医療ICT NEWS FILE 20170225 vol.032

診療報酬・薬価から臨床・創薬まで 高度情報化医療の明日を伝える
No.
2017.2.25
株式会社じほう 〒101-8421 東京都千代田区猿楽町1-5-15 猿楽町SSビル TEL 03-3233-6351
連載
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032
禁無断複写
医療 ICT最前線 の本号の掲載はお休みしました
厚労省規格の電カルデータ提出
特定機能病院の承認要件化検討も
厚労省
3 第 2 回NDB オープンデータ、加算の算定回数を公表へ
厚労省・有識者会議
9 服薬センサー製剤、今年前半にも米で再申請
大塚製薬のチップ埋め込み「エビリファイ」
INFRASTRUCTURE
3
4
5
医療のアウトカム評価「今後も重点課題に」 迫井医療課長
「年 4 回」の対象、NDB で売り上げ把握を検討 厚労省・中山薬剤管理官
ICT 活用した遠隔診療の推進で応酬 外来医療で議論開始、中医協
6
「ICT による効率化で介護現場の負担軽減を」 国際医療福祉大・高橋教授
6
代理機関の担い手「株式会社も」 ビッグデータ・コンソーシアムが提言
7
有床診のさらなる評価へ「エビデンスの情報提供を」 日医・松本常任理事
8
日本航空・大西会長、
「プレゼンティーズム」の試算を データヘルス議連で提言
8
居宅サービス事業所の業務効率化へ ICT 活用 厚労省が GL 策定
SERVICE
10
「スマホ依存」に警鐘、日医と小児科医会がポスター作成
10
薬局・病院向け「医療通訳」、13 日から提供開始 ITX
11
薬剤師業務支援アプリが 10 万ダウンロード突破 リクルートメディカルキャリア
11
MEX、在宅患者の「医療費あと払いサービス」500 店舗へ 関西メディコが全店舗で導入、アインも拡大
12
薬剤師が選ぶ製薬企業サイト トップはサノフィ、
「薬剤師向けコンテンツ充実 ネグジット総研調査
12
日調のお薬手帳プラスに感染症情報の新コンテンツ
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INFRASTRUCTURE
厚労省規格の電カルデータ提出
特定機能病院の承認要件化検討も
厚労省
厚生労働省は、電子カルテデータなどのデータ標準化のさらなる推進に向けた議論に乗
り出す。昨年 10 月に「保健医療分野における ICT 活用推進懇談会」が厚労省規格に準拠し
た検査値や病名データなどの提出を、一部医療機関に求めることを提言したことを受け、
特定機能病院などの承認要件に「厚労省規格によるデータ提出」を定めることなどが焦点の
一つになりそうだ。
厚労省はこれまでに「ICD10 対応標準病名マ
ループ(WG)のほか、予防・健康データ WG や
スター」や「臨床検査マスター」などを厚労省標
介護データ WG があり、各 WG の意見を集約し、
準規格に採用し、医療機関の実装を推奨。医療
今夏までに成果を取りまとめる方向。こうした
情報システムの各種施策や補助事業などでは規
データを活用するシステムは、2020 年度から
格実装を求めるなど、標準化を促進してきた。
の本格稼働を目指している。
今年 1 月に新設した「データヘルス改革推進
電カル導入率の高い医療機関
カルテ保存義務期間の延長も
本部」
(本部長=塩崎恭久厚生労働相)では、健
康・医療・介護データを有機的に連結させ、▽疾
患の原因究明▽治療法開発▽創薬▽新サービス
創出―などの実現を目指している。そのために
このほか同懇談会の提言を受け、医療機関で
は各分野、各施設からのデータが標準化され、
のカルテ保存義務の期間延長の是非も議論す
規格がそろっていることが重要で、従来の標準
る。現状、医師法で保存義務が課せられている
化促進にとどまらず、「標準化の徹底」
(懇談会
のは 5 年間だが、電子カルテの導入率の高い医
報告書)が求められている。
療機関では、期間延長を含めた検討が進むとみ
標準化を強力に推し進めるため、一定規模以
られる。
上、もしくは一定の役割を果たす医療機関につ
保存義務期間を延長することで、患者の過去
いて、厚労省規格準拠の病名や検査値などの
の既往歴や服薬歴などの情報を今まで以上に把
データ提出を、医療機関の承認要件に追加する
握できる環境を整えるほか、医薬品副作用被害
ことなどが検討される見込み。対象となる病院
