1 □ 次の各問いに答えよ。 (1)𝑎,𝑏 を実数の定数とする。2 次関数 𝑦 = 𝑎𝑥 & − 𝑏𝑥 + 𝑎 & + 2𝑏 のグラフの頂点が 2, − 4 であ るとき,𝑎,𝑏 の値を求めよ。 (2)放物線 C が 2 点 −3,3 , 1,27 を通り,x 軸と接するとき,C の方程式を求めよ。 (3)𝑎 を実数の定数とする。2 次方程式 𝑥 & − 2 𝑎 − 4 𝑥 + 𝑎 + 2 = 0 が 1 より大きい異なる 2 つの実 数解をもつとき,𝑎 のとり得る値の範囲を求めよ。 (はじめに) 一般に,2 次関数の表し方には (ア)𝑦 = 𝑎𝑥 & + 𝑏𝑥 + 𝑐 (イ)𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝑝 & + 𝑞 (ウ)𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝛼 𝑥 − 𝛽 の 3 通りの表し方があります. そして,2 次関数が(ア)のカタチで表されることによって,分かることは特にありませんが (イ)のカタチで表されることによって,頂点の座標と軸の方程式が分かります. 𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝑝 & + 𝑞 の頂点の座標は 𝑝,𝑞 であり,軸の方程式は 𝑥 = 𝑝 です. また,2 次関数が(ウ)のカタチで表されることによって,x 軸との 2 つの交点の x 座標が分かります. 𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝛼 𝑥 − 𝛽 と x 軸との交点の x 座標は 𝑥 = 𝛼,𝛽 です. ですから,2 次関数の式を求める問題では 𝑦 𝑦 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑝) + 𝑞 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝛼)(𝑥 − 𝛽) (イ) (ウ) 通る 3 点が与えられたときには(ア) 頂点の座標や軸の方程式が与えられたときには (イ) 𝑞 x 軸との 2 つの交点の座標が与えられたときには(ウ) 𝑥 𝑥 𝑝 𝛼 0 𝛽 0 に当てはめて考えると,2 次関数の式がスムーズに求まります. & (1)𝑎,𝑏 を実数の定数とする。2 次関数 𝑦 = 𝑎𝑥 & − 𝑏𝑥 + 𝑎 & + 2𝑏 のグラフの頂点が 2, − 4 であ るとき,𝑎,𝑏 の値を求めよ. <解説> 頂点が 2, − 4 と与えられているので(はじめに)の(イ)に当てはめて考えれば良いですね!? つまり,与えられた式を(イ)のように平方完成します. <補足>実際の授業では,平方完成のやり方について詳しく解説致しますが,平方完成のやり方を 紙面上で文章と数式のみで説明すると,かえってややこしくなる可能性がありますので, ここでは省略させてもらいます. 𝑦 = 𝑎𝑥 & − 𝑏𝑥 + 𝑎 & + 2𝑏 = 𝑎 𝑥 − この式により,頂点は 4 &5 ,− 46 75 これが 2, − 4 に一致するので 𝑏 2𝑎 & + − + 𝑎 & + 2𝑏 4 &5 𝑏& + 𝑎 & + 2𝑏 4𝑎 であることが分かります. = 2 かつ − 46 75 + 𝑎 & + 2𝑏 = −4 が成り立ちます. この 2 つの式から 𝑎,𝑏 の値を求めるのですが まず第 1 式より 𝑏 = 4𝑎 です.この 𝑏 = 4𝑎 を第 2 式に代入すると − 75 6 75 + 𝑎 & + 2 ∙ 4𝑎 = −4 となり,これを整理すると 𝑎 & + 4𝑎 + 4 = 0 となります. 左辺を因数分解して 𝑎 + 2 & = 0 よって 𝑎 = −2 です. ここで 𝑏 = 4𝑎 ですから 𝑎 = −2 のとき 𝑏 = 4 ∙ −2 = −8 です. よって,求める 𝑎,𝑏 の値は 𝑎 = −2,𝑏 = −8 です. (別解) グラフの頂点が 2, − 4 であることから 𝑥 & の係数が 𝑎 である 2 次関数の式は 𝑦 = 𝑎 𝑥 − 2 & − 4 と表せます. 