企業を除き、水産資源を利用した食品加工、縫製等小規模・零細な企業が中心
で、総じて競争力が弱い現状にある。
第 3 次産業のうち商業については、郊外及び市外大型店舗への購買力流出や、 市内
大型小売店舗の閉鎖、 空店舗の増加により、中心市街地の空洞化・衰退化が生じてい
る。その一方で、創業支援制度を利用したUIターン者の新規起業は徐々に増えつつ
あり、平成 26 年度にはインキュベーションルームを活用したIT企業の新事業所開
-7-
設があった。今後も、新規起業の支援を行うことによって、新産業や雇用機会の創出、
地域経済の活性化が期待できる。また、観光等サービス業においては、世界遺産であ
る「石見銀山遺跡とその文化的景観」を有しながら、市内宿泊の誘導といった滞在を
促す提案が十分になされていなかったため、 旅館等を中心に厳しい経営環境にあった
が、近年は、観光資源の積極的な情報発信により、滞在型 の観光が増加傾向にある。
全国的に訪日外国人客が年間 2,000 万人を突破し、当市においても外国人観光客の
入込み数は増加傾向にある。インバウンド(外国人誘客) 対策をいっそう進め、より
多くの外国人を市内に迎え入れることで、外国人客による観光消費額の拡大が見込め
る。また、任意団体であった大田市観光協会は、 観光客の志向や価値観の変化、イン
バウンドといった新たな需要に対応できる観光地づくりを進めていくため、 会員の発
展と大田市の観光振興の「中核的推進機能」を目指し、平成 27 年 4 月 1 日から一般
社団法人として新たなスタートを切っ た。平成 28 年 7 月には、三瓶山を含む「大山
隠岐国立公園」が国立公園を世界に向けて PR する環境省の事業「国立公園満喫プロ
ジェクト」の対象地に選定された。2020 年までに受け入れ環境の整備を重点的に進め
ていくこととされており、関係機関と連携を図る 中で、三瓶山への受け入れ態勢の充
実や、情報発信に積極的に取り組んでいる。
○ 大田市市内総生産
(単位:百万円)
平成19年
1.産業
第1次産業
農業
林業
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
86,957
82,403
83,590
87,577
91,802
86,625
85,626
4,124
4,075
3,883
3,811
4,044
4,238
4,056
1,960
2,086
2,049
2,080
2,261
2,424
2,342
261
245
217
273
299
316
349
1,904
1,745
1,618
1,458
1,483
1,498
1,366
24,780
22,014
22,932
26,478
29,892
25,358
24,591
550
466
346
345
292
320
336
製造業
13,904
11,523
12,224
15,265
20,012
13,217
13,828
建設業
10,325
10,025
10,362
10,867
9,588
11,820
10,426
80,766
78,483
56,775
57,287
57,866
57,029
56,979
電気・ガス・水道業
1,611
1,572
1,571
1,542
1,435
1,379
1,344
卸売・小売業
9,941
9,933
10,273
10,258
11,072
10,606
10,841
金融・保険業
3,968
3,109
2,944
2,942
2,882
2,676
2,501
19,267
19,286
19,462
19,374
19,085
19,270
19,277
運輸業
3,591
3,233
3,023
3,022
3,246
2,971
2,625
情報通信業
2,503
2,591
2,747
2,767
2,747
2,729
2,866
サービス業
17,171
16,590
16,756
17,382
17,400
17,398
17,525
20,018
19,552
19,743
19,545
19,459
19,689
19,058
水産業
第2次産業
鉱業
第3次産業
不動産業
2.政府サービス生産者
3.対家計民間非営利サービス生産者
4.輸入品に課される税等
市内総生産 合計
2,695
2,617
2,588
2,907
2,818
2,912
2,896
△501
△606
497
613
818
790
920
110,171
105,177
106,418
110,641
114,896
110,016
108,499
※端数処理の関係で内訳と合計が一致しない場合がある。
-8-
(資料:島根県市町村民経済計算)
産業人口の動向は、第 1 次産業の衰退に併せて就業人口も逐年減少してきており、
第 2 次産業就業人口については増加傾向から近年減少傾向に転じ、第 3 次産業就業人
口については近年横ばい傾向から 若干減少傾向にある。これを就業人口割合で見ると
第 3 次産業については、平成 12 年国勢調査以降、就業人口全体の半数を超える状況
にある。
第 1 次産業就業人口については、全国的にも減少傾向にあり、これは農工間の所得
の格差、機械化等による省力化、米価決定における市場原理の導入、輸入品の増大に
よる価格低迷や漁業資源の減少等、極めて厳しい諸情勢から生産意欲、就労意欲を無
くしたことが要因に挙げられる。 一方、規模の大型化や経営の近代化等がなされ、後
継者も育成されるなど、新しい動きも見 受けられる。
次に、第 2 次産業就業人口については、当市から産出する良質の粘土を資源とする
瓦産業の規模拡大と、昭和 40 年以降の企業誘致による製造業等の進出により増加し
てきたが、国内産業の低迷が続く中、企業誘致を取り巻く環境については、なお厳し
い状況にあるなど、第 2 次産業における雇用増に結びつく状況には至っていない。
-9-
○ 産業別人口の動向
区 分
昭和35年
実 数
総 数
第1次産業
就業人口比率
第2次産業
就業人口比率
第3次産業
就業人口比率
分類不能数
区 分
総 数
第1次産業
就業人口比率
第2次産業
就業人口比率
第3次産業
就業人口比率
分類不能数
昭和40年
実 数
昭和45年
増減率
実 数
昭和50年
増減率
実 数
昭和55年
増減率
実 数
31,867 人 28,603 人 △ 10.2 % 27,718 人 △ 3.1 % 25,599 人 △ 7.6 % 25,968 人
17,588 人 13,835 人 △ 21.3 % 12,132 人 △ 12.3 %
昭和60年
増減率
実 数
増減率
1.4 % 25,527 人 △ 1.7 %
8,601 人 △ 29.1 %
6,897 人 △ 19.8 %
6,332 人 △ 8.2 %
55.2 %
48.4 %
-
43.8 %
-
33.6 %
-
26.6 %
-
24.8 %
-
4,940 人
5,112 人
3.5 %
5,399 人
5.6 %
6,342 人
17.5 %
7,663 人
20.8 %
7,705 人
0.5 %
15.5 %
17.9 %
-
19.5 %
-
24.8 %
-
29.5 %
-
30.2 %
-
9,337 人
9,650 人
29.3 %
33.7 %
2 人
6 人
3.4 % 10,177 人
-
平成7年
増減率
-
41.5 %
10 人
平成2年
実 数
36.7 %
5.5 % 10,624 人
実 数
-
43.9 %
32 人
平成12年
増減率
4.4 % 11,395 人
実 数
-
45.0 %
13 人
平成17年
増減率
7.3 % 11,483 人
実 数
0.8 %
-
7 人
平成22年
増減率
実 数
増減率
23,803 人 △ 6.8 % 23,033 人 △ 3.2 % 20,893 人 △ 9.3 % 19,607 人 △ 6.2 % 17,951 人 △ 8.4 %
4,903 人 △ 22.6 %
4,481 人 △ 8.6 %
3,010 人 △ 32.8 %
2,468 人 △ 18.0 %
1,985 人 △ 19.6 %
20.6 %
19.5 %
14.4 %
12.6 %
11.1 %
-
-
-
-
-
7,690 人 △ 0.2 %
7,224 人 △ 6.1 %
6,544 人 △ 9.4 %
5,309 人 △ 18.9 %
4,765 人 △ 10.2 %
32.3 %
31.4 %
31.3 %
27.1 %
26.5 %
-
11,205 人 △ 2.4 % 11,326 人
47.1 %
-
49.2 %
5人
2人
-
1.1 % 11,332 人
-
54.2 %
7人
-
0.1 % 11,804 人
-
60.2 %
26 人
-
-
4.2 % 11,130 人 △ 5.7 %
-
62.0 %
-
71 人
(資料:国勢調査)
第 3 次産業就業人口については、ライフスタイルの変化・多様化に伴う市民購買力の増
加や余暇時間の増大に加え、近年の福祉・介護・医療サービス分野の 増大 など、サービス
業を中心に雇用の場が確保されたこともあり、平成 22 年には、産業全体に占める割合は
62%と、就業人口全体の半数を超える状況にあ る。今後も第 3 次産業就業人口の割合は増
加していくものと見られる。
-10-
(6)行財政の状況
ア.行政の状況
昭和 28 年に制定された町村合併促進法の施行を機に、昭和 29 年に市制を施行して
以来、4 次に渡る合併を経てきた「大田市」と、昭和 29 年にそれぞれ町村合併し、町
制を施行した「温泉津町」、
「仁摩町」が、平成 17 年 10 月 1 日に合併し、人口 41,728
人(住民基本台帳人口)、面積 436.11k ㎡(合併当初)の広範な市域を持つ新生「大
田市」を形成するに至った。
当市の行政機構については、市域の拡大による新たな行政需要等に対応できるとと
もに、合併後の行政サービスに支障をきたさないよう留意する中で、合併による効果
を最大限に発揮できる組織、機構として、平成 17 年 10 月 1 日現在において、本庁 7
部 3 局 42 課(室、局、署、場、センター)、 2 支所(8 課)及び 1 病院、1 診療所を
設置(職員数 868 人)したところであるが、多様化する行政需要に対応するため 逐次
見直しを行い、平成 28 年 4 月 1 日現在においては、本庁 9 部 1 局 49 課(室、局、署、
場、センター)、2 支所(2 課)及び 1 病院を設置(職員数 763 人)している。
今日、行政に対する市民ニーズは、社会情勢のグローバル化やボーダーレス化とあ
いまって、多様化・高度化・複雑化しており、国・地方を問わず、より効率的な行政
運営が求められている。これまでには平成 18 年 11 月に策定した「大田市行財政改革
推進大綱」を基に行財政改革を進めてきたところであり、さらに、平成 27 年 3 月に
は「第 3 次大田市行財政改革推進大綱」を策定し、協働によるまちづくりの推 進、事
務事業の見直し、民間委託・民営化の推進、組織・定員の適正化、総人件費の抑制等
の行財政改革推進施策を実施しているところである。
今後においては、高齢化の進行等に伴い、住民の行政需要はさらに増大し、ますま
す多様化していくことが予想され、より効率的かつ効果的な行政運営を目指すととも
に、広域的な視点に立ち、周辺地域との交流や連携による新しいまちづくり、地域づ
くりを進めていく必要がある。
イ.財政の状況
こ れま で 道 路 整備 や 下 水 道整 備 等 の 遅れ て い た 社会 資 本 の 整備 や 、 義 務教 育 施 設、
定住促進に向けた各種公共施設の整備等、市勢の発展に資する戦略的なプロジェクト
の推進に積極的に取り組む中、事業の選択と集中により財政健全化に向けた取組 んで
きた。しかし、従来から市税等の自主財源に乏しく、事業実施にあたっては、地方交
付税、国県補助金等の依存財源を主体として、市債の発行や各種基金の取崩しにより、
その財源を確保してきた。
その結果、平成 27 年度末における地方債現在高(普通会計)は 337 億円に達し、
実質公債費比率(普通会計)は 3 カ年平均 で 13.9%となっており、さらに、これまで
整備してきた各種公共施設にかかる公債費 の上昇が予想され、施設の老朽化に伴う維
持管理費の増大が市財政の大きな負担となっている。それに加え、耐震化への対応や
将来的に見込まれる大規模改修等の更新費が、厳しい財政状況に拍車をかけることが
危惧される。また、大田市立病院の建替え や、次期可燃ごみ処理施設の整備 等の大型
-11-
プロジェクト事業の実施を控え、今後の財政運営は極めて厳しいことが予想される。
このような状況を踏まえ、今後の財政運営は、国・県の動向等に十分注視しながら、
一層の歳入確 保に努めるとともに、歳出においては事業の取捨選択、優先順位付けに
併せ、経常経費のさらなる節減を図る必要がある。
○ 財政状況を表す主な指数(普通会計)
区 分
経常収支比率(%)
平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
86.8
90.9
91.9
91.7
93.0
92.0
0.290
0.281
0.276
0.278
0.277
0.278
3.4
1.7
1.6
2.5
1.8
1.9
経常一般財源比率(%)
96.1
96.8
96.3
96.4
96.7
97.6
公債費負担比率(%)
24.0
24.7
23.3
22.0
23.1
21.5
公債費比率(%)
18.4
17.3
16.8
15.9
14.4
12.8
実質公債費比率(3カ年平均、%)
19.6
18.1
16.8
16.0
15.1
13.9
112.2
97.4
95.5
91.7
85.5
91.2
財政力指数(3カ年平均)
実質収支比率(%)
将来負担比率(%)
地方債現在高(千円)
33,782,005 32,449,517 32,536,342 33,281,895 34,023,094 33,661,494
(資料:財政課)
ウ.公共施設の整備状況
当市においては、これまでに遅れていた社会資本の整備や住民福祉と生活環境の向
上及び若者定住促進を図るための諸施策を積極的に進めてきた結果、主要公共施設の
整備水準は向上した。
しかしながら、当市は総面積が 435.71k㎡と広い上、地勢的にも市域の大半を中山
間地域が占め、加えて大小 500 余の集落が散在していることなどにより、地理的条件
の悪い地域において道路や上下水道施設等の整備が進んでいない状況もある。
今後においては、若者 の流入・定住、地方移住の促進や健康で安心して暮らせる地
域づくりの推進の 観点からも、生活インフラのさらなる整備が必要 であるが、人口の
減少が続く現状においては、これらの動向を見極め る必要がある。
同様に、施設については、必要性と運営の効率性といった両面のバランスを十分検
討した上で、整備を行 い、既存施設においては、複合化、集約化、用途変更するなど、
保有総量の縮減を図る 必要がある。
-12-
Ⅱ まちづくりの方向性
第1章
まちづくりの方向性
(1)まちづくりの方向性
当市には、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」 をはじめとする貴重な歴史
文化や国立公園三瓶山、温泉、長い海岸線に代表される優れた自然、中山間地域に広
がる農村漁村、“人財”等の豊富な地域資源 がある。
まちづくりを行っていくうえでは、これらの「魅力あふれる地域資源」を効果的に
活用し、「魅力と活力のある 都市(まち)」にしていくことが重要であり、その ために
も、これら地域資源の価値を 市民一人ひとりが再評価し、ネットワーク化することに
より、あらためて当市の「魅力」を創造して いくことが重要である。
また、まちづくりを行っていく上で、 市民と行政との協働は不可欠であり、行政の
果たすべき役割と 市民の主体性の掘り起こしを行う中で、その ための人材育成を積極
的に推進し、
「知恵と力」を結集することにより、豊かな未来を築いていかなければな
らない。
新市のまちづくり
『大田市』のまちづくり
「大田市」を創造する3 つの力(まちづくりの戦略)
魅力 あるまちづくり
活力 あるまちづくり
●石見銀山遺跡の保全・活用
●歴史や自然等多彩な地域資源等の
ネットワーク化
●快適な都市環境の整備
●子育て支援体制の整備・充実
●保健・医療・福祉サービスの充実
●地域資源や特性を活かした産業振
興策の展開
●道路ネットワークの整備推進
●地域間交流の促進と交 流人口の拡大
●情報通信網の整備・活用
●生涯学習体制の整備・充実
協力 によるまちづくり
●市民と行政との協働
●ホスピタリティの向上
●地域コミュニティの推進
●男女共同参画の推進
産業振興
保健・医療・福 祉
基盤整備
-15-
教育・文化
生活環境
行 財 政
まちづくりに向けた主要課題への対応や 、大田市の将来像を実現していくため、 当
市を創造するために必要な「魅力」、「活力」、「協力」の“3 つの力”を有機的に連携さ
せ、当市が持つ豊富な地域資源を最大限に活かしながら、 大田市の「まちづくり」を
目指すこととする 。
また、平成 27 年 10 月に策定した「大田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、
「大田市総合計画」に掲げる目標を実現し、人口減少 に歯止めをかけ、将来にわたっ
て活力ある大田市であり続けるため、 4 つの基本目標と数値目標を掲げる中で、平成
27 年度から平成 31 年度までの 5 カ年にわたる推進施策を示し、「若者、特に若い女
性の流入・定住」に視点を置いて取り組むとともに、
「子育て世帯への支援」を充実す
ることとした。
さらに、この戦略に掲げた施策を着実に実施していくとともに、
「健康まちづくり」
を市政推進の大きな柱として位置づけ 、平成 28 年度に「大田市健康まちづくり推進
方針」を策定した 。
市 民の 健 康 づ くり は も と より 、 多 く の人 が 当 市 を訪 れ る 、「 快 適 で 美 しく 、 健 康な
まちおおだ」の実現に向け、行政内部の連携はもとより、市民、地域団体、関係機関、
NPO、企業など様々な事業主体と行政が連携・協力しながら、全市を挙げて健康ま
ちづくりに取り組むこととする。
(2)後期計画(改訂版)における重点施策
財政健全化との整合性を保ちながら、現下の厳しい経済・雇用情勢などを踏まえ、
市民の生活を守るとともに、大田市の将来的な発展に必要な施策について、
「後期計画
改訂版」における重点施策として定め、今後 2 年間において重点的・集中的に取り組
む。
ア
健康まちづくり
○健康でいきいき暮らせるまち
・市民の健康づくりとその環境づくりに取り組む。
・大田市に暮らすことによって健康になるまちづくりを目指す。
・住民同士の交流が盛んで、活発に地域活動が取り組まれ、住民が主体的に
楽しみながら健康づくりができるまちを目指す。
-16-
○日本一の健康保養都市
・健康と観光を組み合わせた保養地づくりに取り組む。
・心身ともにリフレッシュでき、何度でも訪れたくなるまちづくりを目指す。
・自然・文化・歴史などに触れられ、人との交流ができ、楽しくや安らぎを感
じることのできるまちづくりを目指す。
イ
定住促進によるまちづくり
○多様な産業を活性化し「はたらく場」をつくる
・農林水産業の振興と6次産業化の推進を図る。
・地場産業の育成と地域ブランド確立のための支援を行う。
・産業教育とふるさと教育による人材の育成確保を図る。
・地域資源を有効に活用しながら、観光誘客の推進を図る 。
・市内中小企業の支援と新産業創出の推進を図る。
○「結婚」「出産」「子育て」の希望をかなえる環境をつくる
・出会い創出イベント・交流会など婚活事業を推進し、結婚支援を充実する。
・妊娠・出産による、経済的負担の軽減を図る。
・子育てしやすい環境づくりを推進するため、 保育料の軽減や、乳児医療費
や子ども医療費の負担軽減を行う。
○新たな「ひとの流れ」をつくる
・産業体験・暮らし体験を通じた交流を促進し、移住・定住につなげる。
・特色ある教育や魅力ある教育環境を創出し、教育移住を 推進する。
・地域課題解決のための地域おこし協力隊等、市外からの人財を積極的に
誘致して、新たな人の流れを作る。
○「交流」「連携」「協働」により 住みよいまちをつくる
・コンパクトで持続可能なまちの形成を目指す。
・健康で安心して暮らせる地域づくりを推進する。
・地域の実情に応じた課題解決への支援を行う。
-17-
ウ
安全・安心なまちづくり
○地域医療の確保
・地域で働く医療従事者の確保に努め、 診療機能の強化を図る 。
・大田総合医育成センターによる総合医育成の取り組みを通じて、市立病
院の診療機能の充実を図る。
・新大田市立病院建設の早期完成を目指し、着実に事業を進める。
○生活交通の確保
・地域のバス路線を維持し、 市民の生活を守る。
・乗り合いタクシーなど新たな生活交通手段の導入を進める。
○消防・防災対策
・消防・救急救助体制を充実強化する。
・自主防災組織の育成や災害予防体制の強化を推進する。
・災害時における市民の避難体制の整備を進める。
○地域のコミュニティの確保
・住み慣れた地域で住み続けることができる「持続可能な まちづくり
(大田市版 ・小さな拠点づくり)」を推進する。
・地域資源を有効に活用し、定住施策を積極的に推進する。
-18-
(3)施策の体系
将
来
像
まちづくりの戦略
自然・歴史・ひとが光り輝く だれもが住みよい 県央の中核都市
大田市を創造する3つの力(魅力・活力・協力)
1.地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
1.「誇れる」大田ブランドづくりの推進
2.地域一体での「もてなし」の充実による産業の振興
3.核となる技術や資源を「活かした」新産業創出と産業集積
4.地域や環境にやさしく未来へ「つなげる」産業の推進
5.戦略的な企業誘致活動の推進と「攻める」体制の強化
6.次世代を「担う」人材育成の推進
2.だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり(保健・医療・福祉)
1.子どもを健やかに産み育てることができる環境づくり
2.生涯を通じた健康づくりの推進と地域医療の充実・確保
3.だれもが支え合い安心して暮らせる社会の実現
4.人権を尊重するまちづくりの推進
3.県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
1.総合的な土地利用の促進
2.快適な都市環境の形成
3.人・物の交流を支える道路ネットワークの形成
4.暮らしを支える生活交通の確保
5.生活の質を高める情報通信網の整備・活用
6.安全な生活の確保
4.石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり(教育・文化)
1.世界に誇る石見銀山遺跡の保全と貴重な歴史・地域文化の振興
2.豊かな心を育む学校教育の推進
3.いつでも学べる生涯学習社会の実現
4.生涯にわたるスポーツライフの実現
5.地域特性を活かした地域間交流の推進
5.自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境)
1.自然と共生したまちづくりの推進
2.廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築
3.飲料水の安定的な確保と供給
6.参画と協働によるまちづくり(行財政)
1.協働によるまちづくり
2.効率的な行財政運営と改革の推進
-19-
Ⅲ
後期基本計画
第1章
地域資源の
ネットワークによる
活発な産業づくり
1. 地域資源のネットワークによる活発な産業づくり
《施策体系》
1 「誇れる」大田ブランドづくりの推進
1 商品開発とブランド化
2 地産地消の推進
3 大田の顔となる賑わいある商店街づくり
2 地域一体での「もてなし」の充実による産業の振興
1 魅力ある観光情報の提供
2 魅力ある楽しい観光の提供
3 観光産業の育成
3 核となる技術や資源を「活かした」新産業創出と産業集積
1 新しい産業創出と産学官連携の推進
2 起業・創業の推進
4 地域や環境にやさしく未来へ「つなげる」産業の推進
1 産学官並びに産業間連携と既存施設の有効活用
2 活力みなぎる地域産業
3 未来へつなげる農林水産業の育成
4 生産・経営基盤の整備
5 戦略的な企業誘致活動の推進と「攻める」体制の強化
1 新たなネットワークづくりによる産業の誘致
2 フォローアップ強化と関連産業の育成
6 次世代を「担う」人材育成の推進
1 産業教育の推進
2 産業従事者の育成
3 雇用の安定と労働者福祉の推進
-24-
1-1 「誇れる」大田ブランドづくりの推進
施策体系
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
「誇れる」大田ブランドづくりの推進
商品開発とブランド化
地産地消の推進
大田の顔となる賑わいある商店街づくり
現況と課題
1 商品開発とブランド化
大田といえば“○○”というような大田を代表するものを確立するためには、地域の中核産業で
ある農林水産業や窯業、商業、観光の相互連携が必要であるという認識は生まれつつあるが、効果
的に機能しているとは言い難い現状がある。一方、新製品、新技術の研究及び開発等に対する支援
については、メイドイン大田創出支援事業等の活用により一定の成果を得ている。
農林水産物においては、西条柿、アムスメロン、6 次産業化による鶏卵加工品など他地域よりも
有利な販売につなげている品目やブドウ等地域を挙げて産地化に向けた取り組みがある。また、市
内には、土壌改良や水質浄化に利用されるほか、東日本大震災による原発事故を受けて、放射性セ
シウムの吸着に効果があることが評価されているゼオライト・ベントナイトをはじめ、粘土・福光
石・珪砂等の鉱物や温泉など地域特有の地下資源が豊富に存在している。
2 地産地消の推進
さまざまな産業分野において、地域内で必要なものを全て地域内で調達することは困難であるが、
地域内で調達することが経済の活性化に貢献することは明らかである。現状においては、地場産(市
内産)食材の学校給食への積極的な使用に取り組んでおり、平成 27 年度の使用割合は 49.1%と県
内でも、高い水準にある。また、木材においては、安価な海外産輸入木材に押され、地場産材はそ
の利用が進まず、消費が低迷している。
大田ブランドとして市外へ展開していくためには、地元における認知度の向上が不可欠である。
その認知度の向上のための取り組みこそが地産地消であり、地域が一体となって運動していく必要
がある。また、地場産材の価格安定化、商品としての価値の高さを消費者に理解してもらえる仕組
みを構築していく必要がある。
-25-
3
大田の顔となる賑わいある商店街づくり
郊外及び市外大型店への購買力流出や、空店舗の増加をはじめとする中心市街地の空洞化により、
旧来の商店街の衰退が進み、商業の停滞は深刻化している。
県央の中核都市に相応しい商業機能の充実を図るよう各種事業に取り組んできたが、大田市の商
店街の核となっていた大型商業施設が相次いで閉店した。そのような中、橋南地区では地元商店会
の有志が協同組合を設立し、店舗と立体駐車場を解体した跡地にスーパーを移設したが、依然とし
て地元商店街の衰退に歯止めがかからない状況となっている。
こうした状況を打開するため、大田商工会議所(以下「会議所」という。)や銀の道商工会(以
下「商工会」という。
)
、各商店会等の関係団体と連携するとともに、中心市街地活性化基本計画の
策定などにより魅力的な商業空間を改めて構築し、空店舗の活用対策に加え、高齢者や中山間地域
といった買い物弱者対策へも取り組み、商業活性化を推進する必要がある。
併せて、会議所及び商工会を通じて、経営指導の強化や融資制度の活用・支援による経営安定化、
また、各種イベントの開催などで賑わいを創出し、更に、次代を担う人材の確保と育成の強化を図
り、地域の発展につなげる必要がある。
○ 商店数・従業者数の推移
区 分
商店総数(件)
平成11年
平成14年
平成16年
平成19年
平成26年
島根県
13,993
12,940
12,087
10,782
8,212
県内8市
7,110
11,521
10,659
9,925
8,772
大田市
882
832
793
698
501
出雲市
2,774
2,593
2,419
2,167
1,944
浜田市
1,361
1,233
1,159
1,035
771
区 分
従業者総数(人)
平成11年
平成14年
平成16年
平成19年
平成26年
島根県
69,388
68,204
64,344
59,793
48,217
県内8市
59,958
59,486
55,167
51,185
43,920
大田市
3,655
3,914
3,506
3,301
2,542
出雲市
14,173
14,220
13,534
12,502
12,010
浜田市
6,810
7,257
6,073
5,741
4,308
区 分
1店当りの従業者数(人)
平成11年
平成14年
平成16年
平成19年
平成26年
島根県
5.0
5.3
5.3
5.5
5.9
県内8市
5.2
5.6
5.6
5.8
6.2
大田市
4.1
4.7
4.4
4.7
5.1
出雲市
5.1
5.5
5.6
5.8
6.2
浜田市
5.0
5.9
5.2
5.5
5.6
(資料:商業統計調査)
-26-
○ 販売額の推移
区 分
販売額(億円)
平成11年
平成14年
平成16年
平成19年
平成26年
島根県
18,691
17,055
16,430
14,214
13,817
県内8市
16,170
14,935
14,207
12,472
12,927
大田市
837
728
666
591
523
出雲市
3,482
3,190
3,104
2,790
3,152
浜田市
1,710
1,703
1,495
1,304
1,322
区 分
1店当りの年間販売額(万円)
平成11年
平成14年
平成16年
平成19年
平成26年
島根県
13,369
13,180
13,593
13,183
16,825
県内8市
14,035
14,012
14,314
14,218
18,182
大田市
9,490
8,750
8,398
8,467
10,459
出雲市
12,552
12,302
12,832
12,875
16,213
浜田市
12,564
13,812
12,899
12,599
17,152
区 分
従業員1人当りの年間販売額(万円)
平成11年
平成14年
平成16年
平成19年
平成26年
島根県
2,680
2,501
2,553
2,377
2,866
県内8市
2,697
2,511
2,575
2,437
2,943
大田市
2,290
1,860
1,900
1,790
2,061
出雲市
2,457
2,243
2,293
2,232
2,624
浜田市
2,511
2,347
2,462
2,271
3,070
(資料:商業統計調査)
方向と目標
●大田らしさや地元の素材や技術、安全・安心などをキーワードに誰もが認める「おおだ
ブランド」認証制度の推進を図る。
●徹底した地産地消運動の構築によるブランド化への展開と給食等の地元産物の利用率
向上を図る。
●商店街の賑わい創出と地元消費による商店街の活性化を図る。
施策の内容
1 商品開発とブランド化
(1) 産業間の連携・強化
①大田市の地域資源を活用した 6 次産業として、地域ブランドという視点から地域経済の一翼
を担う付加価値の高い商品づくりや、メッセージ性のあるブランドづくりの取り組みを推し
進めていくために、産業界、大学や試験研究機関、行政による「産学官」の連携を推進し、
ネットワークを確立する中で、地域の強み、弱みを見極めながら、
「ホンモノ」づくりの追求、
