生活衛生関係営業の価格動向に関する調査結果

2017年1月30日
株式会社日本政策金融公庫
仕入価格の上昇傾向は弱まりつつあるが価格転嫁が進まず
~仕入価格上昇分を販売価格に全く転嫁できていない企業が5割超~
価格動向に関するアンケート調査結果
生活衛生関係営業の景気動向等調査特別調査結果(2016 年7~9月期)
〇 仕入価格が「上昇した」企業割合は 46.5%となったが、販売価格を「引き上げた」企業割合は 14.5%にとどまった。今後1年間の見通しでも
仕入価格が「上昇する」企業割合は 43.0%であるのに対し、販売価格を「引き上げる」企業割合は 12.1%にとどまり、販売価格への転嫁が難
しい状況が続く見通し(3、7ページ)
。
〇 仕入価格上昇への対策は、
「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」、「原材料等のコスト管理の徹底(廃棄ロス削減など)」、「仕入先の変更」の順
に高い(5ページ)
。
〇 仕入価格上昇分の販売価格への転嫁についてみると、「全く転嫁できていない」と回答した企業が全体の5割を超えた(6ページ)
。
<お問い合わせ先>
日本政策金融公庫 国民生活事業本部 生活衛生融資部 生活衛生情報支援グループ
TEL 03-3270-1653 担当 竹迫、小沢
1
【調査の実施要領】
調査時点
2016 年9月上旬
調査方法
郵送調査
調査対象
生活衛生関係営業 3,290 企業
有効回答企業数
3,103 企業(回答率 94.3%)
<業種内訳>
飲食業
1,425 企業
食肉・食鳥肉販売業
151 企業
氷雪販売業
51 企業
理容業
397 企業
美容業
461 企業
映画館
58 企業
ホテル・旅館業
172 企業
公衆浴場業
112 企業
クリーニング業
276 企業
【本調査における留意事項】
・2012 年4~6月期調査時点で調査対象企業の見直しが行われている。
・2016 年4~6月期調査時点で沖縄県を調査対象に加えている。
・比率の算出にあたっては、無回答を除いたものを母数としている。
2
1
価格動向
(1)仕入価格の動向
○ 仕入価格の動向は、
「上昇した」が 46.5%と、2 期連続で前年同期を下回ったものの、依然として全体の約4割を占めている(参考1)。
○ 業種別にみると、
「上昇した」の回答割合は、飲食業、食肉・食鳥肉販売業、ホテル・旅館業の順に高い(参考2)。
○ 今後1年間の仕入価格の見通しは、
「上昇する」が 43.0%となっている(参考3)。
参考1
仕入価格の動向
上昇した
変わらない
参考2
仕入価格の動向【業種別】
上昇した
低下した
変わらない
低下した
(%)
(%)
2007年
54.1
43.4
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
79.0
36.3
55.9
29.7
64.9
42.8
37.4
55.5
2013年
52.5
2014年
40.4
19.9 1.2
食肉・食鳥肉販売業
(n=150)
7.7
ホテル・旅館業
(n=172)
5.5
クリーニング業
(n=275)
3.2
美容業
(n=455)
23.5
理容業
(n=396)
23.2
60.9
34.3
48.3
4.3
4.8
5.3
※いずれの期も 7~9 月期
参考3 今後1年間の仕入価格の見通し
上昇する
2016年
(見通し)
43.0
変わらない
低下する
54.2
65.2
31.8
62.7
26.0
52.3
44.8
33.8
57.8
68.6
71.5
3.0
11.3
2.9
8.4
7.9
5.3
7.1
24.6
46.5
飲食業
(n=1,415)
7.2
71.1
2015年
2016年
53.9
2.6
(%)
2.9
3
氷雪販売業
(n=51)
15.7
82.4
2.0
映画館
(n=58)
15.5
82.8
1.7
公衆浴場業
(n=112)
15.2
70.5
14.3
(2)仕入価格上昇の背景と仕入価格上昇の経営悪化への影響
○ 仕入価格上昇の背景は、