救済制度や予防接種後健康被害救済制度の支給
は、特定機能病院やがん診療連携拠点病院など
申請の際にも、診療録による確認が容易になる。
が想定されるが、具体的な対象範囲は今後議論
対象となる医療機関の電子カルテ導入率をどこ
する。今回立ち上がった推進本部などで検討が
に設定し、どの程度の期間延長とするかも今後
進む見通しだ。
の焦点になる。
推進本部の下には、医療データワーキンググ
2017年 2 月2日【MEDIFAX】 規制・GL
医療 ICT
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2017.2.25
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INFRASTRUCTURE
第 2 回 NDBオープンデータ
加算の算定回数を公表へ
厚労省・有識者会議
厚生労働省の「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」
(座長=山本隆一・医療情報シス
テム開発センター理事長)は 8 日、第 2 回 NDB オープンデータで、主な加算項目の算定回数を
集計し、厚労省のウェブサイトで公開することを了承した。診療行為に関連した加算(または
減算)のほか、看護配置加算など基本項目加算の算定回数も都道府県別、性年齢階級別にエク
セル形式で掲載される方向だ。
2017年 2 月8日【MEDIFAX】
事 業
第 1 回オープンデータでは、2014 年度診療分の各
医科診療行為の算定回数が性年齢階級別、都道府県
別にサイトで公開された。同様の算定回数に加え、
第 2 回は 15 年度のそれぞれの診療行為の加算や減
算の算定回数も掲載される。例えば、
「骨折観血的手
術(足)」の算定回数だけでなく、その手術で「時間外
加算」が何回算定されたかが公表される。
「看護配置
加算」など基本項目加算の算定回数も開示され、あ
有識者会議は主な加算項目も集計・公表することを了承した
る年齢層の患者が入院した際に、同加算が何回算定
されたかが分かるようになる。
る。事務局の保険局医療介護連携政策課は「内服薬
に関する試算では、第 1 回の 30 位までではカバー率
薬剤データ、トップ 100 品目まで
が約 50%だったが、100 位まで広げると約 70%に
薬剤データについては、薬価収載の基準単位に基
ことができる」と説明した。
づき、薬効別に 15 年度の処方数の上位 100 位の品
第 2 回の公表時期について、同課は第 1回が 16 年
目まで公表する。第 1 回の「上位 30 位」から拡大す
10 月だったことを踏まえ、
「10 月より早く」とした。
なる。日常的に医療現場で使う薬剤はおおむね示す
医療のアウトカム評価「今後も重点課題に」
迫井医療課長
2017年 2 月13日【MEDIFAX】 規制・GL
厚生労働省保険局の迫井正深医療課長は 11 日、広
の同時改定での回復期リハビリを巡る総合討論で、
島市内で開かれた回復期リハビリテーション病棟協
座長の石川誠氏(回復期リハ協常任理事、医療法人
会(回復期リハ協)研究大会のシンポジウムで、医療
社団輝生会理事長)から医療・介護の質評価に関す
におけるアウトカム評価の重要性が今後さらに高ま
る今後の方向性についての質問に答えた。
るとの認識を示した。2018 年度診療報酬・介護報酬
迫井課長はシンポジウムで、医療の質を高める取
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INFRASTRUCTURE
り組みとしては「診療
された格好だ。
報酬で施設基準やプロ
さらに、地域医療構想の回復期における回復期リ
セス要件を中心に評価
ハビリ病棟病床と、地域包括ケア病棟病床の関係に
してきた。一定程度改
ついても言及。迫井課長は「回復期リハビリ病棟と
善できた部分はある
地域包括ケア病棟の病床数を合算し、地域医療構想
が、これからは報酬や
の回復期の病床として機械的にはめ込むのは適切で
資源投入量だけではな
はないのではないか」と指摘。その上で「地域包括ケ
く、それが結果に結び
ア病棟は、今後は地域医療に生活の視点を踏まえた
付けることができるか
体制整備を目指すという期待を込めて創設された、
を評価していくことが
幅広い機能を含むもの。一方で、回復期リハビリ病
総合討論で答える迫井医療課長
重要。そうしたアウト
棟は一定の機能を前提にして設定されたものであっ
