巻頭言 森 正樹 大阪大学消化器外科教室が土岐教授と私の 2 名体制になって、1年半が経過しました。この 間、教室員はもとより旧第 1 外科、旧 第 2 外科の消化器外科関連の皆様には大変なご理解とご 支援をいただきました。心から感謝申し上げます。 新しい消化器外科教室の発足にあたり、土岐教授と私とでそれぞれ別の 教室を担当するとい う選択枝もありましたが、そうはしませんでした。 私はもともと、消化器外科医は食道・胃・ 大腸・肝臓・膵臓・胆道の全ての臓器の外科的知識を有し、その上にたって専門臓器を決めて 技術修 得にあたる方が良いと考えていました。消化器外科教室を二つに分ける と、そこには 新たな壁ができて、偏った消化器外科医しか生み出すことができないのではないかと危惧しま した。それでは若い教室員にとって全くメリットはありません。そこで土岐教授と相談し、消 化器外科教室を一つとして二人で手分けして運営する方式を採用することにしました。このよ うな運営方式は少なくとも外科教室では全国でも初めてのことと思います。そのため現在も試 行錯誤を続けていますが、医局員には一体感が生まれ、臨床、教育、研究がスムーズに行われ ている現状を喜んでいます。 さて、私と土岐教授の目標は「地域医療をリードし、世界に誇れる強い消化器外科教室を創 る」ことです。これは端的に言えば、地域医療をリードできる人材と、世界の消化器外科をリ ードできる人材を育てる事にほかなりません。医療の原点は地域医療ですから、地域のリーダ ーたり得る人材を育成することは、私たちの使命です。またその一方で、大阪大学は国の基幹 大学の一つですので、全国の大学で教授として活躍できる人材を育てることも重要な使命で す。阪大出身で他大学の消化器外科教授になる方が少ない現状があります。私と土岐教授はそ れを変えなければなりません。そのためには何より若い教室員の奮起が重要です。是非、世界 をリードする気概を持ってがんばって欲しいと思います。評価は他人がするものです。従って 他人に分かる形で自分の業績を示す必要があります。いくら自分でがんばっていると思って も、客観的にそれを示せるものがないと、他人は評価してくれません。どこの誰からでも正し く評価されるためには、客観的評価に耐えうる業績を示すことが肝要です。そのつもりで頑張 って欲しいと思います。 若いこれからの教室員のがんばりで大阪大学消化器外科教室が大きく発展するように指導し ていきます。関連の先輩の先生には引き続きご支援をお願い申し上げます。
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