国際開発金融機関(MDBs) の概要と 日本が果たす役割

特 集
国際開発金融機関(MDBs)
の概要と
日本が果たす役割
∼2017 年アジア開発銀行
(ADB)
総会を見据えて∼
第 50 回アジア開発銀行
(ADB)
総会が 2017 年
に横浜で開催されます。
日本はこれまで、
創立総
会
(1966 年、東京都)
、第 20 回総会
(1987 年、
大阪市)
、
第 30 回総会
(1997 年、
福岡市)
、
第 40
回総会
(2007 年、
京都市)
を招致しており、
今回
で 5 回目の開催となります。
この機会に国際開発
金融機関
(MDBs)の概要と日本が果たす役割
について紹介します。
取材・文 向山勇
MDBs とは
国際開発金融機関(MDBs : Multilateral Development Banks)は、
途上国の貧困削減や持続的な経済・社会的発展を目指すための国際機関の総称
です。金融支援や技術支援、知的貢献を通じて総合的に支援を行っています。
MDBs は全世界を支援対象とする世界銀行と各所轄地域を支援する 4 つの
地域開発金融機関から構成されています。MDB の各機関には借入国である
途上国とドナー(資金提供者)である先進国の双方が幅広く加盟しています。
MDBs を構成する機関
世界銀行グループ
アジア開発銀行
米州開発銀行
アフリカ開発銀行
欧州復興開発銀行
4
ファイナンス 2017.1 MDBs と日本
日本は 5 つの分野で
MDBs の活動に積極的に貢献
MDBs を通じた途上国支援には、様々な長所が
あります。1 つ目は、国際協力における豊富な経
TOPICS
第 6 回アフリ力開発会議で
アフリ力開発銀行との共同支援を発表
2016 年 8 月に開催された第 6 回アフリカ開発
会議(TICAD VI)で日本政府とアフリカ開発銀
行(AfDB)は、アフリカの成長加速と貧困削減
が目的として、3 年間で 30 億ドルの資金協力を行
うことを共同の目標とすることを発表しました。
今回の資金協力では、運輸、エネルギー等の経済
的インフラや保健、教育、栄養等の社会的インフ
ラを重点分野に位置づけています。
験が蓄積されていること。MDBs は、国際協力の
幅広い分野を網羅しているので最先端の専門的知
識を有する優秀な人材が全世界から集まっていま
す。これにより、知識の上に知識が蓄積されてい
ます。2 つ目は国際機関として中立的な立場から
的確な政策アドバイスが行えることです。3 つ目
は情報網が確立していること。数多くの途上国に
現地事務所があるので、その情報網を活用するこ
とで、現地の支援ニーズを的確に把握し、きめ細
やかな支援を可能としています。4 つ目は途上国
の債務状況や制度・政策環境に関するデータを保
左から大塚財務副大臣、アデシナ AfDB 総裁、JICA
北岡理事長/TICAD VI にて(写真提供:AfDB)
有していること。これを基に客観的な指標を作成
しており、援助に生かしています。
して MDBs が行う融資等の業務や組織運営等に
日本は MDBs の持つ途上国支援の長所を活か
ついて積極的に参画しています。これにより、
しつつ、責任ある国際社会の―員として MDBs
MDBs の施策に日本の ODA 政策、開発の理念を
の活動に積極的に貢献しています。主に 5 つの分
適切に反映させています。
野で貢献をしています(図参照)
。
日本は MDBs の各機関に出資し、主要株主と
日本の ODA との協調・連携も進めています。
日 本 は 国 際 協 力 機 構(JICA) や 国 際 協 力 銀 行
(JBIC)が MDBs との協調・連携を進め、MDBs
◆ 日本が貢献する 5 つの分野
1
主要株主としての貢献
2
日本の ODA との協調・連携
3
信託基金を通じた貢献
4
知的支援
5
人的貢献
の長所を日本の開発援助に活用することで、支援
の効果を上げることが期待できます。
日本は、MDBs への出資に加え、世界銀行をは
