みんなでつくる水源の森実施計画(案) 平成29年2月平成29年2月 平成29年2月 目次 第1章 総論 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1 1 目 的 ............................................................................................ 1 2 計 画 の 位 置 づ け ............................................................................ 2 3 計 画 期 間 ...................................................................................... 2 4 多 摩 川 上 流 域 の 森 林 の 全 体 像 ......................................................... 3 第2章 多摩川上流域における民有林の保全・管理 . . . . . . . . . . . . . . . 4 1 現 状 と 課 題 ................................................................................... 4 2 取 組 の 方 向 性 ................................................................................ 5 3 体 系 ............................................................................................ 6 4 取 組 内 容 ...................................................................................... 6 ( 1 ) 民 有 林 の 積 極 的 な 購 入 ............................................................ 6 ( 2 ) 購 入 が 難 し い 民 有 林 へ の 対 策 ................................................... 7 ( 3 ) 民 有 林 の 公 募 購 入 ................................................................... 8 ( 4 ) 多 摩 川 水 源 森 林 隊 の 活 用 に よ る 保 全 活 動 ................................... 9 ( 5 ) 購 入 し た 森 林 の 再 生 ................................................................ 9 第3章 1 多様な主体と連携した森づくり . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10 現 状 と 課 題 ................................................................................. 10 ( 1 ) 水 源 地 保 全 の 取 組 に 対 す る 認 知 度 と 期 待 ................................. 10 ( 2 ) 新 た な 森 林 被 害 の 顕 在 化 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 ( 3 ) 地 域 社 会 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 2 取 組 の 方 向 性 .............................................................................. 12 3 体 系 .......................................................................................... 