クルクミン類似体Y030はクルクミンより低濃度でp300

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クルクミン類似体 Y030 はクルクミンより低濃度で p300-HAT 活性と心筋細胞肥
大反応を抑制した
○清水 果奈 1, 船本 雅文 1,2, 源平 麻衣 1, 砂川 陽一 1,2,3, 刀坂 泰史 1,2,3, 柴田 浩行 4, 和
田 啓道 2, 長谷川 浩二 2, 森本 達也 1,2,3(1静岡県大院薬 , 2京都医療センター , 3静
岡県立総合病院 , 4秋田大院医)
【目的】我々は、心筋細胞核内に存在する p300 のヒストンアセチル化酵素(HAT)
活性が心筋細胞肥大・左室リモデリングに重要な役割を担っていること、さらに
p300 特異的 HAT 阻害作用を有する天然物クルクミンが心筋細胞肥大や心不全の進
展を抑制することを見出した。しかしクルクミンの生体内利用率は低いため、よ
り効果的なクルクミン誘導体・類似体を探索する必要がある。そこで我々は、抗
がん作用が増強されたクルクミン類似体である Y030 に着目し、p300-HAT 活性や
培養心筋細胞肥大を指標に Y030 とクルクミンの比較検討を行った。
【方法&結果】p300-HAT ドメインのリコンビナントタンパクを用いて in vitro HAT
アッセイを行ったところ、クルクミンの p300-HAT に対する IC50 は 9.4 µM であっ
たのに対し、Y030 の IC50 は 1.1 µM であった。次に、ラット初代培養心筋細胞に
Y030 又はクルクミンを処理し、フェニレフリン (PE) 刺激を与えると、10 µM の
クルクミンは PE 刺激で増加したヒストン H3K9 のアセチル化を抑制したが、Y030
はより低濃度の 0.3, 1 µM で 10 µM のクルクミンと同程度に抑制した。また、10 µM
のクルクミンは PE 刺激で増加した ANF や BNP の mRNA レベルを 2 分の 1 以下
に抑制したが、Y030 はより低濃度の 1 µM で 10 µM のクルクミンと同程度に抑制
していた。さらに、10 µM のクルクミンは PE による心筋細胞肥大をコントロール
と同程度まで抑制していたが、Y030 はより低濃度の 1 µM で 10 µM のクルクミン
と同程度に抑制しており、さらに 0.3 µM でも有意に抑制していた。
【考察】Y030 はクルクミンよりも低濃度で p300-HAT 活性を阻害し、心筋細胞肥
大反応を抑制することが判明した。以上のことから、Y030 が新規心不全治療薬と
なりうる可能性が示唆された。