就職戦線に 異状あり? なし?

薬 事 日 報 薬学生新聞
第 60 号
2017(平成29)年 3 月 1 日 水曜日
病院薬剤師の動向
ている。PBPMの実践に伴う薬剤
チームの一員として信頼獲得
病院薬剤師がチーム医療の一員として働く姿はすっかり定
着した。各病棟に常駐し、医師や看護師、患者との対話を通
じてより良い薬物療法の実践に関わっている。集中治療室や
手術室などでもチームの一員に迎えられ、必要な存在として
認知されてきた。近年は外来がん化学療法室や各種薬剤師外
来で主体的に関わるなど、その業務範囲は広がる一方だ。今
後は、退院後の薬物療法の連携を円滑に推進する役割もます
ます重要になっている。
(5)
師の有用性を数字で示すことができ
れば、さらなる業務発展に結びつく
可能性がある。
医師に提案することが増え、処方設
不適切な多剤併用(ポリファーマ
計をまかされることも多くなって、
シー)の是正も注目を集めている。
他職種との信頼関係はさらに深まっ
多剤を併用するなど不適切な処方に
た。
よって有害事象の発生率は高まる。
薬剤師の病棟業務の効果を具体的
全体の薬剤費や副作用に対応するた
な数値で示す努力を日本病院薬剤師
めの費用が増え、医療費の高騰も招
会が続けてきたことが、業務発展の
いてしまう。16年の診療報酬改定
礎になっている。客観的な数値でそ
でも、入院前に6剤以上服用してい
の効果が認められ、12年に病棟薬
た内服薬を退院時に2種類以上減ら
かつて病院薬剤師といえば、地下
医師や看護師から薬の質問を受けて
剤業務実施加算が新設された。12
した場合に算定できる「薬剤総合評
の薬剤部にこもって入院・外来患者
答えたりするうちに、顔の見える関
年時には入院から4週目までとされ
価調整加算」が新設された。薬剤師
の調剤業務に明け暮れる姿が一般的
係に発展。12年に病棟薬剤業務実
た療養・精神病床での同加算の算定
が知識やスキルを存分に発揮するチ
だった。1990年代に本格化した医
施加算が新設され、病棟で業務を行
は、14年の改定では8週目まで拡
ャンスが到来したといえる。
薬分業の進展に伴って、外来患者の
う時間が長くなると、そこでチーム
大された。さらに16年の改定では
一方、入院期間の短縮を進める国
調剤は病院薬剤師の手を離れた。薬
医療の一員として活躍する機会が増
集中治療室などでの薬剤師の業務も
の施策を背景に、近年は外来患者に
剤管理指導料の新設という診療報酬
えた。
同加算の算定対象として認められ
対する業務も増えてきた。外来で化
の後押しもあって、浮いた薬剤師の
それまでは感染対策チーム、栄養
た。こうした追い風を背景に、一般
学療法を受ける癌患者への業務がそ
マンパワーを病棟などの業務に費や
サポートチームなど院内横断型のチ
病棟だけでなく院内の様々な部門で
の代表例だ。病院によっては癌だけ
せるようになった。
ーム医療に加わることは多かった
薬剤師がチーム医療の一員として根
でなく、認知症、糖尿病などを対象
当初はベッドサイドでの患者への
が、各病棟単位のチーム医療でも薬
づくようになった。
に様々な薬剤師外来を設けて、診察
服薬指導が業務の中心だったが、病
剤師が存在感を発揮し始めた。病棟
この業務で築いた信頼を背景に、
前の処方設計や診察後の服薬指導な
棟での薬剤師の業務は次第に広がっ
での業務を深めるうちに、処方が決
医師と薬剤師らが事前に作成、合意
どに薬剤師が関わっている。
ていった。病棟に出入りする中で、
まった後ではなく、処方の前段階で
したプロトコルに基づいて、医師な
退院後、地域の医療機関や介護施
どと協働して薬剤師が主体的に薬剤
設に円滑に橋渡しする役割も求めら
の種類や投与量などの変更に関わっ
れている。転院先が受け入れやすい
要や買い物が一変することが示され
て新卒薬剤師の進路として受け入れ
たり、検査のオーダを行ったりする
ように主治医と協同で処方内容を検
た象徴的な現象であり、今後の地域
られつつあるようだ。
「プロトコルに基づく薬物治療管理」
討して調整したり、きめ細かな情報
社会の中でドラッグストアが果たす
「医学アカデミー薬学ゼミナール」
(PBPM)という取り組みが、各
を記載した薬剤情報提供書を転院先
べき機能や求められる役割を考えた
が薬学生を対象に行った就職動向調
病院に広まりつつある。医師の業務
に提供したりするなど、地域の薬物
上で、ドラッグストアは様々な取り
査では、ドラッグストアを第1志望
負担の軽減や医療の効率化につなが
療法の要として病院薬剤師が力を尽
組みに挑戦しなければならないこと
業界とした薬学生が全体の10%を
るとして、国はチーム医療を推進し
くすべき時代になった。
を示している。さらに今後、ドラッ
超え、調剤薬局、病院・クリニック
グストア業界では、コンビニエンス
に続いた。ドラッグストアに対して
ストアとの競争が本格化することが
は、地域に密着している点や、今後
見込まれている。
の将来性、患者だけではなく一般者
特に、コンビニの独自機能である
とも触れ合える健康サポート機能へ
24時間サービス、行政サービス窓
の関心などが挙げられ、特に“OT
口など公的機関・業務との連携拠点
C薬を扱いたい”という理由からド
の取り組みが脅威になると考えられ
ラッグストアを目指す学生が増えた
ている。そのため、ドラッグストア
ことは注目される。
独自の特徴を強化する商品、サービ
ドラッグストア業界も高齢化によ
ス、情報提供、人材育成、システム
る役割の変化やコンビニとの競合な
化に投資して、独占機能を充実する
ど、大きな転換点にあり、しかも変
ことが重要と考えられている。
化の動きは早い。こうしたことを十
このように転換期を迎えているド
分に研究し、将来有望な企業を選び
ラッグストア業界だが、最近になっ
たい。
就職戦線に
異状あり?なし?
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