資料4 普通財産を巡る状況について 平成29年2月17日 財務省理財局 普通財産の管理処分に関する国有財産法の規定 ○ 国有財産法において、普通財産は、基本的には財務大臣が所管し、適正な方法で管理処分を行 うこととされている。 (特別会計所属の普通財産や国有林野など財務大臣以外の者が普通財産を所管する場合もある。) ○ 財務省が所管する普通財産については、地域・社会のニーズや国の財政事情を勘案し有効活用 を推進する方針を、通達「未利用国有地等の管理処分の方針について」で示している。 国有財産法(抄)(昭和二十三年法律第七十三号) (普通財産の管理及び処分の機関) 第六条 普通財産は、財務大臣が管理し、又は処分しなければならない。 (国有財産の引継ぎ) 第八条 行政財産の用途を廃止した場合又は普通財産を取得した場合においては、各省各庁の長は、財務大臣 に引き継がなければならない。ただし、政令で定める特別会計に属するもの及び引き継ぐことを適当としな いものとして政令で定めるものについては、この限りでない。 2 前項ただし書の普通財産については、第六条の規定にかかわらず、当該財産を所管する各省各庁の長が管 理し、又は処分するものとする。 (管理及び処分の原則) 第九条の五 各省各庁の長は、その所管に属する国有財産について、良好な状態での維持及び保存、用途又は 目的に応じた効率的な運用その他の適正な方法による管理及び処分を行わなければならない。 1 国有地の管理処分の基本方針の変遷 ○ 社会経済情勢の変化に伴い国有地の果たす役割も変化しており、国有地の管理処分の基本方針も時代と ともに変化してきている。 ○ 現在では、管理処分の多様化を図り、介護・保育分野を中心に国有地の有効活用を進めている。 昭和20年代 民生の安定と 経済復興に寄与 するため、大量 の国有地を積極 的に活用 昭和30年代 財産の実態把 握や台帳の整備 改善など内部管 理体制の整備に 重点 (主要な答申) 平成10年代 後半∼ 昭和40年代∼ 昭和50年代前半 昭和50年代後半∼ 昭和60年代 平成初期 土地問題・都市問 題の解決が課題とな り、従来よりも一層、 公用、公共用の用途 に優先的に活用 国の財政事情が 著しく悪化し、公 用、公共用優先の 原則を損なわない 限度で、極力財政 収入を確保 地価高騰が社会 問題となり、公用、 公共用優先の原則 を更に徹底、特に都 市部の財産につい ては重点的活用、 適正な管理を図る 必要 公用、公共用優 先の原則を基本と しつつ、急増した 物納不動産の売却 を促進 効率的な庁舎等 の使用・整備や、 売残財産等の未利 用国有地の売却を 促進 S47.3.10 「有効利用答申」 S58.1.24 「当面答申」 H2.6.20 「有効活用答申」 - H18.1.18 「効率性答申」 バブル崩壊後∼ 現在 介護・保育分野を中心 に、地域や社会のニーズ に対応して国有地を活用 管理処分方式も多様化 定期借地、二段階一般競 争入札、信託、交換 等 - ( %) バブル崩壊 高度成長期 介護・保育など 地域・社会の課題 バブル期 (注)地価変動率は、一般財団法人日本不動産研究所「市街地価格指数(H12=100)」(商業地)の対前年度増減。 2 未利用国有地のストックの推移(財務省一般会計) 台帳価格(億円) 20,000 17,976 18,108 18,000 地方公共団体等での利用が予定されている財産 2,916 3,055 一般競争入札により処分する予定の財産 16,000 14,484 14,338 2,426 2,054 土地区画整理事業等の施行区域内に所在、境界確定等 が必要などの特殊事情を有する財産 14,000 12,000 12,578 1,912 10,000 8,000 9,157 14,411 1,745 14,354 6,324 11,370 6,000 11,611 8,816 1,587 5,058 4,690 4,034 4,000 2,681 1,272 2,000 1,848 0 1,192 648 699 686 673 H10 H11 H12 H13 H14 2,353 H15 2,055 H16 3,622 3,655 1,007 999 1,104 1,320 1,569 1,510 H17 H18 4,038 1,032 1,521 3,789 948 4,800 1,288 1,307 929 997 4,868 5,457 5,613 1,347 1,593 878 755 3,231 3,265 1,324 1,334 1,669 H19 H20 H21 1,707 1,182 1,171 1,484 4,558 1,364 2,473 H22 2,496 H23 2,361 H24 1,486 H25 H26 ※平成27年度末の「特殊事情を有する財産」が前年度比減少した主たる要因は、大型案件(千代田区大手町所在の国有財産)を処分(信託)したことによる(▲1,649億円)。 