「授業スタンダード」 新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上

平成27・28年度
葛飾区教育委員会教育研究指定校
研究紀要
研
究
主
題
「授業スタンダード」
新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上
~アクティブ・ラーニングの効果的導入と知識創造型能力の獲得~
葛飾区立新宿中学校
-1-
目 次
◇
◇
◇
あいさつ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
研究に寄せて・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
3
Ⅰ
研究の概要
1 研究主題・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 研究主題設定の理由・・・・・・・・・・・・
3 研究仮説・・・・・・・・・・・・・・・・・
4 研究構想図・・・・・・・・・・・・・・・・
5 研究計画・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
4
4
5
6
Ⅱ
研究実践
1 授業規律の確立・・・・・・・・・・・・・・・
2 ユニバーサルデザイン化・・・・・・・・・・・
3 新宿中スタンダード・・・・・・・・・・・・・
4 新宿中スタイル・・・・・・・・・・・・・・・
5 年間指導計画・・・・・・・・・・・・・・・・
6 hyper-QUの実施・活用・・・・・・・・
7 その他の取り組み・・・・・・・・・・・・・・・
8 葛飾区のICT推進計画・・・・・・・・・・・
9 教科別における取り組み
(1) 国語・・・・・・・・・・・・・・・
(2) 社会・・・・・・・・・・・・・・・
(3) 数学・・・・・・・・・・・・・・・
(4) 理科・・・・・・・・・・・・・・・
(5) 英語・・・・・・・・・・・・・・・
(6) 保健体育・・・・・・・・・・・・・・
(7) 音楽・・・・・・・・・・・・・・・・
(8) 美術・・・・・・・・・・・・・・・・・
(9) 技術・・・・・・・・・・・・・・・
(10) 家庭・・・・・・・・・・・・・・・
(11) 特別支援・・・・・・・・・・・・・・・
12
14
16
17
21
23
24
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
Ⅲ
研究のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
36
Ⅳ
資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・授業改善アンケート結果
・新宿中スタンダード
・葛飾教師の授業スタンダード
・かつしかっ子学習スタイル
37
Ⅴ
研究授業指導案・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
◆
◆
◆
おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ご指導いただいた先生方・・・・・・・・・・・・・
研究に携わった教職員・・・・・・・・・・・・・・
59
60
60
-2-
あいさつ
葛飾区教育委員会教育長
塩澤 雄一
新宿中学校では、平成27・28年度の葛飾区教育委員会教育研究指定校として、
「『授業スタンダー
ド』新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上
~アクティブ・ラーニングの効果的導入と知識創造
型能力の獲得~」を研究主題に掲げ、意欲的かつ実践的な研究を進めてこられました。このたび、その
成果をまとめられ、発表の運びとなりましたことに心から敬意を表するものであります。
葛飾区教育委員会では、平成26年度葛飾区教育振興基本計画(「かつしか教育プラン2014」
)を
推進しております。本計画の基本方針の一つである、
「子どもがいきいき学ぶ教育環境づくりを推進しま
す」の実現には、本校の研究で大切にしております「授業改善と指導力向上」が大変重要であります。
そして、アクティブ・ラーニングをより効果的に導入するために新宿中授業スタイルを確立した点は、
「か
つしか教育プラン2014」を具現化する取組であり、大変素晴らしいことであります。
本校では、研究主題に迫るため、「葛飾教師の授業スタンダード」に基づく新宿中授業スタイルを確
立し、ユニバーサル型授業の実践に取り組んでおります。
まず、大前提として「授業規律の確立」に努めました。日常的な生活指導に加え、各種行事等、あら
ゆる場面において一貫した指導を充実させることにより、生徒は、規律ある行動を確実に身に付け、授
業に臨んでおります。
次に、「ユニバーサルデザイン化」を行いました。全ての教員が、時間・場・人間関係の管理整備を
共通の考え方で取り組むことにより、生徒は、どの授業においても見通しをもち、互いに尊重し合える
雰囲気のなかで学び合うことができております。
そして、「新宿中スタンダード」を生徒に定着させるとともに、「新宿中スタイル」を、全ての教員
が身に付け、統一的に取り組んでまいりました。それにより、本校の教員は、生徒たちの「知識創造型
能力」の高まりを実感できるようになりつつあります。
こうした本校の貴重な研究成果が、今後、各学校においても生かされ、一人一人の教員の授業改善及
び指導力向上へとつながりますことを心から願っております。
結びに、本校の研究に際しまして、ご指導・ご助言を賜りました目白大学人間科学部児童教育学科教
授
田尻 信壹 先生、葛飾区立金町中学校長 伊藤 康嗣 先生に深く感謝申し上げます。また、2
年間研究に取り組まれました新宿中学校 千野 英雄 校長先生をはじめ、熱心に研究に取り組まれた
教職員の皆様に敬意を表するとともに、本研究を支えてくださいました保護者、地域、関係者の皆様に
厚く感謝申し上げ、あいさつといたします。
-3-
はじめに
校長 千野 英雄
次期学習指導要領等に向けた審議のまとめに、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の
3つの視点が挙げられている。それらの達成のために、アクティブ・ラーニングが求められている。
6~7年前に、法教育研修のために母校の大学を訪ねたことがあった。その時、大きな白い文字
で書かれた「Active Learnig」の赤い看板を初めて見た。その時は、「活動的なランニング」と
読み違え、どこかのスポーツサークルかランニング大会の紹介かと勘違いした思い出がある。
その後しばらくして、アクティブ・ラーニングという言葉が一気に押し寄せてきた。今でこそ、
アクティブ・ラーニングという言葉を冷静に捉えることができるが、最初は一体何をすればいいの
かという感じであった。そのような中、縁あって葛飾区教育委員会教育研究指定校になった。そし
て、研究主題を『「授業スタンダード」新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上』、副題を「ア
クティブ・ラーニングの効果的導入と知識創造型能力の獲得」という少々欲張ったものに設定し、
2年間の研究に取り組んできた。
1年次は、研究組織の立ち上げとアクティブ・ラーニングの理解に取り組んだ。この時、塩澤教
育長のご紹介で、本日の講師でもある田尻信壹目白大学教授の継続的なご指導を得られたことは、
研究にとり、大変ありがたかった。そして、研修会でご教示いただいた溝上慎一京都大学教授の「関
与と外化」
(19ページ参照)という定義が研究の道筋を示してくれた。すなわち、今までの学習活
動とは別の新たな授業を作るのではなく、現在も行っている授業中の諸活動を「主体的・対話的で
深い学び」につなげ、生徒が学習活動に関与し、考えを外化することがアクティブ・ラーニングそ
のものだと確信した。
2年次になり、葛飾教師の授業スタンダード(資料参照)を土台にした「新宿中スタイル」の構
築に取り組んだ。その際、教科グループによる授業研究を研究の中心にした。そのことで、誰もが
研究に参画しているという意識と体制を整えることができた。そして、次の3点を大切にする授業
改善が進んだ。
・第1は、学習環境整備と人間関係づくり。
・第2は、生徒の視点を「めあて」
(ねらいを焦点化し生徒の言葉で示す)とリフレクション(授業
の中で本時の学習内容や学んだことを他者に伝えたり説明したりする)に置くこと。
・第3は、年間指導計画の見直し。
細かいことは、研究冊子に譲るが、様々な取組みで本校の授業は大きく変わった。また、区教育
研究指定校の使命である開かれた研究にするため、ホームページに研究経過を随時発表するととも
に校内研修会も外部に開かれたものとした。そして、研究の区内還元に努めた。まだ、十分な研究
とは言えないが、一度動き出した歯車は止まることはないと確信している。
終わりに、本研究を進めるにあたり2年間継続してご指導をくださいました目白大学教授の田尻
信壹先生、様々な指導助言をくださいました葛飾区教育委員会の諸先生方に心から感謝申し上げま
す。
-4-
研究に寄せて
目白大学人間科学部児童教育学科教授 田尻 信壹
本日、葛飾区立新宿中学校が、平成27・28年度葛飾区教育研究指定校としての2年間の研究
成果を発表されます。本研究は、葛飾区教育委員会教育長・塩澤雄一先生のご指導を得て、新宿中
学校長・千野英雄先生、副校長・杉山直之先生のリーダーシップの元、研究主任の柴田恭慶先生を
中心に新宿中学校の教職員が一丸となって進められた、珠玉の研究成果です。私も、このような素
晴らしい研究に係わらせていただけたことに感謝いたします。
新宿中学校の研究の素晴らしさは、授業改善を核とした学校つくりの推進にあると言えます。区
内の中心校であった新宿中学校が、教育の一層の充実を目指して授業改革に取り組んだ点は大きな
意味を持っています。
新宿中学校の研究の素晴らしさとして、次の2点を挙げたいと思います。第1に、本研究では、
アクティブ・ラーニングを取り入れた授業実践を行うことで、教員一人一人が授業改善と授業力の
向上を図ることを目指したことです。また、このことは同時に、生徒の理解力を高め、学習態度の
変容を促し、ひいては知識創造型能力の獲得や育成につなげたことです。アクティブ・ラーニング
については、昨年8月に発表された中央教育審議会資料「次期学習指導要領に向けたこれまでの審
議のまとめ(素案)
」において、学習の方法として「『アクティブ・ラーニング』の視点から学習過
程を質的に改善すること」が強調されています。そこでは、「『主体的・対話的で深い学び』の実現
を目指す授業改善」が期待されています。まさに、アクティブ・ラーニングは次期学習指導要領の
最重要項目と言える考え方です。新宿中学校における今回の研究は、次期学習指導要領の下で目指
される学習のあり方を構想する上でも、参考となる取り組みと言えます。
第2に、個々の教員の授業実践を効果的に進めていくための支援の仕組みとして、
「葛飾教師の授
業スタンダード」を土台にして「新宿中スタイル」を確立したことです。葛飾区では、他区にない
先端的な取り組みとして、
「葛飾教師の授業スタンダード」と呼ばれる授業基準を策定し、授業の高
度化と授業力の向上を目指しております。新宿中学校では、
「葛飾教師の授業スタンダード」を新宿
中学校の現状に適応した「新宿中スタイル」として具体化し、学校全体で一丸となって取り組んだ
ところに、本研究のユニークさと重要性があります。
「新宿中スタイル」については、千野先生が本
書「はじめに」で説明されておられますが、「学習環境整備と人間関係づくり」「生徒の視点からの
授業づくり(「めあて」と「リフレクション」の重視)」
「年間指導計画の見直し」の3点を実行する
ことであり、ユニバーサル型授業を学校全体で確立することを目指した取り組みです。
最後に、新宿中学校の研究を総括するならば、本研究は「個々の教員における授業改善の取り組
み」と「授業実践を効果的に進めるための支援の仕組み」を一体的に進めたものであり、学校にお
けるカリキュラムマネジメントの新たなあり方を示すものとして評価できます。このような改革の
実施こそが、「学校教育の改善・充実の好循環」を促していくことにつながるに違いありません。
-5-
Ⅰ
1
研究の概要
研究主題
「授業スタンダード」新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上
~アクティブ・ラーニングの効果的導入と知識創造型能力の獲得~
2
研究主題設定の理由
本校は平成15年より12年間、教育研究指定校や研究モデル校の指定を受けずにきた。 特に部
活動が他校に比べても盛んなことも、その理由の1つであった。しかし、学校教育の根本は授業で
あり、より一層分かる授業とするには、教員の授業力向上と授業改善が不可欠である。
上記の理由から、平成27年度から平成28年度までの2年間の「教育研究指定校」となること
を決定した。研究を進めるにあたり、
「授業改善」を中心テーマに設定し、生徒に分かりやすい授業
を提供すると同時に、その成果を葛飾区内小・中学校にも広めていければと考えた。そこで、授業
改善の方向性として、次期学習指導要領の最大のキーワードである、生徒が主体的に学習する具体
的方策アクティブ・ラーニングの効果的導入について研究し、その実践を通して授業改善と指導力
向上を図ることとした。
アクティブ・ラーニングとは、児童生徒が討論や発表などを通じて課題の解決策を考える指導方
