資料3 科学技術・学術審議会 学術分科会(第65回) (中間報告) 研究力を測る指標(分野別・大学機能別) の抽出と、 大学の研究力の可視化に関する基礎的研究 H29.1.17 研究力 自然科学研究機構 研究力強化推進本部 特任教授 小泉周 1 研究力とは何か? 大学の研究力 英語論文 産学連携 英語文献 社会貢献 日本語論文 人材育成 日本語文献 イノベーショ ン 2 大学や研究機関をどのような 指標で評価するか? 総数(数) 平均など分数 (normalized、分母は?) 論文? 著作物?(日 本語、英語) 研究者? 研究費? 質(価値) Size-dependentであるべき数字もあれば、Size-independent(なんらかのnormalization 3 が必要)なものと両方ある 研究力 (さまざまな側面) サブコア指標 (関連指標) コアな指標セット 指標G … 指標D 指標A 英語 論文 指標B 指標E 指標H … 指標F 指標I … 指標C 全分野に適用 分野ごとに特徴 提案指標 (現在、データベース等の整備がないが、必要と考え られる指標) 4 どのようなものを指標と考える か?何を提案するのか? • 一定の基準で共通して(自動で)取れるデータを用いた指標 ▶自己申告のあやうさ 例: 招待講演の数は測れる? 招待とは何か?学会や、ソサイエティーによっても異なる → 自己申告をいくら集めても研究分析データにはならない。 • 明確で再現可能な計算式によって測れる指標 ▶現在はデータベースがない場合にはその提案も ▶どの分野は、どの指標で評価してはいけないか、間違いか、それも報告 • 国際的に比較可能な指標 (コア指標) • NOT “one-size fit all” 一つだけの指標ですべてを語るようなものはない、 いくつかの組み合わせ • 科学研究費補助金の分野(66分野)で解析 人文社会系WGによる検討 • 人文社会系WG 座長 人間文化研究機構 後藤 真 (研究分担者) • メンバー 上記に加えて人間文化研究機構より2名(人文) 大学より2名(社会) • 人文社会系検討中指標 (特徴) ・被引用の期間が長い (数年から数十年) ・英語だけでなく、日本語などの母国語での文献も重要である(研究が言語に依存) ・文献の中でも、単著が重要である (著者の数は少ない) 「大学等の組織単位の人文系研究力」(量と質)をはかる指標(案) ・論文だけでなく、書籍もカウントする(量) 著者数で割った分数カウントが望ましい ・Top publisher(英語)を定め、その著書数をカウントする (質) ・日本語文献(量・質)の把握 (データベースの整備が必要) など 6 これまでの分析に基づく提案 研究力 7 提案1: 大学の分野ごとの研究力を見る3つ の側面 量 質 厚み 論文数 被引用数 など Top1%論 文数・割 合など 大学のその分野 は、どのくらい層 が厚いのか? Size-dependent Size-independent Size-dependent 8 「厚み」を見る指標(1) h5-institutional index (5は5年という意味) A大学C領域 1 50 1 1 1 1 1 1 2 h5-iindex =2 B大学C領域 8 7 8 9 6 1 8 h5-iindex =6 それぞれの論文の引用数 h-countの仕方 論文# 量 x 質 x 厚み 分野ごとに量(論文数)と質(Top1%引用数など)だけではなく、厚み指標を導入 することにより、これまでとは違う視点で、その「強み」を測ることができる 9 「厚み」を見る指標(2) active authors(過去5年間に論文著 者となっている研究者数) 大学A 分野A 分野B 分野C 分野D 大学B ※延べ数ではなく、同じ人物@大学・分野は、1とカウント 10 厚み指標データ 農学・生物科学 institution_name The University of Tokyo Kyoto University Nagoya University Hokkaido University Tohoku University University of Tsukuba Osaka University Okayama University Chiba University Kyushu University National Institutes of Natural Sciences The National Institute of Genetics Nara Institute of Science and Technology Kobe University Tokyo Institute of Technology The Graduate University for Advanced Studies Niigata University Keio University Hiroshima University Yokohama City University Nagasaki University 農学・生物科学 h5-index institution_name 53 The University of Tokyo 45 Kyoto University 40 Hokkaido University 38 Kyushu University 35 Tohoku University 34 Nagoya University 33 Osaka University 33 University of Tsukuba 32 Hiroshima University 30 Kobe University 29 Okayama University 27 Chiba University 27 Keio University 26 Tokyo University of Agriculture and Technology 24 Kagoshima University 24 Ehime University 24 Nagasaki University 24 Gifu University 24 Niigata University 23 Kanazawa University 23 Kumamoto University Tokyo Medical and Dental