(GIFAS)の来日に伴い、 企業訪問およびB to Bミーティングを実施

工業会活動
フランス航空宇宙工業会(GIFAS)の来日に伴い、
企業訪問およびB to Bミーティングを実施
2016年(平成28年)11月21日(月)と22日(火)、フランス航空宇宙工業会(GIFAS)
の幹部および傘下のフランス企業34社から合計57名が、GIFAS Japan missionとして来
日した。その際、訪日企業団はSJAC手配の下、名古屋地区および東京地区の企業を訪問
し東京にて日本企業とB to Bミーティングを実施するなど、企業間の交流を密に行った。
その概要を報告する。
1.はじめに
という希望をGIFASから聞いていた。
GIFASが大規模な企業団を伴って訪日した
2013年6月に経済産業省とフランス航空局
のは今回が初めてである。背景には、エアバ
との間で「日仏民間航空機産業協力の覚書」
スやボーイングをはじめとするOEMからの
が結ばれ、それ以来毎年、両国政府レベルで
コストダウン要求に端を発する世界的なサプ
「日 仏 民 間 航 空 機 産 業 協 力 に 関 す る ワ ー ク
ライチェーンの再編の動きがある。自社のサ
ショップ」が開催されるようになった。この
プライチェーンを見直し、拡大し、その中で
ワークショップの継続的な開催によって両国
コスト、供給キャパシティ、技術的なイノベー
企業の交流が深まることが期待されている。
ションを図っていきたい思いがあり、特に中
また、2015年3月、日仏政府間で署名した「防
小企業が多い装備品会社は大変切実な状況に
衛装備品および技術の移転に関する日本国政
置かれているとのことである。こうした中
府とフランス共和国政府との間の協定」を踏
で、日本企業のサプライチェーンの一環に
まえ、防衛分野においても日仏企業間の交流
なって対日輸出を拡大したいという意図と共
の可能性を探りたいとのGIFASの意向を聞い
に、協力してコストダウンを図っていきたい
ていた。
三菱航空機経営企画室長
ご挨拶中の
桝谷啓介氏(左)および GIFAS装備品製造グループ長
Patric Daher氏
GIFAS国際委員長
(Daher社CEO)
Stephane Abrial氏(右)
(SAFRAN Senior EVP)
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MRJの説明を聞くGIFAS企業団
平成29年1月
2.名古屋地区
第757号
1グループはBK117ヘリコプターの組み立て
(1)三菱航空機㈱MRJ最終組立工場を訪問
とEmbraer社へ納入している部品の製造現場
11月21日(月)の午前、34社47名で県営名
を見学、もう1グループ14社は川崎重工の資
古屋空港に隣接する三菱航空機を訪問した。
材部の方たちとB to Bミーティングを実施し
会議室にて双方の謝辞を交換し、三菱航空機
た。多くのフランス企業が川崎重工とB to B
からMRJの開発状況と今後の計画について説
ミーティングを要望した結果であり、先方の
明を受けた後、最終組立工場内の見学コース
興味の高さを伺えた。その後、訪問者全員で
を案内して頂いた。訪問者は開所間もない
P-1およびC-2の組立工場を見学した。見学範
ミュージアムの中で客室モックアップや機体
囲は一部のみに限定されたものの、国外工業
部品や装備品の展示物に見入り、現在のサプ
会の企業団がP-1やC-2の見学を許可されたの
ライチェーンの状況を熱心に聞き取ってい
は初めてとのことで、多くの質問が出ると共
た。また、組立工場内では2階の周回路から
に一同は大変興味深く見学していた。
組立中の量産機2機および地上試験に供して
いるANA塗装の1機の説明を受け、ニュース
(3)ネットワークランチを開催
や記事等でしか触れていなかったMRJ実機を
午前の三菱航空機訪問と午後の川崎重工岐
身近に見ることができたこと、見学コースや
阜工場訪問の間に、多くのC-ASTEC傘下の
展示が良く配置・整備されていることから、
企業に参加して頂き、名鉄犬山ホテルを会場
見学者に好評であった。
として立食によるネットワーキングランチを
開催した。GIFASが名古屋地区訪問の際に交
(2)川崎重工㈱岐阜工場を訪問
流 を 望 ん だ も の で、日 本 側 か ら 約 40 名、
11月21日(月)の午後、32社44名で川崎重
GIFASと合わせて合計90名近い参加者による
工岐阜工場を訪問した。双方の謝辞を交換
交流会になった。C-ASTECから企業紹介の
し、会社概要とP-1固定翼哨戒機およびC-2輸
冊子配布もあり、双方で熱の入った挨拶と情
送機の説明を受けた後、2グループに分かれ、
報交換が行われ、今後も継続して情報交換を
ご挨拶中の
川崎重工執行役員
航空宇宙カンパニー
生産本部長
植竹芳裕氏
ご挨拶中の
GIFAS中小企業グループ長
(SECAMIC社Chairman
& CEO)
Bertrand Lucereau氏
川崎重工の説明を聞くGIFAS企業団
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工業会活動
ご挨拶中のC-ASTEC
専務理事兼事務局長
青山伸治氏
ご挨拶中の
GIFAS 国際委員長
Stephane Abrial氏
ネットワーキングランチ会場の様子
約する企業もあり、盛況の内に終えることが
審議官の挨拶を頂いた。また、GIFASを代表
できた。
し て Marwan Lahoud 会 長(Airbus Group
Executive Vice President)、そしてSJACの永野
3.東京地区
(1)B to B フォーラムを開催
名古屋地区訪問の翌日、11月22日(火)の