法である。しかし、この方法に戸惑いを感じる教師が多いのが現状である。本校ではこの方法を基
礎から学習し、平成27年度は全教科で授業に取り入れ、効果的に用いる方法を模索した。
そして、平成28年度は前年度に得られた成果と課題を基に、更に研究・実践を進め、副題に「知
識創造型能力の獲得」を付け加えた。これは、次期学習指導要領改訂の方向性として示されている
「新しい時代に必要となる資質・能力の育成」を図ることと関連する。すなわち、新しい知識や技
能を習得したり、それを実際に活用して、問題解決に向けた探究活動を行ったりするという「深い
学び」を実践することにより得られる能力である。その獲得のために、
「葛飾教師の授業スタンダー
ド」に基づく新宿中スタイルの確立やユニバーサル型授業の実施など様々な方策を策定し、実践す
ることとした。
3
研究仮説
研究主題に迫るために、次のとおり研究仮説を設定した。
授業においてアクティブ・ラーニングをより効果的に導入するために、
「葛飾教師の授業スタ
ンダード」に基づく新宿中スタイルを確立し、ユニバーサル型授業を実施する。その結果、授
業改善と指導力向上を図ることができる。そして、生徒の理解の質が変容し、知識創造型能力
の獲得につながると考え、研究仮説を設定した。
-6-
4
研究構想図
教育目標
自己の発展のために、常に努力し、社会と共に生きていく心豊かな人間関係を育てる。
・自分を大切に ・人を大切に ・物を大切に
平成27年度(研究1年次)
研究主題
「葛飾教師の授業スタンダード」による授業改善と指導力向上
~アクティブ・ラーニングの効果的導入~
研究方法
・研究研修推進委員会の設置
・アクティブ・ラーニングの基礎研究および実践・・・「新宿中スタンダード」他
・教科別グループごとによる研究授業実施(年3回)
・大学教授による継続的な指導・助言
成果と課題
・教師の授業改善と指導力の向上
・生徒の授業に対する意欲の向上
↓
平成28年度(研究2年次)
研究主題
「授業スタンダード」新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上
~アクティブ・ラーニングの効果的導入と知識創造型能力の獲得~
研究仮説
授業においてアクティブ・ラーニングをより効果的に導入するために、
「葛飾教師の授業スタ
ンダード」に基づく新宿中スタイルを確立し、ユニバーサル型授業を実施する。その結果、授
業改善と指導力向上を図ることができる。そして、生徒の理解の質が変容し、知識創造型能力
の獲得につながると考え、研究仮説を設定した。
全体図
研究研修推進委員会
授業規律の確立(大前提)
年間指導計画
アクティブ・ラーニング
ユニバーサル型授業
時間
場
大学教授による指導・助言
新宿中スタイル
QU(人間関係)
新宿中スタンダード
校内研修(教科別グループ)
書き方・話し方・聞き方
目指す姿
・教師…授業改善と指導力向上、生徒同士のネットワーク構築による「分かる授業」の展開
・生徒…知識創造型能力の獲得、自尊感情の高まりと社会性の涵養
-7-
5
研究計画
(1)研究の流れ
学期
月
1
4
平成27年度
平成28年度
具体的な取り組み
具体的な取り組み
・アクティブ・ラーニングの基礎につ ・新宿中スタイル・ユニバーサルデザ
いての研修(学習会)
イン型授業の確立
・大学教授による講義・演習
・hyper-QUについての研修
5
・新宿中スタンダード作成
・hyper-QUの実施①
6
・研究授業・研究協議①
・研究授業・研究協議①
大学教授による指導・助言
7
・授業改善アンケート①の実施
・授業改善アンケート①の実施
・大学教授による講義・演習
8
2
・大学教授による講義・演習
10
・hyper-QU活用の指導・助言
・研究授業・研究協議②
大学教授による指導・助言
11
・研究授業・研究協議②
・hyper-QUの実施②
大学教授による指導・助言
12
3
・授業改善アンケート②の実施
1
2
・指導案検討(研究発表会に向けて)
・研究発表会
・研究授業・研究協議③
・授業改善アンケート②の実施
大学教授による指導・助言
※新宿中学校ホームページ「教育活動-研究研修」参照
(2)研究方法
ア.校内研究体制
① 大学教授による継続的な指導・助言を受ける。
② 各教科グループを中心とした授業研究を実施する。教員の学び合いを活用する。
イ.授業改善の具体策
① 効果測定として、国・都・区の生徒アンケートや教師アンケート、国・都の学力調査結果、
hyper-QUの利用、生徒主体の授業づくりについて授業改善アンケートを活用する。
② 「葛飾教師の授業スタンダード」に基づく新宿中スタイルを作成し、その実践を行う。ねら
いとリフレクションを中心とする全教科に共通したスタイルを構築する。
③ 「生徒主体の学習」の指導時期や方策を年間指導計画に位置付ける。
④ ユニバーサル型授業の考え方に基づいた時間・場・人間関係の管理整備を行う。
ウ.その他
① 幼小中連携を通して、
「生徒主体の授業のあり方」について連続性を作る。
② 広く研究内容をホームページで公開し、区全体への浸透を図る。
-8-
(3)研究組織
ア.研究研修推進委員会
校長・副校長・進路指導主任(研究主任兼務)・教務主任・生活指導主任・学校経営支援主任・
各学年教員1名
イ.教科別グループ
①国語、②社会、③数学、④理科、⑤英語、⑥保健体育、⑦音楽・美術・技術・家庭
⑧特別支援
(4)教員の実態調査
平成27年7月(中間)・12月(最終)、28年7月(中間)に実施した学校自己評価より、
アクティブ・ラーニングに関する教員の評価・意見は以下の通りである。
ここから、教員のアクティブ・ラーニングの導入・実践に対する意識が高まり、授業改善に積
極的に取り組んでいることが分かる。反面、運用上の課題も見えてきており、授業規律を整える
ことがアクティブ・ラーニングを効果的に導入していく上で重要であることが分かる。
<平成27年度>
(評価項目)アクティブ・ラーニングを効果的に導入し、授業改善を図り、分かる授業を目指す。
【具体的方策】
葛飾教師の授業スタンダード完全実施とともに、生徒の実態に応じた教材教具やICT機器
活用を工夫し、言語活動や体験学習を取り入れ、改善状況を確認して分かる授業を実践する。
7月(中間)
12月(最終)
取組指標(指導者として)
3.2 /4
取組指標(指導者として)
3.5 /4
成果指標(生徒の変容)
3.1 /4
成果指標(生徒の変容)
3.3 /4
分析コメント
分析コメント
・講義型であっても演習作業を入れるなど、一 ・アクティブ・ラーニングはまだ導入段階。成
方的な展開は減っている。
果が上がったと言えない。
・アクティブ・ラーニングを意識して授業を組 ・アクティブ・ラーニングを意識して授業を組
み立てている。
み立てている。
・グループ活動が多く取り入れられている。
改善策
改善策
・アクティブ・ラーニングとは様々な形態であ ・教員の意識は高まっているので、それぞれが
ることを、研修を通し理解を深め、実践に移
す。
研究を続ける。
・各クラスにホワイトボードがあると生徒の
・活動させればよい、話し合わせればよいでは
なく、授業内容の充実を目指す。
発表がより円滑になる。
・授業をより完成度の高いものへと更に努力
する必要がある。
・校内で統一できるものは統一し、確実に実行
する。
-9-
(評価項目)学習意欲の向上を図り、自ら学ぶ力を育てる。
【具体的方策】
かつしかっ子学習スタイルの徹底とともに、 生徒の能動的な学習を通して学ぶ意欲を高める。
7月(中間)
12月(最終)
取組指標(指導者として)
3.4 /4
取組指標(指導者として)
3.3 /4
成果指標(生徒の変容)
3.3 /4
成果指標(生徒の変容)
3.2 /4
分析コメント
分析コメント
・生徒の学ぶ意欲を高められた。
・より能動的な学習を進めるためにも、授業内
・生徒同士の意見交換や考える時間を取って
いるので良い。
容の精選が必要。
・ねらい、まとめを明確にした授業を全時間実
・かつしかっ子学習スタイルの定着は十分とは
言えない。
施することが難しかった。
・取り組んだが、意欲的でない生徒もいる。
改善策
改善策
・葛飾教師の授業スタンダードと同様に、生徒 ・学ぶ意欲をもてない苦手意識のある生徒を
への周知を掲示等でして工夫するとよい。
いかに前向きにさせるかを工夫する。
<平成28年度>
(評価項目)アクティブ・ラーニングを効果的に導入し、授業改善を図り、分かる授業を目指す。
【具体的方策】
新宿中授業スタイル実施。生徒の実態に応じた教材教具やICT機材活用を工夫し、言語活
動や体験活動を取り入れ、改善状況を確認して分かる授業を実践する。
7月(中間)
取組指標(指導者として)
3.6 /4
分析コメント
成果指標(生徒の変容)
3.2 /4
改善策
・各教科、アクティブ・ラーニングを意図的に ・校内研修では、他教科とも意見交換を行って
取り入れ、分かる授業実践をしている。
いく。
(評価項目)学習意欲の向上を図り、自ら学ぶ力を育てる。
【具体的方策】
かつしかっ子学習スタイルの徹底とともに、 生徒の能動的な学習を通して学ぶ意欲を高める。
話し方・聞き方等のルール確立。
7月(中間)
取組指標(指導者として)
3.2 /4
成果指標(生徒の変容)
3.2 /4
分析コメント
改善策
・かつしかっ子学習スタイルが浸透している
・聞き方や発表の仕方を改めて指導する。
とは言えない。
・かつしかっ子学習スタイルの再確認が必要。
・葛飾教師の授業スタンダードはできている ・授業などで聞く時と作業する時の区別を
が、生徒の聞き方に課題が見られる。
明確にする必要がある。
・自分に自信がなく、周りに頼る生徒がいる。 ・積極性をもたせるために、褒める、一人一人
に役割をもたせる。
- 10 -
(5)生徒の実態調査
平成27年度、7月と12月に生徒対象に「アクティブ・ラーニング型授業についての生徒ア
ンケート」を実施した。
(p37~39参照)
ア.平成27年度アンケートより
平成27年度に実施したアンケートでは、次の質問項目について調査を行った。
1.あなたは授業中、どのような場面で意欲的・主体的に授業に参加していますか?それぞれの
質問について、当てはまるものやあなたの考えに最も近いものを選んで、○を付けて下さい。
(1) 先生の説明を聞いているとき
(2) 視聴覚資料を見ているとき(ビデオ、スライドなど)
(3) 先生があなた自身に質問をしたとき
(4) 先生が他者に質問をしたとき
(5) 先生が全体に発問・指示をしたとき
(6) 黒板の内容をノートやプリントに写しているとき
(7) メモを取っているとき
(8) あなたが教科書を読んでいるとき
(9) 他者が教科書を読んでいるとき
(10) 個人で問題を解いたり、作業をしたりするとき(個人作業、自習)
(11) グループで活動しているとき(実験や実習など)
(12) 自分の意見や回答を発表・説明しているとき(教え合い含む)
(13) ペア活動で、他者が意見や回答を発表・説明しているとき
(14) グループ活動で、他者が意見や回答を発表・説明しているとき
(15) 全体で、他者が意見や回答を発表・説明しているとき
(16) 上記以外で、どのようなときに意欲的・主体的に授業に参加していますか
(17) あなたは意欲的・主体的に授業に参加したいですか
2.あなたはどの授業で意欲的・主体的に授業に参加していますか?それぞれの教科について、
当てはまるものを選んで、○を付けて下さい。
また、①・②に○を付けた生徒は、その授業のどのような活動のときに意欲的・主体的に参
加していますか?当てはまるもの全てに○を付けて下さい。(12月の質問においては「1つ
に○を付ける」、に変更した。
)
(1) 国語
〔説明 発問・指示 視聴覚教材 ノート
作業 ペア グループ
その他 〕
以下、各教科同じ
授業を細分化し、生徒がどの場面で意欲的・主体的に学習しているかについての実態調査を実
施した。比較的、どの場面でも生徒は意欲的に授業に取り組んでいることが分かった。特に、7
月の調査よりも12月の方が高い数値を示しており、学校としての取り組みが成果として表れた。
また、各授業において意欲的・主体的に取り組めているか、それはどのような場面であるかにつ
いても調査した。この調査に対してもどの教科において高い数字を示しているが、意欲的・主体
的に取り組めていた場面においては各教科の特徴が顕著に表れた。
ただ、全体的に質問内容が生徒に分かりにくく、把握しきれなかったという課題が残った。
- 11 -
イ.平成28年度アンケートより
平成28年度に実施したアンケートでは、前年度のアンケート内容の反省を受けて、次の質問
項目について調査を行った。
1
1学期、あなたは授業中にどのような場面で意欲的・主体的に授業に参加できましたか?そ
れぞれの項目について、当てはまるものやあなたの考えに最も近いものを選んで、○を付けて
下さい。
(1) 先生の説明・解説を聞いているとき
(2) 視聴覚資料を見たり、利用したりしているとき
(3) 先生があなた自身に質問をしたとき
(4) 先生が他者や全体に質問をしたとき
(5) 黒板の内容をノートやプリントに写しているとき
(6) メモを取っているとき
(7) あなたが教科書を読んでいるとき
(8) 他者が教科書を読み、それを聞いているとき
(9) 個人で問題を解いたり、作業をしたりするとき(個人作業、自習)
(10) ペア活動をしているとき(実験・実習・チームプレー・教え合い・話し合いなど)
(11) グループ活動をしているとき(実験・実習・チームプレー・教え合い・話し合いなど)
2 1学期、あなたは、各教科の授業のどのような場面で意欲的・主体的に学習していましたか?