生産、加工、販売の一体化、生産者の顔が見えるものづくりを進める。
-27-
(2) 地域資源の活用による売れる商品づくり
①平成 29 年に世界遺産登録 10 周年を迎える石見銀山遺跡を題材とした商品開発、ものづくり
産業、伝統技術継承を通じ、官民一体となった新たな地場振興、雇用創出を図るとともに、
商品のブランド化を推進する。
②石州瓦の耐久性能の高さについて、市民の理解を深めるとともに、更なる商品の高付加価値
化を進める。
③ゼオライトをはじめとした地下資源の効率的な活用や再利用、付加価値の高い商品開発を促
進する。
(3) 「おおだブランド」認証制度の推進並びに新商品開発・販路拡大支援策の充実
①業種や業態、商品、サービス等の分野や範囲を限定せず、大田らしさ・地元の素材や技術・安
全・安心などをキーワードに、誰もが認める「おおだブランド」の認証制度を推進し、販路
拡大に活用する。
②「メイドイン大田創出支援事業」を活用し、他と差別化でき、付加価値の高い大田市発の新
商品や新技術の開発、新規販路開拓等の促進を支援する。
③地域の産物、製品について、首都圏及び広島圏を中心とした販路の拡大や、そのコーディネ
ートに係る活動を支援する。
2
地産地消の推進
(1) 徹底した地産地消運動の構築によるブランド化への展開
①地域内消費を拡大するために、毎月第 3 金土日の「大田市地産地消の日」の周知徹底や小売
店と連携したPRにより、消費者の地産地消に対する意識高揚を図る。
(2) 地域の農林水産物の利用促進
①市内飲食店、旅館等へ利用促進を啓発する。また地産地消を推進する飲食店を「地産地消推
奨店」として登録・PRし、更なる地産地消の拡大を図る。
②産直施設への集出荷体制の確立、消費者のニーズに応じた栽培体制の整備により、産直施設
を地産地消の拠点として活用する。
(3) 地場産業における技術の伝承と地場産材の利用促進
①石州瓦や陶器、木材など、地場産業の人材育成や技術伝承を支援し、公共事業での利用と、
民間での利用拡大に向けた意識啓発を図る。
-28-
3 大田の顔となる賑わいある商店街づくり
①創業・事業継承対策である「ふるさと大田創業支援事業」を活用し、店舗改修等負担の軽減
を図ることで、創業、事業継承を促し、賑わいの創出を図る。
②各種イベントによる賑わいの創出、また、地産地消を推進し、地元消費と商店街の活性化を
図る。
③会議所・商工会と連携し、商業基盤の弱い中山間地域に加え、大規模小売店舗の閉店に伴い
増加した高齢者等の買い物弱者への支援策を検討・実施する。
④会議所・商工会・金融機関等と連携し、経営支援と各種制度融資の活用や、事業者が制度融
資を受けやすくなるよう保証料への一部補助を実施する。
⑤会議所・商工会と連携し、
「大田地域人材確保促進協議会」や「島根中央地域職業訓練センタ
ー」を活用して、後継者や地域商店会等の牽引者となる人材の確保と育成を図る。
⑥商店街の活性化に向け、
「中心市街地活性化基本計画」の策定に取り組む。
-29-
主な施策と事業
施 策
事
業
大田市産品販路拡大重点支援事業
メイドイン大田創出支援事業
石州瓦等利用促進事業
新商品開発チャレンジ事業
商品開発とブ
ランド化
農産物生産振興販売促進事業
(生産振興)
農産物生産振興販売促進事業
(野菜価格安定対策)
肉用牛振興対策事業
仁摩地区道の駅整備事業
付
記
「おおだブランド」認証制度による
大田の顔となる商品づくりと民間コ
ーディネーターの配置による販路拡
大への支援
新商品又は新技術の研究及び開発等
に対して必要な経費の一部を支援
市内の建築業者を利用して新築等を
行う際の瓦購入費用を支援
農産物を加工し商品化することで、
付加価値を付け、農産物の販売拡大、
農家所得の向上を図る
振興作物のうち、重点的に振興する
“重点作物”を選定し、産地化を推
進
“重点作物”の生産拡大に向け、安
心して生産できる体制づくりのため
の野菜価格への補償
繁殖牛の飼養から子牛の出荷までを
支援し「石見銀山和牛」のブランド
化を図る
オリジナルブランドの商品開発やお
おだブランド認証商品等のPRを行
い、更なるブランド化を図るため、
道の駅を整備する
石州瓦等利用促進事業【再掲】
地産地消の推
進
地産地消推進事業
地産地消の普及啓発や大田市産品の
地域内消費の拡大
ロード銀山運営事業
施設修繕
温泉津ふれあい館運営事業
施設修繕
農産物生産振興販売促進事業
(販売促進)
少量多品目の農産物の集出荷、販売
体制強化への支援
地産地消レストランや産直により、
地産地消の推進を図るため、道の駅
を整備する
彼岸市の継続・発展と中心市街地及
び商業全般の活性化
仁摩地区道の駅整備事業【再掲】
悠々おおだ商い支援事業
大田の顔とな
る賑わいある
商店街づくり
ふるさと大田創業支援事業
空き店舗を活用した起業・創業に対
して初期投資の一部を支援
中心市街地活性化基本計画の策定
商店街の活性化に向けた計画策定
-30-
1-2 地域一体での「もてなし」の充実による産業の振興
施策体系
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
地域一体での「もてなし」の充実による産業の振興
魅力ある観光情報の提供
魅力ある楽しい観光の提供
観光産業の育成
現況と課題
1 魅力ある観光情報の提供
当市の観光情報の提供は、石見銀山世界遺産登録5周年事業を契機に、ポスター、パンフレッ
トの一新、観光ホームページのリニューアルなど、発信のツールを揃え、時代に即した情報発信
の改善を図ってきた。
近年、観光客は、紙媒体やウェブサイトに限らず、個人間のコミュニケーションをサポートす
るSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や You Tube といった動画共有サイトな
ど、多種多様な媒体から観光情報を入手し、個人旅行を楽しむ形態に変化してきている。
石見銀山遺跡や三瓶山をはじめ市内の様々な観光資源やイベント等を、「いつ、どこで、誰に
発信するのか」という観光情報を提供する方針と、あらゆる角度から発信できる機能を持って、
観光誘客により効果のある情報発信を行っていく必要がある。
また、将来的に山陰道全線開通を見据えた場合、市内への観光誘客や情報発信の手法について
更なる強化を図ることが求められる。
このため、山陰道無料区間のほぼ中央に位置し、世界遺産石見銀山や仁摩サンドミュージアム
ともアクセスが良い「仁摩・石見銀山インターチェンジ」出口付近に道の駅を整備して、山陰道
利用者を引き込み当市の魅力を発信する仕組み作りに取り組む必要がある。
-31-
○ 観光客入り込み推移
単位:人
観光地名
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
三 瓶 山
600,000
590,000
590,000
598,400
587,800
673,542
614,100
617,400
石見銀山
340,000
400,000
713,700
813,200
432,200
511,600
437,100
375,600
大田市海岸
(海水浴)
93,045
87,830
102,100
113,800
6,730
9,300
5,700
8,320
温泉津温泉
52,835
52,283
62,958
56,049
89,890
82,777
75,654
69,140
温泉津やきもの
館・ふれあい館・
ゆうゆう館
44,835
45,448
71,726
73,875
51,235
53,542
45,579
45,363
仁摩サンド
ミュージアム
31,589
47,719
99,022
124,919
60,490
58,711
50,285
48,701
その他
28,205
22,509
23,139
100,236
205,790
166,867
233,891
216,829
1,190,509
1,245,789
1,662,645
1,880,479
1,434,135
1,556,339
1,462,309
1,381,353
合 計
(資料:島根県観光動態調査)
2
魅力ある楽しい観光の提供
当市は、石見銀山遺跡、三瓶山、起伏に富んだ海岸線など、他と比較しても特徴ある恵まれた
観光資源を有する地域である。
近年、観光に対するスタイル、考え方が大きく変わりつつあり、団体旅行が減り、地域自ら企
画し、販売するツアーへ個人が参加する着地型観光への割合が増加している。着地型観光には、
体験、交流、参加型等があり、ニューツーリズムと呼ばれるエコツーリズム、グリーンツーリズ
ム、ヘルスツーリズム等が着地型観光の代表的な事例であり、当市では地域資源を活用したヘル
スツーリズムへの取組みを先駆的に推進している。
また、国においては、観光立国日本をめざす中で、平成 32 年(2020 年)には訪日外国人観光
客 4,000 万人を目標として掲げており、国立公園もその受け皿となるべく、三瓶山を含む大山隠
岐国立公園を「国立公園満喫プロジェクト」の地域に選定したところである。
今後、着地型観光の商品造成や訪日外国人の受け入れを進めていくためには、観光関連事業者
や団体はもとより、民泊、ガイド、体験指導などを行う地域住民の役割が益々大きくなることが
想定されることから、地域全体で観光地域づくりに取組むことが必要である。
-32-
また、世界遺産巡りやパワースポット巡りなど、それぞれの客層の趣向にあった観光地・観光
施設の連携をいっそう進め、市内での滞在や広域的な周遊を促していく必要がある。
一方、当市が所有している観光施設は老朽化が著しいことから、観光に果たす役割と維持管理
の双方の観点からも施設の在り方を検討していく必要がある。
3 観光産業の育成
平成 28 年 3 月に国において策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」では、①「観光
資源の魅力を極め、地方創生の礎に」②「観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹
産業に」③「すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に」といった 3 つの
視点が掲げられた。これらを軸に、今後民間の力を最大限活用するDMOの組織化が各地で行わ
れ、安定的・継続的な「観光地域づくり」が築かれていくことが予想される。当市においても、
このような組織化に向け、地域全体で検討する必要がある。
方向と目標
●石見銀山遺跡や三瓶山などへの来訪者の正確な誘導と、分かりやすい情報提供を積極的
に行う。
●世界遺産登録 10 周年を契機として記念事業を展開し、三瓶山や海岸等の恵まれた観光
資源を全体で捉え、豊かな自然やさまざまな産業と連携した観光商品造成の支援に取り
組み、観光による交流人口の拡大を目指す。
●山陰道全線開通を好機と捉え、当市の魅力を発信し市内への観光誘客を図る拠点として、
仁摩・石見銀山インターチェンジ付近に道の駅を整備する。
施策の内容
1 魅力ある観光情報の提供
①石見銀山遺跡の世界遺産登録 10 周年を迎える平成 29 年度を契機と捉え、観光誘客に効果的
な観光ポスター、公式観光ガイドブックやパンフレットの作成、観光情報サイトの見直しな
ど、多面的な情報発信を進めるとともに、来訪者が繰り返し訪れていただけるよう、市内の
他の観光地や観光施設の情報提供を積極的に行う。
②案内・誘導サインの整理と統一を進める。併せて外国人をはじめ、来訪者にわかりやすい情
報提供を行う。
③石見銀山遺跡へ訪れる方や、市内の観光施設へ案内を行う拠点施設として道の駅を整備し、
積極的に情報が発信できるようにする。
-33-
2
魅力ある楽しい観光の提供
①石見銀山遺跡の世界遺産登録 10 周年を盛り上げ、滞在性と持続性のある観光地としていくた
め、観光キャンペーン実行委員会において市内で体験プログラムを行う活動や、観光誘客を
促進する新たなイベント活動等を支援する。
②石見銀山遺跡と三瓶山との連携による滞在型観光や、出雲大社や「たたら」との県内連携、
宮島、原爆ドーム、萩との世界遺産連携など、広域連携による周遊型観光の商品造成に取組
む。
③平成 27 年 4 月に一般社団法人化がなされた大田市観光協会の一層の組織強化を図る。
④大山隠岐国立公園満喫プロジェクト地域協議会により策定された、
「大山隠岐国立公園ステッ
プアッププログラム 2020」に基づく三瓶山地域の取り組みとして、三瓶山周辺の周遊性を向
上させるため、受入環境整備とブランドイメージを高める情報発信を行う。
⑤ヘルスツーリズムの事業化に向けて、健康効果が認められるプログラムの開発支援や、受入
環境整備を行い、民間で自立した事業となるよう支援していく。
3
観光産業の育成
①(一社)大田市観光協会の組織、運営の見直し・強化を進め、DMOのような観光のマネジ
メント機能を備えた観光推進組織の中心的役割を担い、大田市全体の観光振興を牽引する団
体となるよう、育成、支援する。また、行政と実施主体ごとの役割分担を明確にし事業連携
を図っていく。
②大田市の持つ自然、文化、歴史、産業などあらゆる地域資源を最大限活用し、市民が主体と
なって、市民や来訪者の満足度の継続、資源の保全等の観点から持続的に発展させる活動を
促進し、新たな観光地域づくりを進める。
-34-
主な施策と事業
施
策
事
業
(一社)大田市観光協会への支援
魅力ある観光
情報の提供
仁摩地区道の駅整備事業【再掲】
石見の国おおだ観光振興事業
付
記
観光協会の組織・事業強化に対する
支援
山陰道利用者等への、観光等の魅力
発信の拠点として、道の駅を整備す
る
観光情報発信、受け入れ体制の整備、
地域全体のホスピタリティの向上等
(一社)大田市観光協会への支援【再
掲】
石見銀山観光客対策事業
おおだの輝き発信事業
魅力ある楽し
い観光の提供
国立公園満喫プロジェクト
健康保養都市おおだプロジェクト
大田市観光施設改修事業
石見銀山遺跡世界遺産登録 10 周年事業
仁摩地区道の駅整備事業【再掲】
観光産業の育
成
(一社)大田市観光協会への支援【再
掲】
-35-
交通対策・安全対策・観光案内等、
石見銀山遺跡への来訪者を円滑に受
け入れ、観光客のおもてなしを図る
多様な観光資源の魅力を発信するた
め、都市部への売り込みや、観光大
使による発信、インバウンド事業の
推進を図る
室の内展望所の改修や景観眺望を阻
害する樹木の伐採等
ヘルスツーリズムなどの新たな観光
商品の開発支援や、受入環境整備を
行う
指定管理施設等の計画的な改修・更
新を行う
世界遺産登録 10 周年を節目として、
今後の周遊・滞在等の観光振興及び
地域振興につながる事業を展開。
実行委員会への負担金
山陰道利用者等への、観光等の魅力
発信の拠点として、道の駅を整備す
る
1-3 核となる技術や資源を「活かした」新産業創出と産業集積
施策体系
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
核となる技術や資源を「活かした」新産業創出と産業集積
新しい産業創出と産学官連携の推進
起業・創業の推進
現況と課題
1
新しい産業創出と産学官連携の推進
当市においては、医療器具の分野で国際的な事業展開を行う企業や特殊な農作物栽培技術、世
界初の装着式挿し刃帯鋸技術など、国内的にみても類まれな技術を有する企業が存在している。
また、西日本最大の産地であるゼオライトや瓦の原料である粘土、硝子原料となる硅砂など、
多種多様な鉱物資源を有する産地でもある。
更には、石見銀山遺跡や三瓶山に代表される県内屈指の観光資源をも有している。
これら当市特有の技術や資源を最大限に活かした取引拡大や観光客誘致はもとより、産学官を
はじめとした各種連携による新たな産業を創出し、外貨獲得と雇用の創出を目指す必要がある。
近年、市内企業においては、当市を含めた関係支援機関の助成制度を活用して、産学或いは産
官が連携して、技術や地域資源を活かした付加価値創出への取り組み事例が見受けられ、これら
の取り組みを一層推進するためにも、島根県やしまね産業振興財団をはじめ会議所、JA 等市内支
援機関で構成されている大田市産業支援センターで情報共有し連携を強化する必要がある。
周囲の自然環境や山野草等の食材、歴史や風土、文化等の地域固有の資源を併せて有効活用で
きるプログラムづくりとそのための環境や体制の整備を図り、そのための条件を検証するととも
に、優れた自然環境や周辺資源の有効活用や提携、参入あるいは協力可能な民間資本の活用、市
立病院、島根大学医学部、県立中央病院等の既存施設との有機的な連携の可能性等について検討
する必要がある。
2
起業・創業の推進
近年、飲食業を中心として年間 15 件から 20 件の起業・創業が見られる一方、これを上回る廃
業・空店舗化が進んでいる。
-36-
起業・創業は、雇用の場の確保や定住の促進、地域活性化における重要な要素であり、起業・
創業に対する支援に加え、起業・創業できる人材の育成、また、起業・創業後の事業成長まで、
関係機関と連携し、一貫した支援施策を展開する必要がある。
そのため、起業・創業を促進するための環境作りや新分野・異業種進出への支援が必要である。
方向と目標
●新技術を含めた核となる技術を活かした新たな商品、用途の研究開発を支援し、新産業創
出及び産業集積を推進する。
●新分野・異業種への参入や、起業・創業に取り組みやすい環境・体制づくりを進める。
施策の内容
1 新しい産業創出と産学官連携の推進
(1)新しい産業創出
①当市特有の技術や地域資源を活用した新商品開発への支援を行う。
②事業者・生産者が取り組む事業に対し、当市をはじめとする国県等の支援事業が効果的に活
用できるよう、事業者・生産者への現場訪問及び関係支援機関との連携を強化する。
③当市の地域資源を活かしたヘルスツーリズムを厚生労働省の特定保健指導のメニューとして
確立し、ビジネス化を目指す。
(2)産学官連携の推進
①地域産業の振興と新産業の創出を図るため、事業所・生産者への現場訪問により課題やニー
ズを把握し、大田市産業支援センターで情報共有を図りながら、教育研究機関との連携を推
進する。
2 起業・創業の推進
①「ふるさと大田創業支援事業」、
「メイドイン大田創出支援事業」、「ふるさと大田産業振興ア
ドバイザー設置事業」等により、起業・創業の促進を図る。また、島根県や会議所等関係機
関との連携により、起業・創業できる人材の育成を図る。
②「メイドイン大田創出支援事業」により、新製品・新技術の研究開発の促進を図る。また、
「産学官連携」や「6 次産業化」により、新分野・異業種進出への可能性を探求し、実現化
を図る。
-37-
主な施策と事業
施 策
事
業
付
記
メイドイン大田創出支援事業【再掲】
ふるさと大田産業振興アドバイザー設
新 し い 産 業 創 置事業
出と産学官連
大田市産業支援推進事業
携の推進
アドバイザーによる起業から販路開
拓などに至る相談業務等
地場企業や地元事業者に対し、総合的
な産業活動の支援
健康保養都市実現に向けた人材育成
健康保養都市おおだプロジェクト【再
や地域食材研究を行い、ヘルスツーリ
掲】
ズムの推進を行う
メイドイン大田創出支援事業【再掲】
起業・創業の推
6 次産業化支援事業
進
企業の農業参入による6次産業化へ
の支援
ふるさと大田創業支援事業【再掲】
-38-
1-4 地域や環境にやさしく未来へ「つなげる」産業の推進
施策体系
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
地域や環境にやさしく未来へ「つなげる」産業の推進
産学官並びに産業間連携と既存施設の有効活用
活力みなぎる地域産業
未来へつなげる農林水産業の育成
生産・経営基盤の整備
現況と課題
1 産学官並びに産業間連携と既存施設の有効活用
産業の集積や高度化が進む企業が乏しい本市においては、貴重な人的資源や大学、産業技術セン
ターが保有するノウハウの集積を有効に活用する必要があり、地域が一丸となって産学官による連
携を推し進めていくことが重要である。特に、中小零細企業がその大半を占める当市においては、
企業自らが商品開発や研究開発所を事業所内において独自に整えることが極めて困難であること
から、地域にある島根県立農林大学校、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構西日本
農業研究センター大田研究拠点(以下「大田研究拠点」という。)などの研究機関や行政が有機的
に連携を図ることにより、成功事例を積み重ねていくことが求められている。
また、地域ブランドの育成や観光産業の振興を考えていく上では、生産-販売、観光-飲食とい
った異なる産業間の連携を進めていくことも重要な要素であることから、地域産業の振興と新産業
の創出を図るために、関連産業や産業間の連携を強化することが必要である。
さらに、企業のニーズと大学等の専門知識、技術、研究との連携を図るなど、産業振興に向けた
仕組みづくりが必要である。
2 活力みなぎる地域産業
当市は、豊富な地下資源に恵まれており、特に良質な粘土を原料とする石州瓦の製造業が古くか
ら栄えてきた。この瓦産業が地域の「第 2 次産業」を牽引し、地域経済に大きな役割を果たしてき
たところであるが、近年は、住宅建設の低迷や耐震対策による軽量建材への移行により、生産・出
荷量が著しく減少している。
-39-
このほか、土壌改良や水質浄化に利用されるゼオライト・ベントナイト、加工しやすく墓石や灯
籠などに利用される福光石、板ガラスはもとより自動車部品の鋳型にも利用される珪砂など、地域
特有の地下資源があり、それぞれの特性を活かした付加価値の高い製品開発が望まれている。
一方、当市の産業振興を図るうえで重要な役割を担っている建設業については、一部で新分野へ
の事業展開に取り組まれているが、総じて公共事業が減少する中、全体として景気低迷が続いてい
る。また、市内には住宅関連産業も多く存在しており、大工や左官等職人の技と伝統を活用しなが
ら次代へ伝承することが求められている。
このような中、大田市産業振興ビジョンに基づき、「メイドイン大田創出支援事業」や「ふるさ
と大田産業振興アドバイザー制度」
、
「円安等対策資金信用保証料助成事業」等により企業の事業活
動の支援を強化すると同時に、
「石州瓦等利用促進事業」等にも取り組み、地場産品と市内事業者
の利用促進、雇用の拡大を図り、ひいては地場産業・地域経済の活性化を目指してきた。
今後は、各分野の課題解決を図りながら、併せて経済対策を実施し、また地域特有の伝統を持つ
職人の技法の伝承と育成にも更に力を注ぎ、企業の活動支援と、後継者や次代のリーダーといった
人材育成の強化を図る必要がある。
○ 製造業における事業所数・従業員数・出荷額の推移(従業員4人以上の事業所)
(各年12月31日現在)
従業員規模別事業所数
年次
4~
10~
20~
30~
100~
9人 19人 29人 99人 299人
計
従業者数
300人
以上
出荷額
(万円)
平成21年
91
42
28
7
10
3
1
2,464
3,484,469
平成22年
89
42
25
7
11
3
1
2,583
4,264,001
平成23年
84
43
19
7
11
2
2
2,494
4,423,289
平成24年
87
39
27
6
12
1
2
2,327
4,286,444
平成25年
80
32
27
5
12
2
2
2,354
4,355,755
(資料:工業統計調査)
-40-
○ 製造業(中分類別)事業所数・従業者数・出荷額の推移(従業員4人以上の事業所)
(各年12月31日現在)
事業所数
従業者数(人)
製造品出荷額等(万円)
産業中分類
H22 H23 H24 H25 H26
食料品
H22
H23
H24
H25
H26
H22
H23
H24
H25
H26
28
22
24
21
19
425
335
368
386
5
4
5
5
4
44
32
44
45
33
11
11
11
11
10
248
364
387
394
388
木材製品
7
6
6
6
5
46
41
45
42
34
37,020
33,876
50,619
40,931
33,387
家具
1
1
1
1
1
7
7
8
8
7
X
X
X
X
X
パルプ・紙
2
2
2
2
2
23
18
17
15
15
X
X
X
X
X
印刷
2
3
2
2
2
22
26
22
22
21
X
12,205
X
X
X
石油・石炭製品
-
2
1
-
-
-
9
4
-
-
-
X
X
-
-
プラスチック製品
1
-
-
-
-
145
-
-
-
-
X
-
-
-
-
ゴム製品
-
-
-
1
1
-
-
-
13
14
-
-
-
X
X
皮革製品
-
1
1
-
-
-
8
8
-
-
-
X
X
-
-
14
15
17
16
12
330
335
351
332
287 573,625 649,171 638,068 667,168 562,184
非鉄金属
1
1
1
1
1
265
312
306
306
312
X
X
X
X
X
金属製品
2
3
2
2
2
23
29
23
23
23
X
45,110
X
X
X
はん用機械
2
2
2
1
1
19
19
17
4
4
X
X
X
X
X
生産用機械
-
2
1
2
2
-
11
7
21
18
-
X
X
X
X
業務用機械
2
1
1
1
1
70
66
63
69
67
X
X
X
X
X
電子部品・デバイス
3
2
3
3
3
684
650
432
465
電気機械
4
4
4
3
3
166
168
156
149
輸送用機械
4
2
3
2
1
66
64
69
60
89
84
87
80
飲料・たばこ・飼料
繊維
窯業・土石製品
総数
389 572,332 539,962 558,938 610,962 633,278
87,353
74,542 110,297
99,790
67,488
69,345 391,981 240,275 244,677 240,417
481 1,135,460
X 991,344 889,716 1,082,063
94 347,409 353,953 311,564 283,107 300,977
60
84,831
X
82,530
X
X
70 2,583 2,494 2,327 2,354 2,247 4,264,001 4,423,289 4,286,444 4,355,755 4,503,956
※Xは事業所が特定される等の為、非公表
(資料:工業統計調査)
3 未来へつなげる農林水産業の育成
(1)農業
当市の農業は、水稲を基幹に野菜、果樹、肉用牛等の複合経営が主流であるが、高齢化と担い手
不足、有害鳥獣被害の拡大により、生産力は低下し、耕作放棄地が拡大傾向にある。
今後は、重点的に振興する作物を中心とした産地化や、「石見銀山和牛」のブランド化を進め、
市場評価を高める取り組みにより、儲かる農業を進めていくとともに、少量多品目による生産と産
地直送の組み合わせや、地域の農畜産物の加工及び販売により、小規模経営でも続けられる農業を
進める必要がある。
また、消費者の安全・安心への関心が高まる中、堆肥利用の促進を図るため、耕種農家が利用し
やすい仕組みづくりを進め、安全・安心な農産物づくりを進める必要がある。
畜産については、輸入飼料の高騰が生産コストの上昇につながり、畜産経営を圧迫する大きな要
因であるため、耕畜連携による稲WCS、稲ワラの確保や、水田放牧による労力軽減を図り、安定
した畜産経営を図る必要がある。また、家畜の「防疫体制」については、口蹄疫、高病原性鳥イン
-41-
フルエンザ等の家畜伝染病の発生は、地域経済への影響が大きく、予防やまん延防止に向け関係機
関と連携して迅速な対応を図る必要がある。
有害鳥獣対策については、被害の拡大が生産意欲の低下につながっていることから、駆除・防除
両面からの対策が必要である。
これらの取り組みを推進し、また、農村の維持や活性化のためにも、農業担い手対策として「認
定新規就農者」
、
「認定農業者」や「集落営農組織」等、多様な担い手を育成していく必要がある。
(2)林業
林業については、森林・林業・木材産業の成長産業と森林の多目的利用を両立した地域を実現す
るため、木材生産機能と公益機能を将来にわたり持続的に発揮させる森林づくりが必要である。
(3)水産業
水産業については、漁業資源の減少、高齢化等による労働力不足、魚価の下落などにより、漁業
経営は極めて厳しい状況であり、その改善に向けて、漁業生産構造の再編合理化を図るとともに、
引き続き、種苗放流による資源の確保に努めることが必要である。
また、地産地消、魚食普及の推進、大田産魚のブランド化等、売る手法についての検討も必要で
ある。
○ 専兼業別農家数
専 兼 業 別
年次
総農家数
昭和60年
5,300戸
平成2年
4,426戸
平成7年
3,955戸
平成12年
2,284戸
平成17年
1,753戸
平成22年
1,436戸
平成27年
1,098戸
専業
1 種 兼 業
2 種 兼 業
(17.6%)
932戸
(18.9%)
837戸
(20.8%)
824戸
(19.3%)
440戸
(23.6%)
414戸
(29.8%)
428戸
(29.0%)
318戸
(10.8%)
571戸
(7.2%)
317戸
(10.3%)
409戸
(8.4%)
190戸
(7.8%)
137戸
(7.7%)
110戸
(9.3%)
102戸
(71.6%)
3,797戸
(73.9%)
3,272戸
(68.8%)
2,722戸
(72.4%)
1,654戸
(68.6%)
1,202戸
(62.5%)
898戸
(61.7%)
678戸
(資料:農林業センサス)
※平成12年より販売農家のみ計上
-42-
○ 農業就業人口
年次
計
男 女 別
男
女
(36.0%)
(64.0%)
昭和60年
6,752人
2,428人
4,324人
(37.7%)
(62.3%)
平成2年
5,755人
2,171人
3,584人
(40.2%)
(59.8%)
平成7年
5,168人
2,076人
3,092人
(42.7%)
(57.3%)
平成12年
3,287人
1,404人
1,883人
(45.7%)
(54.3%)
平成17年
2,561人
1,171人
1,390人
(48.3%)
(51.7%)
平成22年
2,099人
1,014人
1,085人
(53.7%)
(46.3%)
平成27年
1,386人
744人
642人
※平成7年のみ年齢階層(16~29歳)は(15~29歳)の人数
※平成12年より販売農家のみ計上
16~29歳
(3.7%)
253人
(2.7%)
147人
(3.1%)
164人
(4.3%)
142人
(4.6%)
117人
(3.6%)
75人
(1.1%)
15人
年 齢 階 層 別
30~59歳
60歳以上
(36.2%)
(60.0%)
2,446人
4,053人
(27.3%)
(70.2%)
1,570人
4,038人
(18.6%)
(78.3%)
959人
4,045人
(15.8%)
(79.7%)
524人
2,621人
(13.4%)
(82.1%)
341人
2,103人
(12.0%)
(84.4%)
252人
1,772人
(10.0%)
(89.0%)
138人
1,233人
(資料:農林業センサス)
○ 経営耕地規模別農家数
年次
総農家数
0.5ha未満
(54.0%)
昭和60年
5,300戸
2,864戸
(53.4%)
平成2年
4,426戸
2,358戸
(54.0%)
平成7年
3,955戸
2,134戸
(36.7%)
平成12年
2,284戸
838戸
(34.6%)
平成17年
1,753戸
606戸
(33.3%)
平成22年
1,436戸
478戸
(31.7%)
平成27年
1,098戸
348戸
※平成12年より販売農家のみ計上
経営耕地規模別農家数
1.0~1.5
1.5~2.0
(8.4%)
(2.3%)
445戸
122戸
(8.9%)
(2.5%)
