中間報告書(案)

資料1
次期「調布市障害者総合計画」
の策定へ向けて
-中間報告書(案)-
平成29年3月
調布市
は じ め に
(略)
<
目
第1章
次
>
計画策定の趣旨
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
1
計画策定の背景
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
2
計画の性格 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
第2章
平成 28 年度の検討状況
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
調布市障害者総合計画策定委員会の設置
2
調布市障害者総合計画策定庁内連絡会の設置
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
平成 28 年度調布市民福祉ニーズ調査の実施
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
4
関係機関ヒアリング等の実施
5
調布市障害者地域自立支援協議会からの意見具申
第3章
1
(1)
9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
障害のある方と家庭への地域生活の支援
(2) 健康づくりの推進
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
次期計画における課題の整理
相談支援体制の強化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(3) 発達相談・早期療育体制の強化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
(4) 就学前の支援の充実
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
(5) 児童・生徒への教育
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
(6) 地域生活(放課後等)の支援の充実
(7) 住まいの整備
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
(8)
活動・学習等の場の整備
(9)
働くことへの支援
地域の環境づくり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
(10) 高齢期の支援の充実
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
(1)
情報提供体制の強化
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
(2)
移動手段の整備
(3)
安全・安心のまちづくりの推進
(4)
理解と交流の推進
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
(5) 当事者の参画の推進
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
1
(6)
人材の育成・地域ネットワークづくり
(7)
権利擁護・苦情対応
(8)
計画の推進・評価
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 73
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76
3
福祉サービス等の充実
4
その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 80
第4章 次年度の検討へ向けて
資料
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
資料1 障害福祉関連基本データ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87
資料2 調布市障害者総合計画策定事業実施要領
資料3 調布市障害者総合計画策定委員会
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90
委員名簿
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 92
第1章 計画策定の趣旨
1
(1)
計画策定の背景
調布市における障害者支援の計画的取組
調布市では,「利用者本位」「当事者の視点の重視」を基調に,この調布で,障害のある
方が「その人らしい自立した生活の充実」を展開していけるよう,障害のある方の地域生
活支援に,総合的・計画的に取り組んできました。
○「はーとふるぷらんちょうふ」(平成 13 年度~平成 17 年度)
○「調布市障害者計画」(平成 18 年度~平成 23 年度)
○「第1期調布市障害福祉計画」(平成 18 年度~平成 20 年度)
○「第2期調布市障害福祉計画」(平成 21 年度~平成 23 年度)
○「調布市障害者総合計画」(調布市障害者計画・第3期調布市障害福祉計画)
(平成 24 年度~平成 29 年度)
○「第4期調布市障害福祉計画」(平成 27 年度~平成 29 年度)
現在は,平成 24 年 3 月に策定した「調布市障害者総合計画」
(平成 24 年度~平成 29
年度)及び平成 27 年 3 月に作成した「第4期調布市障害福祉計画」(平成 27 年度~平
成 29 年度)の計画期間中となります。
3
第1章 計画策定の趣旨
(2)
障害者福祉制度改革の動向
他方,近年,国において障害者福祉の制度改革が進められ,現行計画の期間中において
も,様々な法律の制定,改正などが行われてきました。
平成 23 年 8 月
「障害者基本法」の改正
平成 24 年 4 月
「障害者自立支援法」「児童福祉法」の改正
(相談支援の強化,障害児支援の強化)
平成 24 年 10 月
「障害者虐待防止法」(※1)の施行
平成 25 年 4 月
「障害者自立支援法」の「障害者総合支援法」
(※2)へ
の改正(難病患者等の対象への追加,
「障害支援区分」の
創設,「重度訪問介護」の対象拡大など)
平成 25 年 4 月
「障害者優先調達推進法」(※3)の施行
平成 27 年 1 月
「難病法」(※4)の施行
平成 28 年 4 月
「障害者差別解消法」(※5)の成立
平成 30 年 4 月
「障害者総合支援法」「児童福祉法」の改正(予定)
調布市では,このような流れに対応しながら,改めて,調布市の実情や社会の変化等も
踏まえつつ,市民の誰もが「この調布で暮らして良かった」と実感できる地域づくりをめ
ざしています。
※1
正式名称:障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律
※2
正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
※3
正式名称:国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律
※4
正式名称:難病の患者に対する医療等に関する法律
※5
正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
4
第1章 計画策定の趣旨
2
(1)
計画の性格
計画の位置づけ
市町村にて定める障害者福祉に関する計画は,これまで以下の2つの計画がありました。
現行の「調布市障害者総合計画」はこの2つの計画を一体化して策定しています。
障害者計画
(障害者基本法)
障害福祉計画
(障害者総合支援法)
市の障害者のための施策全般に関する基本的な計画
(計画期間:6年)
市の障害福祉サービス,相談支援及び地域生活支援事業の
提供体制の確保に関する計画(計画期間:3年)
また,これらに加えて,平成 28 年 5 月に国会で障害者総合支援法・児童福祉法が改正
(平成 30 年 4 月施行予定)されたことにより,障害者総合支援法に基づく障害福祉サー
ビス等についての「障害福祉計画」と同様に,児童福祉法に基づく障害児通所支援等につ
いて,以下の計画も新たに市町村で定めることとなります。
障害児福祉計画
(児童福祉法)
※
市の障害児通所支援及び障害児相談支援の提供体制の確保
に関する計画(計画期間:3年)
調布市では,これまでも「障害児福祉計画」に相当する内容の一部を「障害福祉計
画」に含んで一体として策定しています。
次期「調布市障害者総合計画」は,これらの計画を一体として策定します。
5
第1章 計画策定の趣旨
(2)
計画の期間
計画の期間は,
「障害者計画」部分については,平成30年度から平成35年度までの6
年間,
「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」部分については,平成30年度から平成3
2年度までの3年間(※)とします。平成32年度末には,
「調布市障害者総合計画」の部
部分改訂として,「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」部分の改定を行う予定です。
30 年度
障害者計画(6年)
31 年度
32 年度
33 年度
34 年度
35 年度
次期
「調布市障害者総合計画」
障害福祉計画(3年)
障害児福祉計画(3年)
調布市障害者計画
第5期調布市障害福祉計画
調布市障害児福祉計画
第6期調布市障害福祉計画
第2期調布市障害児福祉計画
※「障害福祉計画」及び「障害児福祉計画」については,国が示す指針のもと,全国の都道府県及び区市
町村で計画期間を統一した期間で定めることとなっています。
6
第1章 計画策定の趣旨
(3)
他の計画との関係
次期「調布市障害者総合計画」は,以下の他の計画と整合性を図りながら検討を進めま
す。
○
調布市基本計画(平成 27 年度~平成 30 年度)
○
市の他の保健福祉関連計画及びその他計画
○
東京都障害者計画・東京都障害福祉計画
■ 調布市の他の計画との関係イメージ図
調布市基本構想
調布市基本計画
その他計画
保健福祉関連計画
東
京
都
障
害
者
計
画
・
障
害
福
祉
計
画
調
布
市
障
害
者
総
合
計
画
調
布
市
高
齢
者
総
合
計
画
調
布
市
地
域
福
祉
計
画
調
布
市
民
健
康
づ
く
り
プ
ラ
ン
連携
調
布
市
子
ど
も
・
子
育
て
支
援
事
業
計
画
調
布
っ
子
す
こ
や
か
プ
ラ
ン
連携
調
布
市
バ
リ
ア
フ
リ
ー
基
本
構
想
調
布
市
生
涯
学
習
振
興
プ
ラ
ン
調
布
市
教
育
プ
ラ
ン
そ
の
他
計
画
な
ど
連携
調布市福祉のまちづくり推進計画
連携・補完
調布市地域福祉活動計画
(調布市社会福祉協議会)
7
第1章 計画策定の趣旨
第2章 平成 28 年度の検討状況
1
調布市障害者総合計画策定委員会の設置
本計画の策定にあたり,学識経験者,障害福祉サービス事業者,当事者,市民公募委員
等で構成される「調布市障害者総合計画策定委員会」を設置しました。
平成 28 年度の検討においては,「地域における課題・ニーズの抽出」 をテーマとし,次期
計画策定へ向けての課題の洗い出しを中心に作業を進めました。
平成 28 年度中の検討委員会の開催状況は,以下のとおりです。
開催日時
(第1回委員会)
内容
・委員委嘱
平成 28 年 8 月 10 日(水) ・委員長・副委員長の選出
午後 6 時 30 分から
・次期「調布市障害者総合計画」について
午後 8 時 30 分まで
・検討スケジュールについて
・平成28年度調布市民福祉ニーズ調査について
(第2回委員会)
・平成28年度調布市民福祉ニーズ調査の実施について
平成 28 年 10 月 21 日
(金) ・
「調布市障害者総合計画」の進捗状況について
午後 6 時 30 分から
・関係機関ヒアリングの実施について
午後 8 時 30 分まで
(第3回委員会)
・調布市障害者地域自立支援協議会からの意見具申について
平成 29 年 1 月 27 日(金) ・平成28年度調布市民福祉ニーズ調査の結果について
午後 6 時 30 分から
・関係機関ヒアリング等の結果について
午後 8 時 30 分まで
・次期計画における重点課題について(意見交換)
(第4回委員会)
・中間報告書(案)について
平成 29 年 3 月 1 日(水)
・障害者総合支援法・児童福祉法の改正について
午後 6 時 30 分から
午後 8 時 30 分まで
8
第2章 平成 28 年度の検討状況
2
調布市障害者総合計画庁内連絡会の設置
計画策定委員会とは別途に,市の関係部署からなる「調布市障害者総合計画策定庁内連
絡会」を設置し,委員会での検討内容を補佐するとともに,市の関連計画との整合性の確
保を図りました。
また,現行計画に記載されている各事業について,庁内各課で進捗状況の点検・評価を
行い,結果を取りまとめました。
開催日時
(第1回連絡会)
内容
・
「調布市障害者総合計画」について
平成 28 年 9 月 30 日(水) ・次期計画の策定について
・関係機関ヒアリングについて
(第2回連絡会)
・計画の検討経過について
平成 29 年 1 月 13 日(金) ・計画記載事業に係る進捗状況点検・評価の結果について
・関係機関ヒアリング等の結果について
(第3回連絡会)
・中間報告書(案)について
平成 29 年 2 月 15 日(水) ・これまでの検討経過における意見等の整理について
9
第2章 平成 28 年度の検討状況
3
平成 28 年度調布市民福祉ニーズ調査の実施
調布市では,国や調布市の動向を踏まえ,アンケート調査,住民懇談会等により市民の
生活実態や地域の福祉に対する意識や意見,ニーズを把握し,次期の「調布市地域福祉計
画」,「調布市高齢者総合計画」,「調布市障害者総合計画」を改定する際の基礎資料とする
ことを目的とし,3年ごとに「調布市民福祉ニーズ調査」を実施しています。
平成 28 年度における調査の実施にあたり,「調布市障害者総合計画策定委員会」では,
主に「障害のある市民の地域生活に関する調査」の調査票の内容検討と,結果の報告・分
析を行いました。
(1)
①
調査の概要
アンケート調査
○ 調査方法
郵送配布―郵送回収(督促礼状1回送付)
○ 調査時期
平成 28 年 10 月 11 日(火)~10 月 27 日(木)
○ 調査の一覧
調査対象者
調査名
調査対象範囲
調査
人数
回収率
有効
有効
回収数
回収率
1
調布市民の福祉意識と
地域生活に関する調査
18 歳以上 64 歳以下の市民
2,000 人
731
36.6%
2
高齢者の生きがいと地
域生活に関する調査
65 歳以上の市民
2,000 人
1,339
67.0%
身体障害者手帳所持者(65 歳以上)
450 人
322
71.6%
身体障害者手帳所持者(65 歳未満)
450 人
236
52.4%
愛の手帳所持者
300 人
179
59.7%
精神障害者保健福祉手帳所持者
300 人
149
49.7%
難病患者
300 人
200
67.7%
上記手帳所持者及び難病患者(18
歳未満)を主にサポートしている方
(保護者等)
200 人
122
62.5%
6,000 人
3,281
54.7%
3
4
障害のある方の地域生
活に関する調査
(18 歳以上)
障害のある方の地域生
活に関する調査
(18 歳未満)
合
計
10
第2章 平成 28 年度の検討状況
②
住民懇談会
○ 参加対象者
調布市に在住,在勤,通学している中学生以上の方
(事前申込制,当日参加も受け入れ)
○ テーマ
「あなたが住んでいる地域のこれからを考えませんか?」
○ 実施手法
1地域ごとに6~7人で1グループをつくり,グループディスカッ
ション形式で実施した。意見や話合いはKJ法によりまとめ,最後に
グループごとに話し合いの結果を発表した。
(2)
○ 開催時期
平成 28 年 11 月 14 日(月)~12 月 11 日(日)
○ 開催地域
市内を東西南北の4地区に分けて開催
○ 参加者数
112 人
計8回
調査の結果
調査結果の詳細については,この中間報告書とは別途「平成 28 年度調布市民福祉ニー
ズ調査報告書」を作成します。
11
第2章 平成 28 年度の検討状況
4
関係機関ヒアリング等の実施
前述のニーズ調査に加え,障害のある方が地域生活において関わる様々な機関や企業等
の立場から感じている課題,ニーズを把握するために,計画策定委員会で実施先や内容を
検討し,関係機関へのヒアリング調査等を実施しました。
具体的には,関係機関へ直接聞き取りを行う「ヒアリング調査」,ヒアリングが実施でき
なかった分野等を補うための「アンケート調査」を行いました。あわせて,計画策定委員
会に参加している団体からの意見提出を受け付けました。
(1)
関係機関ヒアリング調査
○ 実施時期
平成 28 年 11 月~12 月
○ 実施箇所数
8か所
○ 実施方法
面接による直接聞取り
○ ヒアリング先
分野
教育
就労
ヒアリング先
スクールソーシャルワ
ーカー
医療機関(雇用主)
主なポイント・視点
・教育場面における障害児支援
・障害児の保護者等を含めた家族支援
・障害者福祉と教育の連携
・新たに障害者雇用を始める事業者にとっての課題
・障害者就労支援機関との連携
住まい
不動産事業者
・一般住宅における障害者の住まいの確保
災害時
自治会
・災害時の地域での障害者支援
交通
暮らし
バス事業者
商業施設
小児科医院(医師)
健康・医療
医療機関(精神科医師)
・障害のある利用者への対応状況
・スタッフ養成,研修等における課題
・障害のある利用者への対応状況
・スタッフ養成,研修等における課題
・障害のある子どもの一般医療機関受診における課題
・障害福祉サービスと医療の連携
・精神障害者の地域生活における医療面からの課題
・障害福祉サービスと医療の連携
12
第2章 平成 28 年度の検討状況
(2)
①
関係機関アンケート調査
地域包括支援センター
実施時期
平成 28 年 11 月 17 日~平成 28 年 12 月 9 日
送付先
市内地域包括支援センター10 か所
回答数
10 か所(回収率 100.0%)
【アンケートの主な視点】
○ 障害のある方へのサービス提供における課題
○ 障害福祉サービスから介護保険サービスへの移行の状況・課題
○ 障害福祉サービス事業者(主に作業所・相談支援事業所など)との連携
②
特別支援教室・通級指導学級
実施時期
送付先
平成 28 年 12 月 8 日~平成 28 年 12 月 22 日
市立小中学校のうち
特別支援教室・通級指導学級設置校
6校
(小学校5校,中学校1校)
回答数
4 校(回収率 66.7%)
【アンケートの主な視点】
○ 手帳の交付を受けていない児童生徒の支援
○ インクルーシブ教育への対応