それぞれの教科について、1の項目(1)~(11)から1つ選び、その数字を書いてください。
3
あなたは各授業で行っている、意欲的・主体的に学習する場面「アクティブ・ラーニング」
を行ってみて、どのように感じていますか。思うところがあれば、書いてください。
前年度の質問項目を精選して生徒がイメージしやすいように工夫し、質問項目2においても先
の質問項目1を利用しながら生徒が回答しやすくした。
質問項目1・2について、前年度同様、全体的に高い数字を示し、本校の生徒が授業に対して
意欲的に取り組めている様子が見られた。特にペアやグループ活動について高い数値を示し、生
徒が主体的に取り組む場面を教師が意図的に設定した成果が表れたと考えられる。
くわえて、質問項目3では生徒がアクティブ・ラーニングに対する自由意見を記述できるよう
にした。その主な意見は以下の通りであった。
<良さを実感している意見>
・グループで話し合う事によって自分だけではなく、他人の意見も聞けて話し合いの力が付く。
・グループ活動など話し合いや教え合いをしていると、自分の分からなかったことが分かるよ
うになったり、自分の新しい考え方などが増え、想像力や理解力が高まったりすると感じます。
・去年よりも活動することや話し合うことが多くなったので、みんなが授業に取り組みやすく
なったと思います。
・アクティブ・ラーニングを行ってみて、社会などで理解がしやすくなったと感じる。
・アクティブ・ラーニングを始めて、意欲的に授業に参加する人が多くなったと思う。
- 12 -
<課題を感じている意見>
・グループでの活動が多すぎると感じた。教え合いはいいけれど、話し合いが多い。もう少し
個人作業とのバランスを考えてほしい。
・アクティブ・ラーニングのためにと、班、4人グループでの話し合いを行っている時に、自
由時間と勘違いしているのか、話し合いに関係ない話題(好きな人がどうとか)で、盛り上
がっている人達がいてキャーキャーさわいでうるさいし、迷惑だと思います。
・他の人の意見も聞けるので良いと思います。でも、やっているうちに関係のない話が出たり
してしまうところがもったいないなと思いました。
・アクティブ・ラーニングをして、様々な意見を共有して、全体でそれを発表することは良い
ことだと思う。しかし、その後に先生の解説がない場合があるので、先生の解説は必要なの
かなあと思った。
アクティブ・ラーニング→共有→先生の解説・・・これが必要だと思う。
良さを実感している意見の多くは、
「教え合うことで理解が深まる」
、
「様々な意見を聞ける」こ
とであった。一方で、課題を感じている意見の多くは、「話し合い活動に対する不安」であった。
やはり、話し合いのルールが浸透し、授業規律が整っていることがアクティブ・ラーニングを効
果的に行う上でいかに大切であるかを改めて確認することができた。
- 13 -
Ⅱ
研究実践
以下、Ⅰ-4で示した「研究構想図」(p5)で実践した取り組みを紹介する。
1
授業規律の確立
アクティブ・ラーニングを導入し授業で展開する中で、
「授業規律の確立」が大前提であることを
実感している。ルールが浸透し、スムーズに活動が行えないと、アクティブ・ラーニングを効果的
に行うことが難しくなる。この授業規律を整えることは、すべての基本となる事項であるが、確立・
維持するのは易しいようで、実は大変難しい。アクティブ・ラーニングを行う上でも授業規律を確
立させることが大切だと考え、本校での生活指導の重点や指導内容を紹介する。
(1)生活指導の重点
ア.基本的な生活習慣の確立と徹底
① 時間遵守「チャイム着席当たり前、机の上は授業の準備」
予鈴登校やチャイム着席を守らせる。教員はチャイムが鳴る前に教室へ行く。
② あいさつ・返事「あいさつは、いつでも・どこでも・何度でも・自分から」
「返事は、大きく・短く・はっきりと」
あいさつ・返事を大きな声でさせる。朝の出欠確認は、呼名をして返事をさせる。
③ 礼儀作法「職員室は、心と礼儀の修行の場」
特に、教職員に対して正しい敬語が使えるようにさせる。
④ 身だしなみ「ネクタイ・リボンのゆるみは、心のゆるみ」
乱れている場合は、その場で直させる。直らない場合は、保護者に連絡し直してから登校
させる。
イ.美化活動の徹底
学習環境を整えるために、清掃時は教員が必ず付き添う。
ウ.自治意識の育成
① 生徒会本部
生徒朝礼の企画運営、ベルマーク・ユニセフ・地域清掃などのボランティア活動等に自主的
に取り組ませる。
② 中央委員会
月に1回、専門委員会後に行い、学級委員に授業態度などのクラスの状況の報告をさせる。
③ 週番活動
生徒と教員で、朝校門に立ち挨拶を呼びかける。
(2)その他の指導内容
ア.校歌指導「校歌は、一人一人が全力で」
校歌は常に全力で歌わせる。事前練習ややり直しをさせることもある。
イ.入学式
新入生全体に、式前に返事や姿勢の一斉指導を行う。
- 14 -
ウ.全校集会
全校生徒に、団体行動(整列、姿勢、点呼等)や学校のきまりについて、2時間かけて指導
をする。
エ.運動会での行進練習
体育科を中心に、全教員で時間をかけて指導をする。
オ.幼小中連携あいさつ週間
新宿中ブロックの幼稚園、小学校と合同で、学期に1回行う。生徒、教員、保護者、地域の
方が参加し、朝校門であいさつを呼びかける。
カ.3年生の面接練習
1月に3年生全員を1・2学年教員、学校評議員、地域ボランティアの方、近隣幼稚園長・
小学校長が面接官となり、個人面接練習を行う。
キ.新入生体験入学
3月に小学校6年生を集めて、あいさつ・返事の指導、クラス分けテスト、集団面接を行う。
- 15 -
2
ユニバーサルデザイン化
アクティブ・ラーニングを導入する中で、
「活動は何分で行うのか。
」
「机の移動がスムーズにでき
るか。」
「どのようなグループ分けをするのか。
」などの課題が出てきた。また、中学校は教科担任制
であるので、複数の教員が1つの教室を使用する。誰がどの教室でアクティブ・ラーニングを導入
しても同じ質のものが展開されなければならない。そこで、ユニバーサル型授業の考え方に基づい
た時間・場・人間関係の管理整備を行うことで、それらの課題解決を図った。
(1)「時間」の管理整備
ア.デジタルタイマーの設置
1時間の授業の中でメリハリをつけるために必要なことは、教員が授業の流れをコントロー
ルすることである。そのためには、時間の管理・構造化が大切である。タイマーを導入すれば、
教員は時間を管理することができ、生徒は時間の目安を付けることができる。
タイマーとして、デジタイマーを全教室分購入した。購入に際して注意した点は、時間表示
が全体に見えること、終わりの時間を全員に知らせるアラーム音量があることである。
(2)「場」の管理整備
ア.ホワイトボードの設置
生徒の主体的な活動を促すには様々な方法がある。その中で、コミュニケーション能力を高
め、知識の習得・活用・探究をする方法として、ペアワークやグループ活動がある。話し合い
のツールとして、ホワイトボードの活用が最も有効である。各クラスに9枚のホワイトボード
と黒・赤のペンを購入し、常備した。
イ.通学鞄の収納
本校は教室に生徒用のロッカーがない。そのため、通学鞄の置き場に関しては長年問題視さ
れながら解決できておらず、机間指導や班活動を行う際に机を移動させるときに、この通学鞄
が障害になっていた。そこで、教室後方や廊下に移動式カートを置くことで、その問題の解決
を図った。
ウ.掲示物の統一
教室環境を整え、掲示物を整備することは、学習意欲や学習効果の向上に役立つ。そこで、
掲示物について、全校で統一のルールを作成した。また、授業に対する集中力を高めるために、
それを妨げるものを教室に掲示したり、置いたりしないようにした。
エ.ICT機器
教室におけるICT環境を整え、学習活動にICT機器を活用することは、視覚に訴える分
かりやすい教材提示を可能にし、プレゼンテーション能力及びコミュニケーション能力を向上
させることができた。
平成28年度9月から65インチ大型教材提示装置(電子黒板)が各教室に導入された。生
徒の興味関心を高めることができた。
オ.ユニバーサルチョーク
色覚に配慮した「eyeチョーク」を購入し、赤色等に対する色覚配慮に活用している。
- 16 -
(3)「人間関係」の管理整備
ア.hyper-QUの実施と活用
アクティブ・ラーニングを行う上でコミュニケーションを取ることは欠かせない。そのため、
担任は学級の人間関係を把握し、それに配慮した環境を作ることが大切である。
また、アクティブ・ラーニングが生徒にとって効果的な方法となりうる最大の理由は、自分
の発言が尊重されるからである。自分の発言が尊重されるとは、言い換えれば、自分が学級に
おいて認められていることを実感しているということである。間違うこと、分からないことに
よってからかわれる雰囲気が学級にあれば、誰も発言をしようとしないはずである。つまり、
学級が良好な人間関係であることが前提となる。そのうえ、互いを認め合う人間関係があれば、
より主体的な活動を行うことが可能となる。そこで、hyper-QUを実施することで、良好
な学級作りに役立てるようにした。調査方法などは23ページで詳しく述べる。
- 17 -
3
新宿中スタンダード(グループ活動の基本)
本校は平成26年度より授業などにおけるグループ活動を円滑に進めるために「新宿中スタン
ダード」を策定し、実施してきた。アクティブ・ラーニングを効果的に導入するときに重要とな
る1つの要素に、明確なルールが存在していることが挙げられる。この新宿中スタンダードを生
徒に定着させることで、円滑にグループ活動を行うことができると考えた。(資料参照)
① 人数と時間
・グループ活動の基本は4人(多くても6人まで)
・時間を決めて行う。
(例:個人研究(3分)→グループ活動(5分)→全体発表(8分)→個人振り返り(3分))
② 取り組み方法
第1段階:個人研究・・・課題に対して自ら考える。
第2段階:グループ活動・・・役割を決める。自分の考えを分かりやすく説明する。
(例:司会者、発表者、記録者)
<グループ活動の形態(机の配置)>
作業型
対面型
第3段階:全体発表・・・他のグループの発表を聞く。
第4段階:個人の振り返り・・・課題に対して再度自分で考えたり、まとめたりする。
③ 評価のしかた
※ Aを目指すように指導する。
A:他の意見を踏まえた上で論理的にまとめ、発表する。
B:発表に際して、根拠や理由を述べたり、資料を示したりする。
C:自分の考えをもち表現する。
④ 課題・ワークシート
・課題は、自分で調べ、考え、理由や根拠を示しながら発表できるようにまとめる。
・他の発表を聞いて気付いたこと等はメモする。
・まとめは、論理的に分かりやすく書く。
- 18 -
4
新宿中スタイル(授業スタイルの基本)
(1)アクティブ・ラーニングに対する考え方
新しい時代に必要となる資質・能力を育成するためには、知識の質や量の改善と併せ、学びの
質や深まりを重視することが必要であり、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習
や、そのための指導方法などを充実させていく必要があるとされる。平易な表現に直せば、
「何を」
「どのように学ぶ」かで、
「新しい時代に必要な資質・能力が育成される」ということである。こ
の資質・能力は次のように言われている。
①「何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)
」
各教科などに関する個別の知識や技能など。身体的技法や芸術表現のための技法なども含む。
②「知っていること、できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力など)」
主体的・協働的に問題を発見し解決していくために必要な思考力・判断力・表現力など。
③「どのように社会・世界とかかわり、よりよい人生を送るか(人間性や学びに向かう力など)」
①や②の力が働く方向性を決定付ける情意や態度などに関わるもの。以下のようなものが含
まれる。
・主体的に学習に取り組む態度を含めた学びに向かう力や、自己の感情や行動を統制する能
力など、いわゆる「メタ認知」に関するもの。
・多様性を尊重する態度と互いの良さを生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向け
たリーダーシップやチームワーク、感性、やさしさや思いやりなど、人間性に関するもの。
※「教育課程企画特別部会
論点整理 補足資料(平成27年8月26日)」より
この資質・能力を育成するために、知識を「どのように学ぶ」かが重要になる。この方法が「ア
クティブ・ラーニング」である。アクティブ・ラーニングは次の3つの視点からなる。
深い学び
習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの
過程を実現できているかどうか。
対話的な学び
他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを広げ深める、対話的な学びの過
程が実現できているかどうか。
主体的な学び
子供たちが見通しを持って粘り強く取り組み、自らの学習活動を振り返って次へつなげる、
主体的な学びの過程が実現できているかどうか。
※「教育課程企画特別部会
論点整理 補足資料(平成27年8月26日)」より
この3つの視点こそ、アクティブ・ラーニングを授業に組み込むうえで企図すべき事柄である。
ただ、全ての授業の中で「習得・活用・探究という学習プロセスの中で、問題発見・解決を念頭
に置いた深い学びの過程」を実現することは現実的に厳しい。
「深い学び」に至るには、様々な類
型の授業が計画的に実施される上で初めて実現しうると考えられる。
そこで、本校ではこの3つの視点を考慮した上で、授業を次の4つの類型に分類し、効果的に
生徒の主体的な活動を組み込む授業スタイル構築と年間指導計画の見直しを行った。
- 19 -
(2)新宿中におけるアクティブ・ラーニング型授業の類型
知識創造型能力の獲得までのプロセス
<新宿中におけるアクティブ・ラーニング型授業の類型>
ア.習得:知識・理解重視(一斉指導90% 生徒の主体的な活動10%)
葛飾教師の授業スタンダードA・B・Eに相当
イ.活用:思考力・判断力重視(一斉指導60% 生徒の主体的な活動40%)
葛飾教師の授業スタンダードCに相当
ウ.探究:コミュニケーション能力重視(一斉指導30% 生徒の主体的な活動70%)
葛飾教師の授業スタンダードDに相当
エ.創造:知識創造型能力重視(深い学び)(一斉指導10% 生徒の主体的な活動90%)
葛飾教師の授業スタンダードA~Eに相当
※ 葛飾教師の授業スタンダード(資料参照)
1 授業のはじめに、
「ねらい・めあて」を板書して学習することを明確にする。