右辺を展開して整理すると 𝑦 = 𝑎𝑥 & − 4𝑎𝑥 + 4𝑎 − 4 となります. これが問題文の 𝑦 = 𝑎𝑥 & − 𝑏𝑥 + 𝑎 & + 2𝑏 と一致するので (※2 つの式が一致するとは,2 つの式が全く同じ式になるということです) 係数を比較することにより −4𝑎 = −𝑏,4𝑎 − 4 = 𝑎 & + 2𝑏 であることが分かります. この 2 つの式から 𝑎,𝑏 の値を求めるという方法もあります. (2)放物線 C が 2 点 −3,3 , 1,27 を通り,x 軸と接するとき,C の方程式を求めよ。 <解説> 放物線 C が x 軸と接するという条件をどう処理するか!?(どう式で表すか!?)が問われている 問題と言えるでしょう. 𝑦 x 軸で接する放物線(2 次関数)のグラフを図で表すと,右図のようになります. ※このように問題となっている関数のグラフを実際に図で表すと その関数の特徴を視覚的にとらえることができるので非常に有効です! ですから,この問題に限らず,関数に関する問題では,その関数の特徴を 視覚的にとらえるためにも関数のグラフを図で表すことを強くお勧めします!! 0 𝑏 ですから,右図のように x 軸との接点の x 座標を 𝑥 = 𝑏 とすると,求める放物線(2 次関数)は 𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝑏 & (ただし 𝑎 0 )とおけます. <補足>右図のように x 軸との接点の x 座標を 𝑥 = 𝑏 とすると,この放物線(2 次関数)の頂点は =𝑏,0>となります.頂点が=𝑏,0>であることから,これは(はじめに)で述べた(イ)に 当てはまります. (イ)に当てはめて考えると 頂点が=𝑝,𝑞>である 2 次関数は 𝑦 = 𝑎 (𝑥 − 𝑝)& + 𝑞 と表せるので 頂点が=𝑏,0>である 2 次関数は 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑝)& + 𝑞 の式の 𝑝 のところに 𝑝 = 𝑏,𝑞 のと ころに 𝑞 = 0 を代入することにより 𝑦 = 𝑎 (𝑥 − 𝑏)& と表せます. <補足>𝑎 = 0 のとき 𝑎(𝑥 − 𝑏)& = 0 となりますから 𝑎 = 0 のとき 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& は 𝑦 = 0 と等しくなります. 𝑦 = 0 は直線であって,放物線とはなり得ませんので,題意(問題 の意味)に反します.よって 𝑎 0 としなければなりません. また 𝑥 & の係数が 1 であるとは限りません.𝑥 & の係数が(1)のように−2であったり ? 2 や や −3 であったりする可能性が大いにあります.ですから 𝑥 & の係数を求めるた 7 めにも 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& とおくのです. この 𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝑏 & (ただし 𝑎 0 )が 2 点 −3,3 , 1,27 を通ることにより 3 = 𝑎 −3 − 𝑏 & …① と 27 = 𝑎 1 − 𝑏 & …② が成り立つことが分かります. <補足>𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& が点=−3,3>を通るということは 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& において 𝑥 = −3 のとき 𝑦 = 3 が成り立つということですから 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& の 𝑥 のところに 𝑥 = −3,𝑦 のところに 𝑦 = 3 を代入することにより 3 = 𝑎 (−3 − 𝑏)& が成り立つことが分かります. 