H27 3 土地売払代の推移(財務省一般会計) (億円) 4,000 3,669 3,639 3,500 3,084 3,084 3,081 3,162 決算額(復興財源) 3,049 決算額(一般財源) 2,977 3,000 2,877 予算額 2,554 2,454 2,500 2,256 2,113 2,145 1,945 2,000 2,165 1,714 1,500 2,207 2,173 1,878 1,816 1,542 1,297 1,135 1,067 975 933 1,000 776 789 996 502 194 870 845 1,167 300 906 1,106 1,058 1,070 413 890 (H29政府案) 500 802 795 H24 H25 867 692 0 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H26 H27 (注1) 土地売払代は、一般競争入札のほか公共随契や貸付中財産の売却額を含む。 (注2) 平成27年度の国有財産貸付料収入(国有財産関係(財務局分)の土地及水面貸付料、建物及物件貸付料)は約160億円 (このうち定期借地による貸付料収入は4億円程度)。 H28 H29 4 物納不動産(更地)引受状況の推移 件 台帳価格(億円) 台帳価格 4,000 4,500 件数 3,797 3,500 3,000 6,497 2,772 2,382 2,253 4,361 2,061 2,500 2,484 2,479 2,209 2,257 2,000 3,117 1,854 1,606 1,500 2,577 1,148 2,325 2,367 2,059 2,384 1,971 1,000 738 421 1,614 459 311 231 500 159 995 77 103 29 38 697 445 0 H7 H8 251 319 157 109 54 0 -500 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 5 地価の動向について ( %) 全国の地価の状況 55 45 商業(全国) 住宅(全国) 35 工業(全国) 25 15 5 -5 -15 ※出所:「市街地価格指数((一財)日本不動産研究所)」 (%) 三大都市圏と地方の状況 50 三大都市圏平均 地方平均 (中枢都市除く) 40 30 中枢都市を除く地方の地価変動率はマイナスが継続している。 20 10 0 -10 -20 S62 63 H1 2 3 4 5 6 7 (注1)住宅地の平均 (注2)中枢都市は、札幌市、仙台市、広島市及び福岡市 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 ※出所:「地価公示(国土交通省)」 24 25 26 27 28 6 都道府県ごとの地価(住宅地)の動向について 2.0 (%) 1.0 ▲ 1.0 都道府県別の対前年平均変動率 0.0 ▲ 2.0 ▲ 3.0 沖縄 鹿児島 宮崎 大分 熊本 長崎 佐賀 福岡 高知 愛媛 香川 徳島 山口 広島 岡山 島根 鳥取 和歌山 奈良 兵庫 大阪 京都 滋賀 平成28年 平成27年 三重 愛知 静岡 岐阜 長野 山梨 福井 石川 富山 新潟 神奈川 東京 千葉 埼玉 群馬 栃木 茨城 福島 山形 秋田 宮城 岩手 青森 北海道 ▲ 4.0 ※出所:「都道府県地価調査(国土交通省)」 7 日本の今後の人口減少の想定 ○ 日本の総人口は、出生率が回復しない場合、2050年では1億人、2100年には5千万人を割り込むまで に減少することが想定されている。 (万人) 14,000 12,808万人 合計特殊出生率 (2008年ピーク) 7.0 総人口 12,000 6.0 10,000 5.0 社人研中位推計 9,708万人 8,000 4.0 6,000 3.0 合計特殊出生率 (2013年) 合計特殊出生率 (右軸) 1.43 4,959万人 4,000 2.0 合計特殊出生率【中位推計】(1.35) 若年人口 2,000 1.0 0 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 2060 2070 2080 2090 0.0 2100 (年) (出典)1950年から2013年までの実績値は総務省「国勢調査報告」「人口推計」、厚生労働省「人口動態統計」。推計値は国立社会保障・人口問題研究所「日本の 将来推計人口(平成24年1月推計)」、厚生労働省「人口動態統計」。 (注)「中位推計」は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」の中位推計(出生中位、死亡中位) 。 8 日本の今後の国土の姿(地域ごとの人口減少の状況) ○ 2050年の地点ごと(1㎢ごと)の人口減少の状況をみると、現在の居住地域の6割以上で人 口が半分以下となることが想定されている。(現在の居住地域は国土の約5割) 【2010年を100とした場合の2050年の人口増減状況】 人口増減割合別の地点数 6割以上(63%)の地点で現在の半分以下に人口が減少 無居住化 50%以上減少 19% 0%以上50%未満減少 44% 35% 増加 2% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 居住地域の2割が無居住化 市区町村の人口規模別の人口減少率 凡例:2010年比での割合 50%以上減少(無居住化含む) 0%以上50%未満減少 人口減少率 市区町村の 人口規模 0% 増加 -10% -20% -30% -40% -50% -15% -21% -25% 全国平均 の減少率 約24% -28% -37% -48% (出典)総務省「国勢調査報告」、国土交通省国土政策局推計値 を基に作成。 9 ○ 国有財産の有効活用について 社会福祉分野等における国有地の活用状況 ○ 国有地を活用して保育所や介護施設等の整備を図るため、国有地の情報を地方公共団体等に対して 積極的に提供しており、実績も増えてきている。 売 却 契約締結済 協議中 合計 合計 その他 要望有 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 (11月末) 保育関係 3 4 4 10 9 10 12 52 13 3 16 3 介護関係 2 5 5 4 4 9 5 34 7 3 10 3 障害者関係 5 4 3 6 4 1 5 28 5 0 5 1 医療関係 2 2 2 2 0 0 0 8 3 0 3 0 12 15 14 22 17 20 22 122 28 6 34 7 合計 その他 要望有 合 計 今後契約 予定 要望書 既受領 定期借地 契約締結済 協議中 合計 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 (11月末) 保育関係 0 9 3 5 10 12 6 45 20 4 24 4 介護関係 0 0 2 7 2 3 2 16 21 13 34 20 障害者関係 0 1 3 0 2 0 0 6 3 0 3 0 医療関係 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 合 0 10 8 12 14 16 8 68 44 17 61 24 計 (注) 地方公共団体等との協議・調整等により変動があり得る。 今後契約 予定 要望書 既受領 11 国有財産の利用に関して今後考えられる公的なニーズの例 各年代・ 世代向け 若年世代 (子育て世代) (例) 保育所 +若年向けの(分譲・賃貸)集合住宅 +医療施設(小児科など) 年配世代 (シニア世代) (例) 介護施設 +サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) +医療施設 ※ 介護・保育施設と他の施設等との複合施設での国有地の定期借地については、通達上定期借地の対象を 介護・保育施設等に限定していることもあり、これまで活用実績はない。 