○ 障害福祉サービス事業者(特に放課後等デイサービス事業者)との連携
③
訪問看護ステーション
実施時期
送付先
平成 28 年 11 月 28 日~平成 28 年 12 月 16 日
①
市内に所在する訪問看護ステーション
②
市外に所在する訪問看護ステーションで市内利用者に
ついて現在障害福祉課と連携があるステーション
計 22 か所
回答数
16 か所(回収率 72.7%)
【アンケートの主な視点】
○ 医療的ケアが必要な障害児・者の地域生活における課題
○ 障害福祉サービス事業者(相談支援事業所含む。)との連携
13
第2章 平成 28 年度の検討状況
④
日中活動系サービス事業所
実施時期
平成 28 年 11 月 30 日~平成 28 年 12 月 16 日
送付先
市内日中活動系サービス事業所 29 か所
回答数
24 か所(回収率 82.8%)
【アンケートの主な視点】
○ 利用者の高齢化への対応と課題
○ 介護保険サービス事業者との連携
⑤
放課後等デイサービス事業所
実施時期
平成 28 年 11 月 30 日~平成 28 年 12 月 16 日
送付先
市内放課後等デイサービス事業所 16 か所
回答数
8 か所(回収率 50.0%)
【アンケートの主な視点】
○ 手帳の交付を受けていない児童生徒の支援
○ 教育分野との連携
○ 児童館・学童クラブ・ユーフォ―との連携
(3)
各団体からの意見
以下の4団体から意見の提出がありました。
○ 調布市聴覚障害者協会
○ 調布精神障碍者家族会かささぎ会
○ 調布心身障害児・者親の会
○ 杜のハーモニー♪
14
第2章 平成 28 年度の検討状況
5
調布市障害者地域自立支援協議会からの意見具申
計画策定委員会とは別途に,調布市が設置し,障害のある人が暮らしやすい地域づくり
を目指し,地域における障害者への支援体制に関する課題について情報を共有し,実情に
応じた支援体制の整備について継続的に協議を行っている「調布市障害者地域自立支援協
議会」から,次期計画についての意見具申を受けました。
○
意見具申の骨格
1 重要課題(これまでワーキング等で議論されてきた課題)
① 相談支援体制の量的・質的充実が必要です。
② 重度知的障害者の利用できる地域資源の整備が必要です。
③ 発達障害者支援の充実が必要です。
④ 地域における障害理解の推進が必要です。
⑤ 障害者が高齢になっても住み続けられる支援が必要です。
⑥ 医療的ケアの必要な障害児・者の支援を計画的に進めることが必要です。
⑦ グループホームの充実が必要です。
2 その他の課題
以上のように,これまで様々な手法を用いて,
「地域における課題・ニーズ」に関する情
報を収集し,次期「調布市障害者総合計画」の検討を進めてきています。
15
第2章 平成 28 年度の検討状況
第3章 次期計画における課題の整理
現行の「調布市障害者総合計画」
(平成 24 年度~平成 29 年度)では,以下の施策の体
系において障害者施策を推進しています。
そこで,この中間報告書では,市民福祉ニーズ調査,関係機関ヒアリング,自立支援協
議会からの意見具申等,今年度の検討状況から見えてきた地域生活の課題を,これらの施
策分野に沿って整理します。
(現行計画における施策体系)
Ⅰ
障害のある方と家庭への地域生活の支援
どのライフステージの段階でも,「その人らしい自立」を支えていくことを明確
にします。そこで,
「乳幼児期・学齢期」
「成人期・高齢期」に分類して,各ライフ
ステージに対応した施策を展開します。また「本人」だけではなく「家庭」も支え
ていく視点をもちます。
(1)
相談支援体制の強化
(2) 健康づくりの推進
【乳幼児期・学齢期】
(3) 発達相談早期療育体制の強化
(4) 就学前の支援の充実
(5) 児童生徒への教育
(6) 地域生活(放課後等)の支援の充実
【成人期・高齢期】
(7) 住まいの整備
(8)
活動学習等の場の整備
(9)
働くことへの支援
(10) 高齢期の支援の充実
16
第3章 次期計画における課題の整理
(現行計画における施策体系)
Ⅱ
地域の環境づくり
一人ひとりの生活を支えるため,「生活のしづらさ」をもたらす大きな要因であ
る「社会的な障壁」の「除去」に着目します。
「地域の環境づくり」により,
「まち
が変わる,人と人とがふれあう」調布をつくっていきます。
(1)
情報提供体制の強化
(2)
移動手段の整備
(3)
安全安心のまちづくりの推進
(4)
理解と交流の推進
(5) 当事者の参画の推進
(6)
人材の育成地域ネットワークづくり
(7)
権利擁護苦情対応
(8)
計画の推進評価
(現行計画における施策体系)
Ⅲ
福祉サービス等の充実
上記のⅠ・Ⅱに関わる福祉サービスを展開します。
(これは,主に「障害福祉計画」部分に対応します。)
★次ページ以降の「今後の課題」にある表記について
【委員意見】 調布市障害者総合計画策定委員会内で委員から出された意見(8 ページ)
【事業進捗評価】 現行計画に記載されている各事業について,庁内各課で進捗状況の点検・評価を
行い,結果を取りまとめたもの(9 ページ)
【市民福祉ニーズ調査】 平成 28 年度市民福祉ニーズ調査(10 ページ)
【関係機関ヒアリング】 関係機関ヒアリング調査(12 ページ)
【関係機関アンケート】 関係機関アンケート調査(13 ページ)
【団体意見】 各団体からの意見(14 ページ)
【自立支援協議会意見具申】 調布市障害者地域自立支援協議会からの意見具申(15 ページ)
17
第3章 次期計画における課題の整理
1
(1)
障害のある方と家庭への地域生活の支援
相談支援体制の強化
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 障害のある方とその家庭の多様なニーズ,位置するライフステージ,取りまく
社会的環境等を踏まえ,一人ひとりの実態・ニーズに即した,相談支援の充実を
図ります。また,このような多様なニーズに対応するため,地域の関係機関の連
携体制を強化します。
○ 相談窓口の場所や開設時間,相談内容等を,市民全体に分かりやすく周知しま
す。
○ 地域における障害のある方の自立のため,一人ひとりのニーズに応じた情報提
供やサービス利用の援助・調整,必要な社会資源の開発等を行うケアマネジメン
ト体制を強化します。
○ ライフステージの移行時など,利用できるサービス等の仕組みが変わる際に,
利用者が円滑に適切なサービスを利用できるように,関係諸機関が連携し,フォ
ローします。
○ 障害のある方が地域で安心して暮らし続けられるように,緊急時のサポート体
制(相談窓口の設置,サービスの調整等)やアウトリーチ支援(訪問)を強化し
ます。
○ 当事者相談を充実し,障害のある方の主体的な生活の支援を行います。
○ 高次脳機能障害・発達障害等の新たな障害に関する相談支援体制の充実を図り
ます。
18
第3章 次期計画における課題の整理
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<総合的な相談支援体制の構築>
○
平成 24 年度より「基幹相談支援センター」と「障害者虐待防止センター」を障害福
祉課に設置し,専門員の人材育成やネットワーク構築に取り組んでいます。
○
各相談支援事業所の概要や支援内容についてイラストを用いてわかりやすくまとめた
リーフレットを作成し,市内公共施設,病院,作業所等に配布し,事業の普及,周知に
努めました。
<アウトリーチ(訪問)支援の展開>
○
あんしんネット(障害者を地域で支える体制モデル事業)において,障害理解や相談
の普及啓発,アウトリーチ支援,ネットワークの整備,緊急時のショートステイやヘル
パー派遣などを実施しました。
<身近な地域における相談支援の実施>
○
民生委員・児童委員のための研修で障害福祉課や支援機関の職員などが講師となり,
障害に関する知識を深めました。平成 28 年度には,各地区の民生委員向けに障害者差
別解消法の研修を行っています。(福祉総務課)
○
身体障害者・知的障害者相談員についても,資質向上や連携のための連絡会や研修を
実施しています。
<障害の特性に応じた専門相談の展開>
○
平成 25 年度より,こころの健康支援センターで,発達障害者相談支援事業「ぽぽむ」
を開始し,発達障害者を対象とした相談対応や個別支援を実施しています。
○
高次脳機能障害者の相談支援では,引き続き障害者地域活動支援センター「ドルチェ」
へ事業委託しながら,普及啓発に努めています。
19
第3章 次期計画における課題の整理
<地域移行への対応>
○
入所施設からの地域移行を図るため,平成 24~25 年度に知的障碍者施設の入所者を
対象としたアンケート調査,訪問ヒアリング調査を実施しました。現在入所されている
方の地域移行は課題が大きいという現状の把握とともに,今後障害者が「施設入所せず
に地域で暮らし続けることができる仕組みづくり」を進めるため,相談支援専門員の役
割やサービスを記載したリーフレットを作成しましした。
【今後の課題】
◆
相談支援体制の充実
一人ひとりのニーズに応じた,どのライフステージにも対応した切れ目ない相談支援
体制を構築することが引き続き課題です。各相談機関の人員体制の充実に加え,相談員
のスキルアップ,基幹相談支援センターの機能強化,アウトリーチによる支援,発達障
害・高次脳機能障害などの専門相談の充実などが今後も必要です。
また,夜間・休日等における相談支援体制の整備も課題です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・引きこもりがちの精神障害者(発達障害児・者含む。
)へのアプローチ【委員意見】
・こころの健康支援センターの相談利用者が増加し,初回面接につながるまで時間を要している。
【事
業進捗評価】
・発達障害者相談支援事業では,未受診や他の精神疾患からの診断変更等,自身の障害の特性を知る
ための支援も増加している。
【事業進捗評価】
・高次脳機能障害の相談支援では,相談窓口や対応できる機関が限られてしまう。【事業進捗評価】
・土日等休日にも相談できるところがほしい。【団体意見】
・うつ病などの二次障害や引きこもりを防ぐために,発達障害の早期発見,障害受容やサービス利用
支援のための相談窓口の拡充が必要【自立支援協議会意見具申】
20
第3章 次期計画における課題の整理
◆
高齢者福祉,保健・医療分野との連携強化
障害者の生活上の困難の多様化に応じ,一人ひとりのニーズに応じた支援を提供する
ためには,障害福祉分野だけでない多機関による連携が必要です。しかし,地域包括支
援センター,訪問看護ステーションへのアンケートでは,いずれも障害者福祉に関する
事業所との連携が不十分であるとの結果が出ています。
お互いに制度の理解,連携を深め,情報共有の場を設けるなど,制度と制度をつなぎ,
様々な支援をコーディネートする役割を担う機関が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・親が亡くなったあと,スムーズに支援者サービスにつながるようなしくみ【委員意見】
・制度と制度をつなぐしくみづくり求められる【関係機関ヒアリング】
・児童に関わる様々な支援をコーディネートする役割を担う機関が必要【関係機関ヒアリング】
・訪問看護ステーションと障害者福祉との情報共有の機会が少ない【関係機関アンケート】
◆
相談支援専門員の量的・質的確保
「サービス等利用計画」を作成する事業所が増えず,相談支援専門員が不足している
状況です。このため,いわゆる「セルフプラン」によるサービス利用者が半数近くを占
めています。
このため,相談支援専門員の質的・量的充実が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・知的障害の人は,家族がいなければセルフプランを作成,管理することが難しいので,早急に「ケ
アマネ」の役割を果たす専門相談員による利用計画の策定と丁寧なモニタリング,相談支援が必要。
【委員意見】
・相談支援専門員の量的・質的確保【自立支援協議会意見具申】
・市全体としての計画相談支援(モニタリング等)の効率的なシステムの検討【自立支援協議会意見
具申】
21
第3章 次期計画における課題の整理
(2)
健康づくりの推進
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ かかりつけ医等の普及促進を医師会等との連携のもとに進め,身近な場所での
健康管理と適切な医療の提供により,地域で安心して暮らせるための体制を充実
します。
○ 障害のある方の高齢化が進展している中で,生活習慣病やがん等の予防など,
健康診査等を通じて,障害のある方の健康維持に努めます。
○ 地域の医療機関と連携し,障害の要因となる疾病の予防や早期発見に努めると
ともに,障害の重度化や障害のある方の高齢化の中で,二次障害の予防に対応す
るなど,障害のある方の健康維持のための保健・医療サービスやリハビリテーシ
ョンの充実を図ります。
○ こころの健康を保つために,健康教育や啓発のための講座を行う等,メンタル
ヘルス対策を推進します。また,発達障害や高次脳機能障害に関する普及啓発を
行い,障害の早期発見や早期対応につなげます。
22
第3章 次期計画における課題の整理
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<地域における医療体制の整備>
○
休日や夜間の緊急医療等の地域医療体制の充実を図り,障害者歯科診療では,歯科保
健指導を行っています。(健康推進課)
○
調布市医師会が運営する「ちょうふ在宅医療相談室」では,在宅医療の相談,往診医
の紹介を行うとともに,年 6 回連携会議を開催し,介護・医療の連携に関する課題の抽
出と対応の検討を行っています。(高齢者支援室)
<健康づくり・予防>
○
生涯学習推進課による出前講座,健康推進課への依頼によって,保健師や栄養士・歯
科衛生士の出張による健康教育・相談を実施しています。(健康推進課)
○
健診・検診の受診喚起に努めました。また,おおむね 40 歳以上の療養上の保健指導
が必要な方または介護している家族を対象者に,看護師・保健師の訪問指導を実施して
います。(健康推進課)
○
こころの健康支援センターで,精神疾患の理解や障害者雇用をテーマに講演会やセミ
ナーを開催し,参加者は年々増加しています。
○
訪問入浴サービスでは,平成 27 年度より夏季(7 月~9 月)における入浴提供日数
の増加を図りました。
23
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
障害児・者を地域で支える医療体制の確保
障害や疾病に関する専門的な治療以外においても,地域において障害児・者が受診で
きる医療機関は限られている現状があります。障害のある方を地域で支えられる医療体
制の確保が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害者歯科診療では,治療後に受け入れ可能な一般歯科医院が少ない状況【事業進捗点検】
・各種検診において,障害によっては安全面から受け入れできる医療機関が限られている。【事業進
捗点検】
・
「調布市の医療をよりよくするために必要なこと」を問う質問では,
「地域の中で完結できる医療体
制」との回答が最も多い結果となった。
【市民福祉ニーズ調査】
・子どもの医療や福祉サービスのことで不安や課題は、「地域でかかれる医療機関が少ない」が多く
なっている。
【市民福祉ニーズ調査】
・身近な地域に,受診可能な小児科医,気軽に相談等できる拠点機能が求められる。【関係機関ヒア
リング】
・障害児・者が受診しやすい医療機関の確保【団体意見】
◆
知的障害者,精神障害者などへの健康管理への支援
障害のある方,とりわけ知的障害者,精神障害者においては,自身による日々の食生
活などの健康管理が困難な方も多く,生活習慣病等の予防は大きな課題です。高齢とな
っている障害者も増加している中で,いつまでも地域で生活し続けられるために,健康
管理のための支援が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害のある方の多くが「障害の重度化や病気の進行」に不安を抱える一方で,「生活習慣病などの
予防」も特に知的障害者,精神障害者では多く挙げられている。
【市民福祉ニーズ調査】
・本人の健康管理に対する支援,医療機関との連携充実が必要【関係機関ヒアリング】
・日中活動系サービス事業所において,本人の健康管理に対する支援.医療機関との連携充実が必要
である。
【関係機関アンケート】
24
第3章 次期計画における課題の整理
(3)
発達相談・早期療育体制の強化
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 年齢や発達段階に応じた健康診査と専門的な相談体制により,発達の遅れ等を
早期発見し,適切な治療や療育に結びつけることで,子どもの成長・発達を促し
ます。
○ 子ども発達センターの機能を強化し,センターと保育園・幼稚園等が連携しな
がら,早期発見・早期療育体制の強化を図ります。
○ 各機関における相談に際しては,保護者の不安や悩みの軽減に努め,専門職が
保護者と寄り添いつつ,保護者を支えていく視点を重視します。
○ 障害者自立支援法及び児童福祉法の改正による,新たな「障害児通所支援」等,
国の障害児支援の強化の方向性を踏まえつつ,市内の早期療育体制の充実・強化
を図ります。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<子どもの発達に関する相談支援体制の強化>
○
子ども発達センターでは,平成 24 年度から障害児相談支援事業,平成 26 年 1 月か
ら保育所等訪問支援事業を開始しています。子ども施設の増加に伴い,施設支援件数が
増えています。(子ども発達センター)
○
乳幼児健康診査を節目の時期に,集団健診や個別健診で実施しています。また,乳幼
児経過観察健康診査,発達健康診査,精密健康診査を実施し,必要時には各々の事業に
つないだり,保健師が家庭訪問を行っています。(健康推進課)
○
母子保健相談(こどもの相談室)の相談結果により,療育が必要と判断された児童に
ついては,保護者への動機づけを含め丁寧に子ども発達センターへつないでいます。
(健
康推進課)
25
第3章 次期計画における課題の整理
○
子ども家庭支援センターすこやかの相談コーナーでは,子どもの発達や子育て相談等,
相談内容に応じて心理相談員や看護師等の専門職が対応しています。また,平成 27 年
度から「子ども・子育て支援法」に基づく「利用者支援事業」を開始し,子育て情報の
提供とサービス利用までの支援を行っています。(子ども政策課)
<早期からの子育て支援体制の強化>
○
妊産婦・新生児訪問指導を行い,継続支援が必要な場合は地区の保健師に引き継いで
切れ目のない支援を行っています。(健康推進課)
○
乳児健診時に親子のメンタルケア相談を実施するとともに,母親学級・両親学級・わ
くわく育児教室を開催しています。参加希望者の増加から土曜日の両親学級を平成 26
