財政的援助団体等監査の結果の概要 [PDFファイル/206KB]

平成 29 年1月 19 日(木)
愛知県監査委員事務局監査第一課
企画・特別監査グループ
担当 鈴置・宮内 内線 3535・3536
ダイヤルイン 052−954-6805
財政的援助団体等監査の結果の公表について
○ 平成 28 年9月7日から 10 月 31 日まで財政的援助団体等監査を実施し、その結果
に関する報告を、平成 29 年1月 19 日に監査委員から議長、知事及び公安委員会委員
長へ提出しました。
○
財政的援助団体等監査は、地方自治法第 199 条第7項に基づき実施したものです。
○ 60 団体について監査をした結果、4団体において4件の注意改善を必要とする事項
がありました。また、監査結果の報告に添えて監査意見を1件付しました。これらの
内容は別紙のとおりです。
○ なお、監査結果に関する報告は、平成 29 年2月3日発行の愛知県公報に登載しま
す。また、愛知県公式ウェブサイトの「監査委員事務局のページ」の「監査の結果」
の項からも、2月3日発行の愛知県公報を、同日午後4時頃からご覧いただけます。
(http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kansa1/0000082137.html)
1
監査の概要
地方自治法第 199 条第7項の規定に基づき、県が財政的な援助等を行っている出資団体
(県出資率 25%以上の団体)、補助団体等及び指定管理者(公の施設の管理を行う者)に
ついて、当該団体の財政的援助等に係る出納その他の事務の執行に関して監査を実施した
ものです。
2
監査対象団体
本県の財政的援助団体等は、多数にわたるため、次の 60 団体を選定して監査を実施し
ました。
-1-
区
分
団体数
県出資 100%の団体
出資団体
補助団体等
7
県出資 25%以上 100%未満の団体
11
小 計
学校法人
社会福祉法人
土地改良区等
小 計
18
18
5
12
35
7
60
指定管理者
合
計
なお、出資団体については、損失補償、債務保証、補助金等又は指定管理があれば併せ
て監査を行いました。
団体区分
出資 県出資 100%の団体
団体
監査対象団体
公益財団法人あいち男女共同参画財団
愛知県公立大学法人
社会福祉法人愛知県厚生事業団
公益財団法人愛知公園協会
公益財団法人あいち産業振興機構
愛知県土地開発公社
愛知県住宅供給公社
県 出 資 25 % 以 上 公益財団法人豊川水源基金
100%未満の団体
中部国際空港連絡鉄道株式会社
名古屋空港ビルディング株式会社
名古屋テレビ塔株式会社
公益財団法人愛知県文化振興事業団
公益財団法人長寿科学振興財団
公益財団法人魚アラ処理公社
公益財団法人科学技術交流財団
公益財団法人愛知県林業振興基金
愛知県道路公社
公益財団法人暴力追放愛知県民会議
補助団体等
公益財団法人名古屋フィルハーモニー交響楽団
学校法人至学館
学校法人越原学園
学校法人名古屋電気学園
学校法人南山学園
学校法人日本福祉大学
学校法人聖カタリナ学園
-2-
指定管理者
学校法人愛知産業大学
学校法人愛知江南学園
学校法人柳城学院
学校法人愛西学園
学校法人豊川閣妙厳寺豊川学園
学校法人海陽学園
学校法人牧原学園
学校法人余合学園
学校法人小鳩学園
学校法人名古屋カトリック学園
学校法人東洋学園
学校法人名古屋学園
公益財団法人愛知県私学退職基金財団
公益財団法人愛知県私立幼稚園退職基金財団
社会福祉法人愛知県社会福祉協議会
社会福祉法人慈雲福祉会
社会福祉法人昭徳会
社会福祉法人相和福祉会
社会福祉法人明知会
愛知県厚生農業協同組合連合会
愛知県商工会連合会
大同特殊鋼株式会社
株式会社明治
愛知用水土地改良区
豊田土地改良区
鍋田土地改良区
篠田悪水土地改良区
日光川西悪水土地改良区
コングレ・愛知グループ
特定非営利活動法人フロンティア西尾
社会福祉法人恩賜財団済生会支部愛知県済生会
株式会社トヨタエンタプライズ・公益財団法人愛知県健康
づくり振興事業団共同体
ウッドフレンズ共同企業体
株式会社ラグーナテンボス
三谷漁業協同組合
-3-
3
監査法人の活用
次の団体の監査に当たっては、監査法人に監査の基礎となる事項の調査を委託しました。
(1) 名古屋空港ビルディング株式会社
(2) 社会福祉法人恩賜財団済生会支部愛知県済生会
4
監査結果の概況
監査の結果、下表のとおり4団体において4件の注意改善を必要とする事項がありまし
