発表する遺跡の概要 1 滝瀬遺跡(設楽町八橋所在、調査面積 5,520㎡) 河岸段丘上に所在する遺跡で、2015年度に続く二度目の本調査となる。本年度の調査は 縄文時代中期 後期を中心とする遺構・遺物を確認した。発見されたおもな遺構と遺物は 以下の通り。 縄文時代中期 後期:竪穴建物2棟、土器埋納炉跡2基、配石(集石)遺構群、袋状 土坑(貯蔵穴)1基、土器埋納(埋甕)遺構1基、石器埋納土坑1基、縄文土器、石器 江戸時代以降:道路状遺構 【特筆すべき遺構と遺物】 ○検出された竪穴建物のうち1棟は床面に石を敷き詰める「敷石住居」と呼ばれる もので、愛知県では南知多町の林ノ峰貝塚に続く二例目の事例となる。 ○道路状遺構は小砂利が敷き詰められた硬化面で、 三河と信濃を結ぶ伊那街道の一 部と推定される。使用当時の名称が推定できる道路状遺構として重要である。 2 川向東貝津遺跡(設楽町川向所在、調査面積 810 ㎡) 河岸段丘上に所在する。2010年度、2015年度に続く三度目の本調査となる。昨年度は縄 文時代中期 後期を中心とする集落跡が確認されたが、本年度はその下層遺構を、縄文時 代草創期と後期旧石器時代の二面に分けて調査を実施した。発見された各時代のおもな遺 構と遺物は以下の通り。 縄文時代草創期:石器(尖頭器) 後期旧石器時代:石器(細石刃・細石核) 【特筆すべき遺構と遺物】 ○県内では縄文時代草創期と後期旧石器時代の調査事例が乏しく、出土遺物やそ の出土状況は貴重な資料となる。 ○尖頭器の出土量は県内屈指となる。 3 西地・東地遺跡(設楽町大名倉所在:調査面積 340㎡) 河岸段丘上に所在する縄文時代中期 後期と戦国時代 近世を中心とする遺跡で、2014 年度に続く二度目の本調査となる。発見された各時代のおもな遺構と遺物は以下の通り。 縄文時代中期 後期:大型土坑(貯蔵穴など)約10基、縄文土器・石器 戦国時代 近世:竪穴状遺構2基、集石遺構4基 【特筆すべき遺構と遺物】 ○大型土坑は集中して確認されている。石器がまとまって出土した土坑もあり、貯蔵 もしくは廃棄に関連した遺構と考えられる。 ○戦国時代 近世の竪穴状遺構からは鉄滓(てっさい)が出土している。小規模 な鍛冶関係の遺構であった可能性がある。 4 大栗遺跡(設楽町川向所在、調査面積 3,190 ㎡) 緩斜面に所在する縄文時代 江戸時代の遺物が確認された。2015年度に続く二度目の本 調査となる。発見された各時代のおもな遺構と遺物は以下の通り。 縄文時代:竪穴建物1棟、煙道付炉穴1基、集石炉1基、土坑群(陥し穴)、縄文土器・ 石器 戦国 江戸時代:鍛冶炉1基、柱穴列1基、石組遺構1基、陶磁器・土器 【特筆すべき遺構と遺物】 ○本年度の調査成果は、前回と類似するが、縄文時代の竪穴建物と煙道付炉穴、土 坑群(陥し穴)は大栗遺跡では初見となる。
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