じめとする各 MDB に設けた日本信託基金を通じ
た支援も行っています。
この他にも知的支援を通じて、アジアの経験や
考え方を世界に発信したり、多くの日本人職員を
派遣したりするなどしています。
次ページ以降では、MDBs を構成する各機関の
目的と日本が果たしている役割を紹介します。
5 ファイナンス 2017.1
特集
国際開発金融機関
(MDBs)
の概要と日本が果たす役割
∼2017 年アジア開発銀行
(ADB)総会を見据えて∼
プロジェクト紹介
世 界銀行
グ ループ
エボラ出血熱緊急対応プロジェクト
ギニア、リベリア、シエラレオネの西アフリカ
諸国で流行したエボラ出血熱への対策として世界
銀行は IDA 危機対応ウィンドウを活用したエボラ
■ 世界銀行グループとは
世界銀行グループは、開発途上国に幅広い支援
を行う、まさに “ 世界の銀行 ” です。世界中の地
域から約 190 カ国が加盟しており、日本は第 2 位
の出資国です。世界銀行グループは、途上国の異
なる発展段階や多様な資金需要に応じるため、国
出血熱緊急対応プロジェクトを実施しています。
このプロジェクトでは、前例のない規模で被害が
拡大する事態の緊急性に鑑みて、資金支援を迅速
化するための特例
措置を行いました。
また、大規模な感
染症被害の再発防
止に対する活動も
行っています。
予防接種を行う看護師
(Dominic ChavezlWorld Bank)
際復興開発銀行(IBRD)
、国際開発協会(IDA)
、
国 際 金 融 公 社(IFC)
、多数国間投資保証機関
(MIGA)等の目的の異なる複数の機関により構
ジェクトの組成に努めています。
成されています(図参照)
。
MIGA は、通常の保険会社等では引き受けるこ
■ 主要な業務
との難しい非商業的リスクに対する保険・保証を
IBRD と IDA は、開発途上国政府の貧困削減に
通じて、民間直接投資の促進を目的にしていま
向けた努力を支援目的としています。持続的成長
す。MIGA の保証は政府保証を必要としないこ
や人々の生活水準の向上に資するプロジェクトや
と、また民間保証機関と異なり政治リスクを保証
プログラムに融資やアドバイスを行っています。
対象としていることが特徴です。
IFC は、開発途上国で活動する民間企業に対す
る融資・出資を通じて、開発途上国における持続
■ 日本と世界銀行グループ
可能な民間部門投資を促進し、貧困削減と生活水
日本は現在、世界銀行グループ各機関において
準向上を支援することを主な目的としています。
第 2 位の出資国ですが、かつては世界銀行からの
近年 IFC は「持続可能な成長の実現」を自らの優
借入国でした。
先課題とし、環境面、社会面に十分配慮したプロ
第 1 号の借入は関西電力多奈川火力発電所建設
用借款(1953 年)でした。その後、黒四ダム、
東海道新幹線等を含め、1966 年の東名高速道路
◆ 世銀グループの資金の流れ
(東京~静岡区間)建設用借款まで合計 31 件・8
加盟国
資本市場
億 6300 万ドルの借入を行っています。これらの
増資
資本調達
返済は 1990 年 7 月に終了しています。
世界銀行の借入国から卒業した日本は、世界銀
世界銀行グループ
IDA
IBRD
IFC
贈与 返済 融資
返済 融資
返済 投融資
途上国政府
途上国
民間企業等
MIGA
置 さ れ た 信 託 基 金 で あ る 開 発 政 策・ 人 材 育 成
保険・
信用保証
投融資
行グループ各機関に出資するほか、世界銀行に設
民間
企業
(PHRD)基金、日本社会開発基金(JSDF)に対
して資金を拠出するなど、世界銀行の活動の質的
向上に非常に重要な役割を果たしています。
6
ファイナンス 2017.1 プロジェクト紹介
アジア
開発銀行
開 発銀行
タイの太陽光発電所建設事業
経済成長に伴い電力需要が増しているタイでは、
政府が再生可能エネルギーの普及を目指していま
す。これを支援するため ADB は 2010 年にタイ