年度から隔月から毎月開催に増加しました。聴覚障害者からの参加希望があった場合に
は,手話通訳者を手配して安心して講義を聴いてもらえるようにしています。
(健康推進
課)
○
乳幼児交流事業として,コロコロパンダ,にこにこパンダ,すくすくパンダの 0 歳~
1歳半対象別のクラスを設置して,障害の有無に関わらず参加が可能となっています。
他に,市内外問わず自由参加の「ベイビーおたのしみタイム」での遊び機会の提供や「も
うすぐママパパ教室」と連携し,産前の支援にも役立てています。(子ども政策課)
○
各児童館の子育てひろばでは,各種相談に専門相談員が対応し,その相談員を対象と
した事例研究会・研修を実施しています。平成 28 年 3 月から「ゲゲゲの町の助産師会」
所属の助産師による育児相談を始めました。また,平成 27 年度から試行的に乳幼児施
設連絡会を実施し,平成 28 年度は全児童館で実施予定です。(子ども政策課)
26
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
発達相談体制の充実
子ども発達センターでの相談のほか,乳幼児健康診査,子ども家庭支援センター「す
こやか」での子育て相談,乳幼児交流事業など様々な機会を活用し,子どもの発達につ
いて相談しやすい環境をつくり,必要に応じて療育につなげる体制を充実させる必要が
あります。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・子どもの発達について,より身近に相談できるようさらに広報活動に努める必要がある。【事業進
捗評価】
・6~7 か月児健診や9~10 か月児健診の個別健診で発育不良や何らかの発達の遅れが見られた場
合のフォロー体制について,医療機関との連携が課題【事業進捗評価】
・母子保健相談での相談希望者には,待機時間を持たずに案内できるようにすることが課題【事業進
捗評価】
・乳幼児交流事業では,自由参加のコロコロパンダから,抽選による定員制のにこにこパンダ,すく
すくパンダへ移行する際,抽選にもれる親子が多数いるため,対策の化党が必要【事業進捗評価】
・様々なサービスが提供されており,それらをわかりやすく紹介するビジュアル資料が必要【関係機
関ヒアリング】
◆
保護者への支援
子どもに発達の遅れや偏りがあった場合に,子どもの療育とともに保護者の支援も必
要です。子どもの障害受容のための支援や,保護者自身に障害や疾患がある場合など,
特定妊婦としての支援件数も増加しており,妊娠期から必要に応じて子ども家庭支援セ
ンター「すこやか」や児童相談所などの他機関と連携しながら保護者の支援を行ってい
くことが課題です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・母親に心療内科などの受診が必要な場合,タイムリーに受診につなげることが課題【事業進捗評価】
・障害のある子どもを持つ保護者へのサポートが必要になっている。
【関係機関ヒアリング】
・助産師,保健師に障害児の将来についての知識を【団体意見】
27
第3章 次期計画における課題の整理
(4)
就学前の支援の充実
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 子どもたち一人ひとりが,ひとしく家庭や地域でのびのびと遊び,学び,いき
いきと育つことができるように,必要に応じた療育体制を整備するとともに,子
育て家庭を支援します。
○ 子どもたちが通うそれぞれの場において適切な支援が行われるように,子ども
発達センターによる保育園・幼稚園等への巡回指導や相談支援を強化します。
○ 保護者が病気の時など,家庭における養育が一時的に困難になった場合に,子
どもを預かりケアする体制を強化します。
○ 就学に際しては,市の関係部局が連携して,情報共有を図り,就学に向けた相
談体制や支援をさらに充実します。また,個々の就学先については総合的に検討
し,必要に応じて相談を継続し,就学後についてもフォローを行います。
○ i-ファイルの市民への周知とその活用方法の充実・強化を図ります。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<早期療育・早期支援体制の整備>
○
子ども発達センター通園事業を,児童福祉法に基づく「児童発達支援事業」として実
施し,日々の療育の中で一人ひとりの状況に応じた支援を実施しました。
(子ども発達セ
ンター)
○
発達支援事業は利用人数が増加しているため,グループを増設しています。
(子ども発
達センター)
○
平成 27 年度における幼稚園での障害児受入れは,全 9 園 21 人,保育園では全 31
園で 737 人となっています。認証保育所での障害児受入れには補助制度がありますが,
平成 27 年度の実施園はありません。(保育課)
28
第3章 次期計画における課題の整理
<保護者の緊急時等の子育て支援の強化>
○
子ども発達センターで平成 24 年度より,小学生以下の障害児を対象とした日中預か
りを行う緊急一時養護事業とリフレッシュ支援事業を実施しています。
(子ども発達セン
ター)
○
子どもショートステイ事業,トワイライトステイ事業,すこやか保育事業では,受け
入れ時の「児童表」活用や関係機関への情報提供依頼による受け入れ判断や,検討会等
での情報共有により安全に預かる体制を整えています。(子ども政策課)
○
すこやか保育事業では,平成 25 年 4 月より定員を 2 人から同時 3 人 1 日最大 6 人
と拡大するとともに,利用料金を改正しています。(子ども政策課)
○
在宅障害者(児)委託型緊急一時保護事業では,平成 24 年度より障害児を対象とし
た宿泊保護を新たに開始しました(平成 28 年度は施設建替により制限中)。
<就学に備えた支援体制の充実>
○
特別支援学校や特別支援学級への就学相談のほか,平成 25 年度から通級指導の希望
も就学前から受けつけ,入学と同時に指導を受けられるようになりました。
(教育相談所)
○
平成 21 年 4 月から配布されているⅰ(アイ)-ファイルの活用推進のため,市報等
による周知や関係機関や保護者への周知,配布場所の拡充を実施しており,平成 27 年
度アンケートでは前回アンケートより周知・活用度があがったことがわかりました。
(子
ども発達センター)
【今後の課題】
◆
子ども発達センターの支援体制の充実
子ども発達センターでは,開所以来利用児童数が増加傾向にあり,職員のスキルアップ
や療育内容の充実等,更なる支援体制の充実が課題となっています。また,同センターで
行っている緊急一時養護事業,保育所等訪問支援事業については,今後も事業の広報に努
める必要があります。
29
第3章 次期計画における課題の整理
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・子ども発達センターが利用者増で飽和状態であることについて対策が必要【委員意見】
・発達支援事業では,利用児の増加に対応するため,事業の内容や実施方法を検討する必要がある。
【事業進捗評価】
・保育所等訪問支援いついて,今後も事業の広報活動等に努める必要がある。【事業進捗評価】
・子ども発達センターの土曜日開所【団体意見】
◆
一般子育て施策での障害児の受け入れ
保育園・幼稚園での障害児の受け入れや,子どもショートステイ,トワイライトステ
イ,すこやか保育,ファミリー・サポート・センター事業など子育て一般に関する施策・
事業における障害児の受け入れが求められており,職員の障害児に対する理解促進等に
よる対応力向上が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・職員の障害児に対する理解促進・対応力向上を通じて,障害児の受け入れ可能な範囲を拡大するこ
とが課題【事業進捗評価】
・ファミリー・サポート・センター事業では,職員も研修等への参加を通じて理解を深めることで,
障害児や,配慮が必要な子どもの保育・送迎等,様々なニーズを受けとめられるようにすることが
求められる。
【事業進捗評価】
・保育園・幼稚園・学校での不安や課題は、
「同級生や友人との人間関係」が最も多い。
【市民福祉ニ
ーズ調査】
◆
就学へのスムーズな移行
就学相談の件数は増加傾向にあり,就学支援シートやⅰ-ファイルの活用を通じた就学
支援体制の充実が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・就学支援の相談件数は今後も増加することが見込まれるため,早期の申込みにつながる広報活動を
継続して対応する。
【事業進捗課題】
・ⅰ-ファイルの認知,使用状況は,前回(25 年度)調査時より若干低下しており,更に広報活動等
に努める必要がある。
【市民福祉ニーズ調査】
30
第3章 次期計画における課題の整理
(5)
児童・生徒への教育
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 特別支援教育の充実を図るとともに,その推進に向けての行政のネットワーク
化を図ります。
○ 児童・生徒が,いきいきと学校生活を送ることができるよう個々のニーズに応
じた教育が受けられるよう,環境整備等を推進します。
○ 学校管理職や学級担任,特別支援教育コーディネーター,さらには,スクール
カウンセラーや専門家等とが連携を図り,保護者とともに,児童・生徒の個に応
じた教育の充実に向けた取組を推進します。
○ 不登校,いじめ,問題行動等の改善を図るため,市立学校におけるカウンセリ
ング等の充実を図るとともに,引き続き不登校児童・生徒に対し,メンタルフレ
ンドの派遣及び不登校生徒の学習支援を行います。
○ 在学時から,将来の自立に向けた支援を展開していくために,教育・福祉・雇
用等の関係機関の連携を強化します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<特別支援教育の推進>
○
平成 25 年度に「調布市特別支援教育全体計画」,平成 28 年度に「調布市特別支援教
育全体計画【改訂版】」を策定し,環境の整備や就学前からの支援,教員等の指導力向上,
一人ひとりの能力や可能性の伸長をめざしています。(指導室)
○
特別支援学級入級時の発達検査等の結果を踏まえ,個別の教育支援計画や個別指導計
画を作成して指導を行うとともに,医師,作業療法士,言語聴覚士等の専門家によるア
セスメントを行い,個別の計画に反映して指導の充実を図っています。(指導室)
31
第3章 次期計画における課題の整理
<教育相談の充実>
○
教育相談の充実のために,教育支援コーディネーターとスクールソーシャルワーカー
が関係機関と連携した組織的な相談・支援を行っています。特別な支援を必要とする児
童・生徒の保護者からの相談を含め,家庭の相談窓口となっています。
(教育相談所・指
導室)
○
小中学校全 28 校に都配置スクールカウンセラーと市配置スクールカウンセラーを置
き,カウンセリング活動を行っています。その環境づくりのため,小 5・中 1 の全員面
接を実施,保護者には教育相談の案内を作成して周知を図り,年 3 回のスクールカウン
セラー連絡会により情報交換や研修を実施しています。(指導室)
<不登校などの悩みを抱える児童・生徒への支援体制の充実>
○
不登校などの悩みを抱える児童・生徒への支援体制の充実のために,メンタルフレン
ド事業として,平成 27 年度は小学校 5 校,中学校 5 校にメンタルフレンドを派遣し,
毎週水曜日の午後にテラコヤスイッチを実施しています。(指導室)
○
小・中学校適応指導教室の「太陽の子」を設置し,体験活動により学ぶ意欲を高め,
スクールカウンセラーによる個に応じた学習を進めて,原籍校復帰をめざしています。
(指導室)
【今後の課題】
◆
特別支援教育の推進
障害者差別解消法を踏まえ,インクルーシブ教育や教育場面における合理的配慮を含め
た一人ひとりの児童の状況や保護者の希望に沿った特別支援教育の推進が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・インクルーシブ教育の推進が必要【委員意見】
・特別支援教育では個別指導計画を共有し,一層の連携を図るとともに,各特別支援学級における専
門家の活用の共有が課題【事業進捗評価】
・教員の障害理解の推進や,サービスなどの情報の継続的な周知が必要【関係機関アンケート】
32
第3章 次期計画における課題の整理
◆
教育相談体制の充実
就学期の児童生徒や保護者の相談窓口として,教育支援コーディネーター室やスクー
ルソーシャルワーカー,スクールカウンセラーなどが重要な役割を担っている一方で,
相談件数の増加しており対応が課題です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・教育相談所の来所相談では,相談件数が増加して新規相談開始の際,希望する曜日や時間の確保が
困難な場合がある。
【事業進捗評価】
・気軽に相談できる体制づくりとそのための体制強化が求められる。
【関係機関ヒアリング】
・教育相談所の土曜日開所【団体意見】
◆
障害者福祉(放課後等デイサービス事業所など)との連携
多くの児童が放課後等デイサービスなどの障害福祉サービスを利用する一方で,学校
と事業所での情報共有,連携などによる支援の充実が課題です。特に特別支援学校に比
べ,特別支援学級や普通学級に在籍(特別支援教室を利用)している児童について,情
報共有や連携が不足しています。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・教育センター,学校,放課後等デイサービスの連携等,縦横をつなぐしくみが必要【関係機関ヒア
リング】
・児童に関わる様々な支援をコーディネートする役割を担う機関が必要【関係機関ヒアリング】
・放課後等デイサービスと,教育機関(特に特別支援学級,普通学級に在籍している児童について)
との連携,情報共有の充実が必要【関係機関アンケート】
33
第3章 次期計画における課題の整理
(6)
放課後等(地域生活)の支援の充実
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 学童クラブの対象学年の延長を図り,保護者が就労等の理由により,日中,保
護者が家庭にいない障害のある子どもの適切な遊び場及び生活の場の提供体制を
充実します。
○ 障害者自立支援法及び児童福祉法の改正による,新たな「放課後等デイサービ
ス」等,国の障害児支援の強化の方向性を踏まえつつ,障害のある子どもの,放
課後等の居場所づくりを推進します。
○ 地域のスポーツ・文化団体等との連携により,障害のある子どもの多様な地域
活動の展開を図ります。
○ 学齢期の子どもと家庭の相談支援については,学校や教育相談所等の教育機関
と「子ども発達センター」
「子ども家庭支援センターすこやか」等の関係機関が連
携して対応を図る体制を強化します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<多様な放課後等の活動の展開>
○
学童クラブでは,平成 27 年度より対象児童が小学校 6 年生までと拡大されたことに
伴い,障害児の受け入れについても小学校 6 年生までと拡大しました。平成 27 年度(4
月 1 日時点)での障害児の在籍児童数は 32 人となっています。障害のある児童に対し
ては,職員による送迎による保護者の負担軽減を行いました。新たに設置する際には,
施設のバリアフリー化に配慮した整備工事を行っています。(児童青少年課)
○
障害児を対象とした障害児専用学童クラブの設置を進めています。(児童青少年課)
○
児童館や青少年ステーション(CAPS)では,身体に障害のある児童が来館した際には,
家庭や学校と連携をしながら障害に応じた対応を行っています。その他,児童館では,
職員を対象とした障害児対応の研修も行い,職員が必要なサポートを行えるようにして
34
第3章 次期計画における課題の整理
おり,CAPS でも知的障害や発達障害のある児童の利用も多いため,スタッフの研修の
実施のほか,相談員も配置しています。(児童青少年課)
○
平成 24 年度にユーフォー(放課後子ども教室事業)の全小学校での開設を達成しま
した。特別支援学級を含む全児童に放課後の安全な遊び場・居場所を提供しています。
平成 25 年度からは,都立特別支援学校小学部に在籍し,市立小学校に副籍を持つ交流
希望の児童を受け入れています。平成 27 年度には,全ユーフォ―を業務委託して,拡
充と利便性向上を図っています。(児童青少年課)
○
にこにこサッカークリニック(FC 東京スタッフによるサッカー教室)は,調布市在
住の知的障害児童・生徒及び調布特別支援学級,東京都特別支援学校に在学する児童・
生徒を対象としており,参加者の障害の程度や当日の参加状況を見てスタッフの付き添
い状況を変えるなど,きめ細やかな対応をすることで参加ニーズの高い事業となってい
ます。(社会教育課)
○
日中一時支援費支給事業では,平成 28 年度より事業所の登録要件を拡大し,新たに
日中活動系や放課後等デイサービス事業所においても通常の事業終了後に日中一時支援
を実施できることとし,児童の利用延長や障害者の夕方以降の活動,預かりに対応する
サービスの拡大を図りました。
○
障害福祉サービス等事業所開設費や運営費の補助により,通所施設等の充実を図り,
放課後等デイサービス事業所の数が増加しました。運営費補助は,対象事業所数の増加
に伴い,持続可能な制度とするため平成 28 年度から補助率の引き下げを実施しました。
○
三鷹市・府中市とともに複合型施設として整備を検討している調布基地跡地の施設に
おいて,重症心身障害児の活動場所やショートステイなどの機能を検討しています。
<学齢期の子どものいる家庭への子育て支援>
○
知的障害者援護施設「なごみ」で実施する在宅障害者ショートステイ事業により,障
害者及び保護者の福祉の増進を図っています。
35
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
学童クラブなどでの障害児の受け入れ体制整備
障害者手帳を持たない発達障害などのある児童,比較的障害が軽度である配慮を要す
る児童の増加に伴い,学童クラブやユーフォーなどを利用する障害児が増加しています。
現在設置へ向けて検討を進めている障害児専用学童クラブを含め,学童クラブ,ユーフ
ォー,CAPS など障害児に限らない放課後活動場所での受け入れが課題です。
また,発達障害児などは既存の放課後等デイサービス事業所での活動になじめない場
合もあり,児童にあった放課後の居場所づくりが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害児の学童クラブへの職員による送迎は登館時限定であるが,他の場面での送迎要望が出ている
ため,職員体制や安全面確保を含め検討中【事業進捗評価】
