Skill 22:MANAGE MEETING OR EVENT SITE

CMP
(Certified Meeting Professional)から
SKILL 22:
MANAGE
MEETING OR
EVENT SITE
SKILL 22: MANAGE MEETING OR EVENT SITE
ることになりますが、たとえばテーブルリネンセッティング
が始まるまでにテーブルの設置を終える、設営作業が始まる
Sub skill 22.01 – C
reate Logistics Action Plan
までにリサイクル回収ボックスを設置するなど(設営時と撤
Sub skill 22.02 – Set Up Site
ことも重要です。
for Site Set-Up and Take-Down
Sub skill 22.03 – M
onitor Site During Meeting
or Event
Sub skill 22.04 – Dismantle Site
CMP 出題頻度:4 〜 6問(合計150問)
去時には大量のごみが発生するため)
、段取りを決めておく
設営部分の段取りが確定したら、次はイベントの中身を
ESG に合わせる作業です。各セッションの長さやスピーカー
の持ち時間、休憩時間やリハーサルなどもESG に従って決め
ていきましょう。また、セキュリティ情報についても、警備
員の配置や認証手続きなどを ESG に追加しておきます。
イベントの当日運営では、その過程で発生するさまざまな
問題を解決するために、プランナーもさまざまな役割を果た
す必要があります。経験を積んだプランナーほど早くから準
備を始める傾向があります。これは、発生する可能性のある
問題点を洗い出し、それぞれの問題点に備えるためです。
人や物の流れをスムーズに管理するにあたり、ESG のすべ
ての項目は、時間(time)
・利用できるかどうか(availability)
・
コスト(cost)のバランスをとる必要があります。ESG が出来
上がったら、関係する各部門のスタッフに見てもらい、フィ
ードバックを受けてください。また、ESG の修正はプランナ
ーが自分自身で行うことにより、情報を一元化することも重
要です。
ロジ計画の作成
Sub skill 22.01 – C
reate Logistics Action Plan for
Site Set-Up and Take-Down
当日運営のためのロジ計画を立てるにあたり、いちばん最初
会場設営
Sub skill 22.02 – Set Up Site
に必要となる情報は「会場を利用することのできる借り上げ期
会場設営にあたっては、各サプライヤーの搬入時間や、搬
間」です。イベント本番だけでなく、設営や撤去もこの期間内
入に必要な設備・条件を整理して、会場担当者・警備担当者
に収める必要があります。時間が足りないから延長しようとし
と共有する必要があります。また、会場ごとのルールや料
ても、前後にはすでに別の催事主催者が予約を入れているた
金設定を確認しておきましょう。北米の場合だと、コンベン
め延長できない場合が多いので要注意です。会場予約の際に
ションセンターなど大きな施設では搬入物引受料(material
は、設営・撤去にかかる時間をきちんと見積もったうえで、借
handling fee)や保管料(storage charge)を加算するところ
り上げ日程を決めるようにしてください。
が多いようです。
借り上げ日程が決まったらESG(event specification guide)
搬入物が届き始めたら、所定のスケジュールに従って搬入
の作成をはじめます。会期前・会期中・会期後にわたり、運
を行います。スケジュールにはある程度のゆとりを持たせて
営用タイムテーブルにイベントの主要な機能や活動などを入
おくことも重要です。ちなみにこれは講演者のためのリハー
れ込んでいきます。ESG は巨大なパズルのようなもので、す
サルでも同様で、たとえ本人がリハーサルは必要ないと言っ
べてのピースを正しく計画だてて配置することによって、イ
たとしても、運営側としてはリハーサル時間を確保しておい
ベントがスムーズに進行するのです。
たほうが得策です。講演者抜きでも映像・音響のみのリハー
ESG に盛り込む情報は、参加者に配布するアジェンダの
サルを行うことで万全を期すことができるからです。
情報とは異なります。アジェンダにはプログラムの内容を、
ESG にはプログラムを運営するための情報を盛り込みます。
また、ESG には運営用タイムテーブルのほか、フロアプラン・
レイアウト、設営内容、展示会場レイアウト、スタッフそれ
ぞれの役割を示した体制表、サステナビリティへの取り組み、
セキュリティ情報なども盛り込みます。
イベントでは通常、複数のチーム・サプライヤーが協働す
14 MICE Japan 2017・2月号
会期中の会場管理
Sub skill 22.03 – M
onitor Site During Meeting
or Event
イベント本番が始まったら、プランナーは各部門・各サプ
考えるMICEのグローバルスタンダードと日本基準
ライヤーと密に連絡を取り合い、イベントが ESG どおりに進
するスタッフ全員にコピー一式を渡しておきます。
んでいるかをモニタリングします。ESG には関係者の連絡先