12 4 取 組 内 容 .................................................................................... 13 ( 1 ) 都 民 と 連 携 し た 森 づ く り ....................................................... 13 ( 2 ) 企 業 と 連 携 し た 森 づ く り ....................................................... 15 ( 3 ) 大 学 と 連 携 し た 森 づ く り ....................................................... 16 ( 4 ) 地 元 自 治 体 や 関 係 機 関 等 と の 連 携 ........................................... 17 第1章 1 総論 目的 多 摩 川 上 流 域 の 水 道 水 源 林 ( 以 下 「 水 源 林 」 と い う 。) は 、 明 治 3 4 年 か ら 1 0 0 年 以 上 に わ た り 東 京 都 水 道 局 ( 以 下 「 水 道 局 」 と い う 。) が 管 理 し、概ね良好な状況を維持しています。 しかし、水源林とほぼ同規模の面積を有する多摩川上流域の民有林は、 手 入 れ が 行 き 届 か な い 森 林 が 増 加 し て お り 、土 砂 流 出 に よ る 小 河 内 貯 水 池 への影響が懸念されるなど、早急な対策が必要となっています。 ま た 、社 会 の 環 境 意 識 の 高 ま り を 踏 ま え 、水 源 地 保 全 の 大 切 さ や そ の 取 組 へ の よ り 一 層 の 理 解 促 進 を 図 る た め 、様 々 な 主 体 と の 連 携 が 重 要 と な っ ています。 そ こ で 、こ れ ら 喫 緊 の 課 題 に 対 応 す る た め 、具 体 的 な 取 組 を 示 し た 、 「み んなでつくる水源の森実施計画」を策定しました。 多摩川上流域位置図 1 2 計画の位置づけ 水 道 局 は 、こ れ ま で も 、施 設 整 備 長 期 構 想 と し て お お む ね 四 半 世 紀 の 間 に 行 っ て い く 施 策 の 方 向 を 示 し た「 東 京 水 道 長 期 構 想 - S T E P Ⅱ - 」 (平成 18 年 11 月 ) や 、 水 道 局 の 事 業 ビ ジ ョ ン と し て 事 業 計 画 や 財 政 計 画 を 明 ら か に し た 「 東 京 水 道 経 営 プ ラ ン 2 0 1 6 」( 平 成 2 8 年 2 月 ) を 策 定 し 、 事業を推進してきました。 ま た 、水 源 林 の 管 理 に 当 た っ て は 、目 指 す べ き 姿 や 管 理 の 方 向 性 な ど 今 後 1 0 年 間 に お け る 基 本 的 な 事 項 を 定 め た「 第 1 1 次 水 道 水 源 林 管 理 計 画 」 ( 平 成 28 年 6 月 ) を 策 定 し 、 計 画 的 に 管 理 し て い ま す 。 今 回 策 定 す る「 み ん な で つ く る 水 源 の 森 実 施 計 画 」は 、水 道 局 自 律 点 検 ・ 改 革 の 検 討 を 踏 ま え 、 緊 急 性 や 取 組 の 効 果 を 考 慮 し 、「 第 1 1 次 水 道 水 源 林 管 理 計 画 」の う ち 、早 急 か つ 重 点 的 に 取 り 組 む べ き「 民 有 林 の 積 極 的 購 入 」と「 多 様 な 主 体 と 連 携 し た 森 づ く り 」に つ い て の 具 体 的 な 取 組 内 容 を 示したものです。 3 計画期間 平 成 29( 2017) 年 度 か ら 平 成 32( 2020) 年 度 ま で の 4 年 間 2 4 多摩川上流域の森林の全体像 将 来 に わ た り 、安 定 し た 多 摩 川 の 河 川 流 量 の 確 保 及 び 小 河 内 貯 水 池 の保全を図るため、従来から行ってきた水源林の保全管理に加え、 民 有 林 の 積 極 的 購 入 、都 民 や 企 業 等 多 様 な 主 体 と 連 携 し た 森 づ く り な ど を 実 施 す る こ と で 、多 摩 川 上 流 全 域 を 見 据 え た 森 林 の 育 成 ・ 管 理へと進化していきます。 [水 道 水 源 林 ] [民 有 林 重 点 購 入 地 域 ]※ [そ の 他 の 民 有 林 ] 約 23,000h a 約 2,000h a 約 20 ,000h a 水 道 局 が主 体 的 に管 理 積 極 的 に購 入 し水 道 局 が 原 則 、所 有 者 による保 全 企 業 ・都 民 のサポート受 入 管理 水 道 局 が必 要 に応 じサポート ・引 き続 き購 入 した民 有 林 を ・小 河 内 貯 水 池 への影 響 が 含 め適 正 管 理 を実 施 特 に大 きい地 域 を積 極 的 に ・公 募 購 入 を継 続 ・ 多 摩 川 水 源 森 林 隊 の充 実 購入 [多 摩 川 上 流 域 全 域 ] ・大学との共同研究、学生による森林保全 ・地元文化に触れる機会などを創出し、地元振興に寄与 支える ※ 小 河 内 貯 水 池 及 び そこ に 流 入 す る主 要 河 川 か らお お むね 5 0 0 mの 地 域 。 地 形 が 急 しゅ んであ り、土 砂 流 出 等 によ り、貯 水 池 への 悪 影 響 が最 も懸 念 さ れるエ リア ( P5 事 業 範 囲 図 参 照 ) 3 第2章 1 多摩川上流域における民有林の保全・管理 現状と課題 多 摩 川 上 流 域 の 森 林 は 、明 治 時 代 に は 荒 廃 が 進 行 し て い ま し た が 、明 治 3 4 年( 1 9 0 1 )に 東 京 府 が 御 料 林 を 譲 り 受 け て 以 来 、水 道 局 が 1 0 0 年 以 上の年月を掛けて緑豊かな森へ再生してきました。こうした努力により、 小 河 内 貯 水 池 は 、流 れ 込 ん だ 土 砂 の 堆 積 が 総 貯 水 容 量 の 約 3 % と 極 め て 少 なく、良好な状態を維持しています。 一 方 で 、多 摩 川 上 流 域 の 民 有 林 の 多 く は 、長 期 に わ た る 林 業 不 振 の 影 響 に よ り 手 入 れ が 行 き 届 か な い 森 林 が 増 加 し て お り 、下 草 が 生 え ず 表 土 が 流 出 す る な ど の 荒 廃 が 進 行 し て い ま す 。こ の 結 果 、水 源 か ん 養 と い っ た 森 林 の持つ多面的な機能※1 の低下が進み、特に、小河内貯水池の周辺は急し ゅ ん で 、管 理 が 難 し い 民 有 林 が 多 く 、土 砂 流 出 に よ る 貯 水 池 へ の 大 き な 影 響が懸念されます。 水 道 局 で は 、平 成 1 4 年 度 か ら 多 摩 川 水 源 森 林 隊 に よ る 民 有 林 の 再 生 を 開 始 し 、平 成 2 2 年 度 か ら は 手 入 れ が で き ず 所 有 者 が 手 放 す 意 向 の あ る 民 有 林 を 公 募 に よ り 購 入 す る な ど 、民 有 林 の 保 全 対 策 を 実 施 し て き ま し た が 、 いまだ荒廃した民有林が存在しています。 崩落により土壌が露出している森林 立木が密集し下草が生えていない森林 ※ 1 水 源 かん養 機 能 、土 砂 流 出 防 止 機 能 及 び水 質 浄 化 機 能 を 有 し 、河 川 に流 れ込 む水 の 量 を平 準 化 して洪 水 を緩 和 するとともに、流 量 を安 定 化 する役 割 だけでなく 、様 々 な生 物 の す み か と なる 生 物 多 様 性 保 全 機 能 、二 酸 化 炭 素 吸 収 ・酸 素 生 産 と い っ た 地 球 環 境 保 全 機 能 、行 楽 場 所 などとし ての 保 健 ・レ クリエーション機 能 、環 境 学 習 や山 岳 信 仰 といっ た文 化 機 能 などの森 林 が持 つ多 面 的 な機 能 4 ダム堆砂率比較表 【 水系名 ダム名 完成年 供用 年数 総貯水量 (万㎥) 荒川 二瀬 1961年 55年 2,690 17% H21年度実績 利根川 下久保 1968年 48年 13,000 7% H21年度実績 天竜川 佐久間 1956年 60年 3,269 約36% H18年度実績 多摩川 小河内 1957年 59年 18,910 3.3% H27年度実績 堆砂率 備考 出 典 】 二 瀬 ダ ム 及 び 下 久 保 ダ ム は 、 国 土 交 通 省 関 東 地 方 整 備 局 HP か ら 佐 久 間 ダ ム は 、 国 土 交 通 省 中 部 地 方 整 備 局 HP か ら 2 取組の方向性 ○ 多 摩 川 水 源 森 林 隊 に よ る 保 全 や 、公 募 に よ る 購 入 な ど の こ れ ま で の 取 組 を継続するとともに、小河内貯水池への影響が特に懸念される約 2,000ha を 民 有 林 重 点 購 入 地 域 と 位 置 付 け 、 所 有 者 に 積 極 的 に 売 却 を 働 き か け 、お お む ね 1 0 年 間 で 購 入 を 推 進 し 、水 道 局 に よ る 主 体 的 な 管 理により、水源林として良好な森林へ再生します。 ○ 民 有 林 重 点 購 入 地 域 に お い て 、所 有 者 が 引 き 続 き 所 有 す る 意 向 で あ っ た り 、所 有 者 が 不 明 で 購 入 手 続 が 進 め ら れ な い な ど 、様 々 な 事 情 に よ り 購 入 が 難 し い 民 有 林 に つ い て も 、水 道 局 が 積 極 的 に 保 全 育 成 に 関 与 で き る 方策を検討します。 ○ こ れ ら の 取 組 に つ い て の 広 報 を 強 化 し 、よ り 多 く の 所 有 者 か ら 協 力 を 得 ていきます。 事 業 範 囲 5 3 体系 4 取組内容 (1)民有林の積極的な購入 ○ 民 有 林 重 点 購 入 地 域 を 対 象 と し た 荒 廃 状 況 等 の 調 査 結 果 を 基 に 、崩 壊 地 の 有 無 、小 河 内 貯 水 池 又 は 主 要 河 川 か ら の 距 離 や 土 地 の 傾 斜 状 況 等 により、緊急度に応じた購入の優先度を整理します。 ○森林分野の学識経験者や弁護士及び当局代表者から構成される東京 都 水 道 局 民 有 林 購 入 基 準 検 討 委 員 会 に お け る 審 議 を 経 て 、優 先 度 判 定 などによる購入計画を決定します。 ○ 購 入 計 画 に 基 づ き 、 地 権 者 に 積 極 的 な 働 き か け を 行 い 、 お お む ね 10 年間で購入を推進します。 ■ スケジュール 取 組 内 容 民有林の積極的な購入 6 29 年 度 30 年 度 31 年 度 特に緊急度の高いエリアから購入を実施 32 年 度 (2)購入が難しい民有林への対策 ○ 民 有 林 重 点 購 入 地 域 に あ り な が ら 、購 入 に つ い て 所 有 者 の 同 意 を 得 ら れ な い 場 合 に も 、個 々 の 状 況 を 踏 ま え た 上 で 、水 源 地 の 適 切 な 保 全 ・ 管 理 に向けた対応を行います。 ○ 相 続 が 繰 り 返 さ れ る な ど の 結 果 、所 有 者 が 不 明 の ま ま 放 置 さ れ 、崩 落 の 危 険 等 が あ る 民 有 林 に つ い て は 、水 道 局 が 保 全 育 成 に 積 極 的 に 関 与 す る 方策を検討します。 ○ 庁 内 各 局 や 関 係 機 関 等 が 実 施 し て い る 森 林 整 備 関 連 事 業 の 適 用 な ど 、多 様な制度を活用した手厚い取組を検討します。 ■ スケジュール 取 組 内 容 購入が難しい 民有林への対策 29 年 度 30 年 度 31 年 度 32 年 度 検 討・順 次 実施 7 (3)民有林の公募購入 ○ 平 成 2 2 年 度 か ら 、手 入 れ が で き ず 所 有 者 が 手 放 す 意 向 が あ り 、一 定 の 要件(多摩川と日原川との合流点より上流域に位置するなど)を満た す民有林の公募購入を実施してきましたが、将来にわたって水源地を 良好な状態で保全するため、森林の持つ多面的機能が十分に発揮され るよう、引き続き本施策を実施します。 ○さらに広報を強化することにより、民有林重点購入地域以外の民有林 についても、購入を推進します。 ■ スケジュール 取 組 取 組 民有林の公募購入 29 年 度 30 年 度 31 年 度 32 年 度 継続実施 これまでの公募購入実績 年度 受付件数 購入実績 平成22年度 3 件 ( 約 5 2 6 ha) ― 平成23年度 1件 (約1ha) ― 平成24年度 6 件 ( 約 7 2 3 ha) 2 件 ( 約 3 6 ha) 平成25年度 4 件 ( 約 4 5 ha) 3 件 ( 約 1 ,0 0 1 ha) 平成26年度 1 1 件 ( 約 4 2 4 ha) 3 件 ( 約 1 0 9 ha) 平成27年度 1 5 件 ( 約 3 8 9 ha) 1 1 件 ( 約 1 3 4 ha) 4 0 件 ( 約 2 ,1 0 8 ha) 1 9 件 ( 約 1 ,2 8 0 ha) 計 8 (4)多摩川水源森林隊の活用による保全活動 ○ 水 道 局 は 、多 摩 川 上 流 域 に お い て 林 業 の 不 振 な ど に よ り 手 入 れ の 行 き 届 かない民有林のうち、土地所有者から活動の同意を得た場所を対象に、 ボ ラ ン テ ィ ア の 方 々 の 手 で 緑 豊 か な 森 林 に 再 生 す る 活 動 を 実 施 す る「 多 摩 川 水 源 森 林 隊 」 を 、 平 成 14 年 度 に 設 立 し ま し た 。 ○ 今 後 も 下 刈 、間 伐 、枝 打 や 道 づ く り と い っ た 森 林 保 全 活 動 を 、継 続 し て いきます。 ○ ま た 、従 来 の 活 動 に 加 え 、民 有 林 重 点 購 入 地 域 に あ り 、購 入 に つ い て 所 有者の同意を得られない民有林でも水道局による保全作業の実施につ い て 了 解 を 得 ら れ る 場 合 は 、安 全 の 確 保 に 十 分 配 慮 し な が ら 、多 摩 川 水 源森林隊を活用して森林の再生を実施します。 ■ スケジュール 取 組 取 組 多摩川水源森林隊 による保全活動 29 年 度 30 年 度 31 年 度 32 年 度 継続実施 (5)購入した森林の再生 ○ 民 有 林 重 点 購 入 地 域 の 内 外 を 問 わ ず 、購 入 し た 森 林 は 、購 入 後 早 期 に 現 地踏査による森林の荒廃状況の詳細な調査を実施します。 ○ 調 査 結 果 に 基 づ き 、土 砂 流 出 な ど 小 河 内 貯 水 池 へ の 影 響 等 を 考 慮 し 保 全 の優先度を付け、順次、保全育成を実施します。 【保全育成の例】 ・倒木等を除去するなど、林内整理を実施します。 ・森林保全作業などに必要な作業用歩道を整備します。 ・間伐※1 や枝打※2 などを行い、森林内を明るくし、植栽木や地表面の草 木の生育を促進します。 ■ スケジュール 取 組 内 容 購入した森林の再生 29 年 度 30 年 度 31 年 度 32 年 度 実施 ※1 植 栽 木 の本 数 密 度 を調 整 するための間 引 き作 業 ※ 2 森 林 内 の 環 境 を 整 え る ため 、 枝 を 切 り落 と す作 業 9 第3章 1 多様な主体と連携した森づくり 現状と課題 (1)水源地保全の取組に対する認知度と社会状況 こ れ ま で 水 道 局 は 、 多 く の 都 民 に 親 し ま れ る 水 源 林 を 目 指 し て 、「 水 源 地 ふ れ あ い の み ち ※ 」な ど の 広 報 施 設 の 整 備 や「 水 源 林 ふ れ あ い ウ ォ ー ク 」 な ど の 広 報 イ ベ ン ト を 実 施 し 、水 源 地 の 重 要 性 を 理 解 し て い た だ く 機 会 を 創出してきました。 し か し 、水 道 局 が 行 っ た「 平 成 2 7 年 度 お 客 さ ま ニ ー ズ 把 握 調 査 」で は 、 「 水 源 地 保 全 の 取 組 に 対 す る 期 待 度 」 は 75% 以 上 と 非 常 に 高 い 一 方 で 、 「 同 取 組 に 対 す る 認 知 度 」 は 約 30% と 低 い 結 果 と な っ て い ま す 。 【水源地保全の取組に対する期待度】 0.5% 1.1% 【水源地保全の取組に対する認知度】 1.5% 6.9 % 75.5 % 6.6 % 期待する 16.0% やや期待する 42.4% 28.7 % 22.1% どちらともいえない 聞いたことがある程度 あまり期待しない 知らない 期待しない 無回答 33.1% 知っている 無回答 69.7% < 平 成 27 年 度 お 客 さ ま ニ ー ズ 把 握 調 査 結 果 > ま た 、企 業 等 に お い て は 、近 年 の 環 境 意 識 の 高 ま り や 地 球 温 暖 化 防 止 に 向 け た 社 会 的 要 請 の 強 ま り か ら 、C S R( 企 業 の 社 会 的 責 任 )活 動 の 一 環 と し て 、企 業 等 の 社 員 が 植 栽 や 間 伐 作 業 を 体 験 す る な ど の 森 づ く り 活 動 が 各地で実施されています。 こ れ ら の 状 況 も 踏 ま え 、今 後 も 着 実 に 水 源 の 森 づ く り を 進 め て い く に は 、 水 道 局 が 行 っ て い る 水 源 地 保 全 の 取 組 や 重 要 性 に つ い て 、よ り 一 層 多 く の 方々に理解していただけるよう広報を強化していくことが重要となって います。 ※ 多 く の方 々に 水 源 林 を 訪 れていただき 、森 林 の 働 きと環 境 保 全 の 大 切 さを 理 解 し ていただく ため、水 道 局 が整 備 し た散 策 路 10 (2)新たな森林被害の顕在化 水 道 局 で は 、こ れ ま で の 水 源 林 の 管 理 を 通 じ て 、シ カ 食 害 等 の 課 題 に 対 応 す る た め 、知 見 を 有 す る 大 学 か ら 、助 言 を 得 る な ど の 対 策 を 図 っ て き ま したが、依然として被害が解消していません。 さ ら に 、近 年 水 源 林 内 で は 、新 た に ク マ に よ る 樹 木 被 害 な ど が 顕 在 化 し て い ま す 。こ の よ う に 多 面 的 で 複 雑 化 し て い る 課 題 へ 対 応 す る た め 、知 見 を有する大学と更なる連携強化を図っていく必要があります。 (3)地域社会とのコミュニケーション これまで水道局では、多摩川水系上下流交流会※の実施や、地元自治体 主催のイベントへのブース出展等を通じて地元自治体等との連携を行っ てきました。 今 後 も 水 源 地 を 適 切 に 保 全 し て い く た め に は 、水 源 地 域 の 振 興 は 欠 か せ ま せ ん 。そ の た め 、水 源 地 域 の 魅 力 を 多 く の 方 々 に 発 信 す る な ど 、地 元 自 治体や関係機関等と更なる連携が必要となっています。 多摩川水系上下流交流会の様子 ブース出展の様子 ※ 多 摩 川 水 源 地 域 に住 む人 々と水 を利 用 する人 々とが、交 流 を通 じて、水 や水 を育 む森 林 の大 切 さ について 意 識 を高 め、相 互 の 理 解 を 深 めることを目 的 に、小 河 内 貯 水 池 の 見 学 、特 産 品 の 制 作 体 験 、水 源 林 散 策 などを 実 施 11 2 取組の方向性 都 民 や 企 業 の 水 源 地 保 全 に 対 す る 期 待 に 応 え る と と も に 、将 来 に わ た っ て 適 切 な 水 源 林 の 保 全 を 行 っ て い く た め 、都 民 な ど 多 様 な 主 体 と の 連 携 を 強化し、水源地の重要性の理解促進と課題解決を図っていきます。 ○ 都 民 と の 連 携 : より多くの都民の参加に向けたメニューの充実と利便性の向上 ○企業との連携:企業と協働して森林保全を行う新たな施策を実施 ○ 大 学 と の 連 携 : 共同研究による課題解決、学生による森林保全活動を実施 ○ 地 元 自 治 体 や N P O 等 と の 連 携:水 源 地 へ の 理 解 と 地 元 文 化 の 相 乗 的 な 情報発信と取組の充実 ま た 、よ り 多 く の 方 の 参 画 を 促 進 す る た め 、ホ ー ム ペ ー ジ や リ ー フ レ ッ ト な ど を 活 用 し 、事 業 の 実 施 状 況 や 成 果 、イ ベ ン ト の 開 催 予 定 な ど に つ い て積極的に情報発信していきます。 3 12 体系 4 取組内容 (1)都民と連携した森づくり ア 都民サポーター制度 ○ 水 源 地 へ の 来 訪 や 森 林 保 全 作 業 に 参 加 す る こ と が 難 し い 方 に も 、気 軽 に 水 源 地 へ の 関 心 を 持 っ て い た だ く た め 、都 民 等 を 対 象 と す る「 都 民 サ ポ ーター制度」を新たに導入します。 ○ 都 民 サ ポ ー タ ー 制 度 は 、イ ン タ ー ネ ッ ト な ど を 活 用 し て 無 料 で 申 込 み ・ 登録を行います。 ○ 登 録 し て い た だ い た サ ポ ー タ ー に は 、メ ー ル マ ガ ジ ン に よ り 水 源 地 の 状 況 や イ ベ ン ト 、地 域 の 情 報 な ど を 配 信 し 、水 源 地 域 の 魅 力 を 積 極 的 に 発 信するとともに、森づくり等に関する意見を募集します。 ○ サ ポ ー タ ー が 実 際 に 水 源 地 を 訪 れ 、見 学 や 森 林 保 全 体 験 な ど を 行 う 企 画 を検討します。 イ 協力金制度 ○ 水 源 地 保 全 の 取 組 に 貢 献 し た い と い う 方 々 か ら 協 力 金 を 募 る 、協 力 金 制 度の創設を検討します。 ○協力金は 1 口千円程度とし、水源林の保全・育成に充当します。 ○協力者を対象とした、水源林の見学や森林保全体験などを実施します。 ○ 多 く の 方 々 か ら 賛 同 い た だ け る よ う 、協 力 金 出 資 者 へ の よ り 魅 力 的 な メ ニューについて検討します。 ウ 水源林ふれあいウォーク ○ 水 道 局 で は 、平 成 18 年 度 か ら 、森 林 を 散 策 し な が ら 職 員 が 直 接 、森 林 の 働 き や 樹 林 の 種 類 な ど に つ い て 説 明 を 行 う と と も に 、樹 皮 や 葉 の 香 り を 嗅 い だ り 、沢 の 水 に 触 れ る な ど の 自 然 体 験 を 提 供 す る「 水 源 林 ふ れ あ いウォーク」を実施しています。 ○ 今 後 は 、参 加 者 ア ン ケ ー ト 等 の 結 果 を 踏 ま え 、開 催 場 所 や 所 要 時 間 な ど を 見 直 し な が ら 、よ り 多 く の 方 々 が 参 加 で き る よ う 内 容 を 拡 充 し て い き ます。 13 エ 多摩川水源森林隊 ○ 水 道 局 は 、多 摩 川 上 流 域 に お い て 林 業 の 不 振 な ど に よ り 手 入 れ の 行 き 届 かない民有林のうち、土地所有者から活動の同意を得た場所を対象に、 ボ ラ ン テ ィ ア の 方 々 の 手 で 緑 豊 か な 森 林 に 再 生 す る 活 動 を 実 施 す る「 多 摩 川 水 源 森 林 隊 」 を 、 平 成 1 4 年 度 に 設 立 し ま し た 。( 再 掲 ) ○ 今 後 も 下 刈 、間 伐 、枝 打 や 道 づ く り と い っ た 森 林 保 全 活 動 を 、継 続 し て い き ま す 。( 再 掲 ) ○ さ ら に 、こ れ ま で 多 摩 川 水 源 森 林 隊 の 勧 誘 活 動 の 一 環 と し て 実 施 し て き た 体 験 学 習 を 、よ り 多 く の 方 々 が 気 軽 に 参 加 で き る よ う リ ニ ュ ー ア ル し ていきます。 ■ スケジュール 取 組 内 容 都民サポーター制度 29 年 度 31 年 度 32 年 度 実施 協力金制度 検討 水源林ふれあいウォーク 充実・実施 多摩川水源森林隊 拡充・実施 水源林ふれあいウォーク実施状況 14 30 年 度 実施 多摩川水源森林隊の活動状況 (2)企業と連携した森づくり ア 東京水道~企業の森(ネーミングライツ) ○ 水 道 局 と 企 業 が 協 働 し て 森 づ く り を 行 う た め 、水 源 林 の 一 部 に ネ ー ミ ン グライツを導入します。 ○ ネ ー ミ ン グ ラ イ ツ 費 用 は 1 ha 当 た り 1 年 間 で 50 万 円 ( 1 区 画 は 2 ha か ら 3 h a を 予 定 )と し 、 「 東 京 水 道 ~ 企 業 の 森 」エ リ ア を 含 む 水 源 林 の 保全・育成に充当します。 ○期間は、原則3年間とします。 ○ 参 画 企 業 は 、「 東 京 水 道 ~ 企 業 の 森 」 を 活 用 し て 森 林 保 全 作 業 体 験 な ど の 社 員 研 修 や 、水 源 林 の 機 能 に 支 障 を 及 ぼ さ な い 範 囲 で 企 業 独 自 の 看 板 設置や広報活動等様々な用途に活用することができます。 ○ 水 道 局 は 、ホ ー ム ペ ー ジ や 地 域 広 報 誌 の 活 用 、広 報 施 設 へ の 看 板 設 置 な どにより、参画した企業の情報等を積極的に情報発信します。 ○ よ り 多 く の 企 業 と 連 携 を 図 る た め 、水 道 局 は 、本 取 組 を 記 載 し た リ ー フ レットの配布などにより、積極的な広報を実施します。 ○ 平 成 29 年 度 か ら 試 行 し 、 課 題 抽 出 と 対 策 を 講 じ た 上 で 、 平 成 30 年 度 から本格実施します。 イ 企業協賛金制度 ○ よ り 多 く の 企 業 に 、水 源 林 の 森 づ く り に 参 画 し て い た だ く た め 、企 業 協 賛金制度を導入します。 ○ 協 賛 金 は 1 口 1 年 間 当 た り 1 0 万 円 と し 、水 源 林 の 保 全 ・ 育 成 に 充 当 し ます。 ○ 水 道 局 は 、ホ ー ム ペ ー ジ や 地 域 広 報 誌 な ど を 活 用 し て 、協 賛 企 業 に 関 す る情報を積極的に発信します。 ○ 平 成 29 年 度 か ら 試 行 し 、 課 題 を 抽 出 し て 対 策 を 講 じ た 上 で 、 平 成 30 年度から本格実施します。 ■ スケジュール 取 組 内 容 29 年 度 30 年 度 東京水道~企業の森 試行 本格実施 企業協賛金制度 試行 本格実施 31 年 度 32 年 度 15 (3)大学と連携した森づくり ア 大学との共同研究 ○ 水 源 林 や 小 河 内 貯 水 池 に 関 す る 課 題 に 対 し て 、知 見 を 有 す る 大 学 な ど の 研究機関と共同研究を行い、課題への対応策を検討します。 【研究例】シカ食害などによる森林被害と対策 ニホンジカ等の被害を予防するため、 侵入防止柵を設置するなどの取組を実施 してきましたが、依然としてシカ食害な どにより、天然林の持つ機能が低下しつ つあることから、天然林の機能低下の要 因を解明し、長期的な影響を予測すると ともに、有効な対応策を検討します。 シカ侵入防止柵を設置した状況 イ 学生による森林保全活動 ○水源地保全への理解促進のため、共同研究を 実施する大学やその他の大学の学生による森 林保全活動を実施します。 ○より多くの学生に水源林の理解を深めてもら うため、大学の学習プログラム(カリキュラ ム、ゼミ活動等)の一環として実施していた だく方法を検討します。 学生による森林保全活動(イメージ) ■ スケジュール 取 組 内 容 29 年 度 大学との共同研究 実施 学生による森林保全活動 実施 16 30 年 度 31 年 度 32 年 度 (4)地元自治体や関係機関等との連携 ア 地元自治体等と連携した共同イベントの開催 ○水道局はこれまでも地元自治体が行うイベントにブース出展するなど、 連携を図ってきました。 ○ 今 後 は 、新 た に イ ベ ン ト の 共 同 開 催 や 水 道 局 と 地 元 自 治 体 各 々 の 施 設 等 に お け る 相 互 展 示 、ス タ ン プ ラ リ ー の 開 催 等 、さ ら に 広 範 に 連 携 を 強 化 することで、集客力を向上させ、水源地保全の理解を促進します。 イ 地元文化に触れる機会の創出 ○ 地 元 自 治 体 等 と 連 携 し て 、企 業 や 学 生 に よ る 森 林 保 全 作 業 体 験 等 の 際 に 、 地元文化に触れる機会を創出します。 ○ 多 く の 方 々 に 地 元 文 化 に 触 れ る 機 会 を 創 出 す る こ と に よ り 、水 源 地 保 全 の理解促進と同時に地元自治体の地域振興にも寄与します。 ウ 水源地域の魅力の発信 ○ 水 源 地 域 の 魅 力 を 発 信 し 訪 問 者 を 誘 致 す る た め 、水 道 局 と 地 元 自 治 体 等 が共同で水源地保全の取組や地元の特色などを展示する広報イベント の開催を検討します。 ○ 都 民 サ ポ ー タ ー 制 度 に 登 録 し て い た だ い た 方 に 、メ ー ル マ ガ ジ ン を 活 用 し て 水 源 地 の 状 況 や イ ベ ン ト 、地 域 の 情 報 な ど を 配 信 し 、水 源 地 域 の 魅 力 を 積 極 的 に 発 信 し ま す 。( 再 掲 ) エ 関係機関等との連携 ○ 引 き 続 き 、庁 内 関 係 各 局 と 花 粉 症 対 策 や シ カ 被 害 対 策 に お い て 連 携 し て い く と と も に 、本 計 画 に 掲 げ た 取 組 を 関 係 機 関 が 開 設 す る ホ ー ム ペ ー ジ への掲載等を依頼し、広く情報発信します。 ○ 民 有 林 重 点 購 入 地 域 で の 購 入 が 難 し い 民 有 林 の 対 策 と し て 、庁 内 各 局 や 関 係 機 関 等 が 実 施 し て い る 森 林 整 備 関 連 事 業 の 適 用 な ど 、多 様 な 制 度 を 活 用 し た 手 厚 い 取 組 を 検 討 し ま す 。( 再 掲 ) ○ ま た 、N P O 等 と 連 携 す る こ と で 、水 源 地 の 森 づ く り を 進 め る と と も に 、 取組メニューの充実を図ります。 17 ■ スケジュール 取 18 組 内 容 29年度 30年度 地元自治体等と連携し た共同イベントの開催 調整 実施 地元文化に触れる機会 の創出 調整 水源地域の魅力の発信 実施 関係機関等との連携 順次実施 実施 31年度 32年度
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