2 授業では、教師の発問をもとに児童・生徒がじっくりと考える時間を確保して、主体的な
活動をする場を効果的に取り入れる。
A 既習事項を活かして課題に取り組む活動。
B 課題について調べたり、考えたり、書いたりする活動。
C 調べたり、考えたりしたことを、話し合い学び合う活動。
D 調べたり、考えたりしたことを発表し合う活動。
E 体験的な学習や作業的な学習をする活動。
3 授業の終わりに、学んだことを振り返らせ、板書等により整理する。
<授業における一斉指導と生徒の主体的な活動との関係>
生徒の主体的な
活動
創造
探究
活用
習得
一斉指導
本校では類型エにより、「深い学び」によって生徒が答えを作り上げていく力・「知識創造型能
力」を養うことができると考えた。よって、この類型エの実施に関して年間指導計画において明
示し、適宜類型ア~ウを組み入れながら計画的に実施することとした(21ページ参照)。
- 20 -
(3)新宿中スタイル(授業スタイル)
(1)と(2)を踏まえた上で、アクティブ・ラーニング型授業が円滑に行えるように、葛飾教
師の授業スタンダードに基づき「新宿中スタイル」を考案した。特に、
「めあて」により学習内容
のねらいの重点化・焦点化を図ること、
「リフレクション」を毎時間実施して生徒の授業への「関
与と外化(※)」を促すこと、の2点を重視した。
以下にその概要を示す。
ア.「ねらい」と「めあて」を峻別する。
① 「ねらい」
(AIM)は授業者、
「めあて」
(GOAL)は生徒のものと峻別する。
② 授業の始めに重点化・焦点化した「めあて」を生徒の言葉に直して提示(板書など)する。
イ.「めあて」は「授業の中心(山場)
」の学習内容とする。
ウ.生徒主体の活動を実施する。
① リフレクションを、導入・展開・まとめのいずれかで実施する。
(毎時間実施)
本来、リフレクションとは「振り返り」として使われるが、本校では、生徒自身が個人の
答えや考えをもつことを原則とし、それを他者に伝えたり説明したりすることで「振り返る」
ことと広く捉える。導入・展開・まとめの場面で次のような実施例が考えられる。
・導入におけるリフレクション
(例)前時で学習した内容を確認し合う(ペア活動)。
・展開におけるリフレクション
(例)ワークシートの解答を説明する(ペア活動、グループ活動)
。
・まとめにおけるリフレクション
(例)本時の学習内容を発表し合う(ペア活動)
。
② グループ学習の基本形態は、ペアまたは4人組(新宿中スタンダード)とする。
エ.「書き方」
「話し方」
「聞き方」を統一(コミュニケーション能力の向上を意図)する。
書き方
結論ははっきりと
理由・根拠を示す
話し方
「です。ます。
」
「です。ます。」
「~です」
「~です」
「理由は~です。
」
「理由は~です。
」
聞き方
「結論・要点は?」
「理由は何ですか?」
「~さんの…に賛成です」
相手を尊重する
「~さんの…に賛成です」
「~さんの…は、私は 「なるほど」
~と考えます。」
その他
文字は大きく、丁寧に 相手を見る。
記入する
聞こえる声で話す。
相手を見て、聞く。
※ 関与と外化
(アクティブ・ラーニング)とは一方的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り
越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなど
の活動への関与と、そこから生じる認知プロセスの外化を伴う。
溝上慎一(2014)
『アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換』東信堂、p7
- 21 -
【新宿中スタイル統一指導案ひな型(例)】
(
)科
学習指導案
平成
第
年
月
日(
学年 組 男子
)第
名
授業者 職
校時
女子
名
名 氏
名
1.単元名
2.本時のねらい(単元目標・教員の言葉
例:「~させる」「~する」
)
3.本時のめあて(ねらいを生徒の言葉で重点化・焦点化
4.リフレクション(導入、展開、まとめ
例:「~しよう」)
で) 広義のリフレクション
5.使用教材
6.ALのねらい(習得・活用・探究・創造のいずれか)
7.本時の展開(リフレクションをまとめで行う場合)
○学習活動
導入
形態
本時のめあて
◇指導上の留意点(主にALについて)
生徒の言葉で提示する
展開
一斉・グループ・
ペアなど
本時の山場
「ねらい」を焦点化した学習内容
まとめ
リフレクション
ペア
本時の「めあて」や既習事項を教え合う
※ ALとはアクティブ・ラーニング型授業を指す。
- 22 -
5
年間指導計画
全ての授業で知識創造型能力を重視した授業(18ページ参照、類型エ)を行うことは難しい。
知識創造型能力は、知識の習得、活用、探究のプロセスによって達成されうるものと考えられるか
らである。したがって、その授業を行うには、計画的に指導計画を練ることが必要となる。そのた
めに、新宿中スタイルによる日々の授業における習得、活用、探究を目的としたアクティブ・ラー
ニングのほかに、年間指導計画の中に「知識創造型能力を重視した授業(知識創造型AL)」を年数
回行う場面を位置付けることとした。
<具体例>
平成28年度 第3学年 社会科 年間指導計画
学期
月
時数
4
5
4
5
1
6
第二次世界大戦と日本の敗戦
現代の日本と世界
世界の多極化と日本
5
冷戦の終結とこれからの日本
4
【公民】
現代社会の特色と私たち
現代社会と私たちの
わたしたちの生活と文化
生活
現代社会の見方や考え方
個人の尊重と日本国憲法
7
4
11
12
これからの人権保障
国の政治の仕組み
6
地方の政治と私たち
3
2
3
計
裁判員制度
私たちの暮らしと経済 消費生活と経済
5
生産と労働
7
価格の働きと金融
6
政府の役割と国民の福祉
5
決まりの作り方・評価
現代の民主政治と社会 現代の民主政治
4
1
ちがいのちがい
人権と日本国憲法
10
6
これからの日本と世界
人権と共生社会
5
2
日本の民主化と冷戦
4
5
10
大正デモクラシー
5
5
知識創造型AL
第一次世界大戦と日本
恐慌から戦争へ
4
9
【歴史】
二度の大戦と日本
指導内容
6
4
7
単元名
これからの経済と社会
地球社会と私たち
豊かさと経済
国際社会の仕組み
5
さまざまな国際問題
6
これからの地球社会と日本
世界平和のために
持続可能な社会
持続可能な社会をつくるために
13
140
よりよい社会を目指して
上記の例は、3学年社会科である。
「知識創造型AL」を学期に2~3回程度実施する計画を立て
た。主に単元や指導内容のまとめとして位置付けると、
「習得・活用・探究という学習プロセスの中
で、問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程」を実現するイメージをもちながら指導計画を
立てることができた。
- 23 -
<知識創造型ALの具体例>
1年
1学期
2年
3年
2学期
3学期
1学期
2学期
3学期
1学期
2学期
3学期
国語
群
読
作品発表
新入生へのメッセージ
新聞作成
読書案内
話し合い活動
創 作 ・ 鑑 賞 フリースピーチ
意見交換・発表
数学
平
均
作
資料の読み取り
数の並び
角の大きさ
数学を生活に生かす
数の性質
三平方の定理
総合演習
英語
自己紹介
場 所 の 案 内 手紙作成
スピーチ
道 案 内
パンフレット作成
インタビュー
ディベート
外国人に説明
社会
雨温図読み取り
世界地理のまとめ
町おこしのアイディア
開国による社会の変化
関東地方の気候
これからの日本と世界
豊 か さ と 経 済 持続可能な社会形成
理科
実験器具の使い方
気 体 の 特 徴 地震データ読み取り
酸 化 還 元 反 応 静電気の発生
天気予報
天 体 の 特 徴 季 節 の 変 化 科学技術と人間
音楽
パート練習 詩の内容研究 パート練習 発 表 会
発表会
パート練習 練 習 会
発表会
パート練習
美術
種まく人鑑賞
最後の晩餐鑑賞
作品鑑賞
文化遺産の確認
基本演習の確認
生活の中の美術発表
日本の伝統工芸
保体
ラ ジ オ 体 操 ペースランニング
ストレス対処
バトンパス
ソフトボール
ダンス
ソーラン節
ペースランニング
バスケットボール
技術
アプリケーション使い方
テーブルタップ製作
鑿の研ぎ方
木枕製作
木枕製作
キーホルダー製作
アプリケーション使い方
プレゼンテーション
制御クロック製作
家庭
衣 服 の 補 修 日常食の調理
食品の安全
住宅の平面計画作り
ネックウォーマー製作
消費者トラブル
絵本製作
児童の権利
幼児食の調理
図
地域調べ
考 え る 人 鑑 賞 手のデッサン鑑賞
※ 各教科の年間指導計画から抜粋
※知識創造型ALを、知識創造型能力重視(深い学び)の授業【一斉指導10% 生徒の主体的な
活動90%】ととらえる。
- 24 -
6
hyper-QUの実施・活用
(1)hyper-QUとは何かと、研究との関係
「よりよい学校生活と友達づくりのためのアンケート」(hyper-QU実施要領より引用)
である。質問紙を通じて生徒の理解を行い、指導に生かしていく。学校生活意欲尺度、学級生
活満足度尺度、ソーシャルスキル尺度から成る。hyper-QUにより、生徒の状態、学級集
団の状態、学級集団と生徒個人との関係が分かり、個別の援助や学級経営に生かしていくこと
ができる。今回の研究においては、グループワーク等が円滑に進むように導入した。
(2)研究の経過
4月11日(金) 研修1 QUの基本~実施から分析まで~
hyper-QUの実施の方法や結果の見方を研修で学んだ。学級生活満
足群、非承認群、傷害行為認知群、学級生活不満足群という4群に分布する
生徒の理解と対応方法を確認した。満足型、管理型、なれあい型、荒れ始め
型、崩壊型、拡散型というhyper-QUの分布パターンから学級の状態
を捉える方法も学んだ。
5月16日(月) 学活の時間に1回目のhyper-QUを実施した。
6月初旬
結果が返却された。その後、hyper-QUの分析手順に従い、マー
カーを使い、結果に印を付けていき、分析しやすい状態にした。次に学年会
を開き、hyper-QU学年確認シートを用い、学年で共有を図った。
7月22~
29日
教育相談週間の二者面談においてhyper-QUの結果を基にした面談
を行い、個人票を返却し、ソーシャルスキルなどへのアドバイスを行った。
8月30日(火) 研修2 hyper-QUの分析及び指導の手立て
講師に金町中学校の伊藤康嗣校長先生を招いての研修であった。まずは第
1回の研修の復習を行った。そして学級生活意欲プロフィールの見方や、い
じめ・不登校傾向を見るためにはどの質問項目を見ればいいのかということ
を学んだ。ルールの確立には給食のやり方を統一したり、話し合いのルール
を確立したりすることとあった。また、リレーションの確立(子どもたちの
存在や行動が教師や友人等から認められているか)のためにはいいところ探
しを行ったり、話し合い・学び合いの授業を行ったりしなければならないと
話があった。
その後、1年5組、2年1組、3年4組を事例にし、各学年で検討を行っ
た。課題だと思うことを全員で書き出し、改善策も全員で考え共有を行った。
11月7日(月) 学活の時間に2回目のhyper-QUを実施した。
今後
第2回の結果を見て、対応策の検討と実践計画の見直しを行っていく。
(3)成果と課題
学年の教員で情報の共有を図ることにより授業等、様々な教育活動にデータを生かしていく
ことができた。生徒に積極的に声をかけていくなど学年で共通した取り組みを行えた。hype
r-QUは今年初めての導入だったので、データの活用を工夫するなどより深めていくことが
必要である。
- 25 -
7
その他の取り組み
(1)幼小中連携教育における実践
授業規律、
「書き方」
・
「話し方」
・
「聞き方」のルール、アクティブ・ラーニング型授業などに
ついて幼保小中連携教育の中で連続性を図り、発達段階に応じて実践していけるように定期的
に共通理解を図る場を設定している。
(2)新入生体験入学
学校選択制から指定校制へと制度が変更した平成27年度より実施した。中学校の生活・学
習、授業の受け方などの説明会を行った他、算数・国語の学力テストと集団面接を行った。新
入生が中学校入学に対する不安を取り除くことを大きな目的とした。
(3)ホームページによる研究内容発信
ホームページに「研究研修」のカテゴリーを作成し、区内小中学校全体への研究内容の還元・
浸透を図った。
8
区のICT推進計画
葛飾区中期実施計画や、かつしか教育プラン2014に基づき、ICTを活用して、次に示す
ような授業を段階的に実現していく。
段階1 「わかりやすい」授業
段階2 「主体的、探究的、協調的」に学ぶ授業
段階3 一人ひとりの能力や特性などの「個に応じた」授業
※段階3については、特別支援教育の文脈からも捉えることができ、段階1の時期から並行し
て取り組んでいく。
これらの授業の実現を通して、児童・生徒に情報活用能力の育成を図り、行く行くは、
「21世
紀型スキル」(グローバル社会を生き抜くために必要とされる能力)を育むことを目指す。
そのために、平成28年度から教員用タブレットPCを各校に設置、平成29年度には生徒用
タブレットPC40台を各校に設置する予定である。
- 26 -
9
教科別における取り組み
以下に、各教科におけるアクティブ・ラーニングの取り組み、新宿中スタイルの実践例、成果と
課題についてまとめた。
(1)国語
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① ペア、4人班、6人班による活動
② スピーチ
③ 新宿中授業スタイルの定着
国語科としては以上の3点を重点的に取り組んでいる。
コミュニケーション能力の育成や、能動的・主体的・協働的に学び問題解決できるようにす
ることを目的として行っている。
イ.実践例(新宿中スタイル)
① ペア、4人班、6人班による活動
・話し合い、意見交換
・新聞づくり、作品発表(作文、新聞)
② スピーチ(課題・フリー)
・ペア活動による練習
③ 新宿中スタイル
・めあての提示、まとめでは振り返り
・発問の繰り返し 一回の発問で終わらず「なぜ」と繰り返し問う。
・発達段階に応じた書き方、話し方、聞き方のルールづくり・定着化
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 授業に対する意欲の向上
① 班のメンバー構成
班活動を行うと授業があっという間に感じ
考えることが苦手な生徒でメンバーを構成
るようで、充実感を得られている手ごたえを感 してしまうと、その班だけ話し合いが進まない
じる。また、話し合い活動を取り入れることに ことがある。
より、学習意欲の低い生徒も授業に参加するこ ② 授業進度の遅れ
