【解答への手引き(テーマ説明文)】 【解答】 【設問解説】

【解答への手引き(テーマ説明文)】
今回の話題は,VR(バーチャルリアリティー)すなわち「仮想現実」を利用した実用
機器についてです。架空の空間や遠く離れた場所を目の前にあるかのように体験できる
VR は,空間的・時間的な制約を超え,リアルな体感を可能にします。そんな VR を利
用したさまざまな機器について,その利点や問題点とともに紹介しています。
英文は一文一文がやや長めになっています。文の基本構造をしっかりとおさえながら
読み進めていきましょう。
【解答】
問1
①
ア
②
ウ
③
エ
問2
夫妻が注文した新居はまだ建設が始まっていなかったが,間取りを「実感する」
ために,彼らはゴーグルを着用した。
問3
イ
問4
ウ
問5
(c)
問6
ウ
問7
3番目:ア
問8
エ
問9
ア
6番目:キ
【設問解説】
問1
語意選択問題です。
①
正解はアです。「このような科学技術(=VR)は生活を便利で豊かなものにして
くれそうだが,VR (
①
) 注意すべき点もある」という文脈です。regarding は
前置詞で,「~に関して,~について」の意味です。
②
正解はウです。「認知度が高まるにつれ,それ以外の分野での(VR の)活用も
(
②
) し始めた」という文脈です。stand out は「目立つ,際立つ」という意味
の熟語です。ちなみに,outstanding「目立った,傑出した」という形容詞もあり
ますので,覚えておきましょう。
③
正解はエです。「しかし,VR の広範囲にわたる (
③
) には課題もある」とい
う文脈です。proliferation には「拡散,激増」といった意味があります。ここでは
「普及」と訳すと自然な日本語になるでしょう。
問2
下線部和訳問題です。
Although から始まる従属節と,they から始まる主節で成り立っています。
従属節は construction が主語,had not ... begun が述語動詞です。on the new
home と the couple ordered の間には,目的格の関係代名詞が省略されています。
主節は they が主語,wore が述語動詞,a pair of goggles「ゴーグル」が目的語
で,その後に to 不定詞句が続いています。hands-on は「実地での,実際的な」の
意味ですから,get a hands-on sense の訳語は(b)の「実感する」が適切でしょう。
floor plan は「間取り」の意味です。
以上より,「夫妻が注文した新居はまだ建設が始まっていなかったが,間取りを
『実感する』ために,彼らはゴーグルを着用した」などと訳すことができます。
問3
空所補充問題です。正解はイです。
1つめの文は,「疑似体験の結果,夫妻はリビングが狭く感じたため,余裕のあ
ったダイニング (
A
),リビングを広くするように設計図を変更することにした」
という文脈です。cut down on ~ で「~を減らす,~を削減する」の意味になりま
す。
2つめの文は,「(ソフトウェアは)建設会社や設計者向けのもので,8月に
(
A
),倉敷市のこの建設会社など約 40 社が導入した」という文脈です。go on sale
で「発売される」という意味になります。
問4
内容把握問題です。正解はウです。
下線部は,新居の間取りを VR で疑似体験した男性の発言です。pretty much は
「ほとんど」,eliminate は「~を除く,~を除去する」の意味ですから,「その不
安はほとんど解消された」という内容になります。
直前に「家が自分たちの想像通りにできるのか心配だった」という発言があるこ
とから,
「その不安」は「自分たちの想像通りのマイホームが完成するのだろうかと
いう不安」を指すことがわかります。したがって,ウが正解となります。
問5
文法問題です。正解は(c)です。
下線部(a)を含む文は,「男性は,設計図をもとに作ったコンピューターグラフィ
ックスの住宅を VR で体感できるシステムを利用した」という内容です。ここでの
that は,直前の system を先行詞とする主格の関係代名詞です。
下線部(b)を含む文は,「幼い子どもが使うと,目の発達に影響を及ぼす可能性が
あるという指摘もある」という内容です。この that は「同格の that」と呼ばれる
もので,that 以下が直前の indications の具体的な内容を説明しています。
下線部(c)を含む文は,
「これまで想像の中でしか思い描けなかった世界が,VR に
よって自分の目で見られるようになった」という内容です。この that は,worlds
を先行詞とする主格の関係代名詞です。
下線部(d)を含む文は,
「(それは)悪質な勧誘などに使われてしまうという恐れが
あり…」という内容です。この that は「同格の that」で,that 以下が直前の risk
の具体的な内容を説明しています。
問6
空所補充問題です。正解はウです。
1つめの文は,
「(
B
) 行かなくても立地の良さなどを感じとることができ,お
客様はそこでの生活を想像しやすくなる」という文脈です。in person は「直接自
分で」という意味の熟語です。
2つめの文は,「東京都内の高齢者介護デイサービス事業所でリハビリ (
B
)
理学療法士の男性は,現場で VR を活用する」という文脈です。in charge of ~ で
「~を担当して,~を任されて」という意味になります。
問7
語句整序問題です。正解は3番目:ア,6番目:キです。
[
] の前に thinking they want to visit ...「…を訪れたいと思うこと」とあ
るので,「思い出がよみがえる場所」の部分を続けます。「思い出をよみがえらせる
場所」と読みかえて,(a) place that brings back memories とします。thinking か
らここまでの動名詞句が,下線部の主語になります。
「(リハビリに対する)意欲につながっている」は「(リハビリに対する)意欲を
彼らに与えている」と考えて,gives them motivation (for their rehabilitation) と
すれば完成です。
正しく並べ替えた英文は,(thinking they want to visit a) place that brings back
memories gives them motivation (for their rehabilitation) となります。
問8
内容把握問題です。正解はエです。
下線部を含む文は,
「“VR sickness” が問題視されている。これは,目の前の映像
と,頭の動きや手元の操作との間にずれが生じると,乗り物酔いのように気分が悪
くなる症状だ」という内容です。ここから,エの「乗り物酔いのように気分が悪く
なること」が正解だとわかります。
問9
内容不一致文選択問題です。正解はアです。
(ア)
第8パラグラフ第1文で,
「消費者向けのゴーグル型端末が相次いで商品化され,
10 月には家庭用テレビゲーム機『プレイステーション VR』が発売されたことか
らもわかるように,VR は娯楽分野を中心に広がりを見せている」と述べられてい
ることと一致しません。
(イ)
第9パラグラフで,
「大阪市の大手住宅総合メーカーは,沖縄県にある分譲マン
ションの購入検討者に,沖縄の暮らしを疑似体験してもらうのに VR を利用してい
る」と述べられていることと一致します。
(ウ)
第 14 パラグラフで,「この(理学療法士の)男性は,高齢者の故郷やお気に入
りの旅先などを訪れ,全方位のイメージを撮影できるカメラで,高齢者が見る映
像を撮影する」と述べられていることと一致します。
(エ)
第 19 パラグラフで,「(VR の)リアルな映像は,従来のメディアよりもいっそ
う人々の心を動かします。…仮想空間とのバランスの良いつき合い方が求められ
るでしょう」と述べられていることと一致します。