393戸
110戸
(7.9%)
(3.0%)
313戸
118戸
(11.5%)
(3.1%)
263戸
71戸
(11.7%)
(3.7%)
205戸
64戸
(13.0%)
(3.8%)
186戸
55戸
(13.8%)
(4.6%)
152戸
50戸
0.5~1.0
(33.1%)
1,753戸
(32.9%)
1,454戸
(32.1%)
1,271戸
(43.7%)
999戸
(44.4%)
778戸
(42.8%)
614戸
(40.9%)
449戸
2.0~3.0
3.0ha以上
(1.3%)
(0.8%)
71戸
45戸
(1.4%)
(1.1%)
63戸
48戸
(1.6%)
(1.4%)
64戸
55戸
(2.4%)
(2.6%)
54戸
59戸
(2.8%)
(2.9%)
49戸
51戸
(3.4%)
(3.8%)
49戸
54戸
(3.8%)
(5.2%)
42戸
57戸
(資料:農林業センサス)
○ 家畜・家きん飼養状況
(各年2月1日現在)
乳用牛
肉用牛
採卵鶏
年次
農家数
(戸)
頭数
(頭)
農家数
(戸)
頭数
(頭)
農家数
(戸)
羽数
(千羽)
平成22年
17
3,579
130
2,215
2
230
平成23年
17
3,555
122
2,353
2
245
平成24年
17
3,562
120
2,243
1
250
平成25年
17
3,577
109
2,243
1
250
平成26年
16
3,596
101
2,244
1
250
平成27年
15
3,473
100
2,161
1
250
(資料:農林水産課)
-43-
○ 水産漁獲高・漁獲量の推移
年次
漁獲高
(千円)
対前年比 %
漁獲量
(t)
対前年比 %
平成22年
2,525,095
89.3
7,059
87.8
平成23年
2,729,119
108.1
7,588
107.5
平成24年
2,619,446
96.0
6,950
91.6
平成25年
2,414,682
92.2
6,280
90.4
平成26年
2,359,422
97.7
5,658
90.1
平成27年
2,454,049
104.0
5,571
98.5
(資料:農林水産課)
4
生産・経営基盤の整備
新興国の経済不安、株価や円相場の乱高下等により、経営環境が悪化するなか、中小企業におい
ては、経営や設備投資に係る資金繰りも困難となっており、安定した経営が図られず、円滑な資金
調達が困難となっている。
また、地域産業を創造するうえで、地域で採れる 1 次産品や豊かな自然、更には、建築業界にお
ける大工や左官等で“匠”と呼ばれる人たちの“技”は、当市の貴重な地域資源である。
地域資源を活用した産品の生産や開発、販路開拓を強力に進めていくため、ほ場整備、漁場整備、
間伐に加え主伐による原木生産の取り組みや路網整備等、生産基盤の整備や各種事業に取り組む際
の融資制度、利子補給の支援等の経営基盤を整備し、引き続き、実施する必要がある。
また、漁業経営の安定化を目的として市内 4 カ所の市場を統合した「JF しまね大田水産物地方
卸売市場」が、平成 25 年 9 月に静間町の和江漁港に完成、オープンしたことにより、取扱い規模
の拡大による消費者ニーズへの対応と高度な衛生管理による良質な水産物の供給が可能となった
ことから、魚価の安定・向上につながりつつある。
方向と目標
●地域内メーカー等の連携や生産・販売・消費までの流通ネットワークを構築し、新たなブ
ランドづくりを促進する。
●農林水産業の育成による産業振興を図る。
●生産・経営基盤の整備・強化を図る。
施策の内容
1
産学官並びに産業間連携と既存施設の有効活用
(1) 既存施設の有効活用
①「大田研究拠点」や「島根県立農林大学校」、「島根大学」、「島根県立大学」、「島根県産業技
術センター」等の研究機関や専門機関のノウハウ・ネットワークを活用し、生産者・事業者
-44-
を抱える課題に素早く対応できる体制を整える。
(2) 産業間連携の強化
①地域内メーカー等の連携、生産、販売から消費までの流通ネットワーク構築による地元原材
料等を活かした新たなブランドづくりを促進する。
②観光産業とその他の産業を組み合わせ、付加価値を高めることにより、販売促進に繋げる。
③産業支援センターでの情報共有や産業振興アドバイザーのネットワークを活かし、産業間連
携を推進する。
2 活力みなぎる地域産業
①引き続き経済対策に取り組み、地場産品と市内事業者の利用促進、雇用の拡大を図る。併せ
て、島根県において実施の石州瓦や県産木材への補助制度、円安等対策資金といった経済対
策について、相乗して効果が発揮できるよう継続実施を働きかける。
②関係機関との連携により、粘土をはじめとする地下資源の効率的な活用や再利用、付加価値
の高い商品開発を促進する。
③他と差別化でき、付加価値の高い大田市発の新商品や新技術の開発、新規販路開拓等を支援
する「メイドイン大田創出支援事業」を活用し、意欲的で、先進的に取り組む企業創出を促
進する。
④会議所や商工会等の関係機関と連携し、
「ふるさと大田産業振興アドバイザー設置事業」を活
用し、企業体質の強化を図る。
⑤産学官・6 次産業化をはじめ、幅広い分野を含めた研究会等により、市内産業の高度化、新
産業創出を検討・促進する。
⑥「大田地域人材確保促進協議会」の事業強化による人材確保と、
「島根中央地域職業訓練セン
ター」の活用による人材育成を図る。
3 未来へつなげる農林水産業の育成
(1)農業
①計画的なほ場整備の実施により、地域農業の継続的な維持・発展のための基盤を整備する。
②ブドウなど振興作物の生産拡大を図るとともに、
「石見銀山和牛」のブランド化を図る。
③地産地消や産地直送等の農産物販売のチャンネルを増やし、農産物の生産・販売促進を図る。
④農産物加工による付加価値化を図り、6 次産業化を推進する。
⑤安全・安心な農産物づくりを進める。
⑥耕畜連携を強化し、稲WCSの生産と供給、稲ワラの確保と堆肥の利用を進める。
⑦畜産業における飼育管理の軽減と遊休農地の活用のために放牧を推進する。
⑧集落等で実施する鳥獣被害対策の取り組みを支援する。
⑨「認定新規就農者」
、
「認定農業者」や「集落営農組織」等、多様な担い手を育成する。
-45-
(2)林業
①「大田市未来につなぐ森づくり構想」に基づき、森林を活かし地域産業を伸ばすため、原木
生産体制づくり、競争力ある木材産業育成、販路・販売の拡大を推進する。
②森林を育て公益的機能を伸ばすため、持続可能な森林の管理・経営システムの構築、適期適
作業による災害に強い森づくりを推進する。
③森林を次世代につなげるため、知る機会やふれる機会の提供などを推進する。
(3)水産業
①新規に自営漁業を行う漁業者に対して、経営開始時の負担軽減のための支援を行い、漁業の
担い手の育成を進める。
②ヒラメの中間育成、アワビの放流など、資源増殖事業の継続的な実施に併せ、アマダイの中
間育成について検討する。
③魚食の普及や地産地消をJFや各種団体とともに推進する。
4
生産・経営基盤の整備
①島根県や「
(公財)しまね産業振興財団」等が実施する中小企業にとって有利な制度が、円滑
に活用出来るよう支援する。
②ほ場整備、漁場整備、森林施業等の生産基盤の整備や融資制度、利子補給等による経営支援
を行う。
-46-
主な施策と事業
施
策
産学官並びに
産業間連携と
既存施設の有
効活用
活力みなぎる
地域産業
事
業
付
記
ふるさと大田産業振興アドバイザー設
置事業【再掲】
農業振興施設改修事業
農業振興施設の改修
ふるさと大田産業振興アドバイザー設
置事業【再掲】
担い手総合支援事業
経営所得安定対策等推進事業
企業等の農業参入支援事業
自営就農開始支援事業
地域貢献型集落営農連携・強化支援事業
認定新規就農者、認定農業者、集落
営農組織等の育成支援
主食用米の生産調整と地域農産物
の産地づくりに向けた支援
企業の農業参入時に必要な施設整
備等に支援
認定新規就農者の経営に必要な施
設整備等に支援
集落営農組織が法人化を行う際の法
人経営に必要な施設整備等に支援
6次産業化支援事業【再掲】
未 来 へ つ な げ 中山間地域等直接支払交付金事業
る農林水産業
の育成
有害鳥獣被害対策事業
中山間地域等の耕作放棄防止及び
担い手の育成を促進
有害鳥獣の駆除、被害防止施策の普
及
肉用牛振興対策事業【再掲】
造林事業
島根県林業公社受託造林事業
森林(もり)づくり推進事業
市有林等の保育(植栽、下刈り除伐、
枝打ち、間伐)と管理・経営
分収林の保育(下刈り、除伐、枝打
ち、間伐)と管理
森林・林業・木材産業の振興、雇用
維持に対する支援
新規自営漁業者定着支援事業
漁業への新規就業者に対する支援
栽培漁業推進事業
ヒラメ、アマダイ稚魚の中間育成・
放流とあわび稚貝の購入費支援
ふるさと大田産業振興アドバイザー設
置事業【再掲】
小規模事業指導事業
農業近代化資金等利子補給
生産・経営基盤
多面的機能支払交付金事業
の整備
会議所、商工会が行う小規模事業所
への指導事業に対する支援
借り入れた農業近代化資金の利子
の一部を支援
農業生産資源の維持保全活動及び
環境保全活動に対し支援
農業農村整備事業
農業用排水施設整備、ほ場整備
農業用施設維持補修支援事業
公共性の高い農業施設の維持補修
水産多面的機能発揮対策事業
水産環境の維持・回復活動に対し支
援
-47-
1-5 戦略的な企業誘致活動の推進と「攻める」体制の強化
施策体系
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
戦略的な企業誘致活動の推進と「攻める」体制の強化
新たなネットワークづくりによる産業の誘致
フォローアップ強化と関連産業の育成
現況と課題
1
新たなネットワークづくりによる産業の誘致
企業誘致は、産業集積や地域産業を牽引する地元企業が少ない当市において、新たな雇用はもと
より、地元企業の受注の増加、地域の所得の増大、税収の増加などをもたらし、定住促進につなが
る即効性・波及性に優れた地域振興策であり、地場産業の振興、育成とともに産業振興施策の両輪
である。
近年、全国各地で発生している地震や豪雨等の自然災害に対する企業におけるリスク分散への意
識の高まりから、生産体制を西日本で強化する動きも出ている。また、これまでの中国を始めとし
た海外への生産拠点整備の流れが、中国経済の減速や労働者の賃金上昇に伴い、国内回帰へと変わ
りつつあることから、既存企業の国内生産体制強化による雇用拡大の動きも顕著となってきている。
「波根地区工業団地」への誘致対策として、平成 23 年 3 月に分譲価格の値下げの実施、割賦期
間の引き延ばし、また、
「事業用定期借地制度」の導入を実施して以降、市内事業者 2 社の進出が
あった。
また、平成 23 年 7 月には、
「大田市企業立地奨励条例」を改正し、優遇制度の対象となる要件の
緩和と助成割合の見直しを行い、小規模な設備投資で少数の雇用の創出が図られる場合においても
助成金の交付を可能としたことで、平成 23 年以降、4 件の立地計画認定(市認定)を行い、誘致
はもとより、地元企業の設備投資の促進を図ることで、雇用の拡大につながっている。
また、近年、地理的条件の制約が少なく、製造業等のような多大な初期投資も必要としないとい
う、誘致には好条件な特徴を持つIT関連企業の誘致にも注力しており、平成 26 年に 1 社、平成
28 年に 1 社の進出があった。
しかしながら、企業は、工場立地の選定に対し、本社・他の自社工場への近接性、地価、市場へ
の近接性、原材料の調達といった事項を最も重視しており、本社等のある都市圏から遠距離に位置
し、高速交通網の整備が進んでいない当市においては、製造業を中心とした誘致活動は極めて厳し
い状況にあり、高速交通網の整備を促進する必要がある。
-48-
また、企業進出を促進するため、都市圏から遠距離にあってもその影響が比較的少ない情報サー
ビス業の誘致や IT 関連産業の誘致、地域資源や技術を活用した関連産業の誘致を戦略的に進める
必要がある。
2 フォローアップ強化と関連産業の育成
市内には多くの雇用の場を創出している誘致企業があり、地域経済の発展に多大な好影響をもた
らしている。
アジア地域を中心とする海外経済の改善等により、一時業況が悪化していた市内誘致企業におい
ても電子部品製造業の設備稼働率は、不況前を超えるところまで回復が見られ、輸送機械・人工皮
革についても同様に回復傾向にある。
しかし、各企業とも取引先からのコストダウンの要求は厳しく、利益率は必ずしも売上に比例し
ているとは言えない状況である。
これまでの世界経済の大きな変動の影響下で、国内企業全般に事業の再構築が図られ、事業所の
閉鎖や市場との距離、円高、法人税率、人件費等の観点から、生産拠点を海外に移す傾向が見られ
ていたが、近年、為替動向や人件費の高騰から生産拠点の国内回帰の動きも見え始めている。
市内誘致企業においても、生産活動の更なる効率化と共に、一部企業では、既存生産体制強化や
生産拠点の国内回帰に伴う設備の増強や雇用の拡大が行われている。
また、地域貢献という視点においても社会貢献活動等を積極的に行うなど、持続的な発展に向け
全力で取り組みを進めているところである。誘致企業のフォローアップは、地元企業の育成と並ん
で産業振興の両輪となる重点施策であり、企業が地域とともに歩み、持続的に発展していく環境作
りを、企業と一体となって取り組む必要がある。
方向と目標
●企業誘致は、他地域との競争に打ち勝つためのまさに営業活動であり、情報の収集と情報
発信体制を強化し、新たなネットワークづくりを図る。
●戦略的な企業誘致を推進するとともに、既存誘致企業へのフォローアップ強化と関連する
産業の育成に取り組む。
施策の内容
1 新たなネットワークづくりによる産業の誘致
(1) 「波根地区工業団地」分譲に向けた取り組み
①山陰道をはじめとした道路網の整備促進を進める。
②分譲価格や賃貸価格について、見直しや検討を行う。
③製造業、情報サービス業等を中心に波根地区工業団地のPR及び優遇制度の紹介を積極的に
進めていく。
-49-
(2) 戦略的な誘致活動の推進
①情報サービス業や地域資源、市内の技術を活用する業種、既存誘致企業の関連業種等を対象
として戦略的に誘致活動を進める。特に、地理的な条件や設備投資面において、大きな制約
を受けにくいIT関連企業に対しての誘致活動を積極的に進めていく。
②企業が立地を検討するうえで必要な優遇施策について、適宜、見直しを図る。
③島根県や「ふるさと大田産業振興アドバイザー」等の市出身者との情報交換を積極的に行う。
④IT関連企業においては、企業間や技術者間のつながりが強いため、既進出企業との関係強
化を行う中で、そのネットワークを通じた情報収集や、新たなネットワークづくりを行う。
2
フォローアップ強化と関連産業の育成
①既存誘致企業並びに関連企業への訪問を積極的に行い、企業が直面する課題一つひとつに耳
を傾け、速やかに課題解決のサポートを行うことで、企業の持続的発展と関連企業の育成に
つなげる。
主な施策と事業
施 策
新たなネット
ワークづくり
による産業の
誘致
フォローアッ
プ強化と関連
産業の育成
事
業
付
企業誘致対策事業
記
誘致活動経費、情報収集等経費
ふるさと大田産業振興アドバイザー設
置事業【再掲】
企業誘致対策事業【再掲】
-50-
1-6 次世代を「担う」人材育成の推進
施策体系
地域資源のネットワークによる活発な産業づくり(産業振興)
次世代を「担う」人材育成の推進
産業教育の推進
産業従事者の育成
雇用の安定と労働者福祉の推進
現況と課題
1 産業教育の推進
過疎化、少子高齢化が進む当市において、地域活性化と定住促進のための就労の場の確保は喫緊
の課題であるが、新規学卒者をはじめとする若年層の都市部への流出により、人材の確保は困難な
状況となっている。
これに歯止めをかけるため、次代を担う市内の子供たちを中心に、地域の産業の実態や地域資源
に少しでも興味を持ち理解してもらうことで、将来的な市内での産業従事、また、定住につながる
ような教育を行う必要がある。
2 産業従事者の育成
新規学卒者をはじめとした若年層や、優れた技術、豊富な経験・知識を有するU・J・Iターン
者の受け皿整備は、不可欠な要素である。
人材確保については、「大田地域人材確保促進協議会」において、各種事業や情報提供などに取
り組み、人材育成については、
「
(独)雇用・能力開発機構」から当市に無償譲渡された「島根中央
地域職業訓練センター」を拠点として、教育訓練・能力開発等の各種訓練が実施されており、引き
続き、人材確保と育成に努める必要がある。
また、市内農林水産業の状況は、従事者の高齢化により、担い手の不足が進行しており、農林水
産業の振興、農山漁村の維持・活性化のためにも、新たな従事者の育成が必要である。
そのために「農業担い手支援センター」においては、認定農業者の育成、集落営農組織の設立及
びUIターン者による新規就農者の確保等、引き続き担い手の育成に努める。
-51-
3
雇用の安定と労働者福祉の推進
誘致企業を中心とした地元事業者においては、そのニーズに即した優秀な人材の確保を望んでお
り、求職者・求人者双方のニーズを把握し、また、調整することで、雇用の確保と定住につなげる
ことが望まれている。
労働者福祉においては、労働者福祉施設である「サンレディー大田」を活用し、研修・交流等各
種活動を通じて、働く女性などの能力開発や福祉の増進、教育の向上や文化の振興に成果を挙げて
きたところであるが、労働者の意識の変化、価値観の多様化といった社会情勢の変化への対応、ま
た、建物や設備の老朽化に伴う多額の修繕費用が必要なことから、同様な施設との存在意義と、利
用形態の整合を図りながら、労働者福祉に取り組む必要がある。
更に、中小企業労働者の福利厚生の充実のため、「(一財)島根県西部勤労者共済会」への事業者
の加入促進に努め、また、採用や昇進等において不当な差別がされないよう、引き続き労働環境の
充実を図る必要がある。
方向と目標
●全ての産業が抱える人材育成・後継者・担い手育成等の課題を解決するため、職業訓練体
制の充実並びに関係団体と連携した人材育成施策を展開する。
●大田市の産業を正しく理解し、正しく伝え、将来の大田市を担う人材を育成するために、
関係機関と連携を図りながら地域産業教育を進める。
●市民が地域資源について正しく理解するための情報発信を積極的に行う。
施策の内容
1
産業教育の推進
①大田地域人材確保促進協議会との連携を強化し、中学生や高校生に対し企業見学会を開催す
るなど、産業教育の拡充と地域産業の情報発信を図り、地元就職や地元定着を促す。
2
産業従事者の養成
①「大田市産業振興ビジョン」による各種事業を活用した産業振興での雇用拡大を図り、就労
の場の確保と定住を促進する。
②「大田地域人材確保促進協議会」との連携を強化し、事業の拡充と情報発信を行う。
③「島根中央地域職業訓練センター」を積極的に活用し、多様な人材の確保と育成に努める。
④人材確保、雇用開発に係る国・県の各種支援制度を有効に活用する。
⑤関係機関と連携し、農林水産業における新規就業者の確保や技術の習得、経営安定のための
支援などに取り組む。
-52-
3 雇用の安定と労働者福祉の推進
①新規学卒者をはじめとする若年層や、U・J・Iターン者の求職ニーズと、地元企業の求人
ニーズを把握し、双方のマッチングを図り、地域雇用の増と定住を目指す。
②労働者福祉の拠点となる施設については、他の同様な施設との意義や、利用形態の整合を図
り、修繕を含めた効率のよい施設運営と事業実施により、安定した労働者福祉を図る。
③事業者に対し「(一財)島根県西部勤労者共済会」への加入を促進し、労働者の福利厚生の充
実を図る。
主な施策と事業
施
策
産業教育の推
進
事
業
人材確保促進対策事業
“おおだ”で働こう!人財育成事業
産業人材スキルアップ事業
人材能力開発事業
産業従事者の
養成
付
記
大田地域人材確保促進協議会が行う
人材確保促進対策事業に対する事業
費負担
若年者の市内就職・定着を目的とし
た事業の実施
販路や業務の拡大、異業種への参入
等のために必要な資格等の取得を支
援
「島根県中央能力開発振興協議会」
が行う職業能力開発事業への支援
販売農家養成事業
おおだ農援塾を開講し、農業研修に
よる新規農業者を育成
青年就農給付金事業
認定新規就農者(45 歳未満)に対し
て、就農給付金を給付し支援
新規就農者総合対策事業
認定新規就農者(45 歳以上)等に対
して、就農給付金等を給付し支援
新規自営漁業者定着支援事業【再掲】
雇用の安定と
労働者福祉の
推進
人材能力開発事業【再掲】
(一財)島根県西部勤労者共済会運営費
負担金
-53-
中小企業勤労者への福利厚生事業を
行う団体の運営費負担
-54-
第2章
だれもが住みよく、
安心・やすらぎを感じる
生活づくり
2. だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり
《施策体系》
1 子どもを健やかに産み育てることができる環境づくり
1 子育て支援体制の整備・充実
2 生涯を通じた健康づくりの推進と地域医療の充実・確保
1 市民の保健・健康づくりに向けた推進体制の充実
2 地域医療体制の充実
3
保健・医療・福祉が一体となった総合的サービス
の充実
3 だれもが支え合い安心して暮らせる社会の実現
1
高齢者の保健福祉サービスの充実と高齢者が活躍
できる環境づくり
2 障がい者が安心して暮らせる社会づくりの推進
3
だれもが支え合うふれあいのある地域福祉社会の
形成
4 人権を尊重するまちづくりの推進
1 人権施策の推進
2 男女共同参画社会の実現
-56-
2-1 子どもを健やかに産み育てることができる環境づくり
施策体系
だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり(保健・医療・福祉)
子どもを健やかに産み育てることができる環境づくり
子育て支援体制の整備・充実
現況と課題
1 子育て支援体制の整備・充実
平成 27 年度に「大田市子ども・子育て支援事業計画」を策定し、
「おおだで生まれ育った“誇り”
をみんなが抱けるまちへ」を基本理念に掲げ、子育て支援策を推進してきた。
近年、当市の合計特殊出生率は、全国、島根県と比較して高い水準で推移しているものの、出生
数の低下により就学前児童数は、依然として減少傾向にあり、特に中山間地域においては、若年層
の減少とあいまって、児童数の減少は深刻な問題となっている。
また、核家族化などによる家族形態の変化や共働き世帯の増加、育児不安を抱える親は増加傾向
にある。子育てサロン・サークル・公民館等においては、子育ての相談や情報交換ができる場所と
なっており、各地区の社会福祉協議会ごとにネットワークを形成し、それぞれの地域で子育て家庭
への支援の取り組みがはじまっているが、地域によっては、子育ての協力者が不足するなど、さま
ざまな課題も出てきており、今後も地域で子育て家庭を支えあう環境づくりを行う必要がある。
保育サービスについては、多様な保育ニーズに対応するため、延長保育の拡充、休日保育の実施
等、特別保育事業を拡充してきたが、今後、更に就業を希望する保護者もみられることから、こう
した保育ニーズに対応する保育サービスの充実や、途中入所希望の待機児童の解消に対応するサー
ビス量の安定的な供給が求められている。また、多様化する保育ニーズに応えるため、公立保育所
については「指定管理者制度」を導入するなど、効率的で効果的な保育所運営を行っており、引き
続き民間活力を活用した保育所運営を進めていく必要がある。
子育てに伴う経済的な負担が少子化を招いている要因の一つとして言われており、当市では、子
育て家庭の経済的負担の軽減として、「保育料の軽減」
、「子ども医療費の助成制度」等を行ってい
るが、引き続き子育て世帯に対する経済的な負担軽減に努める必要がある。
児童虐待防止については、「大田市要保護児童対策地域協議会」の設置により、関係機関等と連
携を図りながら、児童虐待の早期発見・早期対応に努めており、今後も引き続き関係機関との連携
を強化し、児童虐待防止に努める必要がある。
-57-
○ 保育所等園児数の推移
(4月初日在籍人員)
区分
公
立
名称
平成25年度
平成26年度
平成27年度
平成28年度
定員
定員
定員
定員
定員
定員
人数
90
91
長久保育園
80
87
静間保育園
45
鳥井保育園
久手保育園
波根保育園
人数
保
育
事
業
所
認
可
外
人数
77
90
76
90
76
90
87
49
45
44
45
42
45
38
45
37
45
40
45
45
45
46
45
39
45
47
45
44
45
41
90
86
90
88
90
86
90
93
90
91
90
89
60
73
60
66
60
62
60
53
60
57
60
52
池田保育園
20
20
20
17
20
16
20
18
20
22
20
19
川合保育園
60
48
60
46
60
42
60
32
50
32
60
28
久利保育園
50
54
水上保育園
20
23
20
22
20
25
20
24
20
22
20
20
相愛保育園
120
132
温泉津保育所
60
40
60
48
60
52
60
50
60
50
60
50
湯里分園
20
9
20
11
20
11
20
9
10
10
20
8
120
109
120
112
120
113
120
118
120
116
120
109
880
866
630
596
630
565
630
558
610
557
630
543
130
140
130
140
130
142
130
148
130
141
130
130
志学保育園
20
16
20
15
20
14
20
12
20
16
20
14
みどり保育園
20
14
20
16
20
13
20
13
20
19
20
17
いそたけ保育園
45
35
45
36
45
41
45
47
45
46
50
50
サンチャイルド長久さわらび園
80
103
120
117
120
118
120
128
120
122
久利保育園
50
45
50
43
50
43
50
40
50
43
相愛保育園
120
138
120
123
120
129
120
119
120
125
50
22
50
40
50
44
50
52
465
493
555
515
555
550
555
553
560
553
ステップルーム
5
5
5
5
ナーサリーおだ
5
5
5
3
大森さくら保育園
10
5
12
11
わんぱ~く保育園
15
5
12
5
計
型
人数
90
たから保育園
域
人数
96
計
地
人数
90
あゆみ保育園
立
平成24年度
大田保育園
仁摩保育所
私
平成23年度
計
215
205
0
0
0
0
北三瓶保育園
30
5
5
5
たんぽぽ保育所
20
20
20
小田保育園
0
0
0
0
35
20
34
24
23
35
28
35
22
35
21
35
21
5
5
5
5
5
5
60
44
60
44
60
33
60
30
60
32
こばと保育園
60
36
柳瀬保育園
30
6
朝山幼稚園
20
6
大森幼稚園
20
6
20
6
20
6
20
2
大代幼稚園
20
5
5
5
5
5
5
5
17
3
17
7
わんぱ~く保育園
ステップルーム
5
5
5
5
5
5
5
5
計
205
89
120
93
147
96
147
79
95
51
95
53
合 計
1,300
1,160
1,215
1,182
1,332
1,176
1,332
1,187
1,295
1,181
1,319
1,173
-58-
(資料:子育て支援課)
方向と目標
●少子化に対応し、若者定住の促進を図るため、地域における子育て支援サービスの充実
を図る。
●公立保育所の民間活力導入を図り、多様化する保育ニーズに対応するとともに、「保育
料の軽減」等の保育サービスを充実する。
●児童の健全育成や児童虐待の防止等に積極的に取り組み、子どもを健やかに産み育てる
ことができる環境づくりを推進する。
施策の内容
1 子育て支援体制の整備・充実
(1) 地域における子育て支援サービスの充実
①すべての子育て家庭への支援を行う観点から、
「地域子育て支援センター」等による情報提供
や相談体制の整備を進める。
②仕事と子育て・家事の両立の実現に向けた、教育・啓発等を推進する。
(2) 保育サービスの充実
①さまざまな家庭の保育ニーズに対応するため、保育サービスの提供体制を整え、待機児童の
解消に努める。
②多様化する保育ニーズに応えるため、公立保育所への民間活力の導入などを図る。
(3) 子育て支援ネットワークづくり
①育児不安や孤立感を解消するために、子育て中の家庭・子育てグループと、子育て支援を行
う団体・関係機関等が協働しながら、すべての子ども達を支えあうためのネットワークづく
りを進める。
(4) 児童の健全育成
①心豊かでたくましい子どもを育むため、地域資源や人材を活用したふるさと教育や、子ども
の居場所づくりなどの事業を推進する。
(5) 経済的支援
①子どもの医療費の助成、保育所の保育料の負担軽減等を行い、子育て家庭への経済的支援の
充実に努める。
(6) 要保護児童への対応
①児童虐待の発生防止、早期発見、早期対応、保護・支援のため、
「大田市要保護児童対策地域
-59-
協議会」を構成する関係機関・団体等との連携やネットワークづくりの強化に努める。
主な施策と事業
施 策
事
業
記
保育所特別事業
一時預かり、延長保育、病後児保育
等の保育サービスの充実
障がい児保育事業
民間保育所による障がい児保育事業
への支援
公立保育所施設整備事業
施設改修等
第 3 子以降保育料の無料化
民間保育所施設整備支援事業
要保護児童対策事業
子育て支援体
制の整備・充実
付
第 3 子以降 3 歳未満の児童にかかる
保育料の無料化
「大田市次世代育成支援行動計画」
に沿った民間保育所の施設整備に対
して助成
要保護児童の早期発見、関係機関と
の連携
放課後児童健全育成事業
放課後児童クラブの拡充
保育士さんいらっしゃい奨励金交付事
業
待機児童解消に向け、市外から定住
した保育士に対して奨励金を交付
子どものための教育・保育給付事業
地域子育て応援事業
市内保育所、地域型保育事業への施
設型給付費の支払い
地域の子育て支援機能の充実を図
り、子どもの健やかな育ちを支援
・心身障がい児ミニ療育活動事業
・少子化対策関連啓発事業
・こんにちは赤ちゃん絵本事業
・ファミリーサポートセンター事業
・地域子育て支援センター事業
・おじいちゃんおばあちゃん保育ボ
ランティア事業
乳幼児医療費の負担軽減
乳幼児の医療費の助成
子ども医療費(義務教育期間)の負担
軽減
義務教育期間の児童・生徒の医療費
の助成
-60-
2-2 生涯を通じた健康づくりの推進と地域医療の充実・確保
施策体系
だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり(保健・医療・福祉)
生涯を通じた健康づくりの推進と地域医療の充実・確保
市民の保健・健康づくりに向けた推進体制の充実
地域医療体制の充実
保健・医療・福祉が一体となった総合的サービス
の充実
現況と課題
1 市民の保健・健康づくりに向けた推進体制の充実
健康で心がふれあう社会を目指し、生涯を通じた健康づくりを推進してきたが、少子高齢化、核
家族化が進む中で、地域コミュニティが希薄となり、育児に悩みを持ち、育てにくさを感じる親が
増えている。特に、ハイリスク妊婦や育児不安への対応を要する親は、増加傾向にあり、子どもや
親に対する健康確保などの支援体制の充実、子育てに伴う保護者への経済的負担の軽減が必要とな
っている。
一方、壮年期や高齢期においては、がん、心疾患、脳血管疾患が死亡原因の半数を超えており、
重大な危険因子である糖尿病、高血圧症、高脂血症が増加傾向にある。そのため、幼児期から高齢
期までのそれぞれのライフステージにおいて、生活習慣病予防対策の推進、食育の推進と食生活の
