「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016」の調査結果に対する

「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2016」
の調査結果に対するリクルート進学総研所長 小林浩の見解
リクルートでは2002年から隔年で、高校生の進路選択に大きな影響力を持つ、高校の進路指導教員
の悩みやキャリア教育の現状について調査している。
1)高校進路指導教員の9割が、進路指導が難しい
高校の進路指導教員に進路指導の難易度を聞いたところ、9割超が難しいと回答。経年でみても、高
止まりしていることがわかります。
2)困難の要因上位は「入試の多様化」がトップとなり、「教員が進路指導を行
うための時間の不足」が続いている
進路指導が困難な理由について、最も大きな要因を3つを選んだもらったところ、「入試の多様化」
がトップ。つづいて、「教員が進路指導を行うための時間の不足」となっています。リーマンショッ
クや東日本大震災後の2012年調査と比較すると、「家計・家族環境の悪化:家計面について」が減少
し、「入試の多様化」「教員が進路指導を行う時間の不足」が上昇しています。景気が回復基調に向
かう一方、多様な入試に対し、生徒一人ひとりに対応する指導に加え、学校の現場では、教育改革の
流れを受けた新しい取り組みなども加わっています。そのことが、現場の先生方の“時間不足”の要因
につながっていると考えられそうです。
3)大学・短大などに期待することの上位は、「入試の種類の抑制」「わかりや
すい学部・学科名称」で変わらず、「講義・研究に触れる機会の増加」が上昇
高大接続・連携について大学・短期大学・文部科学省に期待することは、前回調査同様、1位が「入
試の種類の抑制」、「わかりやすい学部・学科名称」が上位となっています。現在、学部名称は700
以上存在し、そのうちの約6割が「うちの大学だけの唯一名称」と言われています。学部・学科名称
から学ぶ中身がわからない、しかし偏差値だけで大学を選ぶのではなく、一人ひとりの適性や興味・
関心に合わせた進路指導を行いたい。だからこそ、大学の中身である「実際の講義・研究に触れる機
会の増加」が上昇しているように思います。
所長 小林 浩(こばやし ひろし)
<プロフィール>
1988年(株)リクルート入社。早稲田大学法学部卒。グループ統括担当や『ケイコとマナブ』商品企画
マネジャー、大学ソリューション営業、社団法人経済同友会出向(教育問題担当)、会長秘書、大学ソリュ
ーション推進室長などを経て、2007年4月より現職。文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会委員。
現、リクルート進学総研所長 兼、『リクルートカレッジマネジメント』編集長
<リクルート進学総研とは>URL:http://souken.shingakunet.com/
高校生、進路選択に関する調査研究機関として、以下の活動を行っています。
・全国の大学、短期大学、専修学校など、高等教育機関の経営層向けの専門誌『カレッジマネジメント』の発行
・高校の先生を読者対象とする進路指導、キャリア教育の専門誌『キャリアガイダンス』シリーズの発行
・高等教育機関、高校生、進路選択に関する各種調査の実施や社外に向けての情報発信
<取材にお答えできます>
・大学をめぐる政策動向全般について ・高校生の進路や将来についての価値観・大学のブランド力
・高校生、保護者、高等教育機関についての各種データ・マーケット動向や事例など、
高校生~大学経営まで教育に関わる内容について幅広くお答えします。
【本件に関するお問い合わせ先】
http://www.recruit-mp.co.jp/support/press_inquiry/
※調査リリースより主要なグラフを一部抜粋掲載しております。
その他のデータについては調査リリースをご覧ください。
図表1
■進路指導の難易度 【 時系列比較】 ( 全体/単一回答)
難しい計
非常に難しいと
感じている
(%)
やや難しいと
感じている
難しいとは
感じていない
その他
無回答
難しい計
*凡例
2016年 全体
(n=1105)
30.4
61.5
6.6 0.1 1.4
91.9
2014年 全体
(n=1140)
31.6
58.4
8.3 0.6 1.1
90.0
2012年 全体
(n=1179)
6.7 0.7 1.4
91.2
9.0 0.2 1.5
89.3
3.3 ― 1.9
94.8
5.0 ― 0.8
94.1
9.2 0.8 0.9
89.1
8.0 0.5 0.9
90.6
7.5 0.5 1.3
90.7
2016年
大短進学率
別
図表2
2014年
大短進学率
別
70%以上
(n= 525)
40~70%未満
(n= 210)
40%未満
(n= 358)
70%以上
(n= 530)
33.2
40~70%未満
(n= 212)
34.4
70%以上
2位
40~70%未満
40%未満
3位
60.2
33.3
61.4
30.2
入試の多様化
(n= 389)
40%未満
56.6
29.1
2016年
1位
2012年
大短進学率
別
34.6
64.0
55.8
2014年
56.1
進路選択・決定能力の不足
27.5
2012年
家庭・家庭環境の悪化:
63.2 家計面について
(n= 539)
24.7
教員が進路指導を行うための
教員が進路指導を行うための62.2
進路選択・決定能力の不足
時間の不足
時間の不足
42.7
(n= 234)
44.6
(n= 388)
進路選択・決定能力の不足
※調査年の「全体」より 10.0 10pt以上高い /
5.0
10.4 0.7 2.0
52.1
50.8
学習意欲の低下
学習意欲の低下
86.8
3.8 0.4 0.9
94.9
3.4 0.3 1.0
95.4
5pt以上高い / - 5.0 5pt以上低い ※時系列の全体同士の差の網掛けはおこなっていない。
図表3
■高大接続・ 連携について大学・短期大学・ 文部科学省に期待すること 【 時系列】 ( 全体/複数回答) : 上位1 5 項目
(%)
60
2012年 全体
40
2014年 全体
2016年 全体
20
0
2016年 全体
2014年 全体
(n=1105)
2012年 全体
(n=1179)
(n=1140)
入
試
の
種
類
の
抑
制
わ
か
り
や
す
い
学
部
・
学
科
名
称
触実
れ際
るの
機講
会義
の ・
増研
加究
に
高
校
生
が
就
職
実
績
の
公
開
化卒
業
時
に
身
に
つ
く
能
力
の
明
確
39.3
39.6
36.6
38.6
33.0
29.7
26.2
27.7
22.6
16.8
37.9
38.8
27.7
32.9
20.8
※「2016年 全体」の降順ソート
中
退
者
入
学
前
教
育
の
実
施
デ大
ー学
タ ・
の短
情大
報の
公入
開試
の
考
え
方
や
入
学
者
受
け
入
れ
方
針
の
明
確
化
期 A
のO
見入
直試
し ・
推
薦
入
試
の
実
施
時
入思
試考
の力
開 ・
発判
断
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記
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大
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き で
継の
ぐ学
仕習
組歴
みに
づ関
く す
り る
情
20.9
22.6
19.1
20.4
18.4
14.8
17.6
12.0
17.1
22.5
16.3
13.2
15.5
8.9
15.2
14.6
13.9
12.1
10.0
7.3
21.3
19.3
16.5
11.5
24.3
15.9
9.3
20.0
9.9
6.3
(
率
)
情
報
の
公
開