カム評価を重点的に行うことが今後の日本社会に
て、考え方が異なる病棟を直接比較しての議論はか
フィットするアプローチではないか」との見解を強
み合わないのではないか」と述べた。
調した。
また、迫井課長は「地域包括ケアシステムにおけ
シンポジウム前日の 10 日には回復期リハ協が 1
るリハビリテーション」をテーマに、医療・介護の改
月に実施した緊急調査で、回復期リハビリ病棟の実
革を巡る論点について私見を含めて解説した。▽人
績指数で基準を満たさないのが 657 病院中 2.4%に
口構造の変革▽医療資源の現状と課題▽ケアニーズ
とどまるとの調査結果を発表。16 年度改定では回復
の変化と多様性▽急速な技術革新(イノベーショ
期リハビリ病棟でのアウトカム評価が導入されてい
ン)―の 4 つの視点を提示した。特にイノベーション
るが、協会幹部からは実績指数における入院時 FIM
の論点では、高額な画期的新薬ばかりが注目されが
(機能的自立度評価)のダウンコーディングなどが
ちだが、ビッグデータや ICT などの利活用も含まれ
指摘されていた。今回、迫井課長がアウトカム評価
ると強調。回復期リハビリ病棟でも、こうした分野
を重視する方向を明言したことで、回復期リハビリ
の利活用が検討課題になるとの見方を示した。
の評価手法の在り方があらためて検討課題として示
「年 4 回」の対象、NDB で売り上げ把握を検討
厚労省・中山薬剤管理官
2017年 2 月9日【日刊薬業】 規制・GL
厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は
うことを議論してい
9 日、新薬を収載する年 4 回の機会を活用して薬価
る」と述べた。
を見直す新たな仕組みで対象にする「効能追加等で
現行の再算定の方法
市場が一定規模以上に拡大した医薬品」を特定する
は、市場拡大再算定だ
ため、「レセプト情報・特定健診等情報データベー
けでなく用法用量変化
ス」
(NDB)で使用量を調べ、薬価ベースの売り上げ
再算定、効能変化再算
額を把握することを検討していると明かした。レ
定 も あ る と 説 明 し、
「年 4 回」の仕組みにつ
ギュラトリーサイエンス学会が東京都内で開いたシ
ンポジウムで述べた。
いて「既存のやり方を
中山管理官は「使用量と薬価を掛ければ薬価ベー
活用するのか、新しい
スの売り上げが得られるので、NDB のデータで使用
仕組みを入れるのか否
量を把握し、うまく活用して薬価ベースでの売り上
か、という(根本的な)ところから議論している」と
げ額に相当するものを把握できるのではないかとい
述べた。
医療 ICT
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講演する中山管理官
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INFRASTRUCTURE
ICT 活用した遠隔診療の推進で応酬
外来医療で議論開始、中医協
2017年 2 月8日【MEDIFAX】 規制・GL
報酬改定での対応を検討するという方向は拙速では
ないか」と問題提起した。これに対し、支払い側の
幸野庄司委員(健保連理事)は病態が安定している
患者の対面診療に対する ICT 活用の推進に向けた
検討を要請。こうした取り組みを進めることで「患
者や医師などの負担軽減、医療費の節減になるので
はないか。ICT 診療について検討を進めるべき」と
提案した。さらに「遠隔診療で患者の希望があれば
処方箋はきれるのか」と質問。厚労省保険局の迫井
中医協総会(会長=田辺国昭・東京大大学院教授)
正深医療課長は「処方箋のやりとりは、現行法上で
は 8 日、外来医療について議論をスタートさせた。
必ずしも妨げているものではない」と答えた。
2018 年度診療報酬改定で検討課題となっている
「遠隔診療とICT 診療は別に考えるべき」
診療側・中川委員
「遠隔診療」を巡り、病態が安定している患者への対
面診療に ICT を活用した遠隔診療の検討を求める
支払い側と、対面診療の原則を強く求め、過度な ICT
活用の遠隔診療の推進に慎重姿勢を崩さない診療側
中川委員は、支払い側委員の主張に対し「“ 病態が
とで意見が対立した。
安定している ” かどうかは、かかりつけ医に定期的
厚生労働省は総会で、外来医療を巡る現在の状況
に通院し診察と検査を行って判断されるもの。ス