・児童館は,老朽化している施設が多く,バリアフリー設備への早急な改修が必要【事業進捗評価】
・青少年ステーションはエレベーターが狭く,車いすの利用者にはスタッフの補助が必要【事業進捗
評価】
・ユーフォ―事業は,特別支援学級児童に加え,発達障害児など「配慮の必要な児童」の利用が増加
傾向にあり,事前登録で当日利用可能なため,職員体制の見直しが必要となってきている【事業進
捗評価】
・障害者手帳を所持していない児童(発達障害児など)が,既存の放課後等デイサービスの活動にな
じめない場合がある。【関係機関アンケート】
◆
放課後等デイサービス事業所と学校の連携の充実
放課後等デイサービス事業所を利用す児童が増加している一方で,事業所と児童が在
籍する学校との連携の機会が少ない状況です。児童への支援の充実のために情報共有の
場や連携強化が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・放課後等デイサービスと,教育機関(特に特別支援学級,普通学級に在籍している児童について)
との連携,情報共有の充実が必要【関係機関アンケート】
・放課後等デイの事業所と特別支援学校との連携を促進【自立支援協議会意見具申】
36
第3章 次期計画における課題の整理
◆
肢体不自由児,重度重複障害児の放課後活動場所の整備
放課後等デイサービス事業所が増加傾向にありますが,車いすなどの肢体不自由児,
重度重複障害児,特に医療的ケアが必要な児童については受け入れ先が限られている現
状があり,今後の整備が課題です。また,放課後活動場所と同様にショートステイの受
け入れ先の確保も必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・肢体不自由児の受入れの場が少なく,高校生になると学校以外の活動の場が制限されるため,引き
続き,
「ぴっころ」の利用要望があり,環境整備を検討中【事業進捗評価】
・重度重複障害児・者や医療的ケアの必要な障害児・者を預かることができる事業所が不足している
【事業進捗評価】
・医療的ケアの必要な障害児・者の支援を計画的に進めることが必要(実態・ニーズ調査,通所施設・
訪問療育・レスパイト先,福祉・医療について一定の知識を有するコーディネーターの確保,地域
のネットワーク形成)
【自立支援協議会意見具申】
37
第3章 次期計画における課題の整理
(7)
住まいの整備
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 重度の身体障害と知的障害をあわせ持つ方の地域での生活の場を確保するため,
重症心身障害者に対応したケアホームの整備を図ります。
○ 障害のある方の生活の場を確保し,安定した生活を継続するため,グループホ
ーム・ケアホームの整備を図り,障害のある方の地域での生活をより充実します。
○ 自立した地域生活を体験するための体験型グループホームの仕組みを充実し,
その人が望む住まい方を早期から支援していける体制を図ります。
○ 一般住宅への入居にあたって支援が必要な障害のある方に,入居前から入居後
までをフォローし,障害のある方の地域における住まいの確保を図ります。あわ
せて病院や施設からの退院促進・地域生活移行を進めます。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<グループホーム・ケアホーム等の住まいの充実>
○
平成 26 年 5 月に,調布市社会福祉事業団により市内初の重度重複障害者対象のグル
ープホーム「みつばち」が開所し,市は運営補助を行っています。
○
障害者グループホームの開設・運営費補助により,市内の施設充実を図っています。
平成 24 年度以降,知的障害者グループホーム 7 か所が開所しています。
○
平成 25~26 年度に検討委員会等やアンケート調査,市民説明会等を実施して,平成
26 年度末に「住宅マスタープラン」を改訂しました。(住宅課)
○
市営住宅は,
「公共建築物維持保全計画」に基づく大規模改修により,平成 24 年度で
5 団地の修繕が完了,平成 26 年度からは「調布市市営住宅長寿命化計画」に基づく配
管更新等の工事を実施しています。(住宅課)
38
第3章 次期計画における課題の整理
<居住支援の強化>
○
知的障害者のグループホーム利用者の増加により,家賃助成事業の対象者も増加傾向
にあります。
○
平成 27 年 12 月より,新たに不動産関係 3 団体,居住支援団体 4 団体と市で構成す
る「調布市居住支援協議会」を設置し,居住支援に向けた検討を進めています。平成 28
年 7 月から,障害者を含めた住宅確保要配慮者のニーズを把握するとともに,民間賃貸
への円滑な入居支援相談窓口を設置するモデル事業を実施しました。(住宅課)
【今後の課題】
◆
グループホームの整備
障害者グループホームの設置数は増加していますが,依然として不足している状況で
す。また,グループホームの増加に対応できる人材や,グループホーム同士のネットワ
ーク構築も課題となっています。多様な障害のあり方に対応したグループホームの整備
も求められています。
一方で,グループホームの設置や地域での暮らしには近隣住民の障害理解が不可欠で
あり,あわせて差別解消や障害理解を促進する取り組みも必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・行く場のない若い高次脳機能障害者のグループホーム,入所施設等がほしい。
【委員意見】
・グループホームの地域での受け入れを拒否されるケースなど,地域の現状を押さえたうえでの計画
作成がのぞまれる。
【委員意見】
・グループホーム職員が不足しており,人材確保が課題【事業進捗評価】
・新規のグループホーム設置や移転に伴い,一部地域の理解に時間がかかる事例があり,説明会や住
民訪問で理解を深めてもらうよう努めることが必要【事業進捗評価】
・将来的にグループホーム等での生活を希望している知的障害者は 19.0%(保護者は 27.2%)
【市
民福祉ニーズ調査】
・今後特に充実させてほしい取組は,知的障害では「グループホームなど障害者の地域における住ま
いの整備」が多くなっている。
【市民福祉ニーズ調査】
・多様な対象者に対応できるグループホームの拡充【自立支援協議会意見具申】
・シェアハウス等,多様な住まい方の実現【自立支援協議会意見具申】
39
第3章 次期計画における課題の整理
・問題行動や介護度・支援程度が高い利用者に対応できる人材の育成等人員態勢の整備【自立支援協
議会意見具申】
・グループホームのバックアップ体制の充実・グループホーム間のネットワーク強化【自立支援協議
会意見具申】
◆
一般住宅への入居支援
グループホームだけでなく,障害者の住まいの選択の自由を確保するために,一般住
宅における障害者の住まいの確保のための取組も必要です。居住支援協議会での検討や,
不動産業者などへの障害理解の促進などによる入居支援が課題となっています。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害者がどこに住むか,という居住選択の自由が著しく制限されていはしないか。
【委員意見】
・行く場のない若い高次脳機能障害者のグループホーム,入所施設等がほしい。
【委員意見】
・成人後の暮らす場を増やすこと【委員意見】
・単身生活を送るための体験室【委員意見】
・住宅マスタープランの進捗状況を管理し,計画の実施状況や効果を検証,問題点を継続的に改善す
ることが必要【事業進捗評価】
・居住支援協議会での検討やモデル事業結果を通して,市の既存・新事業を活用するなど,住宅確保
要配慮者への効果的な入居支援を具体化することが必要【事業進捗評価】
・不動産業者が障害を理解することで,不動産業者から家主に説明ができ,家主が考える入居者要件
を低くすることができる。そういう不動産業者が地域に必要である。
【関係機関ヒアリング】
・ユニバーサルデザイン,バリアフリー対応の住宅(ストック)を増やしていくことが求められる。
【関係機関ヒアリング】
40
第3章 次期計画における課題の整理
(8)
活動・学習等の場の整備
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 障害のある方の豊かな生活を支えていくため,文化・創作・学習・スポーツ・
レジャー(余暇)等の地域におけるさまざまな活動の機会の確保・拡充に努めま
す。
○ 市内の体育施設や社会教育施設等のバリアフリー化を推進し,障害のある方の
多様な活動の機会の確保・拡充に努めます。
○ 障害者自立支援法にもとづく「日中活動の場」の整備にあたっては,その人に
合った活動の場が充実していくように,整備を図ります。
○ 障害の重い方のニーズに対応した日中活動の場の充実を図ります。
○ 「希望の家」については,民間施設では支援が困難な重度障害者の受入先とし
ての需要があり,早急な整備が必要であることから,老朽化した現施設の大規模
改修を実施し,今後も受入れ人数確保のため,運営委託先の支援等を行います。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<地域における多様な活動の支援>
○
地域における多様な活動を支援するために,第 68 回国民体育大会・第 13 回全国障
害者スポーツ大会を運営終了,今後は調布市体育協会や NPO 法人調和 SHC 倶楽部,
スポーツ推進委員と,誰もが気軽に参加できるイベント等の開催に向けて協働します。
(スポーツ推進課)
○
調布市総合体育館については,平成 28 年度中にエレベーターをバリアフリー化,中
庭へのスロープ改修等工事を実施します。ソフト面では,関連団体が実施する「障害の
ある方も・ない方も高齢者子どもも参加できる事業」等の開催に協力していきます。
(ス
ポーツ推進課)
41
第3章 次期計画における課題の整理
○
文化会館たづくりでは,音声ガイド付き上映の実施や,講演会での手話通訳者の配置
を実施しています。(文化振興課)
○
たづくり・グリーンホールの設備では,多機能トイレや目隠し用カーテン,温水洗浄
便座などを設置する改修を行いました。(文化振興課)
○
中学特別支援学級卒業生を対象とした「杉の木青年教室」事業により,ボウリングや
バスハイクなどを実施,ディスコパーティー企画では市民団体との協働で当日参加自由
で誰もが音楽とダンスを楽しめる催しとなっています。
○
図書館では,継続してハンディキャップサービスとして,音訳,点訳,大活字体本,
布絵本や遊具,DAISY,宅配サービスなどを実施するとともに,音訳者や点訳者,布絵
本製作者を養成しました。(図書館)
<日中活動系サービス等の充実>
○
平成 25~26 年度に「希望の家」の大規模改修工事によりバリアフリー化を実現しま
した。
○
平成 25 年 9 月に,調布市社会福祉協議会により「希望の家深大寺」が開設しました。
市では開設・運営費の補助を行っています。
○
平成 27 年度から,こころの健康支援センターのデイサービス事業の一部を障害者総
合支援法に基づく「自立訓練(生活訓練)」事業に移行しました。グループワークは個別
プログラムにより継続利用をめざし,新たに訪問支援も開始して生活スキル向上などの
個別課題への支援を実施しています。
○
障害福祉サービス等事業所開設費や運営費の補助により,通所施設等の充実を図り,
事業所の数が増加しました。運営費補助は,対象事業所数の増加に伴い,持続可能な制
度とするため平成 28 年度から補助率の引き下げを実施しました。
○
特別支援学校卒業生の受け入れ先等の確保のため,引き続き新たな施設整備も必要で
す。
42
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
日中活動場所の整備
「希望の家深大寺」の開所をはじめ,障害者の日中活動場所の整備は進んでいますが,
現在も市内に空き状況は少なく,今後の特別支援学校卒業生などへの対応のためにも継
続的に整備を検討することが必要です。
特に,民間事業所では受け入れが困難な重度知的障害者等の通所先の整備は,計画的
に進めていく必要があります。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・市内の「生活介護事業所」の充実【委員意見】
・こころの健康支援センターでのデイサービス事業は,契約者数と 1 日の平均利用者数が前年比率を
超えており,定員数の見直しが必要【事業進捗評価】
・保護者の「今後特に充実させてほしい取組」は,「成人後の通所施設(作業所)など日中の活動場
所の整備」が最も多くなっている。
【市民福祉ニーズ調査】
◆
医療的ケアの必要な障害者の日中活動場所の確保
現在,デイセンターまなびやでも医療的ケアが必要な障害者の一部を受け入れていま
すが,利用希望に十分対応できている状況ではなく,医療的ケアの必要な障害者の地域
生活のために,日中活動場所の確保が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・重度重複障害者が利用できるサービスが少ないので,利用増への対応が課題です。デイセンターま
なびやでの看護師対応の医療的ケアは,通所時間を超える利用時間の拡大を求める声が出ています。
【事業進捗評価】
・医療的ケアの必要な障害児・者の支援を計画的に進めることが必要(実態・ニーズ調査,通所施設・
訪問療育・レスパイト先,福祉・医療について一定の知識を有するコーディネーターの確保,地域
のネットワーク形成)
【自立支援協議会意見具申】
43
第3章 次期計画における課題の整理
◆
余暇活動の支援
地域生活の充実のために,日中の通所施設以外の平日夕方以降や休日などに,障害者
が余暇を楽しんで活動できる場所,機会の確保が必要です。
特に重度知的障害者は障害の重さや社会的障壁によって利用できない地域資源も多く,
平日の夕方や土日など外出したくてもできないという実態があります。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・個別の分野,ニーズに対応していくだけでなく,提供サービスの効率化を考えてもいいのでは。通
所施設の土日の建物活用など【委員意見】
・杉の木青年教室は事業継続の為,ボランティアスタッフの新規募集が必要【事業進捗評価】
・図書館のハンディキャップサービスは,必要な人になかなか必要な情報が行き届いていない状況で,
機器の発達で利用者への多様なサービスの可能性が広がるとともに情報収集や職員の技術習得や
協力者の育成が追い付かないことが課題【事業進捗評価】
・仕事や障害者施設での活動以外での余暇活動について,「機会はあるが十分ではない」,「機会はな
いが,ほしいと思う」答えた方の合計が最も多かった選択肢は,「スポーツ活動・運動など体を動
かすこと」がいずれの障害種別でも多くなっている。【市民福祉ニーズ調査】
・調布市スポーツ施設団体使用へのハードルを低くし,障害者団体が,スポーツ施設団体を使用した
スポーツ企画(1 年に 1~2 回程度の頻度)が気軽に実施できるようにしてほしい(団体登録、日
程など)
【団体意見】
・重度の知的障害のある人を対象とした余暇活動や運動に関する企画の事業化【自立支援協議会意見
具申】
・就労している障害者への余暇活動支援の充実【自立支援協議会意見具申】
・送迎があり,作業所の帰り等に気軽に寄り,過ごすことができる場所の設置【自立支援協議会意見
具申】
・図書館等の公共施設において,障害のある人が使いやすいような環境整備,合理的配慮を提供でき
る体制づくり【自立支援協議会意見具申】
44
第3章 次期計画における課題の整理
(9)
働くことへの支援
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ ハローワーク,企業,特別支援学校等とのネットワークの強化を図り,市内の
2か所の障害者就労支援センターを拠点に,その人に応じた就労の相談,斡旋,
実習,定着等の援助を行ない就労の活性化を図ります。
○ 調布市福祉作業所等連絡会と協力し,地元商店会等地域密着の団体や民間企業
とのさまざまな連携を図り,新しい事業の創出や組織力強化とともに,利用者の
勤労意欲の向上,工賃水準の引き上げ実現を図ります。
○ 市役所や市関連機関において,障害者雇用を推進します。また,市の業務を活
用した職業訓練機能の強化を図ります。
○ 市内の企業や特別支援学校等と連携し,障害のある方の職場開拓,雇用創出を
図ります。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<働く場の充実>
○
障害者等雇用事業では,障害福祉課,子ども発達センター,産業振興センター,ちょ
うふの里,社会福祉協議会等の職場にて福祉雇用を行い,一般就労への支援をしていま
す。
○
「ちょうふだぞう」,「すまいる分室」の移転に向けて,地域説明会や設計協議を重ね
ました。平成 28 年度に移転先建物の建築を行いました。
○
平成 24 年度創設の「障害者雇用促進助成制度」は申請がなく,平成 26 年度から「障
害者就労体験事業奨励金制度」へ改正し,平成 27 年度 1 件の実績がありました。(産
業振興課)
○
障害福祉サービス等事業所開設費や運営費の補助により,通所施設等の充実を図り,
45
第3章 次期計画における課題の整理
事業所の数が増加しました。運営費補助は,対象事業所数の増加に伴い,持続可能な制
度とするため平成 28 年度から補助率の引き下げを実施しました。
○
調布市福祉作業所等連絡会のネットワーク事業に補助を行い,平成 24 年 11 月から
刊行の作業所情報誌「わくわーく」,作業所等連絡会のホームページ,市役所での展示販
売会により周知と魅力発信に努めています。また,府中市・多摩市の作業所と,合同販
売会「ほっとハート」での連携した取組を実施しています。
○
平成 25 年 4 月の「障害者優先調達推進法」の施行に伴い,平成 25 年度から毎年度,
「調布市障害者就労施設等からの物品等の調達方針」を策定し,策定時及び予算編成時
に全庁に向けて周知をしています。また,同方針に基づき,ホームページにおいて実績
件数及び金額を公表しています。平成 27,28 年度には,庁内で調達実績のない部署を
対象に,調布市福祉作業所等連絡会とともに作業所において受注可能な業務や作業所製
品の案内を行いました。市民向けには,作業所製品のPRのため,市役所2階総合案内
前のスペースを確保し,作業所製品の展示販売会を定期的に実施しています。
<就労に向けた相談等の実施>
○
就労に向けた相談事業として,2 か所の就労支援センター及び関係機関と連携強化し
ながら,就労や生活面の支援を実施し,ニーズの高い就労後の定着支援についても企業
向けセミナー等を開催しました。
○
若者向け相談事業として行っていたものを,平成 25 年 7 月から地域若者サポートス
テーション事業として,ちょうふ若者サポートステーション(サポステ)を市民プラザ
あくろす内に開設しました。厚労省委託事業として NPO 法人育て上げネットが実施し
ており,市ではサポステにあくろす内施設を無償提供しています。(産業振興課)
