「人生は、生涯勉強である」 石田 有世 人生においての経験には、「無駄」ということはないものです。しかし、後にならないとそれに 気付かないことが、たくさんあります。つらいことでも苦しいことでも、自ら体験したことは、間違い なく後々自分の強みになります。 これまでの教育は、出来上がった物事をただ記憶させるのが中心だったように思います。そ れだけでは、困難な問題にぶつかったときに解決が出来るような能力を獲得することは、なか なか出来ません。本当に学ぶべきなのは、問題にどのように取り組むべきか、その解決に向け てどういう手段・方法を取っていくのかということなのです。新しい教育手法やこれまで無かった 問題に対応するためには、定型的なことを教えることに精通するだけでなく、若手もベテランも 自分自身が学び続ける姿勢が求められています。 『芸術は長く 人生は短し』 この言葉は、「人間の一生は短いが、その人の作った芸術は長く世の中に残る(努力して優 れた作品を作りなさい)」という意味で使われています。しかし、もともとは 『術は長く 生は短し』 であって、しかもこの「術」は“芸術”ではなく、“医術”すなわち医学を指していたのだそうです。 「医学の勉強は難しく非常に時間のかかるものであるから、一生という(限られた)長くない時間 で医学の勉強をしようとする者は、十分に覚悟して常に努力をしなければならない。」という、古 代ギリシアの医者ヒポクラテスの教えが語源と言われています。ヒポクラテスは、当時の迷信 やおまじないに頼った医学を科学的な医学に変えた人物であり、また、医道を志す者は立派 な人格者にならなければならないということを自分の弟子に教えた人で、「医学の父」・「医聖」 と呼ばれています。「私たちにはやるべきことが沢山ありながら、しかし、それが出来る時間は 限られている、いつも時間や機会を大切にして努力をしよう」とは、医学を学ぶ者だけでなく誰 にとっても、普遍的な大切な教えであると思います。 現代に生きる私たちにとって、日常生活は非常に多忙ですが、だからこそ自分の時間を作り いろいろな体験や経験を重ねて欲しいと思います。そのことに無駄は無く、自分自身を必ず成 長させるはずです。 [2017.2.14 掲載]
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