計 画 の 策 定 に つ い て

計 画 の 策 定 に つ い て
1 基本理念
(1)交通事故のない社会を目指して
交通安全の確保は、安全で安心して暮らせるまちづくりのための重要な要素であ
る。
交通事故は、被害者やその家族の生活を一瞬にして奪うだけではなく、加害者と
その家族の人生をも大きく狂わせることになる。
近年、本市の交通事故発生件数は、減少傾向にあるものの、平成 27(2015)年に
は、依然として約 5,500 人が交通事故により死傷している現状を踏まえ、まず、何
よりも人の生命を守るため、さらには交通事故がもたらす社会的・経済的損失も考
慮し、究極的には交通事故のない社会を目指していく。
(2)人優先の交通安全思想
人命尊重の理念に基づき、高齢者、障害者、子供等の交通弱者や、死亡事故につ
ながりやすい歩行者の安全を一層確保するため、
「人優先」の交通安全思想を基本と
する。
2 施策推進に当たっての基本的な考え方
(1)交通社会を構成する三要素
本計画は、国の交通安全基本計画及び広島県の交通安全計画を踏まえて、広島市
域の陸上交通における市民の安全確保のため、人間、車両及びそれらが活動する場
としての交通環境という三つの要素について、相互の関連を考慮しながら、講ずべ
き施策を総合的に策定する。
①
人間に係る安全対策
ア
交通事故防止には、市民一人ひとりが自ら交通安全に関する意識を改革し
ていくことが極めて重要であることから、交通安全に関する教育や普及啓発
活動をより一層充実させる。
イ
車両の安全な運行を確保するため、運転者の知識・技能の向上、交通安全
意識の徹底を図るとともに、指導取締りの強化、労働条件の適正化等に努め
る。
また、
自転車の安全な利用を促進するため、自転車利用者による交通ルール、
マナー遵守の徹底を図る。
ウ
自動車と比較して弱い立場にある歩行者等の安全な移動を確保するため、
歩行者等の交通安全意識の徹底、指導の強化等を図る。
②
車両が原因となる事故の防止対策
人間は誤りを犯すものとの前提の下で、それらの誤りが事故に結び付かないよ
うに、新技術の活用とともに、不断の技術開発によってその構造、設備、装置
等の安全性を高め、各交通機関の社会的機能や特性を考慮しつつ、高い安全水
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準を常に維持させるための措置を講じ、さらに、必要な検査等を実施し得る体
制の充実を図る。
③
交通環境に係る安全対策
ア
機能分担された道路網の整備、交通安全施設等の整備、交通管制システム
の充実、効果的な交通規制の推進、交通に関する情報提供の充実等を図る。
イ
交通環境の整備に当たっては、
「人優先」の考えの下、人の移動空間と自動
車や鉄道等の交通機関、更には自転車との分離を図るなど、混合交通に起因
する接触の危険を排除する施策を充実させる。
特に、道路交通においては、通学路、生活道路、市街地の幹線道路等におい
て、歩道の整備を積極的に実施するなど、
「人優先」の交通安全対策を推進す
る。
これらの施策の推進に際しては、高齢社会の到来等の社会情勢の変化を踏ま
えるとともに、地震等に対する防災の観点にも適切な配慮を行う。
(2)情報通信技術(ICT)の活用
人間、車両及び交通環境を結び付けるものとして、また、これら三要素それぞれの
施策効果を高めるものとして、情報の役割は重要であることから、交通安全に関する
情報の収集・提供に努める。特に、情報通信技術(ICT)の活用は人の認知や判断等
の能力や活動を補い、また、人間の不注意によるミスを打ち消すとともに、被害を最
小限にとどめるなど、交通安全に大きく貢献することが期待でき、高度道路交通シス
テム(ITS)の取組等を積極的に進める。
また、有効かつ適切な交通安全対策を講ずるため、その基礎として、交通事故原因
の総合的な調査・分析の充実・強化、必要な研究開発の推進を図る。
(3)救助・救急活動及び被害者支援の充実
交通事故が発生した場合には、その被害を最小限に抑えるため、迅速な救助・救
急活動及び負傷者の治療等の充実を図るとともに、一層の被害者支援の充実を図る。
(4)参加・協働型の交通安全活動の推進
交通事故防止には、市民の主体的な交通安全活動を積極的に促進することが重要
であるため、行政が行う施策に計画段階から市民が参加できる仕組みづくりや住民
と協働で実施する地域特性に応じた交通安全に関する取組み等、市民と行政が密接
に連携した交通安全活動を推進する。
(5)効果的・効率的な対策の推進
近年の厳しい財政状況を踏まえ、最少のコストで最大の効果を挙げることができ
る交通事故防止対策に集中して取り組む必要がある。また、交通安全に関する施策
は多方面にわたり、かつ相互に密接な関連を有しており、これらの施策を総合的か
つ効果的に実施することに努める。
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