University 暫 定 研究者数 4,773 3,827 3,079 2,481 2,104 1,940 1,892 1,404 1,256 1,145 1,138 1,059 918 894 875 711 710 703 688 638 631 606 11 厚み指標データ 工学 工学 institution_name Tohoku University The University of Tokyo Kyoto University Osaka University Tokyo Institute of Technology Kyushu University Waseda University University of Tsukuba Nagoya University Hokkaido University Shinshu University Hiroshima University Keio University Yamagata University Chiba University Shizuoka University Osaka Prefecture University Tokyo University of Agriculture and Technology Kobe University Tokyo University of Science Nagaoka University of Technology h5-index 59 59 46 46 44 38 35 33 33 32 29 28 27 24 23 23 23 22 22 22 21 institution_name The University of Tokyo Osaka University Tohoku University Kyoto University Tokyo Institute of Technology Kyushu University Nagoya University Hokkaido University Waseda University Keio University University of Tsukuba Kobe University Hiroshima University Kyoto Institute of Technology Nagoya Institute of Technology Chiba University Tokyo University of Agriculture and Technology Kyushu Institute of Technology Okayama University Yokohama National University The University of Electro-Communications 暫 定 研究者数 7,705 5,865 5,454 4,939 4,920 3,866 3,743 3,062 2,987 2,267 2,154 1,834 1,748 1,546 1,465 1,425 1,343 1,257 1,240 1,210 1,160 12 厚み指標データ 獣医学 institution_name Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine The University of Tokyo Gifu University Osaka University Hokkaido University Nagasaki University Iwate University Tokyo University of Agriculture and Technology Yamaguchi University University of Tsukuba Niigata University Kyoto University Ehime University University of Miyazaki Kagoshima University Osaka Prefecture University Tohoku University Chiba University Shinshu University Kobe University Tottori University 獣医学 h5-index 12 12 11 11 10 9 8 8 8 7 7 7 7 7 7 7 6 6 6 6 6 institution_name The University of Tokyo Hokkaido University Gifu University Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine Yamaguchi University Tokyo University of Agriculture and Technology Iwate University Kagoshima University Osaka University University of Miyazaki Tottori University Kyoto University Kobe University Tohoku University Nagasaki University Hiroshima University Chiba University University of Tsukuba Niigata University Shinshu University Okayama University Nagoya University 暫 定 研究者数 442 391 357 262 252 236 169 166 137 130 126 113 97 87 82 80 77 70 58 53 52 51 13 科研費データの分析による「厚み」分析 ・科研費の取得は、単なる資金源としてのインプットとして考えるだけではなく、ピアレビュー による「資金獲得能力」を表す指標として考えられる(新規採択数、新規採択額分析) 〇脳科学分科(科研費分類) 新規採択数(10年) 機関名 京都大学 東北大学 東京大学 筑波大学 大阪大学 玉川大学 名古屋大学 北海道大学 新潟大学 埼玉大学 九州大学 富山大学 奈良先端科学技術大学院大学 同志社大学 