通電状態のバックプレーンに挿入可能なLTC1645デュアル・チャネ ル・ホットスワップ・コントローラ/電源シーケンサ − デザインノート 217 Bill Poucher LTC®1645は電源が入った状態でバックプレーンから安全 な挿入、引抜きを可能にする2チャンネル・ホットスワッ プTMコントローラおよび電源シーケンサです。電源が入っ ているバックプレーンにボードが抜き差しされるとき、 ボード上のバイパス・コンデンサが充電され、バックプ レーンの電源バスから大きな過渡電流が流れます。これら の過渡電流によってコンデンサ、コネクタのピン、および ボード・トレースに回復不能な損傷が生じたり、システム 電源が故障しこれによりシステムの他のボードがリセット する原因となります。 た、過電流状態を示すフォールト信号、電源電圧を上昇さ せる前およびシステム・リセット信号を解除する前の遅延 を生成するためのタイマ・ピンを備えています。 基本動作 図1と図3に示すとおり、LTC1645は電源経路にある外付 けNチャネル・パス・トランジスタでボードの電源を制御 します。LTC1645はNチャネルFETにハイサイド・ドライ ブを提供する内部チャージ・ポンプを内蔵しています。 RSENSE1とRSENSE2は電流フォールト検知を提供し、R1と R2は高周波発振を防止します。パス・トランジスタのゲー ト電圧を制御されたレートで徐々に上昇および下降させる ことによって、ボードが挿入されたときに生じるメイン・ バックプレーン電源からの過渡サージ電流(I=C • dv/dt) を安全な値に制限することができます。 外付けNチャネル・パス・トランジスタを使用し、プログ ラムしたレートで1.2V∼12Vの電源電圧を一緒にまたは個 別に上昇/下降させることが可能です。プログラム可能な電 子回路ブレーカはどちらの出力も短絡から保護します。 LTC1645は14ピンおよび8ピンSOパッケージで供給され ます。8ピン・バージョンは、制御入力、デュアル・ゲー ト・ドライブ、およびデュアル回路ブレーカを内蔵してい ます。14ピン・バージョンは、さらにシステム・リセット 信号とボードの電源電圧がプログラム電圧レベル以下に低 下したことを示す予備のコンパレータも提供します。ま VIN1 3.3V BOTH CURRENT LIMITS: 5A RSENSE1* 0.01Ω VIN2 2.5V R1 10Ω 14 4.99k 1% 13 1.37k 1% 1 CLOAD1 D2 1N4002 D3 MBR0530T1 VCC2 SENSE2 GATE2 COMP+ COMPOUT LTC1645 (14-LEAD) FB TIMER 11 CTIMER 0.33µF GND RESET VOUT1 3.3V 2.5A + VOUT2 2.5V 2.5A CLOAD2 µP RESET C1 0.1µF 25V 8 9 6 5 FAULT + 10k 3 2 ON 1.82k 1% 1.18k 1% 12 VCC1 SENSE1 GATE1 4 D1 1N4002 R2 10Ω 10k FAULT 、LTC、LTはリニアテクノロジー社の登録商標です。 ホットスワップはリニアテクノロジー社の商標です。 Q1 1/2 Si4920DY RSENSE2* Q2 0.01Ω 1/2 Si4920DY 10 ONピンを0.8V以上にすると、1タイミング・サイクル後に GATE1がターンオンし、ONピンが最低1タイミング・サイ クルの間0.8V以上になっていた場合は、ONピンを2V以上 1.18k 1% 1.37k 1% 7 DN217 F01 VIN2 5V/DIV VIN1 5V/DIV VOUT2 5V/DIV VOUT1 5V/DIV TIMER 2V/DIV RESET 5V/DIV *WSL1206-01-1% (VISHAY DALE) 図1. 3.3Vと2.5Vがともに上昇/下降 11/99/217 図2. 電源トラッキング波形 Q2 RSENSE2* 0.005Ω IRF7413 VIN2 3.3V RSENSE1* 0.005Ω VIN1 5V D1 1N4148 CONNECTOR 1 LTC1645の14ピン・バージョンは、入力または出力電圧 レベルをモニタするために、2つのオープン・ドレイン出 力コンパレータを提供しています。1つはFBピンが1.238V を超えた1タイミング・サイクル後にRESETをリリース し、もう1つはCOMP + が1.238Vを超えるたびに直ちに COMPOUTをリリースします。 R3 47.5k 1% R4 10k 1% 図1にVOUT1とVOUT2を一緒に上昇/下降させるアプリケー ションを示します。VOUT1とVOUT2を上昇させるには、ON ピンが0.8Vに達しなければなりません。予備のコンパレー タは、VIN2が2.3Vを超えるまでONピンを “L” にするので、 ONピンはVIN1が3Vを超えるまで0.8Vに達することはでき ません。したがって、両方の入力電源はタイミング・サイ クルが開始する前に必ず安定化しています。タイミング・ サイクルの終わりに、出力電圧は一緒に上昇します。