日 光 社 と 湯 川 川 流 域 の 仏 教 文 化

その
日光社と湯川川流域の仏教文化
有田川町上湯川の日光山(標高1110m)の山中に、
江戸時代まで日光社という神社がありました。最も盛え
川地区と下湯川地
区 は、 古 く か ら 日
光社の信仰に深く
関わっていたと考
え ら れ ま す が、 近
年における県立博物館の文化財調査によって、上湯
ごうれん じ
川地区の薬王寺、下湯川地区の牛蓮寺、下湯川観音
堂に平安時代の仏像や戦国時代の版木など、重要な
ざ ぞう
資料が残されていることが分かりました。
はす
例えば下湯川観音堂の僧形坐像(室町時代。像高
久野原区では「早乙女」ともされています。
●〒643‐0021 和歌山県有田郡有田川町下津野 2018 - 4
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(代)
らい
●E-mail [email protected]
●ホームページ URL http://www.town.aridagawa.jg.jp
田 植 子・ 座 謡 が あ り ま す が、 田 植 子 に つ い て は
ざ うたい
御田を演じる配役は、舅・聟・太鼓打ち・牛・
しゅうと むこ
先月の広報ありだがわ
(134号)に関しての補足説明
まで)で紹介されていますので、ぜひご覧ください。
物館の企画展「有田川中流域の仏教文化」
(3月5日
こうした新たに確認された文化財は、和歌山県立博
財と言えるでしょう。
かつて来迎会が行われていたことを示す貴重な文化
寺の来迎会式が有名ですが、日光山麓の集落でも、
迎会式で用いられるものです。県内では有田市得生
ごう え しき
いもので、これは菩薩面を着けた人々が練り歩く来
ぼ さつ
は、蓮の花の上に合掌した僧が座る珍し
さ . ㎝)
7
たころには多数の建物があったようですが、明治時代に
ほこら
廃絶し、現在は小さな祠が再建されています。祭られた
まん だ
神様の名前をはじめ不明な点が多い謎の神社ですが、そ
のかつての景観を示す貴重な資料として日光社参詣曼荼
ら
羅(和歌山県指定文化財)が残されています。
みず
縦148.7㎝、横117.8㎝の大画面の中央に、瑞
がき
垣に囲まれた社殿三棟と二つの堂舎が並び、その外に多
宝塔が建っています。上方には三つの山(中央が日光山、
2017.3 vol.135
右が護摩壇山、左が高野山と考えられている)がそびえ、
下方には湯川川
とその流域の集
落や寺社が描か
れていま す 。
この参詣曼荼
羅に描かれた湯
川川流域の上湯
広報 ありだがわ
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