とができる。
話し合いやグループでの取り組みは時間が
② 学習内容の定着
かかり、進度が遅れがちになる。
情報を図式化してまとめたり、話し合いで発 ③ 授業規律の必要性
言したりすることにより、記憶に残っている生
徒が多くなった。
授業規律ができていないところでは効果が
期待できるとは言えない。
- 27 -
(2)社会
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① アクティブ・ラーニングを効果的に行うための授業規律の徹底
② グループ学習の事例
③ 振り返りにおけるペア学習
イ.実践例(新宿中スタイル)
① アクティブ・ラーニングを効果的に行うための授業規律の徹底
・作業などをさせる時は時間を区切り、集中をさせる工夫を行う。
・資料の読み取りの際には、気が付いたことを書くという指示ではなく、10個見えるものを
書き、グループ等で確認をするようにする。
・4人組を作り、一人一人に役割を与え、グループとして活動する。
② グループ学習の事例
・北海道の気候の特色をグループで話し合いながら理解を深める。
・オーストラリアの輸出相手国の上位がなぜアジアに変化したのかを、考察する。結果を 4 人
班で共有し、班で意見を一つにまとめる。それをミニホワイトボードにまとめ発表する。
・江戸幕府はなぜ長く続いたかを「配置」「きまり」「軍事力・経済力」の3つの観点で知識構
成型ジグソー法を用いてまとめていく。
③ 振り返りにおけるペア学習
・授業の振り返りはまず個人でまとめを記述する。その後、ペアになり情報を共有する。その
後教員がまとめを行う。
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 生徒の活動時間の増加
① 知識・理解を深める時間の不足
アクティブ・ラーニングを用いることによっ
アクティブ・ラーニングの導入により、知
て、生徒が主体的に考えて活動する時間が増え 識・理解を深める時間が、短くなってしまう側
た。活動時間があることにより、その他の部分 面がある。その中でも効果的に伝える工夫や、
との区切りが明確になり、集中できる場面が増 ワークなどを自学自習していくシステムを作
えた。
っていくことが必要である。
② 都の学力調査の結果
② 効果的なアクティブ・ラーニングの導入
中学2年生を対象にした、都の学力向上を図
ただ活動させるのではなく、ねらいや評価等
るための調査において、関心・意欲・態度、思 と連動した活動をさせていくことが必要であ
考・判断・表現、技能、取り出す力、読み取る る。単元全体を通じて、偏ることなく、バラン
力、解決する力という項目で、東京都の平均正 スよく力を付けていく必要がある。
答率を上回ることができた。ノートにまとめ
る、ホワイトボードにまとめて発表するなど普
段の授業に必ず一度はアクティブ・ラーニング
実施した成果だと考えている。
- 28 -
(3)数学
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① 班活動
② 生徒主体の答え合わせ
イ.実践例(新宿中スタイル)
① 計算問題・文章問題を解かせるときに、4人班や生活班を用いて演習させる。
・教え合い活動
・話し合い活動(ホワイトボードを活用し、各班から発表させ全体で共有させる)
② 誤答からどこが間違っているかを考えさせてから発表させる。
・問題に対する解答を一人一人発表させてから、その中でどれが最も適当かを考えさせる。
・使用する定理等、問題に対する解答の予想を発表させてから解かせる。
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 班活動
① 班活動
・数学に対して苦手意識がある生徒でも友達 ・習熟度別では、班の作り方が困難である。
と共働して活動することで普段より興味・関 ・生徒同士が教え合うことで混乱を招く場合
心をもち積極的に取り組ませることができ
た。
がある。
・全体指導の方が短時間で学ばせることがで
・教員に質問しにくい生徒でも友達になら質
きる。
問ができるので、全員に取り組ませることが ② 演習問題の解法の工夫
できた。
・複数の生徒が発表するので時間がかかる。
② 演習問題の解法の工夫
・学力の高い生徒は初めから、模範解答が分
・自分たちで考え発表することで、教員が解
答を説明するより、興味を引き付けることが
できた。
・間違えた問題に関して、興味をもって解き
直しをさせることができた。
- 29 -
かっているので、多様な考え方が出てこな
い。
(4)理科
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① 新宿中スタイルの実施
② 4~5人程度によるグループ学習(観察・実験の予想、考察の発表など)
③ 本時の「めあて」に関わる体験的な学習
イ.実践例(新宿中スタイル)
① 新宿中スタイルの実施
・「めあて」による本時の目標の提示、「まとめ」による本時の授業の振り返り
・生徒の関心・意欲を高める言葉掛け、科学的思考を促す発問
② グループ学習
・観察・実験を行う前の予想を個人で考えさせ、班で意見を共有させる。
・観察・実験結果について班で考察し、意見をまとめ、発表させる。
・既習の科学的知識を基に、調べ学習・話し合い活動を行う。
③ 体験的な学習(観察・実験等)
・限られた時間で役割を決め、グループで協力し結果を出させる。
・視聴覚教材を用いて、活動の手順や注意点を視覚的に伝え、理解させる。
・安全かつ円滑に進行するための机間指導
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 新宿中スタイルの有効性
①「めあて」の効果的な設定
「めあて」の提示と「まとめ」を行うことで、
「めあて」をもう少し生徒向けで的確なもの
本時の授業でおさえるべき点がはっきりし
にする必要がある。
た。
②仮説・考察の十分な確保
② ICT機材の活用
グループ学習の一環として、班で結果を予想
視聴覚教材を用いることで、本時の実験の関
したり、考察したりする時間をより一層確保
心・意欲を高めた状態で授業に入ることがで
する必要がある。
きた。
③教材開発
③グループ学習の作業効率化
より安全に実験を行えるように、加熱器具な
班で役割を分担して、効率よく作業するこ
とができた。
④ 机間指導の配慮
安全面の配慮から、机間指導を行う際に、背
後に生徒が来ないようにし、全生徒の活動の
様子が常に確認できるように心掛けた。
- 30 -
どの教材開発を行っていく。
(5)英語
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① ペア・グループワークで行うアクティヴィティ
② パフォーマンステスト
③ 新宿中スタイル
イ.実践例(新宿中スタイル)
① ペア・グループワークで行うアクティヴィティ
・新しく学んだ言語材料を使用してお互いの意見や発言を共有する活動。
(ペアでの質問)
・教科書の本文を活用し、与えられた条件での寸劇の作成と発表。(グループでのスキッ
ト作り)
・グループで言語材料を使用したゲーム(パターンプラクティス、文構造の理解)
・ペアでの音読活動(読み方の分からない単語の教え合い、時間を設定した速読活動)
・授業の内容をグループでノートにまとめる活動。
② パフォーマンステスト
・既習事項を使用した発表(自己紹介、友達や有名人、身近な物の紹介など)
・道案内・買い物・電話での会話など、場面を設定した発表
・単元をまとめるライティング活動
・既習事項を使用したインタビューテスト
③ 新宿スタイル
・山場となる「めあて」の提示
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 英語を使うことに抵抗が少なくなり、活動 ① 聞く側の指導が行き届かず、反応や聞き返
が活発的になった。
しがうまく表現できていなかった。そのた
② 英語を使う時間が多くなり、より定着する
め、相づちを会話に挟むことや、発言に対し
ようになった。
ての感想、さらなる質問を投げかけさせるよ
③ ペアやグループでの活動を入れることによ
り積極的に授業に参加する生徒が増えた。
うにさせたい。
② 生徒同士の学び合いが習慣化された後は、
④ 学び合いが積極的になった。
グループ活動の際に受け身になってしまう
生徒に、どのような役割を担わせ、活動に参
加させるかが課題と思われる。
③ 学習環境を整えるためのルールの明確化が
必要となる。
- 31 -
(6)保健体育
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① ペアやグループでの教え合い活動
② 新宿中スタイルの実践
イ.実践例(新宿中スタイル)
① ペアでの教え合い活動
・ペアでポイントの確認をし、教え合う。
② グループ活動
・チーム力向上や、一人一人の技能向上のために話し合う。
・ゲーム中に仲間同士で声をかける。
・グループ内での相互評価を行う。
③ 新宿中スタイルの実践・定着
・めあての提示、まとめによる本時の振り返りを行う。
・授業のルール(聞き方、話し方、書き方)の定着を図る。
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 学習意欲の向上
① 主体的、協働的な学習を始めるうえで、
「前
互いに協力し、体を使って教え合い活動がで
提となる知識・技能」、
「動機付け」と「課題
きている。自身の動きは見えないが、ペアで
解決のプロセス」が重要になる。
伝え合うことにより、
より具体的に自分の改 ② 運動が不得意な生徒への配慮をより一層考
善点を理解でき、意欲的に授業に取り組める
ようになった。
える必要がある。
③ グループ活動時、欠席者がいた場合の役割
② 活動しやすい環境
分担を工夫する。
グループやチームリーダーなど、役割を決め ④ 対話的に活動することが苦手な生徒への配
ることで、やるべきこと、目指すことが明確
慮をより一層考える必要がある。
になり、活動しやすい環境を作ることができ ⑤ リーダー育成の時間を十分に確保する。
た。
⑥ 道具を扱い、活動範囲の広い授業なので、
リーダーを育成することで、グループ活動で
のまとまりができた。
③ 学習の効率化
動きが機敏になり、
自分の今やるべきことを
理解できるようになった。
- 32 -
安全についての配慮を徹底する。
(7)音楽
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① 感性の伸長と実践力の育成を目指す
・グループ学習
・言語化
イ.実践例(新宿中スタイル)
① グループ学習
・パート練習・・・個々の知識・技術を活用し共有する
課題を探究する態度を大切にしすすんで解決策を模索する
② 言語化
・パート練習等の経過・成果を言語化して共有する
・鑑賞曲、表現曲の感想、印象、特徴の言語化する
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 音楽的感性の深化・音楽的実践力の向上
① 基礎・基本の充実
習得している技術、理論、感性を積極的に
基礎的な技術、理論の習得及び感性の伸長
活用することで、自ら楽曲に取り組む姿勢
が必要であるので、よりきめ細かい指導の
が生かされる。
工夫が必要である。
② 音楽的経験の整理・統合
② 集団構成の配慮
感受したことを言語化することによって、
学年及び集団構成によって実践の程度に
鑑賞、表現活動の実践内容が整理・統合で
差が出ないよう細かい配慮が必要である。
きる。
③ 言語化についての留意事項
非言語としての芸術である音楽を、言語化
する際の留意点を整理する必要がある。
- 33 -
(8)美術
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① 新宿中スタイルの実践・定着
② 鑑賞のための班活動
③ 習得のための教え合い
イ.実践例(新宿中スタイル)
① 新宿中スタイルの実践・定着
・授業の山場のめあての提示、振り返りの確認
② 鑑賞のための班活動
・班ごとに自分の意見を出し合い、作品や作者に対する理解を深める。
・班での意見を集約させて発表させ、全体で共有し理解を深める。
③ 習得のための確認と教え合い
・技法の習得について、ペアワークで互いに作業を確認し、教え合う。
ウ.成果と課題
成
果
課 題
① 新宿中スタイルの実践・定着
① 説明中心の授業の時は、各自のめあてを達
めあての提示により、生徒が授業の山場の確
成しやすいが、作業中心の授業の時は、個
認ができた。作業の場合は、自分の作業進度
人の進度差が大きいため、めあてを達成で
の把握をすることができ、意欲を高めること
きない生徒が多い。個々に応じた指導をよ
ができた。また、振り返りの確認で、反省を
り一層充実させる必要がある。
促すことができた。
② 振り返りは生徒同士でやらせるより、教師
② 鑑賞のための班活動
主導型になってしまうことが多かった。
班で意見を出し合うことで、互いの考えを知 ④ 班活動を行う場合は、班内での役割を明確
り、新たな見方を培うことができた。また、
にする必要がある。また、意見を出しやす
全体で意見を述べるより言いやすいので、発
い雰囲気を工夫する必要がある。
言が苦手な生徒も自分の意見を伝えること ⑤ 2、3年は週での授業数が1時間しかない
ができた。
ので、作業活動に時間がかかり、班活動を
作品に関する興味・関心が高まったことによ
多く設定するのが難しい。美術室の広さの
り、意欲的に作品を見るようになり、多様な
関係で、机の向きを変えるのに列が半端な
見方ができるようになった。
ため時間がかかる。
③ 習得のための確認と教え合い
⑥ ペアワークとなることが多いが、休みが多
技法、技術の基本演習では、自分の作品だけ
でなく、友人の作品を見て確認し合ったり、
教え合ったりすることで、効率よく理解でき
た。
- 34 -
い場合は対応を考える必要がある。
(9)技術
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① 新宿中スタイルの実践・定着
② 製作工程の読み取り(グループワーク)
③ 教え合い活動(ペアワーク)
イ.実践例(新宿中スタイル)
① 新宿中スタイルの実践・定着
・授業の山場となる「めあて」
、振り返りにあたる「まとめ」を提示する。
・授業のルール(書き方、話し方、聞き方)を定着させる。
・生徒の思考を促す、考えさせる発問を工夫する。
② 製作工程の読み取り(グループワーク)
・使用する道具や機械の特性を理解し、完成された作品のどこがどのように加工されているの
かを想像し、効率的な製作工程を自分なりに考える。
③ 教え合い活動(ペアワーク)
