トランプ米大統領の施政方針演説

ご参考資料
トランプ米大統領の施政方針演説
2017年3月2日
ー政策の具体化は今後へー
ポイント① 比較的穏当な内容
図1:米国株価指数と為替レート
期間:2007年1月1日~2017年3月1日、日次
2月28日(現地時間)にトランプ大統領は議会で施
政方針演説(一般教書演説に代替するもの)を行な
いました。規制緩和、法人税、所得税の減税などに関す
る言及は、これまでと大差はなかったようです。インフラ投
資に関しては、総額1兆米ドルを官民双方の資金によっ
て行なうとしました。ただ、資金調達の方法などは明らか
になっていません。演説では、移民、教育、治安、医療
保険制度、安全保障などにより多くの時間が割かれ、経
済政策の具体化には至っていませんが、これまでのトラン
プ大統領の発言に比べると穏当な内容で、野党民主党
にも協調を呼びかけるものとなりました。
(ポイント)
2,600
ポイント② 市場の反応と今後の行方
(注)米ドル実質実効為替レートは2010年平均=100として作成。
演説内容が米国内外での対立を深めるようなものでな
く、大統領としてふさわしいものであったことから、市場では
安心感が広がり、概ね好感されたと見られます。為替市
場では、米国の早期利上げ観測の台頭で演説前から
米ドル高に動いていましたが、演説後も米ドルは堅調で、
ニューヨーク時間の1日には、一時2月16日以来の1米
ドル=114円台を付けました。主要国の株式市場は全
般的に上昇しました。
今後は議会で予算審議が始まり、様々な政策がいつ
どのような形で具体化されるのかが注目されます。
ポイント③ インフレと財政・経常収支に注意
政策の具体化に伴ない、インフレ率、財政収支、経常
収支の動向には注意が必要です。3月1日に発表された
1月のエネルギー、食料品を除く個人消費デフレータは、
前年同月比+1.7%とFRB(米連邦準備制度理事
会)の目標値2%にかなり近い水準にあります。財政拡
張策が大規模になれば、インフレ率をさらに押し上げると
の見方から、FRBの利上げテンポが加速する可能性があ
ります。トランプ大統領就任以前には、米国の財政収支、
経常収支の赤字幅は中期的に概ね横ばいで推移する
と予想されていました。しかし、財政拡張策によって財政
赤字が拡大し、輸入が増大して経常収支赤字も拡大
すると想定されれば、米国債利回り、為替レートにも影
響が生じるでしょう。
重要
イベント
3月7日
3月10日
3月15日
米貿易収支(1月分)
米雇用統計(2月分)
米金融政策発表
S&P500株価指数(左軸)
(円/米ドル)
170
円・米ドル為替レート(円/米ドル、右軸)
2,200
150
米ドル実質実効為替レート(右軸)
1,800
130
1,400
110
1,000
90
600
2007
2009
2011
2013
2015
70
2017(年)
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
図2:米国の失業率、インフレ率、政策金利
(%)
4.0
期間:2008年1月~2017年2月、月次
インフレ率(前年同月比、左軸)
FF金利目標値上限(左軸)
失業率(右軸)
3.5
3.0
(%)
11
10
9
インフレ率、失業率は2017年1月まで
2.5
8
2.0
7
1.5
6
1.0
5
0.5
4
3
2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
(年)
(注)インフレ率は個人消費デフレーター(エネルギー、食料品を除く)。
0.0
(出所)Bloombergより野村アセットマネジメント作成
図3:米国の財政収支、経常収支、政府債務残高
期間:2001年~2021年、年次
(GDP比、%)
0
(GDP比、%)
110
-2
100
-4
90
-6
80
-8
70
-10
60
一般政府財政収支(左軸)
経常収支(左軸)
一般政府総債務残高(右軸)
-12
-14
50
40
2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019 2021 (年)
(注)2016年以降はIMFによる推計、予測。
(出所)IMFデータより野村アセットマネジメント作成
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