中部における太陽光発電所建設事業に融資を行い
ました。この事業は日本企業 M 社の 100%子会
■ アジア開発銀行とは
アジア開発銀行(ADB)は、66 年の創設以来、
世界最大の貧困人口を抱えるアジア・太平洋地域
において、貧困削減に正面から取り組んでいま
す。本部はマニラに置かれ、59 か国・地域出身
社、香港の民間電力会社及びタイの大手独立系発
電事業会社の 3 社
からなる合弁会社
が発電事業会社と
なりました。
の約 1,000 名の専門職員が働いています。
太陽光パネル設置の様子
(写真提供:ADB)
■ 主要な業務
ADBの主な機能は(1)開発途上加盟国に対す
る融資等、
(2)開発プロジェクト・開発プログラム
の 2 つの資本の統合を決定し、2017 年 1 月に実
の準備・執行のための技術援助及び助言、
(3)開
施される予定です。
発目的のための公的・民間支援の促進、
(4)開発
途上加盟国の開発政策の調整のための支援等です。
ADB の財源には、比較的所得の高い開発途上
■ 日本と ADB
ADB の設立当時、日本はまだ戦後の復興期から
加盟国への支援に使われる通常資本財源(OCR)
ようやく経済発展期にさしかかったところでした。
と、低所得国向けの支援に使われるアジア開発基
それでもアジア地域全体の経済発展のために果た
金(ADF)があります。この他に加盟国からの
すべき役割に鑑み、設立準備資金として日本は10
拠出金と ADF からの配分金等からなる技術援助
億ドルを出資しました。ADB 設立は、日本にとっ
特別基金(TASF)等があり、技術援助に用いら
て大規模な国際貢献の第 1 号であったと言えます。
人的貢献も行っています。MDBs で働く職員に
れています。
地域の膨大な開発ニーズに応えるための融資能
は高度な qualification(資格・素質)が求められ
力の拡大策として、2015 年 4 月に OCR と ADF
ます。そのような中で ADB では、多数の日本人職
員が活躍しており、国籍別の職員比率では第 1 位
となっています。
◆ ADB への出資割合
また、日本は ADB に設けた貧困削減日本基金
日本
15.6%
その他
50.3%
オーストラリア
5.8%
米国
(JFPR)等の信託基金を通じ、ADBとのより一層
の協力を行っています。2015 年 4 月のネパール震
15.5%
災被害では、JFPR から1,500 万ドルの緊急無償
中国
支援を実施しています。
6.5%
インド 6.3%
※ADB の出資割合については、直近の増資に係る手続きが各国とも完
了した場合のもの
※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある
ADB では全加盟国(67 か国・地域)の財務大
臣等が一堂に会する年次総会が毎年開催されてい
ます。2017 年の第 50 回年次総会は 5 月に横浜で
開催される予定です(P11 参照)
。
7 ファイナンス 2017.1
特集
国際開発金融機関
(MDBs)
の概要と日本が果たす役割
∼2017 年アジア開発銀行
(ADB)総会を見据えて∼
米州開発銀行
米 州開発銀行
プロジェクト紹介
パナマ運河拡張事業
2016 年 6 月パナマ運河の拡張事業が完成し、
開通式が行われました。2006 年にパナマ政府が
このパナマ運河拡張事業を検討した際には、国民
投票を実施したほどの大規模インフラ事業でした。
総事業費 52.5 億ドル(5,300 億円以上)のうち、
■ 米州開発銀行とは
米州開発銀行(IDB)は中南米・力リブ(LAC)
加盟諸国の経済・社会発展に貢献することを目的と
して、1959 年に設立されました。現在、米州地域
からの28か国(26のLAC 加盟諸国と米国およびカ
ナダ)に加え、アジア(日本、韓国、中国)を含む
域外から20か国が加盟し、48か国で構成されてい
ます。日本は1976年に加盟しています。
また1986 年には、IDBの活動を補完しLAC 加盟