主な国の施策など向け コンパクトシティ (地方都市の中心市街地) (例) 主に地元住民向けの商業施設(スーパーマーケット)+公共施設+地域 医療施設 等 +(分譲・賃貸)集合住宅 地方創生 (まちの賑わい創出) (例) 公共施設(図書館等) +郊外からの買い物客等もターゲットにした商業施設や文化・交流施設 等 ※ 地方公共団体において、公有地に定期借地権を設定し、このような施設の整備を行っている事例がある。 12 地区計画活用型・二段階一般競争入札の流れ、実績 ○ 未利用国有地の処分にあたっては、まちづくりに配慮した土地利用を行いつつ、民間の企画力・知見を具 体的な土地利用に反映させる入札手法を採用するケースもある。 ・ 地区計画活用型一般競争入札:国有地を含む一定の区域を対象に地区計画を定めた上で入札を行う方法 ・ 二段階一般競争入札:土地利用等に関する企画提案を求めた上で、これを審査し、審査を通過した者により入札を行う方法 落札者の決定 価格競争入札 審査通過者の決定 (地区計画活用型によらない 又は併用する場合) 企画提案書 審査 二段階一般競争入札 企画提案書 受付 入札公告 審査委員会の設置 ・条件設定 (※) 地元地方公共団体と事前協議 地区計画活用型 一般競争入札 地区計画策定 <都市計画法に基づき地元地公体が地区住民の意向を反映しながら策定する地区計画活用型の適用を優先的に検討> 第2段階 第1段階 (※)土地の有効利用を促すための条件を審査委員会及び地元地公体の意見を聴取しながら設定。 <参考> 地区計画型一般競争入札・二段階一般競争入札の活用実績(平成24年度以降 区分 年度 H24 H25 H26 H27 H28 地区計画(※1) 2 4 1 2 1 二段階 0 1 1 0 28年度はH29.1.31時点) (単位:件) 主な事例 二葉の里地区1∼3街区(広島市)、城野分屯地跡地(北九州市) 0 (※2) 方南町住宅跡地(杉並区)、二葉の里地区5街区(広島市) (※1)同一の地区計画内で複数の売却があった場合には1件として数えている。 (※2)現在、進行中の案件が2件(九段会館、原町住宅跡地)ある。 13 財政制度等審議会 国有財産分科会 国有財産の有効活用に関する最近の主な意見① 議事要旨等より抜粋 第17回(平成24年1月27日開催) • 売却可能財産については、売却だけでなく、保有しながら賃料を稼いでいくとか、様々な土地の使い方があると思うが、一 番いい方法を考えるべき。 • 世界的な資産デフレの状況下において、数少ない未利用国有地のストックについては、売却をするよりも、今後の災害リ スクに備えて検討することが極めて重要ではないか。 第19回(平成24年9月11日開催) • 国家公務員宿舎の更新に際しては、その前提として、ここ数年の国有財産行政の流れであるPRE戦略を踏まえて、国有 財産をどう有効活用していくか、地域における土地利用との整合性をどう図っていくかという観点からも検討していただきた い。 • 5年間で5千億円以上の収入を得るということだが、バブル崩壊後、不動産価格が下落を続けており、土地を売却すれば よいというような時代ではない。国有財産を売却するのみではなく有効活用するという観点は、大きな流れとして存在するも のではないか。 第22回(平成26年2月4日開催) • 一等地にある土地を売却すると、もう一度入手することは困難であり、一時的な収入にしかならない。一方賃貸であれば 毎年財政に貢献することができ、将来的には戻ってくるため、貸し付けを積極的に進めていただきたい。 第30回(平成27年11月24日開催) • 介護以外にも国有地の活用を検討できないか。 • 国有地に関しては「売却よりも利活用」すべきであり、今回の施策はこれに沿ったものと言える。 • 国有財産であるので、効率的により多くの効果が得られるような形が必要。 14 財政制度等審議会 国有財産分科会 国有財産の有効活用に関する最近の主な意見② 議事要旨等より抜粋 第32回(平成28年5月17日開催) • 応急的住まいの確保は喫緊の課題であり、国有財産を活用してニーズに応えるのは非常に価値のあることだと思う。 • これまでは国有財産を削減する一方であったが、避難所あるいは仮設施設の用地を提供するといった被災地対応の視 点も入れて、よく考える必要があるのではないか。 • 国家戦略特区に所在する都市公園として無償貸付中の国有地を保育所整備に活用するということは、騒音問題への対 応や園庭の確保の点からも非常に良いと思う。 • 保育施設整備に係る国有地の活用について、今までの既成の枠にとらわれないで、積極的に対応していることについて 高く評価できる。 