1 レバノン医療情報 以下は必ずしも最新の医療事情では

レバノン医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2017 年 1 月
1.赴任前の準備
(1) 予防接種
入国時に義務付けられている予防接種は特にないが、長期滞在の際は A 型肝炎、
B 型肝炎、狂犬病、破傷風の接種を勧める。 狂犬病の国内発症報告はないものの、
近隣国のトルコやシリアでは通年で感染報告があるため、注意が必要である。成人
向けワクチンや小児用予防接種各種は、レバノン国内の病院で、有料接種が可能で
ある。
(2) その他の準備
① 医薬品について
国内の都市部に薬局は多数あり、市販薬や衛生材料、処方薬等が販売されてい
る。 処方薬は、医師の処方箋により購入するが、処方量が日本の基準より多く出さ
れたり、同じ薬品でも、薬剤の含有量が多い製品が流通していたりするため、常用薬
は、日本から十分な量を持参するのが良い。また、常備薬として、風邪薬、解熱鎮痛
剤、胃薬、整腸剤等、使い慣れているものを日本から持参することを奨励する。
② 眼鏡、コンタクトレンズについて
眼鏡士による眼鏡・コンタクトレンズの作成は可能である。一般に海外では、日本
の様な微細な調整が困難であり、また製品も高額である。コンタクト付属製品の種類
は限定的である。コンタクトレンズ使用が不可能となる場合もあるため、併せて眼鏡を
持参することを強く勧める。
③ 歯科治療
ベイルート市内には、大学病院付属の歯科センターや個人開業医があり、緊急対
応処置については、技術的に問題はないレベルである。しかし、在外での長期治療
は、感染及び合併症予防の観点から奨励しない。
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2. 医療事情
歴史的・政治的にも複雑な環境にあり、近年は隣国シリアからの難民問題等が加
わり、安全管理上の配慮が求められる国である。しかしながら、一般市民の生活では、
活発な経済活動が社会インフラの発展を支え、都市部では再開発も進行している。
な か で も 医 療 分 野 は 、 近 隣 国 の 富 裕 層 を 対 象 と し た ビ ジ ネ ス と し て“Medical
Tourism” を推進している。大手私立系病院では第 3 次医療設備を完備し、積極的に
先進医学を実践し、在住外国人のみならず、国外からの患者も多く受け入れている。
ただし、日本とは社会慣習に違いがあるため、医療サービスの質や患者対応につい
ては、日本医療との相違を感じる事が多いと思われる。病院では、アラビア語、英語、
仏語が、共通言語となっている。
公立病院は、主に中低所得層のレバノン人やパレスチナ・シリア難民が利用してお
り、施設設備が不十分な所もあり、日本人の利用に適切とは言えない。
(1) 医療機関
① 施設名:American University of Beirut Medical Centre(AUBMC)
所在地:Souraty St. Hamra, Beirut
電話:0961‐1‐350000,374374(International patient/内線 5346)
診療時間: 9:00~17:00 外来部門 救急外来は 24 時間対応
診療科目: 総合病院(専門医診療含め、全科診療可能)、ICU、CCU
等
検査部門: 血液検査室・超音波・X 線・CT・MRI は各科にあり
備考: アメリカのミッショナリー創設の私立医学部付属病院。
外国人患者専用のコーディネーターがあり、事務手続きや
保険対応等支援有。
② 施設名:Clemenceau Medical Centre(CMC)
所在地:Mpijedpome Barghout St. Clemenceau
電話:0961‐1‐372888(International Patient/1‐ 372888 内線 1165)
診療時間:9:00~17:00 外来部門 救急外来は 24 時間対応
診療科目: 総合病院(専門医診療含め、ほぼ全科診療あり)
CMC
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③ Dr.Majed Saadeh (開業歯科医)
所在地: Ain Mreisseh-Centre Mashikas 6F
電話:00961-1-377364/070089444(Mobile)
備考: 予約制
