1 治安情勢及び一般犯罪の動向 (1)具体的な発生事案 (ア)10月5日

(2016年10~12月)
1 治安情勢及び一般犯罪の動向
(1)具体的な発生事案
(ア)10月5日(水)午前,ガザ地区からロケット弾が発射され,スデロッ
ト市内(ガザ境界より約3km)の住宅地の路上に着弾した。翌6日(木)午
後にも,ガザ地区からロケット弾が発射され,ネゲブ地域(ガザ境界より約1
0数km)の空襲サイレンが吹鳴し,同地域オープン・エリアに着弾した。そ
れぞれ被害はなかったが,これを受けて,イスラエル国防軍による報復攻撃が
あった。
(イ)10月24日(月)午前,ガザ地区からロケット弾が発射され,シャー
ル・ハネゲブ地域(ガザ境界より約10km)の空襲サイレンが吹鳴,ロケッ
ト弾はガザ地区内に着弾した。これを受けて,イスラエル空軍によるガザ地区
への報復攻撃があった。
(ウ)10月26日(水),メトゥーラ(レバノンとの国境の町)において,
国境を警備していたイスラエル軍兵士が,レバノン側の車両から銃撃を受け負
傷する事案が発生した
(エ)11月9日(水)午前,シリア側から発射された迫撃砲弾がゴラン高原
北部(イスラエル実効支配地域)に着弾し,イスラエル軍が報復する事態が確
認された。
(オ)11月27日(日)午後,ゴラン高原南部において,イスラム国親派組
織とイスラエル国防軍の間で初めて直接的な応酬がなされた。
(2)一般犯罪の動向
イスラエル国家警察の統計によると,2015年の一般犯罪の発生件数は,3
41,447件で,約1分30秒に1件の割合で発生している。犯罪発生率を
人口比で日本と比較した場合,強盗は約10.5倍,性犯罪は約8.5倍,放
火は約38.5倍と凶悪犯罪の発生率が高いことが特徴的と言える。
2 殺人・強盗等凶悪犯罪の主な実例
(1)10月16日(日)午後、テルアビブ市ラガーディア通りの駐車場にお
いて、車両が爆破炎上し,車に乗っていた男性 1 人が死亡した。警察当局は,
犯罪組織による犯行と公表した。
(2)10月25日(火),北部ガラリア地方(テルアビブ市北東約100k
m)にある聖キリスト変容教会(タボール山上)が盗難に遭い,聖杯や寄付箱
等が盗まれ,聖人像が破壊された。
(3)11月16日(水)午後,ラマットガン市(テルアビブ市東隣接)の自
転車店において,店員と客が口論の末,客が暴力を振るわれ重傷を負う事案が
発生した。加害者は,後刻逮捕された。
(4)12月25日(日),西岸地区ベツレヘム市の検問所付近にて,サンタク
ロースの衣装をまとったパレスチナ人数名が検問所を通過する際,イスラエル
国境警察隊と通過可否について衝突,数名が負傷する事案が発生した。
(5)12月29日(木)午後、西岸地区キリヤット・アルバ入植地において,
イスラエル人女性に対するパレスチナ人男性による投石等の暴力事案が発生し,
当該女性が負傷する事案が発生した。容疑者は,翌日逮捕された。
(6)日本人の被害の報告はない。
3
テロ・爆弾事件(含未遂)発生状況
一昨年10月以降,イスラエル人とパレスチナ人との間の緊張の高まりを受
け,エルサレム旧市街を含む東エルサレム,ヨルダン川西岸地区等における治
安が悪化した。2016年に入って以降鎮静化傾向にはあるものの,引き続き
予断を許さない状況が続いている。昨年10月以降の主なテロ及び同未遂事案
は,以下のとおり(ヨルダン川西岸地区を除く)。
(1)10月5日(水),ベツレヘム市の「ラケルの墓」におけるテロ攻撃を
画策していたとして,パイプ爆弾等と所持していたパレスチナ人少年7名が逮
捕された。
(2)10月9日(日)午前、エルサレムのライト・レール(路面電車)の駅
(エルサレム国家警察本部付近)にて銃撃事件が発生し,2名が死亡(うち1
名は警察関係者),6名が負傷した。
(3)10月11日(火),当地治安当局は,エルサレムにおけるバス爆破テ
ロを計画していたとして,ハマス構成員(パレスチナ人)を逮捕した旨報じら
れた。
(4)10月12日(水),ナザレ市(テルアビブ市北東約80km)におい
て,自爆テロ等イスラエルへの攻撃を扇動する内容のコメントをフェイス・ブ
ックに投稿していたとし,パレスチナ人青年が逮捕された。
(5)10月30日(日)午後,グ-シュ・エツィオン入植地において,パレ