改善、歯科保健の推進、健康づくりのための運動の推進など、総合的な生活習慣病予防対策に取り
組む必要がある。
健康づくりは、市民自らが健康に関心を持ち、その必要性を自覚し、生活習慣の行動変容をとげ
なければ効果をあげることができない。そのため、健康まちづくり推進方針で掲げる市民の健康づ
くりとその環境づくりの推進を目指し、大田市健康増進計画に基づき、市民の地域活動や各組織と
連携し、生涯を通じた健康づくりを地域全体で推進していく体制を構築していくとともに、日々の
生活に忙しく健康的な行動をしていない人や健康に関心のない人に対して、持続的に健康づくりに
取り組むきっかけとなる方策を検討していく必要がある。
-61-
2
地域医療体制の充実
広範な行政区域を有し、また、中山間地域に集落が点在する当市においては、市民の生命と健康
を維持する地域医療の確保は極めて重要な課題である。
当市における医療機関は、その大半が市内中心部に集中しており、高齢化率の高い中山間地域で
は、医療機関の無い地区があり、公共交通機関の脆弱性ともあいまって、医療機関を利用しにくい
状況である。
今後も、医師の高齢化と医療機関の地域偏在が進むことが予想されることから、当市全域におけ
る医療確保は喫緊の課題である。
一方、志学地域にみられるように、地域が自らの課題として医師確保に取り組み、市と連携して
診療所再開にこぎつけた例もあり、医師確保に向けて市を挙げた取り組みが必要である。
市立病院は、当市はもとより、邑智郡も含めた県央地域の大田二次医療圏の中核病院として、こ
の地域の医療を先導する中心的役割を担うと同時に、島根県の医療提供体制の確保、充実にも重要
な役割を果たしてきた。
また、平成 23 年度から診療機能強化と総合医育成のため、
「島根大学医学部」への当市からの寄
附による「総合医療学講座」が開設され、市立病院内には臨床をとおした教育・研究・研修の拠点
となる「大田総合医育成センター」が設置されており、総合医の育成や地域医療の支援に関する実
証、診療が行われており市立病院における診療機能の強化に大きく貢献している。
今後、平成 32 年度にグランドオープンを予定している新大田市立病院については、地域医療体
制の充実や保健・福祉との一層の連携を図るとともに、医師等の医療従事者の確保などにより、地
域医療支援機能を持った中核病院としての総合的な医療提供体制の充実を図る必要がある。
○ 医療機関の状況
(各年12月31日現在)
病院
年次
施設数
施設数
病床数
一般診療所
有床
無床
歯科診療所
助産所
薬局
平成22年
2
549
8
47
14
0
14
平成23年
2
549
8
44
14
0
15
平成24年
2
549
8
39
15
0
16
平成25年
2
549
8
38
16
0
16
平成26年
2
549
7
37
17
0
15
平成27年
2
549
7
37
16
0
15
(資料:県央保健所)
-62-
○ 保健医療者関係者数
(平成26年12月31日現在)
医 師
区 分
歯科医師
人口10万
人当り
総数
薬剤師
人口10万
人当り
総数
保健師
人口10万
人当り
総数
人口10万
人当り
総数
大田市
68
189.6
20
55.8
62
172.9
24
66.9
島根県
1,947
279.3
412
59.1
1,275
182.9
462
66.3
311,205
244.9
103,972
81.8
288,151
226.7
48,452
38.1
全国
助産師
区 分
看護師
人口10万
人当り
総数
准看護師
人口10万
人当り
総数
歯科衛生士
人口10万
人当り
総数
人口10万
人当り
総数
大田市
13
36.3
294
819.8
209
582.8
30
83.7
島根県
285
40.9
7,890
1,132.0
3,114
446.8
811
116.4
33,956
26.7
1,086,779
855.2
340,153
267.7
116,299
91.5
全国
歯科技工士
区 分
※医師、歯科医師、薬剤師は、未就業者を含む
人口10万
人当り
総数
大田市
14
39.0
島根県
280
40.2
34,495
27.1
全国
※人口は、平成26年10月1日推計人口(大田市は35,861人で計算)
(資料:県央保健所)
○ 医師・歯科医師数(年齢別)
(平成26年12月31日現在)
一般
区 分
大田圏域
島根県
39歳以下
40~54
55~64
歯科
65~74
75歳以上
計
内65歳以上 65歳以上
10
32
30
17
12
101
29
12
520
677
427
212
111
1,947
323
101
(資料:県央保健所)
3 保健・医療・福祉が一体となった総合的サービスの充実
0 歳から 14 歳までの年少人口が減少する中で、65 歳以上の老年人口は増加し続け、当市の 3 人
に 1 人は 65 歳以上であることから、医療依存度が高く、今後も、要介護状態の高齢者の増加が予
測される。
そのため、子どもから高齢者まで、また、障がいのある人・ない人も、「だれもが住みよく、安
心・やすらぎを感じる生活づくり」を目指して、諸事業を推進していく必要がある。
「大田市健康増進計画」
、
「大田市高齢者福祉計画(介護保険事業計画)
」
、
「大田市障がい者計画」
等をはじめとした各種計画に基づき、子どもから高齢者までを地域全体で支えるため、保健・医療・
福祉等、さまざまな分野の連携を図る必要がある。
更に、保健・医療・福祉の各施設・組織が、相互に協調・連携を図り、疾病の早期発見・早期治
療、リハビリテーション、在宅医療・介護サービス等の一貫したシステムを構築する必要がある。
-63-
方向と目標
●すべての市民が健康に関心を持ち、地域全体で健康づくり活動を推進する基盤整備を継
続して進める。
●すべての市民が主体的に楽しみながら、健康づくりができる環境づくりを推進する。
●市立病院の診療機能体制を強化し、市民の安全・安心を確保するとともに、医師会、島
根県等関係機関と連携する中で地域医療の確保と医療サービスのいっそうの充実を図
る。
●保健・医療・福祉の各分野のいっそうの連携により、総合的なサービスを充実する。
施策の内容
1
市民の保健・健康づくりに向けた推進体制の充実
(1) 子どもと親の心とからだの健康増進
①安心して妊娠・出産ができる環境づくりに取り組む。
②子どもの心とからだの安らかな成長・発達と育児不安の軽減に努める。
③子どもの疾病の早期発見及び早期治療を促進するため、経済的負担の軽減を図る。
(2) 健康寿命の延伸
①がん、心疾患、脳血管疾患による死亡の減少に向けて、生活習慣病予防対策を積極的に進め
る。
②心の健康に関する相談や、ゲートキーパー(身近で悩んでいる人に気づき、適切な対応ので
きる人)の養成等を実施し、自死予防に取り組む。
はちまるにいまる
③ライフステージに応じた食育及び食生活の改善・生活習慣病予防・歯科保健( 8 0 2 0 運動)
を推進する。
④感染症対策として予防接種率の向上を図る。
(3) 健康づくり活動の推進
①健康づくり推進協議会などの健康づくりグループが、地域において主体的な活動ができるよ
う、地域全体で健康づくり活動に取り組んでいく体制づくりを推進する。
②市民が自分自身の健康に関心を持ち、積極的に健康づくりに参加する契機となる取り組みの
検討を行う。
-64-
2 地域医療体制の充実
(1) 地域支援機能の充実
①医師会、診療所との病診・病病連携を強化し、地域全体で市民の健康を守る体制の確立に努
める。
②健康診断機能やリハビリテーション機能の充実を図る。
③医療活動の拠点施設である地域診療所の整備、充実を図る。
(2) 医療提供体制の充実
①医師等の医療従事者の確保に努める。
②医師会の支援により、休日等における急病患者に対して、休日応急診療を行う。
③「島根大学医学部」が当市の寄附により開設した「総合医療学講座」の一環として、市立病
院内に設置されている「大田総合医育成センター」における総合医の育成を通じて、市立病
院における診療機能の強化を図る。
④新大田市立病院建設を着実に進め、早期の開院を目指す。
(3) 医療従事者の確保と教育・研修機能の強化
①「大田総合医育成センター」において、プライマリケアを中心とした幅広い診療能力を有す
る総合医のあり方に関する研究及び総合医の育成を推進する。
②将来の医療従事者確保に向け、島根大学医学部地域枠推薦を活用した高校生等への医学部進
学の促進、島根大学医学部地域枠学生との交流を行うとともに、中学生や高校生を対象とし
た医療講演会、医療セミナー等の取り組みを進める。
(4) 健康まちづくりの推進
①保健・医療・福祉・環境・産業・都市計画など様々な分野の連携を強化し、市民の健康づく
りとその環境づくりを進める。
3 保健・医療・福祉が一体となった総合的サービスの充実
①市立病院においては、 地域の医療機関等との連携を強化し、地域医療のサービス充実に努め
る。
②医師会、歯科医師会との密接な協力関係を発展させ、診診連携、病診連携体制の向上に努め
るとともに、福祉関係機関との連携を図る。
③在宅医療・介護の連携など保健、医療、福祉が一体となった総合型サービスの充実を図るた
め、保健センターや地域包括支援センター等の機能のあり方について検討を行う。
-65-
主な施策と事業
施 策
市民の保健・健
康づくりに向
けた推進体制
の充実
地域医療体制
の充実
保健・医療・福
祉が一体とな
った総合的サ
ービスの充実
事
業
付
記
健康づくり推進事業
地域全体で健康づくり活動及び個人
の健康づくり活動の推進、健康ポイ
ント制度等の検討
こころと命のサポート事業
自死予防の相談、啓発、ゲートキー
パーの養成、健康づくり優良事業所
表彰等
食育推進事業
食育推進の啓発活動、食育ボランテ
ィアの会の活動支援
こんにちは赤ちゃん訪問事業
生後 2~4 カ月までの乳児がいる全
ての家庭を訪問
がん検診事業
受診しやすい検診体制の整備、検
診・精検受診率の向上
感染症対策事業(予防接種事業)
各種予防接種、乳幼児・児童予防接
種の実施
健康まちづくり推進事業
健康づくりの機運醸成、まちの保健
室の開設
地域診療所維持確保事業
診療所の修繕及び医療機器の整備
地域医療確保対策事業
地域医療の確保
総合医療学講座事業
「大田総合医育成センター」の設置
による地域医療の充実
新大田市立病院建設事業
新大田市立病院の建設
保健・医療・福祉の連携
関係機関・団体との連携強化
医師会、歯科医師会等との連携
診診連携、病診連携等
在宅医療・介護連携推進事業
地域の医療・介護の総合的な確保、
在宅サービスの充実
-66-
2-3 だれもが支え合い安心して暮らせる社会の実現
施策体系
だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり(保健・医療・福祉)
だれもが支え合い安心して暮らせる社会の実現
高齢者の保健福祉サービスの充実と高齢者が活
躍できる環境づくり
障がい者が安心して暮らせる社会づくりの推進
だれもが支え合うふれあいのある地域福祉社会
の形成
現況と課題
1 高齢者の保健福祉サービスの充実と高齢者が活躍できる環境づくり
当市は、人口減少が続く一方で、高齢者人口の増加などにより、県内 8 市で最も高い高齢者比率
となっており、今後、「団塊の世代」が高齢化の時期を迎えるなど、高齢者施策の推進は極めて重
要となっている。
その中で、介護保険施設の整備状況は、介護老人福祉施設 6 カ所、介護老人保健施設 2 カ所をは
じめ、グループホーム等を含めて島根県内の水準を上回る状況にある。
介護保険における、要介護認定者数は年々増加しており、これらに対応する在宅サービスについ
て一定の整備がなされている中、今後ともサービスの質の向上を図り、高齢者ができる限り要介護
状態に陥ることなく、地域において健康でいきいきとした生活が送れるよう、介護予防事業を充実
していくことが重要となっている。
また、高齢者の生きがいづくり対策や、高齢者が長年培ってきた知恵と経験を、若者・地域へ伝
承するなどのさまざまな地域貢献への取り組みも必要となっている。
-67-
○ 人口構造(40歳以上)の推移
区 分
総人口
平成2年
47,291
平成7年
平成12年
44,953
42,573
27,362
27,589
27,521
(57.9%)
(61.4%)
(64.6%)
10,824
12,220
13,238
65歳以上
(22.9%)
(27.2%)
(31.1%)
7,378
8,482
9,747
70歳以上
(15.6%)
(18.9%)
(22.9%)
4,659
5,311
6,265
75歳以上
(9.9%)
(11.8%)
(14.7%)
16,538
15,369
14,283
(再掲)40~64歳
(35.0%)
(34.2%)
(33.5%)
※平成27年の年齢別割合については、年齢不詳188人を総人口から除く
40歳以上
-68-
平成17年
平成22年
(単位:人)
平成27年
40,703
37,996
35,166
26,959
(66.2%)
13,357
(32.8%)
10,669
(26.2%)
7,418
(18.2%)
13,602
(33.4%)
25,775
(67.8%)
13,162
(34.6%)
10,554
(27.8%)
8,032
(21.1%)
12,613
(33.2%)
24,351
(69.6%)
13,345
(38.2%)
10,012
(28.6%)
7,521
(21.5%)
11,006
(31.4%)
(資料:国勢調査)
○ 要介護認定者数等の状況
区 分
第1号被保険者数(A)
要支援
要支援1
要
要支援2
介
要介護1
護
認
要介護2
定
要介護3
者
要介護4
数
要介護5
合 計(B)
認定率(B/A)
(各年度3月31日現在、単位:人)
平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度
13,355
13,137
13,095
13,277
13,449
13,636
13,765
-
-
-
-
-
-
-
476
556
600
657
692
654
570
340
337
356
350
379
399
452
447
490
533
586
628
660
679
460
459
479
470
465
411
428
342
317
353
351
316
353
374
305
297
296
286
282
298
315
374
411
398
371
354
354
348
2,744
2,867
3,015
3,071
3,116
3,129
3,166
20.5%
21.8%
23.0%
23.1%
23.2%
22.9%
23.0%
(資料:介護保険課)
○ 介護保険対象施設等の整備状況
区 分
介護老人福祉施設
施設数
平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
350
350
350
350
6
6
6
6
地域密着型介護老人福祉施設
介
施設数
護
介護老人保健施設
保
険
施設数
対 介護療養型医療施設
象
施設数
施 グループホーム
設
施設数
合
計
施設数
養護老人ホーム
施設数
そ 軽費老人ホーム
の
施設数
他
高齢者生活支援ハウス
施
施設数
設
合
計
施設数
110
2
69
2
105
8
634
18
50
1
50
1
34
2
134
4
110
2
69
2
105
8
634
18
50
1
50
1
34
2
134
4
110
2
69
2
105
8
634
18
50
1
50
1
34
2
134
4
110
2
69
2
105
8
634
18
50
1
50
1
34
2
134
4
(各年度3月31日現在、単位:床、箇所)
平成25年度 平成26年度 平成27年度
350
330
330
6
6
6
20
20
1
1
110
110
110
2
2
2
69
69
69
2
2
2
105
105
105
8
8
8
634
634
634
18
19
19
50
50
50
1
1
1
50
50
50
1
1
1
34
34
34
2
2
2
134
134
134
4
4
4
(資料:介護保険課/地域福祉課)
2 障がい者が安心して暮らせる社会づくりの推進
当市においては、身体障がい者数は減少傾向にあるが、知的障がい者及び精神障がい者数には大
きな変動はない。
しかしながら、身体障がい者のうち 65 歳以上の高齢者が、全体の 80%を超え、また、重度の身
体障がい者も約半数を占めるなど、高齢化と重度化の傾向が続いている。
-69-
更に、障がい者本人だけでなく、介護者や介助者の高齢化も進んでおり、障がい者の自立に大き
な影響をおよぼしている状況である。
このような中で、「障害者総合支援法」の施行により、障がい者福祉制度の見直しがされたこと
から、障がい者がその有する能力・適性に応じた社会生活を営むことができるよう、必要な情報提
供や相談支援、福祉サービスを計画的に進めてきた。
障がい者を取り巻く環境の変化、障がいの重度化やニーズの多様化に対応するきめ細やかな福祉
サービスの提供、並びに、障がい者のよりいっそうの社会参加を進めるためには、行政はもとより、
市民、ボランティア、事業者及び障がい者の相互理解と協力が不可欠であり、その条件整備や体制
づくり、啓発活動をより進める必要がある。
更に、障がいを持つ人が、住みなれた家庭や地域で自立した生活が送れるよう障がい者の地域生
活への移行を進めるためには、教育、雇用、社会参加、保健・医療・福祉等の幅広い分野で連携を
取りながら総合的に進めていかなければならない。
とりわけ「障がい者の親亡き後」への対策として、今後も生活拠点となるグループホームの整備
が必要である。
障がい者の就労支援については、関係機関と連携を図りながら、一般就労の支援、就労継続支援
事業所を利用している障がい者の工賃向上が求められる。
また、低所得世帯をはじめとして、医療費の負担増が生活費を圧迫している状況にあることから、
低所得者への助成制度については、引き続き実施していく必要がある。
○ 障がい者数の推移
(各年度3月31日現在)
平成22年度
人数
内65
歳以上
平成23年度
人数
内65
歳以上
平成24年度
人数
内65
歳以上
平成25年度
人数
内65
歳以上
平成26年度
人数
内65
歳以上
平成27年度
人数
内65
歳以上
身体障がい者
2,462
1,893
2,430
1,875
2,369
1,848
2,323
1,817
2,264
1,794
2,207
1,771
知的障がい者
406
55
406
58
414
60
418
59
423
61
430
64
精神障がい者
255
33
269
41
302
68
302
65
381
107
412
131
3,123
1,981
3,105
1,974
3,085
1,976
3,043
1,941
3,068
1,962
3,049
1,966
計
(資料:地域福祉課)
3
だれもが支え合うふれあいのある地域福祉社会の形成
(1)地域福祉社会の形成
少子高齢化・核家族化がいっそう進行し、地域社会の相互扶助機能の弱体化が進み、地域社会の
維持、再生に向けた体制や仕組みの見直しへの取り組みがより求められる状況となっている。
また、社会環境の変化に加え、介護保険制度や障がい者福祉制度の見直しなどにより、地域福祉
の状況は利用者主体の福祉制度に移行し、福祉需要の多様化と増加をもたらしており、行政だけで
なく、さまざまな関係者の関わりと参加によるきめ細やかな福祉事業の実施と地方分権の推進、市
民の社会参加意識の高まりによる行政と市民との協働やボランティア活動など、地域住民の自主的
な福祉活動が広がる中で、地域のさまざまな団体及び関係者との関わりや、参加による福祉の積極
-70-
的な推進が必要となっている。
(2)消費者相談
昨今、食の安全・安心という消費生活の最も基本的な事項に対する消費者の信頼を揺るがす事件
や、高齢者の生活の基盤である資産を狙った悪質商法など、暮らしの土台そのものを揺るがす問題
が多く生じるようになってきた。
消費者の安全・安心を確保するため、各種機関が設置され、法律の整備も進んでいるが、消費者
に対する啓発活動をいっそう推進するとともに、消費生活専門相談員を引き続き配置して相談窓口
の対応を強化し、消費者団体との連携や組織体制の充実を図る必要がある。
方向と目標
●高齢者が、住みなれた家庭や地域で、健康で生きがいを持って暮らせるよう、在宅サー
ビスや介護予防事業を充実するとともに、主体的に地域社会へ参加し、活躍できる環境
づくりを推進する。
●障がい者がその有する能力・適性に応じ、自立した生活を営むことができるよう、障がい
福祉サービスの充実や社会参加の促進等、地域で障がい者を支えるための条件整備や体制
づくりを進める。
●市民参加による地域福祉活動の充実と地域社会の相互扶助機能の向上を図るとともに、
「大田市社会福祉協議会」等の関係団体や、地域住民・組織と連携しながら、地域活動を
支援する。
施策の内容
1 高齢者の保健福祉サービスの充実と高齢者が活躍できる環境づくり
(1) 介護保険事業
①「地域包括支援センター」において、予防給付と介護予防事業のケアマネジメントを一体的に
実施し、要介護状態になることの予防と、要介護状態の悪化予防に取り組む。
②高齢者への虐待防止や早期発見のための事業に取り組む。
③地域福祉の向上を図るため、地域ケア会議を有効に活用し、関係機関・団体等との連携強化に
取り組む。
④それぞれの地域の特色を活かしながら、住民が主体となって運営する、高齢者の通いの場づく
りの取り組みや要支援者等に対する多様なサービスを充実するなど、地域の支え合い体制の構
築を図る。
(2) 高齢者が活躍できる環境づくり
①高齢者の閉じこもり防止や自主的活動の支援に取り組む。
-71-
②長年培われた高齢者の知恵と経験を若者や地域へ伝承するため、大田市社会福祉協議会、公
民館、まちづくりセンター、民生児童委員等との連携を図り、サロンの拡大・充実や老人ク
ラブ活動の支援などに取り組む。
2
障がい者が安心して暮らせる社会づくりの推進
①障がい者福祉を充実していくために、
「大田市障がい者計画」に基づき、総合的な障がい者施
策を推進し、障がい者に対する福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業等のサービス
提供体制の基盤整備を図る。
②障がい者に係るさまざまな課題の解決のために、相談支援事業の機能強化を図る。
③関係機関と連携を図りながら、障がい者の一般就労支援を進めていくとともに、
「ふくしネッ
トワーク『にじ』
」を核とした授産品の販売促進や商品開発等により、就労継続支援事業所を
利用している障がい者の工賃向上を図る。
④障がい者が地域社会の中で自立した生活が送れるよう、障がい者グループホーム等の施設整
備に対して支援する。
⑤障がい者社会参加促進事業等の充実強化により、障がい者の社会参加をよりいっそう進める。
⑥地域福祉の推進を図るとともに、障がい者を取り巻く地域課題の解決に向けた取り組みを進
める。
⑦福祉医療費については、引き続き低所得者の負担軽減を図る。
3
だれもが支え合うふれあいのある地域福祉社会の形成
(1)地域福祉社会の形成
①住み慣れた地域で、安心して暮らせる地域社会の実現に向け、
「大田市地域福祉計画」に基づ
き、市民参加による総合的な地域福祉施策を推進する。
②地域福祉活動の拠点となる「大田市社会福祉協議会」の取り組みを積極的に支援し、各地区
の社会福祉協議会、まちづくりセンター、民生委員・児童委員、ボランティア、NPOや各
種団体、専門相談機関等と連携しながら生活支援体制の形成を図る。
③各地域では、自治会や各地区の社会福祉協議会を中心とした小地域ネットワーク体制を拡充
し、福祉のまちづくりを通じた地域社会の維持、活性化を進める。
④市民の地域福祉に対する意識の高揚を図るため、積極的に啓発活動を展開する。
⑤生活保護世帯が増加傾向にあり、迅速な処理と効率化を図るため、生活保護システムの更新
を行う。
(2)消費者相談
①消費者相談に対応するため、消費生活専門相談員を配置し、市民からの相談に的確に対応で
きるよう相談窓口の充実を図り、消費者が安心して暮らせる社会の実現を目指す。
②消費者に対する啓発活動を推進し、消費生活の安定を図るため、
「大田市消費者問題研究協議
会」等、消費者団体との活動連携や、活動促進への支援を行う。
-72-
主な施策と事業
施
策
高齢者の保健
福祉サービス
の充実と高齢
者が活躍でき
る環境づくり
事
業
付
高齢者地域福祉推進事業(老人クラブ
活動推進)
活動費支援
地域ケア会議の開催
関係機関・団体等との連携強化
ふれあいいきいきサロンづくり活動
推進事業
大田市高齢者福祉計画・介護保険事業
計画策定
サロンづくり事業への支援(サロン
立ち上げ時)
「大田市社会福祉協議会」等との連
携による介護予防の支援
コーディネーターの配置、協議会の
設置等
訪問型サービス、通所型サービス、
介護予防ケアマネジメント
「老人福祉法」、「介護保険法」に基
づく計画
大田市障がい者計画策定
「障害者基本法」に基づく計画
大田市障がい福祉計画策定
「障害者総合支援法」に基づく計画
大田市障がい児福祉計画策定
「児童福祉法」に基づく計画
障がい者相談支援事業
専門相談、一般相談の実施
地域活動支援センター事業
障がい者等の地域生活支援の促進
障がい者社会参加促進事業
啓発事業、移動支援事業、スポーツ
大会、奉仕員養成等
障がい者自立支援協議会の開催
関係機関・団体との連携強化
福祉医療費の負担軽減
低所得者への福祉医療費の支援
消費者問題啓発事業
消費者相談、消費者への啓発活動
大田市社会福祉協議会運営支援事業
人件費支援
福祉総合相談事業
一般相談、法律相談
福祉バス運行支援事業
高齢者等の広域活動を支援する福祉
バス運行に要する経費の支援
地域介護予防活動支援事業
生活支援体制整備事業
介護予防・生活支援サービス
障がい者が安
心して暮らせ
る社会づくり
の推進
だれもが支え
合うふれあい
のある地域福
祉社会の形成
記
-73-
2-4 人権を尊重するまちづくりの推進
施策体系
だれもが住みよく、安心・やすらぎを感じる生活づくり(保健・医療・福祉)
人権を尊重するまちづくりの推進
人権施策の推進
男女共同参画社会の実現
現況と課題
1
人権施策の推進
同和問題については、昭和 44 年の「同和対策特別措置法」施行以来の同和対策事業により、指
定地区の生活環境をはじめとする物的な基盤整備を行い、周辺地域との較差は大きく改善された。
同和教育・啓発については、隣保館事業を通じて、生活相談の充実、地区内啓発の推進、交流・
啓発を推進するための教養講座の開設、講演会・研修会の開催、啓発ビデオ・図書の整備を行って
きた。加えて、「おおだふれあい会館だより」の発行、市報への「きずな」の掲載により、人権・
同和問題の解決に資する情報発信を行い、市民の人権意識の高揚を図ってきたところである。
しかし、平成 27 年に実施した「市民意識調査」では、
「結婚しようとする相手が、同和地区の人
であるとわかった場合、どうしますか」という質問に対して、否定的な回答を合計すると 13.9%が
反対の意思を示している。
また、「同和問題の解決に対する考え方」についての質問では、消極的な意見や無関心な意見が
約6割を占めており、未だ結婚問題をはじめ、差別意識が社会の中に根深く存在している。
同和問題の早期解決のためには、市民一人ひとりが同和問題を自らの課題として、取り組んでい
けるような教育・啓発活動を進めることが必要である。
また、女性、子ども、高齢者、障がい者などの様々な人権課題について、市民一人ひとりが認識
を高め、全ての差別や偏見をなくし、誰もが豊かに誇りをもって暮らせる社会の実現を目指してい
かなければならない。
そのために、平成 21 年 2 月に「大田市人権施策推進基本方針」を策定、平成 26 年 6 月に「大田
市人権尊重のまちづくり条例」を制定し、市政の全ての分野において人権尊重の視点に立脚した施
策に取り組んでいるところである。
また、人権施策を総合的かつ計画的に推進するための「大田市人権施策推進基本方針」について
は、平成 27 年度に実施した「市民意識調査」を基に改訂を行い、この基本方針に沿って様々な人
権課題に対し、共通の認識を持って人権施策を進めることが必要である。
-74-
2 男女共同参画社会の実現
男女の生き方や行動、あるいは考え方についての固定的な性別役割分担意識の払拭と、家庭や職
場、地域における男女共同参画の視点からの社会通念・慣行を払拭する意識改革を進めるため、平
成 17 年 10 月に「大田市男女共同参画推進条例」を制定し、平成 18 年 11 月に大田市の施策の基
本的方向とその具体的推進策を示す「大田市男女共同参画計画」を策定し、取り組みを進めてきた。
しかし、平成 26 年 12 月に実施した「男女共同参画に関する市民意識調査」の結果、性別役割分
担意識が根強く残っていることから、男女共同参画社会の実現のために、家庭、職場、地域のあら
ゆる分野での積極的な取り組みが必要である。
なお、平成 28 年度「第 2 次大田市男女共同参画計画」に掲げる具体的推進策についての見直し
を行い、引き続き男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを進めていかなければならない。
方向と目標
●市民一人ひとりが、人権意識を高め、あらゆる差別や偏見をなくし、市民のだれもが心
豊かに誇りをもって暮らせる社会の実現を目指す。特に、我が国固有の課題である同和
問題については、一日も早い解決に向けて、教育・啓発活動を積極的に取り組む。
●人権問題に関する教育・啓発を推進するためには、地域における指導者の役割が重要で
あり、研修会等を通して指導者の育成に努める。
●女性の参画をより一層推進できるよう、関係機関と連携をとりながら、家庭、学校、職
場、地域における意識啓発や情報提供を行うとともに、男女共同参画を推進するための
女性リーダー育成のための学習・研修機会を充実する。
施策の内容
1 人権施策の推進
①「大田市人権尊重のまちづくり条例」に基づき、ユネスコの精神である「平和と人権尊重」
を基底に据えた、人権教育・啓発を推進する。
②「おおだふれあい会館(大田市隣保館)
」は、同和問題をはじめとする様々な人権課題の解決
に向けた教育・啓発の拠点施設としての重要な役割があり、隣保館事業を推進するための体
制整備と機能の充実を図る。
③学校教育においては、同和教育をすべての教育活動の基底に据え、教職員一人ひとりが差別
の現実に学び、人権尊重・差別撤廃を自らの課題として取り組む。また、児童・生徒が自分
と異なる個性を尊重し、人権感覚豊かな子どもの育成を図る。
④社会教育においては、公民館をはじめとする社会教育施設において、「おおだふれあい会館」
や「大田市社会福祉協議会」等との連携を図り、地域・職場・世代の違いなど、学習者の状
況に応じた啓発活動を推進するとともに、住民の学習意欲を喚起できるよう「参加・体験型」
の研修会を開催し、地域における指導者の育成に取り組む。また、視聴覚教材の効果的利用
-75-
を図るなど、様々な学習機会の提供を行う。
⑤家庭教育における人権教育の推進については、一人ひとりの人権を大切にすることができる
よう、社会教育施設等と連携を図り、多様な学習機会や情報の提供に努める。
⑥企業における人権意識の普及を図るため、企業主等を対象とした公正な採用選考についての
研修会の開催や企業内研修へ指導員を派遣するなど、石見大田公共職業安定所と協力し、差
別のない職場づくりを進めるための支援を行う。
⑦人権の尊重を行政施策に生かし具体化すべき職務を担っている公務員や、教育活動を直接担
い児童・生徒の成長や発達に大きな影響を与える教職員等、人権に関わりの深い職業に従事
する人に対して、更なる理解と実践のための人権教育の充実に努める。
