IL-17 産生性 T 細胞による骨の制御 要旨:骨と免疫系は骨髄微小環境やサイトカインなど多くの制御分子を共有し、不可分な関係を築い ている。特に関節リウマチ (RA)における炎症性骨破壊の研究により、骨と免疫系の相互作用の重要 性が浮き彫りとなり、両者の融合領域である「骨免疫学」が大きく発展してきた。RA では、自己免疫 応答の中枢を担うヘルパーT 細胞・Th17 細胞が局所炎症を惹起するとともに、滑膜における破骨細胞 分化必須因子・RANKL の発現を強力に誘導し、異常な骨破壊をもたらす。近年の RA 治療の飛躍的な進 歩とともに、骨免疫学の視点は臨床的にも重要性を増してきている。さらに最近我々は、骨折治癒に おいて IL-17 産生性γδT 細胞が損傷部位の間葉系前駆細胞に作用して骨再生を促すことを明らかに し、炎症と組織再生を結ぶ T 細胞の新たな生理機能を見出した。このように免疫細胞による骨の制御 システムは、RA のみならず、様々な骨病態の根幹に関わることが明らかになりつつある。 参考文献:Guerrini, Okamoto et al., Immunity, 2015 Ono, Okamoto et al., Nature Communications, 2016 Terashima, Okamoto et al., Immunity, 2016 岡本 一男 博士(Kazuo Okamoto Ph.D.) 東京大学大学院 医学系研究科 骨免疫学寄付講座 3月10日(金) 15:00〜16:30 特任准教授 医学・生命科学総合研究棟(G 棟) Graduate School of Biostudies 連絡先 米原 2階セミナー室 A 高次遺伝情報学分野 伸 内線 9234
© Copyright 2024 ExpyDoc