スチナ人によるイスラエル人国境警備隊員に対する刺傷未遂事件が発生,犯人
はその場で射殺された。
(6)10月31日(月)夕刻,ベイトエル検問所付近(「西岸地区」ラマッ
ラ近郊)において,パレスチナ人警察官がイスラエル国防軍兵士に対し発砲,
3名が負傷しました。犯人は,その場で射殺された。
(7)11月第2週,イスラエル国防軍は,イスラエル軍防軍に対する爆発物
使用テロ攻撃を計画していたとして,9名のパレスチナ人を逮捕したと発表し
た。この逮捕事案に関連した捜査により,イスラエル治安当局は,西岸地区の
爆発物製造施設を摘発,爆発物数点及び爆発物原材料120kgが押収された。
(8)11月22日(火)午後,エルサレム北部のカランディア検問所にて,
パレスチナ人によるイスラエル国防軍兵士に対する刺傷未遂事件が発生,犯人
はその場で射殺された。
(9)11月22日(火),ベイタル・イリット入植地(エルサレム南約10
km)及びマアレー・アドミーム入植地(エルサレム南約7km)において,
自動小銃,マシンガン,拳銃等の武器を密輸していたグループの施設が捜索を
受け,関係者計30名が逮捕される事案が発生しました。
(10)11月25日(金)午後,東エルサレムの検問所において,イスラエル
治安部隊がシャファート難民キャンプから出てきたバスの乗客の身分確認をし
ていたところ,乗客のパレスチナ人少年がナイフで刺そうとしたため,犯人は
その場で射殺された。
(11)12月4日(火),ハイファ市において,銃の不法所持及び銃使用等に
て指名手配されていたアラブ系イスラエル人が逮捕され,自宅からサブマシン
ガン等が押収されました。
(12)12月14日(水)午後,エルサレム旧市街イスラム教徒地区(ヴィア・
ドロローサ上)において,パレスチナ人による国境警備隊員2名に対する刺傷
事件が発生,犯人は銃撃を受け,重体となった。
(13)12月19日(月),西岸地区ヘブロン市において,大規模な武器製造
施設(民家)が摘発され,関係者数名が逮捕される事案が発生した。
(14)12月23日(金),イスラエル治安部隊が,ここ数カ月の間に西岸地
区ナブルス市等において,エルサレムやハイファで自爆攻撃を企てていたハマ
ス・セルの構成員約20人を逮捕した旨報じられた。
(15)12月27日(火),イスラエル保安庁は国家警察との合同捜査により,
ライフルや爆発物を準備し,イスラエル南部にてイスラエル国防軍兵士を標的
としたテロ攻撃の準備を進めていたイスラエル系アラブ人(計6名)が逮捕さ
れた。
4 誘拐・脅迫事件発生状況
日本人の被害の報告はない。
5 対日感情
基本的に良好であり,特段の変化は見られない。
6 日本企業の安全に関する諸問題
JICA,JETRO及び日系企業関係者に対し,不測の事態に備え,緊急連
絡体制の整備・訓練を実施。また,出張者等が当地を訪問する場合は,たびレ
ジへの登録を促すと共に,短期間の滞在であっても連絡先を当館へ通報するよ
う求めている。
7 日本人安全対策のために取った具体的措置
(1)安全対策連絡協議会の開催
(ア)会場場所:国内5ヶ所(テルアビブ市,エルサレム市,ハイファ市,ア
シュケロン市,エイラット市)
(イ)先方参加者:在留邦人緊急連絡網班長(計23名)
(ウ)議題:緊急連絡網の現状,現下の治安情勢と傾向,広域情報,国外退避
プラン,緊急事態に備えた心構えと準備,当地医療事情他。
(2)以下注意喚起につき,一斉メール(在留届・たびレジ登録者宛)及び当
館ホ-ムページに掲載を行った。
(ア)10月10日:10月のユダヤ教新年祝祭日(ヨム・キプール)期間に
おける当地安全対策と注意喚起
(イ)10月20日:イスラエル及びパレスチナ地域の渡航情報(危険情報)
(海外安全ホームページ)の更新について
(ウ)11月4日:イスラム過激派組織「ISIL」の指導者の声明発出に伴
う注意喚起(広域情報)
(エ)11月29日:洪水・鉄砲水発生の懸念にかかる注意喚起
(オ)12月9日:年末年始に海外に渡航・滞在される方に対する注意喚起(広
域情報)
(カ)12月21日:年末年始のテロに対する注意喚起と「たびレジ」登録の
お願い(広域情報)
(3)たびレジ登録者を対象とした注意喚起メールを発出した。
10月6,13,20,27日。
11月3,10,17,24日。
12月1,8,15,22,29日。