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富山大学「現役社長の講話Ⅱ」
スーパー連携大学院コンソーシアム web ニュース
2017 年 1 月 18 日
●「現役社長の講話Ⅱ」
「現役社長の講話Ⅱ」は 10 月 28 日(金)~30 日(日)
に行われ、スーパー連携大学院プログラム受講生は、
室蘭工業大学 2 名、電気通信大学 3 名、富山大学の受
講生 8 名の計 13 名の学生が受講しました。
1 日目は、(株)ユニゾーンと富山テレビ放送(株)の 2
社の見学を行いました。
ユニゾーンは、富山のメッキ関連の会社で、電気めっ
き、無電解めっき、陽極酸化処理から化成処理まで行
い、材料では Au、Ag、Cu、Zn、Cr、Ni、Sn など、サイズ
も最小 1mg から最大 9.5t までの日本最大級のメッキ槽
ユニゾーン見学
を持つ会社です。会社玄関のアネックスは 2 階建ての
ガラス壁の透明感ある建物で、1 階フロアにはメッキされたガラス造形物など、従来のめっきの概念を超えた技術が
感じられます。工場は JR 線と並行した広い敷地にあります。ユニゾーンの特徴は、材料調達から洗浄、メッキまでの
一貫工程 46 種類の何でも引受けられる多様なライン、そして県内でよく見かける 17 台のトラックで 280 社へ最短 1
日で物流対応する納品体制や、簡単にフックに引っかけるだけで女性でも運搬が出来る工程の工夫もされており、
綺麗な生産ラインを作っている雰囲気を感じました。
富山テレビ放送は、フジテレビ系列の放送局で、富山大学五福キャンパスからは神通川を挟んで東南側に位置し
ています。数十のモニターと時間表示、複数画像表示とスイッチ切換で放送画像を管理している放送局の中心部、
音声管理の部屋、実際の放送現場や放送を行う中継車を順に見学しました。放送現場では、放送が始まる数十分
前から原稿の読み上げ練習をするアナウンサーさんを
間近に見ながら、いつもニュースで映っているスタジオ
現場に入りました。アナウンサーさんの手元などは意外
に簡素な板の構造で、その場に行かないと見えない裏
側も見ることができました。富山大学卒業生(約 7 年前)
や、ニュースの開始に指示を出す新人 1 年生スタッフな
どもいるなか、緊迫したスタジオで音を立てないようにし
ながらの見学でした。中継車は、マイクロ波通信を用い
放送を行う SNG 車、ミニ放送局のような複数画面を持
つ中継車や初動中継車など、画像、音声を忠実に伝え
富山テレビ放送見学
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るための高度技術の通信技術が満載で、工学部の学生にとってはたまらない車でした。また、その日は丁度日曜日
の富山マラソンに備え、車への荷物準備など出かける前段階の調整中で、放送局の高度技術と熱いスタッフの方々
の様子を垣間見させていただきました。
2 日目は、(株)牧田組 牧田和樹社長、(株)ユニゾーン 梅田ひろ美会長と、富山テレビ放送(株) 中西 修社長
に講話をいただきました。
牧田社長の講話は、建設、商事、運送を持つ牧田組の紹介から始まりました。1911 年「大正組」として創業、1915
年牧田組に改称以降、昭和、平成の世を乗り越えてきた会社で、曾祖父が 29 歳で創業し、祖父(女兄弟の男一人)、
父(女兄弟の男一人)、おじ、そして牧田社長が 29 歳で社長に着任。牧田社長は、赤字の会社を再建するための業
務と算に関する例題を挙げ、黒字化にするための方法について
受講生に質問されました。計算上出来た案で、「みんな、これで
やろうよ!」と社長の号令のもと会社再建を目指したが上手く行
かなかったことで気付いたことは、「経営は、人を動かすこと」だっ
たと。条件には、お金、絆、やりがい、環境、目的等あるが、どの
ような人が、どのように伝えるかが大切。コツとしては、相手の立
場に立つ、人間、空間、時間、..共有で間をどう繋ぐかがポイン
トとも。また、最後に再び「経営の理屈は、人!」であると強調さ
れていたのが印象的でした。
次にユニゾーンの梅田ひろ美会長の講話は、幼少時代の話か
牧田組 牧田和樹社長
ら始まりました。62 年前に父親がメッキ業を 4 名で開始(梅田会
長小1)し、現在 170 名。会長は昭和 63 年に会社へ入り、「父から引き継いだ会社を潰したくない」の一念でやって来
た。社員 200 人の家族だが、「心配すべし、心痛すべからず。」、必死が有れば何とかなる、また、人の後ろ盾の大切
さがあると話されました。父親のシベリア抑留やめっきとの出会い、会長が 900g で生まれた苦労、おばあちゃん子で
「人の悪口を言わないように、夢は望み高く。やりたいことをやり
なさい。」と聞いて育ったこと。家計は厳しく、火の車のなか高校
から東京の大学へ進学。引き継いだ当時は、人材が集まらず名
称をユニゾーンに変更、錆びたモノを預かり綺麗にして返すクリ
ーニングのような仕事で、「感動、感謝、感性、科学的管理」の 4K
をスローガンとし会社経営してきたこと、「綺麗にする」の観点か
