実践事例集 - 岩手県SLA

平成28年度
実践事例集
第 28 回読書感想画岩手県コンクール
小学校低学年指定読書部門
最優秀賞
「いっぽんの木のそばで」
盛岡市立東松園小学校
1 年 佐藤
岩手県学校図書館協議会
夕水
さんの作品
実践事例集の発刊にあたって
会長
尾澤厚子
この度は,岩手県学校図書館協議会の研究活動振興事業の一つである学校図
書館の活用に係る実践事例について,各地区学校図書館事務局を通じて素晴ら
しい報告をいただきました。関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
さて,岩手県学校図書館協議会の研究活動振興事業である研究大会は,昨年
度は第53回岩手県学校図書館研究大会二戸大会として二戸市立金田一小中学
校で開催いたしました。大会は隔年開催としておりますので,今年度は研究大
会実施年ではありませんでしたが,来年度は本県が東北大会の開催県となって
います。第38回東北地区学校図書館研究大会岩手大会として盛岡市での開催
となりますので,県内外多くの皆様にご参加いただきたいと思っております。
本大会は,12年ぶりの本県開催であり,また,東日本大震災後初めての本県
での東北大会開催となります。現在検討中ではありますが,大会スローガンを
「輝く未来を拓く人づくり」と掲げ,輝かしい未来を拓こうと挑んでいく子ど
もたちの心や学びを育むための学校図書館の機能を生かした取組を交流し合
い,学び合いたいと考えております。
今回いただいた実践事例集の中には「仮設校舎での図書館運営」といった,
震災後の復興に関わる記述があり,目にとまりました。震災の被害を受けた学
校においても,子どもにとってよりよい読書環境を作るために精一杯取り組ん
でいる様子が事例としてたくさん盛り込まれていました。これらの事例はすべ
て「輝く未来を拓く人づくり」に直結するものであり,とても心強く感じまし
た。この実践事例集を今後,各学校図書館の環境整備や効果的な図書館運営の
参考にしていただければ幸いです。
関係各位のご協力に改めて感謝申し上げ,実践事例集発刊にあたってのご挨
拶とさせていただきます。
平成29年2月吉日
1
平成28 年度
岩手県学校図書館協議会
目
次
実践事例集
(小学校)

図書館利用を通して読書意欲を高めるための取り組み

思いやりにあふれ、感動できる豊かな心を養う読書活動
(久慈
 子どもたちの読書意欲の向上を図る取り組みを通して
(二戸
(岩手

よりよい読書習慣をめざして(八幡平

学校・家庭・図書館ボランティアの連携の充実

子どもたちの読書意欲の向上を図る取り組みを通して

低学年に親しみやすい図書分館作り

本に親しむ子を育てるための図書館運営の取り組み

本に親しむ子どもを育てる取り組み

学校教育活動と校風で読書習慣をつくる

読書に親しむ児童の育成

進んで読書に取り組む子どもを育てる取り組み
(大船渡

子ども達の読書意欲を高める取り組みについて
(釜石大槌

子供たちの読書意欲を高める学校図書館の運営
(宮古
 読書の習慣化を目指して
鳥越小) ······ 5
川口小) ········ 6
平舘小) ······························· 7
(花巻
(胆江
(陸前高田
(岩泉
小袖小) ········ 4
(盛岡
仁王小)
(紫波
矢沢小)
············ 8
古舘小) ········ 9
····················· 10
(北上和賀
照岡小) ····· 11
水沢小) ······················· 12
(一関
弥栄小) ··················· 13
高田小) ······························ 14
赤崎小・蛸ノ浦小) · 15
平田小) ········· 16
重茂小)
··········· 17
有芸小) ·································· 18

読書習慣を育てる環境づくりの取組

子ども達が本に親しむことができる学校図書館をめざして
(遠野
2
土淵小) ······················· 19
(雫石
長山小) ··· 20
平成28 年度
岩手県学校図書館協議会
目
次
実践事例集
(中学校)

図書室利用の促進を目指して

朝読書と図書室利用促進の取り組み
(二戸
福岡中) ······················· 22

読書活動の充実を目指す活動の工夫
(岩手
沼宮内中) ····················· 23

学校図書館にある図書を中心に、読書活動が活発に行われる取り組み
(八幡平
(久慈
長内中) ······························ 21
松尾中) · 24

読書意欲の向上、活用される図書館を目指して

生徒の読書意欲向上を図る取組を通して
(紫波

学校図書館と市立図書館の連携
(花巻
石鳥谷中) ························· 27

読書意欲向上のための取り組み
(北上和賀

自主的な読書習慣の確立と心豊かな生徒の育成を目指して

生徒の読書意欲の向上を図る取り組みを通して

読書推進を目指す活動の工夫

学校図書館の活用に係わる実践

学校図書館の活用
(大船渡
 読書環境の充実について
(陸前高田
(住田
(盛岡
下橋中) ············· 25
紫波第二中) ··············· 26
湯田中) ······················· 28
(一関
(胆江
水沢中) ··· 29
一関東中) ··········· 30
高田第一中) ····················· 31
世田米中) ··························· 32
赤崎中) ······································ 33
(釜石大槌
釜石東中)···························· 34

