第5章 自然との共生や 循環型社会を目指す 生活環境づくり 5. 自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり 《施策体系》 1 自然と共生したまちづくりの推進 1 総合的な環境保全対策の推進 2 自然や歴史を生かした景観形成 2 廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築 1 ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備 2 省・再資源化の推進 3 新エネルギーの導入推進 3 飲料水の安定的な確保と供給 1 上水道の整備 2 簡易給水施設の整備 -132- 5-1 自然と共生したまちづくりの推進 施策体系 自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境) 自然と共生したまちづくりの推進 総合的な環境保全対策の推進 自然や歴史を生かした景観形成 現況と課題 1 総合的な環境保全対策の推進 自然あふれる当市にあって、特に、国立公園「三瓶山」と世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的 景観」のもつ、その豊かな自然と貴重な歴史は、国内はもとより世界に誇れるものである。 また、大山隠岐国立公園は平成 28 年 7 月に環境省の「国立公園満喫プロジェクト」の選定を受 け、12 月には多様な観光資源を磨き上げるため、「大山隠岐国立公園ステップアッププログラム 2020」が策定された。 当市では、平成 25 年度に「大田市環境基本計画」を策定し、めざす環境像を「歴史輝き 人と自 然が共生するまち おおだ」と掲げ、自然環境の保護・循環型社会の構築・地球環境の保全・環境 保全活動などの各種施策を推進している。 現在、様々なボランティア団体や個人が、積極的に環境問題を学習し、環境保全に取り組んでい る。また、 「市内一斉清掃」や「クリーン三瓶」、「クリーン銀山」を実施しており、市民の環境保 全意識の醸成につながる活動を推進している。 しかしながら、悪質な不法投棄等が今なお発生しており、引き続き、市民が自らの生活の中で環 境に配慮して、環境保全に努めるよう積極的に呼びかけていく必要がある。 また、持続可能な社会を実現するため、地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減に積極的に 取り組み、将来にわたって地球環境の改善を図る必要がある。 2 自然や歴史を生かした景観形成 当市は、石見銀山遺跡や三瓶山をはじめとした、多くの歴史的・自然的な景観資源を有しており、 全市的な景観意識の高まりから、平成 18 年度に「景観行政団体」となった。平成 21 年度には「大 田市景観計画」を策定し、 「歴史・文化・自然・産業による大田市独自のブランドを後世まで引き 継ぐ」を目標に①普通地域 ②石見銀山遺跡景観保全地域 ③自然環境保全地域 の 3 地域を設定 した。今後も引き続き大田市全域の景観保全を推進していく必要がある。 -133- 方向と目標 ●市民一人ひとりの環境保全に対する意識の高揚を図り、環境保全活動に対する支援を行 うなど、総合的な環境保全対策を推進する。 ●市民のふるさと意識を醸成するうえで、かけがえのない財産である歴史的景観や自然景 観に、市民自らが誇りを持ち、良好な居住環境を維持するため、地域の特性を踏まえな がら歴史、海、山を活かした景観づくりを推進する。 施策の内容 1 総合的な環境保全対策の推進 ①「大田市環境基本計画」に基づき、環境保全に関して、より実効的で総合的な施策を推進す る。 ②訪日外国人をはじめ、多くの来訪者に自然、歴史・文化、野外体験を楽しんでもらうため、 平成 28 年 12 月に策定した「大山隠岐国立公園ステップアッププログラム 2020」に基づき、 自然に対する配慮を基本として、ナショナルパークにふさわしい取り組みを官民一体となっ て行う。 ③「市内一斉清掃」 、「クリーン三瓶」、「クリーン銀山」の活動について、より広く参加を呼び かけ、参加者の拡大と意識の啓発を図るとともに環境保全団体への支援に努める。 ④自然環境保全地域については、実態を把握したうえで、保全地域の拡大を視野に取り組む。 ⑤悪質な不法投棄については、警察等関係機関と連携し、厳正に対応する。 ⑥地球温暖化を防止するため、 「大田市地球温暖化対策地域協議会」を中心として、市民・事業 者・行政が連携して温室効果ガスの削減を目指す。 ⑦国の「地球温暖化対策計画」に即した「大田市地球温暖化対策実行計画」を策定し、大田市 における地球温暖化防止に係る新たな目標を掲げ、地球温暖化対策に取り組む。 2 自然や歴史を生かした景観形成 ①「景観審議会」の立上げに向けて、関係機関、公益事業者、学識経験者、市民及び良好な景 観形成を行う団体、個人等を加えて組織化するとともに、石見銀山遺跡をはじめ、三瓶山等 恵まれた自然環境を認識する中で、独自の魅力ある景観づくりを進める。 -134- 主な施策と事業 施 策 事 業 環境基本計画の推進 国立公園満喫プロジェクト【再掲】 総合的な環境 保全対策の推 進 自然や歴史を 生かした景観 形成 付 記 「環境基本法」に基づく計画、総合 的な環境保全対策 三瓶地域の豊かな自然、特色ある景 観を体感してもらうため、景観や施 設の整備 環境保全活動支援事業 活動団体への支援 生活環境保全推進事業 ボランティアによる回収済み海岸 漂着物の運搬及び不法投棄の処理 公害対策水質検査 市内 39 カ所の水質検査 地球温暖化対策事業 「地球温暖化対策の推進に関する 法律」に基づく温室効果ガスの削減 及び大田市温暖化対策実行計画の 策定 希少動植物保護対策事業 希少な動植物の保全 景観計画の推進 -135- 5-2 廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築 施策体系 自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境) 廃棄物等の処理と再資源化の促進による循環型社会の構築 ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備 省・再資源化の推進 新エネルギーの導入推進 現況と課題 1 ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備 一般廃棄物の適正処理を図るため、施設整備や循環型社会の形成に向けた事業を展開し、発生す る廃棄物の種類に応じ、廃棄物処理施設と再資源化施設において適正に処理を行っている。 出雲エネルギーセンターについては、委託事務の終了する平成 33 年度末まで出雲市と連携し、 安定稼働に努める。 次期可燃ごみ処理施設については、邑智郡総合事務組合との協議により、広域処理する基本合意 に至り、現在、新ごみ処理施設の平成 34 年度の供用開始に向け協議を進めている。 可燃中間処理施設においては、 平成 34 年度から次期可燃ごみ処理施設へ移行することを踏まえ、 安定稼働のための効率的な整備が必要である。 廃棄物処理施設である不燃物処理施設は、平成 27 年 10 月から新たな大田市不燃物処分場が供用 開始となり、当市における不燃性廃棄物の一括処理を行っている。一方で、既存施設においては、 閉場に向けて一定期間の水質の安定が必要であり、継続して施設管理を実施していくこととしてい る。 また、大田し尿処理施設では老朽化が進行するなか、安定処理を適正に行うため整備計画に基づ き緊急を要するものから優先的に整備を行っているが、施設の長寿命化を図るための大規模改修が 課題となっている。 再資源化施設である大田リサイクルセンター及び容器包装リサイクルセンターでは、廃棄物処理 施設と連携し、適正な廃棄物処理と施設整備を実施している。分別収集の徹底により、廃棄物の再 資源化に努め、ごみの減量化を一層推し進めることが重要となっている。 -136- ● し尿処理とごみ処理の状況 ごみ処理量 (t) 年度 し尿処理量 (kℓ) 可燃物 不燃物 平成22年度 28,042 7,749 1,697 平成23年度 28,485 7,965 1,672 平成24年度 27,874 8,006 1,346 平成25年度 27,965 8,055 1,142 平成26年度 27,768 8,057 1,091 平成27年度 28,167 7,924 1,006 (資料:衛生処理場) 2 省・再資源化の推進 「資源物」については、 「大田リサイクルセンター」で、 「缶・廃乾電池・水銀体温計・ガラスび ん・ペットボトル・ダンボール・紙パック・新聞紙・その他の紙類・古布衣類」を中間処理し、再 資源化を実施している。 また、プラスチック製容器包装については、平成 23 年度から全市を対象に資源収集を行い、 「大 田容器包装リサイクルセンター」において中間処理し再資源化を実施している。 市民のリサイクルに対する意識が浸透していることがうかがえるが、高齢化が進む中で、家庭で の複雑な分別は難しい状況であり、可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみとして排出されるものの中には、 再使用・再資源化できるものがある。 3 新エネルギーの導入推進 当市では、平成 20 年 2 月に「大田市地域新エネルギービジョン」を策定し、新エネルギーの導 入に取り組んできた。また、当市が重点的に取り組むべきエネルギーを定めるため、平成 24 年度 から平成 26 年度にかけて「大田市地域新エネルギー導入調査検討事業」を実施し、今後推進すべ き新エネルギーを「木質バイオマス」及び「太陽光」と定め、これらの導入促進を図っている。 方向と目標 ●清潔で快適な生活環境と循環型社会を形成するため、ごみの排出量抑制と再資源化の推 進に努め、廃棄物等の適正な処理を行うための取り組みを積極的に進める。 ●分別への協力を推進し、更なる資源化を促進する体制を作る。 ●地球環境にやさしく、地域の特性に適した新エネルギーの導入を促進する。 -137- 施策の内容 1 ごみ・し尿処理対策と処理施設の整備 ①次期可燃ごみ処理施設については、現在の出雲市への事務委託が終了する平成 33 年度末まで に邑智郡総合事務組合と連携し整備を行う。また、可燃中間処理施設については、次期可燃 システムに対応した施設改修を行う。 ②大田し尿処理施設においては、長寿命化を図るうえで大規模改修が必要となるが、公共下水 道の普及状況を勘案しながら、精密機能検査に基づく長寿命化計画を策定、実施することに より安定処理を行う。 ③大田市不燃物処分場に持ち込まれる不燃性廃棄物の再資源化等ごみの減量化を図り、施設を 有効活用する。 2 省・再資源化の推進 ①廃棄物減量等推進員と協力し、資源物の分別と併せ、可燃ごみ(生ごみ、紙ごみ)の減量化 に向けて取り組む。 3 新エネルギーの導入推進 ①新エネルギーの導入促進を図るため、現在行っている太陽光発電設備及び木質燃料活用機器 等の設置補助を行う。 ②地球温暖化防止の観点から、省エネ住宅の普及促進や次世代自動車の導入など、市民一人ひ とりが地球温暖化防止につなげるための取り組みの啓発を行う。 -138- 主な施策と事業 施 策 事 業 付 記 一般廃棄物処理基本計画の推進 「廃棄物の処理及び清掃に関する法 律」に基づく計画の推進 ごみ減量化等推進事業 ごみ指定袋の作成、分別収集ステー ション等設置への支援など 次期可燃ごみ処理施設整備に係る負担 金 施設整備に係る負担金 出雲エネルギーセンター可燃ごみ処理 負担金 圧縮梱包して移送した可燃性一般廃 棄物の処理委託 省・再資源化の 推進 資源物分別収集事業 資源物分別収集の徹底 新エネルギー の導入推進 新エネルギー導入促進事業 新エネルギーの導入促進及び普及啓 発 ごみ・し尿処理 対策と処理施 設の整備 -139- 5-3 飲料水の安定的な確保と供給 施策体系 自然との共生や循環型社会を目指す生活環境づくり(生活環境) 飲料水の安定的な確保と供給 上水道の整備 簡易給水施設の整備 現況と課題 1 上水道の整備 当市の上水道は、昭和 28 年の給水開始以来、水需要の増大に対応するため 8 次にわたる拡張事 業の実施により、施設の増補改良を行い、水道水の安定供給に努めてきた。 