や患者の実態、診療内容と医療費、診療報酬上の評
マートフォンで報告すればいいというのは医療の原
価などを報告。その他の議題として遠隔診療を取り
則に反する。これは一歩も譲れない」と強調。
「通常
上げ、基本的な考え方として「あくまで直接の対面
の診療の場で ICT の技術が活用されるのは当然だ
診療の補完だが、直接の対面診療に代替し得る程度
が、遠隔診療と ICT を活用した診療とは別に考える
の患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる
べきだ」と指摘した。
場合、遠隔診療は直ちに医師法第 20 条等に抵触しな
支払い側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理
い」との解釈が示されていることを説明した。
事)は「診療は医師と患者が対面でという原則と両
遠隔診療を巡る議論では、診療側の中川俊男委員
立できる範囲で、ICT 化を検討してはどうか」と述
(日本医師会副会長)が「政府の未来投資会議で遠隔
べたが、幸野委員は「具体的にモデル的にやってみ
診療や AI などの取り組みを厚労省が示したが、遠隔
てはどうか」と提案。中川委員は「議論がかみ合わな
診療、AI を用いた診療支援に対して、18 年度診療
い。回答は保留する」と述べた。
医療 ICT
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INFRASTRUCTURE
「ICT による効率化で介護現場の負担軽減を」
国際医療福祉大・高橋教授
2017年 2 月8日【MEDIFAX】 規制・GL
を切るべき」と主張した。
政府の未来投資会議・構造改革徹底推進会合の
「医療・介護―生活者の暮らしを豊かに」会合で副会
具体的には、現場への普及が期待される技術とし
長を務める国際医療福祉大大学院の高橋泰教授が本
て見守りセンサーを例示。施設入居者の就寝・起床
紙の取材に応じ、
「ICT などの利活用が医療・介護の
の動作や、脈拍などの生命活動の状況を見守るシス
効率性向上の鍵」と強調した。具体的な検討課題と
テムで、何らかの異常を人工知能が検知した場合は、
して、見守りセンサーや記録の自動化など ICT 技術
介護職員の持つタブレット端末やスマートフォンな
による介護職員の負担軽減の必要性を指摘し、より
どに通知される仕組み。これにより、確実に駆け付
少ない職員数でより多くの入居者に対応できる可能
けるべきケースのみ職員が対応することができ、夜
性があることから、介護施設の人員配置基準の在り
勤時の定時の見回り業務の負担が軽減できる期待が
方も「再検討の余地が出る」との期待感を示した。
あるという。
高橋氏は団塊の世代が 75 歳を迎える 2025 年ま
高橋氏は適切に技術革新を取り入れることで現場
で 10 年を切った今、急増する後期高齢者に施設や人
の負担を軽減できるだけでなく、仮に従来 1 人の職
員の充実だけで対応することは、国家財政上、限界
員で 4 人を担当していたところ、6 人を担当するこ
があると指摘。一方で、
「診療報酬や介護報酬を単純
とができるようになれば、
「職員 1 人当たり、かなり
に削減すべきという考え方ではない」と強調し、ICT
の給与アップも可能になるのではないか」との見解
の利活用によって現場負担の軽減と効率性の向上を
を示した。例えば特別養護老人ホームの人員基準に
図ることで、サービスの質を高く保ちつつ、
「より少
ついても「再検討の余地が出る」と述べ、人員基準の
ない人員でより多くの入居者に対応する方向にかじ
柔軟化の可能性にも期待感を示した。
代理機関の担い手「株式会社も」
ビッグデータ・コンソーシアムが提言
2017年 2 月6日【MEDIFAX】 規制・GL
医療情報の利活用を
提言書では「医療産業の国際競争力強化を図る観
話し合う「医療ビッグ
点から、できる限り広く医療ビッグデータを活用す
データ・コンソーシア
る方向性の提示が求められる」と指摘。▽代理機関
ム」
(代表世話人統括:
の組織形態を制約せず、株式会社も含める▽ 2 次利
本庶佑・先端医療振興
用の目的に、できる限り制限を設けない▽対価を得
財団理事長)が「政策
てデータの 2 次利用を進める仕組みをつくる▽代理
提 言 2016」を 取 り ま
機関のセキュリティー要件を技術の進展に応じて見
とめ、6 日の記者会見
直す―などを提案した。
で発表した。カルテ情