読書活動の充実に向けての取り組み

読書に親しむ取り組みを通して

憩いの場としての学校図書館

本に親しみ、読書を楽しむ生徒育成のために
(宮古
(岩泉
(遠野
重茂中) ······················· 35
岩泉中)···························· 36
遠野中) ······························ 37
3
(雫石
雫石中) ··············· 38
「図書館利用を通して読書意欲を高めるための取り組み」
(読書指導領域)
久慈地区SLA 久慈市立小袖小学校
1 学校図書館の概要
本校は、児童数28名の小規模校である。
「あまちゃん」の海が窓から見える図書室は2
階東側にあり、蔵書数は約 5000 冊である。日当たりがよいために背表紙が色褪せている本
が多い。それでも図書委員会の活動を中心として図書館に多く足を運んでもらい読書が好
きになってもらおうと取り組んでいる。
2 具体的実践内容
(1) 学校での取り組み
① 読書環境:自分が読みたい
本を 1 人 1 冊選んで購入。
必読図書達成栞選び
おすすめの本として友達にも紹介する。
谷京子さんと子どもたちとの読み聞かせ
② 委員会活動:月ごとにテーマを決めて低・中・高学年用に本を平置きする。また、
季節ごとに図書委員会おすすめの本を図書室入口カウンターに置く。
③ 必読図書の選定と表彰:児童に読ませたい本を担任が必読図書として選定する。
各学年、学期に10冊ずつの本を読み達成したら図書委員からしおりをもらう。
④ 行事:図書祭りを行い、必読図書クイズや縦割り班での読み聞かせを行う。
⑤ 読み聞かせ:4月に6年生から朝学習時間に 1 年生への読み聞かせを行った。
また、11月に「グループかぜ」谷京子さんによる読み聞かせの会も行われ、図書
室が舞台のようになったセットや音楽によって本の世界に浸ることができた。
(2) 家庭での取り組み
① 長期休業中:
「おすすめの本」として夏休みや冬休みに読んだ本を5冊記録する。
② 親子読書月間:11月の読書月間に「親子でテレビを消して」読書に取り組む時間
を週末にもってもらうように呼びかける。
③ 週末読書:金曜日には、本を2冊借りて家に持ち帰り読んでくる。
3 成果と課題
○平成27年度は、必読図書を全員が達成することができた。普段自分では読まない本や
物語、理科や社会分野の本も読むことで読書の幅が広がる機会となっている。
○特に 1 年生の担任に呼びかけてもらうことで「昼休みは、本袋を持って本を借りに行
く」習慣が付いてきている。中高学年は、昼休みに委員会活動などが入っているために
平日はなかなか借りる時間がないが、週末には読むように呼びかけている。
●長期休業や読書月間での親子読書取り組みは効果的だが、普段の読書習慣へと繋がっ
ていくような継続的な家庭との連携を図る取り組みが必要である。
4
月ごとのおすすめ本コーナー
「思いやりにあふれ、感動できる豊かな心を養う読書活動」
二戸地区SLA 一戸町立鳥越小学校
1
学校図書館の概要
本校は、一戸町の北部に位置し、児童数16名の小規模複式校である。本校の裏には、校名の由来であり、
学区のシンボルでもある鳥越山(海抜263m)がそびえ、同山には「鳥越観音」が祭られている。伝統工
芸である竹細工は本学区の特産品である。
本校図書室は、校舎2階の南側に面している明るい教室である。児童がゆったりと読むことができるよう
に、ソファやクッションがあり、憩いの場となっている。
2
具体的実践内容
(1) 読書活動の推進
ア 全校朝読書
本に親しむ、読書の幅を広げる、言葉の理解力の向上・言語
能力の向上を目指す活動である。
イ 目標冊数達成児童のお知らせと表彰
本に親しむことをねらいに、教科書に載っている本や友だち
のおすすめ本コーナーを設定している。一戸町の多読賞表彰に
向けた取り組みもしている。
ウ 環境整備
①
一戸町立図書館による移動図書の活用、町立図書館職員との連携による環境整備
そよかぜ号による移動図書の配本により、教室内に児童の発達段階に応じた図書を設置し、日頃から
図書に触れ読書に親しむ環境を整備している。
②
購入図書の選定
児童の読書への関心を高める働きかけとして、児童自身による購入図書の選定を早い時期に行い、意
欲の喚起を図っている。
(2) 読書ボランティア
毎週木曜日の朝読書(15分間)を、
「読み聞かせ」の時間として取り組んでいる。今年度も3名のボラ
ンティアの方により、毎週各学級で実施できる体制をとっている。
(3) 家庭読書とPTA文集「竹の子」
家庭でも読書への関心を高め、本に親しむ態度を育てることをねらいとして、1・2学期に1回ずつ親子
読書週間を設定し、親も子も感想文も書き、PTA文集「竹の子」に掲載している。
3
成果と課題
(1) 成果
児童は、本に興味をもつようになり、図書室に足を運ぶ回数が増えてきている。興味のあるスポーツの本
や歴史の本、シリーズものなど、自分で選んで意欲的に読むようになってきている。また、全校児童で静か
に本を読む習慣が身に付き、読書に親しむ雰囲気が醸成されつつあり、気持ちの安定にもつながっている。
読書ボランティアにも恵まれ、
「読み聞かせ」の時間は、自分で読まないような本と出会う、貴重な時
間となっている。
(2) 課題
読書への関心や本に親しむ態度について、児童により個人差がある。本を読むことがあまり好きではな
い児童に読ませる工夫が必要である。
5
子どもたちの読書意欲の向上を図る取り組みを通して
岩手地区 SLA 岩手町立川口小学校
1
学校図書館の概要
本校は,児童数 154 名,8 学級(特別支援学級 2 学級)の学校である。図書室は 2 階西側に位置し,
コンピューター室と隣接しているために,総合的な学習の時間や社会科などの調べ学習に活用しやす
い利点がある。また,オープンルームとなっており,明るく開放的な空間となっている。蔵書数は,
5086冊である。
2
具体的実践内容
(1) 年間読書目標冊数の設定と多読者・達成者の表彰
低・中・高学年ごとに年間の読書目標冊数を設定している。
(低:80 冊,中:60 冊,高:40 冊)
学期ごとに読書冊数を集計し,多読者(3 位まで)を表彰し,図書館だよりで紹介。目標冊数達成
者には,学年末に達成賞を配布し,読書意欲の向上を図っている。
(2) 朝読書とボランティアの方による読み聞かせ
月・水・木曜日の朝学習は,読書の時間として,じっくり本を読め
るようにしている。また,毎週木曜日は地域の方が読書ボランティア
として,子どもたちの発達段階や興味・関心,学習内容に合わせた本
を読んでいる。
(3) 週末読書とすきま読書,長期休業中の読書の取り組み
土・日曜日は,家庭での読書を勧めている。音読カードの土・日曜
日の欄に読んだ本の題名を記入している。また,机にかけている図書バ
ックには常に本を入れておき,いつでも本を読めるようにしている。
子ども会活動では,活動の合間に読書の時間を設定し,本に親しませて
いる地区が増えてきた。長期休業中は,1日の生活の中に必ず読書の時
間(目標時間は各自決める)を設定し,毎日読書に取り組むようにして
いる。
(4) 読書週間,図書祭りの実施
年2回(6月,2月)の読書週間では,図書委員会お勧めの本を掲示したり各学年の読書冊数が
分かるように読書の木にシールを張ったりしている。また,朝読書の時間に,職員によるブックト
ークも行っている。図書祭り(11月)は,本クイズやイラストコンクール,しおりのプレゼント
など,毎年図書委員会が内容を工夫しながら行っている。
(5) 新刊図書選定の工夫
例年は職員が各学団ごとに選定していたが,図書委員会の児童も選定に加わった。
(6) 図書室の整備
週2回図書支援員が入り,図書の環境整備を行っている。季節ごとに工夫された掲示や児童が本
を選びやすい配架に努めている。また,地域の図書ボランティアの方が本の修繕や書架の整理等を
行っている。
3
成果と課題
・図書支援員や図書ボランティアによる環境整備や配架の工夫により、図書室利用が増えた。年間
読書目標冊数も、ほとんどの児童が達成している。しかし、本の好みの偏りがあり、学習漫画や
図鑑しか手に取らない児童もいる。読書の幅を広げ、いろいろなジャンルの本に興味をもたせる
手立てが必要である。
6
(
「よりよい読書習慣をめざして」(読書指導)
岩手地区SLA 八幡平市立平舘小学校
1
学校図書館の概要
本校は、図書館教育の目標として、
「一人一人の興味・関心を尊重し、幅広い分野の本の充実を図
る」
「図書館利用を通して、よりよい読書習慣の育成を図る」「図書館づくりと、子どもたちの読書
環境の充実を図る」を掲げている。
2
具体的実践内容
(1) 読書月間の設定(6 月、11 月)
6 月と 11 月を読書月間とし、児童が進んで読書に親しめるように図書委員会が中心となり、
活動の工夫をしている。
〈例〉多読賞の表彰・読書ビンゴ・読書すごろく
(2) 長期休業中の図書館利用と読書の奨励
日常活用している読書カードの他に、長期休業中のカードを作成し、休み中の読書冊数が明
確になるようにしている。読書の様子(多読冊数など)を図書館だよりで紹介している。
(3) 学級分館の積極的な利用促進
各学級で 50 冊を毎月交換し、朝読書や隙間時間に自由に読めるようにしている。読んだ本
は読書カードに記入にし、毎月の読書冊数調べにも反映させている。
(4) 県立図書館の本を学級に設置
それぞれの学年の児童に読んでほしい本を県立図書館の方に選定していただき、学級に設置
している。学級分館同様に朝読書の時間や隙間時間に自由に読めるようにしている。前期・後
期で入れ替えを行っている。
(5) PTA教養部の方による読み聞かせ
年に一度、PTA教養部の方による読み聞かせを実施している。朝活動の時間を利用し、低
学年、中学年、高学年の 3 つのグループでの読み聞かせを実施した。
(6) 読み聞かせボランティア団体による読み聞かせ
年に一度、45 分という単位時間の中で、1~3 年生、4~6 年生の 2 つのグループに分かれて
読み聞かせをお願いしている。
(7) ノーゲーム週間の親子読書の取組
年 4 回のノーゲーム週間が設けられている。ゲームをしない時間やテレビの時間を制限して
できた時間を、親子での読書に充てるよう取り組んでいる。
3
成果と課題
取組の結果、読書の習慣が身についてきている。特にも親子読書は、多忙な中でも好意的に受け
止められている。学年が上がるほど、放課後も塾やスポーツ少年団などの活動があり、個人差があ
るが、家庭の理解と協力を得ながら、さらに指導の工夫を図っていきたい。
7
「学校・家庭・図書館ボランティアの連携の充実」
盛岡地区SLA 盛岡市立仁王小学校
1 学校図書館の概要
本校は,児童数440名の中規模校である。本校の図書館は,本を用いて学習すること
をねらいとした第1図書館と読書に親しむことをねらいとした第2図書館の2つがある。
子どもたちは,読書の目的に応じてそれぞれの図書館を選んで利用している。
保護者を中心とした図書館ボランティアが本の修繕や図書館の掲示物作り,読み聞かせ
を行ってくださっている。このような図書館ボランティアの活動のおかげで,子どもたち
の読書活動がより一層充実したものとなっている。
2 具体的実践内容
(1) 連携の充実
① 図書館ボランティアとの連携~学校図書館運営計画の共有~
学校図書館教育運営の重点
○ 読書センターとして,子どもたちが進んで読書に親しみ,豊かな心が育つよう,読
書指導・環境整備に努める。
○ 教育課程に位置付けた学校図書館の利用を計画的に実施する。
○ 図書資料を利用した学習の充実と情報活用能力の育成を図る。
活動計画を立てる際に図書館運営計画,子どもの委員会活動,図書館ボランティア
の活動が連動するように配慮した。1年間の見通しを互いにもつことで,学校図書館
教育で目指す子ども像や活動を共有しながら進めることができた。同時に,図書館ボ
ランティアの方々の読み聞かせを国語科の学習で行う計画を立てたことにより,連携
をより強めることができた。
② 家庭との連携~家庭読書の実施~
読書の楽しさを味わうことや親子の
コミュニケーションがより活発になる
ように,親子読書を行った。家庭の状況
によって読書の方法を選択することが
できるように,①同じ本をいっしょに読
む②ちがう本を同じ時間に読む③読み
聞かせるの3つを設けた。読書の方法を
変えながら継続して取り組むことに繋
がった。
図書館に掲示された親子読書
(2) 学習に活用できる図書館を目指して~図書館の整備~
子どもたちが学習に活用できるように,第一図書館の整備を行った。本棚で読書ス
カード
ペースと学習スペースを分け,調べ学習をしやすくなるようにした。また,国語の学
習と連動させながら,月の学習内容に合わせた本の展示を行い,授業で学んだことを
活用することができるように整備した。
また,図書館ボランティアの方々に季節の掲示物を作成していただいた。さらに図