た。
なお、注意改善を必要とする事項は、次のとおり区分しています。
○ 指摘事項
① 法令等に違反すると認められるもの
② 故意又は過失による事故等で、県に損害が生じていると認められるもの
③ 経済性、効率性又は有効性の観点から改善を要すると認められるもの
④ その他改善を求める必要があると認められるもの
○ 指導事項
指摘事項①から④までのいずれかに該当する場合で、その程度が軽微なもの
区 分
出資団体
県出資 100%の団体
県出資 25%以上
100%未満の団体
団体数
指摘事項
指導事項
0
0
0
2
2
(名古屋空港ビルディング株式会社)
0
(愛知県道路公社)
2
補助団体等
2
(学校法人聖カタリナ学園)
0
(社会福祉法人明知会)
指定管理者
計
0
0
0
4
4
0
それぞれの事項には、主にどのような観点(合規性、経済性、効率性、有効性)から、
注意改善を必要とするかを括弧書きで付記しています。
<観点>
合規性:出納その他事務の執行が、法令等に従って適正に処理されているかという観点
経済性:出納その他事務の執行が、より少ない費用で実施できないかという観点
効率性:同じ費用でより大きな成果が得られないか、あるいは費用との対比で最大限の
成果を得ているかという観点
有効性:所期の目的を達成しているか、また、効果をあげているかという観点
-4-
このほか、地方自治法第 199 条第 10 項の規定に基づき、監査結果の報告に添えて1件
の監査意見を付しました。
これらの内容は、別紙のとおりです。
5
今後の予定
今回の監査の結果、知事が監査の結果に基づき、又は監査の結果を参考として措置を講
じたときは、監査委員に通知があり、監査委員は、当該通知に係る事項を公表することと
なります。
<参考>
○地方自治法(抜粋)
第 199 条 1∼6 略
7
監査委員は、必要があると認めるとき、又は普通地方公共団体の長の要求があるときは、当該普通
地方公共団体が補助金、交付金、負担金、貸付金、損失補償、利子補給その他の財政的援助を与えて
いるものの出納その他の事務の執行で当該財政的援助に係るものを監査することができる。当該普通
地方公共団体が出資しているもので政令で定めるもの、当該普通地方公共団体が借入金の元金又は利
子の支払を保証しているもの、当該普通地方公共団体が受益権を有する信託で政令で定めるものの受
託者及び当該普通地方公共団体が第 244 条の 2 第 3 項の規定に基づき公の施設の管理を行わせている
ものについても、また、同様とする。
8
略
9
監査委員は、監査の結果に関する報告を決定し、これを普通地方公共団体の議会及び長並びに関係
のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農
業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出し、かつ、これを公表しなければならない。
10
監査委員は、監査の結果に基づいて必要があると認めるときは、当該普通地方公共団体の組織及び
運営の合理化に資するため、前項の規定による監査の結果に関する報告に添えてその意見を提出する
ことができる。
11
略
12
監査委員から監査の結果に関する報告の提出があつた場合において、当該監査の結果に関する報告
の提出を受けた普通地方公共団体の議会、長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公
平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員は、当該監査の
結果に基づき、又は当該監査の結果を参考として措置を講じたときは、その旨を監査委員に通知する
ものとする。この場合においては、監査委員は、当該通知に係る事項を公表しなければならない。
-5-
(別
1
⑴
紙)
監査結果
注意改善を必要とする事項(指摘事項)【4件】
① 名古屋空港ビルディング株式会社(団体区分:県出資 25%以上 100%未満の団体)
【固定資産の管理が適切でなかったもの(合規性)】
名古屋空港ビルディング株式会社では、固定資産管理要領により、固定資産の現物管理は、
各部署がそれぞれ保管・運用するものにつき当該各部署長が責任を負うものとされ、各部署
長(現物管理責任者)は、毎会計年度末に固定資産台帳の内容が記載された帳簿と固定資産
(現物)の一致確認を行い、その結果を、固定資産の記録・整理に関する事務を統括する総