・道具や機械を用いて作業する際の精度や姿勢などの教え合い(指摘や助言)を生徒間で行い、
より正確な技術の習得を心掛ける。
ウ.成果と課題
成
果
課 題
①授業の在り方
①まとめの提示に関して
めあての提示によって要点の理解が深ま
作業の進度に差が生じるため、個々の生徒
り、集中して授業に取り組めた。授業のルー
によってまとめの内容が異なることがあるた
ルを定着化させることで授業の進行を妨げ
め、最低限の到達目標を定めるなど、まとめ
る行動が無くなった。
の明確化を図る必要がある。
②創造力の向上
②創造力・発想力・発言力
設計図通り、指示通りに製作を行う受動的
グループワークの際に、発言に不安がある
な活動ではなく、知識を活用し能動的に創造
生徒が受動的になる可能性があるため、知識
的な活動を行うことで発想力や問題解決能
構成型ジグソー法などを活用し、全員参加型
力を養うことができた。
の授業構成を工夫する。
③知識の活用と振り返り
③内容の欠落や誤解
教え合うことで知識の確認や反復した学
生徒間のやりとりが増えるというメリッ
習に繋がる。互いに作業する際の精度や姿勢
トの反面、内容の欠落や誤解が生じるという
などを指摘し合うことで、より正確に道具の
デメリットがあるため、机間指導や全体確認
使い方を理解することができた。
による共通理解が必要である。
- 35 -
(10)家庭
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
① 新宿中スタイルの実践・定着
② 調理実習時の調理計画作りと実践(グループワーク)
③ 被服実習時の製作計画作りと実践
イ.実践例(新宿中スタイル)
① 新宿中スタイルの定着
・めあての提示の徹底、振り返り方法を多様化し、学習内容の定着を図る。
・発問の精選により、生徒の思考を促す。
・
「書き方」
「話し方」
「聞き方」指導の徹底により、互いの考えを共有し、幅広い考え方を身に
付けさせる。
② 調理実習時の調理計画作りと実践(グループワーク)
・同一食材で班ごとに異なる調理実習の計画を立てて実践する。
③ 被服実習時の製作計画作りと実践
・生活に役立つ小物作りの計画を立てて実践する。
ウ.成果と課題
成
果
課 題
①めあての提示
① 興味深いめあての提示
めあての提示の徹底により、授業内容の理
興味を引き付けるめあてを常に提示できる
解が進んだ。
よう、教材研究を行う。
② 振り返り方法の多様化
② 生徒主体の振り返りのための時間の確保
振り返りの多様化により、生徒が意欲的に取
生徒主体の振り返りの方が、時間はかかるが
り組めるようになった。
定着を図ることができるので十分な時間の
③聞き方、話し方指導の徹底
確保ができるよう、工夫する。
聞き方、話し方の向上により、意見を注意 ③ 個人の考えを深化させる方法
深く聞いている生徒が増えた。
各自、もしくは各班の発表で終わりになって
④主体的な活動
しまい、それぞれの考えを深化させることが
調理計画を自ら立てることにより、 学習の
意欲が向上し、調理への関心が高まった。
できていないので、宿題などで補う。
④知識を身に着けさせる重要性
⑤自由課題への取り組み
調理計画を立てる際の知識を十分身に付け
自由作品に取り組むことにより、製作に対
させた上で調理計画を作成させる必要があ
する意欲が向上し、身に付けた知識や技能と
る。
生活が結び付いた。
⑤ヒントになる作品提示の必要性
被服製作経験が少ないので、ヒントになるよ
うな作品や作り方の提示が必要である。
⑥実生活へのつなげ方
作品を生活の中で活かすことを確認するた
め、レポートなどで報告させる工夫を行う。
- 36 -
(11)特別支援
ア.アクティブ・ラーニングの取り組み
総合的な学習の時間に「カレーパーティー」の取り組みを行っている。その学習の中でのアク
ティブ・ラーニングの取り組みは、以下の3点である。この取り組みから、コミュニケーション
能力の育成や、能動的・主体的・協働的に学び、将来、就労の場で実践できるようにすることを
目的として行っている。
① 新宿中スタイルの実践・定着
② 班での作業、話し合い活動(グループワーク)
③ 自分の役割と責任をもって主体的に行う取り組み
イ.実践例(新宿中スタイル)
① 新宿中スタイルの定着
・めあての提示、まとめによる振り返りを行う。
・発問の精選(生徒が発言しやすい発問を考える)
・「話し方」
「聞き方」のルールを徹底する。
② 班での作業、話し合い活動(グループワーク)
・各担当でグループに分かれ、自分たちの担当の役割・目的等を話し合い、活動内容を自覚で
きるようにする。
・調理担当、各担当スタッフとしてグループのメンバーと協力して役割を遂行する。
・各担当の実践を振り返り、成果と課題を話し合い、次回の活動に活かす。
③ 自分の役割と責任をもって主体的に行う取り組み
・調理や各担当における自分の役割を自覚し、責任感を育成する。
・自分からすすんで行動できる力を育成する。
ウ.成果と課題
成 果
課 題
① めあての提示の徹底により、授業内容の理 ① 「めあて」の設定
解が進んだ。
生徒が理解でき、達成できる「めあて」を
設定する必要がある。
② 振り返りをすることで、内容の理解が深
② 「振り返り」の必要性。
まった。
活動直後に時系列の活動一つ一つを丁寧
に振り返る必要がある。
③ 話し方、聞き方の向上により、自分の行動 ③ 「けじめ」 をつける。
内容を理解し実践できた。
聞く時、話す時のけじめを付けさせる工夫
が必要である。
④ 自分の役割に責任をもたせることにより、 ④ 「対話活動」の支援
グループメンバーと協力して実践できた。
グループ内での対話活動が苦手な生徒の
また、成果と課題を整理することで、次回
支援を充実させる必要がある。
の活動に活かすことができた。
⑤ 「障害に応じた支援」
個々の障害に合わせた役割指導と支援が
⑤ 繰り返し学習による定着により、主体的に
必要である。
取り組む姿勢が高まった。
⑥ 「スモールステップ指導」と「成功体験」
目標に向けたスモールステップによる指
導と成功体験を取り入れることが必要で
ある。
⑦ 「状況に応じた適切な対応」の支援
能動的活動の導入等、状況に応じた適切な
対応ができるような支援が必要である。
- 37 -
Ⅲ
研究のまとめ
以上のように研究実践を行った結果で得られた成果と課題を以下にまとめた。
1
成果
(1)授業改善・指導方法の向上
○ 教員が日々の授業において目的を持ってアクティブ・ラーニングを行うようになった。
○ 教員がめあてを生徒の立場に立って作るようになった。
○ 教員側が一方的に講義をして授業を終わる場面が減った。
○ 教員が、生徒の関心・意欲を高めたり、思考・判断を促したりするような発問を考えるように
なった。
○ ICT機器を利用し、授業で活用する教員が増えた。
○ 教員が教室環境を意識し、掲示物などに配慮するようになった。
(2)生徒への影響
○ 生徒が主体的に取り組む場面を意図的・計画的に取り入れたことにより、生徒が意欲的に授業
に臨めるようになった。
○ 生徒が「聞き方」
「話し方」
「書き方」を意識するようになった。
○ 生徒の文章による表現力が向上した。
2
課題
○ 大前提として、アクティブ・ラーニングは授業のめあてを達成するための「ツール」であり、
目的ではないということを理解する必要がある。
○ アクティブ・ラーニングを実践するには、授業規律を正し、生徒一人一人の意見が尊重される
土壌を学級・学年・学校全体で作る必要がある。
○ アクティブ・ラーニングを行うと、授業の進度が遅くなる場合がある。日々の授業だけでなく、
年間で計画的に実施する必要がある。
○ グループ活動を行うときは明確な目的や指示がないと、単なるおしゃべりになるなど活動が成
立しない可能性がある。学校全体でルールを作成したり、生徒の実態に合わせたテーマを選択
したりする必要がある。
3
今後の取り組み
この2年間研究を進めるにあたり、教科別グループを編成して研究授業を行い、研究協議を行っ
た。普段、授業に関する意見交換の場がない中で、こうした場を設定することができたのは大きな
成果であった。今後は、これまでの研究実践を更に発展させ、各教科でアクティブ・ラーニングの
研究を進めていきたい。また、今回の研究では、生徒がアクティブ・ラーニングを行った結果、学
力がどれほど向上したのかまでは分析することができなかった。この点に関しても今後、調査を進
めていくことが必要となるであろう。
ただ、今回の研究実践を通して、アクティブ・ラーニングを効果的に行うには、授業規律や環境
が整っていることが大前提であることを改めて感じた。基本的な生活習慣の確立、教室環境の整備、
人間関係作りも大切なファクターでもある。新宿中学校の日々の取り組みが、アクティブ・ラーニ
ングを効果的にしているとも言えよう。この基本的な取り組みを今後も大事にしながら、新宿中ス
タイルに改良を加え、更なる授業改善と指導力向上に努めたい。
- 38 -
Ⅳ
資料
・授業改善アンケート結果(平成27年7月・12月、平成28年7月)
・新宿中スタンダード(生徒用・教員用)
・葛飾教師の授業スタンダード
・かつしかっ子学習スタイル
- 39 -
Ⅴ
研究発表指導案
学年・組
授業者
1年1組
宮﨑 隆徳
1年2組
川田 草平
理
1年3組
小川 隆弘
1年4組
弓削 愛
1年5組
五十嵐 智哉
本木 雄大
教
科
保健体育
単 元 名
AL
器械運動 マット運動
創造型
科
火をふく大地
創造型
技
術
材木加工『製作工程を導き出す』
創造型
国
語
詩「ぼくが
探究型
数
学
いろいろな立体
習得型
ここに」
2年1組
古沢 大樹
社
会
関東地方-様々な地域と結びつく人々のくらし-
活用型
2年2組
田尻 彩夏
英
語
TOTAL ENGLISH 2 Lesson 7A World Heritage Sites
習得型
2年3組
松岡 文子
家
庭
わたしたちの消費生活
活用型
2年4組
髙原 都
美
術
デザイン「ピクトグラムで校内教室のマークを表現しよう!」
探究型
3年1組
横山 奨
英
語
TOTAL ENGLISH 3「 Reading 2 Fly Away Home 」
探究型
3年2組
田村 しのぶ
国
語
俳句の可能性
探究型
3年3組
村上 ゆかり
理
科
地球と私たちの未来のために -持続可能な社会をつくるために-
創造型
A表現(1)歌唱
3年4組
豊崎 努
音
楽
ア:歌詞の内容や曲想を味わい、曲にふさわしい表現を工夫して歌うこと
探究型
イ:曲種に応じた発声や言葉の特性を理解して、それらを生かして歌うこと
河上 靖夫
7組
柳内 恵子
松村 紗智子
特別支援
カレーパーティーをしよう(レストラン7組を運営する)
佐藤 充正
- 40 -
活用型
保健体育科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第1学年1組
男子19名
授業者
1.単元名
器械運動
2.本時のねらい
①新しい技や難度の高い技を習得し、発表会に向けた連続技をグループ内で
教諭
女子14名
宮﨑
隆徳
マット運動
評価させる。
②仲間のよい演技を認めようとしたり、学習を援助したりするなど、マット
運動の学習に積極的に取り組む態度を養う。
3.本時のめあて
①新しい技や難度の高い技に取り組み、自分の力量で出来るか判断しよう。
②発表会に向けて、自分が取り組む技が上手くつなげられているかをグループで見て評価し合おう。
4.リフレクション
展開
5.使用教材
マット、掲示物、大型スクリーン、学習カード
6.ALのねらい
①難度の高い新しい技に取り組んでいく。
②今までに練習してきた技を発表会に向けて、連続技としてつなげられるようその構成を考え、
7.本時の展開
意見を交換し合う。
【創造型】
○学習活動
導入
・集合整列、あいさつ
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
一斉
・健康状態を確認し服装や忘れ物の確認を行う。
・出席確認、健康観察
・体育係が積極的に活動し、号令をかけ、自分たちで動ける
・本時のめあての確認
ようにする。
・準備運動、補強運動
ペア
・ランニング4周
一斉
・けがの防止、安全面を考慮し、しっかりとストレッチを行
う。
・マットの準備
展開
・ストレッチ
ペア
・前時までの練習
一斉
・自分のできる技を練習し、精度を上げ、達成感を味わわせ
リフレクション
る。
前転~補助倒立
・今日の課題練習
ペア
・難度の高い技に取り組み、連続技に取り入れられるように
<側方倒立回転>
練習させ、安全面に注意し、補助を工夫する。
・ペアで評価し合い、互いにアドバイスさせる。
・グループ練習
グループ
・発表会に向け、連続技に取り組み、互いが評価し合い、技
(発表会につなげる
の精度を上げ、力量を高め合う。
(特に、技のつながりがス
連続技練習)
まとめ
・整理運動、片付け
ムーズかを評価し合う。
)
ペア・一斉
・カード配布
・本時のまとめ
・次回の予告
・あいさつ
・使った部位を中心にストレッチをさせる。
・アドバイスしてもらったことを忘れないように、カードに
グループ
記入し、次回の授業につなげる。
個人
・グループでの話し合いは可とする。
一斉
・生徒の様子を見て、振り返りをする。
・次回(発表会に向けた連続技の総合練習)について触れる。
- 41 -
理科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第1学年2組 男子20名
女子14名
授業者 教諭 川田 草平
1.単元名
火をふく大地
2.本時のねらい
火山の形とマグマの粘り気の関係を見つけ、説明できる。
3.本時のめあて
火山の形はなぜ違うのか調べよう。
4.リフレクション 導入
5.使用教材
小麦粉、墨汁、セロテープ、サランラップ、ビニル袋、発泡スチレンボード
6.ALのねらい
グループで各情報を統合して、結論を導き出せる。
【創造型】
7.本時の展開
導入
リフレクション
展開
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・前時の学習を振り
一斉
・火山の形には違いがあることを思い出させる。
一斉
・火山の形を横から見た形をスケッチさせる。
返る。
・それぞれの班で
火山をつくる。
・隣の班との火山
グループ ・隣の班とはできた火山の形に違いがあることを気
の形を見比べ、情
付かせる。
報交換する。
・隣の班と形の違いについて情報交換し、班で話し
合う。
・火山の形がなぜ
個人
違うのか考える。
・考察をノートに
・山の形はなぜ違うのか、マグマの粘り気との関連
性に気付かせる。
個人
・考察をノートに書き、評価を付ける。
書き評価を受け
評価
る。
A 山の形とマグマの冷える距離の関係を説明し
ている。
B 山の形とマグマの粘り気の関係を説明してい
る。
C 山の形が違うことがマグマによるものである