書館の環境を整えていただいたり手作りのポップを用いた本の紹介を行っていただ
いたりしている。
3 成果と課題
<成果>
・学校図書館運営計画の共有により,学校と家庭と図書館ボランティアの連携が強化され,
一貫した取組を行えるようになった。
・学校図書館の整備により,読書センターと学習センターが明確になり,子どもたちが身
に付けるべき力も意識した指導を行えるようになった。
<課題>
・学校図書館整備の更なる促進
・学習内容に即した読書紹介の工夫
8
「子どもたちの読書意欲の向上を図る取り組みを通して」
紫波地区SLA 紫波町立古館小学校
1 学校図書館の概要
本校は、児童数451人の中規模校で、本年度で創立142年を迎え、地域に古くから親しまれて
きた学校である。本校の図書室は、3Fパソコン室の隣りに位置し、調べ学習に便利なところにある。
また、休日は、地域の文化的な活動を行う団体に開放している。
蔵書冊数は12,000冊で、図書の貸し出しや返却は図書委員会が行っている。紫波町の図書コ
ーディネーターが、週1回来校し、テーマを決めた本の紹介、本の修理、管理、他校への貸し出し等
を行っている。
地域の方々が、読書ボランティアとして、読み聞かせの活動を行っている。
2 具体的実践内容
(1)読書時間の設定
低、中学年は、毎週火曜日、8時15分から8時30分、高学年は木曜日の「ふるふるタイム」の
の時間を利用して読書の日を設定して、教室で静かに読書に取り組んでいる。学級文庫も教室に設置
しており、そこから選ぶこともできる。学級文庫は、1年間に100冊は読めるように、図書担当が、
年度初めに厳選し、学期毎に、学年間でローテーションしている。学級文庫を設置することで、隙間
時間を利用して読書をすることができる。
(2)委員会の活動
業間時間と昼休み時間に委員会による貸し出し、返却、本の処理をしている。6月の読書旬間では
低学年への読み聞かせを行っている。11月の読書旬間では、ポイントカードを用い、目標達成者へ
しおりやシールの配布をする。県「いわて100きっず」に掲載している本を推薦図書とし、蔵書と
してそろえ、図書委員や先生方のお薦めの本を児童朝会で紹介するなど、読書の奨励を行っている。
(3)図書館の掲示など
①良い感想文に触れる機会を増やすために、本年度の読書感想文コンクールの入賞作品を掲示して
いる。
②学期毎に、学年の多読者を掲示したり、放送で知らせしたり、表彰したりし、読書の奨励を し
ている。
③本の貸し出しランキングを掲示し、人気の本を紹介している。
④借りるときの参考にと、各学年の教科書に掲載されている「この本、読もう」を印刷し、図書
館に掲示している。
⑤全校配布の「家庭学習の記録」の冊子に「読書の記録」と「10分間読書」の項目を掲載し、
家庭読書の奨励を図っている。
(4)読み聞かせのボランティア
地域の読み聞かせのボランティアによる読み聞かせを、毎週火曜日と
木曜日に3年生以下の児童に行われている。ボランティアの皆さんは、
研修会に積極的に参加し、技術の向上を図っている。子どもたちも読み
聞かせをいつも楽しみにしている。また、「おはなしキャラバン」の方
々の読み聞かせも毎年利用している。
3 成果と課題
<成果>
・ 学級文庫の設置により、いつでも本を読める環境が整い、目標達成する児童も増えてきている。ま
た、「読書の記録」に家庭読書の項目を増やしたことで、家庭の協力を得るようになってきた。
・ 地域のボランティアの方々やコーディネーターの方、委員会の活動や掲示等を通して、子どもたち
は色々な分野への興味をもつようになってきた。
<課題>
・ 子どたちが読みたい本や教師が読ませたい本、教科や総合的学習に必要な本など、分類別のバラン
スを考え、購入したり、傷んだ本の廃棄をしたりしていきたい。
・ 子どもたちが読みたい本、借りたい本が、探しやすいように配架を考え、季節に合った掲示を工夫
したい。
9
低学年に親しみやすい図書分館作り
花巻地区 SLA 花巻市立矢沢小学校
学校図書館の概要
本校は、全校児童433名、17学級の学校である。校舎は、北校舎、南校舎、東校舎
と分かれており、図書室は南校舎の3階に位置しているほか、東校舎には図書分館(本校
では「どんぐり図書館」と呼んでいる)がある。東校舎には、1年生の教室があるので、
どんぐり図書館は、ほぼ1年生が利用している。毎週水曜日に図書ボランティアさんによ
る読み聞かせがあるが、会場は会議室とどんぐり図書館の2カ所で、どんぐり図書館では
低学年向けの本を読んでもらっている。
1
2
具体的実践内容
どんぐり図書館は、1年生の教室のすぐ近くということで、1年生の児童がすぐに本を
手に取れる環境にある。本の数も800冊以上あり、充実している。しかし、利用するの
が1年生ということで、物語と生活の学習の本と分類されていたものの1年生の児童には
その区別が難しく、本の貸し出し・返却をするとぐちゃぐちゃになり、「○○の本が読み
たい」と思ってもなかなか探せないのが現状だった。そこで、「①1年生の児童でも分類
できる工夫」をしたいと考えた。
また、国語の教科書には、いろいろな分野の本の紹介があるので、そこから読書を広げ
ていけるようにしていきたいと考え、「②国語の授業に関連させた図書分館作り」に取り
組みたいと考えた。
①1年生でも分類できる工夫
分類番号で分類することは、1年生の児童には難しいので、
「日本のお話」「外国のお話」「昔話」「生活や図工の本」の
4つに分類し、シールで色分けをした。また、作者やシリーズ
でそろっている本は、
できるだけまとめて表示するようにした。
貸し出しの際は代本板を使っている。
②国語の授業に関連させた図書分館作り
「おおきなかぶ」「てぶくろ」
「三びきのくま」の本を展示
どんぐり図書館の向かい側には、ホールがある。その一角
に特設の本コーナーを作った。
「おおきなかぶ」の学習の後、教科書に紹介されている本
の読み聞かせを教室で行い、その後、ホールに「大きなかぶ」
とともに展示した。大きなかぶを引っ張って劇遊びを楽しん
だり、マットに座っていつでも本を読んだりできるようにし
た。
また「くじらぐも」の学習の後には、くじらぐもとともに、
「ぐりとぐら」や「そらいろのたね」など「なかがわりえこ
さん」の本を展示した。
今後は、「じどう車くらべ」で自動車の本、「むかしばな
しがいっぱい」で昔話の本、「どうぶつのあかちゃん」で動
物の本などを展示して本のコーナーを作る予定である。
3 成果と課題
・図書環境整備には、図書ボランティアさんの協力もいただいた。
・シールの色分けで1年生にも簡単に分類することができるようになった。また「○○の
本が読みたい」という児童が本を探しやすくなった。
・特設の本コーナーは雨の日など、子どもたちが集まって本を読む姿が見られた。展示で
きる本の冊数があまり多くないので、今後は少しずつ充実させていきたい。
・授業関連の図書整備は、今回分館のみで行ったので、各学年の国語の学習に合わせた図
書環境作りにも取り組んでいくようにしたい。
10
本に親しむ子を育てるための図書館運営の取り組み
北上和賀地区SLA 北上市立照岡小学校
1
学校図書館の概要
本校は、全校児童53名の小規模校である。図書室は2階西側にあり、蔵書数は約
5,450 冊で標準冊数に達している。部屋の半分がコンピューター室になったため、図書
室は狭いが、書架の置き方を工夫するなどしている。開館は昼休みだけであるが、給食
後、本を借りてから遊ぶ習慣が定着している児童が多い。月に1度くらい市立図書館の
自動車文庫が来るので、学級文庫として各学年 50 冊位ずつ借りて活用している。
2
具体的実践
(1) 朝読書の実施
毎週火曜日に朝読書を行っている。図書ボランティアの方にも、月に1~2回
学団ごとに読み聞かせをしていただいている。
(2) 図書委員会の活動・・・図書の貸し出しや整理の他に行っている事
① 読み聞かせ・・・年に1回、1学期に各学年に朝の読み聞かせを行っている。
② 図書ラリー
「ビンゴ形式」
(6月)いろいろな分類の本を借りるように呼びかけている。
「選書達成形式」(11 月)学年にあった本を図書委員が選び、沢山本を借りる
ように呼びかけている。
③ 読書月間(11 月)
全校で図書ラリーと読書感想文画に取り組んでいる。
図書委員会が手作りのペープサートを児童朝会で発表し、毎年好評である。
④ 多読賞の表彰・・・
「読書の木」を作り、年間目標冊数を達成した児童に賞状を
渡している。
(目標冊数 低学年:90 冊 中学年:70 冊 高学年:50 冊)
(3) 図書ボランティアの活動
朝の読み聞かせの他に、月に1回昼休みに「お話しランド」として紙芝居や大型
絵本などを読み聞かせしていただいている。年に4回ほど季節に合った図書室の
装飾をしていただいている。蔵書点検も協力いただいている。
今年度は地域の文化祭に依頼され読み聞かせを行うなど活発になってきている。
(4) 親子読書
長期休業には簡単な感想を書く「読書カード」に取り組んでいる。冬休みには、
その中の1冊を親子で読み、お家の方にも感想を書いてもらっている。
3
成果と課題
(1) 成果
・図書委員会の活動、図書ボランティアの読み聞かせ等により、子ども達の読書
への関心が高まり、読書の習慣化につながっている。
・今年度は、蔵書点検の際に市の図書整理指導員さんに来校いただいたことで、
蔵書点検の手際よい方法を教えていただきながら効率よく行うことができた。
・新刊図書は、国語の教科書の参考図書を中心にそろえ、並行読書などにも活用
している。11 月の読書月間に間に合うように購入したため、図書ラリーの図書
として選び、全校児童が少しでも多く読むことができた。
(2) 課題
・選書について考えていきたい。国語の教科書関連の本だけではなく、各教科で
調べ学習に使えるような図書を選んでいきたいし、
「必読図書」の選定について
も考えていきたい。
・学年が上がるに連れて読書冊数が減っていく傾向があるため、魅力ある学校図
書館を目指していきたい。
11
本に親しむ子どもを育てる取り組み
奥州地区 SLA
1
奥州市立水沢小学校
学校図書館の概要
本校は、全校児童数643名の大規模校である。図書室は校舎2階の職員室の側にあり、蔵書数は約 1 万冊で
ある。図書室の他に、各教室に学級文庫(約40冊)を設置したり、各教科の授業内容に合わせて並行読書でき
るようブックトラックを活用したりし、本が児童の身近にある環境づくりを心掛けている。本校では、約 10 名
の保護者や地域の方が図書ボランティアとして図書の環境整備支援を行っている。さらに図書ボランティアの
方々には、定期的に各教室で読み聞かせをしていただいたり、各種行事で大型ペープサートによる読み聞かせを
していただいたりしている。
2
具体的実践内容
(1)年間を通しての取り組み
<読書ノート>年間2回の読書週間、文化祭の際に、児童が心に残った本を
紹介する読書ノートを作成している。読書週間中は各クラスの代表者の読
書ノートを廊下に掲示し、読書への意欲づけを図っている。
<読書だいす木>本校では、年間読破目標として、低学年70冊、中学年
50冊、高学年40冊を設定している。 図書貸し出しカードで一人ひと
りの読破冊数を確認し、中途目標を達成するごとに記名したシールを「読
書だいす木」に貼っていく。目で見ても自分の達成状況を確認でき、一人
でも多く年間読破目標冊数に到達できるよう取り組んでいる。
<長期休みの取り組み>長期休みには、学校図書室を3回開放し、本の貸し出しを行う。3回本を借りに来た
児童には、1度に2冊借りられる「2冊貸出券」をプレゼントし、読書を推進している。
(2)図書ボランティアの方々による支援
<朝の読み聞かせ>読書週間では、朝読書の時間に本校の図書ボランティアの方々が、各学級に入って読み聞
かせをしてくださっている。
<大型ペープサートでの読み聞かせ>週2回、本校の図書ボランティアの活動の
中で、大型ペープサートを作成して頂き、全校の前で読み聞かせをしていただ
いた。
「三枚のおふだ」
「やまなしもぎ」などのお話を、迫力満点のペープサー
トと素晴らしい語りで演じてくださっている。
(3)図書委員会による企画取り組み
<新しい本の紹介>昼のテレビ放送で、新しい本を紹介し、貸し出しを呼び掛けている。
<読書ゆうびん>設定期間中、児童は自分のおすすめの本をカードに書き、友達や他の学年の児童に宛てて図
書室のポストに出す。図書委員がカードをその児童のいる学級に届ける活動を行っている。
3
成果と課題
・図書ボランティアの方々による大型ペープサートの読み聞かせは、子どもたちを本の世界にどっぷり浸らせ、
読書の楽しさを教えてくれる素晴らしい機会であった。今後も継続してお願いしていきたい。
・図書委員による様々な企画は、児童が読書に慣れ親しむために非常に有効である。特に読書ゆうびんは、同
学年のみならず、異学年間での交流も盛んに行われ、読書の輪を広げることができた。