○
更生訓練費等給付事業は,対象の施設体系の移行による利用者数の減少と,財源とな
る国の補助金対象から外れたため,平成 26 年度末で事業を廃止しました。
46
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
特別支援学校卒業生などの通所先の確保
障害者の日中活動場所の整備は進んでいますが,現在も市内に空き状況は少なく,今
後の特別支援学校卒業生などへの対応のためにも継続的に整備を検討する必があります。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・市内の事業所の定員が厳しくなる中,特別支援学校からの受け入れ態勢の確保【委員意見】
◆
工賃向上への取組み
障害者優先調達推進法の施行以降,作業所経営ネットワークの取組みなどにより受注
機会は拡大していますが,障害者の経済的自立のために,就労継続支援B型事業所など
の障害者就労施設等で働く障害者の更なる工賃向上への取組みが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・作業所利用者の工賃向上に向けて,官公需のほか,民間企業からの受注機会の拡大を図る必要があ
り,そのためにも各作業所間の連携を強化し,より一層共同受注の体制を整えることが必要【事業
進捗評価】
◆
一般就労支援・定着支援
企業での一般就労を除く障害者は多く,より多くの障害者が一般就労に移行できるよ
うになるための支援が必要です。そのためには,障害者への支援だけでなく,雇用する
側の企業への支援の充実も不可欠です。
また,就職時だけでなく,仕事を続けていくための定着支援の充実も必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・すべての障害種別において就職が広がってほしい。【委員意見】
・民間の会社と障害者をうまくつなぐ仕組み【委員意見】
・障害者雇用促進助成金制度はリニューアルして奨励金となり,制度利用の効率化を図っているが,
利用実績が伸び悩んでいる。【事業進捗評価】
47
第3章 次期計画における課題の整理
・サポステでは 15~39 歳の無業者(就学・就労のどちらにもついていない者)が対象であるが,
そこから漏れる人にどう対応していくかが課題【事業進捗評価】
・障害者施設での就労を含め,
「仕事をしていない」と回答した人は,身体(64 歳以下)で 4 割,
精神障害,難病では 5 割を超える。
【市民福祉ニーズ調査】
・
「仕事をしていたが現在はしていない」と回答した人が,精神障害,難病(42.5%)で 4 割を超え
ている。
【市民福祉ニーズ調査】
・
「今後したい仕事」については,
「正規社員」が身体障害(64 歳以下)
,精神障害では最も多く,知
的障害では「障害者施設」
,難病では「非正規社員」が多い。
【市民福祉ニーズ調査】
・子どもの将来の就労についての保護者の意向は,
「会社やお店などで働く(一般就労)
」が最も多く,
「地域の障害者施設(作業所など)で働く」が続いている。
【市民福祉ニーズ調査】
・障害者の就労を支援する機関の役割は大きく,企業への周知を図るとともに,支援機関の機能強化
を図る必要がある。特に,最初の採用時には,きめ細かな支援が求められる。【関係機関ヒアリン
グ】
・就学から就労への移行期の一定期間継続した支援が,定着のためにも重要【関係機関ヒアリング】
48
第3章 次期計画における課題の整理
(10)
高齢期の支援の充実
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ ライフステージの移行時など,利用できるサービス等の仕組みが変わる際に,
利用者が円滑に適切なサービスを利用できるように,関係諸機関が連携し,フォ
ローを行います。
○ 高齢化が進展している中で,障害のある方やその家族も同様に高齢化している
実態があります。そのような中で,障害のある方が地域で安心して暮らし続けら
れるように,緊急時のサポート体制を整備するとともに,グループホームやケア
ホーム等の居住の場の拡充を図ります。
○ 高齢者に関する総合相談支援業務を行っている地域包括支援センターや市内の
介護保険サービス事業所等と連携し,高齢の障害のある方への支援スキルの向上
を図り,高齢の障害のある方の地域生活を支えます。
○ 障害のある方が高齢となっても,その人に合った日中活動の場が提供できるよ
うに,整備を推進します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<高齢の障害のある方やその家族への相談支援の展開>
○
障害福祉サービスを利用していた方が介護保険制度へ移行する際に,地域包括支援セ
ンターへの情報提供等を相談支援専門員が実施し,認定調査や認定後のサービス移行に
関する事がらについて,不安なくスムーズに移行できるよう支援しています。要介護認
定となり,介護保険ケアマネジャーとの連携においても同様に取り組んでいます。
○
地域包括支援センター連絡会への障害福祉課の参加や,地域包括支援センターやケア
マネジャーとの継続した連携を行い,総合的な支援を実施しています。
○
地域包括支援センターは,平成 24 年度 1 か所増設で 10 か所となり,平成 27 年度
の介護保険法改正により,職員を加配し,相談支援体制を強化しています。
(高齢者支援
49
第3章 次期計画における課題の整理
室)
○
高齢者福祉相談では,高齢者人口増加に伴う相談件数増加と内容の複雑化に対応して
います。(高齢者支援室)
<高齢の障害のある方の日中活動への支援>
○
平成 24 年度に,主に 50 歳以上の精神障害者を対象とした新設の日中活動事業所に
対し,開設費,運営費の補助による支援を行っています。また,平成 27 年 4 月に同事
業所の施設が拡張した分の運営費補助も行っています。
【今後の課題】
◆
高齢者福祉(介護保険サービス等)との連携強化
障害福祉サービスの利用者が 65 歳到達等により介護保険サービスの対象となった場
合,ホームヘルプなどの一部のサービスについては介護保険サービスに移行する必要が
あり,異なる制度間でスムーズにサービスを移行できる体制づくり,また,両制度の異
なる部分について補い,利用者の生活への影響を最小限に止めるための体制づくりが必
要です。
また,介護保険サービスと障害福祉サービスを併用する利用者に対して適切な支援を
提供するための両制度間の連携体制が不十分であり,今後の連携強化が課題です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・介護保険対象となった場合(65 歳になったとき,40 歳以上で介護保険対象の状態となったとき)
の障害福祉サービスと介護保険サービスの差をうめていく方策の検討【委員意見】
・65 歳で障害福祉サービスから介護保険に移行することで,一部サービス内容が異なりトラブルと
なる事例あり,介護保険で行えない部分について事前に説明(案内)し,また必要に応じて障害福
祉サービス等で補える体制が必要【事業進捗評価】
・65 歳になり障害福祉サービスから介護保険サービスへ移行する際の連携体制が不十分【関係機関
アンケート】
・ケアマネジャーや相談支援専門員を中心とした,高齢者福祉(介護保険)と障害者福祉の連携充実
が必要【関係機関アンケート】
・障害者福祉の支援者が,高齢者福祉(介護保険)や健康,医療についての知識を深めたり,関係機
関と情報共有を行う機会が必要【関係機関アンケート】
50
第3章 次期計画における課題の整理
・介護保険サービスへの移行をスムーズに行うため,地域包括支援センターと相談支援事業所の連携
を強化【自立支援協議会意見具申】
◆
障害者が高齢になっても地域に住み続けられる支援
障害者が高齢になっても,地域でその人らしく,社会と関わり生きがいを持って暮ら
し続けられることが必要です。そのために,介護保険サービスだけでなく,高齢になっ
た障害に応じた支援を受けられる住む場所や日中活動場所の整備,確保が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・高齢期の支援の充実【委員意見】
・聴覚障害者の高齢化問題【委員意見】
・高齢になった知的障害者の住む場所,日中活動の場所についての検討【委員意見】
・障害者の高齢化も進んでおり,サービスを利用し続けられるよう介護保険制度を充実してほしい。
【関係機関ヒアリング】
・送迎を充実させる等,高齢化した障害者が安心して通える作業所の拡充【自立支援協議会意見具申】
◆
介護者の高齢化への対応を含めた,家族単位でのケアマネジメント体制
障害者本人の高齢化だけでなく,家族の高齢化も大きな課題です。障害者にとっては
家族が主な介護者となっている場合も多く,家族が高齢化により本人の介護ができなく
なっても,安心して生活し続けられるように,また,障害者本人が希望する家族と生活
し続けられるように,高齢者福祉と連携した家族単位での支援体制の構築が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・知的障害者,精神障害者の主な介護者は「親」が最も多く,介護者の平均年齢は 60 歳を超えてい
る。
【市民福祉ニーズ調査】
・主な介護者の不安は,身体障害,知的障害,難病では「介護者の高齢化」が最も多い。【市民福祉
ニーズ調査】
・本人だけでなく,介護者の高齢化への支援も必要【関係機関アンケート】
・同居家族の高齢化も踏まえた,家族単位でのケアマネジメントを考えられる体制整備【自立支援協
議会意見具申】
51
第3章 次期計画における課題の整理
2
(1)
地域の環境づくり
情報提供体制の強化
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 「音声コード」の普及を図り,行事等に,必要に応じて手話通訳や要約筆記を
配置する等,障害の特性に対応した情報バリアフリー化を推進します。あわせて,
手話通訳・要約筆記のほかにもコミュニケーション支援の充実に向けての検討を
行い,実施環境を整備,推進します。
○ 障害のある方からの意見等にもとづき,障害のある方の生活に有益な市内外の
さまざまな情報を,障害のある方に的確に提供できる仕組みを整備します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<情報バリアフリー化への対応>
○
市役所内で平成 26 年度に音声コード導入研修を実施し,希望する課へ音声対応アプ
リをインストールしました。
「24 時間テレビ」からの寄付で 19 部署に音声コード対応
携帯電話セット等を配布しました。
○
市配布の印刷物では,音声コードの印刷に努めています。
○
聴覚障害者等コミュニケーション支援事業では,引き続き東京手話通訳等派遣センタ
ーへの委託とあわせて,調布市社会福祉協議会への補助金により聴覚障害者への手話通
訳等派遣を行っています。
○
市のホームページ運用では,音声読み上げやウェブアクセシビリティ支援ツールを掲
載するとともに,障害の有無に関わらず誰もが必要な市政情報を得られるよう,ウェブ
アクセシビリティガイドラインに基づいたコンテンツの作成,修正を行っています。
(広
報課)
52
第3章 次期計画における課題の整理
○
障害者差別解消法の職員向け研修では,ウェブアクセシビリティに関する「みんなの
公共サイト運用ガイドライン」の説明を行い,市公式ホームページ以外での取組みを進
めるよう情報提供しました。(広報課)
○
視覚障害者等向けに市報内容を紙媒体以外で提供することに努め,ケーブルテレビや
コミュニティ FM を活用して聴覚障害者等にも適切に情報が届くよう努めています。
(広
報課)
<多様な情報の提供体制の整備>
○
平成 29 年度には駅前広場の整備状況を踏まえて,バリアフリーハンドブックを作成
する予定です。
○
平成 27 年 4 月に,市内で子育てに関する活動を行う民間団体が子育てに関する情報
に特化したサイト「調布子育て応援サイト コサイト」を開設し,多くの情報を発信して
います。市は,この団体に対しサイトの創設費及び管理運営費を助成しています。
(子ど
も政策課)
○
生涯学習情報システム(さがす見つかるシステム)のレスポンシブ対応(スマートフ
ォン等端末での表示対応)やウェブアクセシビリティ改善のため,機能修正を行いまし
た。より使いやすいサイトをめざし,地域情報も一括検索できる「ちょうふ地域コミュ
ニティサイト」へのリニューアルを予定しています(平成 29 年 4 月稼働予定)。
(生涯
学習交流推進課)
【今後の課題】
◆
障害に応じた多様な情報提供,コミュニケーション支援
障害の有無に関わらず必要な情報に誰もがアクセスできるよう,音声,文字情報,手話,
色合い,ルビや内容の平易化によるわかりやすさなど,情報バリアフリーを推進し,多様
な形態での情報提供体制を確保していく必要があります。
また,情報技術の進化に対応し,従前の提供方法の見直しや,新しい技術の活用の検討
も必要です。
53
第3章 次期計画における課題の整理
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・ICT の活用も含めたコミュニケーション支援【委員意見】
・声の広報は,カセットテープ再生機器が自宅にないので利用できないという意見が出ているので,
カセット以外の媒体で録音できるよう機材の更新が必要【事業進捗評価】
・コミュニケーションボード等の意思伝達ツールの利用機会の増加と普及【自立支援協議会意見具申】
◆
必要な人に必要な情報を届ける体制の整備
情報発信の内容を充実させる一方で,必要な情報が発信できているかだけでなく,それ
が必要な人に届いているかということにも留意する必要があります。
相談窓口や福祉サービスがあっても,その情報が届かないために利用できずにいる人が
いないようにするために,多様な媒体を活用して情報発信に努めることが必要です。また,
障害のある当事者や家族だけでなく,市民全体へ向けて,また,障害のある方の地域生活
に関わる様々な関係機関,障害福祉分野以外のサービス商業施設,交通事業者などへ向け
ての情報発信も必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・医療機関の掲示板を活用した情報提供【委員意見】
・ニーズ調査をみると,精神障害者はほかの種別と比べると困り感がちょっと違っていたり,情報が
届いていなかったりする。
【委員意見】
・
「コサイト」管理運営費は市からの助成が平成 27 年度から 3 年度間となっており,平成 30 年度
からは,運営を行う民間団体が広告収入などを得て自立した運営をしていく必要がある【事業進捗
評価】
・障害者福祉の制度,窓口などについて,よくわからないと感じている事業所が多い。【関係機関ア
ンケート】
54
第3章 次期計画における課題の整理
(2)
移動手段の整備
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 移動支援や同行援護等の障害のある方の移動に関わる人材の育成等,福祉サー
ビスを充実し,障害のある方の社会参加の促進,生活の質の向上を図ります。
○ 交通事業者と連携し,障害のある方が利用しやすい公共交通の整備を推進しま
す。
○ 高齢者や障害のある方などの移動制約者にも利用しやすいよう,移動目的や地
形特性を考慮して,既存路線のバス停の増設(徒歩圏内へのバス停設置)を検討
します。
○ 移動が困難な障害のある方の生活の手段として,現在実施されている福祉タク
シー事業の継続のほか,各種施策の連携による利用環境の充実について検討しま
す。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<移動支援等のサービスの充実>
○
障害児・者の外出支援のため,引き続き移動支援費支給事業を実施し,支給決定を行
いました。
○
ガイドヘルパーの養成講座は,平成 27 年度より「調布市福祉人材育成センター」で
の事業に統合しました。
○
自家用車による外出のため,自動車運転教習費,自動車改造費,自動車ガソリン費の
助成を引き続き実施しました。
55
第3章 次期計画における課題の整理
<公共交通機関の利用や福祉タクシー等の充実>
○
引き続き福祉タクシー券の交付,公共機関の利用が困難な人を対象とした車いす福祉
タクシーの確保を行っています。
○
ミニバス 3 路線について,段階的にノンステップ車両に入れ替えています。(交通対
策課)
○
多摩地域福祉有償運送運営協議会の登録更新時に,監査・指導を,協議会への更新を
3 年に 1 度実施しています。また,有償運送事業に関する講習会等により,情報提供を
行いました。(福祉総務課)
【今後の課題】
◆
ガイドヘルパーの育成
視覚障害,知的障害などにより単身で外出することが困難な方のためのガイドヘルパ
ーが不足しており,ヘルパー養成によるサービス提供体制の充実が課題です。特に重度
知的障害者の外出支援を行う行動援護の事業所,ヘルパーが不足しています。
また,ガイドヘルパーの利用目的について条件緩和の要望があります。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・同行援護事業所の増加による視覚障害者の社会参加の促進【委員意見】
・移動支援の人をふやしてほしい。
【委員意見】
・移動支援費支給事業は利用者増により,サービスを提供する事業所やヘルパー数が不足しているた
め,従事者の育成が課題です。また,利用可能な外出目的を拡大してほしいという要望が出ていま
す。
【事業進捗評価】
・移動支援の要件緩和(通学,通所,行動援護,入浴施設の利用など)
【団体意見】
・行動援護のヘルパーが不足しているため,ヘルパーの育成,行動援護事業所を増やす取り組み【自
立支援協議会意見具申】
・学校送迎,施設送迎について,ヘルパー利用に関する条件緩和【自立支援協議会意見具申】
56
第3章 次期計画における課題の整理
◆
公共交通機関を利用しやすい環境の整備
電車,バス,タクシーなどの公共交通機関を利用しやすくするため,利用料金の助成
や設備のバリアフリー化とともに,事業者や周囲の一般市民の障害理解の促進も必要で
す。そのために,ヘルプカードやヘルプマークの普及啓発が求められます。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・福祉タクシー券制度は,他自治体では交付要件に所得制限を設けている例もあり,公平性における
「経済状況を踏まえた段階的な交付水準の設定」について検討の余地がある【事業進捗評価】
・車いす福祉タクシーは,台数不足が指摘される医療機関等の緊急救急車両の代替としても需要が生
じている。
【事業進捗評価】
・多摩地域福祉有償運送運営協議会は,収益事業ではないため,新規団体登録が少なく,現団体の高
齢化が課題【事業進捗評価】
・公共交通機関として,障害者の利用のしやすさを追求する取組を継続することが求められる。【関