第33回(平成29年1月16日開催) • • 大手町の一等地を開発案件によって信託する事案は、貴重な国有地を売却するだけでなく、こうした開発によって活か すものであり、大変結構だと思う。 各地域の現場で、情報を流し、地道な営業活動をした結果、こうした有効活用の事例が出てきているのだと思う。 • 国有財産は、いわゆる収益を上げるだけでなく、更に一歩進めて、適正利用をしなければならないこともあるかと思う。こ ちらのエリアは収益も、こちらのエリアは収益は置いておき有効活用・適正利用で国民の役に立つ方法を、と考えるとして いるのがわかるので、この方針を踏襲してほしい。 • 国有財産のようなまとまった規模の土地は、市街地の中では非常に重要であり、その地域の価値創造が一番うまくいくよ うな形で用途などを決められるとよい。 • 狭いコミュニティだけで考えずに、特に可能性については広く検討されたうえで、中長期的な利用を考えていく観点が必 要である。 15 ○ 売残財産等について 国有財産の管理処分に関する取組状況 ○ 国有財産を売却するにあたっては、まず地方公共団体等に対して取得等の要望を確認し、要望がな ければ、一般競争入札により売却を進めることとなるが、中には複数回入札にかけても売却できない 不動産(売残財産)が存在。 ○ また、無道路地など単独で利用することが困難な土地や、崖地、山林など、その性質上直ちに利用 又は処分できない土地(利用困難財産)も存在。 ○ このような不動産については、売却に至るまでの間、国が管理し続けることとなり、草刈りや不 法投棄防止のための巡回等の管理コストが発生。 現在の取組み ○ 売残財産については、再び入札を行うだけでなく貸付けを行うなど、売却に至るまでの間の管理コ ストを抑制。 ○ 利用困難財産については、中長期にわたり適切な管理を行いつつ、隣地の土地所有者等への買受勧 奨等を行い、処分できるものは処分。 17 一般競争入札の落札率の状況 ○ 一般競争入札の落札率は5割以下となっている状況。 (削減計画に基づく宿舎跡地を売却してきていることもあり、ここ数年、全体の落札率は若干上昇) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 42.9% 43.8% 40% 30% 32.5% 20% 10% 36.1% 33.1% 29.6% 42.5% 42.4% 20.6% 37.6% 42.2% 39.1% 34.7% 37.6% H26年度 H27年度 26.0% 0% H23年度 H24年度 全国 H25年度 三大都市圏 三大都市圏以外 (注) 「三大都市圏」とは、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、名古屋圏(愛知県、岐阜県、三重県)、 大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)をいう。 18 売残財産の状況 【売残財産のストックの推移】 (百万円) (件) 1,500 50,000 40,000 1,064 1,080 958 956 1,000 1,000 30,000 20,000 39,580 42,449 34,401 500 22,573 10,000 22,776 0 0 H23年度 H24年度 H25年度 台帳価格 H26年度 H27年度 件数 (注) 国有財産を売却するため一般競争入札を実施したものの、予定価格の範囲内の応札がなく、処分できて いない財産の計数を集計。 19 売残財産等の例 立地条件の問題 ○所在地:長野県北佐久郡 ○数 量:591㎡(台帳価格:1,315千円) ○入札実施回数:7回 【売残の主な原因】 ⇒「八風の郷別荘地」内に所在 ⇒ 建築制限有(建ぺい・容積ともに20%以下etc) ⇒ 管理費等の負担が必要 土地の形状の問題 ○所在地:大阪府大阪市 ○数 量:49.72㎡(台帳価格:4,334千円) ○入札実施回数:5回 【売残の主な原因】 ⇒ 間口狭小の所謂「旗状地」 ⇒ 隣接地に跨る老朽建物(長屋)あり ⇒ 接道幅員が狭く建物の再建築が不可 「中軽井沢」駅 南方 約7.2㎞ 間口狭小 (幅員約1.1m) 土地の瑕疵の問題 ○所在地:三重県松坂市 ○数 量:290㎡(台帳価格:2,150千円) ○入札実施回数:3回 【売残の主な原因】 ⇒ 敷地全体が現況「ため池」 ⇒ 土地利用には造成が必要 ⇒ 