パナマ運河庁は 23 億ドルを金融機関からの融資
で賄い、そのうち日本は JBIC(国際協力銀行)
や民間銀行から
8 億ドル、IDB は
4 億ドル、IFC(国
際金融公社)は 3
億ドルの融資を行
いました。
パナマ運河拡張工事の様子
写真提供:Courtesy of the Panama Canal Authority
諸国の民間企業に対する投融資を通じて域内経済の
発展に寄与するため、米州投資公社(IIC)が設立
合され、OC が低所得国向け融資も行っています。
されました。さらに、1993年には民間投資を促進す
IICは、加盟国からの出資及び借入金を原資とし
るため技術協力や零細・中小企業育成等を行う多数
て、民間企業への投融資やアドバイザリー・サー
国間投資基金(MIF)が設立されています。
ビスを通じた技術・ノウハウを提供しています。
MIFはLAC 加盟諸国における民間投資の促進を
■ 主要な業務
図るため、技術協力やマイクロファイナンス金融機
IDBは、LAC 加盟諸国の政府等公的部門に対し
関等を通じた零細・中小企業向け投融資など、小
て各種開発プロジェクトやセクター改革等を対象
規模で革新的な取り組みを実験的に行っています。
とした融資を行っています。融資には、通常資本
(OC)による準商業ベースの融資や特別業務基金
■ 日本と IDB
(FSO)による低所得国向け超長期・低利の融資等
日本は1976年にアジア最初の加盟国として、人材、
がありましたが、2017 年1月からFSOは OCと統
資金の両面から貢献してきました。人材面では、現在
17名(2015年12月末現在)の日本人職員がIDBの各
部局で活躍しています。
◆ lDB 出資割合
また、2016 年 4 月のバハマ総会では、省エネ、
その他
再生可能エネルギー分野における IDB と JICA の協
米国
調融資の枠組みである CORE(コア)を、質の高
34.9% 30.0%
日本 5.0%
メキシコ 7.3%
いインフラ投資のグローバル展開に資するよう拡
アルゼンチン
11.4%
ブラジル 11.4%
※IDB の出資割合については、直近の増資に係る手続きが各国とも完
了した場合のもの
※四捨五入の関係上、合計がー致しないことがある
充しました。日本は同枠組みの下で融資案件の組
成段階から IDB と JICA がより緊密に協働すること
を支援するため、IDB に設置している日本信託基
金に質の高いインフラ投資支援のための枠を創設
し、案件組成準備を支援することとしました。
8
ファイナンス 2017.1 プロジェクト紹介
アフリカ
ア フリカ
開発銀行
開 発銀行
アルーシャ∼ナマンガ∼アティ川間
道路改良事業
このプロジェクトはアフリカ開発銀行グループと
日本政府が発表した協調融資枠組みである EPSA に
■ アフリカ開発銀行とは
アフリカ開発銀行(AfDB)は、アフリカ諸国
の経済的開発及び社会的進歩に寄与するため、
1964 年 9 月に設立されました。その後 1973 年
6 月には、最貧国を重点的に支援するため、アフ
リ カ 開 発 基 金(AfDF) も 設 立 さ れ て い ま す。
AfDB と AfDF をあわせアフリ力開発銀行グルー
プと呼びます。アフリカ開発銀行グループは、未
基づく JICA との協調融資案件です。東部アフリカ地
域において国境を接するケニア・タンザニアの両国
は、同地域における経済統合の推進や経済活性化に
向け、国境をまたぐ回廊の整備・改良に取り組んで
います。AfDB は両国間の輸送能力の増強のため、
2007 年 3 月 に ア
ルーシャ∼ナマン
ガ∼アティ川間道
路改良事業を承認
し、6 年 の 工 期 を
経て完成しました。
だ多くの困難を抱えるアフリカ諸国の開発ニーズ
(AndreaBorgarello/AfDB)
に応えるため、アフリ力を代表する地域密着型の
MDBs としてアフリカ諸国のニーズを細やかに汲
ラ、エジプト、南アフリ力)及びアフリカ開発銀
み取りつつ、自らの専門性を生かした業務を行っ