(2) 緊急時の対応措置
ベイルート市内には、私立総合病院が多数あり、24 時間救急外来を利用可能であ
る。外国人患者専属のコーディネーターを置く病院も多いので、利用すると良い。
受診料は高額であるため、十分な補償の有る保険への加入を勧める。
3. 医薬品、衛生用品
(1) 携行することが望ましい医薬品
持病の治療薬は、持参する事が望ましい。加えて日頃常用している、感冒薬、
胃腸薬や漢方薬、特に外用薬や湿布薬等の種類は少なく、使い慣れたものを、日本
から持参すると良い。
(2) 現地で調達できる医薬品
販売される薬品は輸入製品で、欧米製品が多い。市販薬、処方薬とも種類は豊富
であるが、日本で市販されている風邪薬や胃腸薬とは成分や規定量が異なることが
あるので、特定の薬を必要とする場合は必ず持参すること。
(3) 現地で調達できる衛生用品
包帯やガーゼ、消毒薬などの衛生材料は、入手可能である。生理用ナプキン、シャ
ンプ-や石鹸、洗剤、殺虫剤や虫よけ薬の購入は可能である。乳幼児製品の入手も可
能である。 レバノンの物価は高めで、薬剤は日本の値段と同程度である。
4. 妊娠及び出産の対応
妊娠が判明した場合、現地専門医の受診は可能であるが、社会慣習の違いで生
じる保健サービスの質的問題が懸念されるため、出産は本邦への帰国を勧める。
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5. 手術等緊急対応にかかる処置
救命・緊急事態に対応可能な施設がある。医療費や入院経費はかなり高額である
ことから、渡航に際しては、緊急対応時の移送費用を含め、十分な補償を確保した保
険への加入を奨励する。
6. 現地での傷病
(1) 一般の疾病
疾病に関しては、通年風邪などの上気道炎が多い。また、杉やオリーブ等による
花粉症、アレルギー性結膜炎、鼻炎の発症も多い。消化器系疾患は、気温上昇にと
もない病原菌の繁殖が活発化する時期に、サルモネラ、病原性大腸菌などの一般感
染性胃腸炎などが見られる。又、夏場は日差しがかなり強く、熱中症も増える。
(2) 風土病、感染症
深刻な風土病は無いが、以下の傷病について、流行情報の確認やワクチン接種を
奨励する。
A 型肝炎:食べ物(主に生もの)や水から感染し、全身倦怠感、発熱、食欲不振や黄
疸が現れる。A 型肝炎抗体が陰性の場合は、ワクチン接種による積極的
な予防を勧める。
狂犬病: 狂犬病に感染した動物咬傷により感染し、発症時は 100%の死亡率である。
国内感染者は出ていないが、隣国シリアやトルコで通年の発症報告がある。
中東呼吸器症候群(MERS):2012 年の初発例報告以来、特にサウジアラビア、イエ
メンなどアラビア半島で、多くの症例が報告されている
新型コロナウィルス感染症。高齢者や基礎疾患の有る
人で重症化する事があり、現在有効な治療薬がない。
ラクダとの接触やラクダ製品摂取が原因と推察されて
いることから、日常生活での保清と食事に注意が必要
である。
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7. 保健衛生
(1) 飲料水
水は硬水であり、日本の軟水とは異なるため、味の違和感や下痢等を発症する者
がある。また、蛇口から出てくる水は建物のタンクに貯水されたもので、消毒はなされ
ているものの、タンク・パイプの老朽化や汚染による、ゴミや細菌の混入が懸念される
ため、直接飲料水としては適さない。止むを得ず飲料水として使用する場合は、煮沸
が必要である。ボトル入りの水はどこでも購入可能であるが、やはり硬水である。
(2) 生活環境
市内の交通渋滞による排気ガスやエアコン・ジェネレーターの普及による大気汚染
が指摘されている。また、整備が不十分な歩道、乱雑な路肩駐車、狭い通りやカー
ブ・坂道が多いなど、インフラ整備不良に加えて、交通ルールを尊守しない運転によ
る交通事故も多発している。 歩行時や運転時は、常に危険性が有る事に留意する。
(3) 生活習慣
市内では交通整理等に多くの警官を見かけ、繁華街での治安に不安を感じる事は
少ないが、狭い通りや裏道の人通りの少ない道路の通行時には、注意が必要である。
海沿い道路を除いて、公園等運動する場所が少ないうえ、車移動の多い生活で運動
不足になりがちであるので、体を動かすことを心掛ける必要がある。
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