双腕型スカラロボット 「duAro」の開発 川崎重工業株式会社/ 常務執行役員 精密機器カンパニー ロボットセンター長 橋本康彦 川崎重工業(以下、川崎重工)は、水平多関節(スカラ)ロボットを同軸上に配置した双腕ロボット 「duAro(デュアロ)」を開発し、2015 年 6月から世界で同時発売した(図1)。 本稿では、 「Easy to use」 「人とロボットとの共存と協調」などをキーワードに、あらゆるユーザ にとっての使いやすさを追求して誕生した「duAro」の開発背景、技術的特長などを紹介する。 1 はじめに 用対効果で自動化が難しいと考えられてきた。 duAro は、こうした分野における産業ロボットの これまでの産業用ロボットは、自動車業界など 導入を実現すると同時に、機能の高さと低価格の 製品のライフサイクルが長い量産分野を中心に導 同時実現により、中小企業のものづくり現場への 入が進み、発展してきた。その一方で、電気・電 産業用ロボットの導入・活用にも道を拓くもので 子業界など製品のライフサイクルが短く、数ヵ月 ある。 単位でのモデルチェンジを繰り返す分野では、ロ duAro は、人と共存して働くのに必要な機能が ボット導入への期待があったものの準備期間や費 備わっている。ロボット本体は、胴体から水平に 伸びた 2 本のアームが対になって動き、人が両腕 で行っている作業を、人 1 人分のスペースに置き 換えられる。衝突検知機能や作業者の近くでは低 速で動作するなどの安全機能を装備しており、作 業者のすぐ横に設置しても安心して作業をさせら れる。 また、ダイレクトティーチング機能やタブレッ ト端末による操作・ティーチングなど、簡単にシ ステムを立ち上げられる実用性の高いロボットに した。ロボット本体とコントローラは、台車一体 のパッケージ構造であるため設置や移設がきわめ て容易にもなっている。 製品のライフサイクルが短い分野においても既 存の生産ライン構成や設備を変えることなく導入 図 1 双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)」 eizojoho industrial できる。 January 2017︱29
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