行で構成されています。
ています。
■ 日本と AfDB
■ 主要な業務
日本は1983 年に他の域外国と共に AfDB に加盟
AfDB は、比較的所得の高い国に対して準商業
して以来、域外国中、米国に次ぐ第 2 位の出資国
ベースの融資を行っています。加盟国は 80 か国
として、AfDB の政策や活動に深く関与してきま
(域内国 54 か国、域外国 26 か国)で構成されて
した。最貧国を重点的に支援する AfDF に対して
も1973 年の設立以来、積極的に貢献しています。
います。
AfDF は所得の低い国に対して譲許的な条件に
アフリカ支援に当たり日本は、貧困削減のため
よる融資及びグラント(贈与)の供与を行ってい
の経済成長及びその原動力としての民間セクター
ます。出資国は 30 か国(域外国 27 か国、アンゴ
の役割を重視し、2005 年に AfDB と JICA 円借款
との協調融資枠組み「アフリカの民間セクター開
発のための共同イニシアティブ」
(EPSA)を発表
◆ AfDB 出資割合
ナイジェリア 8.8%
米国 6.4%
その他
69.2%
日本 5.4%
エジプト
5.3%
南アフリカ 4.9%
※AfDB の出資割合については、直近の増資に係る手続きが各国とも
完了した場合のもの
※四捨五入の関係上、合計がー致しないことがある
しました。これまでに EPSA1(2005-2011)にお
いて、10 億ドル相当の円借款を供与し、EPSA2
(2012-2016)では、20 億ドルを目標とした円借
款の供与を進めています。
さらに、2016 年 8 月にナイロビで開催された第
6 回 ア フ リ カ 開 発 会 議(TICAD VI) で は、
EPSA3(2017-2019)を発表し、日本は今後も
AfDBと緊密に連携し、アフリカの民間セクター
開発の促進を後押ししていくことを表明しました。
9 ファイナンス 2017.1
特集
国際開発金融機関
(MDBs)
の概要と日本が果たす役割
∼2017 年アジア開発銀行
(ADB)総会を見据えて∼
欧州
復興開発銀行
復 興開発銀行
■ 欧州復興開発銀行とは
欧州復興開発銀行(EBRD)は、1991 年 3 月
に設立され、同年 4 月より業務を開始しました。
中東欧諸国における市場指向型経済への移行並び
に民間及び企業家の自発的活動を支援することを
目的としています。現在の支援対象国は、中東欧
プロジェクト紹介
サルヒト風力発電事業
2013年にスタートしたサルヒト風力発電事業は、
モンゴル地元企業や EBRD、オランダ開発銀行
(EMO)等が共同出資して設立した民間企業による
プロジェクトです。モンゴル初の大型再生可能エネ
ルギー事業であるのみならず、国営企業が依然支
配的であるモンゴル電力セクターにおいて初の民間
発電事業者による
市場参入案件とな
りました。EBRD
は出資・融資の両
面から支援をして
います。
サルヒト風力発電所にて
(写真提供:EBRD)
の旧社会主義国及び旧ソ連構成国を中心とする
36 か国です。市場経済化・民営化を進めるため
の民間部門に対する投融資及び技術支援等を中心
に業務を行っています。
■ 日本と EBRD
日本は EBRD の原加盟国で米国に次ぎ英独仏
■ 主要な業務
伊と並ぶ出資国として支援対象国の市場経済機能
EBRD の中心業務はプロジェクトファイナンス
の向上、持続的な成長を支援しています。
を中心とした商業ベースの投融資業務ですが、市
日本は EBRD への出資に加え、設立当初より
場経済化の支援という使命に鑑み、投融資の実施
日本・EBRD 協力基金(JECF)を通じ EBRD の
にあたっては、
(1)市場経済への移行促進の効
技術協力を支援しています。近年では、モンゴル
果、(2)商業銀行では代替できない支援の実施、
の上下水道事業の不採算・非効率な管理手法の改
(3)健全な金融判断に基づく融資の 3 原則を満た
善支援や、ウクライナの農業、エネルギー分野に
