群馬県内企業における障害者雇用の動向

(2017 年 1 月号掲載)
一般財団法人
群馬経済研究所
研究員
丸岡美智世
群馬県内企業における障害者雇用の動向
~要
約~
1.県内企業で働く障害者は、2016 年時点でおよそ 4800 人に上り、過去 10 年間で 1.8 倍に増
加している。ただし、民間企業の従業員に占める障害者の割合を表す実雇用率は 1.90%と
全国平均(1.92%)を下回っている。
2.群馬経済研究所が県内企業を対象に実施したアンケート調査によると、
「現在、障害者を雇
用している」企業は回答全体の約 34%であった。1 社あたりの雇用障害者数は、生活関連
サービス・娯楽業等で多い。
3.障害者を雇用する企業を対象に、障害者の採用の経緯を尋ねたところ、ハローワーク等の
「障害者就労支援機関からの紹介」が最も多く、
「従業員が障害者となったため」が続いた。
障害者の業務では、
「他の従業員と同じラインで業務する」が9割を占めている。また、障
害者雇用における課題には、
「(障害者が)対応できる業務内容や範囲の狭さ」
「適切な職務・
業務の確保」
「職場での安全面の確保」が上位に挙がった。
4.障害者雇用のメリットでは、回答企業の7割強が「社会的責任の達成」を挙げ、
「企業イメ
ージの向上」
、
「優遇税制や各種助成金の給付」が続いている。なお、
「社員のモラルの向上」
や「人員不足の解消」を2割程度の企業が挙げている。
5.障害者雇用を増やすために行政が何をしたらよいか尋ねたところ、
「賃金の助成や雇用奨励
金等の強化」、「施設整備のための助成金の充実」、「雇用のためのノウハウ等の情報提供体
制の充実」が上位に挙がった。
6.障害者雇用施策に関して、障害者を雇用する企業の7割は「助成金の支給」を認識してい
るが、
「障害者の雇用に関する相談・助言」や雇用後の障害者の適応・定着に関する「ジョ
ブコーチ支援」に対する認識は低めとなっている。
7.今後、県内企業の障害者雇用を増やしていくためには、行政や障害者就労支援機関等(以下、
支援機関)には、障害者を雇用する企業が抱える課題解決に向けて、障害者雇用の好事例紹
介や障害者雇用に関するセミナー、雇用企業間の交流、企業が支援機関に相談しやすい体
制づくり等を進めることが一層必要となろう。また、企業においても、障害者雇用も多様
な人材活用の在り方の一つとして、関心を高めていくことが期待される。
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