いず れかの入力電源が安定化規定から外れるか、過電流条件が 検出されると、Q1とQ2のゲートはともに “L” になります。 図2に図1の回路のオシロスコープ写真を示します。 電源投入時にはVOUT1とVOUT2がともに上昇します。電源 切断時には、LTC1645はQ1とQ2を同時にターンオフしま す。電荷はCLOAD1とCLOAD2に蓄積されたままで、出力電 8 5 R2 10Ω C1 0.01µF 25V 6 SENSE1 GATE1 VOUT1 5V 5A + CLOAD1 C2 0.01µF 25V 3 2 1 VCC2 SENSE2 GATE2 VCC1 ON LTC1645 (8-LEAD) GND DN217 F03 4 BACKPLANE PLUG-IN CARD 汎用ホットスワップに加えて、LTC1645は電源トラッキン グおよびシーケンシング回路を単純化するのに利用できま す。アプリケーションによっては、2つの電源の電圧差が 一定の電圧を超えないことが要求されます。この要求条件 は、定常状態での動作中だけでなく、電源投入時および切 断時にも両電源ASICでラッチアップを防止するために、し ばしば適用されます。ロジック・ブロックの前にシステ ム・クロックが起動する必要があるなど、システムによっ ては電源の立上げ順序が決まっています。標準的な両電源 またはバックプレーン接続では、負荷電流、コンデンサ・ サイズ、ソフトスタート・レートなどの条件次第で、立ち 上がり時間もまちまちです。従来式の解決法では、必要条 件を満足するために、手順が煩雑になったり複雑な回路を 必要とする場合があります。 R1 10Ω 7 CLOAD2 Q1 IRF7413 13k 1% GND 電源トラッキングとシーケンシング VOUT2 3.3V 5A + CONNECTOR 2 にするとGATE2がターンオンします。いずれかのセンス抵 抗両端の電圧が1.5µsより長く50mV以上になると、回路ブ レーカがトリップします。回路ブレーカがトリップする と、両方のGATEピンは直ちにグランド電位に引き込ま れ、外付けFETが素早くターンオフして、(14ピン・バー ジョンでは)FAULTが行使されます。 *LRF1206-01-R005-J (IRC) 図3. 電源シーケンシング 圧は負荷に応じて変動します。D1とD2は約1V (それぞれ約 0.5V)でターンオンし、VOUT1が1.2V以上VOUT2を超えな いようにしています。D3はVOUT1が0.4V以上VOUT2より高 くならないようにしています。入力が過電圧状態になるの を防止すれば、これらのダイオードが唯一電流を流すの は、電源切断時、すなわちCLOAD1またはCLOAD2を放電す るときだけです。過剰電流が流れる入力過電圧状態の場 合、電流制限レベルが適切に設定されている限り、回路ブ レーカがトリップします。 図3に、VOUT2の前にVOUT1を上昇させるように構成され たホットスワップ・アプリケーションでのLTC1645を示し ます。V OUT1 が最初に放電されD1が逆バイアスされるの で、ONピンの電圧は、抵抗分割器R3とR4で分圧された VCC1でのみ決定されます。VCC1が4.6V以上の場合、ONピ ンの電圧は0.8Vを超え、VOUT1が上昇します。VOUT1が上 昇すると、D1が順バイアスされ、V OUT1 約4.5Vのとき に、ONピンが2V以上になります。これによって、GATE2 がターンオンしVOUT2が上昇します。別の電圧もモニタし たい場合は、14ピン・バージョンをご使用ください。 まとめ 通電状態で挿入可能なシステムを設計するには、経験豊か なアナログ設計者の多大な労力を必要とします。LTC1645 を使用すれば、安全で信頼性の高いホット・スワップは、 1個のIC、2個のパワーFET、少数の抵抗およびコンデンサ を接続するだけで簡単に実現できます。 データシートのダウンロード http://www.linear-tech.co.jp/ad/1645.html お問い合わせは当社または下記代理店まで(50 音順) 東京エレクトロンデバイス株式会社 株式会社トーメンエレクトロニクス 株式会社マクニカ 〒 224-0045 横浜市都築区東方町 1 TEL(045)474-5114 FAX(045)474-5624 〒 108-8510 東京都港区港南 1-8-27 TEL(03)5462-9615 FAX(03)5462-9695 〒 226-8505 横浜市緑区白山 1-22-2 TEL(045)939-6104 FAX(045)939-6105 リニアテクノロジー株式会社 162-0814 東京都新宿区新小川町 1-14 NAO ビル 5F TEL(03)3267-7891 FAX(03)3267-8510 http://www.linear-tech.co.jp dn217f 1199 57K • PRINTED IN JAPAN LINEAR TECHNOLOGY CORPORATION 1999
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