点=1,27>を通るということも同様に考えて 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& の 𝑥 のところに 𝑥 = 1,𝑦 のところに 𝑦 = 27 を代入することにより 27 = 𝑎 (1 − 𝑏)& が成り立つことが分かります. よって 𝑦 = 𝑎(𝑥 − 𝑏)& が 2 点=−3,3>,=1,27>を通ることにより 3 = 𝑎 (−3 − 𝑏)& と 27 = 𝑎(1 − 𝑏)& が成り立つことが分かります. 𝑥 & そして,この 2 つの式から 𝑎,𝑏 の値を求めるのですが,この時点で を展開してしまうと & & 3 = 𝑎 𝑏 + 6𝑏 + 9 ,27 = 𝑎 𝑏 − 2𝑏 + 1 と余計に式が複雑になってしまいますので & この時点では を展開せずに 𝑎,𝑏 の値を求めます. ②を①で辺々割ると〔あるいは①を②で辺々割っても構いません〕 &B C = 5 ?D4 6 5 DCD4 6 & 〔 −3 − 𝑏 = 3+𝑏 C あるいは①より 𝑎 = すなわち 9 = (DCD4) 6 & ?D4 6 CE4 6 と 𝑎 が消去できます. であることは明らかですよね!?〕 C ですから,この 𝑎 = (DCD4)6 (?D4)6 C を②に代入すると (?D4)6 27 = 𝑎 (1 − 𝑏)& = (DCD4)6 ∙ (1 − 𝑏)& = 3 ∙ (DCD4)6 すなわち 27 = 3 ∙ (DCD4)6 となりますので この式の両辺を 3 で割ることにより〔また (−3 − 𝑏)& = (3 + 𝑏)& を用いることにより〕 9= この 9 = & ?D4 6 CE4 6 (?D4) 6 (CE4) 6 の両辺に 3 + 𝑏 & と 𝑎 が消去できます. をかけて & を展開すると & 9 𝑏 + 6𝑏 + 9 = 𝑏 − 2𝑏 + 1 となり,これを整理すると 𝑏 & + 7𝑏 + 10 = 0 が得られます. 𝑏 & + 7𝑏 + 10 = 0 の左辺を因数分解すると 𝑏 + 2 𝑏 + 5 = 0 となります. よって 𝑏 = −2 または 𝑏 = −5 であることが分かります. C さらに 𝑏 = −2 のとき ①より 𝑎 = 3,𝑏 = −5 のとき ①より 𝑎 = となります. 7 <補足>①の 3 = 𝑎(−3 − 𝑏)& に 𝑏 = −2 を代入すると 3 = 𝑎{−3 − (−2)}& となり3 = 𝑎 より 𝑎 = 3 が得られます. 同様に 3 = 𝑎(−3 − 𝑏)& に 𝑏 = −5 を代入すると 3 = 𝑎{−3 − (−5)}& となり 3 = 4𝑎 よ C り 𝑎 = が得られます. 7 そして,𝑦 = 𝑎 𝑥 − 𝑏 & は 𝑎 = 3,𝑏 = −2 のとき 𝑦 = 3 𝑥 + 2 C C 7 7 𝑎 = ,𝑏 = −5 のとき 𝑦 = 𝑥+5 & = 3𝑥 & + 12𝑥 + 12 となり & = 𝑥& + C ?G 7 & よって,求める放物線 C の方程式は 2 つあって C ?G BG 𝑦 = 3𝑥 & + 12𝑥 + 12 または 𝑦 = 𝑥 & + 𝑥 + です. 7 & 𝑥+ 7 C <補足>上の<解説>では 𝑦 = 3(𝑥 + 2)& と 𝑦 = (𝑥 + 5)& を展開しましたが 7 C 別に展開せずに 𝑦 = 3(𝑥 + 2)& または 𝑦 = (𝑥 + 5)& 7 とそのまま(展開せずに)解答用紙に書いても構いません. BG 7 となります. (3)𝑎 を実数の定数とする。2 次方程式 𝑥 & − 2 𝑎 − 4 𝑥 + 𝑎 + 2 = 0 が 1 より大きい異なる 2 つの実 数解をもつとき,𝑎 のとり得る値の範囲を求めよ。 <解説> この問題のように, 「1 より大きい異なる 2 つの実数解をもつ」など,解に条件がある 2 次方程式の問題 を「2 次方程式の解の配置の問題」と言います. 「2 次方程式の解の配置の問題」を解く際には,グラフ を書いて視覚的にとらえていくのが効果的です.このとき (ア)軸の位置 (イ)頂点の y 座標(または,実数解条件) (ウ)端点の値 の 3 つに注目することがポイントです. そこで,まず 𝑦 = 𝑓 𝑥 = 𝑥 & − 2 𝑎 − 4 𝑥 + 𝑎 + 2 とおき(ア)で問われる軸の方程式を求めます. 