New y e a r speci al fe at u re 1 2017年の不動産業行政について 国土交通省 土地・建設産業局不動産業課長 中田 裕人 謹んで新春のお慶びを申し上げます。旧年中に賜り 銘柄数・時価総額はともに増加傾向にあります。東証 ましたご厚情に深く御礼申し上げますとともに、本年 REIT指数は、2012年11月末においては約1,000ポイン も相変わらずご厚誼の程、お願い申し上げます。本年 トでしたが、昨年10月末時点においては約1,785ポイ が皆様にとりまして素晴らしい年となりますよう、心 ントと約78%の上昇であり、マーケット状況は拡大傾 よりお祈り申し上げます。 向にあります。 本稿では、昨年の不動産市場の状況を振り返るとと また、住宅着工戸数については昨年 1 月から 9 月ま もに、本年重点的に取り組むべき不動産業政策につい での合計が71.7万戸と、前年同期比で5.9%の増加とな てご紹介させていただきたいと思います。 っています。 1 住宅・不動産市場の現状 2 既存住宅流通市場の活性化 2016年の住宅・不動産市場は、全国的に雇用情勢の 現在の日本を取り巻く課題には様々なものがありま 改善が続く中、住宅ローン減税等の施策による住宅需 すが、とりわけ根本的・構造的なものとして挙げられ 要の下支えや、金融緩和による良好な資金調達環境、 るのが、本格的な人口減少社会、高齢化の進展です。 国内外からの来街者の増加等を背景とした不動産投資 少子高齢化の人口減少社会においては、一億総活躍、 意欲の高まりにより、堅調に推移しました。 地域創生、働き方改革といった取組みを通じ、経済成 地価については、全国平均では依然として下落して 長とともに豊かな住生活の実現を図っていくことが大 いるものの、下落率の縮小傾向が継続しています。特 きな課題となっています。そして、この課題解決のた に三大都市圏の平均では、商業地について上昇基調が めには、生活の基盤となる安心で質の高い住宅を増や 強まり、住宅地についても東京圏・名古屋圏で小幅な し、その流通拡大を進めていくことが重要です。この 上昇を継続しています。 ため、国として現在力を入れて取り組んでいるのが、 不動産投資市場に目を向けますと、Jリートについ 2 既存住宅流通市場の活性化です。我が国では、住宅取 ては、昨年新たに 6 銘柄が東京証券取引所に上場、昨 引の総数に占める既存住宅の流通シェアは14.7%と、 年10月末時点で56銘柄、時価総額は約11.5兆円となり、 欧米諸国と比較して 6 分の 1 程度の水準に留まってい 2017. 1 ◆ 不動産フォーラム21
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