会見で松田文彦・代表世話人(京都大大学院医学
報や検査結果を匿名加
工して研究機関や製薬
研究科付属ゲノム医学センター長)は、代理機関を
松田代表世話人らが記者会見を
行った
担う組織について「公的機関が悪いわけではない」
企業、行政機関に提供
と強調した上で、「民間のスピード感や柔軟性のあ
する「医療情報匿名加工・提供機関(仮称)」
(代理機
る対応を考慮してもよいのではないか」と説明し
関)の組織形態について、公的機関だけでなく、株
た。また、2 次利用は健康・医療に資する目的を念頭
式会社も考慮に入れるよう提言した。
に置くが、どこまで営利目的を認めるかは「制度設
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INFRASTRUCTURE
計次第だ」との見解を示した。
害対応にも万全を期す。これにより、記録規格の標
ICT 技術の進化を踏まえた「次世代病院医療情報
準化が促進されるほか、コスト効率の向上などが期
システム」
(NHIS)の確立も当面の課題に位置付け
待できるという。
た。NHIS は、医療関係者が院内・院外から接続可
ナショナルデータベース(NDB)の民間活用の促
能なクラウドシステムで、膨大なデータを迅速に病
進も要望。NDB を活用できる東京大や京都大のオン
院間でやりとりすることを想定。院内でサーバーを
サイトセンターへの資金・人材的な支援強化を訴え
設置するのではなく、セキュリティーの堅牢な共有
た。民間による NDB 活用機会の拡大に向けた議論
サーバーで運用することなどにより、地震などの災
を加速することも求めた。
有床診のさらなる評価へ「エビデンスの情報提供を」
日医・松本常任理事
2017年 2 月6日【MEDIFAX】 規制・GL
日本医師会の松本吉郎常任理事は 4 日、熊本市内
たは複合型サービスを受けている場合は「当該サー
で開かれた九州医師会連合会・医療保険対策協議会
ビスの利用を開始した日から 30 日間に限り算定で
で、有床診療所の診療報酬上の評価をより高めるた
きる」となったことを取り上げた。
め「これまで以上に有床診特有の機能を示していく
「在宅で訪問診療を行っている医療機関は、患者が
ことが必要。評価を引き上げるためには十分なエビ
このサービスを受けるようになって 30 日を超えた
デンスが必要になるので、日医に要望・情報提供し
場合は、いったん自宅に戻って訪問診療を行わない
てほしい」と呼び掛けた。
と算定できない。短期間の収容を想定しているとい
同協議会では、有床診が減少の一途をたどってい
う趣旨は理解できるが、実際には、がんの末期患者
ることへの悲鳴や、診療報酬上のさらなる評価を求
の容体が悪化した場合など、やむなく 30 日を超えて
める声が上がった。このうち熊本県医は「減少に歯
入所しているケースも少なくない」などと指摘し、
止めがかからないのは、開設者の高齢化、夜間看護
柔軟な対応ができるよう改善を求めた。
スタッフの確保が困難、後継者問題などが一因とさ
これに対し松本常任理事は「次期同時改定で、よ
れている。入院基本料の底上げ、夜勤看護配置加算、
り運用しやすい形に修正できるよう検討したい」と
医師配置加算など、さらなる手当てをしないと消滅
答えた。
の危機に陥りかねない」と訴えた。
このほか同協議会では、要望として▽入院患者救
一方、大分県医は「要介護保険者である患者につ
急搬送時に入院基本料と救急搬送診療料を同時算定
いて、療養に要する費用の額を算定できる場合」と
できるようにすること▽救急搬送時の看護師同乗に
して、2016 年 4 月に「在宅患者訪問診療料、在宅時
対する新たな診療報酬の設定▽社会保険診療報酬支
医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料」を算定
払基金の組織体制改革によって、医療機関にしわ寄
している患者について、小規模多機能型居宅介護ま
せが及ばないようにすること―などが上がった。
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INFRASTRUCTURE
日本航空・大西会長、
「プレゼンティーズム」の試算を
データヘルス議連で提言
2017年 2 月14日【MEDIFAX】 事 業
自民党と公明党の国会議員でつくる「データヘル
業務効率が落ちている状況)」の損失コスト試算を
ス推進議員連盟」