・読書量に個人差が大きく、特に高学年は年間読破目標を達成することが難しい児童もいる。本を借りる日を
日常化したり、担任と一緒に借りる機会を設定したり、意識的に読書量を増やす取り組みを考えたい。
・読書内容に偏りが見られる児童が多い。読書の幅を広げ、様々なジャンルの本を読める手立てを考えたい。
12
学校教育活動と校風で読書習慣をつくる
(読書指導領域)
一関地区SLA
1
一関市立弥栄小学校
学校図書館の概要
本校は、児童数46名の小規模校で、自然豊かな環境の中に位置している
図書スペースは、低学年様のスペース(1階)と中・高学年が利用する2箇所からなる。蔵
書冊数は、約 6,000 冊で、一関市から週2回派遣される読書活動推進員や図書委員会が中心
となって本校の読書環境の整備にあたっている。
2 具体的実践内容
(1)「静寂な昼読書」
昼清掃後の13時40~13時55分の15分間を読書の時間として確保している。静かに本
をめくり読書に入る。静寂な時間が生まれる。教育課程の中に位置づけられている読書は、ここ
が基本となる。
(2)図書委員会の活動
ア 読書活動の呼びかけと「多読賞」表彰
学年で読破冊数を決めて学年ごとに読破したなら学期ごとに表彰している。1 年間の学年
別読破数は、まなびフェストとしても示しており、家庭での読書活動の意欲づけの一助とも
なってる。
イ 図書まつり
「図書まつり」は、図書委員による読み聞かせや図書室にある本から出題する図書クイズ
で読書意欲の喚起をねらいとする。
ウ 私のおすすめ本の紹介
他の人にも読んでもらいたい本を紹介するもの。「おもし
ろいところ」
や、
「なぜ他の人にも読んでもらいたいのか」 を
一枚のカードにまとめて掲示する。学校図書館にある場合は
その本も掲示する。(なければ表紙だけ)先生たちも「おす
すめカード」を作成する。
(3)活 用
「私のおすすめの本」
ア「移動図書館」の活用
図書コーナーの一角に
月に一度来校する市の移動図書館を非常に楽しみにしてい
る。毎回バスに積まれた多くの本をワクワクして眺めてい
る姿が見られる。次から次に借りては家で読む、その楽し
みを低学年から身につけるきっかけとなっている。
月に一度の移動図書館は
大きな楽しみの一つです
図書コーナーの一角に
イ 読書推進員の活用
本の補修や整理整頓をはじめ、図書掲示やポップ作成、学
習での参考図書の手配などから、低学年での読み聞かせな
ど、読書活動の活性 化のために先生たちから、積極的に
要望を出してもらいその要望に答えてもらっている。読書
活動の活性化のために幅広く活用している。
3
成果と課題
〔成果〕「読書とは静かに本を手にするもの」「読書とは楽しいもの」という暗黙知
上の学年の児童の姿が下の学年の児童の姿に大きく影響を及ぼすことは、特に小規模校での
特色の一つであり読書活動にも反映されている。例えば、静寂の中での昼読書活動を継続する
日常移動図書館に乗り込み、喜びながら本に手にする姿などである。多くは、上の学年の児童
から読書とは楽しいものと学ぶようである。このことが根幹となり「私のおすすめ本の紹介」
も広がっていく。
〔課題〕「読み聞かせ」から「一人読み」へ
「読み聞かせ」はよい。「絵本」もよい。高学年になり図鑑から離れない児童もいる。高学
年相応と示されている多くは文字だけの本である。「読み貸せ」から「一人読み」へ。「絵本」
「図鑑」から「活字の本」へ。これをどう導いていくか。
13
「読書に親しむ児童の育成」
陸前高田地区SLA 陸前高田市立高田小学校
1
読書指導の実践内容
(1)学びの読書
国語の教科書に載っている関連図書を、支援で揃えていただいた。その全てに5~6冊の複本
があるため、児童が順番を待つことなく利用しやすい。また、それらの図書を教室の傍の部屋や
廊下に置くことによって、授業に使いやすい環境にある。本年度は教科書が替わったため、新し
い関連図書を整備しているところであるが、以前の図書も活用している。
(2)楽しむ読書
①図書委員会の活動
年間2回の読書月間を設定し活動している。図書委員の児童が、読書スタンプラリーカードを
作り、目標冊数を達成したら栞をプレゼントするなど、楽しみながら読書をする工夫をしている。
②読み聞かせ
数年前より「うれし野こども図書室」の方が図書室の整備に力を貸して下さっている。季節に
合わせた掲示や、テーマ図書のコーナーを作るなど、楽しく明るい図書室作りの一翼を担ってい
る。また、読み聞かせ会として、絵本の読み聞かせやストーリーテリングなどを行っていただい
た。児童は笑ったり驚いたり考えたり、お話の世界にひたっていた。
また、週に1度来校する市の図書支援員が、低学年を対象に読み聞かせを行っている。どちら
の読み聞かせも、ふだん子ども達が手に取らないような本も紹介してくれ、児童の読書の幅を広
げるきっかけとなっている。
(3)親子で読書
①親子読書
長期休業を利用して親子読書に取り組んでいる。
「同じ本を読む」
「読書タイムをつくる」
「本を
読んで実験や料理などをする」等を紹介し、内容についてはそれぞれの家庭に任せている。
「親子
で感じ方が違っていておもしろい。
」
「子どもに読み聞かせをしてもらいうれしかった。」等、有意
義な時間を過ごしたという感想が多く寄せられた。
②家庭教育学級
PTAの家庭教育学級として、「親子で学ぶ読み聞かせ教室」を開いた。「うれし野こども図書
室」の方を講師に、親は読書の大切さや読み聞かせのポイントを学び、子ども達は音読の練習を
し、最後は子どもが親に読み聞かせをするという活動を行った。読み聞かせが子どもの心を育て
たり、本を介して親子のふれあいを深めたりすると感じるよい機会となった。
2
成果と課題
○ 環境を整えたり、読書のきっかけをつくったりする
ことで、読書を楽しむ子や図書室を利用する子が増え
てきている。
△ 子どもたちが手に取る本が、物語に偏っているので、
いろいろなジャンルの本を読むための手立てを考えて
いきたい。
(読み聞かせの様子)
14
「進んで読書に取り組む子どもを育てる取り組み」(読書指導領域)
大船渡地区 SLA
大船渡市立赤崎小学校・蛸ノ浦小学校
1
学校図書館の概要
東日本大震災により校舎と体育館が使用できなくなった赤崎小学校が、蛸ノ浦小学校の校舎
を一緒に使い、両校の児童が同じ教室で学習している。両校合わせて児童数は119名の小規
模校で、図書室の他に校庭にはプレハブの図書室がある。蔵書数は5,600冊を超えている。
まなびフェストの中には、
「海のように広くおもいやりのある子ども」
(赤小)
『より美しく』
『よ
り豊かに』(蛸小)の育成を目指し、「読書指導で豊かな心を育てます」のめあてが位置づけら
れ、学校や家庭で読書の充実を図る取り組みを行っている。
各学団の多読賞目標冊数
2
具体的実践内容
1学期
2学期
3学期
年間
(1)読書量を増やす取り組み
まなびフェストの目標を多読賞の全員受賞と
低学年
24
32
20
76
設定し、目標達成を目指して取り組んでいる。
中学年
18
24
15
57
(2)図書委員会の取り組み
高学年
12
16
10
38
読書意欲を高めるために図書委員会が企画
し、6月には読書週間の取り組みを、11月に
は図書祭りを行っている。6月の読書週間の取り組みでは、1
~3年生に向けて紙芝居の読み聞かせを行なったり、おすすめ
の本を交流し合う図書ゆうびんを行なったりした。図書ゆうび
んの取り組みでは、一日当たり30通以上のはがきがポストに
投函され、図書委員が各教室に配布することができた。同学年
のみならず異学年との交流が図られ、読書の輪を広げることが
できた。
図書委員による読み聞かせ
(3)家庭読書の取り組み
6月の読書週間、11月の図書祭りの期間に合わせて家庭での読書(親子読書)に取り
組んでいる。読んだ本の名前や読書をした時間、家の人のサインが書き込めるような読書
カードを配布して、期間を決めて全校で取り組んでいる。また、上記の期間以外の土曜日
と日曜日には、週末読書にも取り組んでいる。
(4)読書の質を高める取り組み
国語の学習で扱った教材の関連図書(発展図書)や教科書に
掲載されている図書などを図書室からまとめて借りて、いつで
も本を手に取って読めるような環境を整えるようにしている。
また、毎週火曜日の給食時間には、放送で先生方のおすすめの
本の紹介を行い、図書室に先生方のおすすめの本紹介コーナー
を設置し、児童が読めるようにしている。
3
成果と課題
おすすめの本紹介コーナー
(1)成果
様々な取り組みや図書委員による呼びかけなどを行うことによって、学期ごとの目標冊
数達成者の数がどんどん増えてきた。週末読書や期間を決めて家庭読書に取り組んだこと
により、家庭での読書の定着が徐々に図られてきた。
(2)課題
読書量に個人差が見られる。また、読書の内容に偏りが見られる子が多い。様々な分類
の図書の紹介をしたり、図書環境の充実を図ったりして読書の幅を広げられるようにした
い。
15
「子ども達の読書意欲を高める取り組みについて」
(読書指導領域)
釜石・大槌地区SLA 釜石市立平田小学校
1 学校図書館の概要
本校は、学級数が6、児童数が164名で、学校まで津波は来なかったが、地域の一部は震災に合い、
嵩上げ工事の真最中という地域にある。
図書室は、低学年用の絵本の部屋(1階)と、中・高学年が利用する部屋(3階)の2カ所に分かれ
ており、蔵書冊数は約7500冊である。3階にあった絵本類は低学年が利用しやすいように、低学年
の教室に近い空き教室を絵本の部屋として環境整備し、読書活動の推進に力を入れてきた。
2 具体的実践内容
⑴ 朝読書の時間の設定と手のひら文庫の設置
新年度から朝活動の時間を使い、
15分間の朝読書の時間を設けた。
元気に外で遊んでいる子どもたちも、チャイムと同時に教室に入り読
書の準備に入る。始まりの音楽がなる頃にはそれぞれの本を開き読書
が始まる。また、時間内に読み終わってしまったときや、少しの空い
た時間でもすぐに読めるよう、短編の薄い本(手のひら文庫)を12
冊設置した。名簿にシールを貼っていき、子どもたちがどの本を読ん
だのか、何冊読んだのかすぐにわかるようにし、1年間で12冊読も
うと子どもたちも意欲的に本を読んでいる。朝読書の取り組みが、1
時間目の授業への心の準備となり、落ち着いて取り組めている。
⑵ 読み聞かせの取り組み
入学した1年生の朝読書の時間を使い、6年生が1年生に向けて紙芝居の読み聞かせを行った。
グルー
プで役割を決め、声を変えたり、スピードに変化をつけたりして、読み手の6年生の工夫がみられた。
それ
を聞き手の1年生も時には笑ったり、時には真剣に聞いたりと本の世界へ入っていった。
6月の梅雨の時
期には図書委員会の児童が、雨の日に図書室で紙芝居の読み聞かせを行った。
本を借りに来た子どもたち
は始まるまで借りた本を開き、紙芝居が始まると夢中になって紙芝居に見入る姿がみられた。
他分野の本
の世界にふれるとても良い機会になった。
⑶ 図書ビンゴの取り組み
読む本のジャンルに偏りのある児童が少なからずいることから、いろいろなジャンルの本を読もうと
する気持ちを育てるために、分類番号を利用した図書ビンゴの取り組みを1ヶ月間行った。分類番号に
ばらつきをもたせた低学年用と高学年用のカードを使った。ビンゴになった児童はカードにシールを貼
っていき、図書委員が達成者を昼の放送で紹介した。
3 成果と課題
<成果>
・朝読書の設定で、落ち着いた学習の姿勢へとつながりよかった。また、手のひら文庫の設置で、気軽
に手にとって読める本であり、冊数や本の掲示で高学年でも12冊読もうという意欲につながった。
・紙芝居では、読み手が表現を工夫するために登場人物の気持ちを読み取ろうと何度も練習したことで
国語の読み取りの力につながった。聞き手は本の世界の楽しさにふれることができ、読書活動の意欲
へとつながった。
<課題>
・進んで本を借りている子がいる一方、読書に興味がなかったり、読書の傾向が偏っていたりする子も
多い。特に、高学年の読書冊数が少ないことから、読書に興味をもたせる手だての工夫が必要である。
・新刊図書の受け入れだけでなく廃棄する本の処理を進め、図書室の環境を整えていく。
16
「子供たちの読書意欲を高める学校図書館の運営」
宮古地区 SLA
1
宮古市立重茂小学校
学校図書館の概要
本校は児童数 88 名、各学年 1 学級と特別支援学級1の計 7 学級である。3 階にある図書室の他、各
学級の出入り口付近の廊下に図書を配架している。また、各階のオープンスペースには国語科指導に活
用できるように関連図書コーナーも設置している。蔵書数については、本校は 3 年前に 3 校が統合し、
すべてが本校の蔵書となったため、約12,000冊という児童数に対して十分な蔵書数となってい
る。また、市から図書支援員が週 3 回配置され、図書の貸し出しや破損した図書の修繕、図書室の環境
整備、読み聞かせ活動などの支援を行っている。
2
具体的実践内容
(1)年間目標冊数の設定と読書記録カード
本校では、年間の目標読書冊数を低学年70冊、中学年50冊、高学年30