係機関ヒアリング】
・障害者手帳交付時などに行う障害者への説明に,バス利用を円滑に進めるために必要な事項を追加
してほしい。
【関係機関ヒアリング】
・社会で障害者を受け入れる風土を醸成していくことが重要【関係機関ヒアリング】
・ヘルプマークは認知しているが,ヘルプカードは知らなかった。【関係機関ヒアリング】
57
第3章 次期計画における課題の整理
(3)
安全・安心のまちづくりの推進
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 障害のある方の視点も取り入れたまちづくりを推進し,誰もが住みやすいと感
じ,安心・安全な地域環境を創設していく中で,市民同士の交流を活性化します。
○ 「調布市バリアフリー基本構想」にもとづき,「どこでも,だれでも,自由に,
使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方にもとづいた,誰もが利用し
やすい環境整備を進めます。また,重点整備地区は,連続立体交差事業にあわせ
て重点的かつ一体的なバリアフリーを推進する「調布駅・布田駅・国領駅周辺地
区」と,バリアフリー法にもとづく市民提案を受けた「飛田給駅周辺地区」の2
地区とします。
○ 「調布市地域防災計画」の災害時要援護者対策にもとづき,災害発生時におけ
る災害時要援護者の避難誘導や安否の確認等を,地域のさまざまな組織や団体と
協力して実施するとともに,避難などの際に,特に人的支援を要する災害時要援
護者に対しては,一人ひとりの避難支援方法等に関する「個別支援プラン」を作
成します。
○ 災害発生時をはじめ,災害が発生するおそれがある場合には,文字や音声等多
様な手段を講じて必要な情報を迅速に伝達します。特に災害時要援護者への情報
伝達は,自治会や地区協議会,防災市民組織,関係機関・団体のネットワークを
活用するなど,迅速・確実に情報伝達する体制を整備します。
○ ひとりぐらし高齢者や重度の障害のある方等が家庭内で事故や病気に陥ったと
きのために,発信機を用いた緊急通報システムの貸与や,地域の協力体制を構築
する等,障害のある方が地域社会で安全かつ安心して生活を営むことができるよ
うにします。
58
第3章 次期計画における課題の整理
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<誰もが交流できるユニバーサルデザインのまちづくり>
○
平成 26 年度に市職員対象にカラーバリアフリー研修を実施しました。また,小学生
を対象に福祉のまちづくりで,ハード・ソフト両面のバリアフリーについての出前講座
を交通対策課とともに実施しました。(福祉総務課)
○
布田駅,国領駅の駅前広場の整備においては,それぞれの駅をよく利用される視覚障
害者の方と意見交換を重ねながら,視覚障害用誘導ブロックの配置を決定しました。
(街
づくり事業課)
○
調布駅周辺の恒久的駐輪場確保のため,平成 27 年度に地下駐輪場を都市計画に定め,
平成 28 年 4 月事業認可を取得しています。(交通対策課)
○
平成 24 年 3 月策定の「調布市公共サイン整備方針」に基づき,飛田給駅周辺地区の
公共サイン整備計画を策定し,整備しました。(交通対策課)
○
「調布市バリアフリー基本構想」に基づき,平成 24 年度末に「調布市バリアフリー
特定事業計画」を策定,対象別のバリアフリーパンフレット作製し啓発を行いました。
平成 25 年度以降は,各特定事業者が特定事業計画に従ってバリアフリー整備を推進し
ています。(交通対策課)
<災害時の対応の強化>
○
災害時の対応を強化するために,災害時要援護者避難支援プランを策定し,平成 25
年度は講演会,平成 26 年度はシンポジウム等を実施しました。(福祉総務課)
○
災害時に安全に避難することが困難な方を支援していただくために,平成 27 年 3 月
に「障害のある方への支援ガイド」,平成 28 年 3 月に「高齢者や乳幼児等への支援ガ
イド」を作成しました。(福祉総務課)
○
「調布市地域防災計画」については,東日本大震災後の国や都の計画修正で平成 25
年 9 月に修正,平成 25 年 6 月の災害基本法改正で平成 27 年 4 月に修正を行ってい
ます。(総合防災安全課)
59
第3章 次期計画における課題の整理
○
洪水ハザードマップは平成 28 年 3 月に修正,防災マップは平成 27 年 11 月に修正
し,平成 28 年 3 月に全戸配布を実施しました。さらに,洪水ハザードマップは平成
29 年度に更新する方向で検討を行っています。(総合防災安全課)
○
アレルギー対応粉ミルクやお粥,とろみ剤など,要配慮者のための食料の備蓄を進め
ました。また,食物アレルギーの誤食防止や,手話通訳ができる方に着用してもらうビ
ブスなど,要配慮者の方々を想定した物資の備蓄を進めました。(総合防災安全課)
○
障害者グループホームが消防法の要件を満たすために設置する防災対策設備の費用に
ついて,平成 28 年度より補助金を交付することとしました。
<緊急時等への対応の強化>
○
平成 24 年度より,障害者を対象に救急医療情報キットの配布を開始しています。当
初の配布では,調布市福祉作業所等連絡会と協働し,個別訪問による対応も実施しまし
た。
○
見守りネットワークの推進のため,市内 10 か所すべての地域包括支援センターに担
当者を配置し,地域への事業 PR を実施しするとともに,通報により速やかに相談支援
を行いました。(高齢者支援室)
60
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
バリアフリーのまちづくりの推進
駅前広場の整備により駅周辺のバリアフリー化は進んでいますが,今後も街全体や交
通バリアフリーの推進のため,各事業者と協力しつつ,当事者の声も取り入れながらバ
リアフリー化を進めることが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・駅前広場の工事中の迂回路対策(視覚障害者誘導用ブロックの配置等)が必要【事業進捗評価】
・交通バリアフリーの推進は,特定事業者からの完了を受けても,利用者から使い勝手が悪い,利便
性が低いといった不満が出るケースがあり,進行管理の中で,両者の折り合いをつけることが難し
いケースがある【事業進捗評価】
・バリアフリー化の状況では,
「障害者用の駐車場」,「歩道や道路」,「補助犬同伴の入室」などの整
備が求められている。
【市民福祉ニーズ調査】
◆
地域の組織を活用した災害時の障害者支援
「災害時要援護者避難支援プラン」の推進し,自治会などの地域組織との連携を進め,
災害時における障害者への支援体制を全市で確保する必要があります。あわせて,避難
所における障害者の支援体制の整備も必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・災害時における障害者への救護体制が不足している。
【委員意見】
・災害時要援護者避難支援プランでは,支援する組織が足りない中で,どのように支援者を確保して
いくのかが課題【事業進捗評価】
・障害福祉課で整備している「災害時要援護者台帳」は,福祉総務課の地域防災計画に基づく台帳と
似ているため統合できるかが課題【事業進捗評価】
・避難所へ行くまでに必要な支援は,身体障害,精神障害,難病では,「災害の詳しい情報や避難指
示などを知らせてくれること」が最も多かったが,知的障害では,「避難所までの案内,誘導や移
動の支援」の方が上回っている。【市民福祉ニーズ調査】
・避難所で必要な支援は,身体障害,精神障害,難病で「医療や医薬品の確保」が最も多かったほか,
「個室,間仕切り(パーテーション)などでの対応が可能であること」が全体で多くなっている。
【市民福祉ニーズ調査】
61
第3章 次期計画における課題の整理
・災害時に障害者をサポートする取り組みを全市で展開していくことが求められる。【関係機関ヒア
リング】
・先進的な取組を行っている自治会が,いざというときに周辺自治体への支援を行うことも考えられ
ることから,その負担を軽減するためにも,各自治会の底上げを図っていく必要がある。【関係機
関ヒアリング】
◆
緊急時の相談支援体制の整備
家族と生活している障害者,単身で生活する障害者などの世帯の状況に関わらず,地
域で安心して生活ができるよう,介護者の急病や本人の体調不良,その他夜間・休日な
どにも対応できる相談支援体制,緊急時のショートステイなどのサービス提供体制の拡
充,整備が必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・火災安全・緊急通報システムでは,通報ボタンを押すことが困難な重度障害者のために,個別に対
応できる緊急通報システムの開発が課題【事業進捗評価】
・地域包括支援センターは見守りの通報先であり,障害制度の相談先とはなっていないので,通報を
受け相談・対応を一体的に行える体制が必要【事業進捗評価】
・土日等休日にも相談できるところがほしい。【団体意見】
・地域定着支援の拡充【自立支援協議会意見具申】
62
第3章 次期計画における課題の整理
(4)
理解と交流の推進
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 障害を「特別」なものと捉えるのではなく,
「同じ調布に暮らしている隣近所の
人」,という意識を市民に広げます。
○ 年齢,性別,健康状態,障害の有無,価値観等,多様な市民がともに同じまち
に暮らしているのだ,ということを市民全体が共有し実感していける社会の構築
をめざします。
○ 障害のある方から地域社会に発信していく機会を拡充することで,障害のある
方の社会参加を促進し,人々とのふれあい・交流の中で,地域の障害理解を促進
します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<市民同士の交流機会の充実>
○
市民同士の交流機会を充実するために,
「希望の家」の会議室貸出,援護施設地域交流
室の一部開放や施設行事の住民参加を配慮して交流の活発化に努めました。
<障害についての理解の推進>
○
福祉まつりや障害者疑似体験事業を通じて障害についての理解の推進に取り組みまし
た。障害者疑似体験事業では,毎年,市役所職員研修として出前講座を実施しているほ
か,市内小学校 20 校のうち 15 校から依頼を受けて講座を開催しています。小学 4 年
生の国語の授業で,バリアフリーについての単元があり,国語の授業の一環で依頼を受
けることが多くなっています。(調布市社会福祉協議会)
○
「障害者差別解消法」の施行に伴い,平成 27 年度に全庁職員を対象とした研修会を
行いました。平成 28 年度も全体研修のほか,新任職員研修,窓口対応職員研修を実施
しています。また,平成 28 年 4 月 1 日付で市職員の対応要領を策定しました。
63
第3章 次期計画における課題の整理
○
「障害者差別解消法」の施行について,ホームページや市報で周知し,平成 27 年度
に調布市障害者地域自立支援協議会で障害者差別解消法をテーマとした講演会を行うほ
か,要望があった団体に出前講座を行いました。
○
障害福祉課を差別解消に関する主な相談窓口と位置づけ,相談を受けつけています。
○
差別解消のための体制整備について協議する「障害者差別解消支援地域協議会」を平
成 29 年度に設置予定です。
【今後の課題】
◆
障害者差別解消法の普及啓発
「障害者差別解消法」が平成 28 年 4 月に施行されましたが,障害者だけでなく,市
民全体における認知度まだまだ低い状況です。今後も様々な機会を通じて,
「合理的配慮」
の内容や,相談窓口の周知,相談体制の整備など,継続して普及啓発への取組みを進め
ることが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害者差別解消法・・・合理的配慮について,ハード面,ソフト面も含めて【委員意見】
・差別の解消へ向けて,今後さまざまな相談が寄せられ,ひとつの機関だけでは対応できないことも
多いと思われるので,関係機関のネットワークを形成し,事例の収集・共有を行う等して適切に対
応できる体制を整備していくことが必要【事業進捗評価】
・障害者差別解消法の認知度については,児童以外ではいずれも「全く知らない」が多い。また,
「不
当差別的取扱を受けた経験」は,精神障害が最も多く,次いで児童,知的障害となっている。【福
祉ニーズ調査】
・障害者差別解消法の民間事業者への周知がまだ十分ではなく、その徹底が求められる。【関係機関
ヒアリング】
64
第3章 次期計画における課題の整理
◆
市民全体への障害理解の促進
差別の解消に限らず,障害に対する理解を,障害のある当事者や家族だけでなく,い
かに市民全体に広げていけるか,また,その担い手を確保,育成していくことが大きな
課題です。
特に,知的障害,精神障害,発達障害,高次脳機能障害など,外見ではわかりにくい
障害への理解について,「ヘルプカード」「ヘルプマーク」の活用もあわせて取組みを深
めることが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・地域生活支援事業,精神保健福祉に関する普及啓発【委員意見】
・福祉の啓発,障害理解をより多くの方に広めるための集客手段が必要【事業進捗評価】
・社会で障害者を受け入れる風土を醸成していくことが重要である。
【関係機関ヒアリング】
・知的,発達,精神障害の理解啓発【団体意見】
・市のユルキャラを使った障害理解のための情報発信【団体意見】
・発達障害についての普及啓発の拡充【自立支援協議会意見具申】
・障害理解に関する体験プログラムを実施する機会の確保。普段福祉にあまり関心がない方への普及
啓発。知的障害,精神障害等,外見ではわかりにくい障害の理解に関するプログラムの検討【自立
支援協議会意見具申】
・障害理解に関する体験プログラムを継続的に提供する担い手(スタッフや当事者)の確保,養成【自
立支援協議会意見具申】
65
第3章 次期計画における課題の整理
(5)
当事者の参画の推進
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 市の各種施策に関する委員会等への当事者の参画を進めることで,地域におけ
る障害のある方の生活の向上のために,当事者と行政が,協働しながら市政を推
進していく体制を構築します。
○ 当事者の活動や地域の活動団体を支援し,当事者相互の情報交換や諸課題の解
決に向けた当事者の主体的な取組を活性化します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<市政への参画の推進>
○
平成 24 年度からの「地域福祉計画」を策定し,トータルケアの推進(地域福祉コデ
ィネーター事業)と地域一帯の災害対策の推進(災害時要援護者避難支援プラン)を重
点取組として,地域福祉推進会議にて進捗管理と推進を行いました。平成 27 年度末,
地域福祉推進会議規則の改正を行い,障害当事者の意見が計画に反映できるように,障
害者団体から必ず 2 人の委員が参加するようになっています。(福祉総務課)
○
障害者地域自立支援協議会では,全体会をはじめさまざまな会議や講演会を開催して,
地域課題を抽出し「障害福祉計画」への意見具申を行っています。平成 29 年度には,
「障害者差別解消法」に基づく「障害者差別解消地域支援協議会」の機能を付加する予
定です。
○
次世代育成支援協議会では「調布市子ども条例」理念の実現のため,
「調布っ子すこや
かプラン(調布市次世代育成支援行動計画)」を策定(平成 26 年度までの計画期間)し,
進行管理を行い,障害福祉課や子ども発達センターが実施する障害児関連の事業実績も
確認しました。(子ども政策課)
○
子ども・子育て会議では,国の指針に基づき,新しい「調布っ子すこやかプラン(調
布市子ども・子育て支援事業計画)」
(平成 27~31 年度)を策定しました。この計画の
中で,障害のある子ども等への事業を明記するとともに,
「調布市障害者総合計画」に位
66
第3章 次期計画における課題の整理
置つけてある障害児支援と連携を図ります。(子ども政策課)
○
バリアフリー推進協議会では,バリアフリー特定事業計画の進捗状況を確認し,委員
の意見を事業者にフィードバックしています。(交通対策課)
<当事者活動への支援>
○
調布市社会福祉協議会が各福祉団体への運営費等の助成金を交付する「福祉団体等支
援事業」では,検討を進めた結果,個別団体への助成を廃止する結論となり,その後,
個別の団体については,助成金の案内を積極的に進めています。
(調布市社会福祉協議会)
○
「こころの健康支援センター」では,当事者も参加するサロンを1か所から2か所に
拡充し,発達障害者当事者茶話会の支援や,精神障害者,発達障害者の当事者講師活動
の支援や各種委員会への当事者の派遣を行いました。
○
「ちょうふだぞう」では,障害者が自由に過ごせるオープンスペースを運営し,ティ
ールームにて「おしゃべりの会」
「音楽の会」等の自主グループ活動を行っています。利
用者の要望に応じて「カメラの会」
「のりものの会」等の自主グループ活動を企画し,側
面的にサポートしています。
○ 「地域活動支援センタードルチェ」では, ドルチェサロンを運営し,企画運営は障害
のある当事者協力員 7 人が行っています。また,中途視覚,中途失難聴者高次脳機能障
害者に特化したサロンも運営し,それぞれの障害特有の悩みや情報交換の場として活用
されています。
67
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
市政への参画・協働の推進
障害のある当事者,家族が,市が設置する委員会等への参加,パブリック・コメント
など様々な機会を通じて市政に参画できる体制の充実が必要です。その際には,参加す
る当事者に対してわかりやすく,かつ,当事者の意見,ニーズをしっかりと反映させな
がら進めることが重要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・現行の「地域福祉計画」は,調布市基本計画で設定する中圏域の 10 地域を基本として地域別計画
を策定しており,今後は,地域別計画の推進や「市民にとってわかりやすい地域とは何か」を考え
て,福祉施策推進のための福祉圏域の設定が課題【事業進捗評価】
・自立支援協議会は,全体会やサービスのあり方検討会の機能強化が課題です。また,地域課題の抽
出方法やワーキングテーマの決め方が不透明であること,ワーキング内容が障害種別ごとに分かれ
てしまっていることが課題【事業進捗評価】
◆
当事者活動の場所,機会の確保
障害のある当事者や家族が,事業者からサービスの提供を受けるだけでなく,自らが
主体となってサロンを運営して当事者や家族同士のネットワークを深めたり,生活の楽
しみを広げたりする活動の充実が必要です。
そのためには,運営面からの支援,場所の確保など設備面からの支援の双方が求めら