「天災・天候不順」が 34.6%、「原材料等の生産量の不足」が 29.3%、
「外国為替レートの変動による輸入品価格の上昇」29.2%の順
に高い(参考4)。
○ 仕入価格上昇の経営悪化への影響は、
「影響がある」(「かなり影響がある」
「ある程度影響がある」の合計)が全体の約8割を占めた(参考5)。
参考5
参考4 仕入価格上昇の背景【複数回答・2つまで】
(n=1,419)
(%)
天災・天候不順
仕入価格上昇の経営悪化への影響
(n=1,421)
(%)
わからない
2.4
34.6
影響はない
4.4
原材料等の生産量の不足
(天災・天候不順は除く)
29.3
外国為替レートの変動による
輸入品価格の上昇
(原油価格の上昇は除く)
原材料等の流通量の不足
(天災・天候不順は除く)
原油価格の上昇
その他
どちらとも
いえない
15.4
29.2
かなり
影響がある
19.6
21.0
ある程度
影響がある
58.3
18.3
23.2
※仕入価格が上昇した企業に尋ねたもの。
※仕入価格が上昇した企業に尋ねたもの。
影響がある
77.9%
4
(3)仕入価格上昇への対策
○ 仕入価格上昇への対策は、
「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」、
「原材料等のコスト管理の徹底(廃棄ロス削減など)」、
「仕入先の変更」の順に高い(参考6)。
○ 仕入価格上昇への対策で効果的だったものは、「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」、「仕入先の変更」
、「原材料等のコスト管理の徹底(廃棄ロスの削減など)」
の順に高い(参考7)。
参考6
仕入価格上昇への対策【複数回答】
参考7
(n=3,103)
(n=2,341)
(%)
諸経費(人件費、光熱費等)
の削減
22.0
一括仕入によるコスト削減
運転資金の調達
同業者との共同仕入による
コスト削減
対応していることはない、
打つ手がない
5.7
7.4
5.9
不採算部門の整理・縮小
4.4
同業者との共同仕入による
コスト削減
3.8
4.8
2.7
3.0
機械設備の導入
その他
8.9
販路の拡大
運転資金の調達
機械設備の導入
18.8
一括仕入によるコスト削減
9.2
不採算部門の整理・縮小
28.4
販売価格への転嫁
12.5
販路の拡大
31.0
原材料等のコスト管理の
徹底(廃棄ロスの削減など)
31.1
販売価格への転嫁
36.4
仕入先の変更
34.8
仕入先の変更
(%)
諸経費(人件費、光熱費等)
の削減
38.5
原材料等のコスト管理の
徹底(廃棄ロス削減など)
仕入価格上昇への対策で効果的だったもの【複数回答・2つまで】
2.0
7.1
その他
25.1
5
8.0
(4)仕入価格上昇分の販売価格への転嫁
○ 仕入価格上昇分の販売価格への転嫁についてみると、「全く転嫁できていない」と回答した企業が全体の5割を超えた(参考8)。
○ 業種別にみると、
「全く転嫁できていない」の回答割合は、クリーニング業、飲食業、ホテル・旅館業の順に高い(参考9)
参考9
参考8 仕入価格上昇分の価格転嫁について
(n=1,429)
全て転嫁
できている
1.6
(%)
全て転嫁でき
ている
概ね転嫁でき
2.2
ている
7.4
わからない
3.5
飲食業
(n=922)
仕入価格上昇分の価格転嫁について【業種別】
概ね転嫁
できている
6.1
一部転嫁
できている
全く転嫁
できていない
30.5
わからない
(%)
58.2
3.6
2.2
食肉・食鳥肉販売業
(n=93)
氷雪販売業
(n=8)
20.4
55.9
12.5
20.4
50.0
1.1
37.5
2.2
全く転嫁でき
ていない
55.4
一部転嫁
できている
31.5
理容業
(n=92)
7.6
美容業
(n=105)
10.5
映画館
(n=9)
32.6
10.5
52.2
27.6
47.6
22.2
5.4
3.8
77.8
1.1
ホテル・旅館業
(n=90)
公衆浴場業
(n=17)
※仕入価格が上昇した企業に尋ねたもの。
11.1
28.9
11.8
55.6
76.5
3.3