務部長に報告することとされている。
しかしながら、今回の監査において、平成 27 年度末における現物管理の状況を確認した
ところ、各部署長による帳簿と現物との一致確認が行われておらず、少なくとも同要領が
施行された平成 21 年度以降、一致確認は一度も行われていなかった。
さらに、固定資産台帳から一部を抽出して現物を確認したところ、台帳に記載された設
置場所とは異なる場所にあったり、台帳上の管理番号とは異なる番号のラベルが貼付され
ていたりするなど、固定資産の管理が適切に行われていなかった。
<参考>
○固定資産管理要領(抜粋)
(職制及び責任者)
第3条 総務部長は、固定資産の記録・整理に関する事務を総括し、その責任を負う。
2
固定資産の現物管理に関しては、各部署がそれぞれ保管・運用するものにつき当該
部署長が責任を負うものとする。
3
略
(現物管理)
第4条 前条第2項の現物管理とは、次の各号に掲げる事項をいう。
(1)及び(2)
(3)
略
帳簿と固定資産(現物)の一致確認を年1回は行うこと。
(4)以下 略
(現物照合)
第 14 条 現物管理責任者は、固定資産について毎会計年度末に第4条(3)に定める確認
を行い、その結果を、所定の「固定資産現物確認書」を作成し、総務部に提出しなけ
ればならない。
-6-
② 愛知県道路公社(団体区分:県出資 25%以上 100%未満の団体)
【法人市民税の申告納付がなされていなかったもの(合規性)】
法人税法上の公共法人である愛知県道路公社は、地方税法により事務所又は事業所を有す
る市町村に法人市民税の均等割を申告納付しなければならないこととされている。
同公社は、事務所又は事業所として名古屋市内にある本社のほか、半田市内に知多有料道
路事務所、豊田市内に猿投グリーンロード事務所、知立市内に知立出張所を有している。
しかしながら、本社所在地である名古屋市に対しては申告を行っていたものの、半田市、
豊田市及び知立市に対しては、申告を行っていなかった。
このため、同公社は、平成 23 年度から平成 27 年度分の法人市民税の均等割額 650,000
円を納付するほかに、延滞金を支出することとなった。
なお、名古屋市に対しては、申告とともに減免申請を行っており、法人市民税の均等割額
の全部が減免されていた。
<申告納付額の内訳>
区分
法人市民税均等割額
金額
650,000 円
内容
・半田市、豊田市
5万円×5年度分×2市=500,000 円
・知立市
5万円×3年度分(注)=150,000 円
(注)知立出張所は平成 25 年4月1日設置
③ 学校法人聖カタリナ学園(団体区分:補助団体)
【補助金に係る実績報告において、補助対象経費を過大に計上していたもの(合規性)】
私立学校経常費補助金は、私立学校の振興を図るため、私立学校の設置者が教育を行うた
めに要する経常的経費に対し、当該設置者に交付するものである。
私立学校の設置者は、補助事業が完了したときは、実績報告書に補助事業の裏付けとなっ
た関係書類等を添えて知事に報告することとされている。
しかしながら、学校法人聖カタリナ学園では、光ヶ丘女子高等学校に関する平成 27 年度
の愛知県私立学校経常費補助金に係る実績報告において、次のとおり補助対象経費を過大に
計上していた。
誤
637,448,440 円
正
637,071,924 円
過大計上額
内容
376,516 円 ・高等学校の教育を行うために要する
ものではない経費を含めていたもの
・補助対象とならない交際費の性格を
有する経費を含めていたもの
-7-
<参考>
○愛知県私立学校経常費補助金交付要綱(抜粋)
第2条 前条に規定する経常的経費のうち補助金交付の対象として知事が認める経費
(以下「補助対象経費」という。)について補助金を交付する。
2
交付の対象となる学校の種別ごとの補助対象経費及び補助率又は補助額は、別表の
とおりとする。
別表(第2条関係)
学校種別
補助対象経費
補助率又
は補助額
学校法
教育を行うために要する経常的経費で、次に掲
人が設置
げるものとする。ただし、国又は地方公共団体の
する高等
他の補助金及び寄付金等の対象となったもの並
学校、中等
びに別に定めるものを除く。
1
教育学校、 1
人件費
中学校、小
本務教職員の給与費及び所定福利費並びに兼
学校及び
幼稚園と
する。
定額
務教員の給与費
2
経費
消耗品費、光熱水費、旅費交通費、修繕費、
通信運搬費、印刷製本費、賃借料、機器備品・