接面道路が建築基準法の適用外であり、 建物建築は不可 20 利用困難財産の状況 (百万円) (件) 64,000 28,000 61,567 27,000 62,047 62,223 62,909 62,000 60,895 60,000 26,000 27,071 台帳価格(左軸) 26,499 件 数(右軸) 58,000 25,000 56,000 25,308 24,630 24,000 24,487 54,000 23,000 52,000 0 50,000 0 22,000 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 (注) 無道路地など単独で利用することが困難な土地や、崖地、山林など、その性質上直ちに利用又は処分が できない財産の計数を集計。 ○ 利用困難財産は売却が容易でないが、売却に至るものとして以下のようなケースがある。 ・ 道路に接していないため建物が建設ができない物納不動産(土地)について、隣地の土地所有者に対し て、継続的に売却交渉を行い、売却に至ったケース ・ 長期にわたり管理を行っていた林地等について、公共事業の用地となり、事業の実施主体に対して売却 に至ったケース 21 財産の売却促進・管理コストの縮減のための主な取組 売却促進策 ○ 最低売却価格公表入札制度の導入 平成14年度から、最低売却価格公表入札制度を導入し、順次、対象財産を拡大、平成24年度以降、原則すべての不 動産について最低売却価格を公表。(売残財産については、最低売却価格を順次引下げ。 ) ○ 瑕疵等明示売却の導入 地下埋設物が確認されているなど瑕疵のある財産について、平成20年度から、地下埋設物等の状況を明示のうえ売 却を実施。 ○ 売却可能財産の情報提供 財務省ホームページ等で売却可能財産の情報提供を行うとともに、平成26年度から「国有財産物件情報メールマガ ジン」配信サービスを開始。 管理コストの縮減策 ○ 管理等業務の包括的な外部委託 国有地の草刈りや巡回等の管理等業務について、平成26年度から全国的に包括的な外部委託を実施。 ○ 一時貸付の積極的実施 従来、新規に発生した未利用国有地を対象に売却までの間の一時貸付を実施していたが、平成23年度から売残財産 等も一時貸付を実施するよう対象財産を拡大。 ○ 管理委託の実施 地方公共団体等に対して、児童の遊び場や緊急時の避難場所といったオープンスペースなどの用途で、管理コスト を相手方に負担してもらいつつ管理を委託。 22 不動産が国庫帰属する場合 ① 無主の不動産 ○ 所有者のない不動産は、国庫に帰属することとされている。(民法第239条第2項) ※ 「所有者のない不動産」としては、誰にも管理・登記されていない離島や海底隆起により新たに発生した土地などがある。 ② 相続人の不存在 ○ 相続人が不存在の場合、利害関係者からの申立に基づき、裁判所が選任する相続財産管理人が相 続財産を管理し、一定の手続きを経た後、金銭や不動産などの相続財産は国庫に帰属する。 (民法第5編第6章(相続人の不存在)) <相続人不存在の場合の国庫帰属までの手続の流れ> 国 庫 帰 属 特別縁故者への財産分与 相 続 人 不 存 在 の確 定 相 続 人 捜 索 の公 告 相続財産管理人の公告 相続財産管理人の選任 相 続 発 生 民法第959条 民法第952条 民法第958条 23 相続人不存在の相続財産(土地)の国庫帰属の状況 ○ 相続人不存在の場合等において、一定の手続きを経て国庫帰属した不動産については、国有財産 (普通財産)として財務省が管理処分を行うこととなる。 (百万円) (件) 300 60 54 台帳価格(左軸) 287 250 50 件 数(右軸) 43 200 40 36 37 33 32 150 30 132 100 20 119 50 0 13 97 77 85 65 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 10 0 (注)国有財産総合情報管理システムよりデータを抽出。 