すことが求められています。また、EBRD の投融
おける融資プロジェクトの事前調査等に対する技
資は民間部門に対するものを中心に行うこととさ
術協力を実施してきました。
れており、投融資残高のうち民間部門に対する投
融資は全体の約 8 割程度となっています。
この様な支援を通じ、EBRD の投融資業務の効
果的な実施を促進しているほか、日本の高度な技
術・知見の普及も図っています。
また、EBRD と日本企業の連携促進及び日本で
◆ EBRD 出資割合
米国 10.1%
英国 8.6%
その他
46.8%
ドイツ
8.6%
フランス
8.6%
日本 8.6%
※2015 年 12 月末現在
※四捨五入の関係上、合計が一致しないことがある
イタリア
8.6%
の EBRD に対する認知向上等を目的に、2016 年
3 月、受益国以外では欧州域外で初となる代表事
務所が東京に開設されました。代表事務所では、
大学院生、社会人を対象に EBRD の業務に対する
理解を深めるための説明会等を実施しているほ
か、ビジネス開発担当者が在籍し、EBRD の支
援対象地域への投融資に関心を持つ日本企業との
関係構築、ビジネス機会の発掘に努めています。
10
ファイナンス 2017.1 第 50 回アジア開発銀行の年次総会を
横浜で開催
50th ADB ANNUAL MEETING YOKOHAMA 2017
VISUAL IDENTITY MANUAL
ADB 年次総会は、全加盟国(67 か国・地域)
しました。これを受けて、
の財務大臣等が一堂に会する国際会議です。会議
2016 年の第 49 回総会(ド
では、アジア・太平洋地域の経済開発に関する意
イツ・フランクフルト)
見交換や ADB の重要事項についての意思決定が
では、ドイツから次回開
行われます。日本はこれまで設立総会(1966 年、
催国である日本に対する
東京都)、第 20 回総会(1987 年、大阪市)
、第
議長引継ぎが行われまし
30 回 総 会(1997 年、 福 岡 市 )
、 第 40 回 総 会
た。引継ぎイベントの中
(2007 年、京都市)と、節目となる総会でホスト
ロゴマーク
では、第 50 回総会のロゴ・テーマを発表しまし
た。
を務めてきました。
こうした中、2015 年の総会にて、2017 年の第
ロゴマークは、横浜の街並みをシンプルな図形
50 回総会を横浜市で開催することが正式に決定
で表し「横浜らしさと日本らしさ」を融合させて
います。雲がつながる様は、手と手を携えること
を表し、これからのアジアの未来を「ともにひら
く」ことを意味しています。
せいがいはもん
背景は青海波紋の中に、横浜の象徴的なアイコ
はまかいはもん
ンを散りばめ、「濱海波紋 2017」と名付けられま
した。色調は日本の伝統色や、横浜の海を感じら
れる色が意識されています。
総会の開催期間中は、各種セミナーや行事が行
われる予定です。国内外の政府高官、経済界、学
ドイツフランクフルトで開催された第 49 回年次総会では
横浜開催への引継ぎ式も行われた
術関係者、報道関係者、国際機関、NGO 等から
3,000~4,000 名程度の参加が見込まれています。
JICA が ADB の信託基金へ出資
JICA と ADB は、アジア及び大洋州地域で民間に
分野における質の高い民間セクターのインフラ案
よるインフラ整備を支援するための信託基金
件を対象とし、民間セクターが様々な形態(官民
(LEAP)の設立に関する契約書を 2016 年 3 月に
連携パートナーシップコンセッション、法人等)
締結しました。JICA は LEAP に対して最大 15 億
を通じて実施するインフラ事業に対して、出融資
米ドルを出資する予定です。
による支援を行います。JICA は今後も各国・国際
LEAP は電力(特に再生可能エネルギー、省エネ)、
機関と協働し「質の高いインフラ投資」を推進し
水、都市インフラ、運輸、情報通信、そして保健
ていく予定です。
11 ファイナンス 2017.1