第3章 計画の基本的な考え方 [477KB pdfファイル]

第3章
1
計画の基本的な考え方
基本理念
活きる力を地域の力へ
ともにつくる福祉のまち
よしかわ
吉川市は、平成8(1996)年の市制施行時に53,443人だった人口が、現在は71,
500人を超えており、平成37(2025)年頃までは人口の増加が見込まれる、全国でも
稀有な自治体となっています。また、平成24年3月の吉川美南駅の開業とその周辺地区の開
発によって、子育て世代の流入もあり、少子化は緩やかな状況にあります。一方、従前からの
地域では、高齢化率1 が既に50%を超える地域もあり、地域によって状況はさまざまです。
さらに、世帯構成人数の縮小や自治会加入世帯の減少にみられるように、血縁や地縁といっ
た人とのつながりの希薄化により、社会から孤立しがちな人が増加するとともに、長引く経済
低迷による雇用不安や社会構造の変化なども相まって、生活困窮者が増加するなどの新たな社
会問題が出現しています。
このような中、年を重ねても、障がいがあっても、住み慣れた地域で安心して住み続けられ
るまちづくりの実現には、行政の力だけではなく、地域住民や市民活動団体・事業者など、多
様な主体との協働によって築いていかなくてはなりません。
吉川市では、
「自助(自分で解決できることは自分や家族で行う)」「共助(自分で解決でき
ないことを地域で解決する)
」
「公助(公的な制度やしくみで解決する)」の補完性の原理2を念
頭におき、一人ひとりの尊厳を守りながら、地域という暮らしの場において「おたがいさま」
「支え合い」の意識を醸成し、一人ひとりが地域課題を解決する担い手として、地域の課題や
問題を自らの力で解決できる地域力を高めることを目指し、地域福祉を推進していきます。
1
高齢化率 65 歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合。7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%
を超えると超高齢社会という。
2
補完性の原理 決定や自治などをできるかぎり小さい単位でおこない、できないことをより大きな単位の団体で補完し
ていくという概念。
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第3章
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計画の基本的な考え方
基本目標
本計画の基本理念を実現するため、次の3つの目標を掲げ施策を展開します。
目標1
活きる力(自助力)をはぐくむ
「住み慣れた地域で安心して暮らし続けたい」これは、多くの人が望んでいることです。高
齢者や障がいのある人、子どものいる家庭、日本での生活に慣れない外国人、生活困窮者など、
何らかの手助けや支援を必要としている人が、必要な情報や支援を得られる環境を整えるとと
もに、一人ひとりの尊厳を守る取り組みを進めます。
また、地域での支え合いは、困っている人を支援するだけではなく、支援する側も他者との
つながりを持ち支え合うことで、だれかの役に立っている実感と生きがいにつながり、自身の
健康寿命を延伸する相乗効果を生み出すとも言われています。
地域づくりの主体となる市民一人ひとりが、地域コミュニティの一員であることの意識を高
め、
「おたがいさま」や「支え合い」
、時には緩やかな「おせっかい」によって地域とつながり、
社会から孤立せず「活き活き」と生活できる力(自助力)をはぐくみます。
目標2
地域の力(共助力)を高める
地域において、
「おたがいさま」や「支え合い」などの福祉意識が醸成され、さまざまな役
割を担う市民活動団体や事業者などの主体が増えることは、地域コミュニティが活性化すると
ともに、地域課題を解決に導く社会資源の増加にもつながります。
また、ひとりでは解決できない問題でも、地域住民や団体などが日頃から関わり合いや助け
合うことで解決への大きな力となります。地域での困りごとや課題などに対しても、地域住民
同士が助け合い、主体的に地域を守るような社会づくりを目指し、中心的役割を担うリーダー
の育成・支援や、地域コミュニティ活動の活性化を図りながら地域の力(共助力)を高めます。
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第3章
目標3
計画の基本的な考え方
自助・共助を支える力(公助力)の充実
を支える
ボランティア活動や地域活動などは、市民一人ひとりや地域の力だけで活動を継続すること
は容易ではありません。専門的な知識による支援や財政的支援など、行政が得意とする分野の
支援が多くあります。
地域福祉を推進する上での課題を把握し、市民、地域コミュニティ、市民活動団体、事業
者、関係機関などの多様な主体と行政とが、パートナーシップの考えのもと、相互の理解と役
割を認め合い、それぞれが持つ豊かな経験やアイデアを地域福祉やまちづくりに活かすしくみ
づくりを推進していきます。
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第3章
3
計画の基本的な考え方
施策の体系
目標1
活きる力(自助力)をはぐくむ
施策の柱
施策の内容
1-1 情報提供の充実
1-1-1 啓発・広報の充実
1-1-2 福祉情報の一元化
1-1-3 多様な手段による情報発信
1-2 権利擁護への取り組み
1-2-1 成年後見制度の周知と支援の研究
1-2-2 要援護者虐待等の早期発見と防止
1-2-3 交流の機会の充実
1-3 学びの機会の充実
1-3-1 福祉教育の推進
1-3-2 学習・体験活動の機会の充実
目標2
地域の力(共助力)を高める
2-1 地域福祉を支える人材の育成
2-1-1 担い手の育成と支援
2-1-2 地域リーダーの育成と支援
2-1-3 福祉従事者の育成と資質の向上
2-2 地域コミュニティを基盤とした
市民活動の推進
2-2-1 ボランティア活動等への参加の機会の充実
2-2-2 地域交流・世代間交流の機会の充実
2-2-3 住民同士の支え合い活動の推進
2-2-4 身近な仲間との健康づくり
2-2-5 互いの気づかいで疾病・自殺予防
2-2-6 地域での防災活動の推進
2-3 地域のネットワークづくり
2-3-1 地域の見守り体制の充実
2-3-2 多様な主体とのネットワークづくり
目標3
自助・共助を支える力(公助力)の充実
3-1 支援体制の充実
3-1-1 相談支援体制の充実
3-1-2 関係機関の連携による支援体制
3-2 多様な主体による活動の活性化
3-2-1 市民活動や地域活動の支援
3-2-2 ボランティア等活動団体への支援
3-2-3 社会福祉法人や企業等の社会貢献活動の推進
3-3 地域福祉推進のための体制づくり
3-3-1 地域人材とアイデアを活かす仕組みづくり
3-3-2 協働による地域福祉の推進
3-3-3 居場所や活動の場づくり・拠点づくりの検討
3-3-4 圏域の研究
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