小企業の借入に関する調査結果(PDFファイル364.5

ニュースリリース
2 0 1 7 年 2 月 9 日
株式会社日本政策金融公庫
総
合
研
究
所
借入金残高が「増加した」企業割合は3年連続で上昇
小企業の借入に関する調査結果
(全国中小企業動向調査(小企業編)2016年10-12月期特別調査)
○ 借入金残高が前年と比べて「減少した」企業は52.7%と半数を超える。「増加した」企業の割合は21.3%にとどまるが、3年連続で上昇
した。
○ 2016年に借入した(する予定)と回答した企業割合は、43.5%と2015年から7.8ポイント上昇した。
○ 2016年に借入した(する予定)企業の資金使途は、「日常的な仕入・経費支払」が半数以上と最も多い。
○ 2016年に借入した(する予定)企業の借入の決め手は、「必要なタイミングだった」が67.2%と最も多く、次いで「金融機関の対応(経営
相談、訪問頻度)が良かった」が15.9%、「金利が下がった」が7.9%となっている。
<お問い合わせ先>
日本政策金融公庫 総合研究所 小企業研究第二グループ
Tel:03-3270-1691(担当:桑本、藤井)
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-9-4 大手町フィナンシャルシティ ノースタワー
[調査の実施要領]
調
査
時
点
2016年12月中旬
調
査
対
象
当公庫取引先 10,000 企業
数
6,340 企業 [回答率 63.4 %]
有
効
回
答
< 業 種 構 成 >
調 査 対 象
有効回答数
1,500 企業
1,017 企業
製
造
業
(従業者20人未満)
(構成比 16.0 %)
卸
売
業
( 同 10人未満)
800 企業
559 企業
( 同 8.8 %)
小
売
業
( 同 10人未満)
2,450 企業
1,502 企業
( 同 23.7 %)
飲食店・宿泊業
( 同 10人未満)
1,800 企業
1,048 企業
( 同 16.5 %)
サ ー ビ ス 業
( 同 20人未満)
2,000 企業
1,267 企業
( 同 20.0 %)
情 報 通 信 業
( 同 20人未満)
160 企業
100 企業
( 同 1.6 %)
建
設
業
( 同 20人未満)
1,100 企業
717 企業
( 同 11.3 %)
運
輸
業
( 同 20人未満)
190 企業
130 企業
( 同 2.1 %)
○ 金融機関からの借入金残高の増減をみると、1年前と比べて「減少した」と回答した企業の割合が、52.7%と「増加した」企業の割合
(21.3%)を大きく上回っている。ただし、「減少した」企業の割合が前年調査からほぼ横ばいとなっているのに対し、「増加した」割合は
2014年以降3年連続で上昇している。
○
従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「増加した」割合が高くなっている。
図-1 1年前と比べた借入金残高の増減
図-2 1年前と比べた借入金残高の増減(従業者規模別)
10 (DI)
0
-10
(単位:%)
-20
-30
増加した
ほとんど
変わらない
減少した
23.6
56.7
-40
-50
(単位:%)
1~4人(n=2,716)
19.7
5~9人(n=1,099)
21.4
増
16.5
32.2
17.9
31.5
19.0
26.2
17.7
26.3
19.1
26.6
18.3
25.9
20.2
22.6
21.6
26.0
25.8
49.1
51.5
52.6
09
10
26.1
24.2
24.8
51.2
02
50.5
03
54.8
04
56.0
05
54.3
06
55.8
07
55.6
08
19.2
17.8
17.9
19.5
21.3 加
し
た
23.7
23.8
27.3
変ほ
27.9
26.0 わ と
29.3
49.3
らん
など
い
57.1
58.4
54.8
10人以上(n=805)
減
52.6
27.3
29.3
43.4
52.7 少
し
た
11
12
13
14
15
16
(調査年)
(注)1 事業資金借入のうち、金融機関からの借入金の残高。住宅ローンなどの事業用ではない借入金は除く。役員、従業員、販売先など金融機関以外からの借入金は除く(以下同じ)。
2 回答割合は四捨五入して表示している(以下同じ)。
3 借入金残高増減DI=「増加した」企業割合-「減少した」企業割合
- 1 -
○ 借入金残高の水準に関する認識をみると、「適正」と考えている企業が全体の62.1%を占める一方、「過大」と考えている企業の割合も32.5%
に上る。前年調査に比べると、「適正」の割合は2.5ポイント上昇し、「過大」の割合は3.5ポイント低下した。
○
従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「過大」の割合が高くなっている。
図-3 借入金残高の水準に関する認識
図-4 借入金残高の水準に関する認識(従業者規模別)
0 (DI)
-10
-20
(単位:%)
-30
-40
過大
適正
過小
30.0