⑧国の補助事業を活用し、老朽化した隣保館の改修について検討する。
2
男女共同参画社会の実現
①性別役割分担意識の解消のため、島根県立男女共同参画センター「あすてらす」や大田市働
く女性の家「サンレディー大田」等、関係機関と連携を取りながら、意識啓発・改革となる
講演会や研修会を行うとともに、情報や学習機会を提供する。
②審議会等への女性の参画を進めるとともに、地域リーダーの育成のための学習・研修の機会
を提供する。
③男女がともに家庭生活と他の活動を両立することができるよう、事業所や地域での啓発活動
を推進する。
主な施策と事業
施 策
人権施策の推
進
男女共同参画
社会の実現
事
業
付
記
人権啓発推進事業
人権尊重のまちづくり審議会、
講演会、研修会等の開催
隣保館運営事業
人権・同和問題研修会、各種教養講
座の開催、相談事業の実施
隣保館生活相談員設置事業
生活相談員の配置
男女共同参画推進事業
講演会、研修会、委員会等の開催
-76-
第3章
県央の中核都市に
ふさわしい、
快適な基盤づくり
3. 県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり
《施策体系》
1 総合的な土地利用の促進
1 計画的な土地利用の促進
2 土地調査の推進
2 快適な都市環境の形成
1 公共下水道等の整備
2 中心市街地の整備
3 街路の整備
4 住環境の整備
5 公園の整備
3 人・物の交流を支える道路ネットワークの形成
1 山陰道の整備促進
2 国・県道の整備促進
3 市道の整備
4 農道の整備
4 暮らしを支える生活交通の確保
1 新たな生活交通システムの再編
5 生活の質を高める情報通信網の整備・活用
1 高度情報通信基盤の整備促進
2 電子自治体の形成
6 安全な生活の確保
1 消防・救急救助体制の充実強化
2 防災体制の充実強化
3 交通安全対策の推進
4 防犯対策の充実
5 治山治水対策等の推進
-78-
3-1 総合的な土地利用の促進
施策体系
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
総合的な土地利用の促進
計画的な土地利用の促進
土地調査の推進
現況と課題
1 計画的な土地利用の促進
急速な人口減少と高齢化に直面し、市街地の活力の低下とともに住宅や店舗などの郊外立地が進
んでいる。その結果、市街地が拡散し、低密度な市街地を形成し、厳しい財政状況下で、拡散した
居住者の生活を支える公共サービスの提供が将来困難になりかねない状況にある。
こうした状況下で、今後も持続可能なまちづくりを推進していくため、用途区域による計画的な
土地利用と共に、新たにコンパクトで利便性の高い市街地形成を目指す必要がある。
2 土地調査の推進
昭和 46 年から事業着手した「地籍調査事業」は、平成 27 年度までの 44 年間で計画面積 415.84
k㎡の内、140.55k㎡が完了しており、約 34%の進捗率となっているが、約 66%にあたる 275.29
k㎡が未調査区域として残っている。引き続き、年次的な調査を進めていく必要があるが、広大な
面積であるため、調査地区の優先順位付けを行い、計画的・効率的に取り組まなければならない。
なお、林業の衰退による山林の荒廃や、急速な過疎高齢化が進む中、物証や人証が失われつつあ
り、また、県外地権者や未相続物件の増加に伴い調査への協力が得られ難くなっていることなど、
地籍調査を取り巻く環境は年々厳しさを増している状況にある。
-79-
方向と目標
●今後も計画的な土地利用を推進し、コンパクトで利便性の高いまちづくりを目指す。
●公共事業の円滑な推進や民間活動の活性化を図るために必要な基礎資料となる地籍調
査事業を推進する。
施策の内容
1
計画的な土地利用の促進
①低密度で拡散した市街地を今後も持続可能なコンパクトで利便性の高いものにしていくため、
当市の中心拠点となる地域に行政や医療・福祉、商業等の都市機能の集積を図り緩やかに居
住の誘導を進めるとともに、周辺部の地域(小さな拠点)と中心拠点を交通ネットワークに
より結節させる「多極ネットワーク型コンパクトシティ」の実現を目指し、
「立地適正化計画」
の策定、並びに「都市計画マスタープラン」の見直しを行う。
2
土地調査の推進
①地籍調査を計画的に取り組む。
主な施策と事業
施 策
計画的な土地
利用の促進
土地調査の推
進
事
業
付
記
立地適正化計画の策定と都市計画マス
タープランの見直し
当市における将来の土地利用の考
え方をまとめる
地籍調査事業
計画的な地籍調査の実施
-80-
3-2 快適な都市環境の形成
施策体系
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
快適な都市環境の形成
公共下水道等の整備
中心市街地の整備
街路の整備
住環境の整備
公園の整備
現況と課題
1 公共下水道等の整備
(1) 汚水処理
下水道等汚水処理施設は、良好な生活環境を形成・維持し、衛生的で快適な生活の実現と河川等
公共用水域の水質保全を図るために必要不可欠な施設である。
当市における汚水処理施設の整備状況は、事業完了した「波根西地区」と「元井田地区」の 2 つ
の「農業集落排水施設」、現在整備中の「公共下水道大田処理区」、「特定環境保全公共下水道仁摩
処理区・温泉津処理区」と「浄化槽」であり、汚水処理人口普及率は、平成 27 年度末において 38.7%
と全国や島根県の平均値と比較しても極めて低い状況にある。
このような状況に対し、
「大田市下水道基本構想」を平成 26 年度に見直して、公共下水道 4 処理
区、農業集落排水施設 2 処理区の計 6 処理区と浄化槽(生活排水処理事業)により、全市域の汚水
処理施設の整備を重点施策として進めている。
(2) 雨水処理
雨水対策は、現在、都市下水路 5 路線を計画決定し、整備を進めているが、公共下水道の整備着
手により、公共下水道の雨水として計画変更を行っている。現在未着手の大原都市下水路は、公共
下水道(大田排水区)の雨水として編入し計画変更する予定である。
大田町内においては、橋北地区の「柳井都市下水路」の幹線上流部が未改修であり、橋南地区の
さるばみがわ
「猿喰川周辺」においては、排水断面の能力不足などにより、周辺宅地への冠水被害が発生してい
るため、今後早急な整備が必要である。
-81-
温泉津排水区については、平成 26 年度から本格的に雨水函渠の整備に着手し、平成 29 年度末完
了を目指している。
○ 汚水処理人口普及率
(平成28年3月31日現在)
単位
大田市
普 及 人口
総人口
人
36,421
普 及 率
島根県
普 及 人 口 千人
698
普 及 率
全 国
普 及 人 口 万人
12,766
普 及 率
汚 水
処 理
人 口
農業集
落排水
事業等
公 共
下水道
浄化槽
市町村整 浄化槽設
左記以外
備推進事 置整備事
分
業等分
業分
コミュニ
ティ・
プラント
14,092
7,367
568
6,157
1,189
2,837
2,131
0
38.7%
20.2%
1.6%
16.9%
3.3%
7.8%
5.9%
0.0%
543
322
111
106
28
46
32
4
77.8%
46.1%
15.9%
15.2%
4.0%
6.6%
4.6%
0.6%
11,474
9,926
358
1,167
84
596
487
23
89.9%
77.8%
2.8%
9.1%
0.7%
4.7%
3.8%
0.2%
(資料:下水道課)
○ 汚水処理事業一覧
事業名
処理区名
公共下水道
大 田
温泉津
仁 摩
五十猛
波根西
元井田
特定環境保全
公共下水道
農業集落排水施設
浄 化 槽
計画区画面積(ha)
計画人口(人)
703
28
85
35
10
14
42,737
(平成28年3月31日現在)
計画戸数(戸)
状況
13,170
620
2,100
690
240
110
9,790
5,440
290
900
270
90
50
4,016
着手済
着手済
着手済
未着手
整備完了
整備完了
着手済
(資料:下水道課)
2
中心市街地の整備
当市の市街地は、自然発生的に形成されたこともあり、道路が狭く、駐車場等の公共・公益施設
が不十分であり、都市機能を備えているとは言い難く、近年は、郊外型店舗の立地により、中心部
の人口の減少、空き店舗の増加など市街地の空洞化が進んでいる。
このような状況の中、大田市駅周辺においては、平成 8 年度から「大田市駅周辺西側土地区画整
理事業」に着手し、関連事業も含めて平成 17 年度に完了した。現在、駅北側においては、土地利
用の増進も図られ、公共ゾーンへの施設誘致も完了しているが、駅前商業ゾーンにおいては、低利
用地も多く、商業集積を促すことが今後の重要な課題となっている。
大田市駅東側については、平成 23 年度から地元関係者と「新たなまちづくり計画」を進めてき
たが、平成 26 年度における事業延期に伴い協議が中断しており、今後、早期に検討を再開し、具
体的なまちづくりについて協議していく必要がある。
-82-
3 街路の整備
都市計画道路は、まちの骨格を形成し円滑な交通を確保するとともに、安全で快適な市街地をつ
くるための最も基幹的な道路網である。当市の都市計画道路は、中心市街地を中心として、既設市
街地の商店街や公共施設への幹線道路整備を進めてきたが、平成 27 年度末における街路の整備状
況は、
25 路線 60,290mを都市計画決定しているものの、整備率は 54.8%の状況にとどまっている。
当市における都市計画道路は、計画時と現在とでは、社会情勢やまちづくりの考え方などが大き
く変化していることから、役割や必要性・実現性が変化し、整備予定地での建築規制の長期化を解
消するため、都市計画道路の見直しを進める必要がある。
現在、栄町高禅寺線の整備については、大田市駅周辺のまちづくり計画と県道の整備計画での調
整が課題となっている。
● 都市計画街路の整備状況
名 称
柳
ケ
坪
大
田
停
綿
田
線
12 ~ 16
場
3,340
(平成28年4月1日現在)
完成延長(換算他)
整備率
(m)
808
24.2%
線
16 ~ 25
710
76
10.7%
天
神
中
島
線
12 ~ 16
2,780
2,070
74.5%
川
北
吉
永
線
12 ~ 16
2,660
1,323
49.7%
大
田
久
手
線
12
160
0
0.0%
和
江
大
田
線
9
520
520
100.0%
線
16
460
152
33.0%
線
12
1,000
560
56.0%
線
12.5
1,660
980
59.0%
大
山
宮
鳴
栄
久
殿
大
車
幅 員
計画延長
(m)
正
崎
西
崎
城
日
滝
町
出
栄
高
手
町
禅
長
町
田
山
ノ
城
市
駅
線
12
470
470
100.0%
線
12 ~ 16
3,150
1,921
61.0%
久
線
25
3,580
3,100
86.6%
平
線
12
250
0
0.0%
線
8
170
170
100.0%
18,560
730
3.9%
寺
前
出 雲 仁 摩 線 ( 大 田 )
21
朝
線
10
760
0
0.0%
仁 摩 温 泉 津 線 ( 仁 摩 )
山
イ
21
4,030
2,458
61.0%
仁
摩
ン
タ
ー
線
13
920
750
81.5%
国
道
9
号
線
15
910
910
100.0%
仁
摩
漁
港
線
12
400
400
100.0%
仁
摩
大
森
線
9
250
0
0.0%
天
イ
ン
河
タ
ー
線
9
860
0
0.0%
鈴
ヶ
原
内
港
線
9
430
0
0.0%
仁
摩
臨
港
線
8
920
150
16.3%
仁
摩
宅
野
線
9
1,230
0
0.0%
出 雲 仁 摩 線 ( 仁 摩 )
21
2,890
29
1.0%
仁摩温 泉津 線( 温泉 津)
21
7,270
4,434
61.0%
60,340
22,011
36.5%
合 計 27 路 線
(資料:都市計画課)
-83-
4
住環境の整備
(1) 市営住宅
公共住宅事情については、
「市営住宅」 225 戸(17 団地)、
「一般市営住宅」 3 戸(1 団地)
、
「特
定公共賃貸住宅」 21 戸(3 団地)
、若者やU・J・Iターン者の定住促進を目的とした「公社定住
促進賃貸住宅」 32 戸(2 団地)
、
「県営住宅」 68 戸(2 団地)、
「雇用促進住宅」 240 戸(2 団地)
があり、合計 589 戸(27 団地)となっている。
この内、当市が管理する住宅は、281 戸(23 団地)の約 47%であり、とりわけ、市営住宅 225
戸の内、約 30%に相当する 69 戸(6 団地)が、
「公営住宅法」上の耐用年限を経過し、老朽化が進
んでいる状況であり、長寿命化を図る上で、計画的な修繕を行う必要がある。また、空家活用につ
いて検討する必要がある。
○ 市営住宅等の状況
区分
大田
市
営
団地名
所在地
第2柳ヶ坪
大田町吉永
第3柳ヶ坪
第4柳ヶ坪
沢田
第2沢田
新諸友
第2新諸友
第3新諸友
第4新諸友
長久
山崎
高禅寺
大田町吉永
大田町吉永
久手町刺鹿
久手町刺鹿
久手町刺鹿
久手町刺鹿
長久町長久
長久町長久
長久町長久
大田町大田
長久町長久
行恒
久利町行恒
建設年
S40
S40
S45
S46
S47
S48
S51
S52
S55
S55
S56
S56
S62
H16
H17
計 13団地
松山
温泉津町温泉津
みそのハイツ湯町上
計 2団地
温泉津町温泉津
高浜
仁摩町仁万
温泉津
仁摩
日ノ本
仁摩町天河内
計 2団地
市営住宅(17団地) 合計
一
般
温泉津
賃特
貸定
住公
宅共
温泉津
沖泊
温泉津町温泉津
S52
S53
S54
S61
S63
H12
H11
H12
H13
S53
H1
H1
一般(1団地) 合計
温泉津町湯里
H16
仁摩町仁万
H13
仁摩
仁摩町仁万
H4
特定公共賃貸住宅(3団地) 合計
※「構造」欄の「簡耐」は「簡易耐火構造」を表す
湯里
高浜
清石
-84-
(平成28年4月1日現在)
構造
戸数
木造平屋建
9
簡耐平屋建
10
簡耐平屋建
10
簡耐平屋建
10
簡耐平屋建
10
簡耐平屋建
10
簡耐平屋建
10
簡耐2階建
10
簡耐2階建
10
簡耐2階建
5
簡耐2階建
10
簡耐2階建
10
RC3階建
8
木造平屋建
4
木造平屋建
12
戸数 計
138
簡耐2階建
10
簡耐2階建
10
簡耐2階建
10
簡耐2階建
5
木造一部2階建
4
木造一部2階建
12
戸数 計
51
木造2階建
8
木造2階建
10
木造2階建
6
簡耐2階建
12
戸数 計
36
225
木造平屋建
1
木造平屋建
2
3
木造一部2階建
5
木造2階建
6
木造2階建
10
21
(資料:都市計画課)
(2) 建築物の耐震化
平成 20 年度に「大田市建築物耐震改修促進計画」を策定し、特定建築物(住宅・多数の者が利
用する特定建築物)の耐震化率について、国の示した目標値 90%に可能な限り近づけることを目指
してきた。しかし、大田市の状況は、特定建築物については、ほぼ目標値に近づけることができた
ものの、平成 20 年度において人が居住している住宅約 14,800 棟のうち、耐震性を有する住宅は
59%と推計されていたが、27 年度末の推計値は 62%であり、耐震化率が目標値に大きく及ばない
状況となっている。今後、一戸建て住宅の耐震化率向上に向け、市民への情報提供、防災意識を高
めていく必要がある。
(3) 空き家対策
平成 25 年の住宅・土地統計調査によると、市内の空き家数は賃貸住宅を含め 4,630 戸と推計さ
れており、このうち、そのまま放置すれば倒壊等保安上危険な状態となるおそれのある空き家が
年々増加している。増え続ける空き家対策として、平成 26 年に「空家等対策の推進に関する特別
措置法」が制定され、空家等の施策を推進するため、空家等対策計画を策定することができること
となったが、市内全域の空き家の実態がつかめていない状況であり平成 28 年度に実態調査を行っ
ている。
今後、空き家対策に関する協議会を設置し、空き家実態調査の結果を基に、空家等対策計画の作
成と実施についての協議を行い、空き家の利活用含め、危険空き家の発生防止を図っていく必要が
ある。
5 公園の整備
公園施設は、市民の安全で快適な生活を確保するうえで欠かすことのできない施設で、適切に維
持管理していくことが求められている。
当市においては、昭和 42 年より 11 カ所(総合公園 2、歴史公園 1、街区公園 7、地区公園 1)
の都市公園を計画決定し、整備を進めてきたが、公園内の各施設においては老朽化が進んでいる。
市民の公園に対する要望は、社会の高齢化や余暇時間の拡大等によるライフスタイルの変化、そ
れに伴う生活環境の向上に対するニーズの高まりなどから、多種多様なものとなっている。
このような市民ニーズに対し、現在、
「大田市民公園」の施設改修や「仁摩健康公園」の施設改
修、石見銀山遺跡の活用を図るべく「石見銀山公園」の整備に取り組んできた。
今後においては、市街地における街区公園の整備や、安全で安心して利用できるよう老朽化した
既存の施設改修を行う必要がある。
-85-
● 都市公園の状況
(平成28年4月1日現在)
種 別
総合公園
地区名
都市計画決定
年 月 日
供用開始
年月日
大田
S49.4.9
S50.5.20
8.50
温泉津
S51.10.1
S55.3.31
2.74
大田
S50.7.11
S61.10.1
36.92
温泉津
S42.12.9
S44.4.3
0.30
山崎公園
大田
S59.6.14
S61.10.1
0.49
長久公園
大田
S59.6.14
S61.10.1
0.24
鳴滝公園
大田
S59.6.14
H4.12.18
0.53
宮崎公園
大田
S59.6.14
H13.4.25
0.44
駅前公園
大田
H12.3.31
H17.4.1
0.12
駅北公園
大田
H17.10.17
H20.5.1
0.15
仁摩健康公園
仁摩
S62.3.20
H3.3.16
7.80
施設名称
大田市民公園
櫛島公園
歴史公園
石見銀山公園
温泉津児童公園
街区公園
地区公園
開設面積(ha)
(資料:都市計画課)
方向と目標
●汚水処理人口普及率は、平成 30 年度末に 46.0%を目標とする。
●雨水処理対策の都市下水路については、計画的な整備を検討・実施する。
●中心市街地の整備は、大田市駅周辺における具体的なまちづくり計画を検討する。
●都市計画道路の長期未着手路線の解消を図る。
●市民が快適な暮らしを営むことができる環境づくりとして、総合的な住環境の整備を進め
るとともに、公園の整備・改修を行い、都市環境の向上を図る。
施策の内容
1
公共下水道等の整備
(1)汚水処理
①「公共下水道事業」については、現在事業を継続している「公共下水道大田処理区」
、「特定
環境保全公共下水道仁摩処理区・温泉津処理区」の着実な整備推進を図り、平成 30 年度末の
下水道普及率 27.0%を目標とする。また、「公共下水道大田処理区久手地区」については事
業化に向けた検討を行う。
-86-
②「浄化槽事業」については、現在事業を継続している「生活排水処理事業」と、集合処理区
域の未整備地区を補完する「浄化槽設置整備事業」の着実な整備推進を図り、平成 30 年度末
の浄化槽普及率 17.5%を目標とする。
③「大田市下水道基本構想」について、集合処理を予定している区域の状況等を検討する中で、
整備手法の見直しを行い、計画的に市全域への汚水処理施設普及の実現を図る。
(2)雨水処理
①「柳井都市下水路」は、公共下水道整備(雨水対策)として、汚水処理工事と同時にバイパ
ス・改修工事を実施する。
②「猿喰川周辺」の冠水被害については、市河川の改修状況を確認のうえ、根本的な雨水対策
を検討する。
③温泉津排水区については、同時に施工する汚水工事や街なみ環境整備事業と調整を図りなが
ら、平成 29 年度完了に向け整備を進める。
④大原都市下水路は、公共下水道整備(雨水対策)として、汚水計画と同時に検討を行う。
2 中心市街地の整備
①大田市駅周辺における商業集積と都市機能整備の具体策を検討する。
②「大田市民会館」周辺や「大田市民公園」周辺等の整備については、土地利用・公共公益施
設の配置を考慮し、検討する。
3 街路の整備
①長期未着手路線の見直し(路線廃止、幅員変更)を行う。
②「栄町高禅寺線」については、島根県施工分の事業実施に向けて強く要望し整備を促進する。
同時に市施工分については、老朽化の著しい「菜洗橋」の架け替え工事に着手し、整備を進
める。
4 住環境の整備
(1) 市営住宅
①「大田市住宅マスタープラン(住生活基本計画)」及び「大田市営住宅長寿命化計画」に基づ
き、耐用年限を経過している市営住宅の代替施設の確保(空き家活用等)並びにストック改修
を実施する。
(2) 建築物耐震化
①住宅における耐震化率を向上させるため、建築物の耐震診断及び耐震改修を行う市民に対し、
木造住宅の耐震診断費用並びに耐震改修費の助成を行い、耐震改修の促進を図る。
(3) 空き家対策
①空き家実態調査に基づき、
「空家等対策計画」を策定する。
-87-
②特定空家等の除却に対する補助制度の創設に向けた検討を行う。
5
公園の整備
①都市公園については、老朽化に対する安全対策の強化及び改築・更新、適切な施設点検や維
持補修等の予防保全管理を行うため、既存施設の長寿命化対策を計画的に行う。
-88-
主な施策と事業
施
策
事
業
公共下水道整備事業
(汚水)大田処理区
特定環境保全公共下水道整備事業
(汚水)温泉津処理区
特定環境保全公共下水道整備事業
(汚水)仁摩処理区
公共下水道等
の整備
公共下水道整備事業(雨水)大田町橋北
公共下水道整備事業(雨水)温泉津町温
泉街
付
記
【計画処理区域面積】 703ha
【計画 処 理 人 口】13,170 人
【計画日最大汚水量】 6,100 ㎥/日
【計画処理区域面積】 28ha
【計画 処 理 人 口】 620 人
【計画日最大汚水量】 220 ㎥/日
【計画処理区域面積】 85ha
【計画 処 理 人 口】2,100 人
【計画日最大汚水量】 850 ㎥/日
雨水管の検討、整備
雨水管の整備
大原都市下水路整備事業
大原都市下水路のJRアンダー部
の改修
生活排水処理事業
市設置の浄化槽整備事業
浄化槽設置整備事業
個人設置の浄化槽設置への支援
中心市街地の
整備
大田市駅周辺まちづくり計画策定に向
けた検討
街路の整備
栄町高禅寺線の整備促進
島根県における事業実施への要望
活動の継続、菜洗橋の整備
公共住宅修繕事業
老朽化した市営住宅の改修等
住環境の整備
木造住宅耐震化等促進事業
空き家対策事業
石見銀山公園整備事業
大田市民公園施設整備事業
公園の整備
耐震診断・耐震改修にかかる費用の
助成
空き家の利活用、特定空家等の発生
の防止
園路広場、トイレ、休憩所、駐車場
の整備
大田総合体育館の耐震化、整備、改
修等
仁摩健康公園施設整備事業
遊具等の改修
街区公園整備事業
再整備、遊具等の改修
-89-
3-3 人・物の交流を支える道路ネットワークの形成
施策体系
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
人・物の交流を支える道路ネットワークの形成
山陰道の整備促進
国・県道の整備促進
市道の整備
農道の整備
現況と課題
1
山陰道の整備促進
高速道路ネットワークは、東西に約 230kmの県域を有する島根県の中で、東西連携、県央地域
振興及び、市民の命を守る最も基幹的な社会基盤である。
特に、国道 9 号における「出雲・江津間」は、交通の難所であり、事故や災害によりたびたび全
面通行止めになるなど、救急医療への対応や産業振興等で大きな影響があり、市民の安全と安心を
確保するうえにおいて、国道 9 号の代替路や、地域活性化につながる山陰道の整備は必要不可欠で
ある。
山陰道の「出雲・江津間」については、
「仁摩・温泉津道路」が既に開通しており、平成 29 年度
には「朝山・大田道路」
、平成 30 年度には「多伎・朝山道路」の開通が予定されている。
また、
「出雲・湖陵道路」
、
「湖陵・多伎道路」
「大田・静間道路」、
「静間・仁摩道路」、
「福光・浅
利道路」の事業進捗が図られている。
今後は、事業実施中区間の早期完成と、「浅利・江津間」の早期事業着手に向け、積極的な取り
組みが必要である。
2
国・県道の整備促進
(1) 国道の整備促進
国道 9 号は、当市と九州・京阪神を結ぶ産業・経済活動の基幹道路であり、急峻な地形が海岸部
まで迫っており、急カーブ・急勾配の箇所が多いため、交通事故が多く、また、交通量の増加に伴
い、歩行者の安全が脅かされている状況にあり、これの改良整備について各方面から強く要望がな
されている。
-90-
これまで、逐次、車道の拡幅、交差点の整備、カーブ改良や歩道整備工事が進められてきたが、
市内にはカーブの改良を要する区間が依然として残っており、併せて、歩道設置も急がれている。
引き続き、全線にわたり、安全で安心な路線整備に向けた取り組みが必要である。
(2) 県道の整備促進
主要幹線道路の整備については、産業・経済・文化・観光の活性化を促し、当市の発展に大きく
寄与している。
「主要地方道」は、現在 6 路線であり、改良率は 78.2%の状況にある。また、
「一般県道」は 20
路線で、改良率は 26.6%であり、それぞれ、年次的に改良が進んでいる。
①市街地環状ルートの整備促進
市街地環状ルートを形成し、通院・通学を含めた安全・安心の確保や住民の利便性向上、中心市
街地の活性化のなどを図るため、「主要地方道三瓶山公園線」のバイパスとして「都市計画道路栄
町高禅寺線」
、
「主要地方道大田桜江線」の大田町栄町の国道 375 号から久利町行恒地内(安谷橋付
近)の未改良区間(行恒工区)及び「一般県道久利静間線」の静間町八日市地内の未改良区間につ
いて整備促進が必要である。
②石見銀山遺跡へのアクセス道路の整備促進
「主要地方道仁摩邑南線」は、中国横断自動車道広島浜田線瑞穂ICを経て、当市と広島、京阪
神、九州等を結ぶ重要な路線であるばかりでなく、石見銀山遺跡へ繋ぐアクセス道路として重要で
ある。仁摩町の国道 9 号からのアクセスは向上したものの、祖式町瀬戸地内におけるカーブ改良等
の拡幅整備が急がれる。
③地域間交流を図る道路の整備促進
各地域間を結ぶ県道は、主要幹線道路として県道の重要性がより一層高まっていることから重点
的・抜本的な整備をする必要がある。主要地方道大田桜江線の祖式町及び大代町地内は幅員狭小で
カーブが連続しており、改良整備が急がれる。一般県道静間久手(停)線及び和江港大田市(停)
線については国道 9 号から海岸部へのアクセス向上が期待され、さらには、統合新設した「JF し
まね大田水産物地方卸売市場」へ至る道路としても重要な路線であり、改良整備が急がれる。一般
県道大田井田江津線は大田桜江線と温泉津川本線を連絡する道路であり、改良整備が急がれる。
④救急搬送路の整備促進
傷病者を、圏域外の出雲市や江津市の二次・三次医療圏へ迅速かつ安静に搬送するため、「一般
県道久利五十猛停車場線」
、
「主要地方道大田佐田線」及び「一般県道窪田山口線」の改良整備が急
がれる。
⑤三瓶石見銀山線(仮称)の県道としての整備
広域観光ルートとして、川合町地内の国道 375 号線と久利町地内の主要地方道大田桜江線を結ぶ
路線の整備が重要である。
-91-
○ 市内の国道・主要地方道・一般県道整備状況
(平成27年4月1日現在)
改 良
区分
延 長
m
路線名
改良済
延長m
一 般 国 道 9 号
一般国道
一 般 国 道 375 号
2路線
小計
主要
地方道
6路線
一般
県道
20路線
舗 装
未改良
%
%
延長m
%
0
0.0
11,319 89.4
1,345 10.6
12,664 100.0
0
0.0
51,116
49,771 97.4
1,345
2.6
51,116 100.0
0
0.0
三 瓶 山 公 園 線
20,182
18,695 92.6
1,487
7.4
19,943 98.8
239
1.2
仁 摩 邑 南 線
19,512
16,318 83.6
3,194 16.4
19,512 100.0
0
0.0
温 泉 津 川 本 線
11,384
11,326 99.5
0.5
11,384 100.0
0
0.0
川 本 波 多 線
8,527
5,368 63.0
3,159 37.0
8,527 100.0
0
0.0
大 田 桜 江 線
19,332
10,286 53.2
9,046 46.8
19,332 100.0
0
0.0
大 田 佐 田 線
13,867
10,552 76.1
3,315 23.9
13,867 100.0
0
0.0
小計
92,804
72,545 78.2
20,259 21.8
92,565 99.7
239
0.3
和江港大田市(T)線
3,799
2,096 55.2
1,703 44.8
875 23.0
大 田井 田江 津線
7,737
1,305 16.9
6,432 83.1
7,737 100.0
0
0.0
美 郷 大 森 線
2,670
797 29.9
1,873 70.1
2,670 100.0
0
0.0
線
570
264 46.3
306 53.7
0
0.0
570 100.0
湯 里 (T) 祖 式 線
11,908
8.3
10,922 91.7
350
2.9
11,558 97.1
温 泉 津 (T) 線
1,744
856 49.1
888 50.9
1,734 99.4
10
0.6
石 見 福 光 (T) 線
1,719
263 15.3
1,456 84.7
1,719 100.0
0
0.0
久
手
(T)
線
107
五 十 猛 港 線
仁
986
107 100.0
833
244 29.3
589 70.7
線
380
380 100.0
温 泉 津 港 線
507
81 16.0
窪 田 山 口 線
4,361
123
田 儀山 中大 田線
10,554
1,014
波 根 久 手 線
0.0
107 100.0
85 10.2
748 89.8
0
370 97.4
10
2.6
426 84.0
499 98.4
8
1.6
2.8
4,238 97.2
4,361 100.0
0
0.0
9.6
9,540 90.4
10,554 100.0
0
0.0
6,551
4,138 63.2
2,413 36.8
6,520 99.5
31
0.5
池 田 久 手 (T) 線
19,346
4,441 23.0
14,905 77.0
14,593 75.4
4,753 24.6
静 間 久 手 (T) 線
5,375
1,547 28.8
3,828 71.2
1,300 24.2
4,075 75.8
瓜 坂 川 合 線
3,397
3,330 98.0
久 利 五 十 猛 (T) 線
9,985
3,090 30.9
大 国 馬 路 (T) 線
4,331
久 利 静 間 線
小計
84
0
2,924 77.0
0.0
合計28路線
港
0
58
0.0
万
港
12,664
0
延長m
38,452 100.0
万
38,452 100.0
%
未舗装
0.0
仁
38,452
延長m
舗装済
67
2.0
3,397 100.0
0
0.0
6,895 69.1
9,871 98.9
114
1.1
1.9
4,247 98.1
3.1
4,198 96.9
3,749
1,412 37.7
2,337 62.3
1,414 37.7
2,335 62.3
99,623
26,451 26.6
73,172 73.4
68,182 68.4
31,441 31.6
243,543
148,767 61.1
94,776 38.9
211,863 87.0
31,680 13.0
※「路線名」欄の「(T)」は「停車場」を表す。
※改良済車道幅員は5.5m以上。
133