東京工業大学 慶應義塾大学 熊本大学 藤田保健衛生大学 近畿大学 脳科学 33 23 19 16 15 15 12 11 11 9 7 7 6 6 6 6 6 5 5 新規採択額(10年) 機関名 筑波大学 京都大学 東北大学 東京大学 埼玉大学 玉川大学 新潟大学 慶應義塾大学 九州大学 大阪大学 名古屋大学 北海道大学 奈良先端科学技術大学院大学 立命館大学 富山大学 広島大学 同志社大学 自治医科大学 東京工業大学 藤田保健衛生大学 脳科学 5.85E+08 4.14E+08 2.52E+08 2.34E+08 2.32E+08 1.95E+08 1.37E+08 1.23E+08 1.19E+08 1.14E+08 1.02E+08 89520000 74020000 63200000 57000000 49400000 35100000 33000000 30200000 29600000 (相対値、対数軸) 14 〇経営学分科(科研費分類) 新規採択数(10年) 機関名 神戸大学 早稲田大学 法政大学 関西大学 立命館大学 明治大学 一橋大学 横浜国立大学 京都大学 東北大学 同志社大学 青山学院大学 日本大学 東京大学 京都産業大学 北海道大学 慶應義塾大学 大阪市立大学 香川大学 筑波大学 経営学 128 118 74 73 71 66 66 59 57 54 53 52 51 47 47 46 45 43 37 37 新規採択額(10年) 機関名 神戸大学 早稲田大学 法政大学 一橋大学 京都大学 明治大学 東京大学 関西大学 東京工業大学 横浜国立大学 東北大学 同志社大学 大阪市立大学 立命館大学 北海道大学 青山学院大学 関西学院大学 日本大学 中央大学 慶應義塾大学 経営学 800730000 564880000 399500000 362700000 318330000 294600000 275800000 272370000 257200000 255200000 231320000 227080000 225280000 221040000 218570000 200900000 172170000 167000000 164600000 163180000 (相対値、対数軸) 15 提案2 国際性をどのようにみるか? 「国際共著論文率は果たして重要な指標か?」 • 国際共著論文率=国際共著論文数/総論文数 仮説:国際共著論文のほうが、citationも多く、良い論文である。 → 国際共著論文をふやせば、citation/インパクトも上がるのではないか。 実際には、、、 • 国際共著論文のほうがcitationなどのインパクトが高くなる傾向はあるが、そうでない分野も多々ある • citationなどのインパクトを大きくする目的であれば、産学連携共著論文のほうが貢献度は大きく、そこま で国際共著論文は貢献しない。 • そもそも、国際共著論文率が高いほうが研究力が強いのか?その国家が独自に研究遂行する力がなけ れば、国際共著論文率は自ずと高くなる。 • 指標が独り歩きし、国際共著論文の水増し(authorに名前を入れる)などの事態が発生 → そもそもの目的と乖離したところで、国際共著論文率をあげることが行われても 意味がない むしろ、どのくらいの数の機関と国際的な連携を太くもっ 16 ていることが、研究大学としての強みなのではないか。 提案:国際共著連携機関のh数 (CNI: collaborative network index) 5 10 機 関 A 50 5 5 4 6 国際共著論文数:31 国際連携機関数:5 International CNI:5 1 機 関 B 3 1 1 国際共著論文数:60 国際連携機関数:6 International CNI:3 17 (暫定値) CNI h-count 東大 筑波大 名大 京大 東工大 早稲田 KEK 岡山 阪大 神戸 九大 広島 東北大 NINS 新潟 千葉 北大 慶應 金沢 長崎 熊本 一橋 226 215 210 210 209 209 209 208 207 204 201 128 75 53 50 47 39 26 22 17 17 5 暫 定 東京大学は、海外の226 機関とそれぞれ226以上 の論文を出しています。 注意: 分野による傾向の違いも要検討 18 国際アドバイザーからのアドバイス 国際アドバイザー 1.Cambridge大学 John Green氏 2.エルゼビア Lisa Colledge 3.AAAS Brian Lin 4.エルゼビア M’hamed Aisati 1.節度をもって使えば、研究評価指標は、よりよい決断を導くのに有効 黄金則1)定性的なものと定量的なもの、両方の評価手法を用い、決定をしてい くこと 黄金則2)定量的なものを測る際にも、1つ以上の評価指標を用いること 2.ベンチマークの成功のためには、明確な課題の抽出と、適切な評価指標の設 定が重要 3.コアとなる評価指標群の確立、+分野ごとの個別の補足的な指標の設定 4.日本語文献は、まず一定の専門家集団でテストすべき 5.新しい評価指標は、あくまで伝統的な指標も大切にしたうえに成り立つ 今後の流れ 『ランキング順位のような1次元の指標では評価できない、 大学の多様性とそれぞれの特徴の把握』 • 主要指標の選択とその関係性の把握 • 分野別に個々の大学の「強み」を、どのように「見える化」するか 大学の分野ごとの特徴をどのように把握するか? 国際比較をどうすすめるか? • 人文社会系研究力分析について考え方の整理 (非英語文献をどう扱うかも含む) → ヨーロッパおよびアメリカにおける調査・意見交換が必要 → 報告書のまとめ(6月まで)とともに、 大学との意見交換・説明会などを予定 2月(意見聴取)、6月(報告会) 大学への訪問と意見交換も 20 量 質 厚み 論文数 被引用数 など Top1%論 文数・割 合など 大学のその分野 は、どのくらい層 が厚いのか? 国際性 科研費分析 (peer-reviewの結果 として) 21 今後もどうぞよろしくお願いいたします。 連絡先: 自然科学研究機構 研究力強化推進本部 特任教 授 小泉周 ([email protected]) 22
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