64.3
5.7
-50
-60
1~4人(n=2,880)
(単位:%)
38.5
37.7
35.6
34.7
53.1
55.1
57.1
57.6
8.5
7.2
7.4
02
03
04
34.8
34.6
58.4
58.5
7.6
6.8
7.0
05
06
07
36.0
57.5
40.0
38.3
38.2
37.6
36.5
36.6
36.0
54.4
56.7
57.8
58.3
58.2
57.7
59.6
6.5
5.5
5.0
4.0
4.1
5.2
5.7
4.4
08
09
10
11
12
13
14
15
32.5
過
大
62.1 適
正
過
5.4 小
16
(調査年)
(注)借入金残高水準DI=「過小」企業割合-「過大」企業割合
- 2 -
5~9人(n=1,156)
36.0
59.4
4.6
10人以上(n=856)
37.7
57.8
4.4
○ 今後1年間の借入金残高に関する方針をみると、「減らす」と回答した企業の割合が69.0%に上り、前年調査から5.6ポイント上昇してい
る。上昇は2年連続である。「現在の水準を維持」するとした企業は24.2%、「増やす」とした企業は、6.8%となった。
○
従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「増やす」割合が高くなっている。
図-5 今後1年間の借入金残高に関する方針
図-6 今後1年間の借入金残高に関する方針(従業者規模別)
-20 (DI)
-30
-40
(単位:%)
増やす
-50
現在の
水準を維持
-60
減らす
-70
-80
3.4
3.7
3.9
4.5
4.4
4.1
32.0
31.7
27.9
28.9
29.1
27.8
6.9
5.6
4.5
5.0
4.5
4.3
(単位:%)増
6.8 や
7.7
9.4
す現
30.3
27.9
28.1
27.1
30.5
30.7
24.2 維 の
02
64.7
03
68.2
04
66.7
05
66.5
06
68.1
07
62.6
63.7
65.2
08
09
10
67.1
67.4
28.8
12
13
72.1
持水
準
を
5~9人(n=987)
7.7
27.5
64.8
10人以上(n=743)
9.4
25.7
64.9
減
68.5
57.3
11
22.3
在
33.3
64.7
1~4人(n=2,470) 5.7
14
63.4
15
69.0 ら
す
16
(調査年)
(注)借入金残高方針DI=「増やす」企業割合-「減らす」企業割合
- 3 -
○ 2016年に「借入した(する予定)」と回答した企業割合は、43.5%と2015年から7.8ポイント上昇した。
○
従業者規模別にみると、規模が大きい企業ほど「借入した(する予定)」割合が高くなっている。
図-7 借入の実施状況
図-8 借入の実施状況(従業者規模別)
借入した
(する予定)
2015年(n=5,949)
35.7
借入しなかった
(しない予定)
(単位:%)
<1~4人>
2015年(n=3,557)
43.5
借入しなかった
(しない予定)
28.8
71.2
64.3
2016年(n=3,593)
2016年(n=6,017)
借入した
(する予定)
56.5
36.4
63.6
<5~9人>
2015年(n=1,236)
2016年(n=1,248)
44.7
55.3
52.5
47.5
51.7
48.3
<10人以上>
2015年(n= 891)
2016年(n= 908)
- 4 -
60.9
39.1
(単位:%)
○ 2016年に借入した(する予定)企業に、そのうちで最も大きな借入の資金使途について尋ねたところ、「日常的な仕入・経費支払」が
50.3%と最も多く、次いで「設備の更新・補修」(21.9%)、「余剰手元資金の確保」(18.3%)の順となっている。
○ 従業者規模別にみると、「日常的な仕入・経費支払」や「赤字補てん」は、従業者「1~4人」の企業で最も多くなっている。「設備の増
設・新設」「設備の更新・補修」「従業員の増員」「納税・賞与などの季節資金」などは、「10人以上」の企業で最も多くなっている。
図-9 借入の資金使途(複数回答)
80
図-10 借入の資金使途(複数回答、従業者規模別)
(%)
(n=2,494)
60
80
(%)
54.4
51.0
60
50.3
1~4人(n=1,251)
40
40
21.9
20
18.3
17.7
15.6
12.8
3.7
6.3
6.3
販
(
展路
示拡
会大
出
展
や
広
告
宣
伝
な
ど
)
従
業
員
の
増
員
10.8
20
6.8
0
41.5
5~9人(n=620)
10人以上(n=528)
25.6 23.0 23.7
21.0
17.7
15.8
17.8 16.7 13.9
13.9
11.9
12.5 13.1
5.1 6.7 7.2
6.1
5.2
3.9
3.5
3.3
19.3
18.5
12.7
13.1
7.7
10.0 6.6
6.3
7.2
0
設
備
の
増
設
・
新
設
設
備
の
更
新
・
補
修
新
製
品
開
発
・
研
究
開
発
余
剰