24 相続財産管理人選任数・相続財産(金銭)の国庫帰属等の状況 (件数) (百万円) 200,000 189,381 50,000 (人数) 182,089 180,000 160,000 140,000 149,375 149,510 150,049 156,419 160,293 166,463 169,300 172,936 43,411 42,063 40,000 37,512 148,526 141,477 35,000 120,000 30,000 100,000 22,423 22,960 25,000 26,173 22,157 80,000 40,000 15,455 16,790 10,330 10,736 18,117 12,382 12,883 11,689 11,620 15,676 相続放棄申述 受理件数 33,677 33,249 60,000 45,000 16,751 17,869 18,447 18,568 14,069 国庫帰属相続 財産額(百万 円) 20,000 15,000 相続財産管理 人選任数(相 続人不明分) 10,000 20,000 5,000 0 0 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 (参考)国庫帰属する金銭の中には、裁判所の許可を得て、売却処分された不動産、有価証券、 動産等の代金も含まれている。 (出典) 相続放棄申述受理件数、相続財産管理人選任数(相続人不明分)については、最高裁判所「司法統計年報」より引用。 国庫帰属相続財産額については、「歳入決算明細書」(裁判所主管分)の、雑入のうち雑収より引用。 25 所有者不明の土地(所有者の所在の把握が難しい土地)に関する状況 ○ 土地の保有・管理に関する関心の低下や負担感もあり相続登記等が行われないままの土地が増えて いることなどから、所有者不明の土地(所有者の所在の把握が難しい土地)が増加。 ○ 所有者不明の土地(所有者の所在の把握が難しい土地)の詳細な状況は不明だが、土地取引の支障 となるほか、国土の荒廃にもつながるものであり、課題となっている。 所有者不明の土地に関する自治体アンケートの概要 ・ 東京財団が行った自治体アンケートでは、回答 の得られた全国888自治体のうち557自治体 (63%)において、所有者不明の土地による問題 が生じたことが「ある」との回答。 ・ ① ② ③ ④ 具体的な問題の内容 固定資産税の徴収が難しくなった(486自治体(55%)) 老朽化した空き家の危険家屋化(253自治体(28%)) 土地が放置され、荒廃が進んだ(238自治体(27%)) 公共事業、災害復旧等の実施に支障(134自治体(15%)) (出典)東京財団『土地の「所有者不明化」∼自治体アンケートが示す問題の実態∼』(2016年3月) ○ このような状況を受け、国土交通省「所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策に関する検討 会」において、実務的な解決方法等を整理したガイドラインが取りまとめられている(平成28年3月)。 ○ 所有者不明の土地(所有者の所在の把握が難しい土地)の中には、相続人が不存在で、利害関係者 からの申し立てに基づく一連の手続きを経て、最終的に国庫帰属することとなるものも一定数あると 考えられる。 26 不動産の国への寄附について ○ 不動産の国への寄附については、国が行政目的として使用・管理する場合で実績がある。 国立公園(環境省)や国有林(林野庁)内の民有地について、環境保全や管理の効率化の観点で寄附を 受けるケースなどがある。 <国が不動産の寄附を受ける場合の留意点> 所有者のモラルハザード ○ いざとなれば、国に寄附すればよいと考えて不動産の管理責任を適切に負わなくなり、か えって不動産の適切な管理が行われなくなってしまう可能性があることに留意が必要。 ※ 民法に土地の工作物等の占有者・所有者責任が定められているほか、土地に関して不法投棄を防止するため 所有者責任が地方公共団体の条例で定められているケースもある。 維持・管理コストの増大 ○ 財産的価値が乏しい不動産のストックが増加し、不動産の維持・管理コスト(国民負担)が 増大する可能性について留意が必要。 ※ 所有する不動産については、適切に管理する必要があり、売却が困難な財産であっても、草刈りや不法投棄防 止のための巡回等のコストが発生。 財産的価値の乏しい土地について、国が管理に多額の経済的費用ないし責任の負担を余儀なくされ ることなどを理由に、山林の所有権放棄を権利濫用・公序良俗違反として無効とした判決もある。 (H28.12.21広島高裁) 27
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