11.8
1.1 2.2
クリーニング業
(n=93)
25.8
68.8
2.2
※氷雪販売業、映画館、公衆浴場業はサンプル数僅少のため参考値
6
(5)販売価格の動向
○ 販売価格の動向は、
「引き上げた」が 14.5%と、2期連続で前年同期を下回ったものの、依然として「据え置いた」が全体の約8割を占めている(参考 10)
。
○ 業種別にみると、
「引き上げた」の回答割合は、食肉・食鳥肉販売業、ホテル・旅館業、飲食業の順に高い(参考 11)。
○ 今後1年間の販売価格の見通しは、
「引き上げる」が 12.1%となっている(参考 12)
。
参考10
引き上げた
販売価格の動向
据え置いた
参考11
販売価格の動向【業種別】
引き上げた
引き下げた
据え置いた
引き下げた
(%)
(%)
2007年
8.8
84.7
2008年
22.4
2009年
6.4
2010年
2.6
2011年
2012年
2013年
84.1
87.5
3.7
6.9
2016年
18.0
9.5
飲食業
(n=1,415)
17.0
クリーニング業
(n=275)
64.6
78.8
83.2
2016年
(見通し)
12.1
据え置く
81.7
6.4
1.3
4.4
氷雪販売業
(n=51)
9.8
88.2
2.0
美容業
(n=455)
8.6
公衆浴場業
(n=112)
5.4
92.0
2.7
2.1
2.1
映画館
(n=58)
5.2
91.4
3.4
2.3
理容業
(n=396)
4.0
94.2
1.8
今後1年間の販売価格の見通し
引き上げる
75.6
4.0
84.4
※いずれの期も 7~9 月期
参考12
46.7
11.3
4.3
33.3
14.5
ホテル・旅館業
(n=172)
49.3
7.1
88.3
19.1
3.4
7.6
86.0
7.4
食肉・食鳥肉販売業
(n=150)
9.9
88.7
2014年
2015年
74.2
6.5
引き下げる
86.8
(%)
1.2
7
88.8
2.6
(6)販売価格引き上げの理由
○ 販売価格引き上げの理由は、
「仕入価格の上昇」、
「商品・サービスの付加価値向上」、「諸経費(人件費・光熱費等)の増加」の順に高い(参考 13)。
参考13
販売価格引き上げの理由【複数回答・2つまで】
参考14
販売価格引き上げの理由【業種別・複数回答】
(%)
(n=435)
(%)
諸経費(人件費・
光熱費等)の増加
23.4
商品・サービスの変更
取引先(販売先)の変更
その他
19.8
2.3
6.0
※販売価格を引き上げた企業に尋ねたもの。
諸
経
費
人
件
費
・
商
品
・
変 サ
更 ー
ビ
ス
の
取
引
の 先
変
更 販
売
先
そ
の
他
)
38.6
光
熱
費
等
の
増
加
(
商品・サービスの
付加価値向上
商
品
・
サ
ー
ビ
ス
の
)
64.4
付
加
価
値
向
上
(
仕入価格の上昇
仕
上 入
昇 価
格
の
全業種計
(n=435)
64.4
38.6
23.4
19.8
2.3
6.0
飲食業
(n=240)
71.3
36.3
20.8
20.8
2.5
4.6
食肉・食鳥肉販売業
(n=70)
91.4
20.0
18.6
4.3
1.4
2.9
氷雪販売業
(n=5)
60.0
0.0
40.0
0.0
0.0
40.0
理容業
(n=13)
23.1
53.8
46.2
23.1
7.7
15.4
美容業
(n=37)
40.5
64.9
18.9
32.4
0.0
2.7
映画館
(n=3)
33.3
66.7
33.3
33.3
0.0
0.0
ホテル・旅館業
(n=30)
33.3
56.7
36.7
26.7
3.3
13.3
公衆浴場業
(n=6)
33.3
16.7
33.3
16.7
0.0
33.3
クリーニング業
(n=31)
35.5
51.6
32.3
25.8
3.2
6.5
※表中、全業種計の割合を5ポイント以上上回るものを色掛け(青色)している。
※氷雪販売業、理容業、映画館、公衆浴場業はサンプル数僅少のため参考値として灰色で表示。
※販売価格を引き上げた企業に尋ねたもの。
8