れています。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・一部の当事者サロンでは,参加者の高齢化や固定化が課題となっており,新たな方に参加してもら
えるような活動内容の工夫と広報が必要です。
【事業進捗評価】
・親の相談相手 【市民福祉ニーズ調査】
・調布市スポーツ施設団体使用へのハードルを低くし,障害者団体が,スポーツ施設団体を使用した
スポーツ企画(1 年に 1~2 回程度の頻度)が気軽に実施できるようにしてほしい(団体登録、日
程など)
【団体意見】
68
第3章 次期計画における課題の整理
(6)
人材の育成・地域ネットワークづくり
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ ホームヘルパーや手話通訳者等の人材の養成・確保を,社会福祉協議会等の市
の関係団体や民間事業者と連携・協力しながら推進します。
○ 学校教員の研修については,管理職,特別支援学級の担任,通常の学級の担任
と,職責に応じた研修を今後より一層充実します。
○ 調布市障害者地域自立支援協議会を中心に,市内の障害者支援に関わる諸機関
のネットワーク強化を図ります。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<専門人材の育成>
○
専門人材の育成のために,平成 27 年度より,調布市社会福祉協議会が設置する「調
布市福祉人材育成センター」に補助を行い,福祉人材養成のための研修や相談会,普及
啓発,ネットワーク形成等を図っています。あわせて,従来の障害者ホームヘルパー養
成研修は,調布市福祉人材育成センターへ移行しました。
○
精神保健に関する困難な事例に対応するため,精神保健福祉士と精神科医の個別相談
や関係機関の連絡会などでスーパーバイザーを招聘しています。
○
教職員研修を推進するために,校長・副校長対象の研修を実施,特別支援教育の校内
体制の充実を図っています。また,若手教員の初任,2 年次,3 年次に実地研修を含め
た研修を実施しています。(指導室)
<ボランティア活動等市民活動の活性化>
○
誰もが参加しやすい市民参加や協働の仕組みづくりのため,
「調布市自治の理念と市政
運営に関する基本条例」(平成 25 年 4 月施行),「調布市パブリック・コメント手続き
条例」(平成 26 年 12 月施行),「審議会等の会議の公開に関する条例」(平成 28 年 4
69
第3章 次期計画における課題の整理
月施行)を制定しました。(政策企画課)
○
多様な市民参加を得るための工夫として,手話通訳者の同席,専門的な知識を持った
委員と市民委員の理解に差が生じないよう,わかりやすい用語の使用,車いす利用者が
利用できる会場の選定など,必要に応じた配慮を行っています。(政策企画課)
○
市内 20 の小学校区,全地区での地区協議会設立に向けた支援を実施しています(平
成 27 年度:15 か所)。また,大地震等の有事に備え,地区協議会が実施する防災訓練
への障害を持つ方が参加する機会が持てるよう,地域と障害者団体との橋渡しを試みて
います。(協働推進課)
○
すべての地域福祉センターに音声案内装置を設置し,改修時にはバリアフリー化等に
努め,
「ふれあいの家」では大規模改修時にだれでもトイレなどのバリアフリー化に努め
ています。(協働推進課)
○
市内 6 か所にボランティアコーナーを設置,専任のボランティアコーディネーターを
配置し,より身近な地域での相談に対応しています。特別支援学校等への通学支援をボ
ランティアで行ったり,市内各学校への出前講座で障害特性の理解と支援のあり方の学
習機会の提供を行っています。(福祉総務課)
<地域のネットワークの整備と強化>
○
調布市地域精神保健福祉ネットワーク連絡会を開催しており,参加団体は平成 26 年
度からヘルパー事業所も加わり,32 団体となっています。
○
平成 24 年度から,自立支援協議会部会にて,相談支援専門員連絡会(サービスのあ
り方検討会)を設置し,連携を図っています。
70
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
福祉人材の育成
障害児・者の地域生活支援のためのホームヘルパー,通所施設,グループホーム,相
談支援など多様なサービスを充実させていくためには,施設などハード面の整備だけで
なく,調布市福祉人材育成センターの機能充実をはじめ,実際に支援を担う人材をいか
に確保,育成していくことが重要です。
特に,地域からの新たな人材の掘り起し,重度知的障害,発達障害,高次脳機能障害
などへの専門性の向上が課題です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・いかに福祉をになう人材を育成・確保するのかは引き続きの課題【委員意見】
・各部署の保健師や専門職の拡充【委員意見】
・障害福祉人材に市独自の報酬加算を【委員意見】
・福祉人材育成センターでは,地域の人材確保や育成が課題であり,広報の仕方や開催時期,募集定
員,受講料,ネットワークの構築等を検討することが必要【事業進捗評価】
・児童の年齢に応じた適切な相談等のサービスが提供できるよう、マネジメントする機関や人材育成
が求められる。そのための窓口の設置も重要である。【関係機関ヒアリング】
・重度知的障害者が通所する事業所の専門性の向上【自立支援協議会意見具申】
・障害者施設への OT,PT,ST などの専門職による巡回相談・指導の事業化【自立支援協議会意見
具申】
・障害理解に関する体験プログラムを継続的に提供する担い手(スタッフや当事者)の確保,養成【自
立支援協議会意見具申】
・障害特性や発達段階に応じた支援ができる人材育成プログラムの充実【自立支援協議会意見具申】
◆
ボランティアなど多様な担い手の育成
専門人材としての福祉人材の育成だけでなく,ボランティアなど多様な担い手による
支援もあわせて活用を検討することが必要です。また,そのためには,市民全体に障害
理解を広げていくことも必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・ボランティアコーナーは,地域による設置・未設置の格差があり,週 3 日開所コーナー(緑ヶ丘・
71
第3章 次期計画における課題の整理
菊野台・富士見)の週 5 日開所への要望が出ています。
【事業進捗評価】
・ボランティアを含め,支援者の人材不足の解消【自立支援協議会意見具申】
◆
障害者福祉と高齢,保健・医療,教育などとの連携,ネットワークの強化
障害児・者が抱える多方面における課題,生活のしづらさや,それらを家族への支援
も含め包括的に支援が提供される体制を構築するためには,障害者福祉だけでなく,高
齢者福祉,保健・医療,教育などの多機関間の連携,ネットワークが不可欠です。
そのために,障害者福祉の支援機関が他制度への理解を深めること,他分野へ向けて
の障害者福祉からの情報発信,お互いの情報交換の場などを更に充実させることが必要
です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・介護保険のホームヘルパーに、障害のヘルパーの考え方とか仕組とかを、伝えるような仕組み【委
員意見】
・訪問看護ステーションと障害者福祉との情報共有の機会が少ない【関係機関アンケート】
・介護保険事業者との間で,障害者福祉の制度についての勉強会や,関係機関同士の情報交換の場が
必要である。
【関係機関アンケート】
・障害者福祉の支援者が,高齢者福祉(介護保険)や健康,医療についての知識を深めたり,関係機
関と情報共有を行う機会が必要である。
【関係機関アンケート】
・介護保険関係者への高次脳機能障害理解と啓発【団体意見】
72
第3章 次期計画における課題の整理
(7)
権利擁護・苦情対応
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 判断能力が不十分な方や生活に不安がある方が安心して生活を送るための支援
としての「成年後見制度」や「地域福祉権利擁護事業」についての市民への普及
啓発を強化します。
○ 障害者虐待防止法の施行(平成 24 年 10 月 1 日)に備え,障害のある方への
虐待の禁止,虐待の予防・早期発見など虐待防止等に関する市の対応措置等につ
いての整備を講じます。
○ 施設第三者委員についての普及啓発を図るとともに,東京都の福祉サービス第
三者評価についても各施設の受審を積極的に支援する等,福祉サービスの質の向
上を図ります。
○ 今後新たに展開が予定されている「基幹相談支援センター(地域における相談
支援の中核的な役割を担う機関)」を中心に,ワンストップの相談窓口機能や権利
擁護・虐待防止等の体制を強化します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<権利擁護体制の強化>
○
平成 24 年 4 月から「成年後見制度利用支援事業」が地域生活支援事業の必須となり,
ニーズの高まりに伴い,事業の拡大を図っています。
○
多摩南部成年後見センターの運営では,成年後見制度利用促進に関する法律と国・都
の動向を注視しながら進めています。(福祉総務課)
○
地域福祉権利擁護事業では,手帳の有無に関わらず,知的,精神,視覚,聴覚,高次
脳機能障害の方々に対応しています。必要に応じて,契約書等にふりがなをつけたり,
文字を拡大するなどし,利用者が理解しやすいようにしています。
(調布市社会福祉協議
会)
73
第3章 次期計画における課題の整理
<虐待防止への対応>
○
平成 24 年 10 月の「障害者虐待防止法」の施行に伴い,障害福祉課内に障害者虐待
防止センターを設置し,虐待に関する相談や通報に適宜対応するとともに,市民への障
害理解に関する講演会を開催して普及啓発を行い,障害者施設に対しては,研修会など
によって知識と理解を深めました。
○
「子ども家庭支援センターすこやか」での児童虐待防止センター事業においては,保
護者や児童に障害や精神疾患等の疑いがある場合は,受診を促したり,子ども発達セン
ターの療育事業を案内するなどの対応をしています。(子ども政策課)
○
高齢者の虐待防止のため,地域包括支援センターの職員が初期の情報収集やアセスメ
ントを適切に行えるよう,研修会を開催し,さらに,福祉関係機関に対し,センター職
員が虐待対応の研修を開催しています。(高齢者支援室)
<苦情対応等サービスの質の向上>
○
オンブズマン事業として,市民の声を受けつけ,調査を実施して,必要に応じて市政
改善への意見表明等を行いました。(市民相談課)
○
障害福祉サービス事業所に対し,第三者評価制度を実施した場合には補助金を交付し
て,第三者評価の推進を図っています。
○
平成 29 年度以降,一部障害福祉サービス事業所の指導検査権限について,都からの
移譲が検討されています。このため,平成 26 年度から調布市と東京都で合同検査を実
施して,職員の経験やノウハウの蓄積を図っています。
74
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
虐待防止・相談体制の充実
平成 24 年 10 月の「障害者虐待防止法」の施行以降,調布市では障害福祉課に「障
害者虐待防止センター」を設置し,通報や相談の受け付けを行っています。相談内容の
複雑化への対応や,家族全体を支える視点から,児童,高齢者など他分野の虐待防止体
制と連携した取組みが必要となっています。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・多摩南部成年後見センターでは,虐待案件など,相談内容によって関係機関との緊密な協力体制の
構築が必要【事業進捗評価】
・児童虐待防止センターでの受理件数は増加傾向で,虐待予防に向けた取組と事業の充実が求められ
ている。
【事業進捗評価】
・高齢虐待では,多問題家族が増加し関係機関の連携が重要となっていますが,法令により対応が異
なる点があるため,他法の対応についての知識も必要となっている。
【事業進捗評価】
◆
サービスの質の向上
サービス提供事業所の増加の一方で,提供されるサービスの質の充実も求められてい
ます。苦情受付体制,オンブズマン,第三者評価,人材育成など様々な手法を活用しな
がら,サービスの量的拡大だけでなく,その質を向上させていくことが課題です。
また,これまで,障害者総合支援法,児童福祉法に基づくサービス提供事業所に対す
る指導検査は主に東京都が実施していましたが,今後,指導検査権限の一部が東京都か
ら区市町村に移譲される予定であり,調布市としてどのように指導検査の実施体制を整
備していくかを検討する必要があります。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害福祉サービス事業所への指導検査では,会計・経理等専門的知識に精通した職員養成と,継続
的確保が課題であり,事業所への指導検査権限移譲が予定されている保育所や介護保険部門も含め,
庁内全体の指導検査体制のあり方について連携して検討を進める必要がある。【事業進捗評価】
・オンブズマン制度の周知・啓発が課題【事業進捗評価】
・障害福祉サービス事業所への第三者評価補助金は,市内で第三者評価を実施する事業所が少ないこ
とが課題【事業進捗評価】
75
第3章 次期計画における課題の整理
(8)
計画の推進・評価
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 障害者施策の総合的な推進のために,市役所の関係部署の連携を強化します。
○ 市役所内部にとどまらず,広く雇用関係機関や教育関係機関,福祉関係機関等
との連携を強化します。
○ 障害者総合計画の策定や計画のモニタリングにあたっては,当事者委員が約半
数を占める計画策定委員会と調布市障害者地域自立支援協議会が中心となり,検
討を進めます。
○ 平成 25 年 4 月に施行が予定されている障害者総合支援法(平成 24 年 3 月現
在国会審議中)に対応するため,適宜,障害者総合計画の見直しを進めます。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
<本計画の円滑な進行管理の実施>
○
計画の進捗状況について,毎年度,調布市障害者地域自立支援協議会に報告し,サー
ビス拡大等の状況について確認を行っています。
○ 「調布市障害者総合計画」の一部「第 3 期調布市障害福祉計画」が平成 26 年度末で
終了したことに伴い,平成 27 年 3 月に部分改定として「第 4 期調布市障害福祉計画」
を作成しました。この計画作成にあたり,「第 4 期調布市障害福祉計画作成委員会」を
設置し,幅広い見地から検討を行いました。
76
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
計画の推進体制
障害者福祉以外の分野での動向や,国の法改正,検討状況等を踏まえ,次期計画の策定
にあたっては,
「調布市地域福祉計画」,
「調布市高齢者総合計画」をはじめとした関連計画
との連携体制,位置づけをどのように整理していくかについても検討する必要があります。
あわせて,計画策定後の進捗状況,評価体制を確保することも重要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・地域包括ケアシステムの視点を明記する。
【委員意見】
・高齢者福祉、地域福祉、障害福祉の 3 本の計画を一体化する。
【委員意見】
77
第3章 次期計画における課題の整理
3
福祉サービス等の充実
【現行計画における基本的方向性】(平成 24 年 3 月策定「調布市障害者総合計画」より)
○ 利用者本位の視点にたって,必要なサービスをきめ細やかに提供できるよう,
財源の確保や事業者の誘致に努める等,福祉サービスの供給基盤を整備します。
○ 市では,発達障害,高次脳機能障害についての支援を展開していますが,この
たび新たな施策対象として法令に明記されたことから,地域生活で必要な支援を
より一層充実します。
○ 国制度にもとづくサービス以外にも,従来,市(都)が独自に実施してきたサ
ービス(地域生活支援事業等)についても,その継続に努め,あわせて地域生活
支援を充実します。
【現行計画期間の主な取組・進捗状況】
○
補装具の購入及び修理費の支給では,障害者総合支援法の改正により平成 25 年 4 月
から新たに難病患者の方が対象に加わりました。
○
上記にあわせて,日常生活用具費の支給においても,難病患者の方を対象に含めまし
た。
○
日常生活用具費支給事業では,製品の利便性や普及度,生活改善程度,さらに対象と
した場合の障害状況(手帳等級など),基準金額など全体的にかんがみて年 1 回支給対
象品目の見直しを行っています。
○
平成 25 年度より,身体障害者手帳の交付対象とならない中等度難聴児に対し,補聴
器の購入費の一部を助成する事業を開始しました。
78
第3章 次期計画における課題の整理
【今後の課題】
◆
障害者ショートステイの充実
介護者のレスパイト,緊急時等の利用,家族から一時離れての訓練など,様々な事情
からショートステイへのニーズは高く,市内でも受け入れ可能な事業所が不足している
状況が続いています。
また,医療的ケアが必要な障害児・者など様々な障害種別にも対応した受け入れ態勢
を充実させていくことが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・ショートステイをもっとふやしてほしい。
【委員意見】
・長期利用が可能な短期入所事業所の整備【自立支援協議会意見具申】
・レスパイト事業や短期入所の拡充【自立支援協議会意見具申】
79
第3章 次期計画における課題の整理
4
その他
現行計画の施策体系においては整理が困難である課題等について,以下に整理します。
◆
医療的ケアが必要な障害児・者の地域生活の支援
医療的ケアの必要な障害児・者が病院から地域での生活に移行できる事例が増えてき
ています。これに伴い,医療的ケアが必要な障害児・者が利用できる日中活動場所,シ
ョートステイなど地域生活を支援する体制づくりが必要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・医療的なケアの必要な子どもたちが病院から地域に出始めている。
【委員意見】
・医療的ケアの必要な障害児・者の支援を計画的に進めることが必要(実態・ニーズ調査,通所施設・
訪問療育・レスパイト先,福祉・医療について一定の知識を有するコーディネーターの確保,地域
のネットワーク形成)
【自立支援協議会意見具申】
◆
中学卒業以降の発達障害児などの相談支援体制の整備
教育関係の相談機関では義務教育世代の相談が多く,特に発達障害児など知的障害が
ない,または,軽度で福祉サービスの利用がない児童の相談先等の支援体制の充実が必
要です。
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害者手帳を所持していない児童(発達障害児など)の中学卒業以降の支援体制,相談窓口などの