通関を容易にするものとして ATA カルネが挙げられます。
一覧を載せておき、仮設電話の番号なども随時アップデート
これは ATA 条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関す
します。想定外のアクシデントが発生した場合も、
「必要な
る条約)に基づき、展示会への出品物などの物品を外国へ一
時に必要な人にすぐコンタクトできること」
、これでずいぶ
時的に持ち込む場合、外国の税関で免税扱いの一時輸入通関
んストレスが減りますし、すぐにもとの軌道に戻すことがで
が手軽にできる通関手帳です。 輸入税の支払いや保証金の
きます。
提供が不要となる支払保証書でもあります。現在75か国で使
なお、会期中、プランナーはさまざまな判断を要求され
用が認められているため、通関手続きの異なる数か国の税関
ることになります。ESG の内容と進行フローをしっかり頭
で使用できるメリットがあります。
に入れて、適切な対応ができるように準備しておいてくだ
推奨すべきものではありませんが、国と状況によっては通
さい。
関時に Ex gratia payment つまり袖の下が必要になることも
あるそうです。こうした経費を会計上では婉曲表現として
easements や subventions と表記します。Ex gratia payment
会場撤去
Sub skill 22.04 – Dismantle Site
無事にイベントが終了した後も、すべての人や物が会場を
を検討せざるを得ない場合は、あらかじめ所属団体の倫理コ
ードや自国および相手国の法律を確認しておく必要がありま
す。また、チャリティへの寄付という形をとることもあるそ
うです。
出るまで ESG のモニタリングは続きます。荷捌き場が使用で
きる状態になっているか、廃棄物の処理は適切に行われてい
るか。さらに会期終了後はスタッフの疲労がたまっているた
め、ずさんな仕事をしたり、思わぬ事故が起こるという可能
押さえておきましょう! CMP 用語集(terminology)
ATA carnet A
TAカルネ
Cost, insurance, freight(CIF)
運
賃保険料込み条件
とも大切です。
Customs broker 通
関業者、乙仲
廃棄物の処理にあたっては、安全かつ環境に配慮した方法
Event specifications guide(ESG) E
SG
で行います。サプライヤーが適切な処理を行っているかどう
Ex gratia payment 報
賞金
Freight forwarding company フ
ォワーダー
Logistic action plan ロ
ジ計画
Material handling fee 搬
入物引受料
Pro forma invoice プ
ロフォーマ・インボイス、
見積送り状
Temporary import bond T
emporary import bond
Temporary import license T
emporary import
license
U.S. export license 米
国輸出ライセンス
Value-added tax(VAT)
付
加価値税
性もあるのです。このため、充分な撤去時間を設けておくこ
かも確認します。事前に調べておくと、資材の種類によって
寄付を受け付けている団体が見つかることもありますので、
ぜひ廃棄だけでなくリユースも視野に入れて検討してくださ
い。
危険物の処理は法律に準拠した方法で行います。欧米では
余り食材をシェルターに寄付することもありますが、これは
開催地の法律や安全基準に照らし合わせて行う必要がありま
す(日本では現状、英米法の good Samaritan law に相当する
法律がないため、たとえば食中毒が発生した場合は責任が発
生します。このため、一般的に余り食材の寄付は行われてい
ません)
。
海外でイベントを開催した場合は、撤去後に搬出物を送り
返す作業を行う必要があります。国を超えて貨物を送る場合
は、その中身や大きさ、重さ、価格などを記した書類(pro
forma invoice)などを用意する必要があり、これは貨物にと
ってのパスポートのようなものだと考えてください。通関に
あたっては国によってさまざまな書類や手続きが必要になる
ため、フォワーダーや通関業者に依頼するのが確実です(フ
ォワーダーには通関業者を兼ねているものとそうでないもの
があります)
。
国によっては持ち込みが制限されている品目があったり、
法律によってさまざまな書類を用意する必要があります。フ
ォワーダーに相談しながらこれらの書類を揃えて、荷受けを
西本 恵子
Keiko Nishimoto, CMP
日本コンベンションサービス
(株)
MICE 都市研究所 主任研究員
Convention Industry Council で CMP 試験
問題作成委員および国際標準委員を担当。ICCAアジアパシ
フィック部会担当理事。
東日本大震災からまもなく6年。第3回国連防災世界会議の
誘致・開催を通じてビルド・バック・ベター
(よりよい復興)を
果たした仙台市のみなさんと、チリ・サンチアゴで第17回世
界地震工学会議の誘致を成功させました。時差と祝杯の重
ねすぎでふらふらです。
MICE Japan 2017・2月号 15