(田村憲久会長)は 14 日、健康経営
挙げ、結果が出れば「経営者にとって非常に大きな
の取り組みについて大西賢・日本航空会長にヒアリ
追い風になる」と述べた。
ングした。大西氏は、短期的な経済効果も要求され
大西氏は同社の取り組みとして、がんに罹患した
る企業が健康経営を目指す場合、コスト面などから
社員に対する治療・就労の両立支援を紹介。過去 5 年
投資をためらう現実があることに言及し、投資を後
間でがん患者約 250 人のうち 8 割程度が職場復帰を
押しするような支援を要望した。例として、国内の
果たしたという。喫煙対策として、
本社事業所の役員
公的機関による「プレゼンティーズム(健康問題で
フロアを含む全喫煙所を閉鎖したことも説明した。
居宅サービス事業所の業務効率化へ ICT 活用
厚労省がGL 策定
2017年 2 月13日【MEDIFAX】 事 業
厚生労働省老健局は、介護の居宅サービス事業所
入前後の生産性を分析・検証する業務効率化のモデ
における生産性や職場の魅力向上のため、業務効率
ル事業を実施。調査内容は▽市町村の指導監査業務
化に向けたガイドライン(GL)を策定する。各事業
などに与える課題の把握▽手作業で行われている事
所が帳票などの文書量の削減やサービス提供に関わ
業所内業務のペーパーレス化などによる業務改善効
る記録作業の ICT 化を進め、「現場でのサービス提
果―などで、1 月末までのデータを年度内に取りま
供」以外の業務負担を軽減するよう促していく。現
とめる。それらのデータを基に、GL を作成する。
在、事業所での ICT 導入前後の生産性の変化などに
効率化の具体的なイメージとしては、利用者宅で
ついてモデル事業を進めており、その結果を踏まえ、
サービスを提供し、その場で記録した情報を事業所
早ければ年度内にも GL を公表する。2017 年度中
に戻ってから日誌などに入力している場合、利用者
に、小規模事業所を中心に ICT 導入を拡大。最終的
宅でタブレット端末などを使用し、日誌の入力まで
には居宅サービス事業所に限らず、介護業界全体へ
済ませられるようにする。ICT 化により、文書量を
の普及を目指す考えだ。
減らし、記録した情報を関係者で共有することなど
介護分野における ICT 導入を含めた業務の効率
で、残業時間の削減や、本来の業務である介護サー
化について政府は、15 年度に示した「骨太の方針」
ビスに注力できる環境を整えることが狙いだ。
の「サービス業の生産性向上」の中で言及。官民で設
また市町村や都道府県、事業所を対象に、業務そ
立したサービス業の生産性向上協議会は介護につい
のものの必要性を検証するアンケート調査とヒアリ
て、飲食業や道路貨物運送業などと共に IT・ビッグ
ングも実施している。▽効率化が可能な業務▽効率
データ・設備の活用といった取り組みを推進し、
「働
化を図った場合の効果―などを洗い出し、業務量の
き手にとって魅力ある産業とする」とした。厚労省
削減による効率化を目指す。こちらも年度内に集計
ではこれまでに、ICT を活用している事業所と活用
する予定としている。
していない事業所の業務プロセスを比較するなど、
それらの結果によっては、18 年度の介護報酬改定
現場での実態の把握を進めてきた。
に併せて、ICT を活用している事業者に対する人員
昨年 11 月からは、訪問介護の 9 事業所と通所介護
や設備基準の緩和などの見直しが検討される可能性
の 31 事業所、計 13 法人 40 事業所を対象に、ICT 導
もある。
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SERVICE
服薬センサー製剤、今年前半にも米で再申請
大塚製薬のチップ埋め込み「エビリファイ」
大塚製薬は、服薬アドヒアランス管理の向上に向けて開発している抗精神病薬「エビリファ
イ」
(一般名=アリピプラゾール)にマイクロチップを埋め込んだ製剤を、今年前半にも米
FDA(食品医薬品局)に再申請する方針だ。FDA には一度、承認申請したものの、追加的な
データの提出を求められていた。今年の前半中に必要な試験の終了を予定しており、結果をま
とめた上で申請する。
2017年 2 月13日【日刊薬業】 薬局・医薬品
この製剤は、錠剤に埋め込まれた極小のマイクロ
ス・デジタル・ヘルス社と医薬品の開発・商業化に向
チップが胃液に反応することで発する電波を、患者
けたライセンス契約を締結。2015 年に両社が FDA