冊以上に設定している。さらに、学期ごとの目標冊数も設定し、達成した児
童に多読賞の表彰することにより、励みとしている。
また、読書記録カードは6年間分保管できるファイルに綴り、読書の足跡
【多読賞の表彰】
を振り返ることができるようにすることで読書意欲の継続を図っている。
(2) 読書週間・読書まつりの実施
11月に読書週間を設定し、学年ごとに期間中に読んだ冊数が分かるカー
ドを作成し、掲示している。また、自分が読んだ中でおすすめの本をカード
で紹介する取り組みを全校で行い、読書の幅を広げながら本に親しむ機会と
なっている。
【読書まつり】
図書委員会児童が進行する読書まつりでは、配置された図書支援員の他に
市の読書活動支援員の協力を得て、読み聞かせや読書クイズを行い、まつりを
盛り上げ、読書の楽しさを実感させている。
(3) 図書室の環境整備
子供が足を運びたくなるような図書室にするために、図書室前の廊下に新
刊コーナーの設置、話題の本の紹介等を配架し、季節に合わせた掲示物を入口
付近や図書室内に掲示している。
【新刊コーナー】
(4) 朝読書の取り組み
毎週木曜日に朝読書(8:10~8:25)を設定している。この日には、図書支
援員による読み聞かせも行い、
図書支援員は時季に合った読み物を読んだり、
音楽を入れて読んだりするなど、子供の興味を引く工夫をしている。また、
読書週間では、PTA 文化部員の読み聞かせもあり、学校と家庭が連携を図っ
ている。
3
【支援員による読み聞かせ】
成果と課題(○成果 ●課題)
○子供が図書室へ行きたくなる環境づくりや子供が本を手に取りたくなる工夫をしたことで、読書の
楽しさを味わわせることができた。また、図書室へ来る子供も増えている。
●家庭における読書は、まだ十分に習慣化されていない。親子読書などの取り組みを通して、家庭と更
なる連携を図りながら、読書を習慣化させていきたい。
17
「読書の習慣化を目指して」(読書指導領域)
岩泉地区SLA 岩泉町立有芸小学校
1
学校図書館の概要
本校は、全校児童数8名3学級の小規模校である。
図書室は、1階ホール隣にフリースペースとして設置
し、開放的な雰囲気で使用することができる。また昨
年度、低学年教室と中学年教室の間に国語の教科書に
載っている本の特設コーナーを作り、学習に活かせる
よう整理した。
蔵書冊数は約900冊で、学校図書館図書標準の定め
る冊数には達していない状況である。有芸中学校閉校の
際に、多くの図書を寄贈して頂き、新しい図書が増えた
【ホール隣に設置されている図書室】
が、授業に関連する本の冊数も増やすよう努めている。
2
具体的実践内容
(1) 朝読書
毎週月・木曜日の朝活動の15分間に朝読書を実施している。学校の本や町立図書館から借りている本
などを活用して、自分の読みたい本を選んで読書する習慣が身についてきている。
(2)読み聞かせの実施
今年度より、学校職員が毎月輪番で読み聞かせを行って
いる。また、読書祭りなどの行事の際には、図書委員会の
児童も読み聞かせを行っている。読み聞かせを通し、いろ
いろなジャンルの本に親しみ、今まで触れたことのない本
【読み聞かせの様子】
にも興味を示すようになってきた。
(3)図書委員会による新刊図書の紹介
委員会活動の一環で、新刊図書の紹介を行っている。
おすすめのポイントを書いた帯を作成し、全校児童の目
に付くところに置くことで、興味を示し手に取る児童が
多くなっている。
3
成果と課題
【図書委員会による新刊紹介】
〈成果〉
・意図的に児童の近くに書架を配置したことで、本に触れる機会が増えた。児童同士で読み回しをしたり、
読んだ本を紹介し合ったりと、日常的に読書を楽しめるようになってきている。学習に使用する頻度も増
え、発展的な読書も見られるようになってきた。
・読み聞かせや委員会活動により、読書に親しむ態度が高まってきている。
〈課題〉
・学校では本に親しむ様子が見られるようになってきたが、家庭での読書習慣がなかなか身につかないの
が現状である。保護者と連携を図りながら、習慣化に努めたい。
18
読書習慣を育てる環境づくりの取組
遠野地区 SLA 遠野市立土淵小学校
1
学校図書館の概要
本校は、全校児童数 90 名の小規模校である。図書室は,1階の特別教室棟にあり、静かに読書がで
きる環境にある。また、教室が並ぶ棟にあるワークルーム(交流ホール)にも書庫が並び、休み時間
など児童が気軽に本を手に取ることができる。このような環境を生かしながら、子どもたちが本によ
り親しむことができるような環境づくりに取り組んでいる。
2
具体的実践内容
(1)学校での「あさどく」家庭で「うちどく」
朝読書は、毎週月曜日と木曜日8時 15 分から8時 30 分まで 15 分間
実施している。自分が読みたい本を机の上に用意して置き、集中して読
んでいる。また、週末には本を持ち帰らせ、家庭でも読書習慣が身に付
<朝読書の様子>
くように取り組んでいる。そのほか長期休業中自分が読んだ本の中から「おすすめの本の読書カー
ド」を書き、図書室前廊下に掲示して選書の参考にさせている。
(2)読書月間の取組
11月を読書月間に設定し、子どもたちが本とふれあう機会を多く作ることにより、読書に親し
ませ読書意欲を高める活動を行っている。年間の目標冊数の他に、読書月間中の目標冊数を決めさ
せ、達成した児童には図書委員会が作成したしおりを送る。また「おすすめの本の読書カード」を
書いたものを掲示したり、1学期からの利用冊数で多読賞の表彰をしたりして意欲付けを図ってい
る。そのほか、図書委員会児童による図書クイズや「おはなしキャラバン」の方々による読み聞か
せを行う「図書集会」を計画している。
(3)足を運びたくなる図書室づくり
図書室の環境づくりについては紹介コーナーを
作ったり、読書月間に併せて PTA 専門部や図書ボ
ランティアが季節に合わせて掲示をしたりするこ
とによって、子どもたちが足を運びたくなるよう
な工夫をしている。
<おすすめの本コーナー>
(4)図書ボランティアによる活動
本校の図書ボランティアは保護者や地域の方で構成
され、年3回朝学習の時間に読み聞かせをしていただ
いている。子どもたちは、読み聞かせを大変楽しみに
しており瞳を輝かせて聞き入っている様子がみられる。
3
成果と課題
<読み聞かせの様子>
(1)成果
朝読書・家庭読書の取組、図書室の環境整備、委員会活動などを通して多くの本に親しむ機会を
与えることにより、読書習慣が身に付きつつある。
(2)課題
本に親しむ児童が増えてきてはいるが、まだまだ個人差がある。学校の取組の充実を図るととも
に家庭での読書環境づくりにさらに工夫を重ねていきたい。
19
「子ども達が本に親しむことができる学校図書館をめざして」
雫石地区 SLA 雫石町立下長山小学校
1 学校図書館の概要
本校は、雫石町の中心部から北上する県道沿いに位置し、岩手山の裾野に広がる田畑や
葛根川の流れる自然豊かな地域に建つ、全校児童58名の小規模校である。
学校図書館は校舎の2階に在り、一昨年度学校創立140周年事業として児童文学評
論家 赤木かん子さんの指導・編集で整備を行い、
「本を好きになってほしい」という教
職員、地域ボランティア、PTAの願いのもと、
児童の興味・関心を喚起しながら図書に親しめ
る環境に整えた。こうした取り組みにより平成
27年度の「子どもの読書活動推進フォーラム」
において、子どもの読書活動優秀実践校文部科
学大臣表彰を受賞することができた。
2 具体的実践活動
① 読書郵便
往復はがきを模した用紙に読んだ本の感想や紹介を書き、他の児童に届ける。届けられ
児童は送ってくれた児童への返信を書く。図書を通じて友達とのコミュニケーションを
取りながら、読書の楽しさや友情を育んでいる。
② わが家のおすすめの一冊
夏休みと冬休みに親子読書を実施し、親子でその紹介文を書き、校内に展示する。親子
での知的なふれあいを期待しながら、共通の図書で興味・関心を高めることができる。
③ 朝読書と読み聞かせボランティア
地域ボランティアと保護者で構成された読み聞かせボランティアの皆さんが、毎週木
曜日の朝に来校して低学年、中学年、高学年ごとに読み聞かせを行っている。それ以外の
日は各教室で児童一人一人が選書し朝読書をすることで読書習慣を形成している。
④ 図書委員会活動
児童朝会時に学校図書館の利用の仕方、本の読み聞かせや紙芝居を行っている。また、
ランチルームでの給食時間には、図書委員会のお勧めの本や新刊図書の紹介、それ以外に
も本の紹介ポスターの制作と掲示、貸し出し図書の冊数調べなどをしている。
3 成果と課題
平成27年度には本校の児童2名が国立オリンピック記念青少年総合センターで実施
された「読書と体験の子どもキャンプ」に参加し、講演会やワークショップ、読書新聞作
りなどの研修に参加することができた。参加した児童がキャンプの様子を他の児童に紹
介することにより、これまでに体験したことのない読書の世界を共有することができ、読
書活動をさらに広げることができた。これからも心豊かにできる図書と子ども達が出会
える学校図書館にしていきたい。
20
「図書室利用の促進を目指して」
久慈地区SLA 久慈市立長内中学校
1
学校図書館の概要
本校は、全校生徒 270 名の中規模校で「挨拶・合唱・清掃」を学校の三大活動として掲げ活動している。ま
た、「地域に元気と笑顔を届けよう」をモットーに受け継いできた「長中ソーラン」は、今年度地域行事のみ
ならず県外のイベントにも招かれ、ソーランを通して多くの人と交流する機会に恵まれた。山と海、近くを流
れる長内川といった自然豊かな環境の下、生徒たちは日々の学習や部活動に励んでいる。
現在図書室となっている部屋は、5 年前までは金工室として使用されていた。もとの図書室を集会場所とし
て使用するための移転であったが、生徒教室より離れた特別教室棟にあるため、やや生徒の足が図書室へ遠の
いた感は否めない。また、環境整備・書架の整理も不十分であることから、今年度は生徒の図書室利用の促進、
新刊図書の配架、蔵書の整理を進めていきたいと考えている。
2
具体的実践内容
(1)朝読書の実施と巡回図書の活用
毎朝 8:20~8:30 までの 10 分間、朝読書を実施している。必ず学級担任がつき静かな 10 分間を過ごす
ことで、落ち着いた 1 日のスタートを切ることができている。読む本は図書室の本や個人の本もあるが、各
学級に配置されている移動図書館車「ぎんなん号」の本を読む生徒も多い。
「ぎんなん号」の本は約 2 カ月
毎の入れ替えとなっている。
(2)専門委員会との連携
本校では学習委員会が図書の仕事も受け持っている。学習委員の中から各学年 2 名ずつ図書担当の生徒を
決め、図書当番や図書便りの発行を行っている。図書の貸し出しは昼休みに行っているが、それほど利用者
は多くない。図書便りを通じて図書室利用のマナーの周知や新刊図書の紹介を行い、図書室利用の促進を行
っているところである。
(3)図書室の環境整備
もっと足を運びたくなるような図書室作りのために、利用の仕方等をわかりやすく掲
示した。今後は課題図書や新刊コーナーだけでなく、
「いわ 100」コーナーや、新刊図書
のポップ作成等もっと生徒が本を手に取りたくなるような工夫をしていきたい。
3
成果と課題
<成果>
・朝読書の実施により、本と向き合う時間の確保や落ち着いた雰囲気で 1 日をスタートさせることができて
いる。今後も継続したい。
・図書便りの発行により、図書室利用の働きかけをすることができた。
<課題>
・読書は朝読書の時間だけという生徒も多く、図書室を利用する生徒も固定化してい
る。より広く図書室を利用してもらうための環境整備と情報発信を行っていきたい。
同時に、図書室利用マナーアップの啓蒙活動も進めていきたい。
・書架の整理がまだまだ不十分である。委員会活動と合わせながら進めていきたい。
21
「朝読書と図書室利用促進の取り組み」(読書指導領域)
二戸地区SLA
二戸市立福岡中学校
1 学校図書館の概要
本校は、二戸市の中央に位置し、生徒数462名、学級数16学級(特別支援学級3学級を含む)の中規模校であ
111
る。新校舎になり、3年目を迎える本校の図書室は1階のエントランスホールと中庭に面しており、明るく利用しやすい
場所に設置されている。平成 28 年度の本校のまなびフェストで、朝読書を通年で推進することを「学校が取り組む7
つの約束」の1つとしている。
生徒たちは、合唱、応援、JRCを三大文化とし、生徒会活動にも積極的に取り組んでいる。図書委員の活動として
は、毎日の貸し出し、朝読書の呼びかけと点検、読書カードの読書冊数集計、図書だよりの発行などを行っている。
また、図書支援員の協力を得ながら、本の「おすすめコーナー」を設置し、図書室の利用促進を図っている。
2 具体的実践内容
毎朝8時20分からの10分間が、朝読書の時間として生活時程の中に位置付けられ、十数年の実績がある。読む