この間、「江の川水道用水」からの受水や、簡易水道の統合を行い、給水区域の拡大を図ってき た。 また、生活様式の変化などによる、水需要の増加に対処するため、三瓶ダムを取水源とした「三 瓶浄水場」を建設し、平成 12 年 4 月から稼働し、安定した供給体制を確立した。 今後、これらの拡張工事の設備投資による企業債償還などの後年度負担が見込まれるなか、長期 的視野にたった健全経営の実施と、老朽管の更新、水圧・水量不足地区の解消、水源の統廃合を図 っていくことが必要である。 また、平成 29 年度から全ての簡易水道事業、飲料水供給施設 1 地区(島津屋)及び営農飲雑用 水施設 4 地区(朝山、上川内、飯谷、赤波)を上水道に統合することとしており、今後、上水道施 設全体の計画的な維持管理、更新及び長寿命化が必要となる。 -140- ○ 上水道等施設の状況 区分 上水道 簡易水道 飲料水供給施設 営農飲雑用水 (単位:人、立方メートル) 計画給水人口 施設名 上水道 志学簡易水道 池田簡易水道 大代簡易水道 祖式簡易水道 馬路簡易水道 富山簡易水道 川合東部簡易水道 西部簡易水道 温泉津簡易水道 井田簡易水道 仙山簡易水道 入石飲料水供給施設 島津屋飲料水供給施設 上野飲料水供給施設 朝山地区営農飲雑用水施設 野城地区営農飲雑用水施設 上川内地区営農飲雑用水施設 飯谷地区営農飲雑用水施設 柿田地区営農飲雑用水施設 本郷地区営農飲雑用水施設 赤波地区営農飲雑用水施設 多根地区営農飲雑用水施設 27,800 2,100 500 180 1,230 1,120 300 250 870 2,960 850 134 80 74 44 389 93 102 118 96 63 96 76 (平成28年4月1日現在) 計画1日最大給水量 10,800.0 1,100.0 157.8 88.0 390.5 560.0 90.0 68.0 181.3 1,450.0 365.0 35.0 12.0 15.0 11.0 176.1 64.4 56.4 65.8 40.2 27.5 41.8 48.4 (資料:水道課) 2 簡易給水施設の整備 当市は、上水道からの供給のほか、現在 11 地区の簡易水道、3 地区の飲料水供給施設、8 地区の 営農飲雑用水施設により、給水を行っている。 平成 29 年度からは、小規模な施設を除き上水道へ統合することとしており、今後は、飲料水供 給施設 2 地区(入石、上野)と、営農飲雑用水施設 4 地区(野城、多根、本郷、柿田)の 6 地区に ついて、計画的な施設更新と維持管理体制の強化、経費の縮減を図り、安定的な施設運営を行う必 要がある。 -141- 方向と目標 ●飲料水を安定的に確保、供給するため、上水道、簡易給水施設の整備及び計画的な老朽施設 の更新を進める。 施策の内容 1 上水道の整備 ①水量・水圧不足の地区解消のため配水管の改良や、水源の統廃合の検討を行い、水道水の効 果的な供給を図る。 ②送・配水管など老朽管については、統合する簡易水道等も含め、他事業との調整を図りなが ら耐震化も考慮に入れ更新を進め、有収率の改善と水道水の安定的な供給を図る。 ③浄水場や配水池などの施設については、耐用年数の経過する装置・機器の更新を実施する。 2 簡易給水施設の整備 ①他事業により支障となる配水管の移設に併せ改良工事を行い、水道水の安定供給を図る。ま た、老朽施設については、今後の人口動態・水需要を適切に反映させて、計画的な更新及び長 寿命化を図っていく。 主な施策と事業 施 策 上水道の整備 簡易給水施設 の整備 事 業 付 記 上水道施設新設改良事業 水道施設の新設及び改良 上水道老朽施設更新事業 老朽管等老朽施設の更新 上水道施設移設改良事業 他事業により支障となる水道管の 移設 簡易給水施設移設改良事業 他事業により支障となる水道管の 移設 -142-
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