ら、給料をガラス張りとしたことや、ガラスにメッキを初めて行った
専門性が高い 77 歳の社員も定年制なしで働いてもらっているこ
となど紹介されました。「ユニゾーン」の社名は、地域との調和で
ゾーンはその辺の意味、「ニッチな黒子」を目指すとのこと。現在
は日本で修理するような時代ではなく先を読むことが必要で、研
ユニゾーン 梅田ひろ美会長
究を行い無電解メッキを開始するなど、選択することの必要性を強調されました。
また、CM は知名度だけじゃなく従業員あなた方に跳ね上がると説明し、昭和 63 年からゴールデンタイムに、売る
ための宣伝ではなく行っている。父からの教えで今でもやっていることは、誕生月の社員とお弁当を一緒に食べるこ
とで、シフォンケーキもプレゼントする。社員にお子さんが生まれると、スイトピー写真館での撮影用に幼稚園、小学
校、中学校、高校と1万円を渡す。受注の落ち込みにはインフラ整備と形から入って中身を良くして行く。そのなかで
面接に来る人が多くなったことも紹介されました。そして、「かきくけこ」 か・・感謝、感動、き・・気力、く・・工夫、け・・
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健康、こ・・恋。パートで 10 年勤め退職した方から、「子供を大学にやり、姑を看取ってきた」と言われたのが嬉しく、
感謝の気持ちを忘れずにやっていると話を結ばれました。社員とともに生きて行く会社の姿が伺えました。
富山テレビ放送の中西 修社長は、工学部機械出身の自己紹
介から始まりました。1979 年卒、当時就職難で、流体力学の就職
担当から「富山テレビから募集が来ているよ」と就職面接を受け
に行く。ワンゲル部出身で、山に登っていたのが武器になり採用
となった。会社名は、Best broadcast Television(BBT)。富山は、
電波環境が良く、9つの中継局で県内をカバー。報道部時代、県
政担当時代、営業局時代、Contents & Sales 時代のエピソードを
交え幅広い略歴を紹介されました。
テレビ局の使命の例として、最近の富山市の政務活動費調査
について、取材中に委員長からアナウンサーが暴力を受けたの
富山テレビ放送 中西 修社長
が発端で調査を開始し、領収書コピー等や実際に使用していな
い公民館などを調べるうちに不正が分かったとのこと。権力と距離感を置いてチェック機能を持って行くのがテレビ局。
放送法 第三条「何人からも干渉され、または規律されることがない」、第四条二「政治的に公平、情報を報道し、判
断しない」のが大事とのこと。番組は、教育 10%以上、教養 20%以上が電波法での免許の条件。CM は 18%以内、30
分で、6 分以内、年 2 回データを総務省へ送りチェックしてもらう。視聴率調査は、世帯視聴率で毎月第 1、2 週、個人
視聴率で年 2 回の調査。広告費全体は 6 兆円、新聞が厳しく TV も落ちているなか、インターネットは 110.2%と増加。
テレビ技術の紹介では、4K8K ロードマップ、2016 年 NHK 試験放送、6MHz の帯域中で 13 セグメントに分けて送る圧
縮技術が進めば、9 セグを 4K、4 セグを 4K にする予定。但し、未だ技術が無く、今後の開発待ち。
講話は「地上波の生き残る道」と題し、経験を踏まえたお話をいただきました。第 1 には、地域への有益情報配信、
権力に対する監視機能、住民の安心安全など、使命を持った放送の必要性。放送コンテンツは、例えば海外の観光
客を呼ぶくらいのコンテンツを目指す。そして、インターネットとの融合。総務省からのインターネット同時配信など、
いかにして融合しながら新しいビジネスを作るかが課題。最後に、ディジタルテレビについては、天気、運行状況等、
新しいものを見出せばビジネスチャンスとなるので、若い人にもテレビに興味を持って欲しいし、問題意識・強い意志
を持ってもらいたいと結ばれました。見学の節の放送設備とニュース報道前後の緊迫した雰囲気、そして講話では
放送局としての使命など、単なる技術的なものだけではなく、人と人の付き合いの大切さも感じてもらえたのではな
いかと思います。
受講生からの質問やレポートからは、人のためを思った製品の大切さ、社長になったとたんに感じる責任感とリー
ダーとしての必要性、自分自身を知ることの大切さ、海外展開に対する反響の違い、コミュニケーション、諦めずに続
けることの大切さ、企業イメージの変化、グローバル展開での考え方など、様々な質問と感想が出てきました。社長
さん方の強い意志と思いを受け継ぐことができる良い機会となりました。
時間を挟み、パワーポイント資料を作成し、ショートプレゼンを実施しましたが、「相手の立場に立つ」ことと「信頼」
と「コミュニケーション」で人を動かすことの大切さが挙がっていました。技術のみではなく、人と人、心の付き合いが
大切であることが伝わった「現役社長の講話Ⅱ」でした。
(岡田 裕之 富山大学)
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