研究! クルマのテクノロジ 安全に使い回す ! 車載ソフトウェアの世界 これから 10 年使える技術! 標準 AUTOSAR 開発プラットホーム入門 安全に使い回す! 車載ソフトウェアの世界 ご購入はこちら 第 9 回 クルマ用OSの基礎知識 アプリケーション API提供レイヤRTE 基本ソフトウェア・ モジュール(BSW) OSモジュール サービス・レイヤ アプリケーションやBSW モジュールに基本的な サービスを提供する ECU抽象化レイヤ 上位のソフトウェア層をECUハード ウェア・レイアウト非依存にする Complex Device Driver マイコン抽象化レイヤ 上位のソフトウェア層を マイコン非依存にする ハードウェア (マイコン) 図 1 クルマ用ソフトウェア標準開発環境 AUTOSAR で用意され ている基本ソフトウェア 各階層を連携させる OS モジュールが最も重要 クルマ用ソフトウェアの要… AUTOSAR の OS ● よく使う 2 大基本ソフト・モジュール クルマ用ソフトウェアの標準開発環境 AUTOSAR では,さまざまな基本ソフトウェア・モジュールが用 意されています.本連載でベースとして使用している AUTOSAR の R4.0.3 と い う バ ー ジ ョ ン で は 約 80 個, 最新 R4.3.0 では 100 個以上のモジュールが仕様として 規定されています. この中で特によく使うのは,ECU間通信用モジュール Com(第7回,第8回で紹介)と,OS(Operating System) モジュールOsの2つです.今回から,Osモジュールの 基礎知識や基本機能などを紹介していきます. ● ソフトウェア階層を横断する最重要モジュール Os 今 回 か ら 紹 介 す る Os は,AUTOSAR の 中 で オ ペ レーティング・システムのための基本ソフトウェア・ 2017 年 4 月号 高田 光隆 モジュールです.AUTOSAR のソフトウェア階層で いうと,サービス・レイヤ(Service Layer)に位置付 けられています(図 1). 実際には,サービス・レイヤの下の ECU 抽象化レ イヤ(ECU Abstraction Layer) ,さらにその下のデバ ド ラ 層 マ イ コ ン 抽 象 化 レ イ ヤ(Microcontroller Abstraction Layer)を横断しています.これは Os モ ジュールがアプリケーションだけでなく,ECU 抽象 化レイヤやマイコン抽象化レイヤといった各レイヤの モジュールと連携するために必要だからです. クルマ用 OS その①… これまでの定番「OSEK OS」 AUTOSAR の OS モジュールについて説明する前 に,これまで広く使われてきた OSEK OS を紹介して お き ま す.AUTOSAR OS は 基 本 的 に OSEK OS を ベースにしています. ● AUTOSAR 以前のクルマ用ソフト開発プラッ トフォーム OSEK/VDK AUTOSAR 以 前 の 車 載 ソ フ ト ウ ェ ア・ プ ラ ッ ト フォームとしては,OSEK/VDK が広く使われていま した(図 2) .ISO 17356 として規格化されています. OSEK は ド イ ツ の 自 動 車・ 電 装 メ ー カ を 中 心 に, ECU 関連の規格標準を行うプロジェクトとして 20 年 ほど前に発足しました. 日本国内でも OSEK をプラットフォームとして採 用しているケースもあります. ● OSEK の基本構成 OSEK は 3 つの仕様から構成されています. (1) Operating System(OS) :自動車制御用のリア ルタイム・カーネル仕様です. (2) Communication(COM) :主に CAN を想定した 自動車制御ネットワーク用通信プロトコルと API 仕様です. (3) Network Management(NM) :自動車制御ネット ワーク用のネットワーク管理手法とAPI 仕様です. 本連載は,都合によりしばらくお休みさせていただいていましたが,本号より再開します. お待たせして申し訳ありません. (編集部) 155
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