高齢者介護施設の利用者を対象とした 空き家活用法の提案

高齢者介護施設の利用者を対象とした
空き家活用法の提案
九州大学芸術工学府
デザインストラテジー専攻1年
黒木泰地
発表の流れ
空き家再生の先行事例
筑前町の人口ビジョンの考察
調査 01|ネットやパンフレットによる調査
調査 02|フィールド調査
活用法の検討
調査 03|高齢者介護施設「朝倉苑」でヒアリング調査
コンセプト立案
提案
今後の展望(再生の際の助成金と主体について)
空き家再生の先行事例
事例1
事例3
事例2
尾道空き家再生プロジェクト
(広島県尾道市)
事例4
糸島空き家プロジェクト
アキナイプロジェクト
南木曽町空き家プロジェクト
(福岡県糸島市)
(山梨県富士吉田市)
(長野県南木曽町)
尾 道特 有の 傾斜 地 の 空 き 家 を ゲ ス ト
九大生が地域と協力して糸島らしいラ
築 70 年 を 超 え る 6 軒の長屋を再生利
ワークショップ形式で学生や地域と共
ハ ウス やア トリ エ な ど 様 々 な 施 設 へ
イフスタイルの実現をコンセプトとし
用 し て 、 地 域 活 動の拠点と仮住まいの
に空き家を再生している地域おこし協
と 再生 利用 して い る
て活動している
場として整備
力隊による活動
考察結果
その土地の強みや特徴を生かす
弱みや問題を解決して今までにないものを作る
学生やボランティアを絡めた再生活動
筑前町の人口ビジョンの考察
○ ニーズ・課題
・介護や福祉などのサービスのニーズが高まる
・若年層の人口の転出が顕著
・町内での就業機会が少ない
・仕事を求めて転出するよりも、便利な居住地を求めて転出する
若年層の転出に歯止めをかける
筑前町内の若年層を転出させない
筑前町外の若年層を転入させる
空き家活用の管理者としてのターゲット:筑前町内外の若年層
調査 01|ネットやパンフレットによる調査
強み
・福岡や久留米といった県内都心部へ車で一時間圏内
・産業の中心「ちくぜん食の都づくり宣言」→ 農産物の鮮度が高い
・昔ながらのかまど、
み上げ水などを使った調理法
・農業体験としての子どもの受け入れ
・車が少なく、運転しやすい道路
筑前町の強み
農業の文化と鮮度の高い特産品
調査 02|フィールド調査(筑前町内の散策)
○ 気づきのピックアップ
・老人ホームが多いこと
・養護学校がいくつかある → 作品をファーマーズマーケットで売っている
・シルバーハウジング蝴蝶閣
・障害者支援施設 第二野の花学園
・グループホーム弘医荘
・第六野の花学園
・社会福祉法人朝倉社会事業協会 特別養護老人ホーム美和の里
・障害福祉サービス事業所 ちくぜん野の花
・グループホーム さくら
・介護老人保健施設 城山荘
・特別養護老人ホーム 朝老園
・社会福祉法人朝倉社会事業協会 特別養護老人ホーム朝倉苑
・介護老人保健施設 サンビレッヂ朝日ヶ丘
老人ホーム8件
養護関連施設3件
空き家活用の利用者としてのターゲット:老人ホームの高齢者
活用法の検討
管理者としてのターゲット:筑前町内外の若年層
+
利用者としてのターゲット:老人ホームの高齢者
空き家の活用法
老人ホームの高齢者を対象とした非日常体験施設
調査 03|高齢者介護施設「朝倉苑」でヒアリング調査
概要
利用者数:103 人(デイサービス利用者は別)
スタッフ数:80 人
提供しているサービス:
養護老人ホーム 朝倉苑
特別養護老人ホーム 朝倉苑・美和の里
朝倉苑短期入所生活介護事務所
デイサービスセンター 美和の里
調査 03|高齢者介護施設「朝倉苑」でヒアリング調査
ニーズ①
利用者が自立するための取り組みが欲しい
過介護によって利用者ができることを減らしてしまう問題。
朝倉苑においても、自分でできることは自分でさせるようにしている。
ニーズ②
自らの意思で選択する機会が欲しい
ケアマネージャーによるケアプランに従ったカリキュラムだったり、
施設内でできることには制限があるため、自分で何かを選択するということが少ない
調査 03|高齢者介護施設「朝倉苑」でヒアリング調査
リハビリ作品の展示
調査 03|高齢者介護施設「朝倉苑」でヒアリング調査
気づき①
外出するためのカリキュラムや移動するための車両がある
高齢者3∼4 人+スタッフ 1 人などで、近くの神社に初詣に行ったり、
滝を見に行ってそうめんを食べたり、ショッピングをしたりしている。
気づき②
食に関するイベントが定期的に行われている
月に一回行われる料理クラブや、以前ホームに畑があった頃には
収穫祭を行ったりと、食に関するイベントを高齢者は楽しんでいる。
コンセプト立案
空き家の活用法
老人ホームの高齢者を対象とした非日常体験施設
空き家再生の先行事例
+
その土地の強みや特徴を生かす
筑前町の強み
+
農業の文化と鮮度の高い特産品
concept
医療と農業の連携|リハビリのための農業体験
提案
「my 畑に行く」空き家活用法
提案内容
1 つの老人ホームあたり5軒程度の空き家を管理させ、
高齢者のリハビリを兼ねた農業体験施設として活用
空き家
空き家
老人ホーム
空き家
空き家
空き家
空き家を管理するのは、老人ホームのスタッフであり、
介護・福祉に携わる若者たち → 若年層の雇用機会を増やす
老人ホーム
筑前町の空き家の特徴
空き家 筑前町の空き家の特徴 → 敷地内に畑などの農地がある
空き家 + 畑
筑前町の空き家の特徴 → 敷地内に畑などの農地がある
空き家 + 畑
「空き家に行く」ではなく、「畑に行く」
筑前町の空き家の特徴 → 敷地内に畑などの農地がある
見学した際の畑を有した空き家の例
空き家 + 畑
「空き家に行く」ではなく、「畑に行く」
提案
「my 畑に行く」空き家活用法
「m y 畑」 とは、
老 人 ホ ームの高齢者一人一人に持たせる区画 分 け さ れ た 畑 の こ と
提案
「my 畑に行く」空き家活用法
「my 畑」を持たせる目的
・農作業による身体的なリハビリ効果が期待できる
・育てるという意識から心的なリハビリ効果が期待できる