本の種類についても図書委員が点検し、なるべく中学生にふさわしい本を読むよう呼びかけを行っている。また、各学
級には学級文庫が設置され、各フロアのフリースペースにも先生のおすすめ文庫が設置されている。いつでもだれでも
本に触れられるよう環境を整えてある。
図書室利用促進のため、図書委員は図書室のおすすめコーナー設置を図書支援員の協力を得ながら行っている。
時機を見て、季節に応じたものや行事、話題性のあるものを設置するようにしている。設置の仕方も、POPをつけたり、
「表紙見せ展示」をしたりするなど、生徒が手に取りやすいよう工夫している。
「学級文庫」
図書室「おすすめコーナー」
「新刊紹介コーナー」
3 成果・課題
朝読書は、福岡中学校の1つの文化のように定着しており、1日が落ち着いた気持ちでスタートできている。また、教
師が一緒に読書することもいい影響を与えている。業間などのちょっとした時間を見つけて読書する生徒も増えてきてい
ることからも効果があがっていると思われる。今後は、生徒同士がお互いに読んだ本の感想を交換し合えるようなブック
トークを設定するなど、より積極的な活動を行うことが課題である。
22
「読書活動の充実を目指す活動の工夫」
(読書指導領域)
岩手地区SLA 岩手町立沼宮内中学校
1
学校図書館の概要
本校は、生徒数 207 名、8クラス(うち特別支援学級2)の学校である。図書室は1階にあり、普通
教室がある棟の反対側に位置している。しかし、図書室で授業を行ったり係活動で使ったりするなど、
生徒にとっては身近な存在になっている。
図書委員会が昼休みに貸出、返却、図書の整理などを行っている。
2
具体的実践内容
(1)
「朝読書」の取り組み
全校朝会、テスト期間を除く毎朝 8 時 25 分から 8 時 32 分の7分間、
朝読書を行っている。自分が選んだ本を集中して読んでいる。確実に読書
ができる時間になっている。
(2)読書目標の設定と読書記録
今年度は国語科と連携して読書記録をつけている。読書目標、年間目標
冊数、読んだ本、おすすめ度などを記入する。読書量に個人差があるので、
【読書記録用紙】
昨年の自分を上回る読破目標冊数を設定するようにした。より多くの本に
触れようと、意欲的に読書に取り組んでいる。また、授業で図書室の本を
活用することにより、図書室の本に対する関心を高めている。
(3)図書委員会を中心とする読書活動の推進
① 学級文庫の設置
各学年で設定した基本図書と、図書委員が選定した本を学級文庫として
設置し、朝読書に活用できるようにしている。基本図書は、国語の教科書
で取り上げられた作家や作品に関するものが中心となっている。また、図
書委員が選定した本は、定期的に入れ替えをして、図書室に足を運ばなく
ても図書室の本に触れ合える機会にしている。
【各学年の基本図書一覧】
② 本の紹介
生徒による本の紹介だけでなく、教師による本の紹介も行っている。今
年度は本の紹介文を冊子にし、全校生徒に配布し、選書に活用している。
③ 購入図書アンケート
書店の巡回図書の際には、生徒も選書に参加できるようにしている。ま
た、全校生徒に購入図書アンケートを行い、購入に役立てている。
3
成果と課題
<成果>・図書室の本に触れる機会を増やしたため、図書室を利用する生
徒が増加した。
・図書室の本についての関心が高まった。
<課題>・読む本の種類に偏りがある。
・読書嫌いな生徒に関心を持たせるための工夫が足りない。
23
【おすすめの1冊】
「学校図書館にある図書を中心に、読書活動が活発に行われる取り組み」
(読書指導 他)
岩手地区 SLA 八幡平市立松尾中学校
1
学校図書館の概要
本校は図書教育の目標として「生活の中に読書を取り入れ、心豊かな生活を送る生徒の育成を目指す。
」
「中学
生としてふさわしい読書体験ができる環境を整えることを目指す。」を掲げている。そして、本年度の重点は以下
の2点である。
(1)幅広く良書を選択し、設置することで図書室にある図書の利用が増えるように努める。
(2)図書室の整理を進める。
平成28年度から週に一度学校図書館司書が来校することとなった。
2
具体的実践内容
重点(1)の図書利用を増やすために以下のことを行った。
(1)教科の連携
国語 2 年 単元名「読書コラム たまには少し変わった本を」
① 教科書中の「読書コラム」のページを読んで、自分が今まで読んだことのないジャンルの図書について
考える。
② 図書館で一人一冊本を借りる。この場合、自分のこれまで読んだことのないジャンルの本と出会うこと
が今回の目的であることを意識させる。
③
お勧めの本の読書案内の発表会をする。
(2)移動図書の設置
松尾中学校の図書館は、かなり奥まった場所にあり、何かのついでにふらりと立ち寄って図書のページを繰
るということができにくい。そこで、図書の本をもっと気軽に手にとってほしいと考え、学級の中心に位置す
る多目的ホールに移動図書を設置した。書架にタイヤが設置してあるので、教室の中にも移動させやすく、ま
た、ホールでの行事に合わせて場所を変えることもできるので、図書館の本の活用場所が増えた。
移動書架は2つあり、1 つには分類別にばらばらになっていた「いわて100」を配置した。また、もう 1
つには、読書感想文コンクールの課題図書・国語科と連携した「教科書に登場する古典作品」など、その時々
の学校行事や時節にあった図書を司書と相談しながら配置している。ただ、配置するだけでなく書店の POP
を参考にして、ディスプレーも工夫している。
(3)学校図書館司書との連携
学校図書利用を増やすにあたって司書と連携して取り組んだのは次の3点である。重点(1)の教科との連
携を図る準備や、重点(2)の整理を進めるにあたって大変活躍していただいた。
①長年課題となっていた古い図書の廃棄 ②お勧めの本など図書館のディスプレー ③移動図書の管理
3
成果と課題
(1)成 果
・良書選択や図書利用増加に向けての取り組みや図書館管理が、司書との連携により昨年までとは比べものな
らないくらい充実した運営となった。
・移動書架を設置したことで、より生徒の身近に学校図書を置くことができ、子供たちも気軽に本を開く環境
を整えることができた。
(2)課 題
・国語科以外の教科連携など年間を見通した学校図書の利用活動を展開していきたい。
・
「いわて100」の読書状況を把握するための調査を実施したい。
24
「読書意欲の向上、活用される図書館を目指して」(読書指導領域)
盛岡地区SLA 盛岡市立下橋中学校
1
学校図書館の概要
本校は、各学年3クラス、特別支援学級3クラスの計12クラスであり、蔵書状況は9154冊(H
28.10.25現在)である。図書は図書室のほか、各学級に移動図書、各学年の学習相談室に書
架を設置するなど生徒たちが手軽に本を手にできるようにしている。
読書推進や図書館運営は司書教諭と図書委員会が中心となって行っているが、PTAや地域の方々
が図書ボランティアとして図書室の環境整備、推薦図書コーナーの設置を中心に活動をしてくださっ
ている。
2
具体的実践内容
(1)掲示・展示コーナーの充実
図書室に「新刊紹介」や「おすすめ本紹介」などを掲示・展示
している。また、図書ボランティアによる季節にちなんだポップ
装飾も図書室周辺を彩っている。
また、各学年の学習相談室にも図書ボランティアによる特設
コーナーを設置した。多様なジャンルの推薦図書に生徒たちは
興味を示し、図書室に足を向ける生徒が増えてきた。
古典の学習に関わるお薦め本の紹介
(2)校内放送の活用
昼の校内放送時に図書委員が輪番で「図書委員におすすめ本紹介」を放送で行った。図書室内
にある本を推薦し、図書室利用を呼びかけている。
(3)授業や行事との連携
3学年の環境に関する宿泊体験学習の事前学習のひとつとして、朝読書時に集団読書を行った。
学年全員に行き渡るように本を揃えている。
3
成果と課題
<成果>
・図書ボランティアのアイディアや視点は斬新であり、生徒レベルでは紹介しないジャンルまで幅
を広げ、読書推進を大いに後押ししている。
・図書委員が図書室内の本を紹介することで、図書委員自身も図書室内の蔵書にさらに興味・関心
を持つようになり、幅広いジャンルの本を紹介できるようになった。
・3学年の朝読書時における集団読書では講師の畠山重篤氏の著書を読んだ。その後に体験学習に
参加したため、より深い学びを得ることができた。
<課題>
・図書委員としてのスキルアップを図ること。読書イベントでブックトークや読み聞かせを図書委
員が行えるようにしていきたい。
・調べ学習や授業内容とリンクした展示など、先生方と図書室の連携。
・読書が苦手な生徒の意欲向上。
25
「生徒の読書意欲向上を図る取組を通して」(読書指導領域)
紫波地区SLA
紫波町立紫波第二中学校
1
学校図書館の概要
本校は、生徒数145名、紫波町を北上川で二分した東側地区(河東地区)の農業地帯に位置している。
図書室は、北校舎に1階にあり、蔵書冊数は約1万冊である。毎週水曜日に学校図書アシスタントコー
ディネーターの方がいらして、図書室の環境整備や本の修理などの活動をしてくださっている。また、選
書なども相談しながら行っている。
2
具体的実践内容
中学生になると部活動や家庭学習が忙しくなり、小学校の時に本を読んでいた生徒でも読書の時間が減
る傾向がある。また、興味のある本の分野に偏りが出てくる生徒も多い。そこで、読書をする時間の確保
と様々な本に触れる機会の設定を目指して活動に取り組んでいる。
(1) 朝読書の取組
全校体制で朝読書の取組を行っている。毎月、図書委員が図書室の
本を選んで学級文庫を設置し、朝読書等に利用させている。
(2) 教科等との連携
選書の際に教科担任や養護教諭などにも
入ってもらい、授業や必要な場面で利用して
もらうようにした。特に今度から英語の授業
を行う「LCルーム」を新設したので、
「LC
ルーム」に英語の本を設置するようにした。
その他、保健室や美術室などにも必要な本を
LCルームの本棚
設置している。
(3) 図書館環境の整備
図書室の机に「新刊コーナー」や「課題本コーナー」を作ったり、修学旅行前には東京のガイドブッ
ク、復興講演会の前後には震災関係の本など行事に合わせた本を設置した
りした。また、ドラマや映画になった話題本などを紹介するコーナーを作
るなど工夫した。本棚についても分類番号等がうまく順番にならないとこ
ろを生徒が本を探しやすいように整理している。
(4) POP作成
夏休みの課題として「POP」作成に取り組ませ、紫波町のPOPコン
クールなどに応募した。今後、図書館に紹介した本と一緒に展示したいと
POP作品
考えている。
3 成果と課題
<成果>
・ 今年度から朝読書のスタートに担任がつくようにしたため、どの学級も集中して朝読書に取り組ん
でいる。普段は本を読む習慣のない生徒も本を読み進めるようになってきている。
・ LCルームで授業前に英語の本を読む生徒や保健室等でも設置している本に興味をもって読む生徒
が増えた。
・ 新刊コーナーは特に利用者が多く、新しい本などリクエストをする生徒が増えた。
<課題>
・ 「POP」等、授業で取り組み、課題として作成させているが、委員会活動も含め、様々な活動を
するのに時間の確保が難しい。
・ 本の紹介をほとんど紙面で行っているが、読み聞かせやブックトークなど、人と人が直接かかわる
ような活動を設定していきたい。
26
「学校図書館と市立図書館の連携」
花巻地区 SLA 花巻市立石鳥谷中学校
1.学校図書館の概要
本校の図書室は、校舎の 1 階中央・昇降口前に位置し、生徒が入りやすい図書室であ
る。12 人が座れる大テーブル 3 つと 4 人が座れる丸テーブル 2 つが配置されており、
落ち着いて読書・勉強ができる環境である。
蔵書数は約 5700 冊。平成 21 年の校舎建て替えに伴い、古い本を大量に廃棄したた
め蔵書数が少ない。特にも「1.哲学」
「6.産業」の分野が 100 冊前後と極端に少なく、
図書購入で厚くするよう心掛けたい。
2.具体的実践内容
本校図書室は毎日昼休み 13:10~13:30 に開館し、各学級の図書委員 2 名が交代制で
図書当番を務めている。貸出は 1 人 1 冊 1 週間、夏季・冬季休業中は 2 冊まで可であ
る。委員は各自おすすめ図書のポスター作り・掲示をし、館内を明るく演出している。
月に一度、石鳥谷図書館司書の方が全校分の学級文庫として図書を選定・搬入し、設
置してくれている。1~3 学年 4 学級はそれぞれ 40 冊、特別支援 1 学級は 25 冊の設置
である。
全校生徒で取り組む朝読書は、基本は月・水・木曜日 8:15~8:25 の 10 分間である
が、この時間に学級文庫を利用する生徒は各学級 5~10 人程度おり、昼休み中や家に
持ち帰っての利用も少なくない。
3.成果と課題
・成果
市立図書館から借りている学級文庫は各学年の発達段階に合わせて、絵本・伝記漫
画・写真入りの料理レシピ本から文学作品まで様々なジャンルがそろえられている。活
