平成28年度 第3学期始業式 式辞 この年末年始は、鶴岡の冬に

平成28年度
第3学期始業式
式辞
この年末年始は、鶴岡の冬にふさわしい積雪もいまだに見ることのない、とても穏やか
な天候の毎日でしたが、皆さんはどのように過ごされましたか。過ぎし1年を振り返り、
新しい年を迎えて、それぞれが目標を設定し、決意を新たにしていることと思います。
私自身は、年末年始は家で過ごすことが多く、どうしてもテレビの前に座ってしまいま
す。そしてやはり、新年恒例の箱根駅伝を注目してしまいます。箱根駅伝、正式には東京
箱根間往復大学駅伝競走という名称で、関東学生陸上競技連盟が主催する一地方大会であ
りながら、今年で93回を数える伝統のある大会でもあります。
数ある駅伝の中で、箱根駅伝はいろいろな意味で日本人を強くひきつけるレースとして
歴史を重ねてきました。正月2日3日に開催されること、比較的有名な関東の大学対抗で
あること、ほぼ20km×往路5区間・復路5区間200kmを越える長い距離、フルマ
ラソンを走ることのできる走力がある選手を10人以上そろえなければならないレベルの
高さ、そして93回に及ぶこの大会の歴史の長さ、何といっても、長距離でたすきをつな
ぐというわが国独特のレーススタイルは、日本人の心を感動の渦に引き込んできたといえ
ます。もちろんテレビ放映というマスコミの力もあってのことですが。
近年において、箱根駅伝は何人かのエースによって勝敗を決するようなレース展開が主
流でした。2区を走る外国人選手でレースの主導権をつかもうとする大学もありましたし、
なんといっても往路5区の箱根の山登りのコースを制するランナーを擁する大学が圧倒的
な強さを見せていた時代が続きました。順天堂大学の今井選手や東洋大学の柏原選手、そ
して昨年までの青山学院大学の神野選手などは「山ノ神」と称され、日本中の駅伝ファン
をテレビに釘付けにしたことを覚えている人もいることと思います。
しかし、今年のレースは、全ての選手が安定した力を発揮した青山学院大学が往路復路
総合の完全優勝三連覇成し遂げ、その黄金時代を確立したと評されています。各大学がエ
ース級をそろえる2区には、青山学院も当然のことながら最も安定していると言われる一
色選手を投入し、区間賞こそ取れなかったものの青学のレースの流れを作り、3区秋山選
手が主導権を握った後は、復路も含めて独走の展開となりました。復路7区でこれもエー
ス級である田村選手が後半に脱水症状を起こして心配したもの、8区の下田選手の力走で
後続にさらに大きな差をつけ、最終的には総合で2位に6分以上の大差をつける圧倒的な
強さで、完全三連覇という歴史に刻まれる結果を残しました。
青山学院の強さを支えているのは、圧倒的な選手層の厚さであると言われています。そ
して、これだけ多くの優秀な選手がここに集まるのは、監督である原晋氏の指導力と人徳
にあるともいわれます。その原監督の優勝インタビューの中で、印象に残っている事があ
ります。それは、
「2020 年の東京オリンピックに選手を送ることを目指したい」と述べられ
ていたことです。全日本と出雲の大学駅伝でも優勝しさらに箱根3連覇という偉業を成し
遂げた先に、さらに高い目標を見据えて指導に当たっていることに、私は感銘しました。
これこそが、監督の指導に多くのアスリートが全幅の信頼を寄せる理由ではないかと。
一つの目標を達成するためには、実はその上にある高次の目標を意識して努力すること
が大切であることを、私たちは学ぶべきです。鶴岡南高校に合格することだけが目標であ
った時はもはや過去のことです。定期考査と模擬試験で点数を取ることは必要なことです
が高次の目標ではありません、地区大会で敗退しても次の地区大会で勝つためには、それ
より格上のチームとたくさんの練習試合をするべきです。
駅伝そのものに話をもどします。
高校生活も、みんなが成長する過程は、この駅伝に似たところがたくさんあるのではな
いでしょうか。先輩から後輩へ、学年から次の学年へ、先生方から見ると一つの卒業学年
から次の受け持ち学年へと一所懸命に大切なたすきが受け継がれてきたはずです。進路目
標の実現に向けた道のりも、その最も大切な継承の一つです。
2年生の11月の模擬試験の結果を見せてもらいましたが、来年に向けて大いに期待で
きる結果だったと分析しています。もちろん、台湾での進路研修の大成功が2年生全体の
力強い成長を示していることは、以前も述べたとおりですが、2年生にとって、すでに受
験のレースは始まっています。いま、どのあたりを走っていますか?3年生からたすきを
受け取って、いいスタートを切ってください。
1年生は、これまでの高校生活を通して、あるいは先輩方の姿を見て、鶴岡南高校の生
徒はいかにあるべきか、自分は何をなすべきか、かなり見えてきているのではないでしょ
うか。鶴岡南への合格を第一目標として達成した中学生が本校の門をくぐる春は、もうす
ぐそこです。そんな新入生に、先輩として本校でのたすきを渡す準備はできていますか。
3年生は目前のセンター試験やその後の2次試験に向けて、まさに寸暇を惜しんで勉強
に励んでいることと思います。まずは体調を万全にして、一つの大きな戦いに挑んで下さ
い。すでに栄冠を手にした3年生も含めて、文字通りラストスパート、高校生活の最終章
を目標に向かって全員で心を一つにして駆け抜けましょう。そして、迷った時にはなおさ
らに、高次の目標を意識してみて下さい。大学入試のその先にある、本当に成し遂げたい
ことは何かをしっかりと見据えることができた時に、必ずや何倍ものエネルギーがあふれ
てくることでしょう。
それぞれの学年において、決意を新たにし、それぞれのゴールに向けて、そしてより高
次の目標に向けて全力で駆け抜け、今年度の最終区間のタスキをしっかりと次の学年へつ
ないでくれるようお願いして、第3学期始業式の式辞とします。
(H.29.01.06)3学期始業式式辞