図書の整備費及びその他の経費のうち知事が定
めるもの
○愛知県私立学校経常費補助金取扱要領(抜粋)
3
補助対象経費
補助対象経費は、教育を行うために要する経費で別表1及び2の「補助対象経費」
欄に掲げる経費とする。ただし、次のいずれかに該当する経費は除くものとする。
(1)∼(3)略
(4) 食糧費、慶弔費、交際費及び広告費の性格を有する経費
④ 社会福祉法人明知会(団体区分:補助団体)
【補助金に係る事業実績報告において、補助金精算額を過大に報告していたもの(合規性)
】
民間社会福祉施設運営費補助金は、民間社会福祉施設(社会福祉法人又は財団法人が経営
する施設をいう。
)における利用者の処遇向上と健全経営の助長を図るため、当該施設の経
営者に交付するものである。
民間社会福祉施設のうち障害者施設に対する同補助金の交付額は、利用者の障害支援区分
に応じた基礎単価に、
一定の基準を満たす場合に加算される福祉事業ポイント数と年間施設
利用者数(延利用人員)とを乗じて算定することとされているが、この年間施設利用者数に
ついては、
「定員×開所日」が上限とされている。
-8-
社会福祉法人明知会の経営する障害者施設のうち「夢の家」と「Masa夢」では、平成
27 年度に「定員×開所日」を上回る利用実績があったが、事業実績報告において実際の延
利用人員を用いて補助金精算額を算定したことにより、次のとおり補助金精算額が過大とな
っていた。
障害者施設
の名称
施設種別
夢の家
障害者支援施設
Masa夢
生活介護
年間施設利用者数 「定員×開所日」
(延利用人員)に を上限として算定
した精算額
基づく精算額
過大に報告され
ていた金額
19,365,000 円
19,343,000 円
22,000 円
2,021,000 円
1,786,000 円
235,000 円
計
2
257,000 円
監査意見【1件】
⑴
指定管理者の監査結果に添えた監査意見
①
指定管理者制度に係る県有物品の管理の適正化を求めるもの(合規性)
所管課
振興部航空対策課、県民生活部文化芸術課、同部男女共同参画推進課、健康福祉部障
害福祉課、同部保健医療局健康対策課、建設部港湾課
指定管理者制度は、多様化する住民ニーズに、より効果的・効率的に対応するため、その管
理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ること
を目的として、県が指定する指定管理者に、期間を定めて公の施設の管理を委任して行わせる
制度である。
指定管理者は、通常、県が示した業務仕様書のほか、県と締結する基本協定及び年度別協定
に基づき、毎年度事業計画書を作成し、公の施設の管理を行っている。
総務部総務課が作成している「愛知県指定管理者制度ガイドライン」によれば、指定管理者
業務について指定管理者が事業計画書に記載した管理運営経費により管理物品を購入した場合、
当該管理物品は県に帰属し、年度別協定等に「管理物品一覧」を添付することとされており、
これにより県から指定管理者に貸し付けている物品であることが明らかになる。
しかし、今回の監査対象とした 11 団体が管理する 16 施設のうち7施設において、基本協定
には管理運営経費により購入した管理物品が県に帰属することが規定されているものの、運用
上、指定期間が満了し、県が施設の管理を別の指定管理者に委任するまでの間は、県では当該
物品の登録や貸付の手続を行わない取扱いとされていた。このため、指定期間中に管理運営経
費により購入した管理物品は、
「管理物品一覧」に反映されないこととなっていた。
さらに、このうち4施設においては、指定期間中、指定管理者が管理運営経費で購入した管
-9-
理物品について、県は十分に把握しておらず、また、1施設においては、
「管理物品一覧」に記
載された物品の一部が、実際には指定管理者が管理する区域ではなく県が管理する区域にあっ
たため、指定管理者による管理物品の現物確認ができない状態となっていた。
これらは、指定期間満了後における指定管理者から県への管理物品の引継ぎの失念や、県有
物品の亡失につながるおそれがあることから、
「管理物品一覧」の内容を十分に確認することは
当然のことながら、指定管理者が管理運営経費により管理物品を購入した場合は、少なくとも
年度ごとにこれを把握して物品の登録を行い、次年度の年度別協定に添付する「管理物品一覧」
に盛り込むなど、県有物品の管理の適正化に努められたい。
- 10 -