(資料:県央県土整備事務所大田事業所)
-92-
3 市道の整備
市道は、広範囲な市域をもつ当市において、国道、県道等の幹線道路を補完する道路として、ま
た、集落間をつなぐ道路として、市民生活に最も密着した道路であり、これまで各種補助事業等の
活用により、改良整備を進めてきたが、改良率は 48.0%、舗装率は 88.2%であり、改良率につい
ては、県平均と比較して低い水準にある。
急峻な山地や谷あいの多い当市において、改良費用が割高となる傾向にある。このため、山間部
を中心とした地理的条件の厳しい地域は、改良の進捗が悪く、地域住民は普段の生活や産業活動に
大きな支障をきたしている。
一方、高規格幹線道路については、
「仁摩・温泉津道路」の開通、
「多伎・朝山道路」、
「朝山・大
田道路」
、
「大田・静間道路」
、
「静間・仁摩道路」、
「福光・浅利道路」の各区間の事業着手により着
実に整備が進んでいる。こうした中、インターチェンジとそれに続く国道、県道、市道等との一体
的な整備が必要となってきている。
○ 市道整備状況
(平成28年4月1日現在)
種別
実延長
(m)
路線数
改良済延長
(m)
舗装済延長
(m)
改良率
舗装率
1級
29
63,148
52,504
83.1%
62,883
99.6%
2級
67
159,260
109,188
68.6%
154,169
96.8%
小計
96
222,408
161,692
72.7%
217,052
97.6%
その他
1,620
748,612
304,764
40.7%
639,636
85.4%
合計
1,716
971,020
466,456
48.0%
856,688
88.2%
※改良済は幅員4.0m以上(舗装済は簡易舗装を除く)
(資料:土木課)
○ 道路の現況比較表
(平成27年4月1日現在、単位:m)
大田市
8市平均
町村平均
県平均
実延長
970,648
1,413,750
308,092
773,632
改良済延長
465,486
770,842
166,396
420,900
48.0%
54.5%
54.0%
54.4%
856,149
1,138,868
216,243
604,716
88.2%
80.6%
70.2%
78.2%
改良率
舗装済延長
舗装率
※改良済は幅員4.0m以上(舗装済は簡易舗装を除く)
(資料:島根県土木部道路維持課)
-93-
4
農道の整備
農業生産性の向上や、農産物輸送の合理化と併せ、定住条件整備の一環として、地域生活環境の
改善及び集落間のネットワーク並びに観光地間のアクセスとして、農道整備は重要な役割を担って
いる。近年の「ほ場整備事業」に伴い整備された農道は、幅員が広く、大型農業機械に対応できる
ものとなっているが、旧来の農道は、幅員も狭く未整備なものが依然として多い。
また、
国営開発農地と 2 市 2 町を結ぶ広域的な農道として完成した大邑地区広域営農団地農道は、
国道 9 号にアクセスしている富山町地内の県道への接続により、農産物輸送コストの縮減などが見
込まれる。
なお、県事業により整備された農道は、市へ譲与されるものであり、今後は、適切な維持管理を
行う必要がある。
方向と目標
●県央に位置する特性を活かすため、山陰道をはじめ国道・県道・市道・広域農道等、幹線
道路網の整備を推進し、県央の中核都市としての道路交通機能の強化を図り、人・物の交
流を支える道路ネットワークの形成に努める。
●市民生活の向上と地域の自立を促進するため、生活道路の整備等を進める。
施策の内容
1
山陰道の整備促進
(1) 山陰道の「出雲・江津間」の早期全線完成へ向け、関係自治体・団体と協力し、国・県へ強く
要望する。
①事業中区間の早期完成
②「浅利・江津間」の早期事業着手
2
国・県道の整備促進
(1) 国道 9 号の整備について、国・県へ強く要望する。
①仁摩町馬路地内における線形改良の整備促進
②温泉津町福光地内における「主要地方道温泉津川本線」への右折レーンの確保
③歩道未整備区間の整備促進
(2) 県道の整備について、県へ強く要望する。
①市街地環状ルートの整備促進
「都市計画道路栄町高禅寺線」
(主要地方道三瓶山公園線のバイパスとして)
「主要地方道大田桜江線」
(久利町行恒地内)
「一般県道久利静間線」
(静間町八日市地内)
-94-
②石見銀山遺跡へのアクセス道路の整備促進
「主要地方道仁摩邑南線」
(祖式町瀬戸地内)
③地域間交流の促進を図る道路の整備促進
「主要地方道大田桜江線」
(祖式町及び大代町地内)
「一般県道静間久手停車場線」
(鳥井町及び静間町地内)
「一般県道和江港大田市停車場線」
(長久町及び鳥井町地内)
「一般県道大田井田江津線」(温泉津町井田地内)
④救急搬送路の整備促進
「一般県道久利五十猛停車場線」(五十猛町及び大屋町地内)
「主要地方道大田佐田線」
(山口町地内)
「一般県道窪田山口線」
(山口町佐津目地内)
⑤三瓶石見銀山線(仮称)の県道としての整備
国道 375 号線と主要地方道大田桜江線を結ぶ間
⑥その他、未改良区間の改良整備促進
3 市道の整備
①国・県道とのアクセスを容易にするため、主要幹線市道をはじめとした道路ネットワークの
構築を進める。
②主要幹線市道(1・2 級及びこれに準ずる市道)の改良については、規格改良を主とした整備
を行う。
③主要幹線市道を除くその他の路線については、幅員狭小区間の解消等、通行上の安全確保を
主体に改良率の向上を図る。
④地域振興の基盤として、観光地や地場産地へのアクセスをより円滑にする。
⑤「高規格幹線道路」及びIC周辺の地理的、経済的条件等を勘案し、道路体系との整合性を
図りながら、円滑な交通の確保と利便性のある道路のアクセス整備を進める。
4 農道の整備
①広域・一般農道の整備については、農村の地域生活圏のネットワークを強力に推し進めるう
えで不可欠な基盤整備であり、今後は、他の道路整備との調整を図り、道づくりを推進する。
特に、県営で実施される「一般農道整備」は、早期完成を目指し、整備を促進する。
②多面的な利活用が可能な農道を維持していくために、地域住民と協力して維持管理を行うシ
ステムづくりを検討する。
-95-
主な施策と事業
施 策
事
業
付
記
山陰道の整備
促進
山陰道の整備促進に向けた要望活動及
び意識啓発
国・県道の整備
促進
県道改良事業負担金
新世紀道路等の市負担
市道整備事業
過疎対策道路、一般道路等の整備
高規格幹線道路等関連周辺地域整備事
業
山陰道流末関連の改良工事等
社会資本整備総合交付金事業
道(みち)整備交付金事業
市道の整備
国の交付金を財源としての道路改
良整備
観光地間及び観光地域内の安全
性・快適性の確保を目的とした道路
改良
道路維持事業
市道の維持、舗装補修
橋梁維持事業
橋梁維持工事
道路台帳整備事業
道路台帳の補正業務
防災安全交付金事業
国の交付金を財源としての計画的
な舗装修繕
橋梁長寿命化事業
国の交付金を財源としての計画的
な橋梁修繕
広域営農団地農道整備事業(大邑 3 期地 県営の広域営農団地農道整備に対
区)
する負担金
農道の整備
基幹農道整備事業(和田 3 期地区)
県営の基幹農道整備に対する負担
金
ふるさと農道整備事業(大田邑智地区)
県営のふるさと農道整備に対する
負担金
-96-
3-4 暮らしを支える生活交通の確保
施策体系
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
暮らしを支える生活交通の確保
新たな生活交通システムの再編
現況と課題
1 新たな生活交通システムの再編
当市を運行する乗合バス路線は、市内を運行するものが 11 路線、周辺市町と連絡する広域的路
線 6 路線が運行されている。併せて、学校統合等に伴うスクールバスへの一般乗客の利用(一般混
乗)も行われるなど、市民の生活交通は比較的確保されている。
しかしながら、過疎化の進行やモータリゼーションの発展等により、バス利用者が減少しバスの
運行経費に対する当市の財政負担が年々増加している。
このような中にあっても引き続き、通院や通学など市民生活を支える地域交通の維持・確保は重
要な課題である。
中山間地域等の広範な市域を抱える当市においては、各地域の実情や市民のニーズ等に即した生
活交通手段の確保、周辺地域から中心市街地へのアクセスの確保、バス停までの距離が遠い住民へ
の対応等、総合的な生活交通対策が必要となっている。平成 27 年度、平成 28 年度においては、新
たな交通手段の一つとしてデマンド交通の試験運行を行い課題等を抽出し、地域特性に応じた交通
手段の導入に向け検討を始めたところである。今後も「大田市地域公共交通網形成計画」に基づき、
新たに生活交通システムの再編を図り、市民生活の利便性を確保していく必要がある。
-97-
方向と目標
●「大田市地域公共交通網形成計画」に基づき、路線バスの運行再編や地域特性に応じた交通
手段を導入するなど、生活交通システムを再編し、市民生活の利便性を確保する。
施策の内容
1
新たな生活交通システムの再編
①路線バス運行の廃止に伴う地方バス路線の維持確保を図る。
②通学バスを一般市民が利用できる路線バスとの一体的な運行体制を継続実施する。
③ダイヤや路線の見直しにより、利便性が高く効率的なバス路線の構築を図る。
④公共交通空白地の移動手段確保のため、乗り合いタクシーやデマンド型公共交通、自治会輸
送等、地域の利用実態に即した生活交通手段の導入を図る。
⑤タクシーを活用した高齢者等に対する新たな生活支援サービス「てごタクシー」の普及啓発
を図る。
主な施策と事業
施 策
新たな生活交
通システムの
再編
事
業
付
記
地域交通対策事業
バス路線の維持存続と運行支援
地域公共交通空白地解消に向けた検討
乗り合いタクシー、デマンド型公共
交通、自治会輸送等
-98-
3-5 生活の質を高める情報通信網の整備・活用
施策体系
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
生活の質を高める情報通信網の整備・活用
高度情報通信基盤の整備促進
電子自治体の形成
現況と課題
1 高度情報通信基盤の整備促進
平成 18 年に策定した「大田市情報化推進計画」に基づき、平成 19 年度から 3 カ年で市内全域に
光ケーブルを敷設するとともに、各公共施設を光ファイバで接続する光幹線網の整備を行った。
これにより、高度情報化社会に対応しうる高速大容量の通信基盤が整い、行政サービスをはじめ
とした多種多様な市民サービスを柔軟に展開することが可能となった。
なかでも携帯電話については、光幹線網の予備芯を携帯電話事業者に開放することで、通信エリ
アの拡大を促進し、事業者自らの整備が見込まれない山間地等の地域については、平成 26 年度か
ら 2 カ年かけて、市内 4 カ所に移動通信用鉄塔の整備を行い、平成 27 年度末の不感地域の数は、6
地区・13 世帯まで減少した。引き続き携帯電話不感地域解消に取り組む必要がある。
平成 20 年度から平成 21 年度においては、ケーブルテレビ施設の整備を行い、第 3 セクターによ
るケーブルテレビサービスが市内全域でスタートした。
ケーブルテレビ放送サービスの加入率は、平成 27 年度末で 73.3%に達し、難視聴対策、インタ
ーネット接続環境の格差是正や情報伝達手段の一元化が図れた。
今後は、地域情報化の推進に向け、ケーブルテレビへの加入を引続き促進するとともに、情報通
信基盤を活かしたソフト事業への展開が必要である。
また、これまで整備してきた情報通信基盤の適正管理と更新に併せ、依然として解消されていな
いケーブルテレビ網の光ファイバ通信と同軸ケーブル通信との通信格差解消を図る必要がある。
大容量回線による超高速インターネットサービスは、市民の生活向上だけでなく、企業の進出(サ
テライトオフィス等)、若者の定住促進、地域の産業活動や電子行政の基盤として期待できること
から、ケーブルテレビ伝送路の「FTTH 化(光ファイバ化)」の検討が必要である。
-99-
○ ケーブルテレビ加入世帯数の推移
平成26年度
加入世帯
加入率
(戸)
(%)
平成27年度
加入世帯
加入率
(戸)
(%)
旧大田市
7,926
70.8
8,061
72.0
8,123
72.6
旧温泉津町
1,060
75.3
1,079
76.7
1,082
76.9
旧仁摩町
1,334
78.1
1,350
79.0
1,365
79.9
計
10,320
72.1
10,490
73.3
10,570
73.9
※ただし、平成28年度は9月30日現在
2
(各年度3月31日現在)
平成28年度
加入世帯
加入率
(戸)
(%)
(資料:情報企画課)
電子自治体の形成
平成 19 年度から 3 カ年で、市内全域に光ケーブルを敷設するとともに、各公共施設を光ファイ
バで接続する光幹線網の整備を行い、公共ネットワークの再構築を図った。
本ネットワーク上にて、インターネット接続、電子メール、ファイル共有等の各種システムを運
用しており、行政事務の高度情報化及び効率化を図っている。
また、電子自治体の推進を図るために島根県及び県内全市町村で運用している「しまね電子申請
サービス」及びマイナンバーカードを活用した「マイナポータル」など、市民が自宅のパソコン、
スマートフォン、タブレット端末などからインターネットを通じて、申請・届出等の行政手続が簡
単に行えるよう整備している。
方向と目標
●これまでに整備してきた情報通信基盤を活用したソフト事業への展開を図る。
●電子自治体の推進に向け電子申請の利用促進を図る。
●情報基盤通信網の適正管理と更新及び FTTH 化(光ファイバ化)への検討を行う。
施策の内容
1
高度情報通信基盤の整備促進
①市民生活の利便性向上を図るため、産業・福祉・医療・教育・防災等の各分野において、情
報通信基盤を活かした住民サービスを展開する。
②ケーブルテレビ放送に係る各種設備・機器が安定して稼動するよう、計画的に更新を行う。
③情報通信格差の解消と大容量回線の通信を行うため、現在同軸ケーブルにより整備している
伝送路を光ファイバ化する検討を行う。
2
電子自治体の形成
①自営光網及び公共ネットワークの安全・安定稼動を図るため、支障移転、老朽化した端末及
びサーバ機器などを計画的に更新する。
-100-
②電子自治体の推進に向け、しまね電子申請サービス、マイナポータルなど電子申請の周知と
利用促進を図る。
主な施策と事業
施
策
高度情報通信
基盤の整備促
進
電子自治体の
形成
事
業
付
記
情報通信基盤利用促進事業
・ケーブルテレビのデータ放送機
能、インターネット環境を活用した
住民サービスの展開
・FTTH 化(光ファィバ化)への検討
音声告知端末機購入費補助事業
音声告知端末機の購入補助
島根県共同利用型電子申請・施設予約
サービス負担金
「しまね電子申請サービス」の運用
に係る負担金
住民基本台帳ネットワークシステム更
新事業
住民情報システムの関連機器の保
守委託等
-101-
3-6 安全な生活の確保
施策体系
県央の中核都市にふさわしい、快適な基盤づくり(基盤整備)
安全な生活の確保
消防・救急救助体制の充実強化
防災体制の充実強化
交通安全対策の推進
防犯対策の充実
治山治水対策等の推進
現況と課題
1
消防・救急救助体制の充実強化
(1) 常備消防と救急救助
①常備消防
社会情勢の変化に伴う建物利用の多様化・複合化による中高層建築物の増加や都市型災害、大規
模な自然災害等、消防を取り巻く環境は急速に変化しており、各種災害に対応する取り組みが重要
である。
また「消防ポンプ自動車」をはじめとした車両の計画的な更新整備を行うとともに、市民ニーズ
の多様化、消防行政を取り巻く諸情勢に対応すべく、職員の知識と技術の向上を図り、更なる消防
教養の充実が必要である。
西部消防署庁舎は、築 43 年を経過し、老朽化の進行や耐震強度の低下が著しく、消防施設とし
ての機能維持が困難であることから早期の整備が必要である。
②救急救助
高齢化、核家族化が進展する中、救急業務に対する市民の期待はますます増大しており、職員の
更なる知識・技術の向上が求められるとともに、迅速かつ的確な対応が救命率の向上につながるこ
とから、車両や、高度な救命処置用資器材の整備を計画的に行う必要がある。
特に、救命率向上のため、
「高規格救急自動車」の計画的な更新を図り、更には、「救急救命士」
を計画的に養成し、救急体制の充実強化を図る必要がある。また、島根県が運航している医師、看
-102-
護師が搭乗する「医療専用ヘリコプター(ドクターヘリ)」の有効活用や、市民への応急手当の普
及啓発に努める必要がある。そして、救助業務については火災・水難・交通事故・自然災害・労働
災害等の各種災害に対応できる資機材の整備が必要である。
(2) 非常備消防
大田市消防団は、地域防災における中核的な存在として、地域と密着した防災活動を展開してお
り、火災をはじめとする各種災害に対応し大きな成果を挙げるなど、市民からは大きな期待が寄せ
られている。
消防団員の確保はもとより、消防団の機動力強化、資機材の整備により、災害時の出動態勢の強
化を図る必要があり、併せて、団員が円滑な災害活動を行うため、知識・技術を習得するための訓
練・研修を行う必要がある。
消防水利施設については、防火水槽、消火栓の新設等、消防水利の確保に努めているが、今後も
継続的に整備し、更に、充実を図る必要がある。
○ 火災の発生状況
年
次
火
災
発
生
件
数
羅
災
世
帯
数
建
物
(焼
㎡
損
)面
積
焼
失
棟
数
山
林
(焼
a
損
)面
積
(損
千
害
円
額
)
負
傷
者
死
者
平成22年
26
8
13
138
5
5,816
1
0
平成23年
26
8
12
736
15
38,180
1
0
平成24年
31
10
22
846
6
29,658
1
3
平成25年
26
6
10
594
18
5,073
0
3
平成26年
33
6
14
1,961
4
433,314
0
4
平成27年
17
4
10
400
0
8,487
0
3
平成28年
18
5
12
630
2
16,226
0
4
(資料:消防部総務課)
-103-
○ 救急出場の推移
年
次
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
平成27年
平成28年
区
分
自
然
災
害
火
災
交
通
事
故
水
難
労
働
災
害
運
動
競
技
一
般
負
傷
自
損
行
為
加
害
急
病
そ
の
他
計
件数
0
0
5
98
11
11
251
3
22
950
248
1,599
搬送人員
0
0
6
116
11
11
244
2
14
910
244
1,558
件数
1
0
3
117
10
11
227
2
26
997
246
1,640
搬送人員
0
0
2
127
11
11
223
2
16
951
242
1,585
件数
2
0
2
116
19
15
264
8
18
971
279
1,694
搬送人員
2
0
2
125
19
16
257
6
9
916
274
1,626
件数
1
0
1
105
20
8
248
5
14
977
269
1,648
搬送人員
1
0
0
119
19
8
242
6
9
939
260
1,603
件数
2
0
1
104
18
7
266
1
15
1,001
323
1,738
搬送人員
2
0
1
121
19
8
263
0
11
960
319
1,704
件数
0
0
4
86
17
14
295
6
14
1,030
338
1,804
搬送人員
0
0
2
95
17
15
296
6
8
985
332
1,756
件数
1
0
5
97
20
12
299
4
13
1,118
325
1,894
搬送人員
1
0
5
111
20
13
294
4
11
1,071
314
1,844
(資料:消防部総務課)
2
防災体制の充実強化
当市では、平成 18 年度に策定した「大田市地域防災計画」に基づき、組織体制や災害時に備え
た非常食及び資機材の年次的な計画による備蓄を実施するとともに、島根県をはじめとした関係機
関と連携を図りながら、防災情報システムの運用を行っている。
また、東日本大震災や熊本地震等の大規模災害を教訓として、自然災害や大規模な社会インフラ
事故等の発生時に全庁の統括・調整にあたる「危機管理室」を設置するなど、危機管理体制の充実・
強化に努めており、大規模災害発生時において、市の行政機能を継続するための業務継続計画につ
いては、策定中である。
一方、総合的な防災対策を進めていくためには、市民による自主防災体制の構築、育成・強化が
重要であるが、自主防災組織の組織率は、平成 27 年度末で 36.1%と、島根県(71.1%)及び全国
(81.7%)を大きく下回っている状況であり、組織化が課題となっている。
今後、災害時の情報伝達手段の拡充や市民の避難体制の整備などを推進するとともに、防災意識
の啓発など、地域防災体制の強化を図る取り組みをこれまで以上に推進する必要がある。
また、市の行政機能を継続するために必要な人員や執行環境の確保に努める必要がある。
本庁舎は昭和 57 年完成の建物で、耐震基準を満たしておらず、建築後 35 年が経過していること
から、緊急性、耐用残存年数を考慮したうえで耐震補強等を検討する必要がある。
3
交通安全対策の推進
交通事故の現状は、夜間における国道での交通死亡事故が特に多発しており、高齢者の交通事故
の増加は大きな問題となっている。
当市は、交通事故防止対策推進のため「大田市交通対策協議会」へ交通安全対策業務の委託、ま
た、大田市交通指導員を委嘱して、児童・生徒の登下校時に交通安全指導を実施するなどの取り組
-104-
みを行っている。
更に、交通安全環境についても、市民要望に基づき、交通安全施設(カーブミラー設置等)の整
備を実施しており、交通環境の改善を含めた総合的な交通事故防止対策に努めている。
交通安全の更なる推進を図るためには、各地区の交通安全活動の継続はもとより、交通指導員の
指導力向上が必要である。
4 防犯対策の充実
近年、青少年や児童に関わる凶悪犯罪事件が多発しており、防犯対策の充実を求める機運が高ま
っている。
当市は、「大田市防犯協力会」へ助成を行うなど、防犯対策を推進しており、特に、防犯協力会
の活動を通じて、
「子どもの見守り隊」や、
「青色回転灯パトロール隊」等の自主防犯組織が結成さ
れるなど、市民による自主防犯の取り組みが進められている。
また、薄暮時や、夜間における不審者からの声がけ事案が発生しており、市民要望に基づいた防
犯灯の設置整備及び自治会防犯灯新規設置等にかかる助成を実施している。
防犯対策を推進していくうえで、市民による自主防犯の取り組みの継続性が課題であり、また、
防犯灯の設置については、市の設置から市民が設置する防犯灯への移行が必要となっている。
5 治山治水対策等の推進
地理的・地形的条件から、水害・山崩れなどの災害危険箇所の多い当市において、砂防、地すべ
り防止対策、急傾斜地崩壊対策、治山等の県事業を中心として諸事業に取り組んできたが、今後も
災害防止に向けて、積極的に事業を推進する必要がある。
河川や地域の基幹排水路、更に、市街地内の排水路については、流域の環境変化に伴う流量の増
大から流下断面の不足が生じ、降雨の際、住宅地の湛水が大きな問題となっている。
排水路については、築造後経過年数が経ち、老朽化も進み、改修や修繕の要望も多く出るなど、
市民生活の環境保全への対応が必要である。
河川環境の整備については、河川に隣接する地元自治会等が、「河川愛護団」を結成して除草・
清掃を行うなど、良好な河川環境が確保されており、これらについては、「河川愛護団奨励金」と
して助成している。
方向と目標
●火災及び風水害、震災時等の被害防止のため、消防力及び救急救助体制の充実・強化、
消防拠点施設や防災施設の整備等を進めるとともに、自主防災組織の育成強化や、災害
予防意識の啓発に努め、災害に強い防災体制を構築する。
●「大田市地域防災計画」を逐次見直し、総合的な地域防災体制の充実・強化を図る。
●災害危険箇所の把握に努め、土砂災害の防止に向けた治山・治水対策や、海岸保全対策
を推進する。
-105-
施策の内容
1
消防・救急救助体制の充実強化
(1) 常備消防と救急救助
①常備消防
・老朽化した西部消防署庁舎の建替えについて検討する。
・防災への広報活動をはじめ、あらゆる媒体を活用し、市民意識の高揚を図る。
・中高層建築物の増加や、都市型災害に対応する消防力の整備について検討する。
・車両や、装備・搭載資機材の計画的な更新を行う。
・職員の知識と技術の向上を図るため、「消防大学校」等の教育機関への派遣を行い、更なる
スキルアップを図る
②救急救助
・車両や資機材の計画的な更新を行う。
・複雑、多様化・高度化する救急業務及び救助業務に対応するため、職員の知識・技術の向上
を目的とした研修会等へ参加する。
・計画的に救急救命士を養成する。
・市民に対して、応急手当講習の受講を積極的に推進し、応急手当の普及啓発に努める。
(2) 非常備消防
①消防団員の減少や、被雇用者団員が増加する中、消防団協力事業所の認定による活動環境の
整備や、地縁等を通じた消防団への加入を促進する。
②消防団車両や、資機材の計画的な更新を行い、消防力の充実を図る。
③消防団員に対する資機材の取扱訓練、消防学校派遣教育等、各種訓練・研修会を計画的に実
施する。
④消防水利不足地域への防火水槽、消火栓を計画的に設置する。
⑤消防団員の処遇の改善を図る。
2
防災体制の充実強化
①避難所の見直しや災害時要配慮者対策等、市民の避難体制の整備に努める。
②災害用食糧や資機材の備蓄整備、また、応援体制の拡充並びに防災訓練の実施など、災害予
防体制の強化を推進する。
③総合防災情報システムの整備など広域的な防災体制を図る。
④防災行政無線の整備など、災害時の情報伝達手段の拡充を図る。
⑤各地域の実情に応じた研修会や、学習会等の継続的な実施、自主防災組織の結成を推進する
など防災意識の啓発に努める。
⑥大規模災害発生時に業務を継続するために執務環境の整備を行う。
⑦市役所本庁舎の耐震補強等について検討を行う。
-106-
3 交通安全対策の推進
①「大田市交通対策協議会」と連携し、高齢者を対象とした参加体験型の交通安全教室の実施
や、小学校の新入生への夜行反射材の配布等、交通安全にかかる啓発活動を実施する。
②交通指導員による交通安全指導については、交通安全意識を高めるため、定期的な研修会を
開催し、指導力の向上や関係機関との連携を図る。
③交通安全施設については、継続的に整備を行う。
4 防犯対策の充実
①更なる自主防犯活動の推進を図るため、
「大田市防犯協力会」に対する支援を行い、民間パト
ロールの充実に向けた「青色回転灯パトロール隊」の市内全域への整備や、小学校の新入生
への防犯啓発グッズの配布等を行う。
②防犯灯の設置については、自治会連合会や学校・保護者会等との連携を図りながら、必要な
箇所に対しての設置を行うとともに、市民による自主的な防犯灯設置の促進・支援を行う。
5 治山治水対策等の推進
①市民の生命・財産を自然災害から守るため、県及び市管理河川、砂防、治山、地すべり防止
対策、急傾斜地崩壊対策等の各事業を推進する。
②湛水が発生する地域については、水路の抜本的な改修等により対策を進める。
③各地域での排水路の改修については、年次的に進め、また、公共下水道整備区域内において
は、下水道工事との関連を図り整備を進める。
④愛護団構成員の対策は、今後高齢化となりますます厳しい状況が考えられるが、治水や河川
環境改善の観点から、良好に維持できるよう制度を検討する。
主な施策と事業
施
策
消防・救急救助
体制の充実強
化
事
業
付
記
西部消防署庁舎新築整備事業
西部消防署庁舎の建替えの検討
化学消防ポンプ自動車更新事業
化学消防ポンプ自動車の更新
高規格救急自動車更新事業
高規格救急自動車の更新
消防団小型動力ポンプ積載車更新事業
小型動力ポンプ積載車の更新
消防団小型動力ポンプ更新事業
小型動力ポンプの更新
消防団装備充実強化事業
消防団員の安全装備品の整備
消火栓整備事業
消防水利確保のための消火栓の新
設
消防格納庫整備事業
消防団の車両・資機材の格納庫整備
-107-
防災体制の充
実強化
消防水利確保のための防火水槽の
新設
「大田市地域防災計画」の見直し
防災対策事業
や、避難訓練の実施及び食糧備蓄な
どの防災対策の推進
防災行政無線屋外拡声子局増設整備事 防災行政無線屋外拡声子局の増設
業
整備
総合防災システム端末、震度情報ネ
島根県総合防災情報システム負担金
ットワーク等による災害規模の状
況把握と情報提供等
県営の防災ダム事業に対する負担
県単防災ダム事業(清滝ダム)
金
「大田市交通対策協議会」への業務
交通対策協議会委託事業
委託
交通安全対策
の推進
交通指導員設置事業
交通指導員報酬等
交通安全施設整備事業
カーブミラー、ガードレール等の設
置
防犯灯整備事業
防犯灯の設置及び維持管理
防火水槽整備事業
防犯対策の充
実
大田市防犯協力会への支援
治山対策事業
治山治水対策
等の推進
急傾斜地崩壊対策事業負担金
用悪水路整備事業
-108-
青色回転灯整備、防犯ブザー配布等
にかかる負担金
山崩れ、地すべり等の山地災害の防
止対策
島根県実施の急傾斜地崩壊対策事
業にかかる市負担金
幹線排水路、用悪水路の整備及び改
修
第4章
石見銀山をはじめとする
歴史文化を生かした
創造的な人づくり
4. 石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり
《施策体系》
1 世界に誇る石見銀山遺跡の保全と貴重な歴史・地域文化の振興
1 石見銀山遺跡の保全と整備・活用
2 歴史・地域文化の理解と保存・活用
2 豊かな心を育む学校教育の推進
1 幼児教育の充実
2 学校教育の充実
3 教育環境の整備・充実
3 いつでも学べる生涯学習社会の実現
1 生涯学習推進体制の整備
2 生涯学習環境の整備
4 生涯にわたるスポーツライフの実現
1 スポーツ機会の創造
2 スポーツ施設の整備
3 スポーツ活動による地域再生と健康づくり
5 地域特性を活かした地域間交流の推進
1 山村留学の推進
2 国内外交流の推進
-110-
4-1 世界に誇る石見銀山遺跡の保全と貴重な歴史・地域文化の振興
施策体系
石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり(教育・文化)
世界に誇る石見銀山遺跡の保全と貴重な歴史・地域文化の振興
石見銀山遺跡の保全と整備・活用
歴史・地域文化の理解と保存・活用
現況と課題
1 石見銀山遺跡の保全と整備・活用
「史跡石見銀山遺跡保存管理計画」に基づき、平成 18 年度から石見銀山世界遺産センターの整
備や大久保間歩等の坑道整備や落盤などの安全な公開のための対策、遊歩道・見学道の整備、案内
板等のサイン整備、遺跡価値を伝えるためのガイダンス施設の整備等を年次的に行ってきた。
この他、町並み保存地区や史跡地内にある歴史的建造物の保存活用を進めており、管理運営にお
いては一部に指定管理者制度による民間活力を導入している。平成 26 年度から保存修理を行って
いる宗岡家住宅については、一般的な公開だけでなく、武家住宅への理解を促進し価値を高める活
用策が必要となっている。
今後の遺跡全体の整備については、広範囲に分布する遺跡の特性を踏まえ計画的に行う必要があ
り、特に、史跡地内の修理が必要な社寺建造物については、管理する団体などとの協議の上、修理
後の維持・活用策を見通した保存修理方針等を取りまとめる必要がある。
遺跡の活用については、「石見銀山行動計画」により石見銀山基金を設立するなど官民協働事業
等を実施し、石見銀山の歴史文化を活かした活動を展開してきた。これら事業の核をなす「石見銀
山協働会議」はNPO法人化され、平成 23 年度からは保全活用事業への助成事業が開始されてい
る。今後はNPO法人による自立した事業運営が行われるよう支援する必要がある。
さらに、石見銀山に関する文化・学術面での情報整理と発信が求められており、教育ビジョンに
