実験! 発見! 科学体験! テレビ学習メモ 第 37 回 磁石で電流をながす? 今回学ぶこと ~磁界と電 流~ 身近になりつつある非接触ICカード。電車やバスに乗ると きや商品を購入するとき、みなさんも使ったことはありませ んか?これは、電気が必要な超小型のコンピュータのような もの。でも、どうやって電気を生み出しているのでしょうか? 今回は、磁界と電流の関係について学びます。 科学監修・講師 川村康文 (ガリレオ先生) 考えてみよう! ・なぜ磁石とコイルで電流が流れるの? ・磁界とコイルでより大きな電流を流すには? 磁石をコイルに近づけたり,遠ざけたりすると,電流が流れる ▼ デンマークの物理学者ハンス・クリスティアン・エルステッドは,1820 年,自分が講義を している最中に,偶然にも,電流が磁場(磁界)を作ることを発見します。それまで,電気に よる現象と,磁気による現象がよく似ているので,電気と磁気には何らかの関係があると考え られていましたが,そのことが,その瞬間に現実のものとなったのです。これを知ったイギリ スの物理学者マイケル・ファラデーは,電流が磁場(磁界)を生み出すなら,磁界も電流を作 るのではと考え,その実験を始めます。そして 1831 年に,ついにその瞬間が訪れます。コイ ルに磁石を近づけたり,遠ざけたりし,コイルのなかの磁場を変動させると,電流が流れたの です。これを誘導電流といいます。その後,ロシアの物理学者ハインリヒ・レンツは,次のよ うに説明しました。コイルは磁場の変化を嫌う。そのため,例えば,コイルの内部に向かって 磁石の N 極が近づくと,N 極が近づくのを拒む向きに,つまりコイルのその面に N 極を生じ る向きに電流を流すというわけです。 できる磁界の向き (N 極の向き) N 極を近づける S N N 極 磁石の磁界を 打ち消そうとして N 極が生じるように 電流が流れる S 極 N 検流計の −端子へ − 59 − 検流計の +端子へ 誘導電流 の向き 高校講座・学習メモ ベーシックサイエンス 37 磁石で電流をながす? 〜磁界と電流〜 磁界とコイルでより大きな電流を流すには? 電磁誘導の法則を数式化すると,大きな電圧を得るためには,磁界の変化を大きくする必要 があることがわかります。磁界の変化を大きくする方法は,1つには,磁力の強い磁石をつか うことです。また,同じ強さの磁石でも,磁石を速く動かすと,磁界の変化が大きくなり,大 きな電圧が発生します。オームの法則により,電圧と電流は比例しますから,まずは,前述の 方法で,大きな電圧を得るようにします。同じ電圧の場合には,コイルの電気抵抗を小さくす ることにより,強い電流が流れるようにします。 ▼ − 60 − 高校講座・学習メモ
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