2 次関数 𝑦 = 𝑎𝑥 & + 𝑏𝑥 + 𝑐 において,軸の方程式は 𝑥 = − 4 &5 ですから 𝑦 = 𝑓 𝑥 の軸の方程式は 𝑥 = 𝑎 − 4 です. あるいは 𝑓 𝑥 = 𝑥 & − 2 𝑎 − 4 𝑥 + 𝑎 + 2 を平方完成すると 𝑓 𝑥 = 𝑥 − 𝑎 + 4 ますので 軸の方程式は 𝑥 = 𝑎 − 4 ,頂点の y 座標は −𝑎 & + 9𝑎 − 14 です. & − 𝑎 & + 9𝑎 − 14 となり ※実際の授業では,平方完成のやり方について詳しく解説致しますが,平方完成のやり方を 紙面上で文章と数式のみで説明すると,かえってややこしくなる可能性がありますので ここでは省略させてもらいます. 2 次方程式 𝑥 & − 2 𝑎 − 4 𝑥 + 𝑎 + 2 = 0 ,すなわち 𝑓 𝑥 = 0 が 1 より大きい異なる 2 つの 𝑦 図1 実数解をもつとき 𝑦 = 𝑓 𝑥 のグラフは右図 1 のように 𝑥 = 𝑎−4 x 軸の 𝑥 > 1 の部分と,異なる 2 点で交わります. そして,グラフが右図 1 のようになるためには 𝑥 (ア)軸が 𝑥 > 1 の部分にある,つまり 𝑎 − 4 > 1 である.よって 𝑎 > 5 0 1 & (イ)頂点の y 座標が 0 より小さい,つまり −𝑎 + 9𝑎 − 14 < 0 である. よって 𝑎 & − 9𝑎 + 14 > 0 より 𝑎 − 2 𝑎 − 7 > 0 であるから 𝑎 < 2 または 𝑎 > 7 <補足> (ウ)端点の値が正である,つまり 𝑓 1 > 0 である. よって 𝑓 1 = 1 − 2𝑎 + 8 + 𝑎 + 2 > 0 より 𝑎 < 11 の 3 つの条件をみたすことが必要です. ここで, 「𝑥 > 1 で異なる 2 つの解をもつ」条件を求めているわけですから,端点とは“区間のはじにお 𝑦 図2 ける関数の値”つまり 𝑥 = 1 のときの 𝑓 𝑥 の値のことを言います. 𝑥 = 𝑎−4 (ア),(イ),(ウ)はどれか 1 つでも欠けてはいけません. 例えば(ウ)がないと,右図 2 の場合も含まれてしまいますが 1 𝑥 0 これは不適ですよね!? ですから(ア),(イ),(ウ)の 3 つを同時にみたすための条件, つまり(ア),(イ),(ウ)の 3 つを同時にみたす 𝑎 の値の範囲を求めます. 条件(ア)をみたす 𝑎 の値の範囲は 𝑎 > 5 であり 条件(イ)をみたす 𝑎 の値の範囲は 𝑎 < 2 または 𝑎 > 7 であり 条件(ウ)をみたす 𝑎 の値の範囲は 𝑎 < 11 であることから (ア),(イ),(ウ)の 3 つを同時にみたす 𝑎 の値の範囲は 右図より 7 < 𝑎 < 11 となります. これが求める 𝑎 のとり得る値の範囲です. (ウ) (ア) (イ) (イ) a 0 2 5 7 11 <補足>実数解条件を考えた場合: 𝑥 & − 2(𝑎 − 4)𝑥 + 𝑎 + 2 = 0 が異なる 2 つの実数解をもつ,つまり(判別式) > 0 である. ここで 𝑥 & − 2(𝑎 − 4)𝑥 + 𝑎 + 2 = 0 において x の係数が −2(𝑎 − 4) と 2 の倍数なので M M を考えて = (𝑎 − 4)& − (𝑎 + 2) = 𝑎& − 9𝑎 + 14 = (𝑎 − 2)(𝑎 − 7) > 0 7 7 よって 𝑎 < 2 または 𝑎 > 7 となります. ※2 次方程式において x の係数が 2 の倍数のとき,なぜ D ではなく M 7 を考えるかに ついては,実際の授業では,詳しく解説致しますが,紙面上で文章と数式のみで 説明すると,かえってややこしくなる可能性がありますので,ここでは省略させてもらいます. 紙面上で文章と数式のみで説明すると,かえってややこしくなる可能性がありますので (まとめ) このように,2 次関数の解の配置の問題では,条件に適するグラフを書いて グラフがそのような概形になるために必要な条件を考えていくわけですが そのとき (ア)軸の位置 (イ)頂点の y 座標(または,実数解条件) (ウ)端点の値 の 3 つに注目して下さい! (※(ア),(イ),(ウ)は,どれか 1 つでも欠けてはいけません)
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