基づきこれに対応する地域学「石見銀山学」の形成を進めていく必要がある。
平成 16 年度に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された温泉津地区については、石見銀山
の外港として発展した温泉のある港町で、銀山の繁栄とともに栄えた町並みである。町屋・廻船問
屋・温泉旅館・社寺等の伝統的建造物がよく残る町並みとして歴史的・文化的な景観を形成してお
り、町並みの魅力をさらに高めるため、修理修景事業や防災事業を進めると共に、温泉津町なみ環
境整備事業により電柱や側溝、舗装などを景観に調和させていく必要がある。
-111-
史跡である鞆ケ浦地区については、世界遺産の構成資産である港湾集落の価値を伝える施設とし
て、拠点となる石見銀山世界遺産センターに対するサテライト施設として鞆館を整備しており、地
元との連携により活用を進めている。石見銀山交通対策事業については、パークアンドライド方式
を導入した以降、石見銀山公園と、龍源寺間歩間の交通弱者の移動手段が課題となっており、その
対策を進める必要がある。
世界遺産登録から 10 年を迎えようとする現在、特に、腐朽が著しい社寺建造物及び空家や高齢
化などの課題を抱える港湾集落の保全、温泉津街なみ環境整備事業の推進、世界遺産としての価値
の更なる理解促進、来訪者及び住民に向けた新たな情報発信による遺産の魅力の顕在化、官民協働
による一層の維持保全活動の推進と体制の整備などの課題がある。
2
歴史・地域文化の理解と保存・活用
当市は、石見銀山遺跡や鳥井南遺跡、琴ヶ浜、本因坊道策名人など、有形・無形の文化財等貴重
な歴史的・文化的資源を豊富に有している。特に、琴ヶ浜は貴重な鳴り砂の浜であり、持続的な環
境の保全が必要となっているため、現在、国の天然記念物指定の準備を進めている。このような、
市民の誇りである貴重な文化財などの遺産を、地域の財産として保存・継承するとともに、調査・
研究を進め、市民への学習機会の提供など文化財を活かす取り組みが必要である。
また、市民が自己実現を図り、心豊かに感動を持って生活し、真に豊かな社会を実現するために、
芸術文化は欠くことのできないものである。
文化の持つ力で、人々に元気を与え、地域社会を活性化させるために、市民一人ひとりが芸術文
化に興味や関心を深め、気軽に文化活動に取り組むことができるよう、さまざまな芸術文化に親し
む機会や活動の場の拡充に努めるとともに、芸術文化関係団体の活性化に向けた取り組みを進める
必要がある。
また、芸術文化活動の中心施設である「大田市民会館」は、平成 25 年度に耐震補強工事に併せ
てリニューアルオープンしたが、日常的な補修の必要な施設であり、来場者の利便性向上の点から
駐車場整備も必要である。
方向と目標
●石見銀山遺跡とその関連史跡の保全・整備や町並みの整備を行うとともに、情報発信や、
学習・交流の機会づくりを進める。
●教育ビジョンに基づき、石見銀山学概説書の刊行に着手するなど、石見銀山学の形成に
向けて具体的な事業を推進し、大田市史編さん事業につなげていく。
●地域固有の歴史・文化財・民俗芸能等について、適切な理解と保存・保護及び活用に努
めるとともに、地域の文化交流を積極的に進める。
●芸術文化に親しむ機会や活動の場の拡充、芸術文化を支える基盤整備を進めるとともに
関係団体の活性化とネットワーク化を図る。
-112-
施策の内容
1 石見銀山遺跡の保全と整備・活用
①港湾集落維持保全のマンパワーとして地域おこし協力隊を配置し、地域との緊密な連携を図
りつつ、官民協働による保全策を展開する。
②港湾集落の維持を目的に史跡整備の制度を導入した保存対策事業に着手する。
③石見銀山基金の助成制度を活用し、歴史的建造物修理を推進する。
④小中学校における石見銀山学習の推進と、持続可能な社会の担い手教育(ESD)による世界遺
産・地域遺産学習を推進する。
⑤一般向けの石見銀山学概説書の発刊による「地域学」としての石見銀山学の形成を進める。
⑥ユネスコ精神の普及啓発のための説明板の設置をはじめ、各種講座を開講し、保存意識の高
揚と遺産への関心と愛着を高める。
⑦調査研究を進め、新たな価値の顕在化と見学できる場所の創出を図る。
⑧歩く観光、パークアンドライド方式を引き続き基本としながら、課題となっている石見銀山
公園と龍源寺間歩間について交通弱者の移動手段について対策を進める。
⑨遺産価値の理解向上を目指して公開区域を拡大し、多言語対応と遺産案内機能向上のための
石見銀山世界遺産センターの展示更新を実施する。
⑩民間組織、団体及び関係機関との緊密な連携による持続的な保全・活用事業の展開とその支
援を行う。
⑪指定管理者制度等による民間の活力とノウハウを導入し、歴史的建造物である宗岡家等の管
理、公開や活用を進める。
2 歴史・地域文化の理解と保存・活用
①芸術文化の振興と次世代を担う人材の育成を進める。
②市民の誇りである貴重な「自然、歴史、伝統・文化(レガシー)の保存・継承と活用」に努
める。
③芸術文化を支える環境づくりに努める。
④連携と協働による芸術文化のまちづくりを推進する。
⑤本因坊道策名人の顕彰を行うとともに、囲碁のまちづくりを進める。併せて、10 周年記念事
業として本因坊戦を開催する。
⑥琴ヶ浜の国指定天然記念物の実現を図るとともに、市民とともに持続可能な保全活動を推進
する。
⑦鳥井南遺跡の調査成果を公開するとともに遺跡の活用と環境整備に努める。
⑧大田市民会館については、施設の補修を随時行うとともに、駐車場整備に向けた検討を行う。
-113-
主な施策と事業
施 策
石見銀山遺跡
の 保 全 と 整
備・活用
事
業
記
石見銀山遺跡総合調査事業
調査面積 年間 400 ㎡程度等
石見銀山遺跡総合整備活用事業
間歩、港湾集落、見学道などの整備
等
重要伝統的建造物群保存地区整備事業
大森銀山地区、温泉津地区の建造物
等の修理・修景
国県市指定文化財保存修理事業
石見銀山遺跡にかかる指定文化財等
の修理
史跡公有化事業
史跡指定地内の土地の買い上げ
宗岡家住宅公開活用事業
宗岡家住宅の指定管理者による公開
と宿泊体験の実施
概説書及び史料集の刊行、石見銀山
学講座の開講
NPO法人石見銀山協働会議による
協働の体制づくり、保全・啓発・調
査等
石見銀山基金による保全活動への支
援
世界遺産登録 10 周年記念式典開催、
情報発信、その他関係機関と連携し
た記念事業の開催
石見銀山公園から龍源寺間歩までの
交通手段の検討
石見銀山学形成事業
石見銀山協働推進事業
石見銀山基金事業
世界遺産登録記念事業
石見銀山交通対策事業
歴史・地域文化
の 理 解 と 保
存・活用
付
温泉津地区街なみ環境整備事業
照明・水路・舗装・電柱の美装化
大田市民会館施設整備事業
施設の補修、駐車場整備に向けた検
討
「文化はまちの力」推進事業
「大田市芸術文化振興計画」の推進、
難波利三ふるさと文芸賞選定事業等
本因坊戦開催事業
第 72 期本因坊戦第 2 局の開催、本因
坊道策名人の顕彰
天然記念物管理保護事業
天然記念物指定記念講演会、持続的
な保全活動の推進
鳥井南遺跡活用推進事業
鳥井南遺跡の調査・活用等
-114-
4-2 豊かな心を育む学校教育の推進
施策体系
石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり(教育・文化)
豊かな心を育む学校教育の推進
幼児教育の充実
学校教育の充実
教育環境の整備・充実
現況と課題
1 幼児教育の充実
公立幼稚園については、2 園が保育所と互いを補完しながら設置・運営しているが、園児数につ
いては、平成 19 年度に 132 人であったのに対し、平成 28 年度には 59 人に減少している。
近年、核家族化の進行や少子化等により、幼児を取り巻く環境は大きく変化している。そうした
中、子育て支援活動が、幼稚園の担う大きな役割となっており、当市においても取り組みの一環と
して、平成 13 年度から 3 歳児保育を実施したほか、平成 22 年度からは、保護者の就労、介護等の
さまざまな事情に対応するため、預かり保育を実施している。
また、平成 27 年度に策定した教育ビジョンを踏まえ、就学前教育として子ども読書活動を推進
している。
平成 28 年度には、読書活動推進員を配置し、市内幼稚園、保育園における読書環境の改善指導
や「読書記録ノート」を作成し未就学児のいる家庭に配布している。
さらに、平成 28 年度に策定した就学前統一カリキュラム(0 才~就学期前)を各保育園並びに幼
稚園で周知・実践を進めることで就学前教育の充実に取り組む必要がある。
-115-
● 園児数の推移
(5月初日在籍人員)
区分
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
公立幼稚園
111
96
82
104
113
104
111
95
79
64
59
私立幼稚園
37
36
20
-
-
-
-
-
-
-
-
計
148
132
102
104
113
104
111
95
79
64
59
(資料:大田市教育員会)
2
学校教育の充実
現在、過疎化、少子化が進み、市内の児童・生徒数は年々減少している。また、子育て世代の核
家族化の進展や、夫婦共働きの家庭の割合が増えるなど、子どもたちを取り巻く環境も大きく変化
している。学校では学力の育成ばかりでなく、次代を担う人材の育成も求められており、各学校で
は地域と連携を図りながら、様々な課題に取り組んでいる。また、全国的には、近年、深刻ないじ
め問題が発生しており、いじめ防止対策や不登校対策なども一層の充実を図る必要がある。こうし
た中、教育ビジョンに沿って学校教育施策を進めている。
今後は、小中学校の魅力化や保幼・小中・高の連携を進め、山村留学事業や地域、社会教育施設
等との連携を図ることにより、大田市教育の魅力化を総合的に進め、定住や教育移住につなげてい
く必要がある。
● 児童・生徒数の推移
(5月初日在籍人員)
区分
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
小学校児童数
1,956
1,911
1,841
1,867
1,833
1,787
1,794
1,770
1,733
1,662
1,641
中学校生徒数
1,172
1,112
1,074
982
971
937
922
918
895
942
911
計
3,128
3,023
2,915
2,849
2,804
2,724
2,716
2,688
2,628
2,604
2,552
(資料:大田市教育委員会)
学校教育については、学校図書館活用教育のための学校司書の配置、多人数学級等での指導力の
向上や家庭学習の定着を図るための支援員を配置している。
土曜チャレンジの実施、調べ学習用図書整備、図書館のエアコンの整備など環境整備に努めてい
る。
全国及び県の学力テストに参加し、児童生徒の成績状況や、各科目の状況、学習等の傾向等分析
を行い、授業内容等改善を図っている。
平成 21 年度から学校図書館活用教育を積極的に進めた結果、小学校の学力調査において、国語
B の正答率が全国や県平均を大幅に上回るなど成果があったが、その他の科目や、中学校の学力に
ついては県平均以下の状況が続いており課題となっている。
いじめや不登校対策については、児童生徒支援や特別支援教育体制の整備に引き続き取り組む必
要がある。また、地域とともにある学校づくりの観点から学校運営においても地域連携を進め、平
成 27 年度において小学校 1 校、中学校 2 校にコミュニティスクールを導入している。
学校再編については、少子化の進む大田市において望ましい学習環境を維持するため平成 20 年
-116-
度から学校再編実施計画に取り組んだ結果、小学校 21 校が 16 校に、中学校 8 校が 6 校となった。
現在の学校再編実施計画が平成 28 年度で終了することから、現計画を検証したうえで、改めて
学校再編実施計画を策定する必要がある。
3 教育環境の整備・充実
近年、地球温暖化の影響により気温の上昇が続いていることから、全ての職員室と保健室にエア
コンを整備し、現在計画的に図書館のエアコンの整備を行っており、平成 28 年度で小学校 8 校、
中学校 8 校で設置済となった。引き続き、学校図書館へのエアコン設置に取り組む必要がある。
ICT を活用した効果的な授業を推進するため計画的に ICT 機器の整備を行っており、教職員を対
象とした ICT 機器活用研修を継続して行っていく必要がある。
施設整備については、老朽化が進んでいる大田小、仁摩小の校舎、第二中の校舎・体育館が平成
29 年度から、平成 31 年度かけて築 40 年を超えるため、大規模改修が必要である。
学校プールについては、そのほとんどが耐用年数を経過しており、老朽化に起因する不測の事態
等も想定されることから、多額の費用を要する改修が必要となる場合には閉鎖し、近隣の小学校プ
ール又は市民公園プールの利用を検討する必要がある。
また、学校給食については、新学校給食センター供用開始に併せ、地産地消の推進に積極的に取
り組むとともに、学校給食センターを拠点とした見学研修会を開催するなど食育を推進している。
●学校給食の状況(平成 28 年 5 月 1 日現在)
大田市給食センター
園児・児童・生徒数 2,611 人 職員数 409 人
-117-
方向と目標
●教育ビジョンに基づき、
「多様で豊かな体験による確かな学力」
「自立、共生する心」
「た
くましく健やかな体」を育成することにより、大田市の子どもの生き抜く力を育てる。
●教育ビジョンに基づき、県立高校の魅力化に向けた取り組みを支援するとともに、保
幼・小中・高の連携による大田市教育の魅力化を進め、新たな人の流れを作り、教育移
住にもつなげる。
●魅力と活力のある学校づくりを推進していくため、望ましい学習集団の形成に向け小中
学校の統合・再編を進めるとともに、安全・安心な学校づくりに努め、計画的・年次的
な教育環境の整備に取り組む。
●学校給食は、旬の地元食材を積極的に使うなど地産地消に取り組み、行事食、郷土料理
等も取り入れ、食育を推進する。また、食育の拠点施設として学校給食センターの活用
を図る。
施策の内容
1
幼児教育の充実
①乳幼児期の発達段階に応じた教育・保育面での統一カリキュラムを作成し、乳幼児期からの
安定した教育や支援を充実する。
②就学前の読書活動及び親子読書活動を推進する。
③公立幼稚園の認定こども園への移行も含めて、今後のあり方を検討する。
2
学校教育の充実
①学力育成に効果のある図書館活用教育の推進のため図書整備や司書の配置を引き続き推進す
る。
②国及び県の学力テストによる分析により課題を確認し複式学級や多人数学級に支援員を配置
するなどの授業改善を図る。
③県立高校の魅力化のみならず、保幼・小中学校と、山村留学事業等との連携や、地域、社会
教育施設、県立農林大学校との連携などにより大田市教育の魅力化を総合的に進めると共に
定住や教育移住につなげる。
④総合的な学習の時間など地域との連携を進め、体験活動の充実を図ることにより、生き抜く
力の育成やふるさと教育の充実に努める。
⑤いじめや不登校対策等のため、児童・生徒支援、人権教育や特別支援教育の充実に引き続き
努めていく。
⑥地域とともにある学校づくりを更に進めていくため、コミュニティ・スクールの導入を引き
続き推進していく。
⑦平成 28 年度が学校再編実施計画の最終年度となったことから、計画を検証し平成 29 年 10
月を目途に新たな学校再編実施計画の策定に向けて検討を行う。
-118-
3 教育環境の整備・充実
①教職員を対象とした ICT 活用研修を実施し、ICT 機器を活用した効果的な学習指導を推進す
る。
②学校図書館のエアコン設置については、今後も計画的に整備を行う。
③築 40 年を超え、老朽化の著しい校舎・体育館の大規模改修工事を計画的に実施する。
④学校プールについては、社会体育としての利用も想定した多目的屋内温水プール施設の設置
について検討するとともに、簡易な修繕について引き続き対応する。
⑤旬の地元食材を使った学校給食による地産地消と食育の推進を図る。
-119-
主な施策と事業
施 策
幼児教育の充
実
学校教育の充
実
事
業
記
・統一カリキュラムの普及啓発・実
践
就学前教育推進事業
・読書活動推進員による幼稚園、保
育園等への指導助言及び乳児検診
時における読書活動の推進・啓発
児童・生徒・教職員の教育相談や教
教育相談事業
職員の研修に係る業務の実施
・ふるさと教育推進事業
・ふるさと学習(地域産業等学習)
事業補助
・キャリア教育推進事業
(「夢・志」特別授業・中学生職場
体験授業)
・社会科副読本「わたしたちの大田
小中高教育魅力化推進事業
市」作成委託
・統一カリキュラムの策定
・小中学校ホームページ構築費
・高校魅力化支援補助
・高校魅力化コーディネーターの配
置
・保幼・小中の魅力化推進コーディ
ネーターの配置
小中学校への英語指導助手(AL
英語指導外国青年招致事業
T)派遣
学習習慣サポーター、学力向上支援
員の配置及び中学生を対象とした
学力・教育力向上プロジェクト事業
土曜チャレンジ・放課後学びの場の
開設
学校図書館司書等の配置による本
「読み調べ学ぶ力漲る学校図書館」事業
に親しみやすい環境の整備
不登校児童・生徒の学校復帰や、問
題を抱える児童生徒及び保護者へ
児童生徒支援事業
の相談体制の整備。いじめの未然防
止・早期発見・対処
障がいのある児童生徒に対する生
活上の介助や学習活動上の支援等
特別支援教育体制推進事業
を行うため、特別支援教育支援員及
び特別支援教育介助員を配置
派遣指導主事による教員の授業力
指導主事配置事業
の向上、生徒指導や特別支援教育の
推進等の学校支援
ICT機器の整備による情報教育
ICT機器環境整備事業
やICT活用教育の推進
大規模改修推進事業(小中学校)
教育環境の整
備・充実
付
コミュニティ・スクール推進事業
学校給食地場産品利用拡大事業
-120-
大田二中校舎・体育館の基本設計
保護者や地域住民の学校運営への
参画による地域とともにある学校
づくりの推進
給食を教材とした食文化の伝承や
地場産品を利用した給食の提供等
4-3 いつでも学べる生涯学習社会の実現
施策体系
石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり(教育・文化)
いつでも学べる生涯学習社会の実現
生涯学習推進体制の整備
生涯学習環境の整備
現況と課題
1 生涯学習推進体制の整備
当市では、平成 21 年度から、市内 7 つのコミュニティブロックに公民館を再編・設置し各種公
民館活動を行ってきたほか、24 年度からは、公民館も「まちづくり委員会」へ参画することで、ま
ちづくりセンターや自治会代表者等とともに各ブロックの実態に即した生涯学習事業を展開して
いる。
平成 27 年度に策定した、
「教育ビジョン」を踏まえ、公民館は地域の核となって学校や図書館等
の社会教育施設や、まちづくりセンター、企業等との連携を図り、学校・家庭・地域との協働を推
進する中で、地域の教育力を高める役割を担うこととした。また、既存の公民館事業にESD(=
持続可能な社会の担い手を育む教育)という新たな視点を加えることによって、地域を愛し、支え、
創る担い手を育てていくこととした。
2 生涯学習環境の整備
当市では、社会教育の拠点として、1 ブロックにつき 1 公民館を配置し、学校及び社会教育施設
等との連携を図り、社会教育を推進するとともに、各地区における生涯学習を支援している。
生涯学習の拠点である図書館については、平成 21 年度に市内 3 館の「図書館情報システム」を
統一し、また、インターネットで蔵書情報を公開し、予約も可能にするなど利便性の向上を図って
いる。次期のシステム更新では電子書籍などの新たなツールの導入も検討し、より充実したサービ
スを図る必要がある。
図書館の施設整備については、市民が安心して利用できるように、施設の補修を行う。「温泉津
図書館」のあり方と、移動図書館車の導入については、今後検討する必要がある。
また、平成 21 年度から実施している「図書館と学校を読書で結ぶ活性化事業」(平成 26 年度か
-121-
ら「読み学び力漲る学校図書館」事業)により、図書館と学校図書館を連携させながら、子どもの
読書活動を進めてきており、児童生徒の着実な学力育成につながっている。また、平成 28 年 3 月
に策定した「第 2 次大田市子ども読書活動推進計画」を推進し、保育所、幼稚園を通じるなどして
家庭や地域などにおいて、子どもの読書力を更に高める活動を行っている。
方向と目標
●教育ビジョンを踏まえ、公民館が核となり、学校や図書館などの社会教育施設、まちづ
くりセンター、企業やNPOなどとの連携と、学校・家庭・地域との協働推進により、
ふるさと教育や学校支援地域本部事業、子どもの安全安心活動・放課後支援などの取り
組みを進め、地域の教育力を高め、地域の支えに繋げる。
●公民館活動におけるふるさと教育を、ESDの視点で捉え直すことにより、主体的に地
域を見つめ、支え担う、人材の育成を図る。
●専門的な社会教育の実施や地域課題解決のための学習を支援し、いつでも学べる生涯学
習社会の取り組みを推進することによって、持続可能な社会を目指す。
●乳幼児期の子育ての捉え直しを踏まえ、家庭や地域、幼稚園、保育所、学校と連携しな
がら、子どもの読書活動を推進する。
●市立図書館と学校と連携し、学校図書館の資料の充実と司書研修の実施による、学校図書館活
用教育の充実強化を図る。
施策の内容
1
生涯学習推進体制の整備
①社会教育の推進や、地域課題解決のための学習支援を担う公民館は、まちづくりセンター等
と連携し、地域の教育力を向上させ、
「協働のまちづくり」を担う役割の充実に努める。
②学校支援地域本部事業により、地域の人材を学校教育へつなぐための体制の強化を図る。
③市内の社会教育施設や企業、また、社会教育関係団体やNPO法人などの諸団体との連携や
情報の共有化を図り、大田市ならではの特色のある教育を進め、教育移住などの新たな人の
流れをつくる。
2
生涯学習環境の整備
①次期「図書館情報システム」更新に向け、より充実したサービスが提供できるよう検討する。
②施設整備においては、緊急性の高いものから、随時、補修・改善を行う。
③市立図書館は中山間地域の生涯学習を支えるため、まちづくりセンターや幼稚園、保育園な
ど遠隔地への配本サービスの向上を図る。
-122-
主な施策と事業
施
策
事
業
学校支援地域本部事業
生涯学習推進
体制の整備
社会教育主事派遣事業
「公民館はまちの力」推進事業
生涯学習環境
の整備
付
記
市民が「学校支援ボランティア」と
して学校教育を支援
県の派遣制度を活用し、学校・家庭・
地域が連携した取り組みにおける人
的基盤づくりを推進
「公民館研究大会」、
「お出かけ講座」
等の実施
「読み調べ学ぶ力漲る学校図書館」事
業【再掲】
市立図書館情報管理システム整備事業
-123-
図書館の情報システム更新、ホーム
ページでの蔵書公開等、電子書籍な
ど新規機能の検討
4-4 生涯にわたるスポーツライフの実現
施策体系
石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり(教育・文化)
生涯にわたるスポーツライフの実現
スポーツ機会の創造
スポーツ施設の整備
スポーツ活動による地域再生と健康づくり
現況と課題
1
スポーツ機会の創造
当市では、スポーツ推進委員等による各種スポーツ教室の開催や、地区体育協会、スポーツ少年
団、各種競技団体等がスポーツの普及・推進に努めている。
また、これらの団体(27 地区体協、33 競技団体、3 学校体育団体)が「大田市体育協会」に加
盟しており、連携を取りながら、独自の競技大会を実施するなど、市民の健康、体力づくりと競技
力向上に努めている。
しかしながら、過疎化、少子・高齢化等を背景として、スポーツ活動が停滞している状況にあり、
子ども達の心身の健全育成や働き盛り、中高年齢層の健康増進等、ライフステージに応じたスポー
ツ機会を創造していくことが必要となっている。
また、各競技団体においては高齢化による会員の減少や、指導者が不足傾向にあり、新たな会員
確保や指導者の育成、スキルアップが必要となっている。
小中学校における、体力・運動能力、運動習慣等調査結果によると、子どもの体力低下には歯止
めがかかったものの、更なる、体力向上への取り組みや、幼児期・学童期から基礎的な運動能力を
向上させる対策が課題となっている。
2
スポーツ施設の整備
当市では、「総合体育館」をはじめ数多くのスポーツ施設が、多くの市民によって利用されてお
り、また、各地区の「学校体育館」等を開放することにより、地域の身近なスポーツ施設としても
利用されている状況である。
-124-
しかし、スポーツに対する価値観の多様化等により、多岐にわたるスポーツ施設の要望や、大き
な大会が開催可能な大規模施設の建設などの要望も多いなど、現状の施設に対する課題は多い。体
育施設については、利用者のニーズに対応した施設機能の確保・充実、耐震化の対応、老朽化施設
の修繕が必要となっている。
また、通年利用可能な、温水プール施設がないことから、水泳競技の停滞に繋がっているほか、
健康づくり面などの利用について、市民ニーズも高く引き続き検討する必要がある。
3 スポーツ活動による地域再生と健康づくり
当市においては、「三瓶高原クロスカントリー大会」等の各種競技大会をはじめとして、体育の
日を中心に開催される「大田市健康・体力づくり市民大会」の開催や、各地域におけるスポーツ教
室の実施、
「島根県スポーツ・レクリエーション祭」への積極的な参加などその推進に努めている。
平成 28 年度に策定した「健康まちづくり推進方針」に掲げた方針のもと、
「大田市健康増進計画」
との整合性を図りながら、子どもから高齢者、障がい者を含めた市民の誰もが自らの、関心、適正
等に応じてスポーツに親しむ機会を確保するよう「第 2 期大田市スポーツ推進計画」を進める必要
がある。
また、スポーツは、それをする人ばかりでなく、観る人・支える(育てる)人など、多様な関わ
り方があり、これらも含めたスポーツを推進する必要がある。
方向と目標
●スポーツ活動により、市民が元気で活力あるまちづくりを目指す。
●いつでも、どこでも、誰でも、いつまでも、気軽にスポーツに取り組むことができる「生
涯スポーツ社会」の実現に向けた環境整備を図る。
●健康まちづくりの推進に向け、介護予防の取り組みなど関係機関との連携・協力により
生涯を通じ、スポーツを通じた健康づくりに努める。
●スポーツイベントの実施や身近な場所でのスポーツ教室を開催し、市民がスポーツに親
しむ機会を増やす。
施策の内容
1 スポーツ機会の創造
①スポーツ推進委員活動の充実や強化、市体育協会などからの積極的な情報発信などにより、
いつでも、どこでも、誰でも、いつまでもスポーツに親しむことのできる「生涯スポーツ社
会」の実現に向けた推進体制の充実を図る。
②大田市健康・体力づくり市民大会、各種スポーツ団体が実施している研修会や指導者派遣な
ど、現状の取り組みを維持・拡大することにより、スポーツに触れる機会の提供や機運の醸
-125-
成を図る。
③スポーツ活動が身近な地域で行えるよう総合型地域スポーツクラブの未設置地域での組織化
に向け協議・検討する。
④小中学校では、スポーツテストを一括実施し、
「子どもの体力向上推進連絡協議会」による結
果の分析等により、各校での取り組むべき対策を実行することで、引き続き、体力向上を推
進する。
⑤幼稚園や保育所に指導者を派遣し、幼児期における多様な動きや運動を経験させることで、
運動能力の発達に繋げる。
⑥競技スポーツの競技力向上に向け、全国大会出場者への支援により、全国レベルの選手の育
成に努め、市民のスポーツに対する関心を高めることで地域の活力に繋げる。
2
スポーツ施設の整備
①総合体育館の耐震補強に合わせた整備・改修の実施など体育施設の必要な改修・整備を行う。
②学校プールとしての利用も想定した多目的屋内温水プール施設の設置について検討する。
③第二中学校陸上競技場の第 4 種公認競技場の公認継続に向け必要な整備等を行う。
3
スポーツ活動による地域再生と健康づくり
①スポーツイベントの実施や、公民館など身近な場所でのスポーツ教室の開催等により、市民
がスポーツに親しむ機会を増やす。
②各地域での介護予防事業などにおいては、スポーツ推進委員や福祉団体などとの連携を図り、
健康づくりに努める。
③スポーツに親しむ機会を提供するためのスポーツ教室の実施などの施策の展開や、指導者の
育成、関係者との連携を図る。
④大田市健康まちづくりの推進に向け、ウォーキング普及員の新設やウォーキングの普及・推
進など市民の体力づくり向上に向け、関係団体との連携を図る。
-126-
主な施策と事業
施
策
スポーツ機会
の創造
スポーツ施設
の整備
スポーツ活動
による地域再
生と健康づく
り
事
業
付
記
スポーツ推進事業
総合型地域スポーツクラブの設立・
育成、スポーツ教室の実施や指導者
の派遣・育成等
スポーツ選手強化育成事業
全国大会出場選手への補助
大田市民公園施設整備事業【再掲】
大田総合体育館の耐震化、整備、改
修等
大田陸上競技場公認検定事業
陸上競技場改修工事、備品整備等
スポーツ推進事業【再掲】
大田市健康・体力づくり市民大会
三瓶高原クロスカントリー大会等
-127-
4-5 地域特性を活かした地域間交流の推進
施策体系
石見銀山をはじめとする歴史文化を生かした創造的な人づくり(教育・文化)
地域特性を活かした地域間交流の推進
山村留学の推進
国内外交流の推進
現況と課題
1
山村留学の推進
平成 8 年より、学校の休業期間を活用した短期山村留学を実施し、平成 16 年からは、山村留学
センター「三瓶こだま学園」を拠点に、1 年間を通じた長期山村留学を実施しており、これまでに、
長期生延べ 152 名、短期事業では延べ約 5,300 名を受け入れてきた。
この 20 年間、継続してきたことにより、①大田と都市部の子ども同士がお互いに刺激しあい人
間的に成長、②大田市の関心度・知名度アップとふるさと再発見に貢献、③OB とその保護者を通
じて、大田と都市部の地域間交流が拡大し地域に活力が生まれた、④修園生の島根県内の高校進学
や就職が出始めた、⑤山村留学を行っていることを理由にあげる定住者が生まれた といった成果
が出ている。
今後、事業を推進するためには、①効率的な管理運営体制の構築、②長期留学生の安定確保、③
里親農家の固定化と高齢化対策、④地元団体など支援体制の再構築、⑤近隣の社会教育施設との連
携強化、⑥ボランティアスタッフ組織の構築が必要である。
2
国内外交流の推進
(1) 姉妹都市との交流
テジョン
昭和 62 年 11 月 14 日に「大韓民国・大田廣域市」と姉妹都市縁組を締結し、昭和 63 年からの
「中学生交流事業」をはじめとして、文化交流や青少年交流を中心に友好を深めてきており、平成
29 年で 30 周年を迎える。
また、韓国文化等を理解するための講座も継続して実施しており、市民の韓国に対する関心や理
解が深まってきたが、今日の社会・経済情勢の影響等で民間交流は一部の団体にとどまっている。
-128-
(2) 多文化共生
国においては、平成 18 年に互いの文化的な違いを認め合い、同じ生活者であり地域住民である
ことを認識し、地域社会の構成員としてともに生きていく社会の実現に向けての取り組みを求めて
おり、当市においても、外国人住民が増加している状況の中で、多文化共生社会の実現に向けて、
国際文化講座の開催を支援している。
(3) 友好都市との交流
平成 2 年 4 月 14 日に、石見銀山が縁により「岡山県笠岡市」と友好都市縁組を締結し、両市の
ロータリークラブ、文化・スポーツ団体等が継続して交流するとともに、新たな団体同士の交流も
はじまっている。
方向と目標
●教育の魅力化を推進するため、長期山村留学生を安定して確保する。