ことに気付く。
まとめ
・本時のまとめを
行う。
一斉
・本時で行った実験の目的を再度確認させ,次時ま
でに考察をしてくるよう伝える。
・次時の連絡を聞
く。
- 42 -
技術家庭科(技術分野)学習指導案
平成29年1月19日(水)第5校時
第1学年3組 男子18名
女子15名
授業者 教諭 小川 隆弘
1.単元名
材料加工『製作工程を導き出す』
2.本時のねらい
完成品の製作工程の読み取りを通して、創作活動を行う上での見通しを立て
る力を身に付けさせる。
3.本時のめあて
予備知識(機械や道具の特徴)を活用して、製作工程を導き出そう。
4.リフレクション 展開
5.使用教材
木枕,使用機械・道具,宿題プリント,ワークシート
6.ALのねらい
知識の活用及び教え合い活動【創造型】
7.本時の展開
導入
○学習活動
形態
・本時の学習活動、
一斉
◇指導上の留意点(主にALについて)
・ジグソー法の説明
宿題内容を確認
する。
展開
リフレクション
・木枕の製作に使
グループ
・宿題で調べた内容(機械や道具の特性)を担当ご
用する機械や道
とに比較・共有させ、エキスパートを作る。
具の知識共有。
共有後、本来の学習班に戻す。
・それぞれが共有
グループ
・例)糸のこ盤を担当したエキスパートが班員に糸
してきた情報を
のこ盤の特性を教える。
各学習班で教え
上記の例のようにそれぞれ担当した機械・道具の
合う。
特性の教え合いを行う。
・完成品(木枕)
個人
・完成品(木枕)のどの部分が機械や道具を使用し
を個人で観察し
てどのように加工されているかを読み取らせる。
加工箇所の読み
※通常の作品製作では加工箇所や使用する機械
取りを行い、
や道具を教師が説明するが、本時は完成された
ワークシートに
製作物から自分の知識を活用して製作方法を
記入。
考えるもので、経験のない生徒が多い。
・各班で話し合い
グループ
・木枕の製作工程は1通りではないが、最善の工
を行い、製作工
程を考えさせる。
程を導き出す。
例)○○の作業を先に行った方が効率が良い。
○○の方がきれいに仕上がるのではないか。
・全体発表。
一斉
凡例提示。
まとめ
・次回の作業の見
一斉
通しをもたせ
る。
- 43 -
国語科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第1学年4組 男子19名
女子14名
授業者 教諭 弓削 愛
1.単元名
詩「ぼくが ここに」 まど・みちお
2.本時のねらい
・興味をもって詩を読み、心に残った言葉や表現を見付けさせる。
(関心・意欲・態度)
・詩の表現の仕方から、作者の思いを捉えさせる。
(読むこと)
3.本時のめあて
詩の表現に着目し、作者の思いを考えよう。
4.リフレクション まとめ
5.使用教材
ワークシート、付箋
6.ALのねらい
作者の詩の表現の仕方から、思いを考える。
【探究型】
7.本時の展開
導入
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・まど・みちおの作品を数編読
個人
・感想交流することを事前に伝えてお
み、印象に残った詩について
く。
の初読の感想を書く。
・初読の感想を交流する。
グループ
・多くの友達の意見から、感じ方は人
それぞれなのだと気付かせる。
展開
・学習の目標を確認し、
「ぼくが
一斉
ここに」の範読を聞く。
・音読の工夫点を考え、ペアご
個人ペア
とに音読する。
・個人で工夫点を考えたあと、ペアで
工夫点の交流をし、工夫の幅を広げ
る。音読をペアで聞き合い、互いの
工夫点が考慮されているか確認す
・詩の中から心に残った表現を
個人
抜き出し、なぜその表現に心
・意見交流することを事前に伝えてお
引かれたのかを書く。
・心に残った表現とその理由を
る。
く。
グループ
発表し交流する。
・友達の考えと自分の考えを比べなが
ら聞き、共感したり、なるほどと思
ったりしたことを付箋にメモさせ
る。
まとめ
リフレクション
・授業の振り返りとして、友達
個人
・
「面白かった」などの感想で終わらな
の考えを聞いて感じたことを
いように、付箋に書いた具体的な友
書く。
達の考えを取り上げ、どんなことを
感じたのか書かせる。
- 44 -
数学科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第1学年5組 基礎クラス
男子 4名 女子9名
授業者 教諭 五十嵐 智哉
標準クラス
男子15名 女子9名
授業者 教諭 本 木 雄 大
1.単元名
いろいろな立体
2.本時のねらい
多面体の意味を理解する。また、角錐や円錐の意味とそれらの特徴を理解す
る。正多面体の意味と特徴を理解する。
3.本時のめあて
いろいろな立体を比較し、共通点や違いを調べてみよう。
4.リフレクション 展開
5.使用教材
教科書、デジタル教科書、ディスプレイ、タブレット
6.ALのねらい
小学校で習った知識を元に立体の特徴を考え、立体の名称を知る。【習得型】
7.本時の展開
導入
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・身の周りの立体を見る。
一斉
・ディスプレイで身の回りの立体を見せ、
興味をもたせる。
展開
・立体の分類。
グループ ・ホワイトボードと立体のマグネットを使い、
7種類の立体の共通点に着目し、分類させ
る。いろいろな分類の方法を考えさせる。
リフレクション
・発表、共有。
一斉
・分類の種類が少ない班から 1 班 1 種類で、
分類と着目点を発表させる。その際、問2・
3・4を踏まえて、共通点や違いに触れる。
・立体の名称を知る。
一斉
・共通点が名称に関係していることを説明す
る。
・正多面体について学ぶ。
一斉
・デジタル教科書で正多面体の面を見せ、立
体の名称を習得させる。
・正多面体の特徴を知る。
一斉
・デジタル教科書を使い、正多面体をあらゆ
る方向から見せながら、問7の表を埋める
ことで正多面体の特徴を考えさせる。
・正多面体同士の関係を知
一斉
る。
まとめ
・導入で見せた立体の名
・問8について、デジタル教科書を使い紹介
する。
一斉
称を答える。
- 45 -
・本時の内容を復習する。
社会科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第2学年1組 男子22名
女子15名
授業者 教諭 古沢 大樹
1.単元名
関東地方―様々な地域と結びつく人々のくらし―
2.本時のねらい
東京に様々な機能が集中し、東京から各地に情報が発信されていることをと
らえさせ、人口集中への対策を考察させる。
3.本時のめあて
東京への人口集中をどう防ぐか考えよう。
4.リフレクション 展開
5.使用教材
プリント、PC、大型スクリーン、ホワイトボード
6.ALのねらい
過密の東京への人口集中をどう防げばよいのかをグループでまとめ、ホワイ
トボードに書き、班ごとに発表する。発表を聞き、自分の意見を深める。
【活用型】
7.本時の展開
導入
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・机の上・中から東京に関係し
一斉
・出版、テレビ局、新聞などにより、
たものを探す。
東京から情報が発信されていること
をつかませる。
展開
・東京にはどんな施設が集中し
個人
ているのかを、地図帳をマー
クして、書き出す。班でその
神社など、レジャー・スポーツ・公
グループ
情報を共有する。
・首都である東京に、日本を動
・政治、商工業、文化・教育・寺院・
園などのカテゴリーに分け、書き出
させ、班で共有させる。
一斉
・国会議事堂があったり、企業の本社
かす中枢機能が集中している
が集中していたり、政治・経済の中
ことをつかむ。
心であることを知らせる。
・都心と郊外とを結ぶ交通網が
一斉
・都心は昼間人口が多いことと郊外は
発達し、通勤・通学者の移動
個人
夜間人口が多いことをつかませる。
個人
・それぞれの意見を大切にしながら班
が行われていることを東京 23
区の昼夜間人口の資料からつ
かむ。
リフレクション
・過密の東京への人口集中をど
う防げばいいのかを考える。
グループ
で意見をまとめてさせる。グループ
班で一つの意見にまとめる。
一斉
での活動は役割を分担し、全員が動
そして、発表・共有する。
まとめ
けるよう工夫をさせる。
・今日の授業の自分なりのまと
個人
・机間指導を行い、作業の止まってい
めを行う。その後、教師のま
一斉
る生徒の支援を行う。自分の考えを
とめを聞く。
深めさせる。人口集中への対策を自
分でもう一度考えさせる。
- 46 -
英語科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第2学年2組 男子21名
女子16名
授業者 教諭 田尻 彩夏
1.単元名
TOTAL ENGLISH 2 Lesson 7A World Heritage Sites
2.本時のねらい
比較の表現を理解し、自己表現させる。
3.本時のめあて
2つのものを比べて「~より・・・だ」と表現できるようになろう。
4.リフレクション まとめ
5.使用教材
ワークシート、PC、大型スクリーン
6.ALのねらい
友人とのやり取りを通し、自分のことを表現できるようになる。【習得型】
7.本時の展開
Warm up
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・ディクテーション活動。
個人
・大きな声を出して音読に取り組ませる。
※ 音読された英文をノー
・集中して正しく聞き取るように意識させ
トに書き取る活動。
導入
・比較表現導入。
る。
全体
・生徒にとって身近な物を用いて興味を
高めさせる。
展開1
・パターンプラクティス。
全体
※ 基本の文法表現をパ
・様々なものを比べる中で比較表現に慣れ
させる。
ターンを変えて学習す
る方法。
・身長比べ。
・友達と身長を比べる活動を通して自分の
ことを表現させる。
展開2
・板書。
展開3
・グループアクティビティ
全体
グループ
4人班で自分たちの身近
・活動が円滑に進んでいるかを確認し、必
要に応じて支援する。
なものを比べる。
・身長、手の大きさ、誕生日について、グ
・自分が口頭で表現したもの
ループ内で自分と友達を比較させる。
をワークシートに記入す
・グループ内での活動が終わったら、
る。
グループのメンバーを変え繰り返させ
る。
・自分のことを表現できるように支援す
る。
まとめ
リフレクション
・ペアになり今日のポイント
ペア
を確認する。
・今日の内容をふまえ、より詳しく教科書
の本文を読んでいくことを伝える。
- 47 -
技術家庭科(家庭分野)学習指導案
平成29年 1月19日(木)第5校時第2学年3組
男子21名
女子16名
授業者 教諭 松岡 文子
1.単元名
衣生活と自立
2.本時のねらい
①生活を豊かにする物を考え、製作の計画を立てることができる。
②計画に沿って、効率よく安全に製作することができる。
3.本時のめあて
生活を豊かにするための工夫をしよう
4・リフレクション 導入
展開 まとめ
5.使用教材
掲示物、見本、分解標本、説明プリント
6.ALのねらい
探求型
作りたい物の形態によってグループに分かれ、協力、相談しながら
作りたいものを作っていく。
7.本時の展開
○学習活動
導入
本時のめあてを理解する。
形態
一斉
◇指導上の留意点(主にALについて)
今日の作業内容、注意点が確実に伝わる
ようにする
展開
製作物のグループごとに分かれ
グループ
る。
①グループで相談し、製作計画
各グループをまわり、アドバイスを行
を立てる。
う。
②計画表のチェックを受ける。
グループ
グループ全員の計画表ができるまで、チ
ェックはできない。合格したら作業に入
るよう指示をだす。
③製作活動を行う。
個人
自ら行動できるよう環境を整えておく。
④片づける。
個人
10分前に片づけの指示を出す。
・製作物はビニール袋に入れて
片づけがスムーズに行えるよう指示や
各自で提出。
掲示を明確にする。
・ミシンを使った人は糸とボビ
ンを取り外しに行く。
片づけが終了した生徒は出席番号のグ
・アイロンはAグループが片づ
ループに戻るよう指示を出す。
ける。
・掃除係は各テーブルのごみを
回収する。
まとめ
出席番号グループに戻り、製作
個人
記録を記入する。
製作の方法が理解できたか、自分で作業
が進められたか問いかける。
次回に向けて製作意欲が向上するよう
な声掛けをする。
- 48 -
美術科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第2学年4組 男子21名
女子16名
授業者 主任教諭
1.単元名
髙原 都
デザイン「ピクトグラムで校内教室のマークを表現しよう!」
〔A表現(2)イ, B鑑賞(1)ア, 共通事項(1)アイ〕
2.本時のねらい
各自が考えたピクトグラムのアイディアスケッチを相互鑑賞させ、良さやア
ドバイスを行い、グループごとに統一した美しいフォルムを定め、そのフォ
ルムにあった各自担当の教室マークを創作し工夫して表現させる。
3.本時のめあて
・互いのアイディアスケッチを相互鑑賞し、良さや改善点を見出そう。
・分かりやすさ、美しさの観点で、グループで統一フォルムと色彩を決めよ
う。
・共有したことを基に担当マークを工夫し分かりやすく美的に表現しよう。
4.リフレクション 展開
5.使用教材
資料集、教科書、投影機、資料、色鉛筆、ポスターカラー、ワークシート
6.ALのねらい
班員との話し合い(鑑賞)を基にして、グループで決めた統一美を意識し、
よりよいマークの表現をさせる。【探究型】
7.本時の展開
導入
展開
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・前回までの内容の確認
一斉
・伝達のためのピクトグラムを視野に入れ
と本日の流れを理解す
て考え、グループでの統一美を理解させ
る。
る。
・各自のアイディアを相
グループ
互鑑賞。
リフレクション
夫展点を述べ合い、互いにアドバイスさ
・統一美のフォルムを決
める。
・それぞれのデザインを見せ合い、各自工
せる。ワークシートを活用させる。
グループ
・分かりやすさ、美しさの観点で、グルー
プの土台となる形、統一した形、色の検
個人
討をさせ、意見を共有させる。
・班ごとに机間指導をし、まとまらない班
・グループごとに作る
の支援を行う。
マークフォルムを発表
・各グループの発表を聞かせる。
する。
他班と比較し自分たちのグループの再検
・各自の作品を制作する。
討をさせ、
各自の作品に生かすよう指導す
る。
・各自で担当デザインを考えさせ、制作さ
せる。
まとめ
・作業をやめる。
一斉
・作業を素早くやめ、次回の確認をする。
・次回の確認。
グループ.