の腹部に貼り付けるパッチが検出する仕組み。パッ
に申請していた。
チからはデータベースに服薬の時間などが送信さ
この際、エビリファイは医薬品、センサー技術は医
れ、医師や患者・家族が錠剤を服用したことを正確
療機器としてFDA からの承認をすでに受けていたた
に確認できる。さらに、パッチからは睡眠状況など
め、それぞれのデータを別個に提出していた。しか
生活パターンに関するデータも把握することがで
し、FDA は実際に用いる場合と同様に、マイクロチッ
き、医師や薬剤師はこれらのデータを活用すること
プを埋め込んだ錠剤に関するデータが必要として、
で、服薬支援策や適切な剤形選択などの治療介入が
昨年春に審査を完了した。大塚製薬によると、米国
できるようになる。
内でチップ埋め込み型の錠剤を用いた試験を実施中
大塚製薬はセンサー技術を開発した米プロテウ
で、
年央ごろまでには試験が終了する予定だという。
医療 ICT
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SERVICE
「スマホ依存」に警鐘、日医と小児科医会がポスター作成
2017年 2 月15日【MEDIFAX】 医療・介護
スマートフォンに依
15 日に記者会見した小児科医会の松平隆光会長
存した生活を見つめ直
は「これからますます子どもたちがスマートフォン
してもらおうと、日本
と関わる機会が増えると思う。今まで以上に危機感
医師会と日本小児科医
を持って対応していきたい」と話した。
会は 2 種類の啓発ポス
ターを作成した。視力
や 脳 機 能、 コ ミ ュ ニ
ケーション能力などへ
の悪影響を指摘する一
「スマホ依存」の悪影響を説明する
小児科医会の松平会長
方、子育て中の父母に
対し、子どもと直接触
れ合う重要性を訴えて
いる。2 種類のポスターは、日医の全会員に配布す
るという。
薬局・病院向け「医療通訳」、13 日から提供開始
ITX
2017年 2 月13日【PHARMACY NEWSBREAK】 医療・介護
情報通信サービス事業を展開するアイ・ティー・
映像通訳サービス「みえる通訳」のオプション機能
エックス(東京都港区、荻原正也社長)は 13 日から、
で、医療専門の通訳オペレーターにつながり、タブ
病院や薬局向けの医療通訳サービスを開始した。医
レットやスマートフォンを利用して英語や中国語、
学知識と高い通訳スキルを持つオペレーターが、日
韓国語の 3 カ国語に対応する。提供時間は午前 8 時
本語を話せない患者と医療スタッフとのコミュニ
半~午後 6 時半までで、土日祝日・年末年始を除く。
ケーションをサポートする。2018 年 3 月末までに医
価格は、定額制の月額 3 万 5000 円(税別)。このほ
療機関や薬局など 300 施設への導入を目指す。
か、初期費用と「みえる通訳」の利用料金が追加さ
医療通訳は、14 年 9 月から販売開始した多言語
れる。
医療 ICT
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SERVICE
薬剤師業務支援アプリが 10 万ダウンロード突破
リクルートメディカルキャリア
2017年 2 月14日【PHARMACY NEWSBREAK】 薬局・医薬品
医療分野の人材紹介業を手掛けるリクルートメ
早見表」の 3 つのアプリで構成。最も利用されている
ディカルキャリア(東京都)は 14 日までに、薬剤師
「添付文書」は薬剤の販売名や一般名の検索、識別
をはじめとする医療職の業務効率改善・支援を目的
コード(刻印・記号)の検索に対応。薬の剤形写真や
としたスマートフォンアプリ「ヤクチエ」シリーズ
薬価、添付文書の情報を表示するほか、同一成分の
が 10 万ダウンロードを突破したと発表した。
検索で先発・後発医薬品を簡単に比較できる。
同シリーズは「ヤクチエ添付文書」
「同検査値」
「同
MEX、在宅患者の「医療費あと払いサービス」500 店舗へ
関西メディコが全店舗で導入、アインも拡大 2017年 2 月14日【PHARMACY NEWSBREAK】 薬局・医薬品
エムイーエックステクノロジーズ(MEX、東京都)
昨年 9 月から在宅患者の薬代集金ツールとして、薬
は 2018 年 3 月期末までに、薬局が在宅患者の薬代
局への提案を本格化した。従来は薬局向けを「お薬
を患者の口座から引き落としできる「医療費あと払
あと払いサービス」の名で運営してきたが、医療機
