ニュースリリース 2017/1/24 報道関係 各位 【研究発表】 「製造過程でのインフルエンザワクチンの有効性低下を半減 させる方法を開発」 (川崎医科大学・微生物学教室 齊藤教授らの共同研究グループ) ~ワクチン製造時における抗原変異の出現を半減させることに世界で初めて成功~ 【概要】 川崎医科大学 微生物学教室の内藤忠相助教・齊藤峰輝教授らは、筑波大学(永田恭介学 長)および国立感染症研究所(田代眞人 インフルエンザウイルス研究センター 前センター長 ら)と協力して、製造過程でインフルエンザワクチンの有効性が低下するリスクを従来法に比 べて半減できる、画期的なワクチン製造法を開発しました。 現行のインフルエンザワクチンは、鶏卵(有精卵)を用いてウイルスを増やし、分離・精製し て製造されています。そのため、ウイルスを卵の中で複数回増やして卵での増殖に適応させ ることが必要ですが、この過程でワクチンの有効性にかかわるウイルスの遺伝子にも変異が 起きる場合があり(これを抗原変異といいます)、有効性が低下したワクチンが製造されてしま うリスクが避けられません。これは、世界中のワクチン製造をしている国が共通して抱える難 問であり、その対策が研究されています。 研究グループは、インフルエンザウイルスが持つ遺伝子複製酵素(ウイルスポリメラーゼ) を人為的に改変することで、遺伝子変異の発生頻度を半減させた新しいワクチン製造用ウイ ルス(ワクチン製造株)の開発に世界で初めて成功しました。これを用いれば、従来法と比較し て抗原変異が起きにくくなり、効率良く有効なワクチンの製造が可能になります。 インフルエンザワクチン製造のためには、特別な施設の中で飼育された鶏が生む膨大な数 の有精卵が必要であり、今回の方法が実用化されれば、製造コストの低減によりワクチンの 価格が抑えられることも期待できます。 本研究論文は、米国の科学雑誌 Journal of Virology の電子版に、平成29年1月4日付で掲 載されました。 【論文タイトル】 Generation of a genetically stable high-fidelity influenza vaccine strain (タイトル和文) 遺伝的安定性に優れた高忠実性インフルエンザワクチン株の作製 【ポイント】 有効性が低下したワクチンが製造されるリスクを低減できる製造法を開発した。 【今後の展開】 本研究成果は、トリインフルエンザウイルスに対するプレパンデミックワクチン 開発への応用も期待できる。 <問合せ先> 広報について 川崎医科大学 庶務課 課長 林 俊子(はやし としこ) Tel 086-462-1111(代) <問合せ先> 研究について 川崎医科大学 微生物学教室 教授 齊藤峰輝(さいとう みねき) Tel 086-462-1111(代) 発行:学校法人 川崎学園 大学事務局 企画部 広報連携室 Tel 086-462-1111(代)
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