・老人ホームのカリキュラムのスパイスとなる
提案
「my 畑に行く」空き家活用法
社会へのメリット
・介護や福祉のニーズが高まることに対応した雇用
・高齢化の進む空き家問題を抱える地方への応用ができる
・リハビリ農業という考え方を先駆的に示すことができる
「my 畑」のディティールについて
「my 畑」のディティールについて
敷地内の畑を区画分けし、それぞれを個人の畑にする
D さんの畑
C さんの畑
H
L
G
B さんの畑
K
P
A さんの畑
F
O
J
E
S
N
I
R
M
Q
T
その畑で栽培したい特産品を高齢者が自ら選択する
自らの意思で選択する機会を作る
A さんの畑
B さんの畑
D さんの畑
C さんの畑
B さんの畑
A さんの畑
C さんの畑
D さんの畑
m y 畑に行く + my 畑を育 て る
楽しむことが心的なリハビリ効果につながる
プログラムの流れ
老人ホーム
my 畑
プログラムの流れ
老人ホーム
my 畑
高齢者 3∼4 人とスタッフ 1 人が施設の車両で my 畑へ向かう
プログラムの流れ
特産品栽培
ピクニック
老人ホーム
my 畑
my 畑では基本的に栽培のみ。収穫のない日は弁当で昼食。
プログラムの流れ
老人ホーム
my 畑
ホームへ戻る(外出カリキュラムの組まれている午後を想定)
5つの空き家の使い分け
5つの空き家を要介護レベルで使い分ける
老人ホーム
5つの空き家の使い分け
5つの空き家を要介護レベルで使い分ける
要介護1
ほぼ一人でできるが、部分的に介護が必要
要介護2
日常動作にも部分的に介護が必要
要介護3
日常動作ではほぼ全面的に介護が必要
要介護4
介護なしでは日常生活が困難
要介護5
介護なしでは日常生活が送れない
整備方針が明確になる
整備方針の例
低
ほぼ一人でできる 人
空き家内全体に手すりを整備
要所における段差の軽減
要介護レベル
部分的に介護が必 要 な 人
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生活 で き な い 人
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
整備方針の例
低
ほぼ一人ででき る 人
空き家内全体に手すりを整備
要所における段差の軽減
要介護レベル
部分的に介護が 必 要 な 人
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生 活 で き な い 人
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
整備方針の例
低
ほぼ一人ででき る 人
空き家内全体に手すりを整備
要所における段差の軽減
要介護レベル
部分的に介護が 必 要 な 人
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生 活 で き な い 人
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
整備方針の例
低
ほぼ一人ででき る 人
空き家内全体に手すりを整備
要所における段差の軽減
要介護レベル
部分的に介護が 必 要 な 人
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生 活 で き な い 人
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
整備方針の例
低
ほぼ一人ででき る 人
空き家内全体に手すりを整備
要所における段差の軽減
要介護レベル
部分的に介護が 必 要 な 人
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生 活 で き な い 人
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
整備方針の例
低
再生の際の設備管理は水道のみで
負担を軽減
ほぼ一人ででき る 人
調理をする際にはキャンプ道具を 車 両 に 積 ん で 行 く
空き家内全体に手すりを整備
要所における段差の軽減
要介護レベル
部分的に介護が 必 要 な 人
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生 活 で き な い 人
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
整備方針の例
低
ほぼ一人ででき る 人
空き家内全体に手すりを整備
ス タ ッ フ が 管要所における段差の軽減
理しやすい
要介護レベル
高齢者に対する過介護の防止
部分的に介護が 必 要 な 人
高齢者にとって快適な環境づくり
車椅子が通れる幅の出入り口と広いトイレ空間の確保
要所におけるスロープの整備
介護なしでは生 活 で き な い 人
魅力的な空き
家に改修ができる
緊急時に備えたベッドや機器の設置
高
要所におけるスロープの整備
応用例①
季節の野菜や特産品など各空き家で採れる食材が違う
ナス
クロダマル
トマト
老人ホーム
しいたけ
きゅうり
応用例②
空き家単位でチームを組み、収穫量で競争する(収穫祭)
ナスチーム
クロダマルチーム
トマトチーム
老人ホーム
しいたけチーム
きゅうりチーム
今後の展望(再生の際の助成金と主体について)
助 成 金 「 農 山 漁 村 振 興 交 付 金 ( 農 林 水 産 省 )」
農山漁村の豊かな自然及び「食」を活用した都市と農村との共生・対流等を推進する取組、
地域資源を活用した所得又は雇用の増大に向けた取組、
農山漁村における定住を図るための取組等を総合的に支援
主体「筑前町地域おこし協力隊」
他の空き家再生事例を参考に、
ボランティアや近隣の学生を絡めた再生活動
高齢者介護施設の利用者を対象とした
空き家活用法の提案
九州大学芸術工学府
デザインストラテジー専攻1年
黒木泰地