・互いにグループで統一した美しく分かり
・本時のまとめ
個人
- 49 -
やすいマークの表現を確認し合う。
英語科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第3学年1組 男子21名
女子18名
授業者 教諭 横山 奨
1.単元名
TOTAL ENGLISH 3「 Reading 2 Fly Away Home 」
2.本時のねらい
与えられた英文を読み解き、課題に取り組むことができる。
3.本時のめあて
Fly Away Home の大まかな内容をつかもう。
4.リフレクション 展開
5.使用教材
プリント・PC・大型スクリーン・ホワイトボード・辞書
6.ALのねらい
英語を使ってコミュニケーションを取り、協力し、課題を解決することがで
きる。
【探究型】
7.本時の展開
○学習活動
Warm up
形態
・挨拶
一斉
・Small Talk
ペア
◇指導上の留意点(主にALについて)
・2分間話を続けられるように工夫させ
る。
導入
展開1
・What are geese?
一斉
・Guessing Activity
個人
・始めに個人で考えさせ、一人一人の意
↓
見を大切にしながらグループの答え
写真を見て話の流れに合う
ように並び替える。
グループ
を導き出させる。
・答えはホワイトボードに記入させる。
展開2
リフレクション
・Expert Activity
グループ ・グループで教え合いながら文章を読み
各エキスパートグループに
解かせる。
分かれて、与えられた文章
・タイマーを使用する。
を読み解く。
展開3
・Jigsaw Activity
グループ
持ち寄った情報を頼りにも
る。
う一度写真を並び替える。
まとめ
・各エキスパートに発言をさせ、解かせ
・Checking Answer
一斉
・感想
一斉
- 50 -
国語科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第3学年2組 男子21名
女子19名
授業者 主任教諭
田村しのぶ
1.単元名
俳句の可能性
2.本時のねらい
俳句の鑑賞力をつける 3時間中の1時間目
3.本時のめあて
教科書P66~68に載っている俳句を使って、俳句の見方、味わい方など
鑑賞法を身に付けよう。
4.リフレクション まとめ
5.使用教材
光村図書「国語3」P66~68・自作プリント
6.ALのねらい
俳句の内容について話し合いをして、そこに書かれている言葉から内容や雰
囲気、感情、背景などを読み取り、深く理解する。【探究型】
7.本時の展開
○学習活動
導入
形態
①有名な俳句を提示し、
それを使って俳句の言
・ここで、今回のアクティブ・ラーニ
グループ
葉や技法を確認する。
展開
②プリント教材を使っ
◇指導上の留意点(主にALについて)
ング型で行う学習のベースを学ばせ
ておく。
グループ
・5人程度のグループにして、意見を
て、教科書に掲載され
出させる。グループリーダーに出た
ている4つの俳句、そ
意見をホワイトボードに記入してい
の他を使って、言葉や
くようにさせる。
技法から作品を読解・
鑑賞する。
・他のグループの発表内容と、自分た
ちの活動で出た意見と比較させる。
③教科書を音読する。こ
こで初めて教科書を開
一斉
く。
まとめ
リフレクション
④授業の取り組みの評価
ペア
と反省等、次回の学習
・生徒たちから出た意見を評価し、次
時に生かすようにする。
のめあてなどをペアで
確認する。
- 51 -
理科学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
第3学年3組 男子21名
女子19名
授業者 教諭 村上 ゆかり
1.単元名
地球と私たちの未来のために ―持続可能な社会をつくるために―
2.本時のねらい 循環型社会・持続可能な社会を実現するために実用化したい技術を考えさせる。
3.本時のめあて
循環型社会・持続可能な社会を実現する夢の技術をプレゼンテーションしよう。
4.リフレクション 展開・まとめ
5.使用教材
ワークシート・ホワイトボード・ホワイトボードマーカー
その他、プレゼンに必要な資料
6.ALのねらい
今までに学んだ事を生かして分かりやすく説明する。
発表を聞いて、提案された技術について感想を書く。
【創造型】
7.本時の展開
導入
○学習活動
形態
◇指導上の留意点(主にALについて)
・各班の発表者を紹介し、発表
一斉
・発表者に自覚を促し、班全体で協力す
タイトルを確認する。
る雰囲気を醸成する。
・発表順・時間等を伝え、発表
練習を行う。
展開
・班ごとに発表練習をして、分
グループ ・発表者の1回目の発表練習を聞き、班
かりやすくするために発表者
員は良い点と改善した方が良い点を
に班員がアドバイスする。
アドバイスする。
・2回目の発表練習を行う。
・各班で2回目の発表練習を行う。
・発表を聞くときのマナーを確認する。
リフレクション
・1人2分、10班の発表を行
い、感想を1分で各自のワー
・タイマーを利用し、進行管理をする。
一斉
クシートに記入する。
まとめ
リフレクション
・感想を班内で話し合い、共有
含めて記入するように指示する。
グループ ・班の発表者へのねぎらいの言葉が出る
する。
・教師のまとめを聞く。
・感想は、実現可能性・利用したいかを
ように促す。
一斉
・感想を共有することで、様々な意見に
触れさせる。
・発表者の態度・聞く側の態度、それぞ
れが提案した技術について、評価す
る。
- 52 -
特別支援学級
21タイム(総合学習)
学習指導案
平成29年1月19日(木)第5校時
授業者
主任教諭
河 上
教諭
1.単元名
靖 夫
松村
7組
男子15名
主任教諭
紗智子
教諭
女子4名
柳 内
恵 子
佐 藤
充 正
カレーパーティーをしよう(レストラン7組を運営する)
2.本時のねらい
①前回の係活動を振り返り、自分たちの仕事内容の良かった点と改善点を認識することができる。
②係の仕事内容の理解を深め、本番当日に自信をもってレストランの運営に取り組む意識をも
つことができる。
③仕事内容を把握したうえで係を選択し、希望調査票を記入できる。
3.本時のめあて
係の仕事内容を理解しよう。
4.リフレクション
まとめ
5.使用教材
大型テレビ、パソコン、付箋(ピンク・ブルー)
6.ALのねらい
【活用型】
7.本時の展開
○学習活動
導入
①本時の学習活動について
形態
一斉
②映像鑑賞
◇指導上の留意点(主にALについて)
・2学期のカレーパーティーの映像を用いる。
・前回の映像を見つつ、係の仕事に対しての関心をもて
るよう助言する。また、仕事内容を説明しクラスで再
確認する。
展開
③係ごとに分かれて2学期の反省
グループ
を振り返り、自分たちの仕事の良
・係ごとに机を動かして集まり、話しやすい環境を作ら
せる。
かった点と改善点を話し合う。
前
A…券販売
Aカレー券販売
B…ウエイター・
テーブルクリーン
C片づけ
C…片づけ
黒板
Bウェイター・テーブルクリーン
D配膳
E案内
・積極的な話し合いを促し各グループへの声掛けを行う。
D…配膳
前回の反省を参考に発言できるよう、書き出してまと
E…案内
めたものに目を通すよう指示する。
〇良かった点…ピンクの用紙
●改善点………ブルーの用紙
④係ごとに前に出て発表する。
⑤係希望調査票に記入する。
・グループ内で発表者を決めて発言できるよう、発言内
グループ
容をまとめさせる。
・記入・回収を行う。
個人
まとめ
リフレクション
⑥授業を振り返り気付いたこと・良
個人
かった生徒を発表し合う。
・真剣に取り組めたか、気の緩みがなかったか全員に問
いかけ、振り返りを行い、積極的に発言させる。本番
への良い見通しをもたせる。
- 53 -
おわりに
これからの学校教育においては、単に知識の多寡ではなく、知識をいかに創造し運用できるかが
重要な鍵であり、そのことを根底に置いた資質・能力が問われることになりました。
こうした背景から本校は、平成27・28年度葛飾区教育委員会研究指定校として研究指定を受
け、研究主題を「
『授業スタンダード』新宿中スタイルによる授業改善と指導力向上~アクティブ・
ラーニングの効果的導入と知識創造型能力の獲得~」として研究を進めて参りました。
本研究は、葛飾教師の授業スタンダードに基づく3つのステップ(①「場と時間の構造化」
「話し
合いの見える化」
「掲示物の統一」
「アクティブ・ラーニング型授業の構成」、②「新宿中授業スタイ
ルの確立」、③「知識創造型能力の獲得」
)の段階を踏んで授業改善を図って参りました。その間、
本研究指導講師 目白大学教授 田尻 信壹 先生からは授業改善に資する示唆をいただき、教員間で
研鑽し合いながら授業力を高めていくことができました。
新宿中教職員は、2年間の研究の機会を与えていただいたことに対する感謝の気持ちを忘れず、
今後も教育活動の根幹である「授業改善」を進めて参ります。
最後になりましたが、これまで研究全般にわたり親身にご指導いただきました目白大学人間学部
児童教育学科教授 田尻 信壹 先生、葛飾区教育委員会指導室の皆さま、良好な人間関係を構築する
ためのhyper-QU活用のご指導をいただきました葛飾区立金町中学校長 伊藤 康嗣 先生には
心より感謝申し上げます。
本研究を通じて、生徒主体の対話的学習による深い学びを追究し、授業改善を継続していく所存
です。
副校長 杉山 直之
- 54 -
ご指導いただいた先生方
目白大学人間科学部児童教育学科教授
田尻
信壹
先生
葛飾区立金町中学校校長
伊藤
康嗣
先生
研究に携わった教職員
校長
○千野 英雄
教科別グループ
副校長 ○杉山 直之
平成28年度
平成27年度まで
国
語
田村 しのぶ、弓削 愛
○白石 ひとみ
社
会
◎柴田 恭慶、○古沢 大樹
鈴木 孝
数
学
○杉田 善明、深沢 行一、五十嵐 智哉、本木 雄大
理
科
梁田 圭佑、村上 ゆかり、川田 草平(平成27年度○)
英
語
岡宗 直美、横山 奨、田尻 彩夏
横谷 真恵
保健体育
○浦田 一美、山口 直子、宮﨑 隆徳
貝沼 大輝
芸術・技術家庭
○豊崎 努(音)、髙原 都(美)、松岡 文子(家)、○小川 隆弘(技)
山中 文子(美)
特別支援
河上 靖夫、○柳内 恵子、松村 紗智子、佐藤 充正
◎研究研修推進委員長(研究主任)
- 55 -
○研究研修推進委員
- 56 -