尚 国際委員長(富士重工専務執行役員)から、
それぞれ本会合の目的と意義を含んだ挨拶が
行われ、今後の両国企業の関係が発展するこ
午前に、恵比寿ガーデンプレイスタワー4Fの
とへの期待が述べられた。次いで富士重工、
会議室にて日仏企業間のミーティングを中心
IHIからそれぞれ事業紹介と調達方針、そし
とした、B to Bフォーラムを開催した。
て三菱重工から日仏企業で協力して進めてい
冒 頭 に フ ラ ン ス 大 使 館 か らPaul-Bertrand
るJASTAC(Japan Airbus SHM Technology for
Barets臨時代理大使に挨拶を頂き、続いて経
Aircraft Composites)プロジェクトのプレゼン
済産業省から 三田紀之 製造産業局大臣官房
テーションなど、主要重工各社の取り組みを
フランス大使館
経済産業省製造産業局
GIFAS会長
SJAC国際委員長
臨時代理大使
大臣官房審議官
Marwan Lahoud氏
永野尚氏
Paul-Bertrand Barets氏
三田紀之氏
(Airbus Group EVP)(富士重工専務執行役員)
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平成29年1月
第757号
紹 介 し て 頂 い た。さ ら に、TRAFAM(技 術
会員企業、東京都傘下のTokyo Metropolitan
研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機
Aviation Network(TMAN)の企業、経産省か
構)から日本の先端技術への取り組みとして
ら声を掛けて頂いた企業)合計30社56名が参
の活動紹介を行い、短時間であったものの多
加した。GIFAS側の参加企業は29社41名で
くの内容が日本側から発信された。これらの
あった。個々の企業の希望を基に、1回20分
セッションには日仏の企業や団体から登壇者
のミーティングを1時間半で4ラウンド回す組
を含めて合計120名を超える参加者があり、
み合わせを作り(一部は追加で5ラウンド目
会場のキャパシティを超える盛会になった。
を実施)、合計114回のミーティングを実施し
次いで、会場レイアウトを変更した後に個
た。また、個別ミーティングの他にも、引き
社間のB to Bミーティングを実施した。日本
続き同ビル地下で実施したネットワーキング
側からは、GIFASが予めリクエストしていた
ランチにてお互いに情報交換を深める企業が
SJAC会員企業および、GIFAS訪日企業との
多く見られ、将来に向けて大変熱心な交流が
コンタクトを希望している日本企業(SJAC
図られ活況を呈していた。
富士重工資材部主幹兼
材料購買課長
石田圭介氏
IHI生産センター
資材部長
山本博士氏
フォーラム会場風景
(2)ANA羽田整備センター訪問
三菱重工先進事業開発
推進室室長代理
佐々木孝治氏
TRAFAM技術推進部
主任研究員
山田明孝氏
B to Bミーティングの様子
備センターを訪問するグループと、GIFASが
11月22日(火)午後、GIFAS企業団はSJAC
独自に手配したJAXA(2地区)を訪問するグ
手配の下で羽田空港に隣接するANA羽田整
ループの3グループに分かれ、それぞれの訪
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工業会活動
機体整備ハンガーにて
(右から4人目:GIFAS装備品製造グループ長Patric Daher氏
6人目と9人目:訪問に対応して頂いたANA部品事業室部品計画部副部長 広瀬裕二氏
および、品質保証室品質企画部 奥貫孝氏)
問を実施した。ここではANA羽田整備セン
た、川崎重工を訪問するに際して、在日フラ
ターの訪問について報告する。
ンス大使館を通して防衛装備庁へP-1、C-2を
双方で謝辞を交換した後、予め申し込んで
見学させてほしいという強い申し入れもあ
あった3社がANAとB to Bミーティングを実
り、日本の防衛装備品に対する関心の高さを
施し、他はエンジン整備ショップを見学、そ
伺えた。ご対応頂いた防衛装備庁に深く感謝
の後全員で装備品整備ショップと機体メンテ
いたします。
ナンスハンガーをフルコースで見学した。ど
企業間のB to Bミーティングにも積極的
こも整備Hardwareをはじめ、GIFAS企業が新
で、事務局として日本側企業の招聘に大きな
たなビジネスチャンスを求めている計測器や
努力を要したが、結果的に非常に盛会に終え
治工具・設備を直近に見ることができ、大変
ることができ、企業訪問を含めて全体に成功
満足した様子であった。また、最後に整備セ
裏 に 終 え る こ と が で き た と 考 え て い る。
ンター副センター長の小堀寿亮氏から挨拶を
GIFASと共に事務局で次回のパリエアショー
頂き、充実した訪問になった。
等でのフォローアップを考えていきたい。
企業訪問を受け入れに対応して頂いた三菱
4.所感
航空機、川崎重工、ANAそして犬山でのネッ
今回のGIFAS Japan missionでは、報告した
トワーキングランチに対応頂いたC-ASTEC、
企業間の交流の他に、GIFAS会長以下の役員
また、B to Bミーティングに協力頂いた経産省
による日本の政府機関や経済団体の訪問が実
航空機武器宇宙産業課および東京都産業労働
施されており、日本との関係を強化していき
局商工部にこの場を借りて感謝申し上げます。
たいという強い意気込みが感じられた。ま
〔(一社)日本航空宇宙工業会
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国際部 部長
川平
浩司〕