字が苦手な生徒でも手に取りやすい配慮があり、また、普段生徒がなかなか手にするこ
とのないようなジャンルのものも並び、本に興味をもつことの力になっている。
・課題
朝読書時間の確保により読書は日常的に行われているが、読書はその時間のみとい
う生徒も多く、読書量は多いとは言えない。読書量を増やしていくことが課題である。
また、通常の貸し出し手続きの省略により、借りている意識が低くなるためか、学級
文庫の未返却がよくある。図書委員と教師によるこまめなチェックと呼びかけが必要
である。
今後は読書状況を伝え、生徒の実態に合わせた選本ができるように連携を深めてい
きたい。
27
「読書意欲向上のための取り組み」
北上和賀地区SLA
西和賀町立湯田中学校
1 学校図書館の概要
(1)本校は、全校生徒45名、4学級(特別支援学級1)の小規模校である。
(2)図書費は年間20万円で、非常に恵まれた環境にある。
(3)蔵書数は約5000冊で、年間100冊以上の図書を新たに購入して蔵書の充実
を図っている。
(4)昼休みに開館している。パソコンを設置してか
ら基本的に施錠しているが、担任や教科担当者
の管理の下、授業等でも活用している。
(5)平成25年度にデータベース化を実施し、イン
ターネットを活用して図書館業務を行っている。
(6)図書ボランティアはいないが、教育委員会から必
要に応じて図書支援員を派遣していただき、図書
受け入れや廃棄・整理などの作業をお願いしてい
る。
2 具体的実践内容
図書個人カード
(1)毎朝10分間(8:20~8:30)、全校朝読
書を実施している。
(2)図書委員会の活動
①図書当番(本の貸し出し・返却への対応)
②ポスター作成
③図書だよりの発行
図書委員会発行の図書便り
図書委員が作成したポスター
3 成果と課題
(1)成果
①図書支援員の協力により、計画的な図書廃棄や図書室の整理を行うことができ、利
用しやすい環境を整えることができた。
②図書委員の活動が、生徒の読書意欲を高める一助となった。
(2)課題
①図書室を積極的に利用する生徒が固定化されている。本に興味がない生徒も足を運
びたくなるような工夫を考えたい。
②朝読書だけでは年間の読書冊数が増えないので、家庭で読書時間を作るような取り
組みを行う必要がある。
28
自主的な読書習慣の確立と心豊かな生徒の育成を目指して
胆江地区 SLA
奥州市立水沢中学校
1学校図書館の概要
本年度の図書館教育基本方針として、教科学習に直結した図書館運営を目指
している。生徒の学習内容を豊かにすると共に、読書経験の拡大を図っていくこ
と、読書活動の日常化を図ること、生徒に読書習慣を身につけさせることで、心
豊かな人間性を育む。図書館を学習の場にも活用できるように、資料提供の工夫
や計画的な選書を行なっている。生徒と本の距離を縮め、心に栄養を与えられる
よう、明るい環境作りを心がけている。
毎年年間読破目標(30 冊)を設定し、読書を促している。昨年度は、42%の生
徒が達成した。図書館は朝から放課後まで開館し、生徒が忙しい中、時間を見つ
けて借りにくることができる環境を整えている。
2具体的実践内容
① 朝読書
生徒が個人で読みたい本を準備し、朝の会前の10分間、全校一斉に行なう。
② 図書紹介
毎日ひとりずつ、各クラスの帰りの会でおすすめの本を紹介している。
③ 読書週間
年3回、委員会が中心となる取り組み。(冊数勝負/ブックウォーク/ラベル DE ビンゴ)
④ 学習図書委員会の読書推進活動
・委員おすすめ図書 POP 作成・掲示。
・読書へのいざないー読書案内・先生方お勧め図書紹介の冊子作成・全校配布
⑤ 授業での積極的な利用
多教科において、授業の際図書館利用をしている。
⑥ ボランティアさんの活動
学年毎のブックトーク・読み聞かせ(年3回)の実施。
⑦ 図書館の環境設備
・図書館だよりの発行・・・ 読書活動等の情報発信・新刊図書の紹介。
・表示や配架の工夫 ・・・ 新着図書の掲示(新着図書紹介)
館内表示・テーマ別シールでの分類の工夫。
・貸出業務のPC化 ・・・ 貸出業務の時間短縮を図る。
・憩いの場
・・・ くつろぎスペースの設置。
3成果と課題
成果・・・ 館内表示や掲示の工夫などの環境整備、学校司書が常駐していることで
本を手にとりやすい、図書館が身近な場所として利用されている。
課題・・・ よりよい図書を提供するために、授業や調べ学習で利用する資料として
の参考図書、図鑑、辞典等の入れ替えや廃棄作業が必要となっている。
29
生徒の読書意欲の向上を図る取り組みを通して(読書指導領域)
一関地区SLA 一関市立一関東中学校
1
学校図書館の概要
本校は平成20年4月に,旧真滝中学校と旧弥栄中学校が統合し、開校した生徒数92名
の小規模校で、自然豊かな環境の中に位置している。図書館は1階の奥にあり、蔵書冊数は
約9,000冊である。週3回勤務の読書普及員の協力により、図書室の環境整備や本の修
理等を行っている。
2
具体的な実践内容
(1) 生徒の読書意欲の向上を図るための取り組み
①生徒による「おすすめの本のPOP作り」
生徒会活動の一環として、学習委員会の生徒による POP 作りを行い、図書館内に展示
し、意欲向上のための環境整備の一助となっている。
②公立図書館との連携
図書館担当者会議での交流を通し、定期的に発行される一関図書館の「図書館便り」
を学校にも配布していただき、図書館内に掲示している。また、読書普及員の協力を得
て、生徒からのリクエスト本や先生方が教科の授業で使用したい本などを借りるなど、
さまざまな取り組みで協力体制がとれている。
③読書普及員との連携
読書普及員は昨年度に引き続いて勤務しているため、生徒たちの実態もわかっており
図書館の環境作りにも積極的に取り組んでいる。
例)今月の新着本の紹介
今月今週の主なニュース紹介 季節に合った詩歌紹介
時期に応じた学習関連本の展示 特集本の展示
行
多読者の紹介 図書館便りの発
名言等を書いたしおりの作成等
④朝読書や学級文庫の設置
本校では、毎朝10分間の朝読書を取り入れている。また、「いわ100」から、学級
文庫を設置している。
3
成果と課題
〈成果〉
・読書普及員が昼休みに合わせて、図書館に在中しているため、利用者が増えてきてい
る。また、公立図書館との連携を密にとるなど、生徒のリクエストに対応しているため
生徒たちの読書意欲の向上につながっている。
〈課題〉
・授業(教科)と連動させた本の展示をより計画的に行うことと、利用頻度をあげる工
夫をすること。
・図書館利用の生徒が固定化しているため、より多くの生徒に図書館に足を運んでもら
う工夫をすること。
・生徒一人一人の読書の質の向上を図ること。
・様々な場面や機会を活用し、さらに読書の意欲付けを行うこと。
30
「読書推進を目指す活動の工夫」
(読書指導領域)
気仙地区 SLA
1
陸前高田市立第一中学校
学校図書館の概要
本校は、全校生徒 281 名で、運動部はもとより文化部の活動も盛んな学校である。被災地とい
うことで、未だに校庭には仮設住宅が立ち並ぶ状況ではあるが、生徒はのびのびと学習にも取り
組んでいる。図書室は校舎 2 階にあり、蔵書冊数は約 11,000 冊で、主に図書委員会の活動拠点
になっているほか、陸前高田市で行っている「学びの部屋」
(震災後、仮設住宅等で学習環境の整
わない生徒の放課後の学習スペース)事業などにも活用されている。また、図書館教育支援員が
配置されており、月 2 回ほど来校し図書館業務(配架や、廃棄図書の選定など)を行ってくれて
いる。
2
具体的実践内容
(1) 図書館の整備
今年度、陸前高田市立横田中学校との統合がなされ、蔵書の受け入れを行った。夏休みの配
架作業に生徒会の図書委員も参加し、ディスプレイを行うなど工夫を凝らしながら、魅力ある
図書館作りに努めた。
(2)朝読書の充実
本校では、朝読書の時間を 8:20~8:30 の 10 分間と位置づけている。各学級の図書委員
が運営しており、5 分前には着席や本の準備を促し、落ち着いた環境の中で読書に親しんでい
る。また、
「陸前高田市のおすすめの本」
(中学生に読んでほしい本)を読む期間を設け、幅広
いジャンルの本を手にする機会を設けている。
(3)積極的な図書紹介
1 学期には、絵本作家の宮西達也氏による「読み聞かせ」を行った。生徒は久しぶりに触れ
る絵本の世界を満喫し、それを受けて図書館にも「絵本コーナー」を設置した。2 学期は図書
委員会の活動として「先生方のおすすめの本」コーナーを設け、POP や掲示物を工夫しながら
紹介した。
(4)学級文庫の活用
今年度は、教科書関連図書を学級文庫として教室に置き、授業内での紹介を含めながら、朝
読書の時間に手に取ってもらえるようにした。学級での管理は図書委員会が行っている。
3
成果と課題
〈成果〉
図書委員と図書館教育支援員さんとの連携を図りながら、図書館運営に当たることで、
様々な角度から読書活動にアプローチすることが出来た。また、教室の近くに掲示物や展示
コーナーを設けることで、本を身近なものとして親しんでもらうのに効果的であった。
朝読書は定着が図られており、全学級が静かに読書に取り組む雰囲気が出来ている。10 分
間と短い時間ではあるが、集中して本を読む力が培われている。
〈課題〉
図書室の利用時間(開放時間)が、昼休みのみという実態があり、図書館利用者を増やす
ことも大事だが、より充実した読書習慣の確立のためには、学級文庫の活用が必要である。
31
平成28年度 学校図書館の活用に係わる実践
住田地区SLA 住田町立世田米中学校
1,学校図書館の概要
本校は、自然豊かな住田町の中心部に位置する4学級、全校生徒66名の学校である。
今年度の生徒会スローガンを「革新
~共に歩む理想への道~」と掲げ、日々教育活動に
取り組んでいる。
本校の学校図書館は、2階にあり、1年生教室が1階、2,3年生教室が2階にあるの
で、生徒達にとって利用しやすい場所に位置している。
蔵書数約6800冊であり、毎日、昼休みを中心に生徒が利用している。
2,具体的実践内容
(1)朝読書
毎朝15分間の朝読書に取り組んでいる。生徒達は、自分で準備した本や、学級文庫の
本を静かに読んでいる。
(2)ブックトーク
今年度は、1学期の全校集会で、ブックトークを実施した。図書委員のすすめる本の紹
介、先生方のすすめる本の紹介を行った。
(3)読書ボランティアによる本の読み聞かせ
住田町読書ボランティアどんどこによる、絵本や詩の読み聞かせを実施した。例年、朝
読書の時間帯に、毎学期、各学級1~2回程度実施している。絵本の読み聞かせを楽しみ
にしている生徒が多い。
(4)生徒のすすめる本の紹介
図書委員会の活動として、全校生徒がすすめる本の紹介をする活動を行った。タイトル
と推薦する理由を用紙に記入し、学校図書館の前に掲示した。
(5)ほしい本アンケート
図書委員会の活動として、図書館に入れて欲しい本について、先生方や全校生徒に年2
回アンケートをとって図書を選定し、本を購入した。
(6)読書推進ポスターの掲示
読書推進のよびかけ、新着図書のお知らせ等、図書委員がポスターを作り掲示した。
3,成果と課題
・3年前から、読書活動推進のため、読書ボランティアの方々に来校いただき、読み聞か
せやブックトーク、読書講演会等の行事を実施した。様々な行事を通して、読書に関心を
持つ生徒が増えた。また、読書を通して、地域の方々との交流を深めることができた。
・朝読書の継続により、読書をすることが日常化している生徒が多い。
・図書館司書不在のため、図書館の環境整備は、なかなか進まないのが現状である。図書
館教育担当教員、図書委員が計画的にすすめていく必要がある。
32
「学校図書館の活用」
大船渡地区SLA
1
大船渡市立赤崎中学校
学校図書館の概要
本校は、東日本大震災後の仮設校舎で学校生活を送っている。図書室として確保でき
るスペースがなく、特別教室の準備室(14 畳程度の広さ)を図書庫として活用している
のが実情である。中には、本棚と生徒用の机・椅子6人分を設置している。
2
具体的実践内容
・
生徒会の文化学習委員会活動の一環として、昼休みに図書庫を開放し、狭いながら
も活用を図っている。
・
図書庫に入れる人数に限りがあるので、できるだけ各学級に貸し出し、朝読書の時
間などを利用して、図書とふれ合う機会を多く設けている。
・
国語辞典、英和・和英辞典等を可能な限り各教室や廊下に整備し、授業での活用を
推進している。
・
市の移動図書館(かもしか号)も活用し、各学級の文化学習委員が選んで借りた図
書を、朝読書用として学級に配備している。
・
長期休業前の貸し出しをアピールし、図書利用を促している。また、学年によって
は、休み明けのブックトークも行っている。
3
成果と課題
・
図書庫が狭い分、学級単位での貸し出しが多くなるのだが、そのおかげで学級図書
が充実し、生徒たちがいろいろな本を手に取ってみる機会が増えている。
・
身近なところに図書や辞典があるので、本を開いたり辞書を引いたりすることへの
