十日町市立南中学校の指導事例(PDF形式 779 キロバイト)

学力向上推進システム活用事業<指導事例>
Web配信集計システムを活用し,生徒と職員の意欲を高める
十日町市立南中学校
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はじめに
本校は ,平成27年度から「 文武不岐 」を学校教育の基本姿勢として取り組んでいる 。文(学
習)と武(特別活動,行事,部活動など)は一体で,どちらも人としての生き方の向上を目指
すものである。それによって学校の教育活動全体が向上し,学力も向上すると考え ,「将来
の自分と今の自分をつなぐ」というキャリア教育の視点も大切にしている。
自校の現状から ,「生徒の主体的な学びを引き出し,学習意欲を高めること」や「教師の
指導方法の転換を図ること」などを課題と捉え,その解決に向けた取組の一つとしてWeb配
信集計システムの有効活用を進めている。
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取組の一例
(1)
Web診断問題結果と分析の活用
生徒や職員のWeb配信問題への関心
を高め,日々の学習や指導への意欲向
県平均に対す
上につながるよう,Web診断問題結果
(県と自校の正答率の差のグラフ)と
自校の診断問題の正答率
る自校の結果
その分析,正答率の低い設問の学習方
法やアドバイスなどを廊下に掲示し,
生徒が参照できるようにしている。ま
た,職員には,右図のように得点一覧
表も合わせて配付し,成果や課題を確
分析や学習方法,アドバイス
毎月全職員に配付する「Web配信問題結果と分析」(一部)
認して,指導に生かしている。
自校の正答率の低い設問の解き方や学習方法
等について,生徒向けに記述している。
◯国語:「話す・聞く(スピーチ・話し合い)」が範囲でした。大問1の(2)の正答率が
46 %と低かったです。「険しい」は「けわしい」と読みます。覚えておきましょう。
◯数学:「1次方程式(かっこを含む方程式,小数や分数を含む方程式,1次方程式の利
用,比例式)」が範囲でした。大問1の(2)1.2x+6=7x-2.4 の方程式を解く問題の正
答率が 50 %と低かったです。等式の性質を利用して,左辺と右辺の両方を 10 倍して
やると小数でなくなり,計算がしやすくなります。また大問1の(4)の正答率も 53 %
と低かったです。こちらは分数の形になっている方程式を解く問題です。x-1/5
=2の分母の5を消すように左辺と右辺に5をかけてやると,x-1= 10 となります。
答えはx= 11 です。どちらも左辺と右辺の両方に同じ数をかけたり,割ったりしても
答えは変わらないという等式の性質を利用しています。この性質を利用すると計算が
簡単になるだけでなく,間違いも少なくなります。
◯英語:大問3の(3)He is my friend.の主語をTheyに変えてThey( )my( ).に当ては
まる語を答える問題の正答率が 44 %と低かったです。Iに対してはam,Youに対しては
are,HeやSheに対してはisです。この問題のTheyという主語に対してはareとなります。
(2)
「Web学習タイム」の取組
診断問題の実施前に,過去問題を利用して
3教科の診断問題の範囲を重点的に復習する
「Web学習タイム」を設定している。50分間
に1教科16分間の設定で,右表のように教科
担当者が教室を移動して指導する。国語,数
学,英語担当以外の職員はTTや補助として
教室に入り ,全校体制で指導に当たっている 。
(3)
「Web学習タイム」の分担表(一部)
「補充教室」の取組
苦手な内容がある生徒を対象に ,「補充教室」を診断問題前に数日間実施している。担
当教師(教科,学年部で対応)に加え,教える役割の生徒も募って実施することにより,
生徒が学び合う姿が見られるようになった。
取組の成果
①
右表は,各教科,各学年で,Web診断問題の県
平均を上回った回数を年度ごとに示したもので
ある。全教科,全学年で診断問題の結果が向上
してきている。
②
「Web学習タイム」の16分間という限られた時
Web診断問題で県平均を上回った回数
間で要点を効果的に指導するために,職員が内
容を精選・工夫して指導するようになり,日常の授業改善にも生かされている。
③
Web配信集計システムに自らアクセスして過去問題の正答率や解説を確認したり,過
去問題を進んで授業や課題に活用したりする職員が増加した。最初の合い言葉「Web診
断問題で県平均を超えよう!」から ,「このシステムを活用して授業改善をしよう!」
へと職員の意識も変わってきている。
3
おわりに
本校の学力は少しずつではあるが向上している。この間,学
力だけではなく,部活動の成績や生徒会活動を中心とした特別
活動等,あらゆる面での向上が見られる。2年前から取り組ん
でいる「将来の自分と今の自分をつなぐ」というキャリア教育
の視点での教育活動や ,『やればできる(やらせればできる )』
という生徒,職員の意欲の向上につながる取組が,これらの成
果につながっていると考える。生徒も職員も互いにその成果を共有して喜び合い,次の取組
や活動を行っている。今後も現在の姿勢や取組を継続,発展させていきたい。
学力向上チームからのコメント
自校のWeb診断問題結果を分析し,生徒向けに学習方法やアドバイスを示すなど,生徒の
主体的な学びや職員の学習指導への意欲向上を図る取組が進められている 。「Web学習タイ
ム」や「補充教室」などの学び直しの機会を全校体制で推進して,着実な成果につなげるな
ど,各校の取組の参考になる好事例である。