2017 年 1 月 東京青果株式会社営業管理部 作成 2016 年10月果実概況 東・西日本で気温が高く、北日本は下旬に記録的な低温。西日本は月を通して寡照。 曇雨天続きで日照時間が記録的に少なかった 9 月を経て、10 月に入っても晴れ間は長続きしなかったが、上旬に は東京でも夏日を 3 日も記録するなど気温は高めであった。下旬には北日本での低温が話題ともなったが、消費 地である関東地方は曇天ながらも過ごしやすい気温のままであった。 果実全体では入荷は前年の 90%、価格は 328 円(116%)。柿やりんご・みかんなどでは秋口の天候不良による着 色遅れや品質低下により入荷量が伸び悩み、不足感から市場での引合いは強かった。大幅に生育が前進してい たぶどう類や日本なし類、台風による落果で生産減となった栗など、例年は秋果実販売の主力を担うとなるような 品目が少なかったのも品薄を助長し、果実全般に再び価格高の様相を呈してきた。 みかん類は各地とも出荷量が当初見込みを大きく下回ったことに加え、他品目の品薄感もあって 10 月の極早生種 の販売は異例とも言えるほどの堅調さであった。下旬になっても引合いは強く価格高の状況で早生種の初荷を迎 えた。また、夏場の干ばつにより糖度が高く食味が充実していたのも販売を後押しした。入荷は 87%、価格は 341 円(118%)。 かき類は 10 月上旬より和歌山産たねなし柿(刀根早生)の出荷がピークとなったが、天候不良による着色遅れ等も 見られ増量ペースは鈍かった。前年の反省も含めて早めに量販体制に入ったこともあって荷動きは良く、月通じて 堅調な価格を維持した。甘柿では下旬から「早生富有」の入荷が始まったが、秋口の降雨により産地でのロスも多 く、なかなか数量が増えてこなかった。かき類全体では入荷は 86%、価格は 265 円(124%)、若干不作傾向ではあ ったがそれ以上に着色遅れ等で増量ペースが鈍かったことで品薄感が強かった。 りんご類は早生・中生種ともに生育前倒し気味であったが、中生種の終盤になって若干着色で足踏みも見られた。 みかんや柿など他品目の品薄・体質の弱さもあって量販店などはりんご販売を強化しており、価格は 320 円 (114%)としっかりとしていた。 日本なし類は不作で少なかった前年並みの入荷で、特に苦戦する場面もなくスムーズな販売であった。(月末に晩 生種の「にっこり」が情報バラエティー番組で取り上げられた直後、一気に品薄となったのが印象に残った。) ぶどう類は生育前進気味で、山梨産は前年とほぼ同時期の月半ばには終了。長野産「巨峰」も 9 月中にピークを過 ぎたことから 10 月の入荷は前年の 7 割程度しかなかった。「シャインマスカット」は各地とも貯蔵への取り組みが拡 大しており、生産増もあって入荷は 125%を増加傾向が続いているが、価格は 1,566 円(111%)。ぶどう類全体では 「巨峰」の減少で入荷は 76%と大幅減、価格は高単価の「シャインマスカット」の比率が高まったことで 1,081 円 (127%)の高水準であった。
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