いサービス」で 500 店舗の導入を目指す。従来のア
関向けの「医療費あと払いサービス」と仕組みが同
インホールディングス(HD)での導入店舗が増加し
じため、同月には名称も統一した。
ていることもあり、昨秋から薬局への営業を本格化
昨年 12 月には関西メディコが同サービスの運用
した。すでに調剤薬局チェーンの関西メディコ(奈
を開始。従来の現金回収に代わる集金手段として全
良県)が導入したほか、複数のチェーンが導入を検
店舗で利用している。ほかにも中小のチェーンが導
討している。
入を検討しており、中には 30 店舗や 50 店舗クラス
同サービスは患者の薬代を 1 カ月分まとめて患者
のチェーンも見られる。
の口座から引き落としできるもの。同社は当月 1 カ
アイン HD の導入店舗数は従来 3 桁に満たなかっ
月分の薬代をまとめて翌月 27 日に患者の登録口座
たが、今では 200 店舗弱まで増加しており、毎月の
から引き落とすが、薬局には当月分を翌月 15 日に支
ように増えているという。ほかにも複数店舗を持つ
払う仕組み。薬代は同社が全額立て替えで支払うよ
薬局が利用しており、導入店舗は関東、東海、近畿
うにしたため、薬局にとっては督促の負荷がなくな
を中心に広がっている。導入薬局からは一般的な集
る。現金回収に比べ、現金授受のわずらわしさがな
金代行サービスに比べて、入金が早く、未収リスク
く、薬剤師業務に集中できるメリットがある。
や口座確認の手間もなくなる点を評価する向きが強
同社は数年前に同サービスを開始。近年、アイン
いという。
HD の導入実績が「かなり伸びてきた」
(MEX)ため、
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SERVICE
薬剤師が選ぶ製薬企業サイト トップはサノフィ、
「薬剤師向けコンテンツ充実
ネグジット総研調査
2017年 2 月13日【PHARMACY NEWSBREAK】 薬局・医薬品
ネグジット総研(神戸市)は 13 日までに、
「薬剤師
ツの充実を評価する声が上がった。2 位はファイ
が選ぶ製薬企業医療従事者向けサイト評価調査
ザー(11.6%)で、3 位にはアステラス製薬(5.1%)、
2016」の結果を発表した。薬局・病医院全体で、総
4 位には大塚製薬と武田薬品工業(2.9%)が入った。
合的に最も評価されたのはサノフィで、2 位にファ
勤務先別では、薬局のトップがサノフィ(15.0%)
イザー、3 位にはアステラス製薬が入った。
で、病医院ではファイザー(16.7%)だった。
調査は、2016 年 11 月 21 日から 17 年 1 月 31 日に
最も閲覧されたサイトでも順位変わらず
かけ、同社保有の薬剤師調査モニター 450 人(薬局
勤 務 300 人、 病 院・診 療 所 勤 務 150 人 )を 対 象 に
WEB アンケート形式で実施。製薬企業 55 社のサイ
また、16 年に最も閲覧された製薬企業の医療従事
トから評価できるものを選んでもらった。
者向けサイト(複数回答)も、1 位サノフィ(42.2%)
調査結果によると、総合的に最も評価された(単
で、2 位 フ ァ イ ザ ー(42.0%)、3 位 ア ス テ ラ ス
一回答)のは「サノフィ」で全体の 15.3%を占めた。
(37.1%)と総合評価と同じ順位だった。勤務先別で
薬剤師から「日常業務に役立つ情報が多い」
「薬剤師
は、薬局のトップがファイザー(39.7%)、病医院で
のためになる情報が多い」など薬剤師向けコンテン
はサノフィ(50.0%)だった。
日調のお薬手帳プラスに感染症情報の新コンテンツ
2017年 2 月6日【PHARMACY NEWSBREAK】 薬局・医薬品
日本調剤は 6 日、自社開発の電子お薬手帳アプリ
情報を提供。花粉症シーズンには、同社店舗で調剤
「お薬手帳プラス」で、流行中の感染症情報を提供す
された抗アレルギー薬の動向を基にした、首都圏で
る新コンテンツをスタートしたと発表した。今年 1
の花粉症推移情報も届ける。また、同社の薬剤師に
月末時点の登録者数は 13 万人を超えた。
よる流行中の感染症やアレルギーの予防方法、薬の
新コンテンツ「気になる流行ナビ」では、国立感染
服用アドバイスなども提供する。
症研究所の感染症週報を基にした全国の感染症流行
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