充実が必要【関係機関ヒアリング】
・高校生世代の知的障害のない(または軽い)発達障害の方の相談機関が必要【団体意見】
・子ども若者総合支援事業「ここあ」との連携【団体意見】
80
第3章 次期計画における課題の整理
◆
その他
(参考:これまでの検討経過での意見,調査結果など)
・障害者が自立できるような、能力を引き出すための課題が弱い。
【委員意見】
・経済的支援についての記述【委員意見】
・女性の障害者は、女性であるという差別と障害であるという差別、というような 2 つの視点か
らの差別なり生活のしづらさの指摘がされている。【委員意見】
・今後特に充実させてほしい取組は、
「手当や医療費の助成などの経済的な支援」がいずれも上
位に入っている。
【市民福祉ニーズ調査】
・障害者手帳の書式,ヘルプマークなど都県,区市によって異なっているデザインを統一できな
いか【関係機関ヒアリング】
・民間救急を利用した移送への支援【団体意見】
・聴覚障害者の電話による通信状況の格差の解消のために,電話リレーサービスを公的サービス
として義務化できるよう,調布市からも推進をお願いしたい。【団体意見】
・高次脳機能障害の方の利用できる地域資源の充実【自立支援協議会意見具申】
81
第3章 次期計画における課題の整理
第4章 次年度の検討へ向けて
これまでに整理してきた課題とともに,国でも障害者施策等の見直しが現在も進められ
ています。
平成 29 年度末の次期計画策定へ向けて,次年度においては,以下に掲げるような内容
も注視しながら,調布市としてどのような取組みを進めていくべきか,引き続き検討を進
めていく必要があります。
1
障害者総合支援法・児童福祉法の一部改正
訪問系サービス,日中活動系サービス,グループホームなどの障害福祉サービス等の具
体的な内容等について定めた「障害者総合支援法」及び児童通所サービスの具体的な内容
等について定めた「児童福祉法」の一部改正が既に成立し,平成 28 年 6 月に公布されま
した。
これは,平成 25 年 4 月の「障害者総合支援法」施行時の附則で「施行後 3 年を目途と
して障害福祉サービスと等の在り方について検討を加え,その結果に基づいて所要の措置
を講ずる」とされていた規定に基づき,国の社会保障審議会障害者部会が平成 27 年 12
月 14 日にとりまとめた報告書「障害者総合支援法施行3年後の見直しについて」を受け
て実施されたものです。
しかし,改正内容の多くは平成 30 年 4 月の施行となっており,新しく創設されるサー
ビスの具体的な要件などは,現時点で未定となっているものも多くあることから,今後国
から出される関係省令等の発出を待つこととなります。
以下に今回の法改正の概要について整理します。
(1)
○
障害者の望む地域生活の支援
施設入所支援や共同生活援助を利用していた者等を対象として,定期的な巡回訪問や
随時の対応により,円滑な地域生活に向けた相 談・助言等を行うサービスを新設する。
(自立生活援助)
82
第4章 次年度の検討へ向けて
○
就業に伴う生活面の課題に対応できるよう,事業所・家族との連絡調整等の支援を行
うサービスを新設する。(就労定着支援)
○
重度訪問介護について,医療機関への入院時も一定の支援を可能とする。
○
65 歳に至るまで相当の長期間にわたり障害福祉サービスを利用してきた低所得の高
齢障害者が引き続き障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合に,
障害者の所得の状況や障害の程度等の事情を勘案し,当該介護保険サービスの利用者負
担を障害福祉制度により軽減(償還)できる仕組みを設ける。
(2)
○
障害児支援のニーズの多様化へのきめ細かな対応
重度の障害等により外出が著しく困難な障害児に対し,居宅を訪問して発達支援を提
供するサービスを新設する。
○
保育所等の障害児に発達支援を提供する保育所等訪問支援について,乳児院・児童養
護施設の障害児に対象を拡大する。
○
医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう,自治体において保健・医
療・福祉等の連携促進に努めるものとする。
○
障害児のサービスに係る提供体制の計画的な構築を推進するため,自治体において障
害児福祉計画を策定するものとする。
(3)
○
サービスの質の確保・向上に向けた環境整備
補装具費について,成長に伴い短期間で取り替える必要のある障害児の場合等に貸与
の活用も可能とする。
○
都道府県がサービス事業所の事業内容等の情報を公表する制度を設けるとともに,自
治体の事務の効率化を図るため,所要の規定を整備する。
83
第4章 次年度の検討へ向けて
2
国の「地域力強化検討会」での議論
厚生労働省が平成 27 年 9 月 17 日に公表した「新たな時代に対応した福祉の提供ビジ
ョン」,また,平成 28 年 6 月 2 日に閣議決定されたまた「ニッポン一億総活躍プラン」
を踏まえ,現在,厚生労働省に「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制
の在り方に関する検討会」(地域力強化検討会)が設置されています。
地域力強化検討会では,
① 住民主体による地域課題の解決力強化・体制づくりの在り方
② 市町村による包括的な相談支援体制の整備の在り方
③ 寄附文化の醸成に向けた取組
を主な検討事項として,障害者福祉のみならず,これからの時代の福祉のあり方につい
て幅広い議論が行われ,平成 28 年 12 月 26 日に中間報告書が公表されました。
以下に中間報告書の概要について整理します。
(1)
○
「住民に身近な圏域」での「我が事・丸ごと」
他人事を「我が事」に変える働きかけをする機能が必要
・「どのような地域に住みたいか」を話し合える土壌
・「楽しい」「やりがいがある」取組への地域住民の参加
・「深刻な状況にある人」に対し「自分たちで何かできないか」と思える意識
○「複合課題丸ごと」「世帯丸ごと」「とりあえず丸ごと」受け止める場を設けるべき
・表に出にくい深刻な状況にある世帯に早期に気付けるのは住民
・しかし,支援につなげられる体制がなければ,自ら解決するか,気になりながらも声
をあげることができないままにせざるを得ない。
(2)
○
市町村における包括的な相談支援体制
協働の中核を担う機能が必要
・住民に身近な圏域で把握された「丸ごと」の相談に対応
84
第4章 次年度の検討へ向けて
・多様・複合課題⇒福祉のほか,医療,保健,雇用・就労,司法,産業,教育,家計,
権利擁護,多文化共生等多岐にわたる連携体制が必要
・制度の狭間⇒地域住民と協働して新たな社会資源を見つけ出し,生み出す。
(3)
○
地域福祉計画等法令上の取扱い
地域福祉計画の充実
・(1),(2)の「我が事・丸ごと」の体制整備を記載
・地域福祉計画策定を義務化,PDCAサイクル徹底すべき
・地域福祉計画の上位計画としての位置づけ
○
地域福祉の対象や考え方の進展を社会福祉法に反映すべき
・福祉サービスを必要とする⇒就労や孤立の解消等も対象
・支え手側と受け手側に分かれない(一億プラン)
○
守秘義務に伴う課題⇒法制的な対応を含め検討
・守秘義務を有する者が,住民の協力も得ながら課題解決に取り組む場合,住民との間
で個人情報の共有が難しい。
(4)
○
自治体等の役割
自治体組織も,福祉部局の横断的な体制,保健所等も含めた包括的な相談体制の構築
を検討すべき
以上の中間報告書の内容を踏まえ,現在の国会(第 193 回)では,介護保険法,社会
福祉法,障害者総合支援法などの改正を含む「地域包括ケアシステムの強化のための介護
保険法等の一部を改正する法律案」が提出,審議されています。
地域力強化検討会では,今回の中間とりまとめで示した「我が事・丸ごと」の体制の具
体的な展開及び地域福祉計画のガイドラインの見直し等について,今年夏を目処に取りま
とめることとし,検討が続けられる予定となっています。
85
第4章 次年度の検討へ向けて
<資料>
86
資料1
障害福祉関連基本データ
◆調布市の概要
現在は人口が増加傾向で推移している調布市ですが,今後 10 年以内には減少に転じると推計
されています。また,65 歳以上の高齢者人口は増加傾向で推移していますが,生産年齢人口はす
でに減少傾向となってなど,調布市の特性,障害者を取り巻く環境を把握します。
総人口
(人)
250,000
176,665
200,000
199,195
186,367 194,113 194,881
224,191 226,413 229,886
211,709 220,757
150,000
100,000
50,000
0
住民基本台帳 各年1月1日現在
女
男
(人)
8 100歳以上
100歳以上
99 95~99歳
95~99歳
548
2,939
85~89歳
85~89歳
3,197
4,056
4,713
4,784
5,478
5,812
80~84歳
80~84歳
75~79歳
75~79歳
70~74歳
70~74歳
6,677
7,225
65~69歳
65~69歳
5,627
6,404
5,651
6,192
60~64歳
60~64歳
55~59歳
55~59歳
8,490
7,898
50~54歳
50~54歳
10,186
10,125
9,966
9,912
45~49歳
45~49歳
40~44歳
40~44歳
9,005
8,311
30~34歳
30~34歳
25~29歳
25~29歳
20~24歳
20~24歳
4,963
4,686
4,989
5,146
10,000
8,662
8,045
7,280
6,496
35~39歳
35~39歳
7,030
6,801
12,000
1,388
90~94歳
90~94歳
1,700
(人)
80
408
8,000
6,000
4,737
4,494
4,680
4,998
15~19歳
15~19歳
10~14歳
10~14歳
5~9歳
5~9歳
0~4歳
0~4歳
4,000
2,000
0
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
住民基本台帳 平成29年1月1日現在
87
◆調布市の障害者福祉の現状
障害者福祉にかかる基礎的なデータを整理します。
平成 26 年度末の身体障害者は 5,175 人,知的障害者は 1,187 人,精神障害者は 1,462 人であ
り,いずれも増加傾向にあります。
「計画相談支援」の実績をみると(平成 27 年 12 月時点)
,サ
ービス受給者に対する計画作成済み者の割合は 87.2%,障害児は 100%となっています。
障害程度区分認定者数の推移
(人)
1,600
1,400
1,321
1,200
1,000
800
600
400
200
1,312
155
98
106
139
156
60
607
1,509
1,391
1,365
215
106
138
163
181
106
112
133
182
58
185
96
123
126
198
100
136
128
220
61
216
54
220
37
540
554
559
630
0
23年度
24年度
区分無
区分2
26年度
区分3
区分4
27年度
区分5
区分6
調布市事務報告書 年度末
身体障害者手帳所持者数の推移
(人)
6,000
5,000
区分1
25年度
5,176
5,116
5,011
5,186
5,175
1,624
1,645
1,654
1,674
1,696
2,000
2,573
2,633
2,665
2,642
2,620
1,000
71
445
298
64
463
311
73
464
320
72
476
311
82
476
312
4,000
3,000
0
23年度
視覚
24年度
聴覚平衡障害
25年度
音声言語
26年度
肢体不自由
27年度
内部
調布市事務報告書 年度末
88
愛の手帳所持者数の推移
(人)
1400
1200
1,067
1,200
1,187
1,139
1,106
1000
471
497
524
557
562
265
265
269
268
273
200
295
301
304
314
318
0
36
43
42
48
47
800
600
400
23年度
24年度
1度
25年度
2度
26年度
3度
27年度
4度
調布市事務報告書 年度末
精神障害者保健福祉手帳所持者数の推移
(人)
1800
1600
1400
1,328
1,251
1200
1000
1,566
1,462
1,374
628
389
462
506
574
752
761
770
790
842
110
105
98
98
96
800
600
400
200
0
23年度
24年度
1級
25年度
2級
26年度
3級
27年度
調布市事務報告書 年度末
難病患者医療費等助成申請件数
(件)
2,500
2,000
1,500
1,000
1,854
1,993
2,035
2,152
23年度
24年度
25年度
26年度
2,368
500
0
27年度
調布市事務報告書 年度末
89
資料2
調布市障害者総合計画策定事業実施要領
平成28年4月22日
第1 目的
この要領は,調布市が平成24年3月に策定した「調布市障害者総合計画」(平成24年度から平
成29年度)及び平成27年3月に作成した「第4期調布市障害福祉計画」(平成27年度から平成
29年度。以下総称して「現計画」という。)の改定として,調布市において障害者基本法(昭和4
5年法律第84号)第11条第3項に基づく市町村障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を
総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項に基づく市町村障害福祉
計画を一体として策定する平成30年度以降の調布市障害者総合計画(以下「次期計画」という。)
の策定について必要な事項を定めるものとする。
第2 計画期間
次期計画の期間は,以下の各号に定めるところによる。
(1) 調布市障害者計画 平成30年度から平成35年度
(2) 第5期調布市障害福祉計画 平成30年度から平成32年度
第3 計画策定支援業務の委託
市長は,次期計画の策定事業(以下「事業」という。)に係る計画策定支援業務を民間の調査研究
機関に委託するものとする。
第4 事業内容
事業の内容は,次の各号に定めるところによる。
(1) 調布市障害者総合計画策定委員会(以下「委員会」という。
)の運営に関すること。
(2) 調布市障害者総合計画策定庁内連絡会(以下「連絡会」という。
)の運営に関すること。
(3) 当事者意見等の情報収集及び分析に関すること。
(4) 調布市障害者総合計画書の作成に関すること。
第5 委員会
委員会は,現計画の進捗状況,地域における障害者福祉に係るニーズの状況並びに国及び社会の動
向等を踏まえ,次期計画について検討を行い,計画案を作成し,市長に報告する。
2
委員会は,次の各号に掲げる者のうちから,市長が推薦する者23人以内をもって組織する。
(1) 当事者 3人
(2) 市民代表(公募) 2人以内
(3) 障害者団体代表 6人以内
(4) 保健・医療・福祉に関する事業に経験を有する者 9人以内
(5) 保健・医療・福祉に関する学識経験者 3人以内
3
市長は,特に必要があると認めたときは,前項各号に掲げる者以外の者を委員会に出席させ,その
意見を聴き,又は資料の提出を求めることができる。
4
委員会に委員長及び副委員長を置く。
5
委員長及び副委員長は,委員が互選する。
6
委員長は,委員会を代表し,会務を総理する。
7
副委員長は,委員長を補佐し,委員長に事故があるときは,その職務を代理する。
8
委員会は,委員長が招集する。
90
第6 連絡会
連絡会は,委員会での検討を踏まえ,計画策定に係る情報収集及び資料作成等を行い,委員会に報
告する。
2
連絡会は,市の職員から,市長が任命する者12人以内をもって組織する。
第7 庶務
委員会及び連絡会の庶務は,福祉健康部障害福祉課において処理する。
第8 事業実施期間
本事業の実施期間は,施行の日から平成30年3月31日までとする。
第9 雑則
この要領に定めるもののほか必要な事項は,別に定める。
附 則
この要領は,決裁の日から施行し,事業実施期間終了をもって廃止する。
91
資料3
調布市障害者総合計画策定委員会
◎…委員長
○…副委員長
氏
名
きのした
だいせい
◎ 木下
大生
2
たにうち
たかゆき
○ 谷内
孝行
はらだ
なおこ
3
原田 尚子
4
西田 伸一
5
伊地山 和茂
6
長尾 英治
7
朝香 ちよみ
に しだ
しんいち
い ち や ま
かずしげ
な がお
えい じ
あ さか
き うち
ひろし
木内
洋
い わた
ひ ろし
た むら
あ つし
の ぐち
あ きこ
こ まつ
ゆうすけ
9
岩田 浩嗣
10
田村 敦史
11
野口 明子
12
小松 裕介
13
菅谷 為太郎
14
秋吉 昭良
15
道口
す がや
ため た ろ う
あきよし
あき ら
どう ぐち
(敬称略・順不同)
所
1
8
委員名簿
ゆ
み
こ
ま
ゆ
み
由美子
属
・
肩
書
等
聖学院大学 人間福祉学部 人間福祉学科
桜美林大学 健康福祉学群
分
准教授
学識経験者
専任講師
上智大学 総合人間科学部 看護学科
野
助手
公益社団法人調布市医師会 副会長
(医療社団法人梟社会 西田医院 院長)
調布市民生児童委員協議会
障がい者福祉部会長
調布市福祉作業所等連絡会 代表
(特定非営利活動法人わかばの会 わかば第一事業所 施設長)
調布市福祉作業所等連絡会(児童部会)
(特定非営利活動法人ふみ月の会 ふみ月チャレンジ染地・ふみ
月チャレンジたま川 施設長)
社会福祉法人調布市社会福祉協議会
地域福祉推進課 障がい者支援係長
社会福祉法人調布市社会福祉事業団
調布市障害者地域生活・就労支援センターちょうふだぞう 主任
保健・医療・
福祉に関する
事業に経験を
有する者
社会福祉法人調布市社会福祉協議会
こころの健康支援課 福祉人材育成係長
調布地域精神保健福祉ネットワーク連絡会
(医療法人社団欣助会 吉祥寺病院 医療相談室)
東京都立府中けやきの森学園 知的障害教育部門 高等部
進路指導担当教諭
調布市身体障害者福祉協会
調布市聴覚障害者協会
会長
副会長
調布市視覚障害者福祉協会
障害者団体
た なか
16
田中 真由美
17
進藤 美左
18
飯野 葉子
19
しんどう
い いの
いちはし
市橋
み
さ
よ うこ
ひろし
博
たにぐち
まさ のぶ
みやもと
たい すけ
あ さり
の りこ
20
谷口 雅信
21
宮本 泰輔
22
浅利 紀子
23
た かえ す
高江洲
ゆ きお
幸男
調布精神障害者家族会かささぎ会
幹事
特定非営利活動法人調布心身障害児・者親の会
会長
調布市高次脳機能障害者支援機関連絡会
(東京レインボー倶楽部 代表)
当事者
当事者
当事者
当事者
市民公募委員
市民代表
(公募)
市民公募委員
92
93