光を使って難問を解く量子ニューラルネットワーク

未来を
切り拓く
基礎研究
E-3
全く新しい原理のコンピュータを実現
光を使って難問を解く量子ニューラルネットワーク
光パラメトリック発振器(OPO)*1を用いて組合せ最適化問題*2を高速に解く「量子ニューラルネットワーク」を実現しました。2000ノードから
なる大規模グラフの最適化問題を1万分の一秒以下の時間で解くことに成功しました。本技術は、膨大なデータの最適化を必要とするあら
ゆる分野への適用が期待されます。
特
徴
■ 量子エレクトロニクス技術を用いて全く新しい原理のコンピュー
タを実現
■ 長さを精密に制御した長距離(1 km)光ファイバ共振器中で、
PPLN導波路*3中の光パラメトリック過程を用いて特定の位相
の光だけを増幅することで、 数千個以上の光パラメトリック発
振器(OPO)パルスを一括発生
■ OPO群の位相・振幅測定結果を用いて得た結合信号を各OPO
にフィードバックすることにより、2000のOPOの全ての組合せ
に相当するOPO間結合を実現
■ 2000ノード完全グラフの最大カット問題の解を1万分の1秒以
下で高速に算出
利用シーン
■ 創薬における候補化合物の探索
■ 通信ネットワークのリソース最適化
Collaboration Partner
ImPACT(内閣府革新的研究開発推進プログラム)の支援のもと、
国立情報学研究所、大阪大学、東京大学、スタンフォード大学と連携
*1 光パラメトリック発振器:異なる波長の光が相互作用し新たな波長の光が発生する「光パラメトリック過程」に基づくレーザ発振器
*2 組合せ最適化問題:離散値関数で定義される条件を最小とする状態を求める問題
*3 PPLN(periodically poled lithium niobate) 導波路:ニオブ酸リチウム(LiNbO3)結晶において、自発分極と呼ばれる結晶内の正負の
電荷の向きを一定の周期で強制反転させた人工結晶を用いた光導波路。高い非線形光学効果を得ることができる。
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