抵抗が少なくなっている。
・
子どもたちは、決して読書が苦手なわけではなく、興味関心がくすぐられ、手に取
りやすいところにありさえすれば、気軽に本を手にするということを実感している。
・
今後、新校舎への移転に伴い、図書の整理・整備を行っていかなければならない。
・
生徒たちのニーズを考慮しながら、身近な存在・立ち寄りやすい場所を目指し、新
図書館の開設、運営を考えていきたい。
33
1
「読書環境の充実について」(管理運営領域)
釜石・大槌地区SLA
釜石市立釜石東中学校
1
学校図書館の概要
本校は、生徒数 132 名で、東日本大震災の影響により仮設校舎で過ごしている。
本校の図書室は、一般教室とほぼ同じ広さで十分な広さとは言えない。書架と、3 つ
のテーブルが置いてあるだけの必要最低限のスペースで運営を行っている。開架 図書は、
寄贈されたものと、毎年市の予算で購入しているものとで、現在の蔵書冊数は約 2,000
冊あるが、学校図書館図書の標準冊数にはまだまだ達していない。
昼休みのみ開放し、数人であるがおおむね毎日生徒が来て読書をしたり、図書を借り
たりしている。もっと多くの生徒に図書室に来てほしいが、図書室の広さを考えるとそ
れも難しい。貸し出し業務は文化委員が行っている。
来年 4 月の新校舎完成に向け、生徒の読書生活を豊かにしていくための学校図書館の
整備を進めているところである。
2
具体的実践内容
本校では朝読書運動を行っている。8:15 から 8:25 までの 10 分間としているが、生徒
会 の 協 力 を 得 て 全 校 生 徒 が 8:10 に は 自 席 に 座 り 朝 読 書 を 開 始 し て い る 。 こ の 活 動 を
「EASTime(イースタイム)取り組み」として通年実施している。具体的には、生徒会執
行部が 8:05 に校内放送で読書の準備を始めるように呼びかけ、8:10 に巡回して読書を
始められているかどうか点検するといったものである。学級全員が 8:10 には読書を始め
ていることができれば合格とし、連続達成日数を学級で決めさせることによって生徒た
ちの自治能力を育てることにもつながっていると考える。この活動によって本校生徒は
毎日 15 分から 20 分程度の読書時間が確保できている。
本校は生徒の選書について課題がある。携帯小説やライトノベル等の本を読む生徒が
多い。それら自体が学校での読書にふさわしくないということではないが、小説、論説、
伝記、エッセイ、詩など、 いろいろな種類の本を読んでほしいという考えから、「図書
の紹介」をする活動を取り入れている。昨年度は本校職員の推薦する図書を全校に紹介
し貸し出した。本年度は、生徒の推薦図書を全校に紹介する活動を 3 学期に行う予定で
ある。また、選書する力をつけるために、国語の教科書で紹介されている教科書教材に
関わる図書約 300 冊を購入し、国語の授業のときに紹介し、いろいろな種類の本がある
ことを知らせるようにしている。
3
成果と課題
朝読書に関しては、上記の通り、生徒会の活動の一環とすることで 朝読書をする習慣
が生徒に身についていると考える。
課題としては選書である。朝読書の時間に本は開いているが学級文庫の中から毎日違
う本を選び、眺めているといったような、主体的に読んでいるかどうか疑問に思う生徒
も中にはいる。
その解決策として自分の読む本を選ぶ力をつけることが有効だと考える。選ぶために
はいろいろな種類の本があることを知らせることが必要であり、 そのために本を紹介し
合うような活動をこれからも取り入れていきたい。
34
読書活動の充実に向けての取り組み(読書指導領域)
宮古地区SLA 宮古市立重茂中学校
1
学校図書館の概要
本校は全校 54 人、学年1学級ずつの学校である。2階には図書室と空
きロッカースペースを利用した図書コーナーを廊下に設置している。廊
下には、調べ学習用の図書や各種検定の問題集、辞書などを配架し、授業
でも利用しやすいようにしている。台本板を一人2本準備し、常時貸し出
しを行っている。
本校の図書館指導目標は「学校教育活動に必要な資料や図書を収集し、生徒の学習を支援するととも
に、読書の経験を深めさせ、心豊かな生徒を育成する」としている。しかし、平成27年度の全国学力調
査(質問紙調査)の結果では、
「読書が好きですか」に対し「好き・まあ好き」と答えていた生徒は 65%
にとどまり、県と比較すると9%低い。また、
「新聞を読んでいますか」に対しては、
「読んでいない・ほ
とんど読んでいない」はほぼ 100%であった。このことから考えると、意欲的に読書することや、自分か
ら積極的に情報を得ようとすることがまだまだ不十分であるといえる。
2
実践内容
(1)朝読書(8:10~8:25)
・各自が本を用意し、朝読書の時間に読む。
適する本…感想文・書評の書ける本
適さない本…教科書、副読書、資料集、問題集、辞書、事典、マンガ等
・担任も一緒に読書をする。
・テスト当日や行事日等の特別な期間を除き、毎朝取り組む。
(2)読書記録
年間10冊以上を目標に読書に取り組ませる。15冊以上を多読賞として表彰する。
(3)学級文庫の設置
月1回程度入れ替えして15冊程度を学級に置いている。朝読書に役立てている。
(4)図書だよりの発行
月1回程度、おすすめの本の紹介や読書感想文コンクールの情報などを紹介している。
(5)図書支援員との連携
週2日、図書支援員が来校する。本の整理や掲示物の作成等、図書館の環境整備に関わる部分は、図
書支援員が中心となって行っている。季節毎の掲示物等、工夫しながら活動している。
3
成果と課題
○1学期の読書冊数は 258 冊だった。一人当たりの平均は 4.7 冊である。まなびフェストで目標とし
ている月1冊程度の読書が達成できている。
●読む本に偏りがある。その人に合った本や学習にかかわるおすすめの本を積極的に紹介していきた
い。
●読書の楽しさを伝える授業や取り組みを展開していきたい。
35
「読書に親しむ取り組みを通して」(読書指導領域)
岩泉地区SLA 岩泉町立岩泉中学校
1 学校図書館の概要
本校は全校生徒138名の小規模校である。2階のほぼ中央部分に図書スペースという
場所があり、そこに本を収めている。パソコン室と隣り合っているため情報の検索はしや
すいが、本を置くスペースは決して十分ではない。
2 具体的実践内容
(1)全校朝読書
朝8時20分から8時30分までの10分間、朝読
書を実施している。主に個人で用意したそれぞれの好
きな本を読んでいる。担任が各教室で一緒に読書をし、
読書に親しむ姿勢を示すようにしている。
(2)委員会の取り組み
学習委員会が中心になって、読書を推進する活動を行っている。今年度から開始した
のが「読書状況調査」である。4月から9月まで、半年で何冊本を読んだのか一人ひと
りにアンケートをとり、その結果を各学級で掲示する。学校のまなびフェストで「年間
12冊の本を読むこと」を目標として掲げているので、
その目標と比較して個人が現状を把握したり、互いの読
書状況を知ったりすることで読書の意欲につなげること
ができると考えている。また、本を読んでコメントを書
き、目標冊数を目指す、という町の図書館での「読書マ
ラソン」の取り組みにも生徒が中心になって取り組んで
いる。
3 成果と課題
〈成果〉
・日々忙しい日程で生活している生徒にとって、短い時間ではあるが落ち着いて読書が
できる時間を確保できている。
〈課題〉
・学校図書館の利用率の向上を図るために蔵書を増やしたいが、本棚の設置場所は限ら
れている。状態の悪い図書を整理するなどして、より利用しやすい図書環境を提供でき
るようにしたい。
36
遠野地区SLA
遠野市立遠野中学校
1
学校図書館の概要
本校は、統合4年目 の生徒数414名の中 学校である。校
舎は、統合に合わせて建て替えられたもので、学校図書館は、
校舎2階中央のオープンスペースに設置されている。
オープンでありベンチもあることから、図書館としての利
用はもとより、生徒同士の交流の場としても利用され、複合
的な役割を担っている。
2 具体的実践内容
(1)環境づくり
① 図書館の雰囲気づくりの一環として、掲示物や展示物に工夫をしている。
ア、季節の掲示
図書委員の活動として行っている(昨年はハロウィンの時期に図書委員が作成し掲示)。
イ、カウンターでの展示(お薦めの本)
国語科の学習内容に合わせて、古典に関する本の紹介とガイドブック「遠野遺産」の展示
ウ、コーナーの工夫
「先人に学び、考える」「郷土を知る、郷土から学ぶ」「悩みを持つ人に」等。
② 書架表示の工夫
各分類の表示にアニメ風のキャラ
クターを利用して親しみやすくなる
ように工夫している。
③ 郷土の一員としての意識の向上
遠野市では、6月14日を「遠野
物語の日」に制定している。遠野人
としての意識を高めるため、常時掲
示している。
(2)主な取り組み
① 朝読書の取り組み
全校・学年朝会のない日は、朝の諸活動の時間は全校で朝読書に取り組んでいる( 15 分間)。
本校では、学級担任も 一緒に読書をすることにし、始業前の学習への体制作りとして意義あ
る時間となっている。
② 学級文庫
市立図書館から貸し出されている図書セットに本校の図書を加え、学級文庫として利用し
ている。主に、朝読書の際に利用している。
3 成果と課題
本校の図書館は、設置された場所として生徒が立ち寄りやすく、利用しやすい。休憩時間も
ベンチで読書をしながら友人同士でその本について語り合っている場面も目にする。学校生活
の一部に図書館が常に身近にあるということは生徒の読書活動を充実させるために最も適 する
ものと考える。反面、静寂の中で読書をするという環境にはないので、図書館の利用の仕方に
いかにメリハリをつけるか、また、読書好きの生徒だけでなく、全校の生徒の利用をどのよう
に促していくかが今後の課題である。
37
本に親しみ、読書を楽しむ生徒育成のために
岩手地区SLA 雫石町立雫石中学校
1
学校図書館の概要
本校は生徒数427名、学級数は15学級(特別支援学級を含む)である。図書室は校舎2階に位置しており、毎日
昼休み時間に開館している。
図書の貸し出しや蔵書点検は、図書委員の生徒を中心に行っているが、専任の図書担当が常駐し、図書室に入荷す
る図書の選書や朝読書用の図書の準備を行っている。
2
具体的実践内容
(1) 「朝読書保管箱」の設置
本校では、
「朝学習(各教科の本校独自の検定に向けての取り組み)」と「朝読書」の2つの活動に、期間を分け
て取り組んでいる。今年度からは「朝読書」の期間を多く設定し、これまで以上に生徒が読書に親しめるよう工
夫している。各学級には「朝読書保管箱」を設置し、生徒がわざわざ図書室に足を運ばなくても常に読書に親し
める環境を整えている。
(2) 読み聞かせの取り組み
朝読書の期間中、最初の2日間は教師による読み聞かせを実施している。読み聞かせは学級担任だけでなく、
副担任や学年長もローテーションで行っている。10月には、ボランティア団体に依頼して、各学年で読み聞か
せを行った。すべての学級に入って頂くことはできなかったが、生徒達に好評であり、2月にも実施する予定で
ある。また、読み聞かせに入らない教師たちは、ボランティア団体の読み聞かせを生徒と一緒に視聴し読み聞か
せのポイントを学ぶことができるので、自身の読み聞かせ実践に活かすための良い機会にもなっている。
(3) 図書室環境の整備
“生徒にできるだけ図書室に親しんでほしい”という思いから、ひと目で分かりやすい配架になっていること、
生徒の興味やニーズに合った図書を置くことを心掛けている。また、来室した生徒が安心して静かに読書できる
よう、開館時には、必ず図書館担当の教師と図書委員の生徒が貸し出しカウンターにいるよう努めている。さら
に、図書委員が季節や行事ごとの「おすすめの本」を紹介したり、
「図書室だより」で全校生徒に人気の図書や各
学級の読書状況(学級毎の貸し出し冊数ランキング)を知らせたりすることによって、図書室に来室するきっか
けを作ったり、読書そのものに対する意欲の向上につなげたりすることに役立っている。
3
成果と課題
〈成果〉朝読書や読み聞かせの取り組みを通して、生徒たちの会話のなかに「読書」や「図書」についての話題が増
えたことを実感している。教室で読む本も、以前は図書室から借りたものが多かったが、現在は、興味のある
本を自分で購入して読む生徒や、作家にこだわって選書している生徒などが増え、明かに主体的に読書活動
を楽しむ様子が見られるようになった。
〈課題〉朝読書などの取り組みで本に触れる時間を意図的に設定することにより、本に親しんだり意欲的に読書し
たりする生徒は増えたが、図書室の利用状況はまだ高いとはいえない。今後は、各教科と連携をとりながら、
授業のなかでも図書室を利用させるなど、図書室の利用頻度を高め、より本に親しんでもらう環境作りを行
っていきたい。
38
平成 28 年度
実践事例集
岩手県学校図書館協議会