手
元
資
金
の
確
保
日
常
的
な
仕
入
・
経
費
支
払
納
税
・
賞
与
な
ど
の
季
節
資
金
赤
字
補
て
ん
そ
の
他
設
備
の
増
設
・
新
設
設
備
の
更
新
・
補
修
新
製
品
開
発
・
研
究
開
発
販
(
展路
示拡
会大
出
展
や
広
告
宣
伝
な
ど
)
1
1
売
上
増
加
に
伴
う
仕
入
・
経
費
支
払
(注)2016年に金融機関から借入した企業に、そのうちで最も大きな借入について尋ねたもの。
(注)図-9に同じ。
- 5 -
従
業
員
の
増
員
余
剰
手
元
資
金
の
確
保
売
上
増
加
に
伴
う
仕
入
・
経
費
支
払
日
常
的
な
仕
入
・
経
費
支
払
納
税
・
賞
与
な
ど
の
季
節
資
金
赤
字
補
て
ん
そ
の
他
○ 2016年に借入した(する予定)企業のうち、借入金利が前年と比べて「上がった」と回答した企業割合は7.5%、「変わらない」は64.1%、
「下がった」は28.4%となった。
○
従業者規模別にみると、規模が大きくなるほど「上がった」割合は低く、「下がった」割合は高くなっている。
図-11 借入金利の変化(前年比)
図-12 借入金利の変化(前年比、従業者規模別)
(単位:%)
(単位:%)
上がった
上がった
7.5
1~4人(n=1,253)
8.1
変わらない
下がった
67.1
24.7
下がった
28.4
5~9人(n=641) 7.3
62.4
30.3
変わらない
64.1
(n=2,528)
10人以上(n=541) 6.3
(注)2016年に金融機関から借入した企業に尋ねたもの。
(注)図-11に同じ。
- 6 -
58.8
34.9
○ 2016年に借入した(する予定)企業に、そのうちで最も大きな借入の決め手について尋ねたところ、「必要なタイミングだった」が67.2%
と最も多く、次いで「金融機関の対応(経営相談、訪問頻度)が良かった」が15.9%、「金利が下がった」が7.9%となっている。
○
従業者規模別にみると、「必要なタイミングだった」の割合がいずれの規模でも最も高くなっており、規模が小さい企業ほど高くなる傾向
にある。「金融機関の対応(経営相談、訪問頻度)が良かった」や「金利が下がった」は、規模が大きい企業ほど高くなっている。
図-13 借入を行った決め手(最も大きな理由)
図-14 借入を行った決め手(最も大きな理由、従業者規模別)
(%)
80
(%)
80
67.2
(85.5)
71.9
64.6
59.6
(n=2,522)
60
60
40
40
1~4人(n=1,265)
15.9
(63.5)
20
3.1
(27.5)
3.8
(38.2)
担
保
・
保
証
条
件
が
良
か
っ
た
返
済
条
件
が
良
か
っ
た
7.9
(33.6)
5~9人(n=632)
20
2.0
(4.4)
0
10人以上(n=532)
20.9
17.9
13.0
3.1 3.6 2.4
4.1 3.8 3.2
担
保
・
保
証
条
件
が
良
か
っ
た
返
済
条
件
が
良
か
っ
た
11.3
6.1 8.4
1.8 1.7 2.6
0
必
要
な
タ
イ
ミ
ン
グ
だ
っ
た
金
融
訪機
問関
頻の
対
度応
)
が(
経
良営
か相
っ
た談
、
金
利
が
下
が
っ
た
必
要
な
タ
イ
ミ
ン
グ
だ
っ
た
そ
の
他
(注)1 2016年に金融機関から借入した企業に、そのうちで最も大きな借入について尋ねたもの。
2 ( )内の数字は、最大三つまでの複数回答の結果。
- 7 -
金
融
訪機
問関
頻の
対
度応
)
が(
経
良営
か相
っ
た談
、
(注)図-13(注)1に同じ。
金
利
が
下
が
っ
た
そ
の
他
○ 2016年後半に金融機関からの接触頻度が「増えた」と回答した企業割合は、メインバンクについては8.9%、メインバンク以外の金融機関に
ついては10.8%となった。一方、「減った」と回答した企業割合は、それぞれ12.1%、14.2%となっている。いずれの金融機関についても「変
わらない」と回答した企業割合が7割以上を占めている。
○
従業者規模別にみると、規模が大きくなるほど「増えた」割合が高くなっている。
図-15 金融機関からの接触頻度
(2016年7~12月について、前年同期比)
図-16 金融機関からの接触頻度
(2016年7~12月について、前年同期比、従業者規模別)
(単位:%)
増えた
メインバンク
(n=4,839)
メインバンク以外の
金融機関
(n=4,550)
変わらない
減った
79.0
12.1
(単位:%)
<メインバンク>
増えた
1~4人(n=2,704) 6.3
8.9
10.8
75.0
変わらない
減った
80.8
13.0
5~9人(n=1,103)
11.8
77.6
10.6
10人以上(n=840)
13.7
75.0
11.3
14.2
<メインバンク以外>
1~4人(n=2,547)
5~9人(n=1,031)
10人以上(n=808)
- 8 -
7.7
13.2
17.8
78.2
72.4
68.6
14.1
14.5
13.6