●新たに、大田のすべての子どもが山村留学センターにおいて、宿泊付自然体験活動をす
る場となるよう検討を進める。
●山村留学の魅力化を図り教育移住へ結び付ける。
●姉妹都市・友好都市等との市民レベルでの交流事業を推進する。
施策の内容
1 山村留学の推進
(1) 長期留学制度の継続
山村留学事業が大田市教育の魅力化の有力な要素であることを踏まえ、教育移住へつながる取
り組みを推進する。
(2) 市内の子どもへの自然体験活動の場の提供
青少年交流の家や三瓶自然館など他の社会教育施設と連携して、新たに市内の全ての子どもが
宿泊付自然体験活動をする場となるよう検討する。
(3) 情報発信の強化
魅力化コーディネーターの活用を図るとともに、SNSを効果的に活用して、山村留学の魅
力・意義を積極的に発信する。
(4) 教育移住と定住への結び付け
保幼、小・中学校、市内2県立高校、県立農業大学校や地域、他の社会教育施設との連携を深
-129-
め、大田市教育の総合的な魅力化を実施する中で山村留学の魅力化を推進し、教育移住と定住
に結びつける。
2
国内外交流の推進
(1) 姉妹都市との交流
①青少年の国際理解と両市の友好親善のため、引き続き青少年交流事業を実施するとともに、
姉妹都市縁組 30 周年を記念した交流を行う。
(2) 多文化共生
①多文化共生社会の実現に向けて、関係機関と協議するとともに、外国人住民に対する理解を
促進するため、国際文化にふれることができる機会を増やす。
(3) 友好都市との交流
①民間団体交流を促進するため、引き続き助成を行い、併せて、防災面等で行政間での協力体
制、連携も検討する。
主な施策と事業
施 策
山村留学の推
進
事
業
記
長期留学、短期留学の実施、市内の
全ての子どもの宿泊付自然体験活
動事業の実施検討
隔年での中学生相互交流、
市民団体が行う韓国大田廣域市並
びに笠岡市との交流事業への支援
国際理解を促進する講座や韓国の
文化体験講座の開催
山村留学事業
交流推進事業
国内外交流の
推進
付
国際文化講座開催事業
韓国大田廣域市姉妹都市縁組 30 周年記 姉妹都市縁組 30 周年を記念した事
念事業
業の実施
-130-
第5章
自然との共生や
循環型社会を目指す
生活環境づくり
5. 自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり
《施策体系》
1 自然と共生したまちづくりの推進
1 総合的な環境保全対策の推進
2 自然や歴史を生かした景観形成
2 廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築
1 ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備
2 省・再資源化の推進
3 新エネルギーの導入推進
3 飲料水の安定的な確保と供給
1 上水道の整備
2 簡易給水施設の整備
-132-
5-1 自然と共生したまちづくりの推進
施策体系
自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境)
自然と共生したまちづくりの推進
総合的な環境保全対策の推進
自然や歴史を生かした景観形成
現況と課題
1 総合的な環境保全対策の推進
自然あふれる当市にあって、特に、国立公園「三瓶山」と世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的
景観」のもつ、その豊かな自然と貴重な歴史は、国内はもとより世界に誇れるものである。
また、大山隠岐国立公園は平成 28 年 7 月に環境省の「国立公園満喫プロジェクト」の選定を受
け、12 月には多様な観光資源を磨き上げるため、「大山隠岐国立公園ステップアッププログラム
2020」が策定された。
当市では、平成 25 年度に「大田市環境基本計画」を策定し、めざす環境像を「歴史輝き 人と自
然が共生するまち おおだ」と掲げ、自然環境の保護・循環型社会の構築・地球環境の保全・環境
保全活動などの各種施策を推進している。
現在、様々なボランティア団体や個人が、積極的に環境問題を学習し、環境保全に取り組んでい
る。また、
「市内一斉清掃」や「クリーン三瓶」、「クリーン銀山」を実施しており、市民の環境保
全意識の醸成につながる活動を推進している。
しかしながら、悪質な不法投棄等が今なお発生しており、引き続き、市民が自らの生活の中で環
境に配慮して、環境保全に努めるよう積極的に呼びかけていく必要がある。
また、持続可能な社会を実現するため、地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減に積極的に
取り組み、将来にわたって地球環境の改善を図る必要がある。
2 自然や歴史を生かした景観形成
当市は、石見銀山遺跡や三瓶山をはじめとした、多くの歴史的・自然的な景観資源を有しており、
全市的な景観意識の高まりから、平成 18 年度に「景観行政団体」となった。平成 21 年度には「大
田市景観計画」を策定し、
「歴史・文化・自然・産業による大田市独自のブランドを後世まで引き
継ぐ」を目標に①普通地域
②石見銀山遺跡景観保全地域 ③自然環境保全地域 の 3 地域を設定
した。今後も引き続き大田市全域の景観保全を推進していく必要がある。
-133-
方向と目標
●市民一人ひとりの環境保全に対する意識の高揚を図り、環境保全活動に対する支援を行
うなど、総合的な環境保全対策を推進する。
●市民のふるさと意識を醸成するうえで、かけがえのない財産である歴史的景観や自然景
観に、市民自らが誇りを持ち、良好な居住環境を維持するため、地域の特性を踏まえな
がら歴史、海、山を活かした景観づくりを推進する。
施策の内容
1
総合的な環境保全対策の推進
①「大田市環境基本計画」に基づき、環境保全に関して、より実効的で総合的な施策を推進す
る。
②訪日外国人をはじめ、多くの来訪者に自然、歴史・文化、野外体験を楽しんでもらうため、
平成 28 年 12 月に策定した「大山隠岐国立公園ステップアッププログラム 2020」に基づき、
自然に対する配慮を基本として、ナショナルパークにふさわしい取り組みを官民一体となっ
て行う。
③「市内一斉清掃」
、「クリーン三瓶」、「クリーン銀山」の活動について、より広く参加を呼び
かけ、参加者の拡大と意識の啓発を図るとともに環境保全団体への支援に努める。
④自然環境保全地域については、実態を把握したうえで、保全地域の拡大を視野に取り組む。
⑤悪質な不法投棄については、警察等関係機関と連携し、厳正に対応する。
⑥地球温暖化を防止するため、
「大田市地球温暖化対策地域協議会」を中心として、市民・事業
者・行政が連携して温室効果ガスの削減を目指す。
⑦国の「地球温暖化対策計画」に即した「大田市地球温暖化対策実行計画」を策定し、大田市
における地球温暖化防止に係る新たな目標を掲げ、地球温暖化対策に取り組む。
2
自然や歴史を生かした景観形成
①「景観審議会」の立上げに向けて、関係機関、公益事業者、学識経験者、市民及び良好な景
観形成を行う団体、個人等を加えて組織化するとともに、石見銀山遺跡をはじめ、三瓶山等
恵まれた自然環境を認識する中で、独自の魅力ある景観づくりを進める。
-134-
主な施策と事業
施
策
事
業
環境基本計画の推進
国立公園満喫プロジェクト【再掲】
総合的な環境
保全対策の推
進
自然や歴史を
生かした景観
形成
付
記
「環境基本法」に基づく計画、総合
的な環境保全対策
三瓶地域の豊かな自然、特色ある景
観を体感してもらうため、景観や施
設の整備
環境保全活動支援事業
活動団体への支援
生活環境保全推進事業
ボランティアによる回収済み海岸
漂着物の運搬及び不法投棄の処理
公害対策水質検査
市内 39 カ所の水質検査
地球温暖化対策事業
「地球温暖化対策の推進に関する
法律」に基づく温室効果ガスの削減
及び大田市温暖化対策実行計画の
策定
希少動植物保護対策事業
希少な動植物の保全
景観計画の推進
-135-
5-2 廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築
施策体系
自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境)
廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築
ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備
省・再資源化の推進
新エネルギーの導入推進
現況と課題
1
ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備
一般廃棄物の適正処理を図るため、施設整備や循環型社会の形成に向けた事業を展開し、発生す
る廃棄物の種類に応じ、廃棄物処理施設と再資源化施設において適正に処理を行っている。
出雲エネルギーセンターについては、委託事務の終了する平成 33 年度末まで出雲市と連携し、
安定稼働に努める。
次期可燃ごみ処理施設については、邑智郡総合事務組合との協議により、広域処理する基本合意
に至り、現在、新ごみ処理施設の平成 34 年度の供用開始に向け協議を進めている。
可燃中間処理施設においては、
平成 34 年度から次期可燃ごみ処理施設へ移行することを踏まえ、
安定稼働のための効率的な整備が必要である。
廃棄物処理施設である不燃物処理施設は、平成 27 年 10 月から新たな大田市不燃物処分場が供用
開始となり、当市における不燃性廃棄物の一括処理を行っている。一方で、既存施設においては、
閉場に向けて一定期間の水質の安定が必要であり、継続して施設管理を実施していくこととしてい
る。
また、大田し尿処理施設では老朽化が進行するなか、安定処理を適正に行うため整備計画に基づ
き緊急を要するものから優先的に整備を行っているが、施設の長寿命化を図るための大規模改修が
課題となっている。
再資源化施設である大田リサイクルセンター及び容器包装リサイクルセンターでは、廃棄物処理
施設と連携し、適正な廃棄物処理と施設整備を実施している。分別収集の徹底により、廃棄物の再
資源化に努め、ごみの減量化を一層推し進めることが重要となっている。
-136-
● し尿処理とごみ処理の状況
ごみ処理量 (t)
年度
し尿処理量
(kℓ)
可燃物
不燃物
平成22年度
28,042
7,749
1,697
平成23年度
28,485
7,965
1,672
平成24年度
27,874
8,006
1,346
平成25年度
27,965
8,055
1,142
平成26年度
27,768
8,057
1,091
平成27年度
28,167
7,924
1,006
(資料:衛生処理場)
2 省・再資源化の推進
「資源物」については、
「大田リサイクルセンター」で、
「缶・廃乾電池・水銀体温計・ガラスび
ん・ペットボトル・ダンボール・紙パック・新聞紙・その他の紙類・古布衣類」を中間処理し、再
資源化を実施している。
また、プラスチック製容器包装については、平成 23 年度から全市を対象に資源収集を行い、
「大
田容器包装リサイクルセンター」において中間処理し再資源化を実施している。
市民のリサイクルに対する意識が浸透していることがうかがえるが、高齢化が進む中で、家庭で
の複雑な分別は難しい状況であり、可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみとして排出されるものの中には、
再使用・再資源化できるものがある。
3 新エネルギーの導入推進
当市では、平成 20 年 2 月に「大田市地域新エネルギービジョン」を策定し、新エネルギーの導
入に取り組んできた。また、当市が重点的に取り組むべきエネルギーを定めるため、平成 24 年度
から平成 26 年度にかけて「大田市地域新エネルギー導入調査検討事業」を実施し、今後推進すべ
き新エネルギーを「木質バイオマス」及び「太陽光」と定め、これらの導入促進を図っている。
方向と目標
●清潔で快適な生活環境と循環型社会を形成するため、ごみの排出量抑制と再資源化の推
進に努め、廃棄物等の適正な処理を行うための取り組みを積極的に進める。
●分別への協力を推進し、更なる資源化を促進する体制を作る。
●地球環境にやさしく、地域の特性に適した新エネルギーの導入を促進する。
-137-
施策の内容
1
ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備
①次期可燃ごみ処理施設については、現在の出雲市への事務委託が終了する平成 33 年度末まで
に邑智郡総合事務組合と連携し整備を行う。また、可燃中間処理施設については、次期可燃
システムに対応した施設改修を行う。
②大田し尿処理施設においては、長寿命化を図るうえで大規模改修が必要となるが、公共下水
道の普及状況を勘案しながら、精密機能検査に基づく長寿命化計画を策定、実施することに
より安定処理を行う。
③大田市不燃物処分場に持ち込まれる不燃性廃棄物の再資源化等ごみの減量化を図り、施設を
有効活用する。
2
省・再資源化の推進
①廃棄物減量等推進員と協力し、資源物の分別と併せ、可燃ごみ(生ごみ、紙ごみ)の減量化
に向けて取り組む。
3
新エネルギーの導入推進
①新エネルギーの導入促進を図るため、現在行っている太陽光発電設備及び木質燃料活用機器
等の設置補助を行う。
②地球温暖化防止の観点から、省エネ住宅の普及促進や次世代自動車の導入など、市民一人ひ
とりが地球温暖化防止につなげるための取り組みの啓発を行う。
-138-
主な施策と事業
施
策
事
業
付
記
一般廃棄物処理基本計画の推進
「廃棄物の処理及び清掃に関する法
律」に基づく計画の推進
ごみ減量化等推進事業
ごみ指定袋の作成、分別収集ステー
ション等設置への支援など
次期可燃ごみ処理施設整備に係る負担
金
施設整備に係る負担金
出雲エネルギーセンター可燃ごみ処理
負担金
圧縮梱包して移送した可燃性一般廃
棄物の処理委託
省・再資源化の
推進
資源物分別収集事業
資源物分別収集の徹底
新エネルギー
の導入推進
新エネルギー導入促進事業
新エネルギーの導入促進及び普及啓
発
ごみ・し尿処理
対策と処理施
設の整備
-139-
5-3 飲料水の安定的な確保と供給
施策体系
自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境)
飲料水の安定的な確保と供給
上水道の整備
簡易給水施設の整備
現況と課題
1
上水道の整備
当市の上水道は、昭和 28 年の給水開始以来、水需要の増大に対応するため 8 次にわたる拡張事
業の実施により、施設の増補改良を行い、水道水の安定供給に努めてきた。
この間、「江の川水道用水」からの受水や、簡易水道の統合を行い、給水区域の拡大を図ってき
た。
また、生活様式の変化などによる、水需要の増加に対処するため、三瓶ダムを取水源とした「三
瓶浄水場」を建設し、平成 12 年 4 月から稼働し、安定した供給体制を確立した。
今後、これらの拡張工事の設備投資による企業債償還などの後年度負担が見込まれるなか、長期
的視野にたった健全経営の実施と、老朽管の更新、水圧・水量不足地区の解消、水源の統廃合を図
っていくことが必要である。
また、平成 29 年度から全ての簡易水道事業、飲料水供給施設 1 地区(島津屋)及び営農飲雑用
水施設 4 地区(朝山、上川内、飯谷、赤波)を上水道に統合することとしており、今後、上水道施
設全体の計画的な維持管理、更新及び長寿命化が必要となる。
-140-
○ 上水道等施設の状況
区分
上水道
簡易水道
飲料水供給施設
営農飲雑用水
(単位:人、立方メートル)
計画給水人口
施設名
上水道
志学簡易水道
池田簡易水道
大代簡易水道
祖式簡易水道
馬路簡易水道
富山簡易水道
川合東部簡易水道
西部簡易水道
温泉津簡易水道
井田簡易水道
仙山簡易水道
入石飲料水供給施設
島津屋飲料水供給施設
上野飲料水供給施設
朝山地区営農飲雑用水施設
野城地区営農飲雑用水施設
上川内地区営農飲雑用水施設
飯谷地区営農飲雑用水施設
柿田地区営農飲雑用水施設
本郷地区営農飲雑用水施設
赤波地区営農飲雑用水施設
多根地区営農飲雑用水施設
27,800
2,100
500
180
1,230
1,120
300
250
870
2,960
850
134
80
74
44
389
93
102
118
96
63
96
76
(平成28年4月1日現在)
計画1日最大給水量
10,800.0
1,100.0
157.8
88.0
390.5
560.0
90.0
68.0
181.3
1,450.0
365.0
35.0
12.0
15.0
11.0
176.1
64.4
56.4
65.8
40.2
27.5
41.8
48.4
(資料:水道課)
2 簡易給水施設の整備
当市は、上水道からの供給のほか、現在 11 地区の簡易水道、3 地区の飲料水供給施設、8 地区の
営農飲雑用水施設により、給水を行っている。
平成 29 年度からは、小規模な施設を除き上水道へ統合することとしており、今後は、飲料水供
給施設 2 地区(入石、上野)と、営農飲雑用水施設 4 地区(野城、多根、本郷、柿田)の 6 地区に
ついて、計画的な施設更新と維持管理体制の強化、経費の縮減を図り、安定的な施設運営を行う必
要がある。
-141-
方向と目標
●飲料水を安定的に確保、供給するため、上水道、簡易給水施設の整備及び計画的な老朽施設
の更新を進める。
施策の内容
1
上水道の整備
①水量・水圧不足の地区解消のため配水管の改良や、水源の統廃合の検討を行い、水道水の効
果的な供給を図る。
②送・配水管など老朽管については、統合する簡易水道等も含め、他事業との調整を図りなが
ら耐震化も考慮に入れ更新を進め、有収率の改善と水道水の安定的な供給を図る。
③浄水場や配水池などの施設については、耐用年数の経過する装置・機器の更新を実施する。
2
簡易給水施設の整備
①他事業により支障となる配水管の移設に併せ改良工事を行い、水道水の安定供給を図る。ま
た、老朽施設については、今後の人口動態・水需要を適切に反映させて、計画的な更新及び長
寿命化を図っていく。
主な施策と事業
施 策
上水道の整備
簡易給水施設
の整備
事
業
付
記
上水道施設新設改良事業
水道施設の新設及び改良
上水道老朽施設更新事業
老朽管等老朽施設の更新
上水道施設移設改良事業
他事業により支障となる水道管の
移設
簡易給水施設移設改良事業
他事業により支障となる水道管の
移設
-142-
第6章
参画と協働による
まちづくり
6. 参画と協働によるまちづくり
《施策体系》
1 協働によるまちづくり
1 市民参画と協働によるまちづくりの推進
2 市民との情報の共有化の推進
2 効率的な行財政運営と改革の推進
1 行財政改革の推進
2 職員の意識改革と育成
-144-
6-1 協働によるまちづくり
施策体系
参画と協働によるまちづくり(行財政)
協働によるまちづくり
市民参画と協働によるまちづくりの推進
市民との情報の共有化の推進
現況と課題
1 市民参画と協働によるまちづくりの推進
(1) 市民参画と協働によるまちづくり
市民ニーズの多様化や少子高齢化の進行など、社会情勢の変化に伴い、公共サービスの範囲が拡
大していく中、「公共サービスはすべて行政が担う」というシステムから、市民参画や地域の多様
なニーズに対応する「新たな公共サービス」への転換として、平成 18 年度策定の「大田市協働によ
るまちづくり推進指針」に基づき、取組みを進めてきた。
その結果、各地で地域住民や団体による地域課題解決の取り組みが進められていることなど、協
働のまちづくりを進めてきた成果も見られる。さらに、地域全体の機運の醸成、担い手の育成、地
域づくりの受け皿となる組織づくりなどの、取り組みを強化していく必要がある。
また、中山間地域を中心に高齢化や過疎化が進行し、集落機能が低下し、コミュニティの維持さ
え困難な状況が増加してきている中で、安心して住み続けることができるよう、大田市版・小さな
拠点づくりとして、まちづくりセンターを基本エリアに、生活機能の確保、生活交通の確保、地域
産業の振興、定住対策の促進の取り組みを中心に地域運営の仕組みを構築し、持続可能なまちの形
成を目指す必要がある。
(2) 定住促進
当市では、
「定住促進ビジョン」を策定し様々な定住施策を積極的に展開している。
その取組み内容は、日本「住みたい田舎ベストランキング」で総合 1 位を獲得するなど、全国に
誇れるものとなっている。さらに、県内最多の登録物件数を持つ空き家バンク制度の有効活用や定
住コーディネーターの配置による相談体制の充実などにより、UIターン者数の増加など一定の成
果が上がっているが、依然として人口減少に歯止めがきかず、年間約 500 人の減となっている。
また、地域におけるUIターン者の受け入れ意識の醸成や移住者に対する相談体制の充実など、
定住後も安心して生活が送れるようフォローアップの充実が課題となっている。
-145-
今後、人口減少に歯止めをかけ、将来にわたって活力のある地域を実現するため、大田市まち・
ひと・しごと創生総合戦略に基づき、定住施策を強力に推進していく必要がある。
(3) 空き校舎の利活用
空き校舎については、民間への貸与や譲渡も含め、あらゆる可能性を検討し、有効活用を図る必
要がある。
2
市民との情報の共有化の推進
行政情報の迅速かつ的確な提供により、市民の市政に対する理解を深めて、市民参画と協働を促
進するため、
「広報おおだ」等の配布や、ホームページでの情報発信を中心に、CATV を利用した
告知番組の放送、市長定例会見などを行っている。
今後は、情報発信の重要性を踏まえ、SNS など時代に即した媒体も効果的に利用しながら、更な
る情報発信力の強化に努める必要がある。
方向と目標
●地域で住み続けることができる「持続可能なまちづくり(大田市版・小さな拠点づくり)」
に向け、住民主体の取り組みを支援する。
●UIターン者に対する支援の充実と、定住コーディネーター等の配置による都市部などか
らの移住・交流を促進する。
●迅速かつ的確に行政情報を提供するため、様々な媒体を通じて情報発信を行い、市民との
情報の共有化を図る。
施策の内容
1
市民参画と協働によるまちづくりの推進
(1) 市民参画と協働によるまちづくり
①住み慣れた地域で住み続けることができる「持続可能なまちの形成」に向けた住民主体の取
り組みへの支援を強化する。
②まちづくり活動の担い手、リーダーの育成を図るとともに、持続可能なまちの運営を行う地
域自主組織等の受け皿づくりを進める。
③ボランティアグループやNPO等の市民活動団体との連携強化や育成を図り、市民と行政の
協働を進めるとともに、事業所や企業等も参画する地域づくりを進める。
④地域のまちづくり活動の新たな人材として、地域おこし協力隊員や集落支援員を配置し、集
落機能の維持・活性化を図るため、住民とともに地域課題解決につながる活動を実施する。
⑤老朽化したまちづくりセンターについては、安全確保のための整備について手法を検討する。
-146-
(2) 定住促進
①UIターン者に対する支援策の充実により定住促進を図る。
②空き家バンク制度、空き家改修等、空き家を活用した定住促進を図る。
③ふるさと島根定住財団と連携し産業体験者の定着に取り組む。
④定住コーディネーター等の配置による都市部などからの移住・交流を促進する。
⑤ふるさと情報誌、定住情報サイトによる情報発信の充実を図る。
(3) 空き校舎の利活用
①空き校舎は、地域の方々との協議を進めるとともに、民間への貸与や、譲渡も含め、様々な
対応策について検討し、多様な利活用を図る。
2 市民との情報の共有化の推進
①あらゆる情報媒体において、その特性を踏まえた効果的な利用を図り、市民との情報の共有
化を推進する。
②情報発信の重要性を認識し、発信力の向上に向けた職員研修等を実施する。
③SNS の活用等、時代や社会の変化に対応した媒体の活用に積極的に取り組む。
④市民の声を的確に施策に反映するため、意見箱や広報紙面を活用した広聴事業のほか、パブ
リックコメントや座談会などを実施する。
主な施策と事業
施
策
事
業
持続可能なまちづくり推進事業
地域おこし協力隊員等受け入れ事業
市民参画と協
働によるまち
づくりの推進
定住促進事業
産業体験者定着事業
空き校舎利活用の推進
記
住民主体の取り組みへの支援と、
活動を担う人材や組織の育成のた
めの研修会の開催
地域おこし協力隊員や集落支援員
を地域に配置し、各種課題の対策
にあたる
定住コーディネーターの配置によ
るU・Iターン者の支援、定住促
進
ふるさと島根定住財団と連携した
産業体験者の継続支援
空き校舎の利活用の検討
仁摩地区道の駅整備事業【再掲】
市民との情報
の共有化の推
進
付
広報広聴事業
ふるさと情報ネットワーク事業
-147-
市民が交流でき、地域活性化やま
ちづくりの拠点として活用できる
道の駅を整備する
広報誌の発行やホームページの充
実による行政情報の発信
ふるさと情報誌の発行(年 3 回)
定住情報サイトの管理運営等
6-2 効率的な行財政運営と改革の推進
施策体系
参画と協働によるまちづくり(行財政)
効率的な行財政運営と改革の推進
行財政改革の推進
職員の意識改革と育成
現況と課題
1
行財政改革の推進
(1) 行財政改革
当市の行財政改革の指針となる「第 3 次大田市行財政改革推進大綱及び大綱実施計画」
(以下「行
革計画」という。
)を策定し、平成 27 年度から平成 31 年度までの 5 年間にわたる行財政改革を推
進している。
本計画では、当市が将来にわたって安定的な市政運営を行っていくために、徹底した事務事業の
見直しや経費削減、自主財源の確保に努め、人・物・金・情報などの経営資源を、より効果的・効
率的に活用することとしている。
厳しい財政状況の中これからの 10 年・20 年先の当市の将来を見据え、市民が愛着を持ち、安心
して暮らし続けることのできる持続可能な当市を目指して、行財政改革を確実に実施することによ
り、真に必要な分野へ財源を重点的に充当するなど、改革の成果を活かした市政運営に努める必要
がある。
(2) 行政情報システム
現在、基幹システムとして総合行政システム(住民記録、税、社会保障等)を、法改正等に対応
するためのシステム改修を行い運用、管理を行っている。また、社会保障・税番号(マイナンバー)
制度の導入によるシステム改修を行うため、平成 28 年度に機器更新を実施した。平成 29 年 7 月か
ら全国自治体との情報連携が開始となり、システム構成、人的な運用体制も含めたセキュリティの
強化などさらなる運用管理の向上が必要である。また、災害時において情報システム停止による行
政事務不全に陥らないため、災害に強い基盤構築についての強化対策が必要である。
業務においては、マイナンバー制度の導入により、今後マイナンバーカードを利用した住民サー
ビスの提供は広い範囲で展開していくこととなる。
行政情報システムの運用については、多額の費用を要すことへの対策、セキュリティ水準の向上、
-148-
災害に強い基盤構築が図られることから、クラウド化に向けて検討する。
(3) 公共施設の適正管理
公共施設の多くは建設から相当年数が経過し、今後、大規模改修や建替えが同時期に集中するこ
とが見込まれ、更には平成 17 年の市町合併により機能が類似する施設も複数あること、加えて社
会環境の変化や施設の利用者が減少するなど課題が山積している。
これらの課題から、自治体経営の視点で総合的かつ統括的に企画、管理及び利活用する仕組みで
ある「公共施設マネジメント」に取り組むことが必要となってきた。
平成 27 年 3 月に「公共施設白書」を取りまとめ、中長期的な視点に立ち、将来負担の軽減を図
りながら、公共施設の安全性の向上と、必要性の高い市民サービスを持続可能なものとし、効率的・
効果的な施設整備や維持管理を行いつつも、平成 28 年度からの 30 年間で保有する公共施設の総延
床面積を 30%以上削減することを目標とする「公共施設総合管理計画」を平成 28 年 3 月に策定し
た。
この「公共施設総合管理計画」に基づき、公共施設の総量の適正化と適正配置を行うための具体
的な方針を示し、適切な施設整備や維持管理による資産管理と効率的な施設配置を実現するため、
「公共施設適正化計画」を策定する必要がある。
2 職員の意識改革と育成
地方自治体を取り巻く環境は、少子・高齢化、高度情報化などにより大きく変化している。また、
地方分権の進展に伴って、地方公共団体には自主性を発揮しながら地域の実情に応じた施策展開と、
創意工夫を凝らしたまちづくりの推進、新たな視点に立った行財政改革への取り組みが求められる
など、その役割はますます重要なものとなっている。
進展する地方分権社会の中、高度化・多様化する市民ニーズや新たな行政課題に迅速かつ的確に
対応するため、「大田市職員人材育成基本方針」に基づき、職員研修や人事評価制度を実施し、職
員の意識改革と人材育成を図ってきた。
今後も、人権尊重の視点に立ち、時代の変化に対応した質の高い市民サービスを提供するには、
職員個々の能力と意欲の向上を図ると共に、性別に関係なく、職員一人ひとりが持てる能力を十分
に発揮することによる、組織力の向上が不可欠であるため、職員の人材育成に一層取り組む必要が
ある。
-149-
方向と目標
●効率的、効果的な行財政システムによる自治体経営を確立するため、行財政改革に積極的
に取り組む。
●安全かつ効率的な行政情報システムを構築する。
●公共施設の総量の適正化と適正配置に努める。
●職員の意識改革と資質の向上を図り、時代の変化に対応できる幅広い人材育成に努める。
施策の内容
1
行財政改革の推進
(1) 行財政改革
①市民との協働によるまちづくりに向け、市民が参画しやすい仕組みづくりに努める。
②広告収入の増収に努めるとともに、ふるさと納税をより一層推進するなど、あらゆる視点から
自主財源の確保を図る。
③抜本的な事務事業の見直しを行い、最小限の経費で最大の効果を生むよう効果的かつ効率的な
市政運営に努める。
④民間活力の活用に向け、引き続き民間委託・民営化を進める。
⑤使用料・手数料等について、受益者負担の見直しを図る中で、適正化に努める。
⑥あらゆる視点から集中的に財政健全化に向けた取り組みを進め、持続可能で健全な財政運営を
確立する。
(2) 行政情報システム
①事務事業の効率化と住民サービスの向上を図るため、行政情報システムを活用したマイナンバ
ーカードの独自利用について検討する。
②行政情報システムのクラウド化に向け検討する。
(3) 公共施設の適正管理
①公共施設適正化計画の策定については、公共施設の更新時の方針を「廃止・民間移管・地域移
管・統合・複合化・建替え」の 6 つに分類し、効率的・効果的に適切な施設配置を行い、総延
床面積の削減に取り組む。
②公共施設の現状や問題点等について、積極的な広報・啓発活動を行うことで情報共有し、ワー
クショップや説明会などで意見交換を行うなど、市民参加・対話により合意形成を図りながら
公共施設の総量の適正化と適正配置に取り組む。
-150-
2 職員の意識改革と育成
①「大田市職員人材育成基本方針」により、職員研修・人事管理・職場管理を充実する。
②職員の人材育成と組織能力の向上を図るため、人事評価制度の適正な運用を行う。
③人材の活用と組織の活性化を図るため、女性職員や若手職員の政策立案への参画を積極的に推
進する。
主な施策と事業
施
策
事
業
行財政改革推進事業
行財政改革の
推進
職員の意識改
革と育成
付
記
「行革計画」の進行管理
マイナンバーカード利用による行政サ
ービスの向上
公共施設の総床面積の削減と適切
な施設配置
受益者負担の見直しを図り使用料
等の適正化を図る
行政情報システムを活用したマイ
ナンバーカード独自利用の検討
人材育成基本方針の推進
職員の人材育成・資質向上に努める
人事評価制度の実施
能力、実績を重視した人事管理制度
の実施
職員研修
各種研修の実施
公共施設適正化推進事業
使用料・手数料の見直し
-151-